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緑膿菌性角膜潰瘍におけるドリペネム水和物の使用経験

2011年2月28日 月曜日

0910-1810/11/\100/頁/JCOPY(113)267《原著》あたらしい眼科28(2):267.271,2011cはじめにコンタクトレンズ(CL)に関連した角膜感染症の原因微生物のなかで細菌性のものとしては緑膿菌による感染が最も多い1~3).緑膿菌性角膜潰瘍の治療ではニューキノロンおよびアミノグリコシドの局所投与が主体となるが,重症の角膜潰瘍では点眼を補う目的で点滴投与などの全身投与が行われている.しかし緑膿菌に対して優れた抗菌活性を有する抗菌薬はさほど多くはみられず,また抗菌力が強いとされるイミペネム/シラスタチン(IPM/CS)は副作用の点で第一選択薬とはなりがたい.そのような現状において2005年に発売され〔別刷請求先〕清水一弘:〒569-8686高槻市大学町2-7大阪医科大学眼科学教室Reprintrequests:KazuhiroShimizu,M.D.,DepartmentofOphthalmology,OsakaMedicalCollege,2-7Daigaku-cho,Takatsukicity,Osaka569-8686,JAPAN緑膿菌性角膜潰瘍におけるドリペネム水和物の使用経験清水一弘勝村浩三服部昌子山上高生向井規子池田恒彦大阪医科大学感覚器機能形態医学講座眼科学教室ClinicalExperiencewithDoripenemHydrateinPseudomonasaeruginosa-relatedCornealUlcerKazuhiroShimizu,KouzouKatsumura,MasakoHattori,TakaoYamagami,NorikoMukaiandTsunehikoIkedaDepartmentofOphthalmology,OsakaMedicalCollegeコンタクトレンズ(CL)関連角膜感染症の原因菌として緑膿菌が多いが,緑膿菌に対して活性を有する抗菌薬は少ない.緑膿菌性角膜潰瘍治療ではニューキノロンおよびアミノグリコシドの局所投与が主体となるが,点眼を補う目的で薬物動態-薬力学(PK-PD)理論に基づきドリペネム水和物(DRPM)1日3回投与を試みたので報告する.2008年5月から6カ月間に角膜潰瘍で治療を受けた34眼中,病巣より緑膿菌が検出され入院を要した5例5眼(25~43歳)に抗菌点眼液に加えDRPM250mgの1日3回投与を行った.全例で有害症状は認められなかった.DRPMは角膜潰瘍に適応症を有し,眼組織移行性も良好で緑膿菌に対する抗菌活性はカルバペネム系抗菌薬で最も強い.また,デヒドロペプチダーゼ-Iに安定なことからカルバペネム系抗菌薬でみられる腎障害が他薬剤に比べても少ない.緑膿菌感染に対し抗菌力が強く安全性も高いDRPMは眼科領域においても安全である.AlthoughPseudomonasaeruginosaisthemaincauseofcontactlens(CL)-relatedcornealinfection,fewdrugshaveantibacterialactivityagainstP.aeruginosa.AlthoughanewquinoloneoraminoglycosideantibioticislocallyappliedtotheeyesinthecurrentstandardtreatmentofPseudomonascornealulcer,wehaveattemptedathreetimes-daily(TID)regimenofdoripenemhydrate(DRPM),basedonpharmacokinetic-pharmacodynamic(PK-PD)theory,tosupplementtheeffectofanantibioticophthalmicsolution.Weherebyreportourstudyresults.Wetreated34eyeswithcornealulcerduring6monthsbeginningMay2008,anddetectedP.aeruginosainthelesionsin5eyesof5patients(age:25to43years),whorequiredhospitalization.WeadministeredDRPM250mgTIDtothe5patients,inadditiontoanantibioticophthalmicsolution.Theclinicalefficacyratewas100%,andnoneofthesepatientshadadversereactions.DRPMisindicatedforthetreatmentofcornealulcer,andamongthecarbapenemantibioticshasthemostpotentantibacterialactivityagainstP.aeruginosa,withgoodpenetrationfromthebloodstreamintooculartissues.Sinceitisstableagainstdehydropeptidase-I,itlessfrequentlyinducesrenalimpairment,whichisoftencausedbyothercarbapenemantibiotics.DRPM,withitspotentantibacterialactivityagainstP.aeruginosainfectionanditsgoodsafetyprofile,canbesafelyusedinthefieldofophthalmology.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)28(2):267.271,2011〕Keywords:緑膿菌,角膜潰瘍,カルバペネム系抗菌薬,コンタクトレンズ,ドリペネム水和物.Pseudomonasaeruginosa,corneaulcer,carbapenemantibiotics,contactlens,doripenemhydrate.268あたらしい眼科Vol.28,No.2,2011(114)たドリペネム水和物(DRPM)は他科感染症領域において緑膿菌に対して抗菌力のある薬剤と認知されている4)が,比較的新しい薬剤であるため眼科領域における報告は少ない.今回,緑膿菌性角膜潰瘍治療において,薬物動態-薬力学(pharmacokinetics/pharmacodynamics:PK/PD)理論に基づくDRPM水和物1日3回投与を行った5例を経験したので報告する.I対象および方法1.対象2008年5月から6カ月間に大阪医科大学眼科(以下,当院)で角膜潰瘍の治療を行った34眼中,病巣より緑膿菌が検出され,なおかつ入院を要した重症の5症例.対象症例の内訳は女性3名,男性2名,年齢は24~43歳,全員が2週間頻回交換型CL装用者であった(表1).CLケアに問題がある症例が多くみられた.〔症例1〕24歳,女性.両眼の違和感と右眼の視力低下で近医受診,その日のうちに当院紹介受診.右眼の角膜膿瘍と周囲のすりガラス状混濁,眼脂の付着など緑膿菌感染に特徴的な所見がみられた(図1).左眼にも充血がみられた.塗抹・培養・CL保存液のすべての検体から緑膿菌が検出された.CLのケース交換はしていなかったとのこと.右眼初診時視力5cm手動弁.一般血液検査で白血球11,670/μl,生化学検査でCRP(C反応性蛋白)1.83mg/dlと上昇.基礎疾患なし.〔症例2〕31歳,女性.右眼眼痛で近医受診,翌日に当院紹介受診.右眼の輪状膿瘍と前房蓄膿,粘性眼脂の付着がみられた.病巣およびCL保存液から緑膿菌検出.右眼視力(0.2).基礎疾患なし.一般血液検査および生化学検査異常なし.〔症例3〕43歳,女性.右眼眼痛で近医受診,2日目に当院紹介受診.右眼に輪状膿瘍とその周囲のすりガラス状混濁,前房蓄膿がみられた.病巣およびCL保存液から緑膿菌検出.CLは毎日洗浄するも丁寧に擦り洗いはしていなかったとのこと.右眼視力(0.03).一般血液検査で白血球11,420/μl,生化学検査でCRP0.75mg/dlと上昇.〔症例4〕33歳,男性.右眼眼痛,充血にて来院.CLの昼夜連続装用が多く,近医で角膜上皮障害を指摘されていた.右眼の角膜膿瘍と周囲のすりガラス状混濁がみられた.病巣およびCL保存液から緑膿菌検出.右眼視力(0.01).基礎疾患なし.一般血液検査および生化学検査異常なし.〔症例5〕27歳,男性.右眼眼痛で近医受診,翌日に紹介受診.右眼の輪状膿瘍とその周囲のすりガラス状混濁がみられた.視力は30cm手動弁.基礎疾患なし.一般血液検査および生化学検査異常なし.図1症例1の右眼前眼部写真角膜膿瘍と周囲のすりガラス状混濁がみられる.視力は5cm手動弁.10日間の点滴の追加治療にて白血球・CRPとも正常化し,視力は(0.2)で瘢痕治癒した.表1対象症例の内訳症例鏡検培養CLケースから検出治療前視力治療後視力所見治療期間1G(.)菌緑膿菌緑膿菌5cm手動弁(0.2)角膜膿瘍とすりガラス状混濁,白血球・CRP上昇27日間2G(.)菌G(+)菌緑膿菌Corynebacterium緑膿菌(0.2)(0.9)輪状膿瘍,前房蓄膿28日間3G(.)菌緑膿菌緑膿菌(0.03)(0.3)輪状膿瘍,前房蓄膿,白血球・CRP上昇,すりガラス状混濁40日間4G(.)菌G(+)菌緑膿菌Coryneformbacteria緑膿菌(0.01)(0.3)角膜膿瘍とすりガラス状混濁43日間5G(.)菌緑膿菌緑膿菌30cm手動弁(0.7)輪状膿瘍,すりガラス状混濁28日間G(+):Grampositive,G(.):Gramnegative.(115)あたらしい眼科Vol.28,No.2,20112692.方法初診日当日に細隙灯顕微鏡検査で角膜の輪状膿瘍とその周囲のすりガラス状混濁および粘性の眼脂など臨床的特徴から緑膿菌感染にほぼ間違いないと診断できた対象患者5症例に対し,塗抹・培養検査を施行後に入院のうえ,治療としてガチフロキサシン(GFLX)およびトブラマイシン(TOB)抗菌点眼液を1時間ごとに夜間就寝時を除いて頻回点眼した.さらに抗菌点眼液に加え初診日当日(入院日)よりDRPM250mgの1日3回点滴投与を行い安全性の検討を行った.DRPMの全身投与は症例1~5まで各々10日間,6日間,11日間,8日間,6日間,平均8.2日間行った.全例で初診時に病巣から採取した検体の塗抹・培養検査および薬剤感受性試験を行った.薬剤感受性試験は広域スペクトル型ペニシリンのアンピシリン(ABPC)とピペラシリン(PIPC),第1世代セフェム系のセファゾリン(CEZ),第3世代セフェム系のセフォタキシム(CTX),セフタジジム(CAZ),カルバペネム系のIPM,メロペネム(MEPM),DRPM,アミノグリコシド系のゲンタマイシン(GM),アミカシン(AMK),TOB,フルオロキノロン系のレボフロキサシン(LFLX),GFLX,テトラサイクリン系のミノサイクリン(MINO)の14薬剤について行った.点滴開始前に一般血液検査および生化学検査を施行し,必要に応じて追跡調査した.II結果症例1~5は各々入院期間19日間,8日間,25日間,10日間,7日間,平均13.8日間.瘢痕治癒まで各々27日間,28日間,40日間,43日間,28日間,平均33.2日間を要した.5症例のなかで最も治療期間が長かった症例3においてはDRPM投与前の一般血液検査で白血球11,420/μl,生化学検査でCRP0.75mg/dlと上昇していたが,DRPM投与5日後には白血球8,300/μl,生化学検査でCRP0.45mg/dlと改善傾向がみられ,14日後には白血球7,530/μl,生化学検査でCRP0.11mg/dlと白血球数およびCRP値とも正常化した.DRPM投与中には全例でアレルギー反応など全身的副作用は生じなかった.視力に関して各症例の初診時と治療後の瘢痕治癒時の矯正視力の経過をみたところ,各々,症例1は5cm手動弁→(0.2),症例2は(0.3)→(0.9),症例3は(0.03)→(0.3),症例4は0.01(矯正不能)→(0.3),症例5は30cm手動弁→(0.7)と全例改善傾向を示した.薬剤感受性試験の結果,全例ともカルバペネム系のDRPM,IPM/CS,MEPM,アミノグリコシド系のGM,TOB,ニューキノロン系のLFLX,GFLXなどの感受性が高かった.点眼液との併用で全例で瘢痕治癒に持ち込めた.III考按CL関連角膜感染症の多くはCLケアに問題があるといわれている5)が,なかでも緑膿菌性角膜感染症は点眼液のみで透明治癒する軽症例から角膜に瘢痕が残存したり,なかには角膜穿孔に至る重症例まで存在する.緑膿菌性角膜潰瘍にはアミノグリコシドの局所投与が有効であるが,角膜混濁などによる著しい視力低下などの後遺症の発現が予想される重症例においては入院による点滴治療が望ましいと考えられる.現状でも多くの施設で重症の角膜潰瘍に対しては抗菌薬の点滴治療を施行されているが,点滴をせずに視力障害が残った場合,十分な治療を行わなかったと判断される可能性もある6).頻回点眼のほうが角膜内濃度の上昇に有効であるが,夜間は点眼は困難となるため,それを補うため点滴を行うことは妥当であったと考えられる.このような現状において多種存在する抗菌薬のなかから全身投与を行うとすれば何が適当か検討する必要があると考えた.今回はDRPMの眼科領域での使用に問題が生じないかの判定を主眼としたため症例を限定し,①角膜潰瘍の病巣部より緑膿菌が検出された,②基礎疾患など全身的には問題のない症例,③ニューキノロン(GFLX)およびアミノグリコシド系(TOB)抗菌点眼液を各1剤投与されている以外に点眼液を使用されていない症例を対象とした.緑膿菌性角膜潰瘍におけるニューキノロンおよびアミノグリコシドの抗菌点眼液の頻回点眼は,治療としてゴールデンスタンダードとなっている7)ため,すでに投与されている場合は継続投与とした.視力に関しては全例で角膜潰瘍は消失するも角膜上皮下および実質層に角膜混濁が残存し,瘢痕治癒に至ったため矯正視力(1.0)以上を獲得することはできなかったが,5症例とも初診時より改善した.5cm手動弁~(0.2)であった5症例の治療前視力が治療後は(0.2)~(0.9)となり,5症例すべてで改善した.治療前視力のよかったほうが治療後の視力がよい傾向にあった.教科書などにも緑膿菌性角膜潰瘍の治療に関して推奨される薬剤の処方例が掲載されているが,点滴に関しては特に統一性はなく医師の経験に基づいて投与されていることが多いようである.このような現状において抗菌薬の全身投与を行うなら適応症と適応菌種を考慮して投与することが望ましいと思われた.角膜潰瘍を適応症として取得しているおもだった注射用抗菌薬にはカルバペネム系のIPM/CS,DRPM,セフェム系の塩酸セフォゾプラン(CZOP),セフトリアキソンナトリウム(CTRX),モノバクタム系のアズトレオナム(AZT)などがあり,よく使用されているセフェム系のCAZは緑膿菌を適応菌種として認められているが,角膜潰瘍の適応症は認められていない.そのなかで緑膿菌にも適応菌種を持ち合わせて270あたらしい眼科Vol.28,No.2,2011(116)いるのはIPM/CS,DRPM,CZOPだけである(表2).近年抗菌薬の臨床効果と相関を示すPK/PD理論に基づく投与法が推奨されており,カルバペネム系抗菌薬の臨床効果は原因菌の最小発育阻止濃度(minimalinhibitoryconcentration:MIC)を血中濃度が上回る時間すなわちtimeaboveMIC(%)を40%以上獲得することで最大殺菌作用が得られるといわれている8)(図2).キノロンなどは濃度依存性に効果を発揮するが,カルバペネム系は時間依存的に殺菌効果がある(表3).特に抗菌力が強いとされているIPM/CS,DRPMが入るカルバペネム系は時間依存的に殺菌作用があることから2回投与よりも3回投与にして投与間隔を短くすることでより高い臨床効果が期待できるとされている9).DRPMのデヒドロペプチダーゼ-I(DHP-I)に対する代謝安定性に関しては,IPM/CSは腎臓に多く存在するDHP-Ⅰという酵素により速やかに分解されてしまうが,DRPMは90分後で20%しか分解されず安定性が高くなっている10)(図3).DHP-Iによって生じた分解産物により腎毒性が生じるといわれている11)ためで,DHP-Iに安定なDRPMはカルバペネム系抗菌薬のなかでも腎障害が少ないのも特長である.大阪医科大学眼科の緑膿菌31株に対するおもだった薬剤のMICを比較した結果において,全例で瘢痕治癒に持ち込めたことより点眼も含めた抗菌薬の臨床効果における有効率は高いと考えられる.今回の症例の薬剤感受性試験の結果もアミノグリコシド系のGM,TOB,ニューキノロン系のLFLX,GFLXは良好で,緑膿菌に対する薬剤感受性は従来いわれているのと同様の結果を得た.さらに注射薬ではIPM/CS,MEPM,DRPMの感受性が良好で,カルバペネム系の緑膿菌に対する抗菌力の強さが改めて示された.症例1と3においては点滴施行前に角膜潰瘍に伴った炎症によると思われる白血球数上昇とCRP高値がみられたが,点滴施行によっても悪化することはなく,消炎とともに数値の改善がみられたことより肝臓,腎臓機能を含めた全身への影響は少ないと考えられた.また,DRPM投与中にアレルギー反応など全例で全身的な副作用は生じなかった.対象症例が角膜潰瘍を患っているものの基礎疾患がなく高齢者のいない群であることも考慮する必要があるが,CL関連角膜潰瘍罹患者層の背景はおおむね同じ年代の健康者と考えられるため,この一群の疾患に使用するなら安全と考えてよいと思われる.DRPMは緑膿菌に最も優れた抗菌力を示し,眼科領域にも適応症が取れており,組織移行が良く12),腎毒性が少ない時間血中濃度Cmax(最高血中濃度)MICTimeaboveMICTAM)Cmax/MICAUCAUC/MIC(血中濃度時間曲線下面積)(MIC以上の持続時間)(CmaxとMICの比)(AUCとMICの比)図2PK.PDパラメータ1008060402000306090反応時間(min):DRPM:MEPM:IPM残存率(%)図3ヒト腎由来DHP.Iに対する代謝安定性(invitro)加水分解活性:0.500U/ml(GDPA基質).表3抗菌薬の効果と相関するPK.PDパラメータ抗菌薬臨床効果と関連が強いPK/PDパラメータ抗菌活性の特徴キノロン系薬ケトライド系薬アミノグリコシド系薬AUC/MICCmax/MIC濃度依存性の殺菌作用ペニシリン系薬セフェム系薬カルバペネム系薬TimeaboveMIC(TAM)時間依存性の殺菌作用表2注射用抗生物質製剤の適応症と適応菌種薬剤名角膜潰瘍緑膿菌PIPC.+CPR.+CZOP++CFPM.+SBT/CPZ.+IPM++MEPM.+PAPM.+BIPM.+DRPM+++:適応症+:適応菌(117)あたらしい眼科Vol.28,No.2,2011271ことが特長と思われる.今回はニューキノロンおよびアミノグリコシドの局所投与や他の点滴薬剤との比較検討を行ったわけではないので明らかな有効性は論じられないが,健康人に投与する限り重大な合併症をひき起こす可能性は少ないものと思われる.対象症例が10~40歳代のCLユーザー層であったため,より高齢者にDRPMが安全かどうかはさらなる検討が必要と思われる.以上のことより緑膿菌感染に対して抗菌力が強く,比較的安全性も高いため緑膿菌性角膜潰瘍の重症例に点滴を行うとすればDRPMも選択肢の一つと考えられた.本論文の要旨は第46回日本眼感染症学会にて発表した.文献1)秦野寛:コンタクトレンズと細菌感染.日コレ誌38:122-124,19962)中村行宏,松本光希,池間宏介ほか:NTT西日本九州病院における感染性角膜炎.あたらしい眼科26:395-398,20093)福田昌彦:コンタクトレンズ関連角膜感染症の実態と疫学.日本の眼科80:693-698,20094)吉田勇,藤村享滋,伊藤喜久ほか:各種抗菌薬に対する2004年臨床分離好気性グラム陰性菌の感受性サーベイランス.日化療会誌56:562-579,20085)宇野俊彦:コンタクトレンズケア.日本の眼科80:699-702,20096)深谷翼:判例にみる眼科医療過誤(その2)細菌性(緑膿菌性)角膜潰瘍と医師の治療上の過失.眼臨80:2430-2433,19867)井上幸次,日本眼感染症学会感染性角膜炎診療ガイドライン作成委員会:感染性角膜炎診療ガイドライン.日眼会誌111:769-809,20078)DrusanoGL:Preventionofresistance:agoalfordoseselectionforantimicrobialagents.ClinInfectDis36:42-50,20039)CraigWA:Pharmacokinetic/pharmacodynamicparameters:rationaleforantibacterialdosingofmiceandmen.ClinInfectDis26:1-10,199810)山野佳則,川井悠唯,湯通堂隆ほか:Doripenemのヒトdehydropeptidase-Iに対する安定性.日化学療会誌53:92-95,200511)灘井雅行,長谷川高明:腎における薬物の排泄機構.医学のあゆみ215:495-500,200512)大石正夫,宮永嘉隆,大野重昭ほか:Doripenemの眼組織移行性と眼科領域感染症に対する臨床効果.日化療会誌53:313-322,2005***