‘ピギーバック’ タグのついている投稿

白内障術後の屈折誤差に対しSecondary Piggyback 法で スリーピース眼内レンズを追加挿入した症例

2023年12月31日 日曜日

《原著》あたらしい眼科40(12):1594.1597,2023c白内障術後の屈折誤差に対しSecondaryPiggyback法でスリーピース眼内レンズを追加挿入した症例黄野雅惠*1渡邉佳子*1岡田浩幸*1立石守*1大西純司*1水木信久*2*1国際親善総合病院眼科*2横浜市立大学眼科CACaseofThree-PieceIntraocularLensImplantationwithSecondaryPiggybackforCorrectingRefractiveErrorafterCataractSurgeryMasaeKouno1),YoshikoWatanabe1),HiroyukiOkada1),MamoruTateishi1),JunjiOnishi1)andNobuhisaMizuki2)CDepartmentofOpthalmology,FujisawashounanndaiHospital.DepartmentofOpthalmology,KokusaishizenHospital.DepartmentofOpthalmology,YokohamaCityUniversityHoslpitalC緒言:2枚の眼内レンズを重ねて挿入する術式を総称してCpiggyback法とよんでいる.白内障術後の屈折誤差を補正するために新たな眼内レンズ(intraocularlens:IOL)を追加挿入するのがCsecondarypiggyback法である.症例:81歳,女性.左眼視力CVS=0.7(1.0×+1.00),眼軸長C21.28Cmmの白内障を認めた.白内障手術目的に当院紹介受診した.超音波乳化吸引術およびワンピース眼内レンズ(IOL+18.5D).内固定を施行した.術C2日後CVS=0.3×IOL(0.6+5.50(cyl.1.75DAx20°)と残余屈折異常を認め,レンズの誤挿入が発覚した.術C9日後,piggybackIOL度数=(必要度数)×1.5を用いて眼内レンズ(IOL+7.0D)を.外に追加挿入した.術C11日後,VS=0.2×IOL(0.3×.0.50)と軽度の近視化を認めたが,術C8カ月後にはCVS=1.2×IOL(id+0.75(cyl.0.75DAx85°)と良好な結果を得た.結論:レンズ誤挿入による白内障術後の屈折誤差に対してスリーピースCIOLを用いたCsecondarypiggyback法が有効であった.CPurpose:Thesurgicaltechniqueofinsertingtwointraocularlenses(IOLs)intotheeyeistermed“piggyback”CIOLimplantation.HereinwereportacaseofsecondarypiggybackIOLimplantationforcorrectingrefractiveerror(RE)followingCcataractCsurgery.CCasereport:AnC81-year-oldCfemaleCwithCaCvisualacuity(VA)ofCVS=0.7(1.0xsph+1.00)andCaxialClengthCofC21.28CmmCinCherCleftCeyeCwasCreferredCtoCourChospitalCtoCundergoingCcataractCsurgery.CForCtreatment,Cphacoemulsi.cationCaspirationCandCimplantationCofCaCone-pieceIOL(+18.5D)wasCper-formed.CAtC2-daysCpostoperative,CherCVACwasCVS=0.3xIOL(0.6Cxsph+5.50=cyl.1.75Ax20°)andCRECwasCobserved,CthusCindicatingCtheCIOLCwasCmalpositioned.CAtC9-daysCpostoperative,CweCperformedCimplantationCofCaCthree-pieceIOL(+7.0D)outofbagwithpiggybackIOLpower=(neededpower)x1.5.At11-dayspostoperative,mildCmyopiaCandCaCVACofCVS=0.2xIOL(0.3xsphC.0.50)wasCobserved.CHowever,CatC8-monthsCpostoperative,CaCgoodCVACofCVS=1.2xIOL(id+0.75=cyl.0.75Ax85°)wasCobtained.CConclusions:SecondaryCpiggybackCIOLCimplantationwithathree-pieceIOLise.ectiveforcorrectingREaftercataractsurgery.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)40(12):1594.1597,C2023〕Keywords:ピギーバック,短眼軸長眼,術後残余屈折異常.piggyback,extremelyshorteyes,refractiveaftercataractsurgery.Cはじめにる.このような症例に対してC2枚のCIOLを重ねて挿入する超短眼軸長眼および強度遠視に対する白内障手術の際に,ことが必要な場合がある.このようにCIOLをC2枚以上挿入1枚だけの眼内レンズ(intraocularlens:IOL)では屈折矯する手技をCpiggyback法とよぶ.piggybackとは肩車を表正が不十分となり術後に残余屈折異常が残存する場合があす英単語である.眼科領域ではレンズ上にレンズをのせると〔別刷請求先〕黄野雅惠:〒224-0802神奈川県藤沢市高倉C2345藤沢湘南台病院眼科Reprintrequests:MasaeKouno,M.D.,DepartmentofOpthalmology,FujisawashounanndaiHospital,2345Takakura,Fujisawa,Kanagawa224-0082,JAPANC1594(90)図1Secondarypiggyback前の前眼部写真虹彩萎縮と角膜はCDescemet膜皺襞を伴っている.いう意味で用いられている.初回の手術でC2枚のCIOLを挿入するのがCprimaryCpiggyback法である.1993年にGaytonらによって初めて報告された1).また,白内障手術後の残余屈折異常がある症例に対し,屈折誤差を補正する目的で追加のCIOLを追加して挿入するCpiggyback法をCsecond-arypiggyback法とよぶ2).今回筆者らは誤ったレンズを挿入したことによる白内障術後の屈折誤差に対しCsecondarypiggyback法でスリーピース眼内レンズを追加挿入し修正し良好な視力を得た症例を経験したので報告する.CI症例患者:81歳,女性.主訴:両眼の霧視.現病歴および経過:2018年C10月初旬,両眼の霧視と視力低下を自覚し前医受診した.両白内障による視力低下を認め白内障手術目的に当院紹介受診した.当院初診時,視力は右眼C0.7(1.0×sph+1.50),左眼C0.7(1.0×+1.00),眼軸長は右眼C21.39Cmm,左眼C21.28Cmmであった.白内障は両眼ともにCgrade2であり,眼底はドルーゼンを認めるのみであった.2019年C1月初旬,左眼の超音波乳化吸引術および眼内レンズ挿入術(上方強角膜切開,ワンピースCIOL)を施行した.IOL度数は当院で取り扱っているCSRK/T式を用いて算出し,A定数C119.1ALCONCUltrasert+26.5D(目標屈折値.0.33)を挿入予定も,A定数C119.2HOYAisertXY1+18.5Dを誤挿入してしまった.術中はCZinn小帯と虹彩が脆弱であり創口から虹彩が脱出した.IOLは.内に固定した.術翌日,左眼視力C0.3×IOL(0.6×sph+5.50(cyl.1.75DAx20°)と高度の遠視化を認めた.IOLは正位で.内固定良好,角膜はCDescemet膜皺襞を伴っていた(図1).眼底は正図2Secondarypiggyback後の超音波画像2枚の眼内レンズ(..で示す高エコー領域)が挿入されていることが確認された.ビューフォーム(第C7版)常であった.この時点で初回手術のレンズ誤挿入が発覚した.誤挿入の理由として,順番の変更が直前に行われたこと,それに気づかず変更前の順番でCIOLが準備されていたこと,IOL挿入前にCIOLマスター表で氏名の確認が不十分であったことが考えられた.患者本人,家族に上記を説明したうえで,後日修正手術を行う方針となった.術C6日後,角膜CDes-cemet膜皺襞は改善されたが,左眼視力はC0.09×IOL(1.0+4.75(cyl.0.75DAx30°)と高度の遠視化が残存していた.術C9日後,角膜の状態が正常化したため,.外(毛様溝)に追加挿入する再手術を施行した.挿入レンズはCpiggybackIOL度数=(必要度数)×1.53)=4.75×1.5=7.125より,「スリーピースCIOL:PN6AS+7.00D(AvanseeKOWA)」を選択した.再手術翌日の左眼視力はC0.2×IOL(0.3×sph.0.50)と軽度の近視化を認めた.前眼部はCcell+,.brin+,.are.であった.超音波検査(Bモード)ではCIOLがC2枚挿入されているのが確認された(図2).再手術C2日後の左眼視力はC0.4C×IOL(0.5×cyl.1.50DAx30°)であった.再手術14日後の左眼視力はC0.4×IOL(0.9×cyl.1.75DAx35°)とレフラクトメータでは円柱度数は完全に矯正された.自覚症状も改善された.再手術C2カ月後,左眼視力C0.9×IOL(1.2×sph+0.75(cyl.1.00DAx50°)であり,日常生活を不自由なく過ごせる程度まで回復した.再手術C8カ月後の左眼視力はC1.2C×IOL(id+0.75(cyl.0.75DAx85°)まで矯正視力良好であり,現在まで大きな術後合併症なく経過している.既往歴:高血圧症,狭心症.家族歴:特記事項なし.手術歴:なし.アレルギー:なし.II考按今回,筆者らは誤挿入による白内障手術後の残余屈折異常に対してCsecondaryCpiggyback法を用いてスリーピースIOLを追加挿入する手段を用いた.白内障手術後に生じた屈折誤差が眼鏡やコンタクトレンズでも十分に矯正できないほど残存する場合,患者の生活に不自由をきたしてしまう恐れがある.そのため術後の度数矯正を補正するため早めに対処を考える必要がある.誤挿入の原因を考案したところ,当院では手術する患者の順番どおりにレンズ表を並べて手術室に持ち込むシステムであるが,直前に患者の順番が変更になったにもかかわらず,レンズ表は順番を変更しないままになってしまった.結果的に,異なる患者のレンズ表であることに気づかず間違った度数のCIOLが挿入されてしまったことが発覚した.本来ならば順番変更の口頭指示があった際に失念しないようにメモを残すべきであった.また,変更があったことに気づくために手術直前に再度CIOLの確認を行い,変更があった場合は全員で情報を共有し,最終確認作業はC2人以上の複数人で行う必要があった.また,手術室に持ち込むレンズ表を入室する患者の順番どおりにまとめる習慣がついていたため,表と患者氏名が合致していると思い込みCIOL挿入前の氏名確認を行う作業が不十分であったことも考えられた.このようなことが起こらないようにするためにできる限りC2人以上で行うべきであるが,やむをえず一人で作業を行う場合は複数回確認を徹底すること,情報の伝達漏れが生じないように日ごろからこまめに連絡や相談,他者と円滑なコミュニケーションを取ることが必要であった.今後医療を安全に提供するためにチーム医療者内で情報の共有や報告,明確な連絡,複数人でのダブルチェック体制を強化することが再発防止に重要であると考えられた.屈折矯正を目的とした外科的な手術の方法として角膜屈折矯正術とCIOLを使用する手術があげられる.IOLを使用する手術の場合,すでに固定されているCIOLを取り出して新たなCIOLを.内に挿入するCIOL交換法と追加のCIOLを.外に挿入するCsecondaryCpiggyback法がある.角膜屈折矯正術はClaserinsitukeratomileusis(LASIK),photorefractivekeratectomy(PRK)などの方法がある.適応条件として角膜疾患がないこと,角膜内皮障害がないことおよび角膜内皮細胞数が極端に減少していないことなど角膜清明であることが前提としてあげられる.また,専門的な分野であり手術可能な施設が限られる.そのため地域格差を考慮するといずれの施設でもできる手術ではないため利便性に乏しい.今回の症例では当院で対応できる範囲内で追加修正手術をする必要があったため選択しなかった.一方でCIOLを使用する手術は白内障手術を施行した同施設で対応できる場合が多い.IOL交換法はすでに固定されているCIOLを取り出して新しいCIOLを.内に挿入するため,結果としてC1枚だけのCIOLが.内に固定されることになる.そのため長期予後として術後の合併症は通常どおりのことが多く安心感が得られる.術後約C1カ月までの早期であればCIOL交換は行いやすい手技とされており,度数ずれの際はまず考えるべき方法の一つとされている.今回の症例では術翌日C9日目の比較的早期の再手術であった.誤挿入が発覚したのが術翌日のためCIOLを交換する方法が多いとされているが,筆者らはCsecondarypiggyback法を選択した.その理由として,secondaryCpig-gyback法はCIOL交換法と比較するとCIOLを追加するだけで侵襲性が少ない手技であることと今回の症例ではCZinn小帯が脆弱であったためである.IOL交換を選択した場合,前房内での操作が多くCZinn小帯が脆弱であるため過度な負担がかかり,IOL摘出時に後.破損やCZinn小帯断裂を生じて.内に新しいCIOLを固定することが困難になると考えられた.後.破損した場合の硝子体脱やCIOLを.内固定できなかった場合のCIOL強膜内固定など追加処置が必要になるとさらに患者の負担がかかると考えた.また,IOL交換する場合,切開創を広げるため角膜内皮減少や角膜乱視の増悪,虹彩脱出や挫滅の危険性もある.医師と患者と医療安全管理課で話し合った結果,侵襲性が低い方法であるCsecondarypig-gyback法を選択するに至った.この方法はすでに.内固定されているCIOLの上に新たなCIOLを.外(毛様溝)に追加挿入するため比較的安全で簡便な手術法である.手術時間も前述の方法よりも短時間であり患者の負担も必要最小限にとどめられ,また,初回手術から時間が経過した時期でも可能である.追加挿入する際の角膜内皮損傷や後.破損,硝子体脱出の合併症を発症する頻度も低いと考えられる.Karjouらは,secondarypiggyback法の適応として,強い屈折異常の場合,レーザー屈折処置を除外する角膜疾患または全身疾患がある場合,またはエキシマレーザープラットフォームが利用できない場合に推奨されると論じている4).どの施設でも取り入れやすい術式のため最近では徐々に普及してきている.追加で挿入するCIOL度数はCHolladayの計算式5)がよく引用されている.本症例はCpiggybackIOL計算式「Piggy-backCIOL=(必要度数)C×1.5」5)を用いて代用した.また,北大路の計算式「目的とする屈折値に必要な眼鏡度数/0.7」6)を用いる場合も多い.筆者らは目標屈折値を正視(+0.00D)とした.術C7日後の左眼視力LV=0.1×IOL(0.9×+4.75(cyl.1.00DAx45°)であったため,「PiggybackIOL=(必要度数)C×1.5」の式の(必要度数)にC4.75を当てはめて追加挿入する眼内レンズを+7Dとして算出した.今回の症例では術後早期は軽度の近視化を認めたものの術後C8カ月時点で+0.75Dで留まった.このことより,secondaryCpiggyback法は度数補正の正確さに長けていると考えられる..外に固定する追加のCIOLはCPN6AS(Avansee)のスリーピースを使用した.AddOnIOLは海外から輸入するため,手術までに時間がかかり,かつ自由診療となる.しかし,PN6ASは多くの施設が汎用されているCIOLであり入手も容易で早期に手術することができる..内にワンピースIOL,.外にスリーピースCIOLを固定することで虹彩刺激症状による色素性緑内障が生じにくいと報告されている7).今回の症例でも虹彩炎,眼圧上昇,色素散乱症候群,瞳孔捕獲などの合併症は確認されていない.ただし,piggybackIOLは.外固定のためCZinn小帯脆弱があると偏位を起こすリスクはあるため慎重に経過観察としている.しかし,secondaryCpiggy-back法のC5週後に色素散乱症候群(pigmentaryCdispersionCsyndrome8),2年後に緑内障が発生した症例9)が報告されており,長期的な経過観察とさらなる検討の必要がある.CIII結論今回筆者らの経験で,スリーピースCIOLを用いたCsecond-arypiggyback法は臨床的に簡便で精査性が高く有用な方法であった.Secondarypiggyback法の報告数が少ないため,今後,IOL変形や偏位,収差,屈折変化,虹彩刺激兆候などの合併症に対して長期にわたるさらなる検討が必要である.最後に追加手術が必要になった際には十分な説明をして患者の満足度を得られるよう努める必要がある.文献1)GaytonCJL,CSandersVN:ImplantingCtwoCposteriorCcham-berintraocularlensesinacaseofmicrophthalmos.JCata-ractRefractSurgC19:776-777,C19932)Habot-WilnerCZ,CSachsCD,CCahaneCMCetal:RefractiveCresultsCwithCsecondaryCpiggybackCimplantationCtoCcorrectCpseudophakicCrefractiveCerrors.CJCCataractCRefractCSurgC31:2101-2103,C20053)GaytonJL:SecondaryCpiggybackCIOLCimplant.COSNCOPHTHALMICHYPERGUIDEDecember27,20054)KarjouZ,JafarinasabMR,Sei.MHetal:Secondarypig-gybackCintraocularClensCforCmanagementCofCresidualCame-tropiaCafterCcataractCsurgery.CJCOphthalmicCVisCResC16:C12-20,C20215)HolladayJT:RefractivepowercalculationsforintraocularlensesCinCtheCphakicCeye.CAmCJCOphthalmolC11:63-66,C19936)宮本康平,谷藤泰寛,武田和夫ほか:二枚重ね後房レンズ法による複数医療機関での白内障術後度数誤差の補正,日本の眼科69:357-359,C19987)飯田嘉彦:1.超短眼軸長眼に対するCIOLCpiggyback.CMBCOCULI33:46-50,C20158)ChangCWH,CWernerCL,CFryCLLCetal:PigmentaryCdisper-sionCsyndromeCwithCaCsecondaryCpiggybackC3-pieceChydrophobicacryliclens.Casereportwithclinicopatholog-icalCcorrelation.CJCCataractCRefractCSurgC33:1106-1109,C20079)KimCSK,CLancianoCRCCJr,CSulewskiME:PupillaryCblockCglaucomaassociatedwithasecondarypiggybackintraocu-larlens.JCataractRefractSurgC33:1813-1814,C2007***

回折型多焦点眼内レンズのピギーバック挿入

2011年4月30日 土曜日

0910-1810/11/\100/頁/JCOPY(121)577《原著》あたらしい眼科28(4):577.581,2011cはじめにわが国において,白内障手術における多焦点眼内レンズ(IOL)挿入術が,2008年に先進医療として承認され,眼科医のみでなく一般の人にも,診療機関,挿入術を受けた家族や知人,メディアを通して多焦点IOLに関する情報が伝わりつつある.この影響で,すでに単焦点IOLが挿入されている症例で,多焦点IOLへの交換を希望する例があり,その場合の対処法として,多焦点IOLへの交換と多焦点機能をもつIOLのピギーバック挿入という2つの選択肢がある.IOL交換は,粘弾性物質を十分に使うことで,IOL摘出時の角膜内皮障害や後.破.の危険性を減らすことができるが,前.および後.癒着の程度,IOL支持部周囲の癒着状況によっては,予想以上にIOL摘出が困難なことがある.もう1つの方法として,単焦点IOLを摘出せずに,多焦点機能をもったIOLを追加挿入するピギーバック法がある.ピギーバック法は,もともと高度遠視例で1枚のIOLでは度数が足りない場合やIOL挿入後の屈折ずれの矯正として用いられてきた1)が,2枚のIOL間に水晶体上皮細胞が増殖する〔別刷請求先〕ビッセン宮島弘子:〒101-0061東京都千代田区三崎町2-9-18東京歯科大学水道橋病院眼科Reprintrequests:HirokoBissen-Miyajima,M.D.,DepartmentofOphthalmology,TokyoDentalCollegeSuidobashiHospital,2-9-18Misaki-cho,Chiyoda-ku,Tokyo101-0061,JAPAN回折型多焦点眼内レンズのピギーバック挿入ビッセン宮島弘子大木伸一野中亮子東京歯科大学水道橋病院眼科PiggybackImplantationofDiffractiveMultifocalIntraocularLensHirokoBissen-Miyajima,ShinichiOkiandRyokoNonakaDepartmentofOphthalmology,TokyoDentalCollegeSuidobashiHospital単焦点眼内レンズ(IOL)挿入後に,東京歯科大水道橋病院眼科にて多焦点IOLへの交換を希望した3例4眼に,ピギーバック用Add-Onレンズ(Diff-sPB:HumanOptics社)を挿入する機会を得たので臨床成績を報告する.本IOL挿入は大学倫理委員会の承認を得,患者に十分な説明をした後に同意を得て行った.症例1は58歳,女性,8年前に近視矯正手術,5年前に左眼白内障手術後,症例2は62歳,女性,1年前に両眼手術を受け片眼のみ交換希望,症例3は73歳,女性,1年前に両眼手術後.3dipoter(D)の近視で両眼交換希望であった.症例1,2は球面度数0D,症例3は両眼に球面度数.6.0DのIOLを毛様溝に挿入した.術後3~12カ月において,前房内炎症,眼圧上昇,IOL間の水晶体上皮細胞増殖はなく,裸眼視力は遠方0.8以上,近方0.6以上と良好であったが,一部コントラスト感度の低下が認められた.遠方,近方の見え方への満足度は高く,眼鏡装用例はなかった.単焦点IOL挿入後に多焦点IOLを希望する場合,症例によって多焦点IOLのピギーバック挿入の選択が可能と思われた.Piggybackimplantationofdiffractivemultifocalintraocularlens(IOL)wasperformedin4eyesof3patientswhohadreceivedmonofocalIOLandwishedtochangetomultifocalIOL.Case1wasa58-year-oldfemalewhohadreceivedamonofocalIOLinherlefteye5yearspreviously;Case2wasa62-year-oldfemalewhohadreceivedmonofocalIOLinbotheyes1yearpreviously,andcase3wasa73-year-oldfemalewhohadreceivedmonofocalIOLinbotheyes1yearpreviously,aimingforpostoperativerefractionof.3.0diopters.AfterpiggybackmultifocalIOLimplantation,noneofthecasesshowedincreasedintraocularpressure,chronicinflammationorinterlenticularopacification.Althoughthepatientsexperiencedaslightdecreaseincontrastsensitivity,theyachieveduncorrecteddistancevisualacuityof≧0.8andnearvisualacuityof≧0.6,andallweresatisfiedwiththeirvisualoutcomes.ThepiggybackIOLcanbeconsideredinpatientswhowishtochangefrommonofocalIOLtomultifocalIOL.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)28(4):577.581,2011〕Keywords:多焦点レンズ,回折,ピギーバック,近方視力,毛様溝固定.multifocallens,diffraction,piggyback,nearvision,sulcusfixation.578あたらしい眼科Vol.28,No.4,2011(122)interlenticularopacification(ILO)が報告され2,3),2枚とも水晶体.内に挿入するのではなく,追加IOLを毛様溝固定する方法が選択されるようになった.近年,ピギーバック用にデザインされたIOLが開発され,高度遠視例のみでなく,単焦点IOLにトーリックや多焦点といった付加機能を追加する目的でも挿入されている4,5).今回,海外で使用されている多焦点機能をもつピギーバック用IOLを3例4眼に挿入する機会を得たので,臨床成績を報告する.I症例症例は3例4眼で,2例は東京歯科大学水道橋病院にて,1例は他医にて単焦点IOLが挿入され,その後,多焦点IOLの情報を得て,IOL交換を希望した.全例,IOLは水晶体.内固定されており,術後経過期間および前後.の癒着状態から,IOLの摘出操作を行わずに,多焦点機能をもつIOLのピギーバック挿入を選択した.ピギーバック用IOL使用したIOLは,ドイツHumanOptics社のAdd-Onレンズ(モデル名Diff-sPB)で,EU加盟国の基準を満たすCE(CommunauteEuropeenne)マークを取得している.しかし,わが国では未承認のため,大学倫理委員会の承認を受け,患者に,未承認IOLであること,海外での臨床成績,起こりうる問題点を十分説明し同意を得て挿入した.IOLの特徴であるが,光学部はシリコーン素材,光学径は虹彩捕獲を予防する目的で7.0mm,有効光学径は6.0mm,前面が球面で中央3.6mmが近方加入度3.5Dの回折デザイン,後面は凹型で,もう1枚のIOLと約0.5mmの距離を保てるようになっている.全長は,毛様溝固定用に14.0mm,支持部の素材はPMMA(ポリメチルメタグリレート)で角度は10°のCループデザインである(図1).球面度数は0D以外に.6.0から+6.0Dの間で0.5D間隔で注文可能である.〔症例1〕58歳,女性.2002年10月に近視矯正目的で当院を受診,視力は右眼0.06(1.5×.5.50D),左眼0.08(1.5×.6.0D(cyl.0.50DAx95°)で,同年12月,両眼にlaserinsitukeratomileusis(LASIK)が施行された.老視年齢のため,術後の遠方視と近方視を考慮し,非優位眼である左眼の術後屈折を.1.5Dとしたモノビジョン設定とし,術後視力は,右眼1.5(矯正不能),左眼0.6(2.0×.1.5D(cyl.0.25DAx105°)と経過良好であった.2004年7月に左眼視力低下を自覚し,視力測定にて0.6(0.8×+0.25D(cyl.1.00DAx105°),細隙灯顕微鏡検査にて皮質白内障を認め,日常生活が不自由になったため,白内障手術を施行した.IOL度数は,LASIK前の角膜曲率半径,およびLASIK前後の屈折値の変化から計算した値を用い,術後屈折値を.0.75Dに設定して計算したアクリル製マルチピース(MA60BM:アルコン社)+20.0Dを水晶体.内固定した.術後視力は0.8(1.0×.0.75D(cyl.1.00DAx120°)に改善したが,2009年6月,後発白内障により視力が0.4(0.7×.0.75D(cyl.0.75DAx100°)に低下したため,YAGレーザー後.切開術を行い,視力は0.8(1.5×.1.0D(cyl.0.50DAx120°)に改善した.YAGレーザー後の経過観察のため来院した際,眼科外来に掲示された多焦点IOLに関する記事を読み,すでに挿入されている単焦点から多焦点IOLへの交換を強く希望した.しかし,YAGレーザー施行後のため,IOL交換による硝子体脱出の危険性を考慮し,多焦点機能をもったピギーバックIOL挿入の可能性について説明し同意が得られたことから手術となった.球面度数補正は,LASIK後のためピギーバックIOL挿入後に必要あれば追加矯正を予定し,球面度数0DのAdd-Onレンズを選択した.手術は点眼麻酔下,角膜耳側3.0mm切開から,前房を粘弾性物質で保ちつつ,IOLを前房内に鑷子で挿入し,両支持部を毛様溝に挿入した.術翌日,遠方視力図1Add.Onレンズ(Diff-sPB)全長14mm,光学径7.0mm,中央3.6mmが回折デザインとなっている.図2Add.Onレンズ挿入後細隙灯顕微鏡写真水晶体.内に単焦点IOL,回折リングは毛様溝に挿入されたピギーバックIOL(Add-Onレンズ)のものである.一見して,回折型多焦点IOLが.内挿入されているかのように見える.(123)あたらしい眼科Vol.28,No.4,20115790.9(1.5×.0.75D(cyl.0.5DAx180°),近方視力0.8(矯正不能),1年の経過観察を終えているが視力に変化なく,近方視力が向上し,非常に満足している.経過観察期間中,細隙灯顕微鏡検査にて,Add-Onレンズの位置は安定しており(図2),前房内炎症,眼圧上昇はなく,2枚のIOL間にILOは認められない.前眼部光干渉断層撮影(VisanteTM:CarlZeissMeditec)にても,水晶体.内固定されたIOLとAdd-Onレンズ間に空間が保たれ,混濁は認められない(図3).コントラスト感度は,Add-Onレンズ挿入前は年齢の正常域下限であったが,3カ月後の測定では3,12,18cycleperdegree(CPD)で低下していた(図4).自覚的な見え方の低下,夜間のグレア,ハローはなく,術前より近視のため,0DのAdd-Onレンズ挿入後も同程度の近視であるが,両眼での見え方に満足しており,残余近視に対する矯正は希望していない.〔症例2〕62歳,女性.2009年1月に両眼の視力低下で当院を初診,視力は右眼0.7(0.9×+2.5D(cyl.1.5DAx70°),左眼0.3(0.8×+1.00D(cyl.0.5DAx20°),両眼に白内障による視力低下のため,白内障手術が施行された.眼内レンズは,右眼にZCB00(AbbottMedicalOptics)19.0D,左眼に19.5Dが水晶体.内に挿入された.術後視力は,右眼1.0(1.2×+0.5D),左眼0.7(1.2×+0.5D(cyl.0.5DAx180°)に改善したが,近方視に眼鏡が必要なため,片眼のみ多焦点IOLヘの交換を希望した.術後4カ月経過しており,交換は可能図32枚のIOLが挿入された前眼部光干渉断層計撮影写真下側のIOLは.内固定された単焦点IOLで両端に前.が観察できる.上側のIOLがAdd-Onレンズで,後面が凹型,下側のIOLとの隙間が十分にある.両IOL間の混濁は観察されない.36SpatialFrequency-(CyclesPerDegree)CSV-1000ContrastSensitivity1218:挿入前:挿入後■Ages20~59図4症例1のAdd.Onレンズ挿入前後のコントラスト感度58歳で挿入前は20.59歳の正常域下限で,挿入後は全体的にわずかな低下を認める.36SpatialFrequency-(CyclesPerDegree)CSV-1000ContrastSensitivity1218■Ages60~69□Ages70~80:挿入前:挿入後図5症例2のAdd.Onレンズ挿入前後のコントラスト感度挿入前はすべての周波数領域で非常に高いコントラスト感度である.挿入後,6,18CPDは60.69歳の正常範囲より低下している.580あたらしい眼科Vol.28,No.4,2011(124)だが,ピギーバックIOL挿入の可能性を説明し,非優位眼である左眼に球面度数0DのAdd-Onレンズ挿入を予定した.術式は症例1と同様の方法で行い,術中合併症はなかった.術後,左眼の遠方視力は1.0(1.5×+0.5D(cyl.0.5DAx170°),近方視力は0.8(矯正不能)で,1年の経過観察期間中,日常生活で眼鏡を必要とせず満足度は高い.コントラスト感度はAdd-Onレンズ挿入前は各周波数領域で良好な値で,挿入1カ月後も正常範囲内だが,6,12CPDで低下していた(図5).〔症例3〕73歳,女性.2009年1月に,他医にて両眼の白内障手術を受けたが,近見に合わせた度数のIOLが選択されたため,遠方が見えにくく,新聞記事で多焦点IOLのことを知り,IOLの交換を希望して来院した.初診時の視力は,右眼0.4(1.2×.4.5D(cyl.0.75DAx30°),左眼0.4(1.0×.4.00D(cyl.1.0DAx100°),IOLはAR40eが挿入されたというメモを持参していたが度数は不明であった.IOL交換およびピギーバックIOL挿入両者の利点と問題点を説明し,ピギーバック挿入予定となった.術後屈折が近視になっているため,角膜曲率半径,前房深度,術後屈折値をHumanOptics社に送り,推奨された球面度数.6.0DのAdd-Onレンズをまず右眼に挿入,術後遠方および近方視力が良好なことを確認して,1週間後に左眼にも同じ.6.0DのAdd-Onレンズを挿入した.術後の遠方視力は右眼0.8(1.2×+0.25D(cyl.1.0DAx70°),左眼0.8(1.0×+0.25D(cyl.1.0DAx145°),近方視力は右眼0.6(0.7×+0.25D(cyl.1.0DAx70°),左眼0.4(矯正不能)で,遠方のため術後3カ月までの経過観察であったが,他2例と同様,Add-Onレンズの位置は良好で,最終経過観察時に前房内炎症は認めなかった.その後,近医にて経過観察しているため,詳細は不明であるが,術6カ月後に電話により見え方に変化がなく満足していることが確認できている.II考按IOLのピギーバック挿入は,強度遠視例,術後の乱視矯正,多焦点機能追加の目的で行われているが,毛様溝固定用にデザインされたIOLの報告は少なく4.5),わが国では筆者が知る範囲では,最初の症例報告である.多焦点IOLが先進医療として認められ,一般の人への認知度が上がるにつれ,今後,単焦点IOLが挿入されている症例で多焦点IOLの利点,すなわち眼鏡に依存せず遠方および近方が見えることに魅力を感じ,IOLの交換を希望する例がでてくることが予想される.このような場合の選択肢として,大きく分けてIOL交換とピギーバック挿入の2種類がある.患者自身は,IOL交換を非常に簡単な技術ととらえ,安易に交換を希望する傾向にあるが,実際には,水晶体.内に挿入され,しばらく経過したIOLの摘出は,IOL挿入よりも高度な技術を要する.具体的には,IOL支持部のまわりを前後.が癒着してトンネルのように包みこんでいるので,そこからうまく摘出するには,光学部から支持部を切断する場合が多い.Zinn小帯がもともと脆弱な症例,あるいは初回手術時に何らかの影響で一部断裂している例では,IOL支持部を引き出す際に水晶体.も一緒に出てしまう危険性がある.一方,光学部を水晶体.から.離することは比較的容易だが,折りたたんで挿入したものを小さな切開から摘出するには工夫が必要である.眼内で再びたたむか,一部切断して直径を小さくする方法があるが,どちらもある程度の経験を要する.近年,空間保持能力の高い粘弾性物質が使えるようになり,眼内におけるIOL切断や一連の操作を行う際,角膜内皮,水晶体.,虹彩などの眼組織への侵襲をかなり減らせるようになったが,IOLを摘出する理由が,多焦点機能を追加するためとなると,合併症は許されない.ピギーバック法は挿入されたIOLをそのまま温存し,虹彩と水晶体.の間にIOLを挿入する操作のみなので,IOL挿入を経験している術者には,摘出より操作は安全かつ確実である.癒着を.離したりIOL切断などの眼内操作が必要ないため,眼内組織への侵襲が少ないことが期待できる.IOLのピギーバック挿入に関する合併症は,2枚のIOL間のILO,色素性緑内障,閉塞隅角が代表的である.ILOは,水晶体赤道部で水晶体線維の再生が進み,閉ざされた2枚のIOLの間に入ってくるのが原因とされ,前.切開を大きくすること,IOLの1枚は水晶体.内,もう1枚は毛様溝固定することで予防できる2,3,6).また,実際に混濁が生じた場合の処置についても報告がある7).これ以降,ピギーバック挿入は毛様溝固定というのが一般的になり,ILOの問題は少なくなっている.近年,調節機能をもたせる目的で2枚の光学部をもつIOLが臨床使用され,再びILOの問題が注目されているが,素材の面でアクリルよりシリコーンのほうが生じにくいことも報告されている8).つぎにIOLを毛様溝固定するため,IOLのエッジ部分が虹彩を慢性的に刺激するために生じる色素性緑内障の問題がある9~12).この合併症はピギーバック挿入に限らず,IOLを毛様溝挿入する場合の一般的な問題としてとりあげられており,特に近年挿入数が増えているシングルピースのアクリル素材で,かつ後発白内障予防目的で光学部縁がシャープなIOLで注意すべきとされている.さらに,虹彩色素の面では,人種による差がある可能性がある.また,虹彩捕獲による瞳孔ブロックによる眼圧上昇の症例報告がある13,14).これもピギーバックのみでなく毛様溝固定した場合に起こりうる合併症であるが,通常の.内固定用IOLを毛様溝固定した場合の報告である.このように,ピギ(125)あたらしい眼科Vol.28,No.4,2011581ーバック挿入そのものというより,IOLを毛様溝固定するための問題点,2枚IOLがあるための問題点が今まで報告されてきている.そしてこれらの報告の多くはアクリル素材で.内固定を前提としたIOLのシャープエッジデザインである.今回使用したピギーバック用IOLであるAdd-Onレンズは,これらの合併症を予防すべく,シリコーン素材,後発白内障予防目的のIOLエッジデザインではなく,光学径も7mmである.まだ,開発されて年数がたっていないため,長期の合併症については,引き続き経過観察が必要だが,以前の報告の頻度で発生する可能性は低いと思われる.しかし,新しいIOLで,わが国で未承認であるので,患者への十分な説明と長期の経過観察は必須と思われる.症例数が少ないが,1年以上経過観察できている症例においては,眼圧上昇はなく,IOL上への虹彩色素は認めていない.今後,さらに隅角所見についても追加観察していく予定である.最後に視機能についてであるが,症例1および2では,術前に比べ近方視力が向上,症例3では,近方に加え遠方も見えるようになり,Add-Onレンズ挿入目的が達成され満足度が高かった.しかし,回折型デザインのAdd-Onレンズ挿入前に測定したコントラスト感度と比較して,挿入後に一部で低下傾向が認められた.回折型多焦点IOLは,その光学特性からコントラスト感度低下が危惧されているが,実際に挿入した症例において単焦点IOLと比べて差がない,あるいは低下傾向を認めるが有意差がないという報告が多い15~17).今回は3例4眼という限られた症例数であるが,各症例において,自覚的に見えにくさを訴える例はなかった.視力は良好だが,コントラスト感度測定ができた2例2眼で挿入前後に明らかに差があり,この点については,術前に十分な説明が必要で,かつ適応判断の際,もともとコントラスト感度が低下している症例では挿入を控えることも考慮すべきと思われた.多焦点IOLは眼鏡への依存度を減らすことが可能なことからqualityoflifeの向上が期待されている.すでに単焦点IOL挿入を受けた症例で,眼鏡依存度を減らしたい希望が強い場合,ピギーバック挿入用にデザインされたIOLを挿入することは,比較的新しい方法である.以前のピギーバックIOL挿入で問題となったILOを予防するために,本来理想的なIOLの挿入場所とされている水晶体.内ではなく毛様溝に挿入することによる影響は長期にわたって観察する必要がある.しかし,手術時の侵襲の面では,単焦点IOLを摘出し,再び水晶体.内に多焦点IOLを挿入する方法に比べ,ピギーバック挿入は短時間かつ技術的に容易な利点があり,今後,付加機能をもったIOLの有用な使用方法の一つとして普及する可能性が示唆された.文献1)MasketS:Piggybackintraocularlensimplantation.JCataractRefractSurg24:569-570,19982)GuytonJL,AppleDJ,PengQetal:Interlenticularopacification:Clinicopathologicalcorrelationofacomplicationofposteriorchamberpiggybackintraocularlenses.JCataractRefaractSurg26:330-336,20003)ShugarJK,KeelerS:Interpseudophakosintraocularlenssurfaceopacificationasalatecomplicationofpiggybackacrylicposteriorchamberlensimplantation.JCataractRefractSurg26:448-455,20004)GertenG,KermaniO,SchmiedtKetal:Dualintraocularlensimplantation:Monofocallensinthebagandadditionaldiffractivemultifocallensinthesulcus.JCataractRefractSurg35:2136-2143,20095)JinH,LimbergerIJ,BorkensteinAFMetal:Pseudophakiceyewithobliquelycrossedpiggybacktoricintraocularlenses.JCataractRefractSurg36:497-502,20106)JacksonDW,KochDD:Interlenticularopacificationassociatedwithasymmetrichapticsfixationoftheanteriorintraocularlens.AmJOphthalmol135:106-108,20037)EleftheriadisH,MarcantonioJ,DuncanGetal:InterlenticularopacificationinpiggybackAcrySofintraocularlenses:explantationtechniqueandlaboratoryinvestigation.BrJOphthalmol85:830-836,20018)WernerL,MamalisN,StevensSetal:Interlenticularopacification:dual-opticversuspiggybackintraocularlenses.JCataractRefractSurg32:655-661,20069)ChangWH,WernerL,FryLLetal:Pigmentarydispersionsyndromewithasecondarypiggyback3-piecehydrophobicacryliclens.Casereportwithclinicopathologicalcorrelation.JCataractRefractSurg33:1106-1109,200710)ChangSHL,LimG:Secondarypigmentaryglaucomaassociatedwithpiggybackintraocularlensimplantation.JCataractRefractSurg30:2219-2222,200411)MicheliT,CheungLM,SharmaSetal:AcutehapticinducedpigmentaryglaucomawithanAcrySofintraocularlens.JCataractRefractSurg28:1869-1872,200212)LeBoyerRM,WernerL,SnyderMEetal:AcutehapticinducedciliarysulcusirritationassociatedwithsinglepieceAcrySofintraocularlenses.JCataractRefractSurg31:1421-1427,200513)IwaseT,TanakaN:Elevatedintraocularpressureinsecondarypiggybackintraocularlensimplantation.JCataractRefractSurg31:1821-1823,200514)KimSK,LancianoRCJr,SulewskiME:Pupillaryblockglaucomaassociatedwithasecondarypiggybackintraocularlens.JCataractRefractSurg33:1813-1814,200715)ビッセン宮島弘子,林研,平容子:アクリソフRAppodized回折型多焦点眼内レンズと単焦点眼内レンズ挿入成績の比較.あたらしい眼科24:1099-1103,200716)山村陽,稗田牧,中井義典ほか:多焦点眼内レンズ挿入眼の高次収差.あたらしい眼科27:1449-1453,201017)YoshinoM,Bissen-MiyajimaH,OkiSetal:Two-yearfollow-upafterimplantationofdiffractiveasphericsiliconemultifocalintraocularlenses.ActaOphthalmol,2010,inpress***