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アジマイシン点眼液1%の抗菌活性の経年的推移に関する 特定使用成績調査

2025年12月31日 水曜日

《原著》あたらしい眼科42(12):1566.1576,2025cアジマイシン点眼液1%の抗菌活性の経年的推移に関する特定使用成績調査鳥山浩二*1水田藍*2坂本祐一郎*2末信敏秀*2井上幸次*3*1愛媛大学医学部眼科学教室*2千寿製薬株式会社*3日野病院Post-MarketingSurveillanceofAZIMYCINOphthalmicSolution1%:TrendsinAntimicrobialActivityOverTimeKojiToriyama1),AiMizuta2),YuichiroSakamoto2),ToshihideSuenobu2)andYoshitsuguInoue3)1)DepartmentofOphthalmology,EhimeUniversitySchoolofMedicine,2)SenjuPharmaceuticalCo.,Ltd.,3)HinoHospitalC目的:アジマイシン点眼液C1%(千寿製薬)の安全性,有効性,細菌学的効果および抗菌活性推移の検討を行うことを目的に,特定使用成績調査を実施した.対象と方法:細菌性外眼部感染症に対し,第C1期と第C2期の計C2回実施した.結果:各期における副作用発現率は,それぞれ第C1期:3.80%(19/500),第C2期:1.51%(8/529)であった.全般改善度により算出した有効率は第C1期:86.9%(391/450),第C2期:91.9%(397/432)であり,初診時検出菌の消失率は第C1期:75.1%,第C2期:72.0%であった.抗菌活性推移については,本剤の適応菌種における最小発育阻止濃度(MIC)に大きな変化はなく,耐性化は認められなかった.結論:本剤は細菌性外眼部感染症に対して有用な点眼薬であると評価された.CPurpose:ACPost-MarketingCSurveillanceCofCAZIMYCINCOphthalmicCSolution1%(SenjuCPharmaceuticalCCo.,Ltd.)wasconductedtoevaluateitssafety,e.cacy,bacteriologicale.ects,andtrendsinantimicrobialactivityovertime.SubjectsandMethods:ThisstudyfocusedonbacterialinfectionsoftheexternaleyeandwascarriedoutontwoCoccasions,CinCtheC.rstCperiodCandCtheCsecondCperiod.CResults:TheCincidenceCratesCofCadverseCdrugCreactionsCwere3.80%(19/500)inCtheC.rstCperiodCand1.51%(8/529)inCtheCsecondCperiod.CTheCe.cacyCrates,CbasedConCoverallCimprovement,Cwere86.9%(391/450)inCtheC.rstCperiodCand91.9%(397/432)inCtheCsecondCperiod.CTheCeradicationratesofthebacterialspeciesidenti.edattheinitialdiagnosiswere75.1%inthe.rstperiodand72.0%inthesecondperiod.Inregardtotrendsinantimicrobialactivity,nonotablechangesinminimuminhibitorycon-centrationwereobservedfortheindicatedbacterialspecies,andnoshifttoresistancewasobserved.Conclusion:AZIMYCINOphthalmicSolution1%contributestothetreatmentofbacterialinfectionsoftheexternaleye.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)42(12):1566.1576,C2025〕Keywords:アジスロマイシン,副作用,有効性,MIC,外眼部感染症.azithromycin,adversedrugreactions,e.cacy,minimuminhibitoryconcentration,infectionsoftheexternaleye.CI緒言2015年の世界保健総会で「薬剤耐性(antimicrobialCresis-tance:AMR)に関するグローバル・アクション・プラン」が採択されてからC10年が経過し,現在もその対策に各国が取り組んでいる.一方,わが国における外眼部感染症に対する治療の現状は,エンピリックに広域抗菌スペクトルを有するフルオロキノロン系抗菌薬が選択されることが多い.AMRの観点から抗菌点眼薬の選択肢を充実させるため,15員環マクロライド系抗菌薬であるアジスロマイシン(azithro-mycin:AZM)の点眼製剤である「アジマイシン点眼液1%」(以下,本剤)がC2019年に千寿製薬から上市された.本剤は製剤化技術「DuraSite,(SunCPharmaceuticalCIndustriesLtd.)」により薬剤滞留性が高められた製剤であり,投与期間は結膜炎症例ではC7日間,眼瞼炎,涙.炎および麦粒腫ではC14日間と上限が設けられており,点眼回数も少なく設定〔別刷請求先〕水田藍:〒541-0048大阪市中央区瓦町C3-1-9千寿製薬株式会社信頼性保証本部医薬情報企画部Reprintrequests:AiMizuta:MedicalInformationPlanningDepartment,Safety&QualityManagementDivision,SenjuPharmaceuticalCo.,Ltd.,3-1-9,Kawara-machi,Chuo-ku,Osaka541-0048,JAPANC1566(88)されている1).本剤の製造販売後の使用実態下におけるデータを医療現場に提供することで,医薬品の適正使用につなげることを目的に,抗菌活性の経年的推移に関する特定使用成績調査(以下,本調査)を第C1期と第C2期の計C2回実施した.第C1期の特定使用成績調査における安全性および有効性については,山際らが報告2)しているが,AZMに対する耐性化を確認するため,今回は計C2回の成績から本調査の主目的である抗菌活性推移について報告する.また,既報(第C1期)の結果2)に加え,第C2期における安全性および有効性についてもあわせて報告する.なお,本調査の初診時に検出された菌株に対するAZMを含むC7種類の抗菌薬の最小発育阻止濃度(minimuminhibitoryconcentration:MIC)値の検討結果については,すでに秦野らにより報告3)されているが,今回の報告は,再診が得られ,本剤の安全性および有効性評価が可能であった患者(調査完了症例)を対象としている.初診時検出菌の抗菌活性推移にとどまらず,本剤投与による初診時検出菌の消失率や,臨床的有効性をあわせて報告するものである.CII対象と方法1.調査対象および目標症例数本調査に参加した医療機関(病院の眼科または眼科を標榜している診療所.第C1期:46施設,第C2期:61施設)において,本剤の使用経験がなく,適応症である細菌性外眼部感染症(結膜炎・眼瞼炎・涙.炎・麦粒腫)に対して本剤が投与された患者を対象とし,目標症例数を各期C500例として実施した.なお,第C1期は2019年C9月C11日.2021年9月3日,第2期は2022年12月9日.2024年5月29日に実施し,初診時または再診時細菌検査未実施(再診なしを含む),規定日数外での再診時検査実施,契約例数超過,重複症例,契約期間外細菌検査実施および調査中止例は調査症例から除外した.C2.調査方法および調査項目本調査はプロスペクティブな調査であり,観察期間は本剤投与開始日から投与終了時までとした.細菌検査を除き,通常診療の範囲内で行われた検査の結果を収集し,再診時期については診察医に一任しており,本剤の投与期間内に再診のあった患者のみを対象としている.調査項目は,患者背景(性別,年齢,対象疾患,発症日,合併症,既往歴,アレルギー歴),本剤の使用状況,前治療薬・併用薬,併用療法(切開排膿や涙.洗浄などの薬物療法以外の治療),臨床症状(他覚的所見・自覚症状),全般改善度,細菌学的効果,有害事象とし,担当医師がCelectronicCdatacapture(EDC)に入力することで,データを収集した.なお,複数の疾患を併発している場合の対象疾患は,担当医師の判断により症状の重い疾患とした.本剤の投与開始前および再診時(本剤投与終了時の受診まで毎回)に患者の眼部(病変部)からスワブ〔第C1期:カルチャースワブプラス(日本ベクトン・ディッキンソン製),第C2期:トランスワブ(イワキ製)〕を使用して細菌検査用検体を採取し,輸送用培地を用いて阪大微生物病研究会に輸送し,菌の分離・同定を行った.さらに,分離菌に対するAZMのCMICをCClinicalCandCLaboratoryCStandardsCInsti-tute(CLSI)M100に準じた微量液体希釈法にて測定した.本調査は,GPSP省令(「医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令」平成C16年C12月C20日付厚生労働省令第C171号)を遵守して実施した.C3.安全性評価調査完了症例のうち,本剤未投与症例を除いた症例を安全性評価対象症例とした.本剤との因果関係にかかわらず,観察期間中に発現した医学的に好ましくないすべての事象(徴候,症状または疾病)を有害事象とし,そのうち本剤との因果関係が否定できないものを副作用として安全性評価対象症例における副作用発現状況を評価した.MedDRA/J(Ver.27.0)に基づき,それぞれの事象を器官別大分類(SOC)および基本語(PT)に分類し,SOCおよびCPTごとに副作用の発現症例数とその割合を集計した.C4.有効性評価安全性評価対象症例のうち,本剤の過量投与および有効性判定不能症例を除いた症例を有効性評価対象症例とし,有効性評価対象症例における全般改善度の有効率および臨床症状のスコア推移を評価した.全般改善度は,本剤投与終了・中止時に担当医師が「有効」「無効」「悪化」および「判定不能」のC3段階C4区分で本剤投与開始後の臨床症状および初診時検出菌の消失状況などにより総合的に判定した.このうち「有効」と判定された症例を有効症例として有効率を算出した.臨床症状は,眼局所抗菌薬の臨床評価方法に関するガイドライン4)に準じて他覚所見および自覚症状を各項目C0.3点でスコア化し(表1),本剤投与開始時および最終観察時の観察項目をすべて確認できた症例について本剤投与前後の合計スコアを比較した.C5.細菌学的効果安全性評価対象症例のうち,本剤の過量投与,本剤投与終了翌々日以降の検体採取および初診時検出菌陰性症例を除いた症例を細菌学的効果評価対象症例とし,細菌学的効果評価対象症例における初診時検出菌別の消失率を評価した.初診時に検出された菌種ごとに判定し,再診の際に同一の菌株が表1臨床症状の有効性評価基準項目対象疾患判定基準(各判定のスコア.:0点,C±:0C.5点,+:1点,++:2点,+++:3点)結膜炎眼瞼炎涙.炎麦粒腫共通C●C●C●C●C.±なしほとんどなし+眼瞼を翻転すれば,円蓋部結膜に眼脂を認める眼脂C●++眼瞼を翻転すれば,眼瞼結膜に眼脂を認める+++眼瞼を翻転しなくても,眼瞼縁または眼瞼皮膚に眼脂を認める+(結膜炎)軽度の充血を認めるC/(眼瞼炎)軽度または部分的な充血を認める結膜充血C●C●++中等度の充血を認める他覚所見+++高度の充血を認める眼瞼縁充血・眼瞼発赤C●++++++眼瞼縁の軽度の充血を認めるが眼瞼皮膚の発赤がない眼瞼縁の高度の充血を認めるが眼瞼皮膚の発赤がない眼瞼縁の潰瘍または眼瞼皮膚の発赤を認める睫毛根部の分泌物C●++++++数本の睫毛根部に分泌物を認める多数の睫毛根部に分泌物を認める分泌物により複数の睫毛が束になっている涙点からの逆流分泌物C●++++++圧迫で少量認める圧迫で多量認める自然に認める+腫脹を認める涙.部の腫脹C●++発赤を伴った腫脹を認める+++涙.皮膚瘻を形成している+部分的な腫脹を認める眼瞼腫脹C●++全体的に腫脹を認めるが開瞼可能+++全体的に腫脹を認め,開瞼不可能結膜充血・眼瞼発赤C●++++++眼瞼結膜の充血を認めるが眼瞼皮膚の発赤がない眼瞼結膜の充血と眼瞼皮膚の部分的な発赤を認める眼瞼結膜の充血と眼瞼皮膚全体の発赤を認める+時々ゴロゴロする異物感C●C●C●++ゴロゴロするが開瞼可能自覚症状+++たえずゴロゴロして開瞼不可能流涙C●C●C●C●++++++涙で眼が潤む涙が時々こぼれる涙が頻繁にこぼれる疼痛C●++++++押すと痛む痛むががまんできる痛くてがまんできない+少し痛い眼痛C●++痛いが開瞼可能+++痛くて開瞼不可能他覚所見および自覚症状を各項目C0.3点でスコア化.未検出の場合に「消失」として消失率を算出した.なお,異株の判定基準は金子らによる既報5)に準じ,初診時および終了時に同一菌種が分離された場合であっても,二つ以上の抗菌薬に対してCMICがC4倍以上異なる場合,または一つの抗菌薬に対してCMICがC8倍以上異なる場合には異株と判定し「消失」として取り扱った.ただし,初診時のCMICがC1Cμg/ml以下ではC8倍以上の誤差が生じる場合があるため,初診時のMICが2Cμg/ml以上の結果だけを用いて判定した.異株判定におけるCMIC測定は,AZMに加え,エリスロマイシン,ガチフロキサシン,レボフロキサシン,セフメノキシム,フラジオマイシン,クロラムフェニコールを用いた.C6.抗菌活性推移調査完了症例のうち,初診時検出菌陰性症例を除いた症例を抗菌活性推移評価対象症例とした.各期における抗菌活性推移評価対象症例の初診時検出菌に対するCAZMのCMICを比較し,累積発育阻止率曲線にて耐性化を確認することで,抗菌活性推移を評価した.なお,CLSIにおいて,MICC50およびCMICC90の算出にあたってはC30株以上を対象とすることが推奨されているが,本調査ではC10株以上検出された菌種に関して暫定的に算出した.また,黄色ブドウ球菌はオキサシリンの感受性にて,MICがC2Cμg/ml以下の黄色ブドウ球菌をメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(methicillin-suscepti-bleCStaphylococcusaureus:MSSA),4Cμg/ml以上のものをメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistantStaph-ylococcusaureus:MRSA)と分類した.C7.統計解析有効率および初診時検出菌別消失率の経年的な変化を確認するため,第C1期および第C2期の結果についてC|2検定もしくはCFisher正確確率検定(有意水準:両側C5%)を用いて解析を実施した.本剤投与前後の臨床症状スコアは,Wilcoxon符号付順位検定(有意水準:両側C5%)を用いて対象疾患ごとに比較した.CIII結果1.症例構成各期における症例構成図を図1に示した.第C1期,第C2期ともに調査完了症例の全例が安全性評価対象症例であった(第C1期:500例,第C2期:529例).有効性評価対象症例は,第C1期:450例,第C2期:432例であり,細菌学的効果評価対象症例は,第C1期:451例,第C2期:427例,抗菌活性推移評価対象症例は,第C1期:484例,第C2期:511例であった.C2.患者背景安全性評価対象症例における各期の患者背景の内訳を表2に示した.高齢者(65歳以上)の割合は,既報2)にある第C1期:59.8%(299/500)と同様に,第C2期:65.0%(344/529)と半数以上を占め,対象疾患は,第C1期では結膜炎がC56.2%(281/500)ともっとも多かったのに対し,第C2期においては眼瞼炎がC39.9%(211/529)と最多であった.C3.安全性安全性評価対象症例における各期の副作用発現状況を表3に示した.第1期における副作用の発現は19例(26件),発現率はC3.80%であり,2例以上に認められた副作用は「眼刺激」8例(結膜炎C6例,眼瞼炎C1例,麦粒腫C1例),「眼瞼炎」3例(結膜炎C2例,眼瞼炎C1例),「眼痛」2例(結膜炎C2例)および「眼の異物感」2例(結膜炎C1例,涙.炎C1例)であった.第C2期における副作用の発現はC8例(8件),発現率はC1.51%であり,2例以上に認められた副作用は「眼痛」3例(結膜炎C1例,眼瞼炎C1例,涙.炎C1例),「角膜上皮欠損」2例(眼瞼炎C1例,涙.炎C1例)であった.計C2回の調査を通して,第C2期でC1例認められた「頭痛」以外の副作用は添付文書にて注意喚起している事象であり,すべての副作用が非重篤であった.C4.有効性a.有効率(全般改善度)有効性評価対象症例における各期の有効率は,第C1期:86.9%,第C2期:91.9%であった(表4).対象疾患別の有効率について第C1期,第C2期で比較したところ,眼瞼炎に対する有効率は,第C2期(92.7%)が第C1期(75.9%)と比べ有意に高かった(p=0.0006).他のC3疾患の有効率に有意差は認めなかった.初診時検出菌別の有効率はブドウ球菌属では第C1期:87.5%,第C2期:92.1%,レンサ球菌属では第C1期:92.9%,第2期:95.0%,コリネバクテリウム属では第C1期:95.1%,第C2期:92.9%,アクネ菌では第C1期:88.0%,第C2期:94.5%,インフルエンザ菌では第C1期:84.6%,第C2期:100.0%であった(表5).第C1期,第C2期で比較したところ,グラム陽性菌全体および,ブドウ球菌属およびアクネ菌において第C2期で有意に有効率が高かった.Cb.臨床症状スコア有効性評価対象症例における対象疾患別の臨床症状(他覚的所見・自覚症状)スコア合計の推移を図2に示した.その結果,いずれの疾患においても計C2回の調査を通して,最終観察時のスコア合計は本剤投与開始時と比較して有意な低下を認めた.C5.細菌学的効果細菌学的効果評価対象症例における各期の初診時検出菌の消失率は,ブドウ球菌属では第C1期:75.9%,第C2期:73.0%,レンサ球菌属では第C1期:92.9%,第C2期:88.1%,コリネバクテリウム属では第C1期:79.6%,第C2期:78.6%,アクネ菌では第C1期:53.1%,第C2期:48.9%,インフルエンザ菌では第C1期,第C2期ともにC100.0%であった(表6).C6.抗菌活性推移抗菌活性推移評価対象症例における初診時検出菌に対するAZMのCMIC(最小値,最大値,MICC50,MICC90)を表7に示した.本剤の適応菌種に対するCMICは,第C1期,第C2期でおおむね同様の結果であった.外眼部感染症にて検出される調査完了症例:本調査に参加した医療機関にて細菌検査を実施した症例から本剤の投与経験あり,初診時または再診時細菌検査未実施(再診なしを含む),規定日数外での再診時検査実施,契約例数超過,重複症例,契約期間外細菌検査実施および調査中止例を除いた症例.安全性評価対象症例:調査完了症例から本剤未投与症例を除いた症例.有効性評価対象症例:安全性評価対象症例から本剤の過量投与および有効性判定不能症例を除いた症例.細菌学的効果評価対象症例:安全性評価対象症例から本剤の過量投与,本剤投与終了翌々日以降の検体採取および初診時検出菌陰性症例を除いた症例.抗菌活性推移評価対象症例:調査完了症例から初診時検出菌陰性症例を除いた症例.図1症例構成おもな菌種について作成した累積発育阻止率曲線を図3に示す.第C2期における阻止率曲線が,第C1期と比較し,耐性化を意味する右方シフトを示した菌種は認めなかった.CIV考察今回比較したC2回の調査における患者背景はおおむね同様の傾向であったが,対象疾患のみ大きく異なっており,第C2期における眼瞼炎の割合は,第C1期と比べ大幅に増加していた.これは,本剤が眼瞼炎の治療に有効であるとする報告6.8)により,眼瞼炎に使用する症例の割合が増加したものと考えられる.第C1期と比べ,第C2期における副作用発現率は低い傾向であり,とくに第C1期においてもっとも多く発現した副作用「眼刺激」が第C2期においては大きく減少していた.これは,第C2期の調査開始までの本剤上市後C3年の間に本剤の特性である刺激性が認識され,処方の際に医師から患者へ事前に伝えることで,結果として副作用件数の減少につながった可能性が考えられる.第C2期において発現した副作用は「頭痛」を除き,すべて前眼部の事象であり,山際らの報告2)にもあるように対象疾患による炎症に加え,ドライアイやアレルギー性結膜炎など,眼表面の状態が健全でない場合には,副作用として感知されやすくなることが推察された.全般改善度における有効率は,いずれの疾患においても第1期から第C2期にかけて経年的な低下は認められなかった.涙.炎症例における有効率は,第C1期,第C2期ともにほかの疾患と比べ低い傾向にあったが,これは慢性涙.炎は薬物治療では根治がむずかしく,抗菌薬投与ではなく外科的手術が推奨される疾患である9.12)ためと考えられる.眼瞼炎に関しても同様の傾向をもつ疾患であるが,眼瞼炎の疾患別での本剤の有用性に関する報告7,8)をもとに,第C2期ではより効果が期待できる症例に投与されたことにより,第C1期の有効率よりも有意に高い結果となった可能性が考えられる.検出菌種別の有効率は,第C1期におけるCMRSAのC62.1%を除いて良好な結果であった.MRSAは一般的にCAZMに対する感受性は不良だが,第C2期における有効率はC92.9%と良好であった.これは第C2期において検出されたCMRSAは比較的CMICが低い株も含まれていた(図3)ことが一因となっていると推察される.また,ブドウ球菌属およびアクネ菌における有効率は第C2期のほうが有意に高い結果であった.いずれも眼瞼炎で検出頻度の高い菌であり,第C2期における眼瞼炎の有効率が高かったことを反映していると考えられる.検出菌の消失率については,ブドウ球菌属,コリネバクテリウム属,アクネ菌がやや低い傾向にあり,有効率と乖離がみられた.これらの菌種は眼表面の代表的な常在菌であり,(93)表2患者背景本調査における検出菌については起炎菌か否かの検討はされていないため,一部常在菌が含まれていた可能性が考えられる.また,眼瞼炎など一部の外眼部感染症では症状の改善にあたらしい眼科Vol.42,No.12,2025C1571表3副作用発現率副作用発現状況第1期第2期全体結膜炎眼瞼炎涙.炎麦粒腫全体結膜炎眼瞼炎涙.炎麦粒腫安全性評価対象症例数C副作用の発現症例数C副作用の発現率500C281C63C48C108C529C167C211C54C9719C13C3C1C2C8C1C4C2C13.80%4.63%4.76%2.08%1.85%1.51%0.60%1.90%3.70%1.03%副作用の種類別発現症例数(発現率)眼障害眼刺激C眼瞼炎C眼痛C眼の異物感C角膜上皮欠損Cアレルギー性結膜炎C角膜浮腫C点状角膜炎C霧視C眼瞼紅斑C眼瞼浮腫C結膜充血C眼そう痒症C171231171321(3.40%)(4.27%)(4.76%)(2.08%)(0.93%)(1.32%)(0.60%)(1.42%)(3.70%)(1.03%)8611110C0C0C0(1C.60%)C(2C.14%)C(1C.59%)C(0C.93%)C(0C.19%)C(0C.47%)C3210C0C0C─C─C─C─(0C.60%)C(0C.71%)C(1C.59%)C2231110C0C0C0(0C.40%)C(0C.71%)C(0C.57%)C(0C.60%)C(0C.47%)C(1C.85%)C211110C0C0C0C0(0C.40%)C(0C.36%)C(2C.08%)C(0C.19%)C(1C.03%)2110C─C─C─C─C0C0(0C.38%)C(0C.47%)C(1C.85%)C110C0C0C0C─C─C─C─(0C.20%)C(0C.36%)C110C0C0C0C─C─C─C─(0C.20%)C(0C.36%)C110C0C0C0C─C─C─C─(0C.20%)C(0C.36%)C110C0C0C0C─C─C─C─(0C.20%)C(0C.36%)C110C0C0C0C─C─C─C─(0C.20%)C(1C.59%)C110C0C0C0C─C─C─C─(0C.20%)C(1C.59%)C110C0C0C0C─C─C─C─(0C.20%)C(1C.59%)C110C0C0C0C─C─C─C─(0C.20%)C(1C.59%)C感染症および寄生虫症211000────(0.40%)(0.36%)(0.93%)結膜炎C麦粒腫C110C0C0C0C─C─C─C─(0C.20%)C(0C.36%)C110C0C0C0C─C─C─C─(0C.20%)C(0C.93%)C一般・全身障害および投与部位の状態110000────(0.20%)(0.36%)投与部位不快感C110C0C0C0C─C─C─C─(0C.20%)C(0C.36%)C神経系障害110────000(0.19%)(0.47%)頭痛C110C─C─C─C─C0C0C0(0C.19%)C(0C.47%)CMedDRA/J(Ver.27.0)に基づき,それぞれの事象を器官別大分類(SOC)および基本語(PT)に分類,集計した.表4有効率(全般改善度)有効率(全般改善度)第1期第2期検定結果症例数有効全般改善度無効悪化有効率(%)症例数有効全般改善度無効悪化有効率(%)有効性評価対象症例C450C391C56C3C86.9C432C397C34C1C91.9C─対象疾患結膜炎C眼瞼炎C涙.炎C麦粒腫C249C54C43C104C219C41C34C97C28C12C9C7C2C1C0C0C88.0C75.9C79.1C93.3C123C179C48C82C114C166C39C78C9C12C9C4C0C1C0C0C92.7C92.7C81.3C95.1*p=0.1611*p=0.0006*p=0.7944**p=0.7576有効と判定された症例を「有効症例」として有効率を算出し,有効とそれ以外(無効・悪化)のC2群に分けて検定を実施した.*:|2検定.**:Fisher正確確率検定.表5初診時検出菌別有効率(全般改善度)初診時検出菌第1期第2期検定結果症例数全般改善度有効無効悪化有効率(%)症例数全般改善度有効無効悪化有効率(%)グラム陽性菌429C374C53C2C87.2C419C386C32C1C92.1C*p=0.0182ブドウ球菌属C335C293C40C2C87.5C330C304C26C0C92.1C*p=0.0474CStaphylococcusepidermidisC186C172C14C0C92.5C210C197C13C0C93.8C*p=0.5985CStaphylococcusaureus(MRSA)C29C18C10C1C62.1C14C13C1C0C92.9C**p=0.0667CStaphylococcusaureus(MSSA)C110C95C14C1C86.4C86C77C9C0C89.5C*p=0.5015その他のブドウ球菌属C59C53C6C0C89.8C75C70C5C0C93.3C**p=0.5350レンサ球菌属C28C26C1C1C92.9C40C38C2C0C95.0C**p=1.0000CStreptococcuspneumoniaeCその他のレンサ球菌属C2C26C2C0C0C24C1C1C100.0C92.3C5C35C5C0C0C33C2C0C100.094.3C検定不可**p=1.0000CCorynebacteriumCsp.CCCutibacteriumacnesCその他のグラム陽性菌C162C142C50C154C8C0C125C17C0C47C3C0C95.1C88.0C94.0C182C183C32C169C13C0C173C9C1C29C3C0C92.9C94.5C90.6C*p=0.3939*p=0.0350**p=0.6738グラム陰性菌85C76C8C1C89.4C70C61C9C0C87.1C*p=0.6608CHaemophilusin.uenzaeCその他のグラム陰性C13C72C11C2C0C65C6C1C84.6C90.3C6C64C6C0C0C55C9C0C100.0C85.9C**p=1.0000*p=0.4330初診時に該当菌種が検出された症例における全般改善度の有効率を算出した.有効と判定された症例を「有効症例」として有効率を算出し,有効とそれ以外(無効・悪化)のC2群に分けて検定を実施した*:|2検定.**:Fisher正確確率検定.必ずしも起炎菌を消失させる必要はなく,本剤は抗菌作用以外に抗炎症作用や,毒素産生抑制作用などをもつことも報告されている13,14)ため,それらの副次的効果も結果に影響を与えた可能性も考えられる.表皮ブドウ球菌における消失率は,第C1期と比べ,第C2期の結果が有意に低かった(p=0.0073)が,AZMに対するMICに変化はみられなかった.第C1期の調査2)において,結膜炎,涙.炎および麦粒腫よりも眼瞼炎における消失率は低くなる傾向にあり,第C2期でも同様の傾向であった.表皮ブドウ球菌は本調査においてもっとも多く検出された菌種であり,第C2期は第C1期よりも眼瞼炎の割合が高いことから,結果として第C2期における消失率が低くなったと推察される.子島らによる眼瞼炎に対する本剤の効果の研究結果15)では,原因菌と考えられた表皮ブドウ球菌の消失率はC80%との報告があり,後部眼瞼炎とマイボーム腺機能不全を併発した患者を対象とした島﨑らの報告16)では,結膜.から採取した検体におけるCMSSEの消失率はC66.7%(2/3株),MRSEではC100.0%(4/4株)であり,本調査の眼瞼炎症例における表皮ブドウ球菌の消失率と大きく乖離する結果ではなかった.本調査におけるアクネ菌に対するCAZMのCMICC90は計C2回の調査を通してC0.25Cμg/mlと良好な結果であった.本剤は後部眼瞼炎に対する治療効果が高いことが報告されている結膜炎症状スコア合計5第1期3.934第2期3.68321.02*0.810.9610.80.67*0.670投与開始時3±1日7±1日最終観察時第1期243例32例170例243例第2期121例10例100例121例76543210第1期第2期症状スコア合計眼瞼炎第1期5.09第2期44.422.27*2.751.931.821.41*0.751.16投与開始時3±1日7±1日14±2日最終観察時54例2例20例31例54例178例4例57例101例178例症状スコア合計涙.炎6第1期54.44第2期3.544.1533.252.051.81*21.671.921.55*11.260投与開始時3±1日7±1日14±2日最終観察時第1期43例2例22例21例43例第2期48例2例18例26例48例765症状スコア合計43210第1期第2期麦粒腫第1期第2期4.994.252.561.2*1.330.630.930.880.78*0.63投与開始時3±1日7±1日14±2日最終観察時101例29例32例23例101例80例8例44例20例80例図2臨床症状スコアの推移他覚所見および自覚症状の合計スコアは,本剤投与開始時および最終観察時の観察項目をすべて確認できた症例について本剤投与開始前後を比較した(最終観察時:各症例の再診の観察日を時系列で並べ,最後に観察された日).*:p<0.0001.投与開始時vs.最終観察時,Wilcoxon符号付順位検定.表6初診時検出菌の消失率第1期第2期初診時検出菌株数消失消失率(%)株数消失消失率(%)検定結果全菌株922C692C75.1C943C679C72.0C*p=0.1356グラム陽性菌824C607C73.7C862C607C70.4C*p=0.1377ブドウ球菌属C411C312C75.9C407C297C73.0C*p=0.3352CStaphylococcusepidermidisC205C166C81.0C225C157C69.8C*p=0.0073CStaphylococcusaureus(MRSA)C28C11C39.3C14C8C57.1C*p=0.2730CStaphylococcusaureus(MSSA)C107C69C64.5C87C55C63.2C*p=0.8549その他のブドウ球菌属C71C66C93.0C81C77C95.1C**p=0.7345レンサ球菌属C28C26C92.9C42C37C88.1C**p=0.6941CStreptococcuspneumoniaeC2C2C100.0C5C3C60.0C**p=1.0000その他のレンサ球菌属C26C24C92.3C37C34C91.9C**p=1.0000CCorynebacteriumCsp.C186C148C79.6C196C154C78.6C*p=0.8105CCutibacteriumacnesC147C78C53.1C184C90C48.9C*p=0.4532その他のグラム陽性菌C52C43C82.7C33C29C87.9C*p=0.5173グラム陰性菌98C85C86.7C81C72C88.9C*p=0.6622CHaemophilusin.uenzaeC13C13C100.0C6C6C100.0検定不可その他のグラム陰性C85C72C84.7C75C66C88.0C*p=0.5460初診時の検出菌について再診時に同一の菌株が未検出であった場合に「消失」として消失率を算出した.*:|2検定.**:Fisher正確確率検定.表7初診時検出菌に対するアジスロマイシンのMIC(μg/ml)初診時検出菌第1期第2期株数CMICrangeCMIC50CMIC90株数CMICrangeCMIC50CMIC90全菌株999C≦0.06C->C128C1>C128C1,132C≦0.06C->C128C0.5>C128グラム陽性菌893C≦0.06C->C128C1>C128C1,029C≦0.06C->C128C0.5>C128ブドウ球菌属C437C0.25C->C128C1>C128C486C0.13C->C128C1>C128CStaphylococcusepidermidisC217C0.25C->C128C1>C128C261C0.25C->C128C1>C128CStaphylococcusaureus(MRSA)C31C0.5C->C128>C128>C128C17C1->1C28>C128>C128CStaphylococcusaureus(MSSA)C112C0.5C->C128C1>C128C106C0.25C->C128C1>C128その他のブドウ球菌属C77C0.25C->C128C0.5>C128C102C0.13C->C128C0.5>C128レンサ球菌属C32C≦0.06C->C128C0.5C4C51C≦0.06C->C128C0.25>C128CStreptococcuspneumoniaeC2C2->1C28C..6C2->1C28C..その他のレンサ球菌属C30C≦0.06C->C128C0.5C4C45C≦0.06C->C128C0.25C4CCorynebacteriumCsp.C204C≦0.06C->C128C2>C128C240C≦0.06C->C128C0.5>C128CCutibacteriumacnesC160C≦0.06C->C128C0.13C0.25C211C≦0.06C->C128C0.13C0.25その他のグラム陽性菌C60C≦0.06C->C128C4>C128C41C≦0.06C->C128C1>C128グラム陰性菌106C0.13C->C128C16C128C103C≦0.06C->C128C8C128CHaemophilusin.uenzaeC13C0.13C-1C0.5C1C6C0.13C-0.5C..その他のグラム陰性C93C0.25C->C128C32C128C97C≦0.06C->C128C8C128最小発育阻止濃度(MIC)はCCLSIM100に準じた微量液体希釈法にて測定した.MSSAMRSA100100808060604040202000.5124816326400.51248163264.06(%)0.130.25128>128.06(%)0.130.25128>128≦0MIC(μg/ml)≦0MIC(μg/ml)100S.epidermidis100レンサ球菌属808060604040202000.5124816326400.51248163264.06(%)0.130.25128>128.06(%)0.130.25128>128≦0MIC(μg/ml)≦0MIC(μg/ml)100Corynebacteriumsp.100C.acnes8080606040402020000.51248163264.06(%)0.130.250.51248163264128>128≦0.06(%)0.130.25128>128≦0MIC(μg/ml)MIC(μg/ml)100806040H.in.uenzae第1期第2期2000.51248163264.06(%)0.130.25128>128≦0MIC(μg/ml)図3累積発育阻止率曲線外眼部感染症にて検出されるおもな菌種について累積発育阻止率曲線を作成した.が8),後部眼瞼炎の重要な起炎菌の一つであるアクネ菌に対する抗菌活性の高さが,治療効果に寄与する一因となっていると推察される.2回の調査で検出されたおもな菌種に対するCAZMの抗菌活性の推移は,MICrange,MICC50,MICC90いずれも第C1期と第C2期は類似した結果であり,累積発育阻止率曲線を比較しても上市後C4年間で耐性化は起こっていないものと考えられた.以上の結果より,本剤の安全性・有効性ともに問題はなく,投与回数も少なく設定されていることから耐性化の拡大を防止できるという点も含め,アジマイシン点眼液C1%は細菌性外眼部疾患の治療に有用であると考えられた.謝辞:本調査の実施に際し,貴重なデータをご提供いただきました医療機関ならびに調査担当医師の先生方に心より感謝申し上げます.利益相反:水田藍,坂本祐一郎,末信敏秀(雇用関係カテゴリーE:千寿製薬株式会社)文献1)金子恵美,川崎晶子,池本佳奈ほか:15員環マクロライド系抗生物質点眼剤「アジマイシンCR点眼液C1%」.眼薬理C34:41-46,C20202)山際智充,坂本祐一郎,末信敏秀:アジスロマイシン(アジマイシン点眼液C1%)の細菌学的効果に関する特定使用成績調査.あたらしい眼科39:1661-1675,C20223)秦野寛,水田藍,坂本祐一郎ほか:細菌性外眼部感染症分離株の抗菌薬に対する感受性動向(2019,2023年の比較).臨眼79:346-354,C20254)眼局所用抗菌薬の臨床評価方法に関するガイドライン.日眼会誌123:933-942,C20195)金子行子,内田幸男,北野周作:汎用性抗生物質等点眼薬の市販後調査における評価基準.あたらしい眼科C15:C1735-1737,C19986)KagkelarisCKA,CMakriCOE,CGeorgakopoulosCCDCetal:AnCeyeCforazithromycin:reviewCofCtheCliterature.CTherCAdvCOphthalmolC10:1-14,C20187)有田玲子:機器・薬剤紹介(44)アジスロマイシン点眼液(アジマイシンCR点眼液C1%,千寿製薬).眼科C62:259-263,C2020,8)子島良平,井上智之,加治優一ほか:細菌性眼瞼炎に対するアジスロマイシン点眼液を用いた治療プロトコールの検討.第一報:臨床経過の検討.あたらしい眼科C39:999-1004,C20229)後藤聡:感染性涙道疾患の臨床.日本の眼科C89:311-315,C201810)今村日利:涙.炎.眼科C61:827-832,C201911)岩田明子,江口洋:涙道の炎症.OCULISTAC35:26-29,C201612)岩崎明美:涙道感染症.眼科C58:151-156,C201613)井上幸次:アジスロマイシン点眼.薬剤耐性対策時代の新しい抗菌点眼薬..IOL&RSC34:151-156,C202014)井上英紀,鈴木崇:抗菌薬.あたらしい眼科C38:1241-1247,C202115)NejimaR,EguchiH,TodokoroDetal:Analysisoftreat-mentprotocolsusingazithromycineyedropsforbacterialblepharitis:secondCreportC─CbacteriologicalCinvestigation.CJpnJOphthalmolC66:579-589,C202216)ShimazakiCJ,CKitoCG,CKamoiCMCetal:E.cacyCandCsafetyCofCtopicalCazithromycinCtherapyCinCpatientsCwithCblephari-tisCandCmeibomianCglandCdysfunction.CJpnCJCOphthalmolC68:472-481,C2024***

アジスロマイシン(アジマイシン点眼液1%)の細菌学的効果に 関する特定使用成績調査

2022年12月31日 土曜日

《原著》あたらしい眼科39(12):1661.1675,2022cアジスロマイシン(アジマイシン点眼液1%)の細菌学的効果に関する特定使用成績調査山際智充坂本祐一郎末信敏秀千寿製薬株式会社Post-MarketingSurveillanceofAzithromycin(AZIMYCINOphthalmicSolution1%)forBacterialOcularInfectionTomomitsuYamagiwa,YuichiroSakamotoandToshihideSuenobuCSenjuPharmaceuticalCo.,Ltd.C細菌性外眼部感染症に対するアジスロマイシン(アジマイシン点眼液C1%)の使用成績調査を実施した.安全性解析対象症例C500例,有効性解析対象症例C450例について安全性,有効性の検討を行った.副作用発現率はC3.80%(19/500)で,おもな副作用は,眼刺激(8件),眼瞼炎(3件),眼痛および眼の異物感(各C2件)であり,いずれも眼局所における事象であった.担当医師が,臨床経過などに基づき総合的に判断した全般改善度(有効性)により算出した有効率はC86.9%(391/450)であった.以上の結果,本剤は細菌性外眼部感染症に対して有用な点眼薬であると評価された.CInCthisCstudy,CweCperformedCaCpost-marketingCdrug-useCresultCsurveyCofazithromycin(AZIMYCINCOphthal-micCSolution1%)inCpatientsCwithCbacterialCocularCinfection.CFive-hundredCpatientsCwereCevaluatedConCtheCsafetyCandC450CpatientsCwereCevaluatedConCtheCe.cacy.CTheCincidenceCrateCofCadverseCdrugCreactionsCwas3.80%(19/500)C.TheCadverseCeventsCincludedCeyeirritation(8incidents)C,blepharitis(3incidents)C,Ceyepain(2incidents)C,CandCfor-eignbodysensationintheeyes(2incidents)C,whichwereobservedatthedrugadministrationsite.Inthee.cacyevaluationCbasedConCclinicalC.ndings,CtheCe.cacyCrateCwas86.9%(391/450)C.COurC.ndingsCsuggestCthatCAZIMY-CINRCOphthalmicSolution1%isasafeande.ectivemedicationforthetreatmentofpatientsa.ictedwithbacteri-alocularinfection.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)C39(12):1661.1675,C2022〕Keywords:アジスロマイシン,アジマイシン点眼液C1%,副作用,有効性,細菌学的効果.azithromycin,CAZI-MYCINRophthalmicsolution1%,adversedrugreaction,e.cacy,bacteriologicale.ect.はじめに細菌性外眼部感染症の治療にあたっては,抗菌薬の適正使用の観点から,患者背景や感染経路を考慮するとともに,特徴的な臨床所見から起炎菌を推定して,有効な抗菌薬を選択することが望まれる.しかし,国内の眼感染症に対する抗菌薬の使用実態は,初診時に起炎菌を同定できないため,経験則的に,強い抗菌活性と広い抗菌スペクトルを有するフルオロキノロン系抗菌薬(オフロキサシン,ノルフロキサシン,ロメフロキサシン,レボフロキサシン,ガチフロキサシン,トスフロキサシンおよびモキシフロキサシン)が汎用されている.このようなフルオロキノロン系抗菌薬の眼感染症への応用は,1987年にオフロキサシン点眼液が承認されて以来,1989年にノルフロキサシン点眼液,1994年にロメフロキサシン点眼液,2000年にレボフロキサシン点眼液,2004年にガチフロキサシン点眼液,2006年にトスフロキサシン点眼液およびモキシフロキサシン点眼液と続き,さらには,2010年に従来のC3倍濃度のレボフロキサシン点眼液が承認されてきた.一方,フルオロキノロン系以外の抗菌薬は,1987年にセフェム系のセフメノキシム点眼用,2009年にグリコペプチド系のバンコマイシン眼軟膏の承認に止まり,フルオロキノロン系以外の選択肢はきわめて限定的である.眼科診療における抗菌薬のC9割以上をフルオロキノロン系が占〔別刷請求先〕山際智充:〒541-0048大阪市中央区瓦町C3-1-9千寿製薬株式会社信頼性保証本部医薬情報企画部Reprintrequests:TomomitsuYamagiwa,MedicalInformationPlanningDepartment,Safety&QualityManagementDivision,SenjuPharmaceuticalCo.,Ltd.,3-1-9Kawara-machi,Chuo-ku,Osaka541-0048,JAPANCめる1)なか,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistantCStaphylococcusaureus:MRSA),コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(coagulase-negativeCStaphylococci:CNS),淋菌,コリネバクテリウムの同系抗菌薬への耐性化が問題視されている2.5).アジスロマイシン(AZM)は,ファイザー社が開発した15員環マクロライド系抗生物質であり,細菌のC70SリボゾームのC50Sサブユニットと結合し,細菌の蛋白合成を阻害することにより抗菌作用を示す.国内での点眼への応用は,2019年に結膜炎・眼瞼炎・涙.炎・麦粒腫を適応症とする「アジマイシン点眼液C1%」(以下,本剤)として製造販売承認された.本剤は,製剤化技術(DuraSite)により薬剤滞留性が高められた製剤であり6),結膜炎に対しては最初のC2日間はC1日C2回,その後のC5日間はC1日C1回,眼瞼炎・涙.炎・麦粒腫に対しては最初のC2日間はC1日C2回,その後の12日間はC1日C1回であり,他の抗菌薬に比べて点眼回数が少ない.今回筆者らは,本剤の製造販売後における抗菌活性推移の把握,安全性および有効性の確認を目的に,計C2回の特定使用成績調査を計画し,その第C1回調査(以下,本調査)を2019年C9月.2021年C9月に実施し,製造販売後の使用実態下における成績を得たので報告する.なお,本調査は,GPSP省令(「医薬品の製造販売後の調査および試験の実施の基準に関する省令」平成C16年C12月C20日付厚生労働省令第171号)に従い実施した.CI対象および方法1.調査対象および目標症例数調査対象は,本調査に参加した医療施設において,本剤の使用経験がなく,適応症である細菌性外眼部感染症(結膜炎・眼瞼炎・涙.炎・麦粒腫)に対して本剤が投与された症例とし,目標症例数はC500例とした.C2.調査方法および調査項目本調査は連続調査方式にて実施した.観察期間は,本剤投与開始日から投与終了時までとし,来院ごとに各所見(表1)の観察および細菌検査検体採取を実施し,electronicCdatacapture(EDC)にてデータを収集した.調査項目は,患者背景(性別,年齢,使用理由,発症日,合併症,既往歴,アレルギー歴),本剤の使用状況,併用薬,併用療法,臨床経過,有害事象,全般改善度,細菌学的効果とした.実施医療機関にて採取された細菌検査検体は,輸送用培地(カルチャースワブプラス)を用いて検査施設である一般財団法人阪大微生物病研究会に輸送した.検査施設では,検体からの細菌分離と同定,さらに分離菌に対するCAZMの最小発育阻止濃度(minimuminhibitoryconcentration:MIC)を測定した.3.安全性評価本剤との因果関係にかかわらず,観察期間中に発現した医学的に好ましくないすべての事象(徴候,症状または疾病)を有害事象とし,そのうち本剤との因果関係が否定できないものを副作用とし,安全性解析対象症例における副作用発現率および内容を評価した.有害事象の器官別大分類および基本語への分類は,ICH国際医薬用語集日本語版(MedDRA/CJVer.24.1)に基づいた.器官別大分類および基本語ごとに副作用の発現症例数とその割合を集計した.副作用発現件数については,同一症例に同一基本語が複数回発現した場合にもC1件として取り扱い,その合計を集計した.C4.有効性評価有効性評価は,有効性解析対象症例における全般改善度および臨床症状とした.全般改善度は,本剤投与終了・中止時に担当医師が本剤投与開始後の臨床経過および初診時検出菌の消失状況などより総合的に判断し,「有効」「無効」「悪化」および「判定不能」のC3段階C4区分で評価した.このうち「無効」および「悪化」と判定された症例を無効例とし,「判定不能」を分母から除いた有効率を算出した.初診時検出菌別の有効率の算出については,初診時検出菌が複数菌種検出された場合は検出菌ごとにC1症例とし,同一症例に同一菌種が複数株検出された場合にもC1症例として取り扱った.臨床症状は,他覚的所見および自覚症状をスコア化(表1)し,本剤投与前後の合計スコアを比較した.C5.統計解析副作用発現率および有効率に影響を及ぼす要因を特定するため,Cc2検定(有意水準は両側C5%)を用いて評価対象症例全体および対象疾患ごとに各患者背景因子別のカテゴリー間で解析を実施し,副作用発現率および有効率を比較した.本剤投与前後の臨床症状の合計スコアの比較は,Wilcoxon符号付順位検定(有意水準は両側C5%)を用いて対象疾患ごとに実施した.統計解析ソフトウェアはCSAS(Ver.9.4)を用いた.なお,複数の対象疾患を併発している場合は,担当医師の判断により症状の重い疾患を対象とした.C6.細菌学的効果細菌学的効果は,細菌学的効果評価対象症例における初診時検出菌別の消失率を評価した.消失については,初診時に検出された菌種ごとに判定し,同一の菌種が検出されなかった時点で「消失」と判定した.C7.最小発育阻止濃度(MIC)抗菌活性評価対象症例における初診時検出菌のCAZMのMICをCClinicalandLaboratoryStandardsInstitute(CLSI)M1002018年版(28thEdition)7)に準じた微量液体希釈法にて測定した.ブドウ球菌属はオキサシリン(MPIPC)感受性にて細分類し,MPIPCのCMICがC2Cμg/ml以下の黄色ブドウ球菌をCmethicillin-susceptibleCStaphylococcusCaureusC表1所見・症状スコア対象疾患評価項目結膜炎眼瞼炎涙.炎麦粒腫判定基準(スコア)眼瞼を翻転すれば,円蓋部結膜に眼脂を認める+(1)眼脂〇眼瞼を翻転すれば,眼瞼結膜に眼脂を認める++(2)眼瞼を翻転しなくても,眼瞼縁または眼瞼皮膚に眼脂を認める+++(3)軽度または部分的な充血を認める+(1)結膜充血〇〇中等度の充血を認める++(2)高度の充血を認める+++(3)数本の睫毛根部に分泌物を認める+(1)〇多数の睫毛根部に分泌物を認める++(2)眼瞼縁の軽度の充血を認めるが眼瞼皮膚の発赤がない+(1)眼瞼縁充血・眼瞼発赤〇眼瞼縁の高度の充血を認めるが眼瞼皮膚の発赤がない++(2)眼瞼縁の潰瘍または眼瞼皮膚の発赤を認める+++(3)睫毛根部の分泌物分泌物により複数の睫毛が束になっている来院ごとに各所見を観察し,本剤投与前後の合計スコアを比較した.痛くて開瞼不可能痛いが開瞼可能少し痛い痛くて我慢できない痛むが我慢できる押すと痛むたえずゴロゴロして開瞼不可能ゴロゴロするが開瞼可能〇異物感自覚症状時々ゴロゴロする涙が頻繁にこぼれる涙で眼が潤む眼瞼結膜の充血と眼瞼皮膚全体の発赤を認める眼瞼結膜の充血と眼瞼皮膚の部分的な発赤を認める眼瞼結膜の充血を認めるが眼瞼皮膚の発赤がない全体的に腫脹を認め,開瞼不可能自然に認める眼瞼腫脹〇全体的に腫脹を認めるが開瞼可能部分的な腫脹を認める涙.部の腫脹〇涙.皮膚瘻を形成している発赤を伴った腫脹を認める腫脹を認める圧迫で多量認める〇涙点からの逆流分泌物他覚的所見圧迫で少量認める結膜充血・眼瞼発赤〇流涙〇〇涙が時々こぼれる〇〇〇〇疼痛〇眼痛〇C.±全疾患・全項目共通所見なし:(0),所見ほとんどなし:(0.5).+++(3)++(2)+(1)+++(3)++(2)+(1)+++(3)++(2)+(1)+++(3)++(2)+(1)+++(3)++(2)+(1)+++(3)++(2)+(1)+++(3)++(2)+(1)+++(3)++(2)+(1)+++(3)図1症例構成図調査完了症例C500例に本剤未投与症例はなく,全例を安全性解析対象症例とした.(MSSA),4Cμg/ml以上のものをCMRSAとした.CII結果1.症例構成図1に症例構成図を示した.調査完了症例C500例の全例が安全性解析対象症例(結膜炎C281例,眼瞼炎C63例,涙.炎C48例,麦粒腫C108例)であった.安全性解析対象症例から本剤の過量投与症例および有効性判定不能症例を除外した結果,有効性解析対象症例はC450例(結膜炎C249例,眼瞼炎54例,涙.炎C43例,麦粒腫C104例),安全性解析対象症例から初診時検出菌陰性症例,本剤の過量投与症例および本剤投与終了翌々日以降に検体採取された症例を除いた細菌学的効果評価対象症例はC451例(結膜炎C246例,眼瞼炎C58例,涙.炎C45例,麦粒腫C102例)であった.調査完了症例から初診時検出菌陰性症例を除いた抗菌活性評価対象症例はC484例(結膜炎C271例,眼瞼炎C61例,涙.炎C46例,麦粒腫C106例)であった.C2.患者背景安全性解析対象症例の患者背景因子別の内訳を表2に示した.年齢分布は,65歳以上C75歳未満C96例,75歳以上C80歳未満C64例,80歳以上C139例であり,65歳以上の高齢者がC59.8%(299/500)を占め,全体の平均年齢はC62.1C±23.78であった.対象疾患は,結膜炎がもっとも多く全体のC56.2%を占め,ついで麦粒腫がC21.6%であった.表2患者背景因子別症例数患者背景因子内訳対象疾患全体結膜炎眼瞼炎涙.炎麦粒腫性別男C184C108C18C13C45女C316C173C45C35C63妊娠なしC316C173C45C35C63ありC0C0C0C0C0年齢7歳未満C12C6C0C1C57歳以上C15歳未満C22C6C1C0C1515歳以上C65歳未満C167C81C15C9C6265歳以上C75歳未満C96C64C9C9C1475歳以上C80歳未満C64C35C13C11C580歳以上C139C89C25C18C7平均年齢C62.1±23.78C65.7±21.58C70.0±20.20C73.1±16.08C43.3±24.01罹病期間3日未満C162C86C9C12C553日以上C8日未満C123C75C8C7C338日以上C15日未満C42C30C3C1C815日以上C36C19C6C7C4不明C137C71C37C21C8合併症なしC182C96C11C13C62ありC243C142C48C27C26不明C75C43C4C8C20眼疾患なしC306C168C21C29C88ありC194C113C42C19C20肝疾患なしC381C213C54C34C80ありC0C0C0C0C0不明C119C68C9C14C28腎疾患なしC375C210C52C34C79ありC6C2C2C0C2不明C119C69C9C14C27その他の疾患なしC253C136C32C18C67ありC118C67C20C17C14不明C129C78C11C13C27既往歴なしC292C153C40C28C71ありC128C75C17C11C25不明C80C53C6C9C12眼疾患なしC310C160C44C29C77ありC110C68C13C10C19その他の疾患なしC397C218C52C38C89ありC23C10C5C1C7アレルギー歴なしC357C197C49C32C79ありC73C42C10C4C17不明C70C42C4C12C12投与期間3日未満C0C0C0C0C03日以上C8日未満C291C264C5C4C188日以上C15日未満C205C17C57C43C8815日以上C4C0C1C1C2前治療薬なしC314C182C21C26C85ありC186C99C42C22C23併用薬なしC237C141C21C29C46ありC263C140C42C19C62併用療法なしC444C274C61C28C81ありC56C7C2C20C27対象疾患の内訳は,結膜炎がC56.2%,麦粒腫がC21.6%であった.年齢は,65歳以上がC59.8%を占め,全体の平均年齢はC62.1C±23.78歳であった.(97)あたらしい眼科Vol.39,No.12,2022C1665表3副作用発現率対象疾患全体結膜炎眼瞼炎涙.炎麦粒腫安全性解析対象症例数C500C281C63C48C108副作用の発現症例数C19C13C3C1C2副作用の発現症例率3.80%4.63%4.76%2.08%1.85%眼障害18(C3.60%)12(C4.27%)3(4C.76%)1(2C.08%)2(1C.85%)眼刺激8(1C.60%)6(2C.14%)1(1C.59%)C01(0C.93%)眼瞼炎3(0C.60%)2(0C.71%)1(1C.59%)C0C0眼痛2(0C.40%)2(0C.71%)C0C0C0眼の異物感2(0C.40%)1(0C.36%)C01(2C.08%)C0結膜炎1(0C.20%)1(0C.36%)C0C0C0アレルギー性結膜炎1(0C.20%)1(0C.36%)C0C0C0角膜浮腫1(0C.20%)1(0C.36%)C0C0C0点状角膜炎1(0C.20%)1(0C.36%)C0C0C0霧視1(0C.20%)1(0C.36%)C0C0C0眼瞼紅斑1(0C.20%)C01(1C.59%)C0C0眼瞼浮腫1(0C.20%)C01(1C.59%)C0C0結膜充血1(0C.20%)C01(1C.59%)C0C0眼そう痒症1(0C.20%)C01(1C.59%)C0C0麦粒腫1(0C.20%)C0C0C01(0C.93%)一般・全身障害および投与部位の状態1(0C.20%)1(0C.36%)C0C0C0投与部位不快感1(0C.20%)1(0C.36%)C0C0C0副作用名はCICH国際医療用語集日本語版(MedDRA/JVer.24.1)に基づき器官別大分類(SOC)ごとに分類し,基本語(PT)で記載した.3.安全性1)副作用発現状況安全性解析対象症例における副作用発現率を表3に示した.すなわち,19例(26件)に副作用が発現したことから,副作用発現症例率はC3.80%であった.また,2例以上に認められた副作用は「眼刺激」8例C8件(結膜炎C6例C6件,眼瞼炎1例1件,麦粒腫1例1件),「眼瞼炎」3例3件(結膜炎2例2件,眼瞼炎1例1件),「眼痛」2例2件(結膜炎2例2件)および「眼の異物感」2例C2件(結膜炎C1例C1件,涙.炎C1例C1件)であり,いずれも使用上の注意から予測できる非重篤な副作用であった.このほか,重篤な副作用は認められなかった.2)患者背景要因別副作用発現状況安全性解析対象症例を対象とし,対象疾患別,性別,年齢別,罹病期間別,合併症,既往歴,アレルギー歴,前治療薬,併用薬,1日平均投与量および併用療法の有無別にて副作用発現率を比較した(表4).合併症,合併症(眼疾患),合併症(その他の疾患),既往歴,既往歴(眼疾患),前治療薬の有無別およびC1日平均投与量別で有意差が認められた.合併症,合併症(眼疾患),合併症(その他の疾患),既往歴,既往歴(眼疾患)および前治療薬の有無別では,いずれも「あり」群は「なし」群に比べ発現率が有意に高かった.1日平均投与量別では「2滴以上C3滴未満」群は「2滴未満」群に比べ発現率が有意に高かった.累積症例数を母数とした投与期間別および総投与量別では,投与期間が長くなる,または投与量が多くなると副作用発現率が上昇するという傾向は認められなかった.C4.有効性1)有効率有効性解析対象症例の対象疾患別の有効率を表5に示した.すなわち,全例での有効率はC86.9%であり,対象疾患別の有効率は,結膜炎C88.0%,眼瞼炎C75.9%,涙.炎C79.1%および麦粒腫C93.3%であった.2)患者背景要因別有効率有効性解析対象症例を対象とし,患者背景要因別に有効率を比較した(表5).その結果,合併症(眼疾患)の有無別で有意差が認められ,合併症(眼疾患)「あり」群は「なし」群に比べ有効率が有意に低かったが,「あり」群においても82.7%の有効率であった.3)初診時検出菌別の有効率有効性解析対象症例の初診時検出菌別の有効率を表6に示した.ブドウ球菌属でC87.5%,レンサ球菌属でC92.9%,肺炎球菌C100.0%,コリネバクテリウム属でC95.1%,アクネ菌表4患者背景因子別副作用発現率患者背景因子症例数副作用発現症例数副作用発現症例率(%)検定対象疾患結膜炎C281C13C4.63Cp=0.5334眼瞼炎C63C3C4.76涙.炎C48C1C2.08麦粒腫C108C2C1.85性別男C184C4C2.17p=0.1467女C316C15C4.75C妊娠なしC316C15C4.75検定不可ありC0C─C─年齢7歳未満C12C0C0.00Cp=0.56807歳以上C15歳未満C22C0C0.0015歳以上C65歳未満C167C4C2.4065歳以上C75歳未満C96C4C4.1775歳以上C80歳未満C64C3C4.6980歳以上C139C8C5.76罹病期間3日未満C162C6C3.70Cp=0.19913日以上C8日未満C123C3C2.448日以上C15日未満C42C0C0.0015日以上C36C3C8.33不明C137C7C5.11合併症なしC182C3C1.65Cp=0.0219*ありC243C15C6.17不明C75C1C1.33眼疾患なしC306C6C1.96Cp=0.0069*ありC194C13C6.70肝疾患なしC381C17C4.46検定不可ありC0C─C─不明C119C2C1.68腎疾患なしC375C16C4.27Cp=0.6052ありC6C0C0.00不明C119C3C2.52その他の疾患なしC253C6C2.37Cp=0.0167*ありC118C9C7.63不明C129C4C3.10既往歴なしC292C9C3.08Cp=0.0318*ありC128C10C7.81不明C80C0C0.00眼疾患なしC310C10C3.23Cp=0.0317*ありC110C9C8.18その他の疾患なしC397C17C4.28Cp=0.3221ありC23C2C8.70アレルギー歴なしC357C15C4.20Cp=0.9714ありC73C3C4.11不明C70C1C1.43投与期間3日未満C500C9C1.80累積集計のため3日以上C8日未満C500C8C1.60検定不可8日以上C15日未満C209C2C0.9615日以上C4C0C0.001日平均投与量2滴未満C337C7C2.08Cp=0.0111*2滴以上C3滴未満C159C12C7.553滴以上C4C0C0.00総投与量9滴未満C500C10C2.00累積集計のため9滴以上C19滴未満C432C8C1.85検定不可19滴以上C33滴未満C54C1C1.8533滴以上C0C─C─前治療薬なしC314C7C2.23Cp=0.0170*ありC186C12C6.45併用薬なしC237C7C2.95p=0.3474ありC263C12C4.56C併用療法なしC444C16C3.60Cp=0.5178ありC563C5.36C対象疾患別の副作用発現率に有意な差は認められなかったが,複数の因子で有意な差が認められた.表5患者背景因子別有効率患者背景因子症例数有効例無効例判定不能有効率(%)検定対象疾患対象疾患全体C結膜炎C眼瞼炎C涙.炎C麦粒腫C450C249C54C43C104C391C219C41C34C97C59C30C13C9C7C28C14C8C4C2C86.9C88.0C75.979.193.3─p=0.0075*性別男C女C169C281C143C248C26C33C6C22C84.6C88.3p=0.2678妊娠なしCありC281C0C248C─C33C─C22C0C88.3─検定不可年齢7歳未満C7歳以上C15歳未満C15歳以上C65歳未満C65歳以上C75歳未満C75歳以上C80歳未満C80歳以上C11C22C156C85C52C124C10C21C138C73C42C107C1C1C18C12C10C17C0C0C8C6C8C6C90.9C95.588.585.980.886.3p=0.5881罹病期間3日未満C3日以上C8日未満C8日以上C15日未満C15日以上C不明C148C113C39C30C120C134C100C37C26C94C14C13C2C4C26C6C7C1C4C10C90.5C88.594.986.778.3p=0.6300合併症なしCありC不明C172C208C70C151C176C64C21C32C6C5C19C4C87.8C84.691.4p=0.3738眼疾患なしCありC282C168C252C139C30C29C12C16C89.4C82.7p=0.0441*肝疾患なしCありC不明C342C0C108C295C─C96C47C─C12C20C0C8C86.3─88.9検定不可腎疾患なしCありC不明C337C5C108C290C5C96C47C0C12C20C0C8C86.1C100.088.9p=0.3686その他の疾患なしCありC不明C238C98C114C206C83C102C32C15C12C8C7C13C86.6C84.789.5p=0.6549既往歴なしCありC不明C267C109C74C228C97C66C39C12C8C14C10C4C85.4C89.089.2p=0.3553眼疾患なしCありC283C93C241C84C42C9C16C8C85.2C90.3p=0.2071その他の疾患なしCありC356C20C310C15C46C5C22C2C87.1C75.0p=0.1248投与期間3日未満C3日以上C8日未満C8日以上C15日未満C15日以上C0C274C176C0C─C242C149C─C─C32C27C─C0C15C13C0C─C88.384.7─p=0.26141日平均投与量(評価対象眼あたり)1滴未満C1滴以上C2滴未満C2滴以上C0C450C0C─C391C─C─C59C─C0C28C0C─86.9─検定不可総投与量(評価対象眼あたり)5滴未満C5滴以上C10滴未満C10滴以上C17滴未満C17滴以上C0C274C176C0C─C242C149C─C─C32C27C─C0C15C13C0C─C88.384.7─p=0.2614前治療薬なしCありC287C163C254C137C33C26C16C12C88.5C84.0p=0.1786併用薬なしCありC209C241C177C214C32C27C19C9C84.7C88.8p=0.1979併用療法なしCありC396C54C345C46C51C8C27C1C87.1C85.2p=0.6925合併症(眼疾患)の有無で有効率に有意な差が認められた.表6初診時検出菌別有効率対象疾患全体結膜炎眼瞼炎涙.炎麦粒腫初診時検出菌検出有効率検出有効率検出有効率検出有効率検出有効率症例数(%)症例数(%)症例数(%)症例数(%)症例数(%)グラム陽性菌C429C87.2C233C88.4C52C76.9C42C78.6C102C93.1ブドウ球菌属C335C87.5C192C87.5C41C78.0C29C79.3C73C95.9CStaphylococcusepidermidisC186C92.5C110C93.6C25C84.0C14C85.7C37C97.3CStaphylococcusaureus(MSSA)C110C86.4C57C86.0C14C64.3C8C87.5C31C96.8CStaphylococcusaureus(MRSA)C29C62.1C17C52.9C3C66.7C3C66.7C6C83.3その他ブドウ球菌属C59C89.8C38C94.7C5C80.0C6C50.0C10C100.0レンサ球菌属C28C92.9C14C92.9C6C100.0C7C85.7C1C100.0肺炎球菌C2C100.0C2C100.0C0C─C0C─C0C─その他レンサ球菌属C26C92.3C12C91.7C6C100.0C7C85.7C1C100.0CCorynebacteriumCsp.C162C95.1C89C96.6C19C94.7C17C82.4C37C97.3CCutibacteriumacnesC142C88.0C73C91.8C17C82.4C14C78.6C38C86.8その他グラム陽性菌C50C94.0C26C100.0C5C60.0C9C88.9C10C100.0グラム陰性菌C85C89.4C59C89.8C8C87.5C14C85.7C4C100.0CHaemophilusin.uenzaeC13C84.6C10C80.0C0C─C2C100.0C1C100.0その他グラム陰性菌C72C90.3C49C91.8C8C87.5C12C83.3C3C100.0Cutibacteriumacnes:アクネ菌(旧CPropionibacteriumacnes),Haemophilusin.uenzae:インフルエンザ菌.初診時検出菌別の有効率はブドウ球菌属C87.5%,レンサ球菌属C92.9%,肺炎球菌C100.0%,コリネバクテリウム属C95.1%,アクネ菌C88.0%,インフルエンザ菌C84.6%であった.表7症状スコア合計の推移対象疾患症状スコア合計投与開始時C3±1日C7±1日C14±2日最終観察時検定平均値±SDC3.93±1.755C0.81±1.162C1.02±1.315C─C0.96±1.315p<0.0001*結膜炎症例数C243C32C170C─C243スコア比C─C0.21C0.26C─C0.24C眼瞼炎平均値±SDC症例数Cスコア比C5.09±2.387C54C─C4.00±2.828C2C0.79C1.93±1.657C20C0.38C1.82±1.710C31C0.36C2.27±2.341540.45p<C0.0001*涙.炎平均値±SDC症例数Cスコア比C4.15±2.581C43C─C3.50±0.000C2C0.84C2.05±2.087C22C0.49C1.26±0.903C21C0.30C1.67±1.683430.40p<C0.0001*麦粒腫平均値±SDC症例数Cスコア比C4.99±2.875C101C─C1.33±1.277C29C0.27C1.20±1.870C32C0.24C0.63±0.815C23C0.13C0.93±1.3061010.19p<C0.0001*いずれの疾患においても最終観察時のスコアは本剤投与開始時と比較して有意に低下していた.SD:標準偏差.でC88.0%,インフルエンザ菌でC84.6%であった.MRSAの有効率はC62.1%と他の菌種と比較して低い傾向にあった.4)臨床症状スコア有効性解析対象症例の対象疾患別の他覚的所見および自覚症状の合計スコアの推移を表7に示した.いずれの疾患においても最終観察時のスコアは本剤投与開始時と比較して有意に低下していた.C5.細菌学的効果表8に示したとおり,細菌学的効果評価対象症例における初診時分離菌株数はC922株であり,グラム陽性菌および陰性菌の割合は,それぞれC89.4%およびC10.6%であった.菌種別の分布は,ブドウ球菌属C44.6%,レンサ球菌属C3.0%,肺炎球菌C0.2%,コリネバクテリウム属C20.2%,アクネ菌15.9%およびインフルエンザ菌C1.4%がおもな構成員であった.対象疾患別では,結膜炎および眼瞼炎の菌種の構成比は近似していたが,涙.炎ではブドウ球菌属の割合が低くグラム陰性菌の割合が高く,麦粒腫ではブドウ球菌属およびアクネ菌の割合が高くレンサ球菌属およびグラム陰性菌の割合が表8初診時検出菌別消失率対象疾患全体結膜炎眼瞼炎涙.炎麦粒腫初診時検出菌検出検出割合消失率検出検出割合消失率検出検出割合消失率検出検出割合消失率検出検出割合消失率株数(%)(%)株数(%)(%)株数(%)(%)株数(%)(%)株数(%)(%)全菌株C922C─C75.1C531C─C76.3C114C─C60.5C101C─C76.2C176C─C80.1Cグラム陽性菌C824C89.4C73.7C463C87.2C74.3C105C92.1C59.0C84C83.2C76.2C172C97.7C79.7Cブドウ球菌属C411C44.6C75.9C236C44.4C74.6C53C46.5C64.2C34C33.7C79.4C88C50.0C85.2StaphylococcusepidermidisC205C22.2C81.0C123C23.2C81.3C26C22.8C73.1C16C15.8C81.3C40C22.7C85.0Staphylococcusaureus(MSSA)C107C11.6C64.5C55C10.4C61.8C14C12.3C35.7C8C7.9C75.0C30C17.0C80.0Staphylococcusaureus(MRSA)C28C3.0C39.3C16C3.0C25.0C3C2.6C33.3C3C3.0C33.3C6C3.4C83.3その他ブドウ球菌属C71C7.7C93.0C42C7.9C90.5C10C8.8C90.0C7C6.9C100.0C12C6.8C100.0Cレンサ球菌属C28C3.0C92.9C14C2.6C100.0C6C5.3C66.7C7C6.9C100.0C1C0.6C100.0肺炎球菌C2C0.2100.0C2C0.4100.0C0C0.0C─C0C0.0C─C0C0.0C─その他レンサ球菌属C26C2.8C92.3C12C2.3C100.0C6C5.3C66.7C7C6.9C100.0C1C0.6C100.0CCorynebacteriumCsp.C186C20.2C79.6C108C20.3C78.7C21C18.4C66.7C20C19.8C80.0C37C21.0C89.2CutibacteriumacnesC147C15.9C53.1C78C14.7C59.0C19C16.7C26.3C14C13.9C57.1C36C20.5C52.8その他グラム陽性菌C52C5.6C82.7C27C5.1C85.2C6C5.3C83.3C9C8.9C66.7C10C5.7C90.0Cグラム陰性菌C98C10.6C86.7C68C12.8C89.7C9C7.9C77.8C17C16.8C76.5C4C2.3C100.0CHaemophilusin.uenzaeC13C1.4C100.0C10C1.9C100.0C0C0.0C─C2C2.0C100.0C1C0.6C100.0その他グラム陰性菌C85C9.2C84.7C58C10.9C87.9C9C7.9C77.8C15C14.9C73.3C3C1.7C100.0CCutibacteriumacnes:アクネ菌(旧CPropionibacteriumacnes),Haemophilusin.uenzae:インフルエンザ菌.結膜炎および眼瞼炎の菌種の構成比は近似していたが,涙.炎ではブドウ球菌属の割合が低くグラム陰性菌の割合が高く,麦粒腫ではブドウ球菌属およびアクネ菌の割合が高くレンサ球菌属およびグラム陰性菌の割合が低かった.表9年代別初診時検出菌15歳未満15歳以上C65歳未満65歳以上C75歳未満75歳以上C80歳未満80歳以上初診時検出菌検出割合検出割合検出割合検出割合検出割合検出株数(%)検出株数(%)検出株数(%)検出株数(%)検出株数(%)全菌株C54C─284─186─108─290─Cグラム陽性菌C49C90.7C266C93.7C168C90.3C93C86.1C248Cブドウ球菌属C29C53.7C138C48.6C84C45.2C48C44.4C112C38.6StaphylococcusepidermidisC7C13.0C78C27.5C46C24.7C22C20.4C52C17.9Staphylococcusaureus(MSSA)C14C25.9C30C10.6C17C9.1C12C11.1C34C11.7Staphylococcusaureus(MRSA)C4C7.4C6C2.1C7C3.8C5C4.6C6C2.1その他ブドウ球菌属C4C7.4C24C8.5C14C7.5C9C8.3C20C6.9Cレンサ球菌属C2C3.7C4C1.4C4C2.2C4C3.7C14C4.8肺炎球菌C0C0.0C00.0C10.5C00.0C10.3その他レンサ球菌属C2C3.7C4C1.4C3C1.6C4C3.7C13C4.5CCorynebacteriumCsp.C9C16.7C44C15.5C43C23.1C17C15.7C73C25.2CutibacteriumacnesC6C11.1C70C24.6C30C16.1C17C15.7C24C8.3その他グラム陽性菌C3C5.6C10C3.5C7C3.8C7C6.5C25C8.6Cグラム陰性菌C5C9.3C18C6.3C18C9.7C15C13.9C42CHaemophilusin.uenzaeC2C3.7C4C1.4C4C2.2C2C1.9C1C0.3その他グラム陰性菌C3C5.6C14C4.9C14C7.5C13C12.0C41C14.1CCutibacteriumacnes:アクネ菌(旧CPropionibacteriumacnes),Haemophilusin.uenzae:インフルエンザ菌.加齢に伴いグラム陽性菌の割合が低下し,とくにC80歳以上ではブドウ球菌属およびアクネ菌の割合が低かったが,コリネバクテリウム属の割合は高かった.表10初診時検出菌の最小発育阻止濃度MIC(μg/ml)初診時検出菌C≦0.06C0.13C0.25C0.5C1C2C4C8C16C32C64C128>128合計最小最大CMIC50CMIC90C全菌株C47C135C110C145C118C34C32C15C23C38C28C61C213C999C≦0.06>128C1>128グラム陽性菌C47C134C107C132C110C27C23C8C13C20C20C44C208C893C≦0.06>128C1>128ブドウ球菌属C0C0C34C103C98C13C5C1C1C10C10C27C135C437C0.25>128C1>128StaphylococcusepidermidisC0C0C20C67C30C1C1C1C1C8C10C22C56C217C0.25>128C1>128Staphylococcusaureus(MSSA)C0C0C0C4C54C8C3C0C0C0C0C3C40C112C0.5>128C1>128Staphylococcusaureus(MRSA)C0C0C0C1C2C1C0C0C0C0C0C0C27C31C0.5>128>128>128その他ブドウ球菌属C0C0C14C31C12C3C1C0C0C2C0C2C12C77C0.25>128C0.5>128レンサ球菌属C8C6C0C5C4C4C2C0C0C0C0C0C332≦0.06>128C0.54肺炎球菌C0C00001000000C122>128C──その他レンサ球菌属C8C6C0C5C4C3C2C0C0C0C0C0C230≦0.06>128C0.54CCorynebacteriumCsp.C22C39C19C14C3C6C7C2C11C9C10C16C46C204C≦0.06>128C2>128CutibacteriumacnesC15C85C45C4C0C1C0C0C0C1C0C1C8C160C≦0.06>128C0.13C0.25その他グラム陽性菌C2C4C9C6C5C3C9C5C1C0C0C0C16C60≦0.06>128C4>128グラム陰性菌C0C1C3C13C8C7C9C7C10C18C8C17C51060.13>128C16C128CHaemophilusin.uenzaeC0C1C1C8C3C0C0C0C0C0C0C0C0C130.13C1C0.5C1その他グラム陰性菌C0C0C2C5C5C7C9C7C10C18C8C17C5C930.25>128C32C128CCutibacteriumacnes:アクネ菌(旧CPropionibacteriumacnes),Haemophilusin.uenzae:インフルエンザ菌.MIC90は,アクネ菌C0.25Cμg/ml,インフルエンザ菌C1Cμg/mlであった.肺炎球菌の検出はC10株未満であったため,MICC50およびCMICC90は算出はしなかった.低かった.一方,MRSAの分離頻度は,結膜炎C3.0%,眼瞼炎C2.6%,涙.炎C3.0%および麦粒腫C3.4%であり,同程度であった.初診時検出菌の消失率はC75.1%で,グラム陽性菌では73.7%,グラム陰性菌ではC86.7%であった.菌種別では,ブドウ球菌属C75.9%,レンサ球菌属C92.9%,肺炎球菌C100.0%,コリネバクテリウム属C79.6%,アクネ菌C53.1%,インフルエンザ菌C100.0%であった.一方,MRSAの消失率はC39.3%であったことから,他の菌種と比較して低い傾向にあった.表9に示したとおり,年代別の初診時検出菌の分布は,加齢に伴いグラム陽性菌の割合が低下し,とくにC80歳以上ではブドウ球菌属およびアクネ菌の割合が低かったが,コリネバクテリウム属の割合は高かった.一方,グラム陰性菌の割合は加齢により上昇していた.また,MRSAの検出割合は15歳未満でC7.4%であり,年代別でもっとも高かった.C6.初診時検出菌に対するAZMのMIC抗菌活性評価対象症例における初診時検出菌のうち,10株以上検出された菌種に対するCAZMのCMIC(最小値,最大値,MICC50,MICC90)は表10に示したとおりであった.すなわち,初診時に分離された全菌株(999株)に対するCMICC90は>128μg/mlで,グラム陽性菌(893株)では>128μg/ml,グラム陰性菌(106株)ではC128Cμg/mlであった.菌種別では,ブドウ球菌属>128Cμg/ml,レンサ球菌属C4Cμg/ml,コリネバクテリウム属>128Cμg/ml,アクネ菌C0.25Cμg/ml,インフルエンザ菌C1Cμg/mlであった.CIII考察医療用医薬品の製造販売承認取得のための臨床試験(治験)は,症例数が限られ,組み入れられる症例の年齢,合併症,併用薬・併用療法などに制限が設けられている.このため,治験では得られないデータが存在することも事実である.そこで筆者らは,医薬品を使用する患者の条件を定めることのない製造販売後の使用実態下における安全性・有効性のデータを早期に収集し,医療現場に提供することは,医薬品の適正使用の観点から重要であると考え,医療機関の協力を得て本調査を実施した.その結果,副作用発現率はC3.80%であり,承認時までの試験成績(治験)における副作用発現症例率C10.06%(73/726)を上回ることはなかった8).本調査で認められたおもな副作用は「眼刺激」1.60%(8件),「眼瞼炎」0.60%(3件),「眼痛」および「眼の異物感」0.40%(各C2件)であり,すべての副作用は使用上の注意から予測できる非重篤な事象であった.また,発現した副作用(26件)はすべて前眼部の事象であり,おもに受診時の問診により検知される事象〔眼刺激(8件),眼痛(2件),眼の異物感(2件),霧視,眼掻痒症および投与部位不快感(各C1件)〕が半数以上を占めていた.このうち,毎回の点眼後に一過性に発現していた霧視は本剤特性である懸濁性9)あるいは粘性によるものと考えられるが,その他の事象は対象疾患による炎症に加え,前眼部の合併症に起因することが示唆された.すなわち,一般に速やかに回復のみられる角膜上皮欠損が遷延化する理由としてドライアイなどがあげられている10)が,類似の症状を有するアレルギー性結膜炎,後天性涙道狭窄およびマイボーム腺機能不全などの涙液層を含めた眼表面の状態が健全でない合併例が存在したことから,眼刺激などが自覚されやすかったものと推察された.このほか,対象疾患別,本剤曝露量の増加に伴う副作用発現率の上昇は認められなかったことから,現状の用法・用量において,本剤の安全性に関する重要な懸念はないものと考えられた.本調査全例における有効率はC86.9%であり,対象疾患別では,結膜炎C88.0%,眼瞼炎C75.9%,涙.炎C79.1%,麦粒腫C93.3%であり,治験における有効率(結膜炎C84.5.85.6%,眼瞼炎C70.0%,涙.炎C50.0%,麦粒腫C90.0%)と大きく乖離するものではなかった8).また,合併症(眼疾患)を有する患者において有効率が低かったが,おもな合併症(眼疾患)はドライアイ,白内障,緑内障,加齢黄斑変性であり,特定の合併症(眼疾患)が有効率に及ぼす影響は認められなかった.臨床所見合計スコアについては,結膜炎および麦粒腫では投与C3C±1日後,眼瞼炎および涙.炎では投与C7C±1日後に,ベースラインからC50%以上の低下を認めた.初診時検出菌の分布については,ブドウ球菌属およびコリネバクテリウム属をはじめとするグラム陽性菌の割合が89.4%であった.また,対象疾患別では,麦粒腫でのグラム陽性菌の割合がC97.7%ともっとも高かった一方で,涙.炎ではグラム陰性菌の割合がC16.8%でもっとも高かった.このような対象疾患別での初診時分離菌の特徴は,既報11)と同様であった.しかしながら,年齢別での分離菌の特徴として,小児期においてはインフルエンザ菌の分離頻度が高いことが知られている11,12)が,本調査におけるC15歳未満での分離頻度はC3.7%でありきわめて低かった.また,加齢に伴いコリネバクテリウム属の分離頻度が上昇する傾向については既報12)と同様であった.外眼部感染症の起炎菌として重要であるCMRSAの分離頻度は,結膜炎C3.0%,眼瞼炎C2.6%,涙.炎C3.0%および麦粒腫C3.4%であり,対象疾患別では同程度であった.一方,年齢別ではC15歳未満での分離頻度がC7.4%ともっとも高かった.全検出菌に占めるCMRSAの分離頻度はC3.0%であり既報(2%)13)と同程度であったが,年齢別においては高齢者(80歳以上)での分離頻度C2.1%に比して,若齢者での分離頻度が高かった原因については不明である.MRSA検出症例における有効率はC62.1%であり,他菌種よりも低い傾向にあり,MICが高値であったこと(MICC90:>128Cμg/ml),消失率がC39.3%と低かったことに起因するものと推察された.レンサ球菌属の全症例に占める分離頻度はC3.0%であり,肺炎球菌に至ってはC0.2%であった.対象疾患別でのレンサ球菌属の分離頻度は,涙.炎でのC6.9%がもっとも高く既報11)と同様の傾向を示した.レンサ球菌属検出症例に対する有効率はC92.9%で良好であり,これは消失率がC92.9%と高かったことに裏付けられるものと推察された.コリネバクテリウム属の分離頻度はC20.2%であり,全分離株数のC1/5を占めた.コリネバクテリウム属については,起炎性に関する議論の余地が残されるが他菌種と同様に評価した結果,有効率はC95.1%で良好であった.一方,MICC90が>128Cμg/mlであったことから低感受性株の存在は明らかであるものの,79.6%が消失し,臨床所見の改善が認められたことにより良好な有効率が得られたものと推察された.インフルエンザ菌の分離頻度はC1.4%で概して低かった.CMIC90はC1μg/ml,消失率はC100%であったが,有効率は84.6%であった.アクネ菌の全症例に占める分離頻度はC15.9%であり,対象疾患別では麦粒腫でC20.5%ともっとも高く,また年齢別ではC15歳以上C65歳未満でC24.6%ともっとも高く,80歳以上でC8.3%ともっとも低かった.また,MICC90はC0.25Cμg/mlであり,全菌種のなかでもっとも高い感受性を示したものの消失率はC53.1%であった.とくに,眼瞼炎での消失率は26.3%であり,対象疾患中,もっとも低かった.一方で,アクネ菌検出症例の全体での有効率はC88.0%で良好であった.初診時検出菌に対するCAZMの抗菌活性(MICC90)は,ブドウ球菌属>128Cμg/ml,レンサ球菌属C4Cμg/ml,コリネバクテリウム属>128Cμg/ml,アクネ菌C0.25Cμg/ml,インフルエンザ菌C1Cμg/mlであった.概して良好な成績とは言い難いが,アクネ菌に対する活性は優秀であった.以上のように,各検出菌に対するCAZMの抗菌活性,本剤投与後の初診時検出菌の消失率,臨床所見スコア推移などを指標とした総合的な有効性評価結果については,一部の考察において,各調査項目の因果が十分に検討できなかった.すなわち,ウサギの黄色ブドウ球菌感染モデルに対する本剤C1日C2回投与は,病原菌に対するCMICがC20倍異なるガチフロキサシンのC0.3%点眼液C1日C3回投与と同程度の感染症状抑制効果が示されており7),また,細菌によるバイオフィルムやエラスターゼ,プロテアーゼなどの毒性物質の産生抑制によって,細菌の病原性を低下させる14,15)ことが知られている.さらに,AZMの組織移行性は非感染部位に比べ感染部位で高い16,17).本調査においても,このようなCAZMの特徴が,臨床評価に影響した可能性は否定できない.以上の結果より,アジマイシン点眼液C1%は外眼部感染症治療に有用であり,フルオロキノロン系抗菌剤に依存した外眼部感染症治療に伴う耐性菌の出現や菌交代現象18)の抑制,少ない点眼回数によるアドヒアランスの向上など,眼感染症治療に貢献できる新たな選択肢の一つとなりうる薬剤であると考えられた.謝辞:本調査の実施に際し,貴重なデータをご提供いただきました医療機関ならびに調査担当医師の先生方に深謝いたします.利益相反::山際智充,坂本祐一郎,末信敏秀(カテゴリーE:千寿製薬)文献1)独立行政法人医薬品医療機器総合機構ホームページ(医療用医薬品情報検索)https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/CiyakuSearch/2)MillerCD,CFlynnCPM,CScottCIUCetal:InCvitroC.uoroqui-noloneCresistanceCinCstaphylococcalCendophthalmitisCiso-lates.ArchOphthalmolC124:479-483,C20063)中川尚:眼感染症の謎を解く,眼科プラクティス28(大橋裕一編),p382-383,文光堂,20094)鈴木崇:眼感染症の謎を解く,眼科プラクティス28(大橋裕一編),p408-409,文光堂,20095)江口洋:眼感染症の謎を解く,眼科プラクティス28(大橋裕一編),p412-413,文光堂,20096)UtineCA:Updateandcriticalappraisaloftheuseoftop-icalCazithromycinCophthalmic1%(AzaSiteCR)solutionCinCtheCtreatmentCofCocularCinfections.CClinCOphthalmolC5:C801-809,C20117)ClinicalandLaboratoryStandardsInstitute:Performancestandardsforantimicrobialsusceptibilitytesting;twenty-sixthCinformationalCsupplement,CCLSICdocumentCM100-S28,CClinicalCandCLaboratoryCStandardsCInstitute,CWayne.PA,20188)千寿製薬株式会社:アジマイシン点眼液CR1%医薬品インタビューフォーム(第C7版)9)大鳥聡:眼科プラクティス23眼科薬物治療CACtoCZ,p596-598,文光堂,200810)近間泰一郎,西田輝夫:角膜疾患の細胞生物学(木下茂編),眼科CNewInsight,第C5巻,p35-42,メジカルビュー社,199511)末信敏秀,川口えり子,星最智:ガチフロ点眼液C0.3%の細菌学的効果に関する特定使用成績調査.あたらしい眼科C31:1674-1682,C201412)加茂純子,村松志保,赤澤博美ほか:感受性からみた年代別眼科領域抗菌薬選択C2018.あたらしい眼科C37:484-489,C202013)小早川信一郎,井上幸次,大橋裕一ほか:細菌性結膜炎における検出菌・薬剤感受性に関するC5年間の動向調査(多施設共同研究).あたらしい眼科28:679-687,C201114)TatedaCK,CComteCR,CPechereCJCCetal:AzithromycinCinhibitsquorumsensinginpseudomonasaeruginosa.Anti-microbAgentsChemotherC45:1930-1933,C200115)SwattonCJE,CDavenportCPW,CMaundersCEACetal:Imapct17)横山秀一,三浦和美,武藤秀弥ほか:Azithromycinの感染CofCazithromycinConCtheCquorumCsensing-controlledCpro-組織への移行─オートラジオグラフィーによる検討─.日CteomeCofCpseudomonasCaeruginosa.CPLoSCOneC11:化療会誌C43:122-126,C1995Ce0147698,C201618)松本治恵,井上幸次,大橋裕一ほか:多施設共同による細16)RetsemaCJA,CBergeronCJM,CGirardCDCetal:Preferential菌性結膜炎における検出菌動向調査.あたらしい眼科C24:CconcentrationCofCazithromycinCinCanCinfectedCmouseCthighC647-654,C2007Cmodel.JAntimicrobChemotherC31:5-16,C1993***

アジスロマイシン内服単回投与による成人クラミジア結膜炎の治療

2014年10月31日 金曜日

《原著》あたらしい眼科31(10):1509.1512,2014cアジスロマイシン内服単回投与による成人クラミジア結膜炎の治療中川尚中川裕子徳島診療所TreatmentofAdultChlamydialConjunctivitiswithSingle-DoseOralAzithromycinHisashiNakagawaandYukoNakagawaTokushimaEyeClinic酵素免疫法で診断された成人クラミジア結膜炎3例に対し,アジスロマイシン2g内服単回投与製剤を用いて治療した.いずれの症例も投与1週後には結膜所見の著明な改善を認めた.PCR(polymerasechainreaction)による結膜擦過物のクラミジア検出は,1週後(症例2),3週後(症例2,3)ともに陰性であった.再発の徴候はみられなかった.アジスロマイシン内服単回投与による治療は,成人クラミジア結膜炎患者の治療法として有望な選択肢の一つになりうると考えられた.ThreeadultpatientswithchlamydialconjunctivitisasdiagnosedbypositiveEIAtestweretreatedwith2gsingle-doseoralazithromycin.Conjunctivalinjectionandfolliclesmarkedlysubsidedaweekfollowingoraladministration.Polymerasechainreaction(PCR)forChlamydiatrachomatiswasnegativeinconjuctivalscrapingscollectedat1and3weeksaftertreatment.Thepatientsshowednosignsofconjunctivitisrecurrence.Single-doseadministrationoforalazithromycinisapromisingregimenforthetreatmentofadultchlamydialconjunctivitis.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)31(10):1509.1512,2014〕Keywords:クラミジア結膜炎,内服治療,アジスロマイシン,単回投与.chlamydialconjunctivitis,oraladministration,azithromycin,single-doseregimen.はじめに現在,クラミジア結膜炎の治療は感受性のある抗菌点眼薬の局所投与で行われており,オフロキサシン眼軟膏の1日5回8週間投与が標準処方として推奨されている1).しかし,成人の結膜炎患者の場合,日中の眼軟膏点入は霧視を起こすため点眼回数が守れず,結膜炎の治癒が遅れるなどの問題を生じかねない.また,代替処方であるエリスロマイシンやフルオロキノロンの点眼薬を用いたとしても1),1.2時間ごとの頻回点眼,8週間という長期の治療期間のため,途中で通院・治療を中断してしまう例がある.一方,性器クラミジア感染症の治療は,最近ではアジスロマイシンの内服が主流になっている2).その理由は,アジスロマイシンの抗クラミジア活性が高いうえ,半減期が長く長時間有効組織内濃度を維持できるため,単回投与でクラミジア感染を治療できるからである3).最低でも1週間の内服が必要であるクラリスロマイシンやミノサイクリンなどと比較し,単回投与治療では服薬コンプライアンスが大幅に上がると考えられる4,5).さらに2009年にアジスロマイシンの2g単回投与マイクロスフェア製剤が上市され,クラミジアと淋菌感染症の治療薬としてその有用性が報告されている6).アジスロマイシン内服によるクラミジア結膜炎の治療としては,海外でトラコーマの治療法として有用性が報告された7).また最近では,性感染症由来のクラミジア結膜炎,すなわち封入体結膜炎の治療としても有効であるとの報告がみられる8,9).そこで今回,成人のクラミジア結膜炎患者に対し,アジスロマイシン2g単回投与製剤を用いて治療を行い,その効果について検討した.〔別刷請求先〕中川尚:〒189-0024東村山市富士見町1-2-14徳島診療所Reprintrequests:HisashiNakagawa,M.D.,TokushimaEyeClinic,1-2-14Fujimicho,Higashimurayama-shi,Tokyo189-0024,JAPAN0910-1810/14/\100/頁/JCOPY(87)1509 表1対象症例の臨床所見症例年齢(歳)性別左右病日(日)所見病因診断眼外症状124男性左16濾胞性結膜炎IDEIA(+)咽頭痛点状角膜浸潤252女性左24濾胞性結膜炎IDEIA(+).点状角膜浸潤320女性右9濾胞性結膜炎IDEIA(+)咽頭痛上輪部腫脹IDEIA(+):IDEIATMPCEクラミジアでクラミジア抗原陽性.表2内服治療後の経過症例年齢(歳)性別結膜所見(内服後週数)クラミジア(PCR)124男性改善(1週)NT252女性改善(1週)(.)濾胞残存(3週)(.)治癒(7週)NT320女性改善(1週)NTほぼ治癒(3週)(.)NT:施行せず,(.):陰性.I対象および方法対象は,結膜擦過物のクラミジア抗原検出(IDEIATMPCEクラミジア)で陽性を示した急性濾胞性結膜炎の3症例である.対象症例の臨床所見を表1に示す.いずれの症例も,問診上,性感染症を疑わせる症状,既往歴はなかった.診断確定後,結膜炎の感染経路,合併しうる咽頭炎や子宮頸管炎,尿道炎の説明をした.さらに,治療法として従来の点眼治療による結膜炎の治療のほか,内服による全身のクラミジア感染の治療の必要性や利点について説明し,同意を得たうえで内服治療を行うこととした.治療は,性器クラミジア感染症,クラミジア咽頭炎の治療に準じて,アジスロマイシンのマイクロスフェア製剤(ジスロマックSRR)2g1回投与で行った.点眼治療は併用しなかった.投与後定期的に経過観察を行った.可能な症例では,結膜擦過物を採取してPCR(polymerasechainreaction)による遺伝子検出(アンプリコアSTD-1R)を行い,クラミジアの消長を調べた.II結果内服治療の経過を表2にまとめた.症例1は1週後のみの来院で,クラミジア検査は実施できなかった.3例とも内服1週後の受診時には充血と眼脂の減少がみられ,瞼結膜,円蓋部の濾胞の縮小,減少が認められた(図1).上方周辺部角膜にみられた点状浸潤も消失していた(症例1,2).症例2ではこの時点でクラミジアのPCRは陰性であった.3週後のPCRは症例2,3ともに陰性であり,症例3はわずかな濾胞を残すのみで,ほぼ治癒と考えられる所見であった.症例2も7週後には残存していた濾胞も消失し,治癒と判定した(図2).腹部不快感や下痢など,内服による副作用と考えられる愁訴はなかった.III考按今回,3例の成人クラミジア結膜炎に対してアジスロマイシンのマイクロスフェア製剤2g単回投与で治療を行い,いずれの症例も投与1週後には結膜所見の著明な改善を認めた.オフロキサシンやエリスロマイシンによる点眼治療の場合,充血や眼脂の改善には1.2週間程度かかるが,アジスロマイシン内服のほうが所見の改善がやや速やかである印象をもった.また,筆者の経験では,局所投与の場合1.2週間程度でクラミジア抗原検出が陰性化するが,今回の検討でも1週後でPCRが陰性であり(症例2),内服治療は頻回点眼治療に劣らない効果があると推察された.単回投与でこのような早期のクラミジア陰性化が得られるのは,約10日間にわたり有効組織内濃度が維持される3)というアジスロマイシンの特性に由来するものと考えられる.投与3週後のPCRは検査した2例とも陰性で,炎症所見はほぼ消失し再発の徴候はみられなかった.症例2では他の2例と比べて濾胞の消失までにやや時間がかかっているが,診断が発症から約3週間と遅く,濾胞形成が他の例よりも顕著であったためと思われる.今回の結果から,アジスロマイシン内服単回投与によりクラミジア結膜炎を治癒させうると考えられた.クラミジア結膜炎のアジスロマイシン内服治療には,二つの利点が考えられる.第一に,服薬コンプライアンスの問題が解消されることである.クラミジアは発育サイクルが遅く,抗菌薬の効かない形態(基本小体)があるため,局所投与では長期・頻回投与が必要である10).しかし,現実には2.3週間の点眼で症状が軽減するため,自己判断で治療を中止してしまう患者もあり,8週間の治療を完了できる例は多くない.内服単回投与であれば,このような服薬コンプライ1510あたらしい眼科Vol.31,No.10,2014(88) aacefbd図1内服治療前後の結膜所見の変化a:症例1内服前.下瞼結膜から円蓋部にかけて,充血,充実性濾胞が観察される.b:症例1内服後1週.下瞼結膜の充血の著明な減少と濾胞の縮小が認められる.c:症例2内服前.下瞼結膜の充血と粘液膿性眼脂があり,円蓋部を中心に大型で充実性の濾胞を認める.d:症例2内服後1週.下瞼結膜の充血,眼脂は著明に改善し,濾胞も縮小,減少している.e:症例3内服前.下瞼結膜の充血があり,中等度の濾胞形成がみられる.f:症例3内服後1週.下瞼結膜に軽度の充血が残存しているが,濾胞は減少,縮小している.アンスに起因する問題は考える必要がなく,確実な治療が可能である.第二に,合併症の治療も同時に行える点である.成人のクラミジア結膜炎患者では,約半数に感染源である尿道炎,子宮頸管炎や咽頭感染の合併がみられる11).したがって,結膜炎の治療に際しては,これらの合併症を想定して内服治療を考慮する必要がある.当該診療科での検査の後に内服を行うのが理想であるが,眼科を受診した結膜炎患者に必要性を説明しても,自覚症状がないなどの理由で受診してもらえないことも多い.結果として局所投与で結膜炎だけを治療し,合併症は未治療のままになる場合もある.今回行った内服治療では,結膜炎だけでなく,性器クラミジア感染,咽頭炎などすべてを包括的に治療できるという大きな利点がある.クラミジア感染症診療では,結膜炎は全身感染症の一部分症状と捉え,結膜炎のみを治療対象とせずにクラミジアをその個体から完全に駆逐するという方針で治療を行うことが必要である.アジスロマイシン内服単回投与による結膜炎患者の治療は,そのための有望な選択肢の一つであると考えられた.文献1)中川尚:急性結膜炎.あたらしい眼科28:317-321,20112)三鴨廣繁,高橋聡:性器クラミジア感染症.性感染症診(89)図2症例2の内服治療後7週の結膜所見下瞼結膜の充血はなく,濾胞も消失している.断・治療ガイドライン2011.日本性感染症学会誌22(Suppl):60-64,20113)寺田道徳,大木恵美子,山岸由佳ほか:アジスロマイシン単回投与製剤の女性性感染症治療への臨床応用.JpnJAntibiot63:93-104,20104)三鴨廣繁,玉舎輝彦:クラミジア子宮頸管炎患者における服薬コンプライアンスの検討.日化療誌50:171-173,20025)LauCY,QureshiAK:Azithromycinversusdoxycyclineforgenitalchlamydialinfections,meta-analysisofrandomizedclinicaltrials.SexTransmDis29:497-502,2002あたらしい眼科Vol.31,No.10,20141511 6)山岸由佳,三鴨廣繁,和泉孝治ほか:生殖器の淋病,クラミジア感染症に対するアジスロマイシン2g単回投与製剤の臨床的有用性および細菌学的効果に関する検討.新薬と臨牀61:1751-1755,20127)TabbaraKF,Abu-el-AsrarA,al-OmarOetal:Singledoseazithromycininthetreatmentoftrachoma:arandomized,controlledstudy.Ophthalmology103:842-846,8)KatusicD,PetricekI,MandicZetal:Azithromycinvsdoxycyclineinthetreatmentofinclusionconjunctivitis.AmJOphthalmol135:447-451,20039)Salopek-RabaticJ:Chlamydialconjunctivitisincontactlenswearers:successfultreatmentwithsingledoseazithromycin.CLAOJ27:209-211,200110)中川尚:クラミジアトラコマティス(TRIC).眼微生物事典(大橋裕一ほか編),110-117,メジカルビュー社,199611)木全奈都子,中川尚,荒木博子ほか:成人型封入体結膜炎と上咽頭クラミジア感染.臨眼49:443-445,1995***1512あたらしい眼科Vol.31,No.10,2014(90)