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アジスロマイシン点眼を中心に治療した両眼性非定型抗酸菌角膜炎の1例

2025年5月31日 土曜日

《第60回日本眼感染症学会原著》あたらしい眼科42(5):603.608,2025cアジスロマイシン点眼を中心に治療した両眼性非定型抗酸菌角膜炎の1例向井規子田尻健介武市有希也喜田照代大阪医科薬科大学眼科学教室CACaseofBilateralAtypicalMycobacterialKeratitisPrimarilyTreatedwithTopicalAzithromycinDihydrateSolutionNorikoMukai,KensukeTajiri,YukiyaTakeichiandTeruyoKidaCDepartmentofOphthalmology,OsakaMedicalandPharmaceuticalUniversity,TakatsukiC目的:感染経路が不明の両眼性非定型抗酸菌角膜炎に対し,アジスロマイシン点眼を中心に加療した症例を経験したので報告する.症例:53歳,女性.両眼角膜混濁で経過観察中,左眼に毛様充血,多くの豚脂様角膜後面沈着物(KPs)を伴う強い虹彩炎を認めた.ヘルペス性角膜ぶどう膜炎を疑い,2カ月加療するも改善せず,両眼に境界不明瞭な角膜実質浸潤巣がみられた.角膜擦過物の抗酸菌検査を施行したところ,直接蛍光検査で陽性,培養検査および質量分析でCMycobacteriumchelonaeを同定した.アジスロマイシン点眼とモキシフロキサシン点眼,クラリスロマイシンとモキシフロキサシン内服の多剤併用療法を開始したが,炎症は遷延化した.8カ月後,感染病巣は縮小・瘢痕化し,抗酸菌検査も陰性となった.結論:抗菌薬や抗真菌薬,抗ヘルペス薬で軽快しない特異的所見の角膜炎は本症を鑑別する必要がある.CPurpose:ToCreportCaCcaseCofCbilateralCatypicalCmycobacterialCkeratitisCwithCanCunknownCinfectionCrouteCthatCwasCprimarilyCtreatedCwithCtopicalCazithromycinCdihydrateCsolution.CCase:ThisCstudyCinvolvedCaC53-year-oldCfemalebeingmonitoredforbilateralcornealopacitiesinwhomciliaryhyperemiaandmarkediritisaccompaniedbysigni.cantCkeraticprecipitates(KPs)developedCinCherCleftCeye.CWeCsuspectedCherpeticCkeratouveitisCandCadminis-teredCanti-herpeticCtreatmentCforC2Cmonths.CHowever,CnoCimprovementCwasCobserved,CandCcornealCstromalCin.ltrateswithunde.nedbordersappearedbilaterally.Anacid-faststaintestwasperformedoncornealscrapings,whichCtestedCpositiveCbyCdirectC.uorescenceCexamination.CMoreover,CcultureCtestingCandCmassCspectrometryCrevealedCMycobacteriumCchelonae.CMultidrugCcombinationCtherapyCforCmycobacterialCkeratitisCwasCinitiated,Cinclud-ingCtopicalCapplicationCofCazithromycinCandCmoxi.oxacinChydrate,CasCwellCasCoralCclarithromycinCandCmoxi.oxacin.CAfter8months,thecornealin.ltratesbecamescarredandtheacid-faststaintest.ndingswerenegative.Conclu-sion:CornealCin.ammationCwithCspeci.cC.ndingsCthatCdoesCnotCimproveCwithCantibiotics,Cantifungals,CorCantiviralCmedicationsshouldbeconsideredM.chelonaeCkeratitis.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)C42(5):603.608,C2025〕Keywords:非定型抗酸菌,角膜炎,Mycobacteriumchelonae,アジスロマイシン点眼.non-tuberculousmycobac-teria,keratitis,Mycobacteriumchelonae,Azithromycindihydratesolution.Cはじめに非定型抗酸菌は,結核菌以外の培養可能な抗酸菌のことであり,非結核性抗酸菌ともよばれる.肺感染症がもっとも知られているが,角膜炎の起因菌となることもあり,おもなものとしてCMycobacteirumchelonae,MycobacteriumCfortui-tum,Mycobacteirumabcessusなどがあげられる1).非定型抗酸菌による角膜炎はまれな疾患ではあるが,多彩な臨床症状を呈することから診断確定に時間を要し,難治性となることが知られている2).今回,感染経路が不明の両眼性非定型抗酸菌(M.chelonae)角膜炎に対し,1%アジスロマイシン〔別刷請求先〕向井規子:〒569-8686大阪府高槻市大学町C2-7大阪医科薬科大学眼科学教室Reprintrequests:NorikoMukai,M.D.,Ph.D.,DepartmentofOphthalmology,OsakaMedicalandPharmaceuticalUniversity,2-7,Daigakumachi,Takatsuki-City,Osaka569-8686,JAPANC図1発症時の左眼細隙灯顕微鏡所見a,b:著明な毛様充血を認める.Cc:多くのCKPsを伴った強い虹彩炎を認める.Cd:フルオレセイン染色では,角膜上皮はまだらに不整で,上皮欠損は認めない.Ce:元来存在するびまん性の角膜混濁と,今回発症の強い虹彩炎による角膜浮腫を認めるが,新たな角膜浸潤は明確ではなかった.点眼を中心に薬物加療を施行したC1例を経験したので報告する.CI症例患者:53歳,女性.フィリンピン出身で介護ヘルパーとして日本で働いている.主訴:左眼視力低下.眼科既往歴:両眼角膜混濁に対して,2000年にフィリピンで,2002年に日本でレーザー治療(詳細不明)歴がある.2013年から当院へ通院し,2015年に右眼,2018年に左眼の翼状片切除術,2021年とC2022年に右眼アミロイド沈着に対して角膜上皮掻爬が施行されている.慢性的な角結膜炎,点状表層角膜炎,角膜混濁に対してC0.1%フルオロメトロン点眼およびC0.5%セフメノキシム塩酸塩点眼を両眼C1日4回継続していた.家族歴:母親とC11人兄弟のうち自身を含めてC7人に角膜混濁がある.現病歴:2023年C5月,左眼の痛みを伴う充血,視力低下を自覚し来院した.視力は右眼C0.1(0.1C×sph+0.5D(Cyl.2.5DAx170°),左眼C10Ccm指数弁(矯正不能).眼圧は右眼C10CmmHg,左眼10CmmHg,細隙灯検査で,左眼に著明な毛様充血と(図1a,b),多くの豚脂様角膜後面沈着物(keraticprecipitates:KPs)を伴う強い虹彩炎を認めた(図1c).角膜上皮はまだらに不整(図1d)であった.患者は元来,角膜にびまん性の混濁があったが,この時点では強い前房内炎症および角膜浮腫は認めるものの,これまでの角膜所見と比較して新たな角膜浸潤は明らかではなかった(図1e).眼底所見は透見不良で詳細不明であった.経過:多くの豚脂様CKPsを伴った強い虹彩炎と,前房内炎症による角膜浮腫を認めたため,ヘルペス性角膜ぶどう膜炎と考え,0.1%ベタメタゾン点眼左眼C1日C6回,3%アシクロビル眼軟膏左眼C1日C5回,バラシクロビル塩酸塩錠C1,000mg/日内服の抗ヘルペス治療を開始した.その後,前房炎症は遷延化するもCKPsは軽快傾向となったため,0.1%ベタメタゾン点眼とC3%アシクロビル眼軟膏を漸減した.経過中に角膜上皮は上皮欠損の改善と悪化を繰り返した.7週後にKPsが再び増悪し,前房蓄膿が出現した(図2a).9週後には角膜上皮欠損が拡大し(図2b),この時点になるとはっきりとした角膜浸潤巣が認められた(図2c),また,小さく浅いが左眼と同様の角膜浸潤巣を右眼にも認め(図2d),角膜上皮.離を伴っていた(図2e).ここまでの経過として,多くのCKPsを伴った強い虹彩炎および角膜浮腫で発症し,ヘルペス性の角膜ぶどう膜炎に対する治療をするも反応は不良であり,角膜上皮欠損が軽快と再発を繰り返し,境界不明瞭な角膜実質浸潤が生じてきた.このため,一般的な角膜感染図2抗ヘルペス治療開始9週後の細隙灯顕微鏡所見a:KPsが再び増悪し,前房蓄膿が出現した.Cb:左眼のフルオレセイン染色では,角膜上皮欠損の拡大を認める.Cc:左眼の細隙灯顕微鏡所見では,境界が不明瞭な角膜浸潤巣の形成を認める.Cd:右眼の細隙灯顕微鏡所見で,範囲は小さく浅いが,左眼の角膜所見と同様な角膜浸潤巣が出現した.e:右眼のフルオレセイン染色では,角膜上皮欠損を伴っていた.症ではなく特殊な病原体による感染症を疑い,角膜擦過を施行し,一般細菌検査に加えて抗酸菌同定検査を施行した.抗酸菌検査では直接蛍光法にてガフキーC9号の菌量を認めた.本症例から検出した菌は,液体培地と小川培地での発育はなかった.しかし,一般細菌検査の培地で早期に発育し,質量分析を用いてCM.chelonaeと同定された.右眼の抗酸菌検査は陰性であったが,角膜上皮.離を伴った境界がやや不明瞭な淡い角膜実質浅層の小浸潤巣が認められ,左眼の角膜所見とまったく同様であったため,臨床的に両眼のCM.Cchelonaeによる角膜炎と診断し,C1%アジスロマイシン点眼両眼C1日2回,C0.5%モキシフロキサシン点眼両眼C1日C4回,クラリスロマイシンC400Cmg/日内服,モキシフロキサシン塩酸塩400Cmg/日内服の多剤併用療法を開始した.しかし,炎症所見は遷延化し,治療開始C3カ月後には右眼の虹彩後癒着が顕著となり,トロピカミド・フェニレフリンの結膜下注射を施図3非定型抗酸菌に対する薬物治療開始4カ月後の左眼細隙灯行した.治療開始C4カ月後,前房の炎症は改善傾向となった顕微鏡所見が,不明瞭な角膜浸潤は残存し,とくに左眼の角膜実質内へ前房炎症は改善したが,不明瞭な角膜浸潤巣は残存し,とくに実質内への血管侵入が著明である.の血管侵入が著明であった(図3).この時点での左眼の角膜擦過物からは,直接蛍光法でガフキーC1号の菌がまだ認められた.その後,角膜浸潤巣は徐々に瘢痕化傾向となり,治療皮下混濁(図4a),左眼は角膜実質混濁があり,角膜実質内開始C8カ月後に結膜充血は消退し角膜擦過物の抗酸菌検査がへの新生血管が残存している(図4c).視力は右眼(C0.06C×陰性となったため,治療を終了した.治療終了後C3カ月後のsph+3.0D),左眼C0.01(矯正不能)と不良である.C現在,両眼に角膜上皮障害を認め(図4b,d),右眼は角膜上図4治療終了後3カ月後の細隙灯顕微鏡所見a,b:右眼は角膜上皮障害と上皮下混濁を認める.Cc,d:左眼は角膜上皮障害と角膜実質混濁を認め,実質内への新生血管が残存している.II考按非定型抗酸菌による眼感染症は,1965年にCTurnerとStinsonによって初めて報告された3).Kheirらによる検討では,非定型抗酸菌による眼感染症のこれまでの報告として,眼窩内感染,眼瞼周囲皮膚感染,涙道炎,角膜炎,強膜炎,結膜炎,眼内炎,脈絡膜炎虹彩毛様体炎,ぶどう膜炎をあげており,なかでも角膜炎がC420眼中C290眼(69%)ともっとも多かった4).また,検出された菌のなかではCM.CchelonaeがC179眼(42.6%)と最多であった4).本症例においても検出されたCM.chelonaeは,非定型抗酸菌のうち迅速発育菌で,Runyon分類のCIV群に分類される5).土壌,水,その他の自然界に広く分布し,皮膚や軟部組織での感染や,カテーテル関連感染症,移植術後感染症を引き起こし,同じく迅速発育菌であるCMycobacteriumabscessusと比較すると,肺への感染はまれで,2番目に多い感染臓器が眼であると報告されている6).非定型抗酸菌による角膜炎は,なんらかの手術侵襲後に発症することが多く,とくに近年ではCLASIK後の報告が多い7).わが国でもCLASIK術後感染症の一つとして注意がなC606あたらしい眼科Vol.42,No.5,2025されており2,8,9),そのほか白内障術後,全層角膜移植術後4)などで発症する.一方で笹川らは,1996年に実質型角膜ヘルペスに対するステロイド点眼加療後に発症したCM.Cchelo-nae角膜炎の症例をわが国で初めて報告し,海外既報においてもC69.6%(16/23例)でステロイド点眼が投与されていたことから,眼局所における免疫抑制状態が発症の危険因子であると述べている10).本症例の感染経路は不明ではあるが,複数回のレーザー治療歴や翼状片手術,右眼角膜上皮掻爬術の手術歴については,左眼の侵襲的処置からC5年以上が経過していたため,発症の直接的原因としては考えにくい.両眼性の発症であることも本症例の特徴であるが,0.1%フルオロメトロン点眼液の投与が長期間両眼になされていたこと,介護ヘルパーとして入浴介助の際に不衛生な水を頻繁に顔に浴びていたことが発症の要因として考えられる.非定型抗酸菌角膜炎の特徴的な角膜所見は,境界不明瞭な実質内の斑状浸潤であり,衛星病巣を伴って花弁状の混濁を呈するものが知られている2).一方,M.chelonae角膜炎では,病巣辺縁の毛羽立ち状所見や放射状の突起を伴った浸潤巣を呈するのもあり10),上皮欠損は必発ではなく8,10),病巣が上皮に覆われた“snow.ake-likeC”11),“crackedCwind-(106)shield”12)様病巣などの報告もある.さらに,これらの角膜の所見以外に,LASIK術後の集団感染の報告では毛様充血,前房内炎症,角膜後面沈着,前房蓄膿などの多彩な前眼部炎症所見がある8).このように,特徴的な所見ではあるものの,角膜病変のみではなく,さまざまな病態が時間を追って認められることが,本疾患が確定診断に至るまでに時間がかかる要因の一つであると考えられる.本症例は角膜混濁に対するレーザー治療後角膜炎の既往があり,その後も角膜にびまん性の混濁を認めていた.今回はそれまで使用していたC0.1%フルオロメトロン点眼によって角膜所見がマスクされていた可能性はあるが,強い前房内炎症と角膜浮腫を認めるものの角膜浸潤は明らかではなく,多くのCKPsを伴った強い虹彩炎で発症したことが特徴的であったといえる.発症時には角膜上皮欠損は認めなかったが,そこから増悪・軽快を繰り返す角膜上皮欠損と前房蓄膿を生じ,最終的に,境界不明瞭な角膜実質浸潤が認められた.この経過は,一般的な細菌性角膜炎の経過とは異なっていたため,非定型抗酸菌による感染を疑ったのだが,確定診断に至るまでにはC2カ月を要した.非定型抗酸菌角膜炎に対する治療は,薬物治療が中心であるが,LASIK術後に生じた角膜炎に関しては,フラップ層間の洗浄や,病巣切除と薬剤移行の向上を目的にフラップ切除(amputation)も考慮するべきである9).薬物療法では,多剤併用療法が推奨され1),局所投与のみならず全身投与も行うことが多い1,8).M.chelonaeには通常の抗結核薬は無効であり,全身投与ではクラリスロマイシン(CAM)などのマクロライド系,ドキシサイクリン(DOXY)などのテトラサイクリン系,アミノ配糖体系であるアミカシン(AMK),あるいはフルオロキノロン系であるシプロフロキサシン(CPFX)などが選択され,局所点眼投与では,AMK,CAMに加えて,ガチフロキサシン(GFLX)やモキシフロキサシン(MFLX)点眼薬の有効性の報告があるC6,13.16).本症例では,多剤併用療法を点眼と内服で施行した.今回検出されたCM.chelonaeの薬剤感受性試験の結果(表1)では,アジスロマイシン(AZM)とCMFLXがCAMKよりも感受性が高かったため,自家調整の必要がないC1%アジスロマイシン点眼を第一選択とし,0.5%モキシフロキサシン点眼を併用した.また,内服薬は,クラリスロマイシンの内服と,耐性化を考慮するべきという当院感染対策室の助言に従って,モキシフロキサシン塩酸塩の内服を選択した.しかし,治療期間はC8カ月間と長期に及び角膜擦過物の抗酸菌検査陰性化,毛様充血の消退,角膜浸潤の瘢痕化をもって治療を終了したが,角膜実質内の新生血管は残存している.なお,アジスロマイシン点眼の角膜炎への使用は適用外である.しかし,本症例は両眼の視力が不良の重症角膜感染症であったため,当院感染対策室の感染症専門医師と薬剤師との協議の結果,患者の視力予後を第一に考え,薬剤感受性が表1薬剤感受性試験結果CMZ>3C2CCAM<=1CIPM<=2CAZM<=1CMEPM>1C6CLVFXC4CAMK<=4CMFLXC2CTOB<=1CLZD<=2CMINO>4CST>4C0CMZ:セフメタゾール,IPM:イミペネム,MEPM:メロペネム,AMK:アミカシン,TOB:トブラマイシン,MINO:ミノサイクリン,CAM:クラリスロマイシン,AZM:アジスロマイシン,LVFX:レボフロキサシン,MFLX:モキシフロキサシン,LZD:リネゾリド,ST:スルファメトキサゾール・トリメトプリム.(MIC:μg/ml)もっとも良好な結果であったCAZMを局所投与薬剤として選択した.また,本症例のように長期使用する場合は,倫理委員会への申請をし,許可を得ることが望ましい.感染経路が不明であった両眼性非定型抗酸菌角膜炎に,1%アジスロマイシン点眼を中心とした多剤併用療法を施行したが,きわめて難治性であった.抗菌薬・抗真菌薬・抗ヘルペス薬とステロイド点眼投与で改善しない,強い虹彩炎を伴う特異的な角膜浸潤巣を呈する角膜炎は,本症を鑑別におく必要がある.利益相反:利益相反公表基準に該当なし文献1)YamamotoCA,CHattoriCT,CShimadaCHCetal:Mycobacteri-umabscessuscornealulcerfollowingsuturedclearcorne-alcataractincision.JpnJOphthalmolC54:499-500,C20102)上田真由美,外園千恵:非定型抗酸菌角膜炎.臨眼C70:C217-222,C20163)TurnerCL,CStinsonI:MycobacteriumCfortuitum.CasCaCcauseCofCcornealCulcer.CAmCJCOphthalmolC60:329-331,C19654)KheirCWJ,CSheheitliCH,CFattahCMACetal:NontuberculousCmycobacterialCocularinfections:aCsystematicCreviewCofCtheliterature.BioMedResIntC2015:164989,C20155)RunyonEH:Anonymousmycobacteriainpulmonarydis-ease.MedClinNorthAmC43:273-290,C19596)AkramSM,RathishB,SalehD:Mycobacteriumchelonaeinfection.StatPearls[Internet]C,CStatPearlsCPublishing,CTreasureIsland,USA,20237)BostanCC,CSlimCE,CChoremisCJCetal:SuccessfulCmanage-mentCofCsevereCpost-LASIKCMycobacteriumCabscessusCkeratitisCwithCtopicalCamikacinCandClinezolid,C.apCablation,CandCtopicalCcorticosteroids.CJCCataractCRefractCSurgC45:C1032-1035,C20198)YamaguchiCT,CBissen-MiyajimaCH,CHori-KomaiCYCetal:CInfectiouskeratitisoutbreakafterlaserinsitukeratomile-usisCatCaCsingleClaserCcenterCinCJapan.CJCCataractCRefractCSurgC37:894-900,C20119)山口剛史,鈴木崇:放線菌・非定型抗酸菌による細菌性角膜炎─見逃してはならない非典型例.臨眼C73:1406-1411,C201910)笹川智幸,阿部達也,大石正夫:非定型抗酸菌角膜炎のC1例.日眼会誌C100:464-470,C199611)MirateCDJ,CHullCDS,CSteelCJHCJrCetal:MycobacteriumCcheloneikeratitis:aCcaseCreport.CBrCJCOphthalmolC67:C324-326,C198312)RobinJB,BeattyRF,DunnSetal:Mycobacteriumchelo-neiCkeratitisCafterCradialCkeratotomy.CAmCJCOphthalmolC102:72-79,C198613)宮瀬太志,坂井翔太,小澤憲司ほか:診断ならびに治療に難渋したCMycobacteriumchelonaeによる角膜潰瘍のC1例.眼科C64:173-179,C202214)DalovisioCJR,CPankeyCGA,CWallaceCRJCetal:ClinicalCuse-fulnessCofCamikacinCandCdoxycyclineCinCtheCtreatmentCofCinfectionduetoMycobacteriumfortuitumandMycobacte-riumchelonei.RevInfectDisC3:1068-1074,C198115)HyonCJY,CJooCMJ,CHoseCSCetal:ComparativeCe.cacyCofCtopicalCgati.oxacinCwithCcipro.oxacin,Camikacin,CandCclar-ithromycinCinCtheCtreatmenCofCexperimentalCMycobacteri-umCchelonaeCkeratitis.CArchCOphthalmolC122:1166-1169,C200416)AbshireCR,CCockrumCP,CCriderCJCetal:TopicalCantibacte-rialtherapyformycobacterialkeratitis:potentialforsur-gicalCprophylaxisCandCtreatment.CClinCTherC26:191-196,C2004C***

Mycobacterium gordonaeによる難治性角膜炎の1例

2014年5月31日 土曜日

《第50回日本眼感染症学会原著》あたらしい眼科31(5):733.736,2014cMycobacteriumgordonaeによる難治性角膜炎の1例川口亜佐子*1三間由美子*2三宅瞳*3宮﨑大*4井上幸次*4藤原弘光*5*1鳥取県立中央病院眼科*2関西医科大学附属滝井病院眼科*3社会保険滋賀病院眼科*4鳥取大学医学部視覚病態学*5鳥取大学医学部附属病院検査部ACaseofIntractableKeratitisCausedbyMycobacteriumgordonaeAsakoKawaguchi1),YumikoMitsuma2),HitomiMiyake3),DaiMiyazaki4),YoshitsuguInoue4)HiromitsuFujiwara5)and1)DepartmentofOphthalmology,TottoriPrefecturalCentralHospital,2)DepartmentofOphthalmology,KansaiMedicalUniversityTakiiHospital,3)DepartmentofOphthalmology,SocialInsuranceShigaHospital,4)DivisionofOphthalmologyandVisualScience,FacultyofMedicine,TottoriUniversity,5)DepartmentofClinicalLaboratory,TheUniversityofTottoriHospital目的:角膜擦過物より非定型抗酸菌Mycobacteriumgordonaeが分離され,薬物治療が可能であった難治性角膜炎の報告.症例:40歳,女性.CL使用歴なし.左眼の羞明,眼痛にて前医を受診,角膜炎としてステロイド点眼を処方されたが改善せず,その後さらに2カ所の眼科を経て発症から9カ月後難治性角膜ヘルペス疑いにて紹介受診した.左眼視力30cm指数弁,左眼は著明な毛様充血を認め,角膜全体の浮腫,中央の表層性の角膜混濁とDescemet膜皺襞,不正な上皮欠損を認めた.ミノサイクリン内服とトブラマイシン点眼を使用したが改善しないため,スルファメトキサゾール/トリメトプリム(ST)合剤内服に変更したところ,角結膜の炎症所見は徐々に軽快し,同時に病巣部よりMycobacteriumgordonaeが検出された.その後ST合剤内服とアミカシン点眼を継続して初診約4カ月半後には病巣は瘢痕治癒した.結論:薬物治療に抵抗する緩徐に進行する角膜炎を診察した際には,非定型抗酸菌感染も疑って長期の抗酸菌培養を行うべきである.Purpose:ToreportacaseofintractablekeratitiscausedbyMycobacteriumgordonae,thatwassuccessfullytreatedbymedicaltherapyalone.Case:A40-year-oldfemaleconsultedalocalpractitionerwithphotophobiaandpaininherlefteye.Afterunsuccessfultreatmentwithtopicalsteroidandvarioustreatmentsat2otherclinics,shewasreferredtouswithsuspectedherpetickeratitis,9monthsafteronset.Correctedvisualacuityofthelefteyewasfingercount.Slitlampexaminationrevealedciliaryinjection,diffusecornealedema,irregularepithelialdefect,Descemet’smembranefoldandanteriorstromalinfiltratesonherleftcentralcornea.Shewastreatedwithminocyclineandtopicaltobramycin,butdidnotimproved.Afterswitchingtotrimethoprim-sulfamethoxazolecombination,therewasgradualimprovement.Mycobacteriumgordonaewasidentifiedfromthefocus.Thereafter,trimethoprimsulfamethoxazoleandtopicalamikacinwereusedcontinually,thefocusscarredafter4monthsandahalf.Conclusions:Inthediagnosisofintractable,slowlyprogressingkeratitis,thepossibilityofatypicalacid-fastbacillusinfectionshouldberecognized,andlong-termculturetargetingacid-fastbacillishouldbeconsidered.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)31(5):733.736,2014〕Keywords:難治性角膜炎,非定型抗酸菌,Mycobacteriumgordonae,保存的治療.intractablekeratitis,atypicalmycobacterium,Mycobacteriumgordonae,medicaltherapy.はじめにMycobacteriumchelonaeによる角膜炎の報告が急増してい非定型抗酸菌による角膜炎はきわめて稀な疾患であり,以る1).非定型抗酸菌は増殖が遅いため,角膜炎の進行も緩徐前は外傷後や全層角膜移植後の報告がほとんどであったが,で薬剤に対する反応も乏しく診断が遅れることが多い2).今近年laserinsitukeratomileusis(LASIK)の普及により回筆者らは難治性角膜ヘルペスとして紹介されたが角膜擦過〔別刷請求先〕川口亜佐子:〒680-0901鳥取市江津730鳥取県立中央病院眼科Reprintrequests:AsakoKawaguchi,M.D.,DepartmentofOphthalmology,TottoriPrefecturalCentralHospital,730Edu,Tottorishi,Tottori680-0901,JAPAN0910-1810/14/\100/頁/JCOPY(107)733 物より非定型抗酸菌であるMycobacteriumgordonaeが分離され,それに対する薬物治療が有効であった角膜炎の1例を経験したので報告する.なお本症例報告の執筆・投稿について患者の自由意思による同意を得た.I症例患者:40歳,女性.主訴:左眼視力低下,眼痛.既往歴:なし.生活歴:発症時しいたけ栽培場でアルバイト.コンタクトレンズ(CL)使用歴なし.現病歴:2011年9月頃左眼の眼痛と羞明を自覚し近医Aを受診した.角膜炎としてステロイド点眼の処方を受けたが症状の改善がないため近医Bを受診.角膜ヘルペスを疑われアシクロビル眼軟膏の投与を受けて一旦軽快したが,減量に伴い徐々に増悪したため2012年3月総合病院Cを紹介受診した.アシクロビル眼軟膏,ベタメタゾン点眼,ガチフロキサシン点眼,ベタメタゾン内服で経過観察するも明らかな改善を認めないため,2012年6月難治性角膜ヘルペスとして鳥取大学医学部附属病院紹介となった.初診時所見:視力は右眼1.0p(1.2×cyl(.0.75DAx90°),左眼30cm指数弁(矯正不能)で,眼圧は右眼8mmHg,左眼9mmHgであった.左眼結膜に毛様充血を認めた.角膜は全体に浮腫があり,中央に不整な上皮欠損とDescemet膜皺襞,比較的境界明瞭な表層性混濁を認め,一部菲薄化を伴っていた(図1a,b).また鼻下側周辺と耳上側にも表層性混濁を認め,角膜下方に陳旧性の角膜後面沈着物を軽度認めた.前房内の細胞は角膜浮腫により確認が困難であったが,前房蓄膿およびフィブリンはなかった.角膜知覚は左右とも60mmであった.経過:前医でのオフロキサシン眼軟膏,バラシクロビル内服,ベタメタゾン内服をそのまま継続とし,病因検索のため角膜中央の病変部を擦過し各種検査に供した.鏡検ではグラム陽性球菌と桿菌を少数ながら認めたがZiehl-Neelsen染色法で抗酸菌は認めなかった.単純ヘルペスウイルス(herpessimplexvirus:HSV),水痘帯状疱疹ウイルス(varicellazostervirus:VZV),アカントアメーバのDNAをreal-timePCR(polymerasechainereaction)で検索したところいずれも陰性であり,bacteriaDNAが4,771copies/sampleであった.培養は細菌・真菌ともに陰性で,抗酸菌は初診6日目の時点で陰性であった.検査結果よりHSVの関与の可能性が否定されたため,バラシクロビル内服を中止とし,トブラマイシン点眼とミノサイクリン内服200mg/日を追加した.また,同時に2回目の角膜擦過を行い培養に提出したが細菌・真菌ともに陰性であった.初診2週後から4週後にかけてベタメタゾン内服を漸減中止したところ毛様充血と角膜734あたらしい眼科Vol.31,No.5,2014炎症が増悪したため(図2),初診4週後に3回目の角膜擦過検査を行った.鏡検ではグラム陽性球菌を少数ながら認めた.Real-timePCRではHSV,アカントアメーバDNAはともに陰性で,bacteriaDNAは2070copies/sampleであった.投薬変更後も角膜炎症の改善が得られなかったため,初診5週後にトブラマイシン点眼とミノサイクリン内服を中止としてセフメノキシム点眼とスルファメトキサゾール/トリメトプリム(以下,ST合剤)4錠/日を開始したところ,初診6週後には毛様充血,角膜浮腫の軽快傾向を示した(図3).また,この頃初診時の角膜擦過物の抗酸菌培養陽性が判明した.さらに初診8週後にはこの抗酸菌がMycobacteriumgordonaeであることが同定され,0.5%アミカシン点眼を追加した.その後,毛様充血,角膜浮腫と混濁は徐々に軽快していった.後の感受性試験の結果では,アミカシン,ST合剤ともに感受性を示し,特にST合剤に対して非常に強い感受性を示した(表1).初診18週後には角膜は瘢痕化し(図4),以後アミカシン点眼,ST合剤を漸減中止して現在まで再発を認めていない.II考按非定型抗酸菌は結核菌,らい菌以外の培養可能な抗酸菌群の総称で,現在60種類以上の菌種が確認されている.結核菌が生体内のみで繁殖するのに対して非定型抗酸菌は土壌,塵埃,湖沼などの自然界に広く存在しており,概してヒトに対する感染力や病原性は低いため,一般的に免疫不全状態や基礎疾患を有する場合に日和見感染菌として感染症を生じる3).非定型抗酸菌のなかで角膜炎を引き起こすおもなものはMycobacteriumchelonaeとMycobacteriumfortuitumであり,前者によるものが大部分を占める.Mycobacteriumchelonaeによる角膜炎の危険因子としてLASIKの他に角膜異物,眼外傷,ソフトCL装用,全層角膜移植後,白内障術後,観血的後.切開術後,角膜抜糸後,放射状角膜切開術後,ステロイド点眼使用があげられる.外傷後では2.8週後に,LASIK後は1.4週後に発症することが多い2).Mycobacteriumchelonaeによる角膜炎はまず実質内に球状の浸潤を形成し,放射状に進展しひび割れたフロントガラス様所見(crackedwindshieldappearance)を呈することが特徴とされている4).進行するとさらに実質内に広がり辺縁が不整で羽毛状の所見を呈する5).治療は病巣擦過とアミカシン点眼を主体として,クラリスロマイシンやトブラマイシン,シプロフロキサシン,第4世代キノロンなどを併用するが6,7),化学療法単独では反応が不良で,症例の約半数は角膜移植などの手術療法の併用が必要となる2).Mycobacteriumgordonaeによる角膜感染症は非常に少なく,これまでの既報のものは筆者らの調べた限り3例のみで(108) 図1a初診時前眼部写真図1b初診時フルオレセイン染色写真菲薄化を伴った不整な形状の表層性混濁を認める.不整な形状の上皮欠損を認める.図2初診4週後前眼部写真著明な毛様充血,角膜浮腫を認める.図3初診6週後前眼部写真毛様充血,角膜浮腫の軽快を認めた.図4初診18週後前眼部写真角膜中央の混濁は瘢痕化した.表1分離されたMycobacteriumgordonaeの薬剤感受性薬剤名MIC(μg/ml)ストレプトマイシンイソニアジドリファンピシンエタンブトールカナマイシンエチオナミドレボフロキサシンピラジナミドアミカシンクラリスロマイシンリファブチンST合剤<0.061<0.0320.12540.5400<0.5<0.03<0.08<0.002MIC:最小発育阻止濃度.(109)あたらしい眼科Vol.31,No.5,2014735 ある8.10).異物の飛入と角膜移植の既往が1例ずつあり,残りの1例と本症例には特に既往はない.しかし,本症例の患者は発症以前からしいたけ栽培場で働いており,洗浄用にためてある水が眼に入ることがあったといい,これが誘因となった可能性がある.罹病期間はいずれも長く,診断まで少なくとも8カ月,治癒までは12カ月以上に及んでいる.また,経過中角膜ヘルペスや原因不明の角膜炎としていずれもステロイド点眼が使用されており,これが悪化の要因となっていたと考えられる.本症例を含めて病変は境界不明瞭で羽毛状所見を呈し,時に衛星病巣を形成しており,Mycobacteriumchelonaeや実質型角膜ヘルペス,真菌(糸状菌),放線菌との鑑別が困難である.今回の症例では角膜擦過物サンプルのHSVDNA(DNApolymerase),VZVDNA(DNApolymerase),アカントアメーバDNA(18SrDNA)のreal-timePCRを行うことにより,初期からこれらの疾患を除外することができた.また,bacteriaDNA(16SrDNA)については,抗酸菌を含めてほぼすべての細菌を検出するものであり1回目のPCRで4,771copies/sample認めた.量的には少なく,眼表面の常在菌を検出していた可能性もあったため,細菌感染とこれのみで診断することはできなかったが,抗菌薬治療を継続・変更していくうえで参考となった.すべての症例でアミカシン点眼を主体とした治療を行っているが,本症例以外はすべて複数回の治療的角膜移植を必要としているおり,今回の症例はST合剤を使用し,外科的治療によらず保存的に治療しえた初めての症例である.非定型抗酸菌は,培養時のコロニーの発育速度,着色,光発色性の有無によりRunyon分類とよばれる4群に分類されている.このなかでMycobacteriumchelonaeは1週間以内に発育する迅速発育菌に,Mycobacteriumgordonaeは発育まで2.3週間かかる遅発育菌群に分類されている3).Mycobacteriumchelonaeによる角膜炎は進行が遅いために診断が困難であるが,Mycobacteriumgordonaeによる角膜炎はさらに進行が遅く,薬剤への反応に乏しくなることが推測されるため診断はより困難で難治になると思われる.本症例の経験から,薬物療法に抵抗する緩徐に進行する難治性角膜炎を診察した際には,非定型抗酸菌による可能性について検討したほうがよいと思われた.またST合剤はMycobacteriumgordonaeに対して有効である可能性が示唆された.また,本症例では,初期から抗酸菌感染を疑って,塗抹検鏡でZiehl-Neelsen染色まで行ったが,検出できておらず,おそらく菌数が少ないことによると思われるが,それにもかかわらず,6週間という長期の培養を行うことによってようやく菌の検出と同定を行うことができた.抗酸菌の感染を疑った場合は,塗抹検鏡でたとえ陰性でも,それをターゲットとして,しかも,1カ月以上長期に培養するつもりで検体を提出するべきであると考えられる.利益相反:利益相反公表基準に該当なし文献1)RevigilioV,RodriguezML,PicottiGSetal:Mycobacteriumchelonaekeratitisfollowinglaserinsitukeratomileusis.JRefractSurg14:357-360,19982)阿部達也:Mycobacteriumchelonae角膜炎.あたらしい眼科22:199-200,20053)二木芳人:非定型抗酸菌.臨床と微生物29:61-65,20024)BroadwayDC,Kerr-MuirMG,EykynSJetal:Mycobacteriumchelonaekeratitis:acasereportandreviewofpreviousreportedcases.Eye8:134-142,19945)笹川智幸,阿部達也,大石正夫:非定型抗酸菌角膜炎の1例.日眼会誌100:464-470,19966)松田英伸,酒井康弘,阿部春樹:Mycobacteriumchelonaeによる角膜炎の1例.眼臨紀3:5-9,20107)HyonJY,JooMJ,HoseSetal:Comparativeefficacyoftopicalgatifloxacinwithciprofloxacin,amikacin,andclarithromycininthetreatmentofexperimentalMycobacteriumchelonaekeratitis.ArchOphthalmol122:11661169,20048)MooreMD,NewtonC,KaufmanHE:ChronickeratitiscausedbyMycobacteriumgordnae.AmJOphthalmol102:516-521,19869)SossiN,FeldmanRM,FeldmanSTetal:Mycobacteriumgordonaekeratitisafterpenetratingkeratoplasty.ArchOphthalmol109:1064-1065,199110)TelahunA,WaringGO,GrossniklausHE:Mycobacteriumgordonaekeratitis.Cornea11:77-82,1992***736あたらしい眼科Vol.31,No.5,2014(110)