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アイモ24plus(1)の使用経験とHumphrey視野計との比較

2018年8月31日 金曜日

《第28回日本緑内障学会原著》あたらしい眼科35(8):1117.1121,2018cアイモ24plus(1)の使用経験とHumphrey視野計との比較北川厚子.清水美智子.山中麻友美北川眼科医院ExperienceinUsing“imo”24plus(1)andComparisonwithHFAAtsukoKitagawa,MichikoShimizuandMayumiYamanakaCKitagawaEyeClinic目的:アイモC24plus(1),AIZEとCHumphrey視野計(HFA)30-2,SITA-Standardの比較.対象および方法:過去C1年以内にCHFA検査を受け,次にアイモ検査を受け,ともに検査内容をよく理解し,固視良好で,信頼性の高い25例50眼(平均年齢57.4C±10.3歳)を対象とし,アイモ,HFAそれぞれのCMD値,PSD値,VFI値,両眼トータル検査時間を対応のあるCt検定を用いて比較検定した.また,アイモ検査後にアンケート調査を行った.結果:アイモおよびCHFAのCMD値,PSD値,VFI値,検査時間はそれぞれ順に,アイモ(C.3.4±2.9dB,5.0C±3.4dB,92C±9%,5.8C±0.9分),HFA(C.3.4±3.6CdB,5.2C±4.0CdB,93C±10%,14.5C±2.1分)であった.MD,PSD,VFIは両者に有意差がなく,検査時間は,アイモが有意に短かった.アイモ検査後に行ったアンケート調査では検査時間が短く,両眼解放下の検査が楽との理由から,88%の患者が次回の視野検査はアイモを選択した.結論:比較的年齢の若い早期.中期の緑内障では,アイモC24plus(1)はCHFA30-2の結果とよく相関し,また両眼開放下に短時間に行えることにより検査のストレスが軽減された.Theaimofthisstudyistocompare“imo”24plus(1)C,AIZEwithHFA30-2,SITA-Standard.Inthisstudy,50eyesof25glaucomapatients(57.4C±10.3yearsofage)whohadgood.xationunderwentHFAtestingwithinthepreviousyearandthenthe“imo”test.Wecomparedthemusingt-examination.InspectionitemswereMD,PSD,VFIandtotaltimefortestingbotheyes.Aquestionnairesurveywastakenafter“imo”testing.Resultof“imo”forMD,PSD,VFIandtestingtimewas.3.4±2.9CdB,5.0±3.4CdB,92±9%and5.8C±0.9minutes;thatforHFAwas.3.4±3.6CdB,5.2±4.0CdB,93±10%and14.5C±2.1minutes.Therewasnosigni.cantdi.erenceexceptininspectiontime,whichissigni.cantlyshorterusing“imo”thanHFA.Thequestionnaireresultshowsthat88%ofthepatientschosetohavecampimetryusing“imo”becauseinspectiontimeisshorteranditiseasytoundergowithbotheyesopen.CInCmiddle-agedCpatientsCwithCearlyCorCmiddle-stageCglaucomaCtheCresultCof“imo”andCHFACareCcorrelated.CAlso,“imo”reducedthestressofvisual.eldtestingthroughshortertestingtimeandtestingwithoutocclusion.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)C35(8):1117.1121,C2018〕Keywords:視野,アイモC24plus(1),両眼開放下検査,検査時間.visual.eld,“imo”24plus(1)C,binocularran-domsingleeyetest,testingtime.Cはじめに新しいコンセプトのもと開発された静的視野計「アイモCR」を緑内障患者に使用し,従来のHumphrey視野計(Humphrey.eldCanalyzer:HFA)と比較検討した.アイモはコンパクトで持ち運べるヘッドマウント型の視野計で暗室環境を必要とせず,両眼の視野を同時に測定することが可能となっている(図1).しかしながら重さがC1.8Ckgあり,最短C5分間の検査でも頭部の安定性に欠ける例もあることから,スタンドに接合した据え置き仕様を用い,安定した頭部固定のもと検査を行った(図2).アイモは透過型フルCHDのCLCD,および高輝度CLEDバックライトを使用し,HFAと同じ条件下で視野検査が可能である.また,左右眼で独立した光学系を搭載しており,被検者の両眼開放された各眼に個別に視標を呈示する.被検者は〔別刷請求先〕北川厚子:〒607-8041京都市山科区四ノ宮垣ノ内町C32北川眼科医院Reprintrequests:AtsukoKitagawa,KitagawaEyeClinic,32Kakinouchi-cho,Shinomiya,Yamashina-ku,Kyoto-City607-8041,CJAPAN両眼を開放したまま左右両方に表示される固視標を融像,固視しながら検査を受けることとなる(図3).また,近赤外線カメラで左右の瞳孔を個別にモニターし固視監視を行い,固視ズレが生じた場合は自動補正する機構を備えており,検査時間の短縮や固視ズレの解消を図っている1.4,7).アイモの検査アルゴリズムは,全点閾値とアイモオリジナルのCAIZEがある.AIZEはCZEST法を用い,各検査点での被検者の応答情報を周辺に作用させることにより,各検査点の閾値をより短時間で正確に測定する.アイモの検査モードにはCHFAに準じたC30-2,24-2,10-2に加え,24-2の検査点をベースにC10-2の検査点を一部追加したC24plus(測定図1ヘッドマウント型アイモの外観図2据え置き仕様による検査左眼右眼被検者に見えている画面図3被検者の融像(左眼視野と右眼視野→融像後の視野)表1検査配列検査配列測定点数HFA30-276点24plus(1)36点概要C30°内の視野をC6°間隔でC76点測定するアイモオリジナルの検査配列.C30°内の重要な部位C36点を測定するアイモ24plus(1)HFA30-2図4アイモ24plus(1)とHFA30.2の検査配列図(左眼)緑内障C52歳,男性,グレースケールのC1例.点C78点),24plusのうち疾患の生じやすい部位に重点配置したC24plus(1)(36点)などのモードが搭載されている.また,さらなる時間短縮のためのアルゴリズムCAIZE-Rapidも使用可能である(表1).図4にアイモC24plus(1)とCHFA30-2の検査配列図と緑内障C52歳,男性の各々のグレースケールの例を示す1.3).本研究では,アイモC24plus(1),AIZEとCHFA30-2,SITA-Standardの検査結果および検査所要時間を比較検討し,さらに検査後のアンケート結果から患者満足度について評価することを目的とした.検査配列の違いによる影響は,Khouryらや馬場らにより報告されており,HFA30-2とC24-2に実質的な差がないことが示されている5,6).本研究では,HFA24-2とはさらに検査配列の異なるアイモC24plus(1)と現在多用されているHFA30-2の比較検討を行った.CI対象および方法2016年C10月.2017年C4月に北川眼科医院を受診し,視野検査アイモC24plus(1)を受け,さらに過去C1年以内にHFA30-2を受けていた緑内障患者のうち,アイモ,HFAともに検査内容をよく理解し,固視が良好で信頼性の高い25例C50眼を対象とした.男女比はC13:12,平均年齢はC57.4±10.3歳であった(表2).50眼につきアイモC24plus(1)とCHFA30-2それぞれの表2患者背景平均±標準偏差年齢(歳)C57.4±10.3眼数25症例50眼性別男性C13人,女性C12人偽陽性(%)C※C3.1±6.4偽陰性(%)C※C3.3±3.8固視不良(%)C※C8.3±10.4※直近のCHFA結果よりMD[dB]表3MD,PSD,VFI,検査時間の平均値,標準偏差,検定結果アイモC24plus(1)CHFA30-2p値MD(dB)C.3.4±2.9C.3.4±3.6C0.87PSD(dB)C5.0±3.4C5.2±4.0C0.37VFI(%)C92±9C93±10C0.62検査時間(分)C5.8±0.9C14.5±2.1<C0.001MD値,PSD値,VFI値,両眼トータル検査時間を対応のあるCt検定を用いて比較検討し,また検査後にアンケート調査を行った.CII結果アイモC24plus(1)とCHFA30-2のCMD,PSD,VFIの相関を図5に示す.それぞれの相関係数はCMD(r=0.80,p<0.001),PSD(r=0.91,p<0.001),VFI(r=0.84,p<0.001)となった.近似直線の傾きはそれぞれC0.98,1.08,0.92,切片はC.0.11,C.0.16,+0.08となった.平均値はアイモ,HFAの順にCMD(C.3.4±2.9CdB,C.3.4±3.6CdB,p=0.87),PSD(5.0C±3.4CdB,5.2C±4.0CdB,p=0.37),VFI(92C±9%,93C±10%,p=0.62),と有意差がないことが示された(図6,表3).検査時間はアイモC24plus(1)がCHFA30-2に比べ有意(p<0.001)に短かった(表3).アイモ検査終了後に,次回の視野検査はどちらを希望するかアンケート調査を行ったところ,アイモを選択がC88%,HFAを選択がC4%,8%はどちらでもよいとの回答であった.アイモを選んだ理由は,「検査時間が短くて楽だった」「両眼開放下の検査だったから」などがおもな理由であった(図7).CIII考按今回アイモC24plus(1),HFA30-2の比較検討を行った.ともに固視が良好で正確な検査ができたC25例C50眼を対象とした.MD,PSD,VFIはそれぞれ相関係数CrがC0.80,0.91,0.84と高い相関を示し,有意差がないことも示された.検査時間はアイモC24plus(1)がCHFA30-2に比べ有意(p<0.001)に短かった.また,検査後にアンケートを行ったが,次回の視野検査はアイモを選択した患者がC88%であった.理由は時間が短い,両眼開放下の検査は楽などであった.対象となったC25人は平均年齢がC57.4C±10.3歳と比較的若く,またCMD値,PSD値,VFI値が平均各々C.3.4±2.9dB,C5.0±3.4dB,92C±9%と早期.中期の緑内障であった.両者のCMD値,PSD値,VFI値の相関がよかった理由としては,比較的若い年齢層が対象となっており,検査への理解度が高かったこと,対象の病期が早期.中期に多く,24plus(1)の外側(検査点の存在しない部分)に暗点のある症例が少なかった可能性があること,MD/PSD/VFIが中心付近の重み付けが大きい指標であるため,中心部を正確に検査できれば相関がよくなる可能性があることなどが考えられる.また,アイモC24plus(1)ではC36点と少ない検査点であっても,病変の生じやすい部位に重点配置されていることも相関が高かった一因と考えられる.検査時間については,Khouryらの報告にCHFA24-2とC30-2の比較の報告があり,24-2が平均C10分C24秒,30-2が平均C14分C25秒となっており,検査点数はC24-2がC54点,30-2がC76点と検査点数に応じてC24-2の検査時間は約C3割の短縮となっている5).アイモC24plus(1)は検査点C36点であるが検査点の割合からいっても検査時間は有意に短い(平均C5分C48秒).左右の瞳孔を個別に固視監視し,固視ずれを自動補正する機構やアイモオリジナルのアルゴリズムであるAIZEが有効に働き,検査時間の短縮につながった可能性がある.以上より,アイモは早期.中期の緑内障においてはその検図7アンケート結果(次回希望検査と理由)査結果のグローバルインデックスについてCHFAと有意差がないこと,また両眼開放下に短時間で行えるなど,従来つらい検査であった視野検査のストレスが減ることにより,緑内障診療に有用であることが示唆された.ただし,検査配列の違いがアンケート結果に影響を与えている可能性があり,より多くの集団による比較検討が今後の課題と考えられる.利益相反:利益相反公表基準に該当なし文献1)松本長太:新しい視野検査.日本の眼科C88:452-457,C20172)澤村裕正,相原一:11.ヘッドマウント視野計アイモCR.眼科58:869-878,C20163)後関利明,井上智,大久保真司ほか:最新機器レポート「ヘッドマウント型視野計アイモCR」.神経眼科C34:73-80,C20174)MatsumotoC,YamaoS,NomotoHetal:Visual.eldtest-ingCwithChead-mountedCperimeter‘imo’.CPLoSCOneC11:Ce0161974,C20165)KhouryCJM,CDonahueCSP.CLavinCPJCetCal:ComparisonCofC24-2and30-2perimetryinglaucomatousandnonglauco-matousCopticCneuropathies.CJCNeuroophthalmologyC19:C100-108,C19996)馬場こまき,赤池なぎさ,原沢佳代子ほか:自動視野計ハンフリー・中心C24-2プログラムの臨床応用.日本視能訓練士協会誌19:87-94,C19917)GosekiCT,CIshikawaCH,CShojiCN:BilateralCcocurrentCeyeCexaminationCwithCaChead-mountedCperimeterCforCdiagnos-ingCfunctionalCvisualCloss.CNeuroophthalmologyC40:281-285,C2016***