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視力回復の可能性のない水疱性角膜症に対するPhototherapeutic Keratectomyの長期成績

2012年10月31日 水曜日

《原著》あたらしい眼科29(10):1395.1400,2012c視力回復の可能性のない水疱性角膜症に対するPhototherapeuticKeratectomyの長期成績武藤貴仁*1佐々木香る*2熊谷直樹*2高塚弘美*1武藤興紀*1出田隆一*2*1熊本眼科医院*2出田眼科病院Long-TermOutcomeofPhototherapeuticKeratectomyforBullousKeratopathywithPoorVisualPotentialTakahitoMuto1),KaoruAraki-Sasaki2),NaokiKumagai2),HiromiTakatsuka1),KokiMuto1)andRyuichiIdeta2)1)KumamotoEyeClinic,2)IdetaEyeHospital目的:視力回復の見込みのない水疱性角膜症に対し,疼痛解除の目的で,phototherapeutickeratectomy(PTK)を施行した長期結果を報告する.対象および方法:視力回復の見込みのない水疱性角膜症8例8眼.男性5例,女性3例,平均年齢77.6歳で,全例緑内障罹患眼であった.疼痛により,使い捨てソフトコンタクトレンズ(DSCL)連続装用を余議なくされていた.患者の同意を得てNIDEK社製・EC-5000CXIIIを用いてPTKを施行した(平均切除深度:124μm).術後は2週間DSCLを装用のうえ,ステロイド,抗生物質,ヒアルロン酸,ジクロフェナクの点眼を投与した.結果:PTK施行後約4.5日で上皮欠損は全例修復した.平均観察期間19.6カ月において,角膜厚は増加傾向にはあったが,8例中7例では,上皮欠損や巨大bullaは生じず,疼痛も消失した.前眼部光干渉断層計(OCT)では実質表層のスムージングが観察された.結論:視力回復の見込みのない疼痛を伴う水疱性角膜症におけるDSCL離脱を図る場合,羊膜や角膜を用いた移植手術の前に,PTKはまず試みてよい方法の一つと考えられた.Purpose:Wereportonourexperienceswithphototherapeutickeratectomy(PTK)forpainfulbullouskeratopathywithpoorvisualpotential.MaterialsandMethods:Subjectscomprised8eyesof8bullouskeratopathypatients(5males,3females;averageage:77.6years).PTKwasperformedwiththeEC-5000CXIII(NIDEKCo.,Ltd.)withanaverageabrasiondepthof124μm.Thedisposablesoftcontactlens(DSCL)wasappliedforatleast2weeksandtheeyesweretreatedwithtopicalsteroid,antibiotics,hyaluronicacidanddiclofenac.Results:Theepithelialerosionhealedat4.5daysafterPTKinallcases.Althoughthecornealthicknessgraduallyincreasedduringtheobservationperiod(19.6months),theepithelialsheetwasmaintainedwithnoerosion,giantbullaorpainin7eyes.Anterioropticalcoherencetomograph(OCT)showedsmoothingoftheanteriorstroma.Conclusion:PTKisamethodoffirstchoicefortreatingpainfulbullouskeratopathywithpoorvisualpotency.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)29(10):1395.1400,2012〕Keywords:水疱性角膜症,角膜上皮欠損,治療的レーザー角膜切除,エキシマレーザー,コンタクトレンズ.bullouskeratopathy,cornealepithelialerosion,phototherapeutickeratectomy,excimalaser,contactlens.はじめに医療技術や医療機器の進歩の反面,それに伴い増加した疾患もある.たとえば,レーザー虹彩切開術や複数回の内眼手術などにより生じる水疱性角膜症もその一つである.通常,水疱性角膜症に対しては,角膜内皮移植や全層移植が選択されるが,提供角膜には限りがあり,視神経萎縮など視力予後不良の症例に対しては,移植の適応とはされない.水疱性角膜症が高度になると,異物感や疼痛が出現するため,治療の中心は疼痛のコントロールとなる.このような視力不良の水疱性角膜症に対する治療として,治療用コンタクトレンズ(disposablesoftcontactlens:DSCL)装用,羊膜移植などが選択される1.4).しかし,DSCLでは感染の危険が常に付きまとうことや頻回に通院が必要なこともあり,高齢者には困難が生じること〔別刷請求先〕武藤貴仁:〒862-0976熊本市九品寺2-2-1熊本眼科医院Reprintrequests:TakahitoMutoh,M.D.,KumamotoEyeClinic,2-2-1Kuhonji,Kumamoto862-0976,JAPAN0910-1810/12/\100/頁/JCOPY(79)1395 が多い.また,羊膜移植においては,施行可能な施設が限られていることや,入院のうえ,手術が必要であり,視力回復が望めない患者に対するストレスも多い.文献的には水疱性角膜症の疼痛に対しphototherapeutickeratectomy(PTK)が有効である報告が散見される5.7)が,わが国ではまだ一般的でない.加えて,もともと水疱性角膜症では内皮細胞不全が存在し,PTKは根本的な加療ではないため,長期予後も検討する必要がある.今回,視力回復の可能性のない水疱性角膜症8眼に対し,疼痛軽減の目的でPTKを施行したので,その経過を報告する.I対象および方法1.対象対象は出田眼科病院,熊本眼科医院に通院治療している視力回復の可能性のない,あるいは角膜移植を希望しない水疱性角膜症の患者8例8眼で,男性5例5眼,女性3例3眼,平均年齢は77.6±10.1歳(66.90歳)であった.水疱性角膜症の原因としては,角膜移植後1眼,外傷1眼,複数回内眼手術後5眼,続発緑内障1眼であった.また,視力回復の可能性がない原因としては,網脈絡膜萎縮1眼,外傷による視神経萎縮1眼,緑内障による視神経萎縮3眼,糖尿病網膜症1眼,黄斑変性症2眼であった.8例中7眼では,治療用コンタクトレンズを装用しなければ日常生活が困難で連続装用を施行しており,2週間ごとに通院のうえ,DSCLを交換していた.1眼では,交換のための通院が困難であることから眼帯,閉瞼にて対処していた.2.方法PTKの3日前から抗生物質点眼を投与し,術前には16倍希釈ポビドンヨードにて眼瞼皮膚および結膜.を洗眼し,オゾン水で洗浄した.PTKはNIDEK社製EC-5000CXIIIを用いてPTKモードでopticalzone径6mm,transitionzone径7.5mmに設定し施行した.切除量に関してはMainiらの文献8)に従って,術前コンタクトレンズ非装用時の角膜中央部の角膜厚を,前眼部光干渉断層計(OCT)(CirrusTM,HDOCT,CarlZeiss,orRTVue-100,OPTOVUE)を用いて計測し,その約25%を切除量とした.なお,PTKに際して,上皮.離は施行しなかった.その際,最低400μmを残存ベッドとして確保するように設定した.術後は上皮が安定するまでDSCLを装用のうえ,ステロイド,抗生物質,ヒアルロン酸,ジクロフェナクの点眼を投与し,細隙灯顕微鏡および前眼部OCTを用いて経過観察をした.前眼部OCTによる角膜厚測定はスリット所見で確認しながら角膜中央を通る同一部位で測定した.II結果[症例の一覧]全症例の年齢,性別,術前角膜厚,術後最終観察時角膜厚,切除量,術前・後視力を表1に示す.術前角膜厚は平均753.63μm(515.1,180μm)であり,角膜切除量は平均144.4±56.4μm(100.240μm)であった.また,術後視力が悪化する症例はなく,4例ではわずかながら視力向上がみられた.なお,術中合併症は認めなかった.[代表症例1]70歳,女性(症例⑤).術前所見:細隙灯顕微鏡にて強い実質浮腫を認め(図1a),OCTにおいても角膜上皮.実質間に巨大blebを認めた(図1b).角膜厚は770μmであった.PTK切除量:平成22年1月下旬,130μmを切除量としてPTKを施行した.術後経過:順調に上皮は再生され,5日後にDSCLを離脱した.術後2カ月の時点では,再生された上皮表層に微細なフルオレセイン染色にて不整パターンを認めるが,上皮欠損は認められなかった(図2a).前眼部OCTでは実質表層の浮腫の軽減と実質表層の平坦化による上皮の安定化を認めた(図2b).角膜厚は術後4カ月で568μm,術後11カ月で560μmであった.[代表症例2]66歳,男性(症例⑥).術前所見:高度の水疱性角膜症を認め(図3a),OCTでは角膜厚986μmと肥厚していた(図3b).DSCLを装用していたため,上皮欠損は認めなかったが上皮細胞の接着不全を示唆する所見を認めた.表1全症例の年齢・性別,術前・後角膜厚,切除量,術前・後視力症例年齢(歳)・性別術前角膜厚(μm)切除量(μm)術後角膜厚(μm)術前視力①68・女性6101003560.09②70・男性6921001,220m.m.③85・女性6521105320.03④90・男性624110560s.l.(.)⑤70・女性770130560m.m.⑥66・男性98624085610cm/n.d.⑦89・男性515120430m.m.⑧83・男性1,1802401,3360.01m.m.:手動弁,n.d.:指数弁,s.l.:光覚弁.術後視力0.07m.m.0.04s.l.(.)10cm/n.d.10cm/n.d.m.m.0.021396あたらしい眼科Vol.29,No.10,2012(80) baba図1a,b代表症例1:70歳,女性(症例⑤)術前には強い実質浮腫を認め(a),前眼部OCTでも角膜上皮層と実質の間に巨大blebを認めた(b).ab図2a,b図1の症例の術後2カ月目の所見再生された上皮表層に微細なフルオレセイン染色の不整パターンを認めるが,上皮欠損は認められない(a).角膜OCTでは実質表層の浮腫の軽減と平坦化により安定した上皮層が観察される(b).ab図3a,b代表症例2:66歳,男性(症例⑥)術前角膜厚は986μmと非常に強い浮腫を認めた(a).OCTでも膨化した角膜浮腫と実質表層の混濁を認め,上皮層の接着不良を認める(b).(81)あたらしい眼科Vol.29,No.10,20121397 aa01234567891112131516171922242840術後月数(M)cb図4a,b,c図3の症例の術後3カ月目の所見角膜浮腫が軽減し,異物感による充血も鎮静化している(a).フルオレセイン染色では小さな不整は認める(b)が,上皮は安定しており,OCTでも角膜実質厚は減少し,角膜上皮層と実質間のbullaも消失している(c).PTK切除量:平成22年7月下旬,240μmを切除量としてPTKを施行した.術後経過:術後一過性に切除部分の周辺角膜の浮腫を認めたが,約1週間で速やかに上皮修復を得た.術後3週間目にDSCLを外したが,その後も最終観察日までの16カ月間,上皮欠損および疼痛を訴えない.術後3カ月の時点での細隙角膜厚(μm)1,4001,2001,0008006004002000灯顕微鏡所見では浮腫を認めるものの,術前より軽度であり,フルオレセイン染色でも上皮接着不全を示唆するblebは存在せず,上皮が均一である(図4a,b).また,OCTにても角膜厚が減少し,上皮細胞と基底膜にわずかな間隙は認めるものの,安定化している(図4c).その後も上皮は安定し,角膜厚は術後3カ月で800μm,術後17カ月で856μmであった.[臨床経過]PTK施行後約1週間以内(術後4.7日,平均4.5日)で全例上皮欠損は修復し,上皮修復の期間は疼痛を訴えたものはなかった.平均18.9(±15.5)日で1例を除いて,全例DSCLを外すことが可能となり,術後感染症などの合併症は認められなかった.:症例①:症例②:症例③:症例④:症例⑤:症例⑥:症例⑦:症例⑧図5全症例の角膜厚の経時的変化1398あたらしい眼科Vol.29,No.10,2012(82) 術前には,全例で上皮.離予防のためにDSCLのほぼ連続的な装用が必要であったが,PTK施行後平均観察期間19.6(±6.8)カ月において,1症例を除いて全例で上皮の安定化を継続して得ることができ,DSCLの離脱が図れた.OCTにおいても,実質表層の浮腫の軽減と実質表層の平坦化による上皮の安定が観察できた.角膜厚の経時的変化は図5に示したとおり,PTK後,角膜厚が安定している症例と,徐々に増加傾向を示す症例があった.術前角膜厚以上に増加した症例が2例,ほぼ同等となった症例が1例,術前角膜厚以下の保たれた症例が5例であった.DSCL離脱が困難であった症例④では8カ月目にDSCLを中止した後,上皮欠損の再発と治癒を繰り返したが,家族の希望もありPTKの追加および羊膜移植は施行せず,その都度,眼帯にて経過観察している.III考按水疱性角膜症における治療目的は,視力改善とともに疼痛コントロールが重きを占める.特に視力回復の見込みのない場合,コンタクトレンズや羊膜移植以外に,患者に負担の少なく,それでいて快適に日常生活を送れる治療が望まれる.水疱性角膜症の疼痛改善におけるPTKに関して,その効果,安全性,および長期経過が今回の検討課題であった.まず,効果に関して,今回は既報と同じく水疱性角膜症に対してPTKを施行した8眼中7眼において,疼痛解消およびDSCLの離脱という目標を達することができた.術後経過観察期間19.6カ月において,角膜厚は増加傾向にある症例も認めたが,疼痛解除の状態を維持することができ,臨床的に有用な手段であると考える.当初,懸念していた遷延性上皮欠損は認められず,全例で一旦は速やかな上皮修復を得られたこと,さらに感染症などの合併症を認めなかったことから,安全性についても問題ないと考えられた.水疱性角膜症に対しては,PTK以外に,羊膜移植が有効であることが2003年頃より報告されている4).PTK単独と羊膜移植単独はいずれも有効で,両者に有意差を認めなかったという報告9)や,羊膜移植とPTKの併用が有用との報告もある10).羊膜移植とanteriorstromalpunctureとの併用を推奨する報告もある11,12).しかし,羊膜移植は羊膜の入手や手術手技の問題,さらに術後感染の問題もつきまとう.一方,anteriorstromalpunctureについては過度の上皮下fibrosisを生じることが懸念される13).症例にもよるが,第一選択としては,できるだけ簡便な術式で再現性のよいものが推奨される.したがって,単独でまず行う方法としては,PTKが第一選択として試みてよい方法ではないかと思われた.水疱性角膜症に対するPTKの奏効機序としてはいくつかの考察がなされている5.7).1)extracellularmatrix産生上昇による上皮接着能亢進,2)上皮下のfibrosisあるいは高度浮腫組織除去による実質平坦化,3)角膜内mucopolysaccharide絶対量の減少による実質浸透圧低下に起因するhydrationの向上,4)上皮下神経叢の切除による疼痛軽減である.おそらくこれらの機序のすべてが関与して奏効すると思われる.実際,術後の前眼部OCT検査においても,残存実質の組織は術前の浮腫を示唆する疎な所見から術後には密な状態になっており,実質表層の組織が上皮伸展の土台として改善したことが示された.術後視力がわずかながら向上し,自覚的にも見やすくなったと答えた患者が存在したこと,細隙灯顕微鏡所見でも透明性が向上した症例があったことから,全体の角膜厚の低下によるhydrationの向上が示唆された.術後は全例でまったく疼痛を訴えることがなく,さらに上皮欠損が再発した症例でも,上皮欠損再発時には疼痛を訴えなかったことから,神経叢切除による機序も関与していると思われた.角膜切除深度に関しては,既報を参考に設定した.しかし,浮腫を生じて増加した角膜厚であるため,角膜厚に関する術後炎症の影響が推測できず,過多な切除を避けなければならないと考え,最低400μmは残存するように心がけた.術前のOCT画像ではほぼ全例で角膜浅部に比して深部の実質は,より浮腫が少ない傾向にあった.したがって,できるだけ浮腫の少ない実質表面が確保できる切除深度と術後角膜強度保持のための角膜厚保存の両面を考慮して,症例により切除深度を決定する必要があると考えられた.エキシマレーザーの設定も今回使用した機器では200μmが1回の施術で可能な最大切除深度であったが,より深い切除深度のPTKが有用であったと報告されているように8),症例によっては経過をみながら追加照射を施行することも考慮すべきかもしれない.今回,上皮欠損が再発した1例については,本人,家族の希望により,眼帯にて経過観察することとなったが,追加照射や羊膜移植が有効であったかもしれない.術後角膜厚の推移については,図5に示すように,症例によって差があった.角膜厚減少が乏しかった3例はいずれも術前角膜厚が650μm以上と角膜の浮腫が著明であったと考えられる症例であり,切除前の角膜厚が高度な症例ほど,術後増加しやすい傾向にあった.1年以上の長期経過を観察できた症例では,術後1年以内の角膜厚の変動に比べ1年目以降では比較的安定して推移していた.PTK後に上皮欠損が再発した症例の術前角膜厚は624μmであり,今回の対象症例のなかでは,中程度に位置する値であった.したがって,術前角膜厚のみに術後経過が規定されるのではなく,原疾患や水疱性角膜症を発症してからの期間にも影響されると思われた.さらなる症例の蓄積により,角膜厚が一定以上の水疱性角膜症には,PTKに加えてさらに羊膜移植の必要があるという基準が設定できるかもしれない.(83)あたらしい眼科Vol.29,No.10,20121399 長期予後,症例ごとの適切な切除深度が今後の検討課題であるが,視力予後不良の水疱性角膜症に対するPTKは安全,簡便な手技であり,疼痛改善,DSCL離脱の面から非常に有用であり,まず試みてよい方法と考えられた.文献1)AltiparmakUE,OfluY,YildizEHetal:Prospectivecomparisonoftwosuturingtechniquesofamnioticmembranetransplantationforsymptomaticbullouskeratopathy.AmJOphthalmol147:442-446,20092)ChawlaB,TandonR:Suturelessamnioticmembranefixationwithfibringlueinsymptomaticbullouskeratopathywithpoorvisualpotential.EurJOphthalmol18:9981001,20083)SrinivasS,MavrikakisE,JenkinsC:Amnioticmembranetransplantationforpainfulbullouskeratopathy.EurJOphthalmol17:7-10,20074)EspanaEM,GrueterichM,SandovalHetal:Amnioticmembranetransplantationforbullouskeratopathyineyeswithpoorvisualpotential.JCataractRefractSurg29:279-284,20035)ThomannU,Meier-GibbonsF,SchipperI:Phototherapeutickeratectomyforbullouskeratopathy.BrJOphthalmol79:335-338,19956)ThomannU,NissenU,SchipperI:Successfulphototherapeutickeratectomyforrecurrenterosionsinbullouskeratopathy.JRefractSurg12:S290-292,19967)LinPY,WuCC,LeeSM:Combinedphototherapeutickeratectomyandtherapeuticcontactlensforrecurrenterosionsinbullouskeratopathy.BrJOphthalmol85:908911,20018)MainiR,SullivanL,SnibsonGRetal:Acomparisonofdifferentdepthablationsinthetreatmentofpainfulbullouskeratopathywithphototherapeutickeratectomy.BrJOphthalmol85:912-915,20019)ChawlaB,SharmaN,TandonRetal:Comparativeevaluationofphototherapeutickeratectomyandamnioticmembranetransplantationformanagementofsymptomaticchronicbullouskeratopathy.Cornea29:976-979,201010)VyasS,RathiV:Combinedphototherapeutickeratectomyandamnioticmembranegraftsforsymptomaticbullouskeratopathy.Cornea28:1028-1031,200911)GregoryME,Spinteri-CornishK,HegartyBetal:Combinedamnioticmembranetransplantandanteriorstromalpunctureinpainfulbullouskeratopathy:clinicaloutcomeandconfocalmicroscopy.CanJOphthalmol46:169-174,201112)SonmezB,KimBT,AldaveAJ:Amnioticmembranetransplantationwithanteriorstromalmicropuncturefortreatmentofpainfulbullouskeratopathyineyeswithpoorvisualpotential.Cornea26:227-229,200713)FernandesM,MorekerMR,ShahSGetal:Exaggeratedsubepithelialfibrosisafteranteriorstromalpuncturepresentingasamembrane.Cornea30:660-663,2011***1400あたらしい眼科Vol.29,No.10,2012(84)

フーリエ変換波面パターン作製を用いたWavefront-guided LASIKの臨床効果

2009年5月31日 日曜日

———————————————————————-Page1(125)7050910-1810/09/\100/頁/JCLSあたらしい眼科26(5):705708,2009cはじめにレーザー屈折矯正手術の臨床成績の向上は,laserinsitukeratomileusis(LASIK)の技術的な進歩による寄与が大きい.球面度数と円柱度数と矯正するconventionalLASIK(C-LASIK)に加えて,レーザー照射時の眼球運動を追尾するトラッキング機能,さらに,患者眼がもっている収差を〔別刷請求先〕宮田和典:〒885-0051都城市蔵原町6-3宮田眼科病院Reprintrequests:KazunoriMiyata,M.D.,MiyataEyeHospital,6-3Kurahara-cho,Miyakonojo,Miyazaki885-0051,JAPANフーリエ変換波面パターン作製を用いたWavefront-guidedLASIKの臨床効果宮田和典*1加賀谷文絵*1子島良平*1宮井尊史*1尾方美由紀*1南慶一郎*1天野史郎*2*1宮田眼科病院*2東京大学大学院医学系研究科眼科学ClinicalOutcomesofWavefront-guidedLASIKUsingFourierTransformAblationPatternReconstructionKazunoriMiyata1),FumieKagaya1),RyoheiNejima1),TakeshiMiyai1),MiyukiOgata1),KeiichiroMinami1)andShiroAmano2)1)MiyataEyeHospital,2)DepartmentofOphthalmology,GraduateSchoolofMedicine,TheUniversityofTokyo目的:フーリエ変換を使ったwavefront-guidedlaserinsitukeratomileusis(WF-LASIK)の視機能に対する効果を従来のconventionalLASIK(C-LASIK)と比べて,後向きに検討した.方法:C-LASIKを行った16例32眼(C群)とWF-LASIKを行った22例44眼(W群)の術後1,3,6カ月時の裸眼視力,屈折誤差,波面収差,コントラスト感度を比較検討した.波面収差は,6mm径全屈折における3次,4次,全高次のRMS(rootmeansquare)値を評価した.コントラスト感度は,縞コントラスト感度(CSV-1000,VectorVision)から求めたAULCSF(areaunderlogcontrastsensitivityfunction)と文字コントラスト(CSV-1000LC,VectorVision)で評価した.結果:裸眼視力,屈折誤差には両群間で差はなかった.収差は,術後全期間で3次,4次,全高次ともW群が有意に減少した(p<0.001).コントラスト感度は,AULCSFが術後3カ月でW群が有意に向上し(p=0.037),文字コントラストでも術後全期間で有意に良かった(p<0.05).結論:フーリエ変換を使ったWF-LASIKは,C-LAIKに比べて惹起高次収差を有意に低減し,より高いコントラスト感度が得られると考えられた.Weretrospectivelyexaminedtheimprovementinvisualfunctionbetweenwavefront-guidedlaserinsituker-atomileusis(WF-LASIK)usingFourierpatternreconstructionandconventionalLASIK(C-LASIK).In32eyesof16patientswhounderwentC-LASIKand44eyesof22patientswhounderwentWF-LASIK,wemeasureduncor-rectedvisualacuity(UCVA),refractionerror,wavefrontaberration(3rd,4thandhigherorders),andcontrastsen-sitivityat1,3,and6monthspostoperatively.Contrastsensitivityincludedareaunderlogcontrastsensitivityfunc-tion(AULCSF)ofCSV-1000(VectorVision)dataandlettercontrastsensitivityofCSV-1000LC(VectorVision).TherewasnodierenceinUCVAbutwavefrontaberrationinWF-LASIKwassignicantlylowertheninC-LASIK.TherewassignicantdierenceinAULCSFat3monthandlettercontrastforallpostoperativeperiods.WF-LASIKusingFourierpatternreconstructionsignicantlyreducedresidualhigh-orderaberrationandprovidedhighercontrastsensitivitythandidC-LASIK.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)26(5):705708,2009〕Keywords:laserinsitukeratomileusis(LASIK),wavefront-guided,波面収差,コントラスト感度,エキシマレーザー.laserinsitukeratomileusis(LASIK),wavefront-guided,wavefrontaberration,contrastsensitivity,excimerlaser.———————————————————————-Page2706あたらしい眼科Vol.26,No.5,2009(126)Hartmann-Shackセンサーで測定し,矯正後の全収差を最小になるように矯正を行うwavefront-guidedLASIK(WF-LASIK)が開発され,広く臨床使用されている1).このWF-LASIKは,不正乱視症例への治療が可能となるだけでなく,C-LASIKでみられた高次収差の増加とコントラスト感度の低下2,3)の抑制も期待されている.波面収差データからカスタムメードの照射パターンを作製する処理においても,従来はZernike多項式に基づいて行われていたが,フーリエ変換を用いた方法が開発された4).汎用性が高いフーリエ変換を用いることで,精巧な照射パターン作製が可能となった5).これらの高度な技術が導入され,それによって臨床結果が向上すると期待できるが,実際に臨床結果を評価した報告は少ない6,7).本論文では,フーリエ変換を使ったWF-LASIKの臨床的な効果を従来のC-LASIKと比べて,後向きに検討した.I対象および方法対象は,2005年6月から2007年11月まで宮田眼科病院にてC-LASIKを行った16例32眼(C群)と,2007年5月から2008年1月までフーリエ変換アルゴリズムで照射パターンを作製しWF-LASIKを行った22例44眼(W群)である.両群の年齢,術前の屈折値,暗所瞳孔径は表1のとおりで,両群間に有意差はなかった.C群は術前の自覚屈折度数から正視狙いで矯正度数を決定し,W群は術前に波面収差をHartmenn-ShackセンサーWaveScan(AMO)で測定し,照射パターンを作製した.両群とも,マイクロケラトームMK-2000(ニデック)にて9mm径の吸引リング,160μmヘッドを用いて角膜フラップを作製した.エキシマレーザーVISXエキシマレーザーS4またはS4IR用いて,眼球トラッキング下で,opticalzone6mm径,transitionzone8mm径で照射を行った.レーザー切除量は,C群は56.4±19.6μm,W群は73.1±21.7μmとW群が有意に大きかった(p<0.01).術前,1週間,1,3,6カ月時に測定した,裸眼視力,自覚屈折誤差,波面収差,コントラスト感度を後向きに検討した.波面収差は,Hartmenn-Shackセンサーを有する波面収差センサーKR-9000PW(トプコン)で測定し,光学径6mmの全屈折における,球面様(Zernike4次),コマ様(Zernike3次),全高次収差のRMS(rootmeansquare)値を評価した8).コントラスト感度は,CSV-1000(VectorVision)で縞コントラスト感度を測定し,AULCSF(areaunderlogcontrastsensitivityfunction)を求めた.さらに,CSV-1000LV(VectorVision)で文字コントラスト測定し,正しく読解された文字数で評価した8).統計処理は,群間に対しては対応のないt検定,または,Mann-Whitney検定を行い,p<0.05を有意差ありとした.波面収差の群内の変化に対しては,Steel-Dwass多重検定を行った.結果は,平均±SDで表記した.II結果裸眼視力(図1)は,C群では術前平均0.05が術後1週間で1.54と回復し,6カ月まで安定していた.W群も同様に術前平均0.07が術後1週間1.60,6カ月時1.55と回復した.両群間では,術後1カ月のみW群が有意に大きかった(p=0.018,Mann-Whitney検定)が,それ以外では差がなかった.術後の屈折誤差は,C群では術後1週間で0.09±0.24で6カ月(0.25±0.38)まで安定していた.W群も同様に術後1週間(0.16±0.27)から6カ月(0.22±0.34)と安定していた.両群の間に有意な差はなかった.光学径6mmの全屈折の収差を図3に示す.3次のコマ様収差(図2a)は,両群とも術後に有意に増加したが,術後においてC群(1カ月時平均0.52μm)はW群(同0.33μm)に比べて有意に大きくなった.4次の球面様収差(図2b)も,両群とも術後に有意に増加したが,W群(1カ月時平均0.26μm)はC群(同0.48μm)に比べて有意に少なかった.全高次収差(図2c)は,両群とも術後に有意に増加したが,W群はC群に比べてその増加は有意に少なかった.両群とも術後1カ月から6カ月の間,各収差の値は有意な変動はなく,安定していた.縞コントラスト感度から求めたAULCSF(図3)は,術後3カ月でW群が有意に良くなっていた(p=0.037,t検定)が,術後1,6カ月で群間に差はなかった.各時の縞コントラスト(図4)では,術後1カ月では空間周波数6cpdのみW群が有意に良かった.3カ月後は,空間周波数6,12,18cpdでW群が有意に良くなった.6カ月後は群間のコント表1両群の年齢,術前の屈折値,暗所瞳孔径の術群群年齢±7.728.1±6.9矯正屈折量(D)5.5±1.94.7±1.7暗所瞳孔径(mm)5.2±0.65.3±0.82.01.51.00.50.0p<0.001:C-LASIK:WF-LASIK術前1週1カ月3カ月6カ月裸眼視力図1術前,術後1,3,6カ月の裸眼視力術後1カ月でW群が有意に良くなった(p<0.001,Mann-Whitney検定).———————————————————————-Page3あたらしい眼科Vol.26,No.5,2009707(127)ラスト感度の差は小さくなり,有意差はなくなった.文字コントラストは,術後全期間でW群が有意に大きくなった(図5).III考按WF-LASIKは,C-LASIKに比べて裸眼視力,屈折誤差に差はなく,高次波面収差(3次,4次,全高次)とコントラスト感度の向上がみられた.視力の改善という点では両LASIKは同等であった.WF-LASIKは,LASIK手術で惹起する高次収差がC-LASIKより少なく,その結果コントラスト感度が上がり2),視機能が改善することが確認された.しかし,WF-LASIKによる高次収差の抑制は全高次収差で0.3μm(RMS)程度で,コントラスト感度への寄与はそれほど多くなく,縞コントラスト感度検査では顕著にはみられなかった.明所に加えて,瞳孔径が大きくなる暗所での検討も必要と思われる.コントラスト感度向上の効果は,文字コントラストでは安定していたが,縞コントラスト感度は術後3カ月から6カ月(図4)で効果は小さくなっている.LASIK術後長期では,中心角膜厚の増加にみられる角膜のゆっくりした変化9)などにより,WF-LASIKの効果が減少する可能性が考えられる.C-LASIKは,フラップを作製しないPRK(photorefrac-tivekeratectomy)に比べて高次収差が増加する10).これは,角膜フラップの作製と照射による収差増加と考えられる7).1.00.80.60.40.20.0:C-LASIK:WF-LASIK:C-LASIK:WF-LASIK術前1カ月3カ月6カ月収差RMS(μm)a.全屈折6mm径コマ様収差1.00.80.60.40.20.0:C-LASIK:WF-LASIK術前1カ月3カ月6カ月収差RMS(?m)♯♯♯♯♯♯†††b.全屈折6mm径球面様収差1.21.00.80.60.40.20.0術前1カ月3カ月6カ月収差RMS(?m)c.全屈折6mm径全高次収差図2光学径6mmの全屈折収差(RMS)の変化a:3次のコマ様収差,b:4次の球面様収差,c:全高次収差.†:p<0.001群間のt検定.#:p<0.05群内でのSteel-Dwass多重比較.2.52.01.51.0p=0.024p=0.037:C-LASIK:WF-LASIK術前1カ月3カ月6カ月AULCSF図3AULCSFの変化術後3カ月のみでW群が有意に向上(t検定).2.52.01.51.00.50.02.52.01.51.00.50.02.52.01.51.00.50.02.52.01.51.00.50.0:C-LASIK:WF-LASIK3cpd6cpd12cpd18cpd3cpd6cpd12cpd18cpd3cpd6cpd12cpd対数コントラスト対数コントラスト対数コントラスト対数コントラスト18cpd3cpd6cpd12cpd18cpd術前コントラスト術後1カ月コントラスト術後3カ月コントラスト術後6カ月コントラストp=0.045p=0.011p=0.002p=0.002p=0.047図4術前,術後1,3,6カ月時の縞コントラスト感度p値はt検定で有意差ありの場合のみ表示.2524232221201918p=0.011p=0.007p<0.001:C-LASIK:WF-LASIK術前1カ月3カ月6カ月文字コントラスト(文字数)図5文字コントラスト感度の変化p値はt検定で有意差ありの場合のみ表示.———————————————————————-Page4708あたらしい眼科Vol.26,No.5,2009(128)Pallikarisらの報告11)では,鼻側角膜フラップ作製によって高次収差(6mm径)は術前RMS値0.344±0.125μmから作製後0.440±0.221μmに増加し,球面収差(Z40)とヒンジ軸に沿ったコマ収差(Z31)が変化した.WF-LASIKにおける術後1カ月の高次収差は0.46±0.12μmであり,フラップ作製後の高次収差とほとんど同じであった.このことから,フーリエ変換を使ったWF-LASIKでは,照射による高次収差の増加は良好に減少していると考えられた.フーリエ変換を用いたWF-LASIKの高次収差を抑制する効果をより詳細に調べるため,術後1カ月時の6mm径波面収差のZernike係数をC-LASIKと比較した(表2).コマ収差のZ31,球面収差Z40,さらに,6次高次収差のZ60,Z62が両群間で有意に減少した.従来のZernikeに基づくWF-LASIKでも,ZernikeのZ31とZ40(球面収差)は減少できると考えられる4)が,Z60,Z62のより高次収差の減少は詳細な照射パターンが可能なフーリエ変換も用いた照射によると考えられた.高次収差が減少するとコントラスト感度は良くなることが知られている2)が,両群において,術前後で高次収差もコントラスト感度は増加している.コントラスト感度検査時には,最良矯正とするために矯正レンズが加入される.加入された度数をW群の術前と術後1カ月で比較してみると,術前は,球面4.29±1.80D,円柱0.87±0.71Dであったが,術後1カ月で球面0.13±0.21D,円柱0.07±0.27Dと顕著に減少した(p<0.001,t検定).加入度数が大きくなると,矯正レンズのステップ(球面0.25D,円柱0.5Dごと)による矯正誤差に加えて,加入した球面,円柱レンズによる収差(球面収差など)が増加する影響により,術前のコントラスト感度が過少測定されと考えられる.文献1)宮田和典,宮井尊史:Wavefront-guidedLASIK.IOL&RS19:150-153,20052)OshikaT,MiyataK,TokunagaTetal:Higherorderwavefrontaberrationsofcorneaandmagnitudeofrefrac-tivecorrectioninlaserinsitukeratomileusis.Ophthalmol-ogy109:1154-1158,20023)YamaneN,MiyataK,SamejimaTetal:Ocularhigher-orderaberrationsandcontrastsensitivityafterconven-tionallaserinsitukeratomileusis.InvestOphthalmolVisSci45:3986-3990,20044)DaiG:ComparisonofwavefrontreconstructionswithZernikepolynomialsandFouriertransforms.JRefractSurg22:943-948,20065)南慶一郎,宮田和典:レーザー照射としてのゼルニケvsフーリエ.IOL&RS21:223-226,20076)VongthongsriA,PhusitphoykaiN,NaripthapanP:Com-parisonofwavefront-guidedcustomizedablationvs.con-ventionalablationinlaserinsitukeratomileusis.JRefractSurg18:332-335,20027)AizawaD,ShimizuK,KomatsuMetal:Clinicalout-comesofwavefront-guidedlaserinsitukeratomileusis:6-monthfollow-up.JCataractRefractSurg29:1507-1513,20038)HiraokaT,OkamotoC,IshiiYetal:Contrastsensitivityfunctionandocularhigh-orderaberrationsfollowingover-nightorthokeratology.InvestOphthalmolVisSci48:550-556,20079)MiyaiT,MiyataK,NejimaRetal:Comparisonoflaserinsitukeratomileusisandphotorefractivekeratectomyresults:long-termfollow-up.JCataractRefractSurg34:1527-1531,200810)OshikaT,KlyceS,ApplegateRetal:Comparisonofcor-nealwavefrontaberrationsafterphotorefractivekeratec-tomyandlaserinsitukeratomileusis.AmJOphthalmol127:1-7,199911)PallikarisI,KymionisG,PanagopoulouSetal:Inducedopticalaberrationsfollowingformationofalaserinsitukeratomileusisap.JCataractRefractSurg28:1737-1741,2002表2術後1カ月のZernike係数Zernike係数C群W群p値(t検定)Z330.062±0.1860.047±0.1310.708Z310.344±0.2820.122±0.190<0.001Z310.039±0.2740.021±0.2000.759Z330.018±0.1530.047±0.1090.371Z440.006±0.0620.012±0.0550.640Z420.019±0.0560.005±0.0540.280Z400.395±0.1770.193±0.118<0.001Z420.106±0.1550.045±0.0800.052Z440.024±0.0860.039±0.0600.429Z550.004±0.0390.005±0.0450.897Z530.005±0.0430.002±0.0360.473Z510.001±0.0560.011±0.0510.469Z510.001±0.0490.004±0.0470.805Z530.002±0.0300.003±0.0390.882Z550.012±0.0510.007±0.0430.641Z660.004±0.0390.000±0.0270.660Z640.001±0.0200.002±0.0180.491Z620.000±0.0270.002±0.0200.692Z600.075±0.0650.043±0.0540.033Z620.023±0.0480.000±0.0310.029Z640.007±0.0340.001±0.0200.379Z660.005±0.0580.003±0.0340.846