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角膜移植後に外傷により創口離開した症例の検討

2018年2月28日 水曜日

《原著》あたらしい眼科35(2):253.257,2018c角膜移植後に外傷により創口離開した症例の検討小野喬*1森洋斉*1子島良平*1安楽陽子*1天野史郎*2宮田和典*1*1宮田眼科病院*2井上眼科病院CInvestigationofTraumaticWoundDehiscenceafterCornealTransplantationTakashiOno1),YosaiMori1),RyoheiNejima1),YokoAnraku1),ShiroAmano2)andKazunoriMiyata1)1)MiyataEyeHospital,2)InouyeEyeHospital目的:角膜移植術後の外傷による創口離開の状況を検討すること.対象および方法:平成10年4月.平成28年3月に宮田眼科病院で角膜移植術を行った症例を対象とした.診療録より後ろ向きに,術式,外傷までの期間,眼鏡での矯正視力(logMAR),保護眼鏡の使用について検討した.また,矯正視力がC2以下の視力良好群とC2より大きい視力不良群で,受傷前の矯正視力,年齢,抜糸,家族構成,保護眼鏡の有無,受傷時刻をリスクファクターとして比較した.結果:494例C630眼が対象となり,外傷による創口離開はC33例C33眼(5.2%)で認め,全例が全層角膜移植術であった.外傷までの期間はC7.1C±4.1年,矯正視力(logMAR)は受傷前がC0.73C±0.76,最終観察時がC1.98C±0.93と有意に低下した(p<0.01).保護眼鏡はC18.2%で使用していた.視力良好群と視力不良群の間で各検討項目に差はなかった.結論:角膜移植術後の外傷による創口離開は術後長期にわたり発生し,視力低下を生じる.CPurpose:Toidentifythesituationoftraumaticwounddehiscenceaftercornealtransplantation.Patientsandmethod:PatientswhounderwentcornealtransplantationfromApril1998toMarch2016atMiyataEyeHospitalwereCincluded.CFromCtheCmedicalCrecords,CweCretrospectivelyCreviewedCtypeCofCcornealCtransplantation,CdurationsinceCsurgery,CbestCspectacle-correctedCvisualCacuity(BCVA)(logMAR)andCuseCofCprotectiveCglasses.CFurther-more,wecomparedBCVAbeforeinjury,age,sutureremoval,familialstructure,useofprotectiveglassesandtimeofinjuryasriskfactorsbetweenpatientswhose.nalBCVAwastwoorless(betterBCVAgroup)andmorethantwo(worseBCVAgroup)C.CResults:Sixhundredandthirtyeyesof494patientswereincluded.TraumaticwounddehiscencesCwereCobservedCinC33CeyesCofC33Cpatients(5.2%);allCcasesCwereCpenetratingCkeratoplasty.CDurationCsinceCsurgeryCwasC7.1±4.1Cyears.CBCVACbeforeCtraumaCwasC0.73±0.76,Csigni.cantlyCdecreasingCtoC1.98±0.93Cat.nalobservation(p<0.01).Usersofprotectiveeyeglassescomprised18.2%.Therewasnodi.erenceineachout-comebetweenbetterandworseBCVAgroups.Conclusion:Traumaticwounddehiscenceoccursforalongtimeafteroperationandcausesdecreaseofvisualacuity.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)C35(2):253.257,C2018〕Keywords:全層角膜移植術,角膜内皮移植術,深層層状角膜移植術,外傷,創口離開.penetratingkeratoplasty,Descemet’sstrippingautomatedendothelialkeratoplasty,deeplamellarkeratoplasty,trauma,wounddehiscence.Cはじめに重篤な角膜混濁を呈する疾患に対し,全層角膜移植術(pen-etratingCkeratoplasty:PKP),角膜内皮移植術(DescemetC’sstrippingCautomatedCendothelialCkeratoplasty:DSAEK)などの角膜移植法が広く普及し,その長期成績が報告されている1.4).角膜移植術後の外傷は術後早期から発生する合併症の一つであり,手術創の離開を生じ,重篤な視機能障害につながる可能性がある5.11).創口離開の原因として,角膜への血管侵入が生じにくいため術後の強度が術前まで戻らない点,ステロイド点眼薬の頻回使用,術後早期より視力が出ることで患者の活動度が上がり不注意による外傷が増える点,などが指摘されてきた9).外傷の原因は,患者本人による因子や環境因子などの複数の要素が考えられるが,いくつかの要因に関しては事前の患者や家族への啓発により予防できる〔別刷請求先〕小野喬:〒885-0051宮崎県都城市蔵原町C6-3宮田眼科病院Reprintrequests:TakashiOno,M.D.,MiyataEyeHospital,6-3Kuraharacho,Miyakonojo,Miyazaki885-0051,JAPAN0910-1810/18/\100/頁/JCOPY(93)C253可能性が高い.したがって,外傷により創口離開した症例を解析することは,その予防策につながるため,移植角膜の透明治癒率の向上に寄与すると考えられる.わが国において角膜移植後の創口離開症例を解析し,予防策を考察している報告は少なく12.14),患者のCactivitiesCofCdailyCliving(ADL)や保護眼鏡の使用などについて統計学的に検討した報告はない.今回筆者らは,角膜移植術後の外傷による創口離開の発生状況と,その原因について調査し,外傷の予防法について検討した.CI対象および方法本研究は,宮田眼科病院(以下,当院)の倫理委員会の承認を得て行った.平成C10年C4月.平成C28年C3月に,当院で角膜移植術〔PKP,DSAEKおよび深層層状角膜移植術(deepanteriorlamellarkeratoplasty:DALK)〕を行った症例を対象とし,角膜移植術後に外傷により創口離開を認めた症例を,診療録から後ろ向きに検討した.保存角膜を移植した治療的CPKP,術後に一度も透明治癒が得られなかったprimarygraftfailure,診療録による追跡が困難であった症例は除外した.複数回の角膜移植を行った症例は,全手術を対象とした.受傷時の年齢,性別,術式,縫合糸の抜糸の有無,外傷までの期間,角膜移植の原疾患,受傷前および最終観察時の眼鏡での矯正視力,家族構成,受傷時刻,受傷原因,ADLの状況,保護眼鏡の使用の有無について調査した.受傷時刻は,朝(4時.11時),昼(11時.17時),夜(17時.4時)に分類した.また,TheCOcularCTraumaCClassi.-cationGroupによる分類を参考にして15),創口離開による外傷の程度を,GradeC1:創口離開のみ,GradeC2:水晶体もしくは眼内レンズか硝子体の脱出,GradeC3:網膜の脱出に分類した.診療録のみで情報が不十分な場合は,患者本人または家族にアンケートを用いて調査を行った.また,視力予後のリスクファクターについて,最終観察時の矯正視力(logMAR)がC2以下の群(視力良好群)と,2より大きい群(視力不良群)に分けて検討した.検討項目は,受傷前の矯正視力(logMAR)(2以下,2より大きい),年齢(65歳以上,65歳未満),抜糸の有無,家族構成(独居,2人暮らし以上),保護眼鏡の有無,受傷時刻(日中,夜間)と比の比較にはCc2検定,受傷前後の矯正視力にはCWilcoxonsigned-rankCtest,矯正視力の割合の変化にはCMcNemar検定,受傷時刻と重症度にはCKruskal-Wallis検定,外傷症例と非外傷症例の年齢,保護眼鏡と年齢の比較にはCWelchC’sCttest,リスクファクターについてはCFischerの直接検定を用いた.5%を有意水準として用いた.CII結果対象となった症例は全C494例C630眼であった.平均C69.5C±14.8歳,男性C196例,女性C298例であり,術式による内訳は,PKPが409例517眼,DSAEKが97例105眼,DALKがC8例C8眼であった.角膜移植の原疾患は,角膜白斑がC222眼,水疱性角膜症がC248眼,再移植がC82眼,円錐角膜がC38眼,角膜潰瘍がC23眼,角膜変性症がC10眼,角膜穿孔がC7眼であった.外傷による創口離開を認めた症例はC33例C33眼(5.2%)であった.外傷眼C33例の背景因子を表1に示す.全症例がPKPであり,術式と外傷発生数の間に統計学的な有意差を認めた(p=0.022).外傷症例と非外傷症例で,男女比に差はなく(p=0.74),年齢にも差はなかった(p=0.79).受傷時の年齢分布をみると,70歳代が多かった(図1).また,角膜移植の原疾患は角膜白斑と水疱性角膜症が主であり,原疾患別の発生率では角膜穿孔後の創口離開発生率がC28.6%と高かった(表2).受傷前の矯正視力(logMAR)はC0.73C±0.76,最終観察時はC1.98C±0.93であり,有意な低下が認められた(p<0.01).光覚弁以下の症例は,外傷前には認めなかったが最終観察時はC5眼であった.矯正視力(logMAR)1以上の割合は,受傷前がC36.4%,最終観察時はC81.8%であり有意に増加していた(p<0.01).家族構成は,独居がC7眼(21.2%),2人がC12眼(36.4%)3人以上がC14眼(42.4%)であった.外傷の受傷時刻の分布,を表3に示す.独居者C7眼のうちC6眼は朝に受傷していた.141210表1外傷により創口離開した症例の背景因子受傷時年齢(歳)C76.2±9.8(52.97)051~6061~7071~8081~9091~100男:女(人)14:19受傷時年齢(歳)術式全例CPKP図1受傷時年齢の分布抜糸の有無(眼)25:8受傷時年齢はC50.90歳代まで幅広く,71.80歳が多か外傷までの期間(年)C7.1±4.1(0.13年)った.C眼数(眼)した.8統計学的手法として,術式,外傷症例と非外傷症例の男女642表2原疾患別の創口離開発生率原疾患別の創口離開眼数(眼)年齢(歳)発生率(%)角膜白斑15(45.5%)C78.3±7.1C6.8水疱性角膜症13(39.4%)C75.5±9.6C5.2角膜穿孔2(6.1%)C77.2±9.0C28.6角膜変性症1(3.0%)C97C10.0円錐角膜1(3.0%)C52C2.6角膜潰瘍1(3.0%)C70C4.3表4外傷の重症度と矯正視力Grade眼数(眼)最終観察時の矯正視力C1C13C1.66±0.94C2C18C2.11±0.90C3C2C2.9受傷時刻と年齢の間に明らかな相関はなかった(p=0.062).外傷の原因は,打撲がC24眼(72.7%),転倒がC7眼(21.2%)その他がC2眼(6.1%)であった.受傷時のCADLの状況は,,杖使用がC14眼(42.4%),車椅子使用がC3眼(9.1%),自力歩行がC16眼(48.5%)であった.受傷時に保護眼鏡を使用していた例はC6眼(18.2%)であり,10眼(30.3%)は使用していたか不明であった.外傷の程度は,Grade1がC13眼,Grade2がC18眼,Grade3がC2眼であり,各CGradeでの矯正視力は表4のとおりであった.重症度が高いほど矯正視力は悪い傾向にあり,Grade1とC3の間に有意差を認めた(p=0.042).リスクファクターについては,視力良好群と視力不良群の間で各検討項目に有意差はなかった(表5).CIII考按本検討では,角膜移植症例のC5.2%に外傷による創口離開を生じた.移植後の外傷の発生率はC1.28.5.8%と報告されており7,16),本検討での発生率は既報に合致していたが,とくにわが国においては川島らがC1.8%と報告しており13),本検討はやや高い割合であった.川島らの報告での平均年齢はC62.5±18.8歳であり13),本検討は平均年齢がC76.2歳と高いことが,外傷の発生率の差に影響を与えた可能性がある.また,施設や地域によって発生率には差があり,手術後長期間経過してからも受傷するリスクがあるため,観察期間が発生率に影響すると考えられる.外傷により創口離開が生じる頻度は低くなく,角膜移植後に長期にわたり予防策が必要である点を,患者および家族に周知しておく必要があると考えられた.表3外傷の受傷時刻眼数(眼)年齢(歳)朝(4時.1C1時)昼(1C1時.1C7時)夜(1C7時.4時)不明14(C42.4%)C7(2C1.2%)C10(C30.3%)C2(6C.1%)C80.4±8.174.6±5.170.7±12.480.0±8.5表5視力良好群と視力不良群におけるリスクファクターの比較視力視力良好群不良群p値眼数C17C16C─受傷前の矯正視力(logMAR)(2以下:2より大きい)17:014:2C0.23年齢(6C5歳以上:6C5歳未満)14:316:0C0.12抜糸(あり:なし)11:614:2C0.13家族構成(独居:2人暮らし以上)2:1C55:1C1C0.17保護眼鏡(あり:なし)2:94:8C0.37受傷時刻(日中:夜間)10:711:3C0.22C角膜移植後の外傷は,50.90歳代にかけて生じたが,おもにC70歳代に多く認められた.受傷時の平均年齢はC16.6.75.4歳と報告により大きな差がみられる10,12).若年で角膜移植術を受ける原因の一つとして円錐角膜があげられ,円錐角膜に対する角膜移植後は外傷を受けやすいという報告がある10).今回の検討では円錐角膜の症例はC1眼のみであり,この点が平均年齢に影響を与えた可能性がある.若年の男性は活動性が高く眼外傷を受けやすいが10),高齢者ではCADLの低下に伴い転倒しやすく,眼外傷のリスクは高齢者にも十分にあることが示唆された.本検討では,外傷を生じた症例はすべてCPKPであった.角膜移植後は,十分な縫合を行っても組織学的に創部は脆弱である16.18).DSAEKは縫合部が小さく角膜に与える構造変化が少なく19),PKPと比較して外力に強い点が今回の結果につながった可能性が考えられた.また,PKPとCDALKでは術後に角膜のChysteresisに差があると報告されており,生体力学的にCDALK術後のほうが強度が高い可能性がある20,21).本結果でもCDALK術後に創口離開は認めず,hys-teresisの差が寄与していたかもしれない.しかし,DALKの症例はC8眼と少なく,今後さらに症例数を増やした形での検討が必要である.本検討では,抜糸を行った症例がC33眼中C25眼(75.8%)であった.PKP後の抜糸は,創口離開,感染,拒絶反応,駆血性出血のリスクとなることが指摘されている22).縫合糸によって移植片接合部の強度は保たれており5),抜糸によって脆弱化する可能性がある.しかし,本検討は外傷を受けて創口離開を生じた症例のみを検討したため,縫合糸による外傷時の創口離開への影響を解析することができず,今後のさらなる検討が必要であると考えられた.今回の検討における角膜移植術から外傷による創口離開までの期間は,平均C7.1C±4.1年であった.全層角膜移植術後,1年間は外傷のリスクが高いという報告があるが16),術後C33年での受傷例もあり8),本検討の結果からも術後長期間にわたり外傷のリスクが続くと考えられた.日常生活を送るうえで,運動時などのリスクの高い活動のみならず,低リスクと考えられる生活動作においても外傷は生じうる22).既報では術後C6カ月までは保護眼鏡が推奨されており16),術後早期の外傷予防については,保護眼鏡を薦めることが重要と考えられる.しかし,長期間安定していた場合でも,保護眼鏡装用の自己中断や高齢化に伴うCADLの低下により,受傷しやすくなる可能性がある.術後長期にわたって,外来での経過観察中に外傷予防の啓発を行うことが必要である.既報では,円錐角膜に対するCPKP症例で,外傷が多いことが示されている9,10,17).一方,わが国での外傷例は,角膜白斑や水疱性角膜症が多い13).本検討も同様に,角膜白斑と水疱性角膜症の症例が多く認められた.また,本検討は単独施設における研究であり,角膜白斑と水疱性角膜症に対するPKPが多く行われたことが今回の結果に影響している可能性が高い.また,角膜移植の原疾患と外傷の発生には関係がないという報告もある23).しかし,本検討では角膜穿孔に対する角膜移植後の症例で,28.6%に外傷による創口離開を生じていた.角膜穿孔の原因として外傷があげられ,そのような既往のある患者は再び外傷を生じやすい可能性が示唆された.本検討では角膜穿孔の症例が少なく,原疾患ごとの外傷の発生率とその予後については対象数を増やしたさらなる検討や,メタアナリシスなどの解析が必要と考えられる.最終観察時の矯正視力は,矯正視力(logMAR)1以上の割合がC81.8%と受傷前よりも低下しており,光覚弁以下の症例もC5眼認められた.既報においても,外傷による創口離開後の視力は悪いと報告されており7,13,23),本検討も同様の傾向がみられた.また,外傷の重症度をCGradeに分けて分類した結果,GradeC1では最終観察時の矯正視力がC1.66C±0.94であるのに対してCGrade3はC2.9であり,重症になるほど視力が低下する傾向が認められた.創口離開の視力予後のリスクファクターとして,水晶体13),大きな離開範囲,網膜.離などの後眼部の合併症5,17)などが報告されている.創口離開が生じた場合,治癒過程で創口近くに新生血管が進入すると,再移植の際に拒絶反応が起こりやすく,予後が悪くなる可能性が考えられた.PKPの再移植例は初回例と比較して移植片不全となりやすいことも24)本結果に関与しているかもしれない.今回のCGrade分類は離開範囲の程度とは異なり,外傷による組織破壊の程度で分類した方法であり,本方法が視力予後予測の一助となる可能性が示された.一方で,本検討では受傷前の矯正視力,年齢,抜糸の有無,家族構成,保護眼鏡の有無,受傷時刻はいずれも視力予後のリスクファクターではなかった.とくに保護眼鏡の使用は,眼の外傷を予防するうえでは重要と考えられたが予想と異なる結果となった.この原因として,保護眼鏡が眼外傷を予防することは可能だが,受傷した場合の視機能維持には働かない可能性,また本研究は対象となる眼数が少なく統計学的な検出力が低かったことなどが考えられた.独居の患者はC7眼(21.2%)であり,受傷時刻は夜から朝が多かった.家族など同居者がいても,夜間は目が行き届かない場合があると考えられた.既報では,術直後や抜糸後は24時間常に,また術後C6カ月までは日中に,保護眼鏡の使用が推奨されている16).しかし,退院後の患者は就寝前後に保護眼鏡をはずしている可能性がある.角膜移植後で視力が低下している症例では,夜間にいっそう高いリスクが懸念されるため,退院後の外来診療において生活状況を把握することが重要である.本人だけでなく家族にも,外傷のリスクについて十分に説明し,保護眼鏡や環境整備などの積極的な支援が必要と考えられた.外傷を起こした症例のうち,約半数が杖や車椅子を使用していた.角膜移植時の平均年齢は高く,加齢に伴ってCADLが低下した症例も少なくない.手術時には若年であっても,外傷による創口離開が起こる時期は長期にわたるため,ADLが下がるリスクは常にあると考えられる.外傷発生の予防策として,代表的なものは注意喚起と保護眼鏡の使用である16.18).当院でも保護眼鏡を術後に推奨しているが,実際に保護眼鏡を使用していたのはC18.2%のみであり,保護眼鏡は十分に普及していないと考えられた.本検討では保護眼鏡の有無について視力良好群と視力不良群で明らかな差は認めなかったが,今後はさらに非外傷眼についても保護眼鏡の使用について調査し,その効果について解析することが必要である.角膜移植術後の外傷による創口離開は視力低下の原因の一つである.術後早期だけでなく,長期的に外傷のリスクがあることを家族や本人に伝え,保護眼鏡などの予防策をとることが重要である.文献1)IngJJ,IngHH,NelsonLRetal:Ten-yearpostoperativeresultsCofCpenetratingCkeratoplasty.COphthalmologyC105:C1855-1865,C19982)PatelCSV,CHodgeCDO,CBourneCWM:CornealCendotheliumCandCpostoperativeCoutcomesC15CyearsCafterCpenetratingCkeratoplasty.AmJOphthalmolC139:311-319,C20053)PriceCMO,CFairchildCKM,CPriceCDACetCal:Descemet’sCstrippingendothelialkeratoplasty.ve-yeargraftsurvivalandCendothelialCcellCloss.COphthalmologyC118:725-729,C2011C4)LiJY,TerryMA,GosheJetal:Three-yearvisualacuityoutcomesafterDescemet’sstrippingautomatedendotheli-alkeratoplasty.OphthalmologyC119:1126-1129,C20125)MeyerJJ,McGheeCN:Incidence,severityandoutcomesoftraumaticwounddehiscencefollowingpenetratinganddeepCanteriorClamellarCkeratoplasty.CBrCJCOphthalmolC100:1412-1415,C20166)TsengCSH,CLinCSC,CChenCFK:TraumaticCwoundCdehis-cenceafterpenetratingkeratoplasty:clinicalfeaturesandoutcomein21cases.CorneaC18:553-558,C1999,7)AgrawalV,WaghM,KrishnamacharyMetal:Trauma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