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ロングチューブシャント術後眼へのDescemet Stripping Automated Endothelial Keratoplastyの術後経過

2020年5月31日 日曜日

《原著》あたらしい眼科37(5):631.635,2020cロングチューブシャント術後眼へのDescemetStrippingAutomatedEndothelialKeratoplastyの術後経過丸山会里*1,2田尻健介*1吉川大和*1在田稔章*1,3奥村峻大*1,4植木麻理*1,4清水一弘*1,2池田恒彦*1*1大阪医科大学眼科学教室*2高槻病院*3八尾徳洲会総合病院*4高槻赤十字病院PostoperativeCourseofDescemetStrippingAutomatedEndothelialKeratoplasty(DSAEK)forBullousKeratopathyfollowingLongTubeShuntSurgeryEriMaruyama1,2)C,KensukeTajiri1),YamatoYoshikawa1),ToshiakiArita1,3)C,TakahiroOkumura1,4)C,MariUeki1,4)C,KazuhiroShimizu1,2)CandTsunehikoIkeda1)1)DepartmentofOphthalmology,OsakaMedicalCollege,2)TakatsukiGeneralHospital,3)4)TakatsukiRedCrossHospitalCYaoTokushukaiGeneralHospital,目的:ロングチューブシャント手術後の水疱性角膜症に対して角膜内皮移植術(DSAEK)を施行した症例の術後成績を調べる.方法:ロングチューブシャント手術後(Tube群,5眼)およびCFuchs角膜内皮ジストロフィ(FBK群,9眼),線維柱帯切除術後(TLE群,6眼)について検討した.結果:術前視力および術後最高視力(logMAR)の平均はCTube群C1.55C±0.36およびC0.71C±0.36,FBK群C0.79C±0.18およびC0.18C±0.19,TLE群C0.76C±0.29およびC0.67C±0.54であり,いずれの群も改善した.生存率はCFBK群やCTLE群が術後C36カ月でC100%と良好であったが,Tube群は術後C1カ月C80.0%,6カ月C80.0%,12カ月C40.0%,36カ月C20.0%であった.結論:ロングチューブシャント手術後のDSAEKでは視力改善が得られるものの,生存率が比較的不良な可能性がある.CPurpose:ToCinvestigateCtheCpostoperativeCoutcomesCafterCDescemetCstrippingCautomatedCendothelialCkerato-plasty(DSAEK)forCbullouskeratopathy(BK)followingCglaucomaClongCtubeCshuntCimplantation.CMethods:ThisCstudyinvolvedcaseswithBKfollowingglaucomalongtubeshuntimplantation(TubeGroup,5eyes)C,Fuchscorne-alCendothelialdystrophy(FBKCGroup,C9eyes)C,CandTrabeculectomy(TLECGroup,C8eyes)C.CResults:InCtheCTubeCGroup,CFBKCGroup,CandCTLECGroup,CtheCpreoperative/postoperativeCmeanCvisualacuity(logMAR)wasC1.55±0.36/0.71±0.36,C0.79±0.18/0.18±0.19,CandC0.76±0.29/0.67±0.54,Crespectively.CTheCgraftCsurvivalCrateCinCtheCFBKGroupandtheTLEGroupwas100%at36-monthspostoperative,yetintheTubeGroup,thegraftsurvivalrateat1-,6-,12-,and36-monthspostoperativewas80.0%,80.0%,40.0%,and20.0%,respectively.Conclusions:CDSAEKCisCindicatedCforCBKCfollowingCglaucomaClongCtubeCshuntCimplantation,Chowever,CweCfoundCthatCtheCgraftCsurvivalrateisrelativelypoorcomparedwiththatinnormalDSAEKcases.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)C37(5):631.635,C2020〕Keywords:角膜内皮移植術,角膜移植,チューブシャント手術,緑内障,GDD,成績.DSAEK,keratoplasty,tubeshuntsurgery,glaucoma,glaucomadrainagedevice,outcome.Cはじめに水疱性角膜症に対する外科的治療法の一つである角膜内皮移植術(DescemetCstrippingCautomatedCendothelialCkerato-plasty:DSAEK)は,その安全性と視力改善への有用性から同疾患の標準的な術式となりつつある.またチューブシャント手術はC2012年に厚生労働省の認可を受けた緑内障手術である.チューブシャント手術にはCEX-PRESSCglaucomaC.ltrationdeviceに代表されるショートチューブシャントと,BaerveldtglaucomaCimplantやAhmedglaucomaimplantに代表されるロングチューブシャ〔別刷請求先〕丸山会里:〒569-8686大阪府高槻市大学町C2-7大阪医科大学眼科学教室Reprintrequests:EriMaruyama,M.D.,Ph.D.,DepartmentofOphthalmology,OsakaMedicalCollege,2-7Daigaku-machi,Takatsuki,Osaka569-8686,JAPANCントがある.複数回の手術既往や,さまざまな理由で線維柱帯切除術の施行が困難な症例,通常の線維柱帯切除術では奏効が期待できない症例や,従来の線維柱帯切除術では重篤な合併症が起きかねない難治性緑内障が適応となる.ロングチューブシャントの作用機序としては,前房,毛様溝もしくは硝子体にチューブ先端を挿入し,房水を眼外に流出させてプレートを覆う被膜から周囲の組織へ放散吸収させ,眼圧下降へ導く形式をとる.ロングチューブシャント手術の術後晩期合併症の検討ではもっとも多い合併症として難治性の角膜浮腫があげられており,線維柱帯切除術後のC9眼/105眼(8.6%)に比較してロングチューブシャント手術後ではC17眼/107眼(15.9%)と報告されている1,2).わが国でもロングチューブシャント手術後の水疱性角膜症が問題となりつつあるが,DSAEK手術による治療成績の報告は少ない3).今回筆者らは,ロングチューブシャント手術後に発症した水疱性角膜症に対するCDSAEKの術後経過および,術前術後視力の比較,合併症,生存率を検討したので報告する.CI対象および方法対象はC2011年C4月.2017年C9月に大阪医科大学附属病院眼科で施行されたCDSAEK症例のうち,ロングチューブシャント手術後(Tube群)の症例C5例C5眼である.性別は男性C4例,女性C1例であった.平均年齢は67.8C±17.7歳,角膜移植前の平均内眼手術既往はC3.2C±1.5回であった.また,同時期にCDSAEKを施行されたCFuchs角膜ジストロフィ(FBK群)8例9眼(男性3例3眼,女性5例6眼,平均年齢C78.9C±8.1,平均内眼手術既往C0.8C±0.4回),線維柱帯切除術後(TLE群)6例6眼(男性5例5眼,女性1例1眼,平均年齢C76.7C±8.1歳,平均内眼手術既往C2.5C±0.5回)をコントロール群とした.経過観察期間はC36カ月とした(表1).Tube群C5眼におけるチューブタイプは,Ahmed型C2眼,Baerveldt型C3眼で,そのチューブの挿入部位は,前房C2眼,毛様溝C2眼,硝子体C1眼であった.DSAEK術式であるが,Sightlifeより斡旋を受けた強角膜片からマイクロケラトームを用いて径C8.0CmmのCgraftを作製.5.1mmの強角膜創からBUSINglideを用いたpullthrough法でCgraftを前房内に挿入後,前房内を空気で全置換しC10分以上Cgraftを圧着させた.Tube群で前房挿入の症例ではCgraft挿入前に前房内のチューブをC2Cmm以内に切短した.Graftの位置はチューブと接触しないように適宜調整した.術後経過について,合併症,生存率,術前視力ならびに術後最高視力についてそれぞれC3群で検討した.合併症では,graft接着不良,空気再注入率,拒絶反応発症率のそれぞれについて検討した.生存率は,角膜内皮細胞密度の減少に伴いCgraft上に角膜上皮浮腫が出現した時点を死亡と定義した4).視力検査は少数視力で測定したものをClogMAR換算した.少数視力C0.01未満の視力については,指数弁C1.85,手動弁C2.30,光覚弁C2.80とした5,6).CII結果術中合併症はC3群すべての症例でとくに認めなかった.術後合併症に関して,graft接着不良をきたした症例はCFBK群で9眼中2眼(22.2%),TLE群で6眼中2眼(33.3%),Tube群ではC5眼中C2眼(40.0%)であった.空気再注入を要したのはFBK群で1眼(11.1%),TLE群で1眼(16.7%),Tube群ではC5眼中C1眼(20%)であった.拒絶反応をきたしたものは,FBK群でC1眼(11.1%),TLE群でC0眼,Tube群ではC1眼(20%)であった(表2).生存率をCKaplan-Meier生存曲線で示す.FBK群やCTLE群がC36カ月の時点でC100%と良好な生存率を呈しているのに対し,Tube群は術後C1カ月C80.0%,6カ月C80.0%,12カ月C40.0%,24カ月C40.0%,36カ月C20.0%であり,Tube群の生存率はCFBK群やCTLE群と比較して明らかに不良であった(図1).チューブ挿入部位別では前房挿入(2眼)ではC1カ月およびC12カ月であり,毛様溝挿入(2眼)ではC10カ月とC36カ月,硝子体挿入のC1眼はC27カ月であった.視力は,logMAR値でCFBK群では術前視力がC0.79C±0.18,術後最高視力がC0.18C±0.19,TLE群ではそれぞれC1.75C±0.44に対してC0.50C±0.33であった.Tube群をみると術前視力は表1各群間の比較Tube群FBK群TLE群症例5例5眼8例9眼6例6眼性別男性4眼,女性1眼男性3眼,女性6眼男性5眼,女性1眼年齢C67.8±17.7(37.82)歳C78.9±8.1(73.88)歳C76.7±8.1(63.86)歳術前視力(logMAR)C1.55±0.36C0.79±0.18C1.75±0.44内眼手術既往C3.2±1.5回C0.8±0.4回C2.5±0.5回Donar角膜内皮細胞密度C2,730±512/mm2C2,496±280/mm2C2,676±341/mm2CFBK群:Fuchs角膜ジストロフィ,TLE群:線維柱帯切除術後,Tube群:ロングチューブシャント術後.C632あたらしい眼科Vol.37,No.5,2020(130)表2Tube群,FBK群,TLE群の合併症対比および術後最高視力Tube群FBK群TLE群graft接着不良2眼/5眼2眼/9眼2眼/6眼空気再注入0眼/5眼1眼/9眼1眼/6眼拒絶反応1眼/5眼1眼/9眼0眼/6眼術後最高視力(logMAR)C0.71±0.36*(p=0.016)C0.18±0.19*(p<0.01)C0.50±0.33*(p<0.01)*視力はいずれの群も術前に比較して有意に改善した(Mann-WhitneyUtest,p<0.05).生存率(%)100FBK群80TLE群604020Tube群005101520253035観察期間(月)図1生存率(Kaplan.Meier生存曲線)FBK:Fuchs角膜ジストロフィ,TLE:線維柱帯切除術後,Tube:チューブシャント術後.C1.55±0.36,術後最高視力はC0.71C±0.36であり,Tube群をはじめ,いずれの群においても術前と比較して,術後最高視力は有意に改善していた(Mann-WhitneyU-test,p<0.05).以下にCTube群C5症例の詳細を述べる.〔症例1〕82歳,男性.偽落屑症候群のある開放隅角緑内障でC1回の白内障手術,2回の線維柱帯切除術を経て水疱性角膜症となった.眼圧コントロール不良でありCAhmed型を硝子体挿入された.7カ月後にCDSAEKを施行され視力改善がみられた.術後C15カ月に拒絶反応を生じたが治療で改善した.術後C25カ月に網膜出血,低眼圧,脈絡膜.離を伴うサイトメガロウイルス網膜炎(硝子体液のCPCR検査でサイトメガロウイルスCDNA陽性)を発症しC27カ月で光覚を消失し角膜も移植片不全となった.その後僚眼も水疱性角膜症になりCDSAEKが施行された.DSAEK術前視力C1.52,術後最高視力C0.70.湖崎分類CII.〔症例2〕71歳,男性.開放隅角緑内障でC1回の白内障手術併用線維柱帯切除術ののちにCBaerveldt型を前房挿入された.10カ月後に水疱性角膜症となったため挿入部位を毛様溝に差し直した.DSAEKが施行されたが術後C10カ月で移植片不全となった.さらに図2症例3の前眼部写真DSAEK術後C3カ月.毛様溝に挿入されたチューブの先端が確認できる.視力(0.7)logMAR.11カ月後に再度CDSAEKを施行されたが術後C8カ月に移植片不全となった.DSAEK術前視力C1.70,術後最高視力C0.52.湖崎分類CIIIb.〔症例3〕73歳,男性.開放隅角緑内障でC1回の白内障手術,2回の線維柱帯切除術を経て水疱性角膜症となった.眼圧コントロール不良のためCBaerveldt型を毛様溝に挿入した.6カ月後にCDSAEKを施行した(図2).DSAEK術後C8カ月後に結膜が溶解してチューブが露出し前房内炎症を生じたため抗生物質で治療した.DSAEK術後C12カ月にCBaerveldt型を抜去しCAhmed型を毛様溝に挿入している.DSAEK術後C36カ月で角膜厚はやや増大しているが上皮浮腫は認めず生存している.DSAEK術前視力C1.52,術後最高視力C0.70.湖崎分類CIIIa.〔症例4〕76歳,女性.サルコイドーシス疑いのぶどう膜炎に続発した緑内障.僚眼は網膜血管炎および虚血性視神経症で失明している.1回の白内障手術(.外摘出術)を施行されている.Ahmed型を前房内挿入されたがC3年後に水疱性角膜症となりCDSAEKを施行された.graft周辺にC1Cmmの接着不良があったが経過観察で接着した.視力改善を認めたが術後C12カ月で移植片不全となった.再度CDSAEKが施行されたが,術後C2カ図3症例5の前眼部写真DSAEK術後C3週間.7時にC2Cmm程度Cgraft接着不良がある.視力(1.4)logMARで術前より改善している.眼圧C27CmmHg(Gold-mann圧平式眼圧計).月で虹彩炎が出現し移植片不全となった.2カ月間消炎治療をしてC3回目のCDSAEKを施行したが虚血性視神経症疑いで入院中に光覚を消失した.術後C2カ月で角膜も移植片不全となった.DSAEK術前視力C1.00,術後最高視力C0.35.湖崎分類CIIIa.〔症例5〕37歳,男性.重度アトピー性皮膚炎あり.続発性の緑内障でC1回の白内障手術およびC1回の線維柱帯切開術を経てCBaerveldt型を前房内挿入された.術後C3年で水疱性角膜症になりCDSAEKを施行され,同時にチューブのプレート周囲の被膜切除も行った.術後Cgraft下方周辺部にC2Cmmほどの接着不良を認めたが,角膜浮腫は改善しており経過観察された(図3).術後1カ月に極端な低眼圧と角膜浮腫の増悪を生じ移植片不全となった(図4).13カ月後に再度CDSAEKを施行され,目こすり予防に保護眼鏡など徹底したが術後C1カ月で移植片不全となった.さらにC15カ月後にチューブの硝子体への差し直しの際に全層角膜移植を施行したが術後C1カ月で移植片不全となった.DSAEK術前視力C2.00,術後最高視力C1.30.湖崎分類CII.CIII考按緑内障チューブシャント手術は,もともと難治性緑内障が手術対象であるうえ,デバイスを使用する術式であり,通常の緑内障濾過手術ではみられない術後合併症も危惧される.CTheCTubeCVersusTrabeculectomy(TVT)studyにおける術後晩期合併症の線維柱帯切除術との比較では,難治性角膜浮腫すなわち水疱性角膜症が,チューブシャント手術では107眼中C17眼(15.9%),線維柱帯切除術ではC105眼中C9眼図4症例5の前眼部写真DSAEK術後C5週間.移植片不全となり視力は眼前手動弁(矯正不能)に低下.低眼圧のため眼圧測定不能.拒絶反応のような角膜後面沈着物は認めない.graft接着不良の範囲は変化ないようである.(8.6%)とチューブシャント手術に多い傾向がみられている1).また,Ahmed型とCBaerveldt型の術後C5年間にわたる長期の比較でも,角膜浮腫が両者ともにC20%発生している2).これらの原因として,チューブの前房挿入による影響だけではなく,低眼圧やロングチューブシャント手術前に行われた白内障手術なども関与しているのではないかと考察されている.本報告の生存率について検討すると,Tube群はCFBK群,TLE群に比較して生存率が不良であった.海外でもCglauco-madrainagedevice手術後ではCDSAEK術後のCgraft生存率が低いと報告があるが,1年生存率はC80%,3年生存率も50%程度であり7),今回の結果はさらに不良であった.ロングチューブインプラント手術については血管新生緑内障に対する硝子体挿入型のCBaerveldt型インプラント手術では角膜内皮細胞障害はC17%にとどまっていたという報告や8),同じく血管新生緑内障に対する硝子体挿入型のCBaerveldt型インプラント手術では明らかな角膜内皮細胞障害は認められなかったというわが国における報告3)がある.今回のC5眼ではチューブの挿入部位が前房内あるいは毛様構の症例が比較的多かった.全層角膜移植(PKP)後早期に角膜内皮細胞密度が減少した群では前房水でCIL-10,MCP-1,IFN-gが上昇していたという報告があり9),今回のような難治性緑内障では前房内の炎症性サイトカイン濃度が上昇していることが予後不良につながった可能性が考えられる.今回のC5症例はアトピー性皮膚炎の合併やぶどう膜炎続発緑内障など線維柱帯切除術の成績が不良とされる症例や,結膜の瘢痕化が高度であったり,線維柱帯切除術を施行されたが濾過胞の線維化を生じてしまった難治性の緑内障症例であることからロングチューブインプラント手術が選択された.また,挿入部位については角膜浮腫による眼内視認性の不良や緑内障病期が進行しており硝子体手術による視神経障害が懸念されるような症例,唯一眼で硝子体手術による合併症が懸念される症例で,前房もしくは毛様溝挿入が選択された.緑内障やCDSAEKそのものに限らず,原疾患のぶどう膜炎や,眼内炎などの併発疾患,アトピー性皮膚炎による眼を擦る行為が影響した可能性も否定できない.今後症例を増やしてさらなる検討が必要と思われる.一般にCDSAEK術後のCgraftの接着不良はC14.5%(0.82%),拒絶反応発症率はC10%前後との報告がある10,11).今回のCTube群では術後Cgraftの接着不良がC40%にみられ,FBK群(22.2%),TLE群(33.3%)との間に有意差はみられなかったが,やや高い傾向があった.Tube群では空気の再注入がC20%に,またC20%に拒絶反応がみられた.graft接着不良の原因として,Tube群やCTLE群では術中および術後の持続的な低眼圧の影響が考えられる.チューブが挿入されていることや濾過胞の存在に起因する接着に必要な前房内圧不足や術後早期の脱気により,今回空気の再注入を必要としたものが多かった可能性が考えられる.Baerveldt型はプレートに圧力調節弁をもたずCAhmed型に比較して術後に低眼圧をきたすことが多いとされている12).一方で,術後最高視力は,Tube群,FBK群,TLE群のいずれにおいても,術前と比較して有意に改善した.ロングチューブシャント手術の適応となりうる難治性緑内障であっても,ロングチューブシャント手術後に合併しうる水疱性角膜症に対し,DSAEKは有用な治療手段の一つと考えられる.今回,緑内障のロングチューブシャント手術後でもDSEAKで良好な視力改善が得られることがわかった.その一方で,graftの生存率は比較的不良である可能性があり,その原因検索と対応策について引き続き検討する必要がある.文献1)GeddeCSJ,CHerndonCLW,CBrandtCJDCetal:PostoperativecomplicationsintheTubeVersusTrabeculectomy(TVT)CstudyCduringC.veCyearsCofCfollow-up.CAmCJCOphthalmolC153:804-814,C20122)BudenzDL,FeuerWJ,BartonKetal:Postoperativecom-plicationsCintheAhmedBaerveldtComparisonStudydur-ing.veyearsoffollow-up.AmJOphthalmolC163:75-82,C20163)東條直貴,中村友子,コンソルボ上田朋子ほか:血管新生緑内障に対するバルベルト緑内障インプラント手術の治療成績.日眼会誌C121:138-145,C20174)PedersenCIB,CIvarsenCA,CHjortdalJ:GraftCrejectionCandCfailureCfollowingCendothelialkeratoplasty(DSAEK)andCpenetratingkeratoplastyforsecondaryendothelialfailure.ActaOphthalmolC93:172-177,C20155)Schulze-BonselCK,CFeltgenCN,CBurauCHCetal:VisualCacu-ities“handmotion”and“counting.ngers”canbequanti-.edCwithCtheCfreiburgCvisualCacuityCtest.CInvestCOphthal-molVisSciC47:1236-1240,C20066)GroverS,FishmanGA,AndersonRJetal:Visualacuityimpairmentinpatientswithretinitispigmentosaatage45yearsorolder.OphthalmologyC106:1780-1785,C19997)AnshuA,PriceMO,PriceFW:De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