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多数例による上方視神経部分低形成と緑内障合併の検討

2025年6月30日 月曜日

《第35回日本緑内障学会原著》あたらしい眼科42(6):742.747,2025c多数例による上方視神経部分低形成と緑内障合併の検討金森章泰*1,2金森敬子*1*1医療法人社団かなもり眼科クリニック*2神戸大学大学院医学研究科外科系講座眼科学分野CALarge-ScaleStudyoftheAssociationofSuperiorOpticNerveHypoplasiaandGlaucomaAkiyasuKanamori1,2)andNorikoKanamori1)CKanamoriEyeClinic1),KobeUniversityGraduateSchoolofMedicine,DivisionofOphthalmology,DepartmentofSurgery2)目的:上方視神経部分低形成(SSOH)は日本人ではC300人にC1人程度の有病率とされ,まれではない.緑内障発症のリスク因子とされ,ときどき緑内障と誤診されているケースが散見される.目的はCSSOHの臨床像を検討し,緑内障合併例を分類することである.対象と方法:光干渉断層計(OCT)・眼底写真からCSSOHと判断したC130眼について,緑内障の合併の有無や視野検査結果等を検討した.結果:年齢・屈折値・HFA24-2のCMD・眼軸長の平均値は48.1歳,.4.20D,.1.79CdB,25.57Cmであった.緑内障性構造障害の有無について以下のようにグループ分けを行うことができた.SSOHのみ群C40眼,黄斑部にかかる網膜内層構造障害合併群C17眼,前視野緑内障合併群C52眼,緑内障合併群C21眼.そのうちCSSOHによる視野欠損を生じていたのはC9眼,10眼,10眼,11眼であった.結論:SSOHにおいて,前視野緑内障を含む緑内障合併例は多数みられた.黄斑部にかかる上方の網膜神経線維層欠損はCSSOHの広がりによるものか,緑内障性かの判断が困難であった.CPurpose:Superiorsegmentalopticnervehypoplasia(SSONH)hasanestimatedprevalenceofapproximately1CinCeveryC300CJapaneseCpeople,CsoCitCisCnotCaCrareCdisease.CHowever,CSSONHCisCconsideredCaCriskCfactorCforCtheCdevelopmentofglaucomaandisoccasionallymisdiagnosedasglaucoma.ThepurposeofthisstudywastoexaminetheclinicalfeaturesofSSONHandclassifycaseswithglaucoma.PatientsandMethods:Inthisstudy,weexam-inedCtheCpresenceCorCabsenceCofCglaucomaCandCvisualC.eldCtestC.ndingsCofC130CeyesCdiagnosedCasChavingCSSONHCbasedConCopticalCcoherenceCtomographyCandCfundusCimaging.CResults:TheCmeanCpatientCage,CrefractiveCvalue,CHumphreyCFieldCAnalyzerC24-2CmeanCdeviation,CandCaxialClengthCwereC48.1Cyears,C.4.20D,C.1.79dB,CandC25.57Cmm,respectively.The130eyesweregroupedaccordingtothestructuralglaucomatouschangeasfollows:C40eyeswithSSONHonly,17eyeswithganglioncellcomplex(GCC)damageintheuppermacular,52eyeswithpreperimetricglaucoma,and21eyeswithglaucoma.Ofthose,visual.elddefectsduetoSSONHoccurredin9,10,10,and11eyes,respectively.Conclusion:ManycasesofSSONHwerecomplicatedwithglaucoma,includingpre-perimetricCglaucoma,CsoCitCwasCdi.cultCtoCdetermineCwhetherCtheCGCCCdefectsCinCtheCupperCmaculaCwereCdueCtoCthespreadofSSONHorwereglaucomatous.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)42(6):742.747,C2025〕Keywords:上方視神経部分低形成,緑内障,合併,光干渉断層計.superiorsegmentalopticnervehypoplasia,glaucoma,coexisting,opticalcoherencetomography.Cはじめに上方視神経部分低形成(superiorCsegmentalCopticCnervehypoplasia:SSOH)は視神経乳頭の上方から鼻側にかけての軽度の先天的形成異常とされる.日本人における有病率は,多治見スタディで集積された眼底写真の判読より,0.3%とされている1).さらに,193名の自覚症状のない大学生における研究では,SSOHの頻度はC2.6%(全員CGoldmann視野に異常が確認されている)という報告もある2).日常診療ではよくみかける状態であるにもかかわらず,SSOHの診断基準は明確ではないうえに,SSOHの約半数は視野欠損がないとも報告されており1),その場合はいっそう診断が困難になることもある.SSOHの形態的特徴は,①網膜上方の網〔別刷請求先〕金森章泰:〒673-0892明石市大明石町C1-6-1パピオスあかしC3Fかなもり眼科クリニックReprintrequests:AkiyasuKanamori,M.D.,Ph.D.,KanamoriEyeClinic,1-6-1-3F,Ohakashi-cho,Akashi-city,Hyogo673-0892,CJAPANC742(100)膜神経線維層(retinalCnerveC.berlayer:RNFL)欠損,②乳頭上部の蒼白化,③乳頭上方の強膜のChalo,④乳頭における網膜中心動脈起始部の上方偏位,の四つがあげられているが3),日本人ではこれらの特徴がすべてそろうことは少ないとされている4,5).また,SSOHと緑内障合併例の症例報告に加え,SSOHがあると緑内障の発症率がC5倍になるとされる6).一般的な開放隅角緑内障は急に発症することはなく,その前の病期である視野が正常な前視野緑内障(preperimet-ricglaucoma:PPG)を併発している例はさらに多いと思われる.今回,多数例のCSSOHと緑内障の合併程度から,分類を試みたので報告する.CI対象と方法本研究は診療録から調査した後ろ向き研究である.プロトコールはヘルシンキ宣言に基づいており,兵庫県医師会倫理審査委員会の承認のもと,対象から文書による同意を得て行った.2017年C6月.2023年C12月にかなもり眼科クリニックを受診し,SSOHと診断した患者を対象とした.SSOHの診断は眼底所見および光干渉断層計(opticalcoherencetomogra-phy:OCT),視野検査によって総合的に行った.OCTは緑内障とCSSOHの鑑別に有用とされる7).OCTはCRetinaScan-DUO(ニデック)を用いた.乳頭マッププログラムにて視神経形状ならびに乳頭周囲網膜神経線維層(circumpap-illaryCretinalCnerveC.berlayer:cpRNFL)厚を測定した.黄斑部解析では,黄斑部網膜内層構造(ganglionCcellCcom-plex:GCC)を計測した.GCCは網膜神経線維層+網膜神経節細胞層+内網状層の厚みからなる複合体厚である.視野はCHumphreyCFieldAnalyzer(HumphreyZeiss社)のCHum-phrey24-2SITA-standardを用いて測定を行った.本研究の選択基準は,矯正視力がC0.7以上,眼軸長がC30mm未満,良好なスキャンが取得されていること,および信頼性のある視野検査の結果が得られていることとした.26mm以上の眼軸長のある眼ではCOCTに内蔵された長眼軸補正プログラムでデータ補正を行った.眼底検査および眼底写真で上方・下方どちらかにでも視神経乳頭リムの狭窄および網膜神経線維層欠損がみられる緑内障性視神経乳頭変化に加え,OCTによる緑内障性構造障害があり,それに一致する視野欠損基準を満たすものを緑内障と診断した.信頼性のある視野検査(固視不良C20%未満,偽陰性C15%未満,偽陽性15%未満)において,視野検査結果が以下のいずれかの基準を満たした場合に緑内障性視野異常と定義した.①パターン偏差確率プロットにおいて,隣接した位置にC3点以上がC5%未満の確率を示し,そのうち少なくとも1点がC1%未満の確率を示した場合,②パターン標準偏差の確率がC5%未満の場合,③緑内障半視野検査が正常範囲外であると示した場合(AndersonとCPatellaの基準に従う)である.PPGは緑内障性構造障害があるものの緑内障性視野障害がないものと定義した.本研究では,角膜および硝子体手術の既往,角膜混濁,臨床的に有意な白内障,網膜疾患(黄斑上膜,黄斑円孔,糖尿病網膜症など),および非緑内障性視神経症の既往がある眼は除外した.CII結果対象患者はC100例C130眼である.患者の年齢は平均C±標準偏差C48.1C±11.9歳,男性41例54眼,女性59例76眼であった.等価球面度数はC.4.20±3.47D,眼軸長はC25.57C±1.70mm,Humphrey視野Cmeaddeviation(MD)値はC.1.79C±3.02CdBであった.SSOHと緑内障との鑑別を考えるにあたり,OCT解析結果をもとに判断すると,臨床上,四つのパターンがあると考えられた(図1,2).①単純な鼻上側のSSOH(SSOH群),②鼻上側のCSSOHによる構造障害に連続した黄斑部にかかるCGCC障害があるもの(+a群),③CSSOH+PPG(+P群),④CSSOH+緑内障(+G群)である.結果は,SSOH群40眼,+a群C17眼,+P群C52眼,+G群C21眼に分類された.表1に各群の背景を示す.年齢や眼軸,角膜厚に群間差はなかったものの,HFAのCMD値は有意に緑内障群で低かった(ANOVA,p<0.01).表2に示すとおり,片眼性のものはC30例あり,SSOH群C14眼,Ca群6眼,+P群10眼,+G群C0眼であった.つぎに,両眼での各群の分布を検討すると,SSOH群がC11例,Ca群3例,+P群17例,+P群6例と74%(=34/50)は多くは両眼とも同じ分類に入り,この分類には両眼性が存在すると思われた.SSOHによる視野欠損の有無により,各群の眼数を検討した(表3).視野欠損あり群はCSSOH群と+a群で比較したところ,視野欠損ありが+a群のほうが有意に多かった(Fisher検定,p=0.013).一方,+a群は低形成程度が強い群と考えると,+a群のほうがよりCSSOH視野欠損を有する症例が多い結果は妥当な結果と思われる.+G群でも+P群に比べCSSOHの視野欠損のある例が多かった(Fisher検定,p=0.009).つぎに,OCTのCdisc解析による視神経乳頭形状について検討した(表4).垂直視神経乳頭陥凹比はC4群で有意な差はなかったが,視神経乳頭面積は有意に+a群が小さかった(ANOVA,p=0.014).CIII考按SSOHに関する報告はいくつか過去にされているが,いずれも数十例までの報告で,100例を越えるような多数例による検討はC1報のみである.Yagasakiらは日本人において,眼底写真でCSSOHと診断したC106眼について報告しており,図1右眼が+a群,左眼がSSOH群の症例d左列:右眼.右列:左眼.Ca,b:眼底写真ではとくに右眼で低形成が著しい.Cc:cpRNFL,GCC解析で両眼とも上側のCcpRNFL減少がみられる.Cd:GCC解析で右眼は上方のGCCの減少がみられる.左眼は網膜神経線維の走行に沿ったCGCCの菲薄化があるようにみえるが,眼底写真で明らかな乳頭陥凹拡大はない.Ce,f:Goldmann視野計では右眼は下半分が大きく欠損している.左眼は楔状の視野欠損が下方にみられる.Cg:Humphrey視野検査(24-2)では右眼のみ下方の視野欠損を認める.左眼は正常視野である.fg図2判別がつきにくい症例(両眼とも+P群とした)左列:右眼.右列:左眼.Ca,b:両眼ともCSSOHの所見があり,視神経乳頭陥凹拡大および神経線維束欠損(↑)もある.Cc:cpRNFL解析では上.鼻側にかけてCcpRNFL減少を両眼ともに認める.下方のcpRNFL減少も認める.Cd:GCC解析では,右眼はCSSOHに連続した上方のCGCC障害に加え,下方に緑内障による神経線維束欠損を認める.+a群の障害もあるが,+P群に分類した.左眼上方は,図中の黒丸で囲んだ部分はSSOHであり,SSOH障害に連続していない図中の白丸で囲んだ部分は緑内障性変化と判断した.Ce,f:Goldmann視野計では,右眼は下方の視野欠損があるが,扇状ではなく,一見,緑内障様である.左眼は上方,および耳下側への扇状の軽度の視野欠損を認める.g:Humphrey視野C24-2では,右眼はCSSOHによる視野欠損を認める.左眼の耳側視野欠損は低形成でよいが,上側の視野欠損は黄斑部GCC下方欠損程度からするとかなり上方であり,緑内障にしては非典型的である.下方の部分低形成も混在すると考える.cdg表14分類の臨床的背景年齢(歳)眼軸(mm)角膜厚(Cμm)HFAMD(dB)SSOHのみ(n=40)C46.0±12.0C25.67±1.74C535.6±32.8C.1.48±2.41+a(n=17)C41.5±11.2C24.68±1.60C528.4±26.1C.1.66±2.88+P(Cn=52)C50.3±11.2C25.60±1.30C531.6±37.4C.0.76±2.82+G(Cn=21)C51.9±11.3C26.02±2.47C506.2±33.9C.5.06±3.51*表2片眼性と両眼性で分けた場合の4分類の眼数片眼性のもの:3C0例両眼性のもの(9通り):5C0例・SSOHのみ:1C4例・両眼CSSOHのみ:1C1例・SSOH+a:6例・SSOHと+a:1例・SSOH+P:1C0例・SSOHと+P:2例・SSOH+G:なし・SSOH+G:1例・両眼+a:3例・+aと+P:1例・+aと+G:3例・両眼+P:1C7例・+Pと+G:5例・両眼+G:6例表4OCTによる視神経乳頭形状解析結果視神経乳頭面積(mmC2)垂直視神経乳頭陥凹比SSOHのみ(n=40)C2.44±0.67C0.52±0.13+a(n=17)C2.05±0.41*C0.44±0.14+P(Cn=52)C2.56±0.70C0.51±0.21+G(Cn=21)C2.52±0.99C0.60±0.14その中で緑内障との合併例はC6例だったとしている8).106眼中COCT検査が行われたのはC35眼のみで,全例では網膜や視神経の詳細な検討はなされていない.本研究では多数例のCSSOHを対象とし,OCT所見を踏まえて緑内障の合併具合を検討し,分類を試みた.本研究では上方から鼻上側にかけて単純にCOCTのCcpRNFLでの菲薄化があるものを単純なSSOH群としたが,これはCSSOHが視神経乳頭鼻上側の局所的な低形成であるという従来の概念に相応する.しかし,スペクトラルドメインCOCTの登場により,黄斑部網膜内層が障害されている症例が多数存在することがわかり,こういった症例をプラスアルファの障害があると認識し,+a群として定義づけた.この群では視野障害が単純なCSSOHより多いことや,視神経乳頭面積が小さい結果を踏まえると,より低形成具合が大きいものと思われる.部分低形成ではない,いわゆる視神経低形成は視力不良例や黄斑形成異常を多く伴うが,36眼の視神経低形成に関する研究では視神経乳*p<0.01表3SSOHの視野欠損の有無と4分類の眼数SSOHの視野異常なし(眼)SSOHの視野異常あり(眼)SSOHのみ(n=40)C31C9+a(n=17)C7C10+P(Cn=52)C42C10+G(Cn=21)C11C9頭面積と視力が有意な相関があると報告され,本研究結果を裏付けるものである9).+a群でみられるCGCC菲薄化が,網膜神経線維層の障害のみか,あるいは網膜神経節細胞の障害を伴うかは本研究で用いたCOCTはこのC2層を分離して解析できないためこれ以上の推測はできないが,層別解析を行うことができるスペクトラリスCOCTなどがあればさらなる解析が可能と思われる.また,四つの分類はC1名の眼科医のみ(AK)で行った.とくに,図2の左眼のような非典型的な症例や微妙な緑内障性構造障害については判定者により判断が変わることもあり得るため,より正確な議論を行うには複数名による判定が望ましいと思われる.SSOHは比較的よくみられ,緑内障が合併しているかどうかで患者への対応が変わる.緑内障があれば,より綿密なフォローが必要であり,その診断は非常に重要である.視神経乳頭下方に緑内障性変化がある場合はCSSOHがあっても診断はつきやすい.しかし,上方にたとえば網膜神経線維束欠損のような緑内障性変化がある場合は,SSOHによる構造的変化が混在すると判別が非常に困難となる.本研究では+a群と+P群に分類したが,図2に示すような症例も多々あり,明確な診断基準を示すことは困難である.SSOHはもともと小乳頭であることや視神経乳頭形状がいびつなことも多く,緑内障性視神経乳頭陥凹拡大の有無での診断もむずかしいと思われる.視野欠損が生じているようであれば参考にできるが,PPGだとそれも不可能である.本研究のような横断的研究では解決しえず,緑内障であれば進行性であるので,判断に迷った際は経過観察が必要となり,今後の縦断的研究も必要と思われる.SSOH以外にも,頻度は少ないが鼻側・下方の視神経部分低形成もある.SSOHは治療の必要ない状態であるにもかかわらず緑内障と間違われることもあり10),緑内障点眼加療をされてしまっているケースも散見される.本研究で多数得られたCOCTのCdisc解析や黄斑部解析の結果を用いて,今後の研究でよりよい診断方法について検討する予定である.利益相反:利益相反公開基準に該当なし1)YamamotoT,SatoM,IwaseA:SuperiorsegmentaloptichypoplasiaCfoundCinCTajimiCEyeCHealthCCareCProjectCpar-ticipants.JpnJOphthalmolC48:578-583,C20042)岡野真弓,深井小久子,尾崎峯生:上方視神経低形成の頻度─20歳前後における頻度─神経眼科C24:389-386,C20073)KimCRY,CHoytCWF,CLessellCSCetal:SuperiorCsegmentalCopticChypoplasia.CaCsignCofCmaternalCdiabetes.CArchCOph-thalmolC107:1312-1315,C19894)HashimotoCM,COhtsukaCK,CNakazawaCTCetal:ToplessCopticCdiskCsyndromeCwithoutCmaternalCdiabetesCmellitus.CAmJOphthalmolC128:111-112,C19995)UnokiK,OhbaN,HoytWF:Opticalcoherencetomogra-phyofsuperiorsegmentaloptichypoplasia.BrJOphthal-molC86:910-914,C20026)LeeHJ,OzakiM,OkanoMetal:Coexistenceanddevel-opmentofanopen-angleglaucomaineyeswithsuperiorsegmentalCopticChypoplasia.CJCGlaucomaC24:207-213,C20157)YamadaCM,COhkuboCS,CHigashideCTCetal:Di.erentiationCbyCimagingCofCsuperiorCsegmentalCopticChypoplasiaCandCnormal-tensionglaucomawithinferiorvisual.elddefectsonly.JpnJOphthalmolC57:25-33,C20138)YagasakiA,SawadaA,ManabeYetal:ClinicalfeaturesofsuperiorCsegmentalCopticChypoplasia:hospital-basedCstudy.JpnJOphthalmolC63:34-39,C20199)Skriapa-MantaCA,CVenkataramanCAP,COlssonCMCetal:CCharacteristicCdeviationsCofCtheCopticCdiscCandCmaculaCinCopticCnerveChypoplasiaCbasedConCOCT.CActaCOphthalmolC102:922-930,C202410)WuCJH,CLinCCW,CLiuCCHCetal:SuperiorCsegmentalCopticCnervehypoplasia:aCreview.CSurvCOphthalmolC67:1467-1475,C2022C***

緑内障患者における視野障害部位によるアイフレイル自己チェック

2025年6月30日 月曜日

《第35回日本緑内障学会原著》あたらしい眼科42(6):731.735,2025c緑内障患者における視野障害部位によるアイフレイル自己チェック井上賢治*1塩川美菜子*1國松志保*2富田剛司*1,3石田恭子*3*1井上眼科病院*2西葛西・井上眼科病院*3東邦大学医療センター大橋病院CSelf-CheckofEyeFrailtybyAreasofVisualFieldImpairmentinGlaucomaPatientsKenjiInoue1),MinakoShiokawa1),ShihoKunimatsu-Sanuki2),GojiTomita1,3)CandKyokoIshida3)1)InouyeEyeHospital,2)NishikasaiInouyeEyeHospital,3)DepartmentofOphthalmology,TohoUniversityOhashiMedicalCenterC目的:緑内障患者の視野障害部位の違いによるアイフレイル状況を検討した.方法:原発開放隅角緑内障患者で両眼に上方のみ(上方群)あるいは上下両方(上下群)に視野障害を有するC141例を対象とした.10項目のアイフレイル自己チェックを施行し,2群で比較した.結果:症例は上方群C108例,上下群C33例だった.チェック数は上方群C3.5C±2.2個,上下群C4.3C±2.3個で同等だった(p=0.07).チェック項目は上方群では「①目が疲れやすくなった」60例,「⑥まぶしく感じやすい」57例,上下群では「⑥まぶしく感じやすい」22例,「⑤眼鏡をかけてもよく見えないと感じることが多くなった」21例が多かった.各項目の発現頻度の比較では,「⑨段差や階段で危ないと感じたことがある」のみが上下群(60.6%)で,上方群(38.9%)より有意に多かった(p<0.05).結論:緑内障患者では下方視野が段差や階段歩行に重要である.CPurpose:Toinvestigateeyefrailtyinglaucomapatientswithdi.erentsitesofvisual.eld(VF)impairment.SubjectsandMethods:ThisCstudyCinvolvedC141CpatientsCwithCprimaryCopen-angleCglaucomaCandCbilateralCVFCdefectsinupper-areaonly(UpperGroup[UG])orboththeupperandlowerarea(Upper/LowerGroup[ULG])C.A10-itemeyefrailtyself-checkwasadministered,withthe.ndingscomparedbetweenthetwogroups.Results:CTherewere108CUGand33CULGcases.Themeannumberofcheckswas3.5±2.2inUGand4.3±2.3inULG,whichwassimilar(p=0.07)C.COfCtheC108CUGCcases,C60ChadCeasilyCfatiguedCeyesCandC57ChadCsensitivityCtoCglare.COfCtheC33CULGCcases,C22ChadCsensitivityCtoCglareCandC21ChadCpoorCvisionCevenCwithCglasses.CComparingCtheCfrequencyCofCoccurrenceCofCtheCspeci.cCitems,ConlyCfeelingCunsafeConCstepsCandCstairsCwasCsigni.cantlyCmoreCfrequentCinCULG(60.6%)thaninUG(38.9%)(p<0.05)C.Conclusion:InCglaucomaCpatients,CgoodClowerCVFCfunctionCisCimportantCforstepandstairuse.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)C42(6):731.735,C2025〕Keywords:アイフレイル,緑内障,視野障害,アイフレイル自己チェック,下方視野.eyefrail,glaucoma,visual.elddisorders,eyefrailchecklist,lowervisual.eld.Cはじめにアイフレイルは日本眼科啓発会議がC2021年に提唱した概念で,「加齢に伴って眼の脆弱性が増加することに,さまざまな外的,内的要因が加わることによって視機能が低下した状態,また,そのリスクが高い状態」と定義されている1).アイフレイルを設定した目的は,時に感じる見にくさや眼の不快感を単に「歳のせい」にせず,自身の視機能における問題点の早期発見を促すこと,また,眼の健康についての意義を広く持続的に向上させることである.そして,アイフレイル啓発用のツールとしてセルフチェックリスト(図1,以下,アイフレイル自己チェック)が作成された2).アイフレイル自己チェックの質問はC10項目で構成されており,二つ以上該当した人はアイフレイルの可能性があると記載されている.各チェック項目の患者別・疾患別の出現頻〔別刷請求先〕井上賢治:〒101-0062東京都千代田区神田駿河台C4-3井上眼科病院Reprintrequests:KenjiInoue,M.D.,Ph.D.,InouyeEyeHospital,4-3Kanda-Surugadai,Chiyoda-ku,Tokyo101-0062,JAPANC0910-1810/25/\100/頁/JCOPY(89)C731図1アイフレイルチェックリスト(文献C2より引用)度については数多くの報告がある3.8).緑内障患者を対象とした報告では,視野障害早期群に比べて後期群でアイフレイル自己チェックの平均チェック数が有意に多かった3).緑内障患者は,視野障害の進行によりCQOL(生活の質)が低下すると考えられる.しかし,視野障害部位によるアイフレイル状況の報告は過去にない.そこで今回は,原発開放隅角緑内障患者のうち以下に示す患者を対象として10項目のアイフレイル自己チェックを施行し,その結果を比較した.CI対象2023年C9月.2024年C5月に井上眼科病院を受診した原発開放隅角緑内障患者で,両眼に上方のみ(以下,上方群),あるいは上下両方(以下,上下群)に視野障害を有するC141例を対象とした.視野障害の有無の判定は,Anderson-Patella9)の基準を用いた.パターン偏差確率プロットで,最周辺部の検査点を除いてCp<5%の点がC3個以上隣接して存在し,かつ,そのうちC1点がCp<1%の場合を視野障害ありとした.視力低下によるアイフレイル自己チェックへの影響を排除するために,悪いほうの眼の矯正視力がC0.7以下の症例は除外し,上方群と上下群の患者背景(年齢,性別,矯正視力,視野障害)を比較した.矯正視力はよいほうの眼(log-MAR)を,視野障害はCHumphrey視野中心C30-2プログラムCSITA-StandardのCMeanDeviation(以下,MD)値のよいほうの眼を用いた.10項目のアイフレイル自己チェックを外来受診時に施行した.上方群・上下群で平均チェック数,チェック数C2個以上の症例割合,各項目のチェック割合について調査・比較した.上方群・上下群の年齢,矯正視力,視野CMD値,平均チェック数の比較はCMann-WhitneyのCU検定を用いて解析した.性別(男女比),チェック数C2個以上の症例の割合,項目ごとのチェック割合の比較はCFisherの直接法を用いて解析した.統計学的検討では有意水準をCp<0.05とした.本研究は井上眼科病院の倫理審査委員会で承認を得た.研究の趣旨と内容を患者に開示し,患者の同意を文書で得た.CII結果対象症例は上方群C108例,上下群C33例だった.各群の患表1上方群,上下群の患者背景項目上方群C108例上下群C33例Cp年齢(歳)C66.2±12.0(3C7.C88)C66.4±10.3(4C3.C86)C0.985性別(男:女)42:6C616:1C7C0.419よいほうの眼の矯正視力(logMAR)C.0.08±0.05(C0.20.C.0.10)C.0.08±0.05(C0.10.C.0.10)C0.593よいほうの眼の視野MD値(dB)C.5.34±3.49(1C.9.C.14.4)C.11.46±4.43(.2.79.C.20.55)**<C0.0001**p<0.0001(Mann-whitnerのCu検定)表2アイフレイルチェックリストのチェック数上方群上下群チェック数チェックした症例%チェックした症例%C0C76.5%C00.0%C1C1110.2%C412.1%C2C1816.7%C515.2%C3C2220.4%C412.1%C4C1917.6%C515.2%C5C1413.0%C412.1%C6C76.5%C412.1%C7C43.7%C39.1%C8C43.7%C412.1%C9C00.0%C00.0%C10C21.9%C00.0%表3アイフレイルチェックリストの項目別チェック割合上方群上下群項目チェックチェックした症例%した症例%CpC①目が疲れやすくなったC6055.6%C1957.6%>0.999②夕方になると見にくくなることがあるC4945.4%C1957.6%0.337③新聞や本を長時間見ることが少なくなったC5450.0%C1545.5%0.444④食事の時にテーブルを汚すことがあるC109.3%C412.1%0.750⑤眼鏡をかけてもよく見えないと感じることが多くなったC5349.1%C2163.6%0.250⑥まぶしく感じやすいC5752.8%C2266.7%0.442⑦まばたきしないと見えないことがあるC3633.3%C1236.4%0.840⑧まっすぐの線が波打って見えることがあるC1110.2%C50.0%0.003⑨段差や階段で危ないと感じたことがあるC4238.9%C2060.6%*0.044⑩信号や道路標識を見落としたことがあるC98.3%C618.2%0.206*p<0.05者背景は,年齢,性別,よいほうの眼の矯正視力は同等だっで同等だった(p=0.07)(表2).チェック数C2個以上の症例た(表1).よいほうの眼の視野CMD値は,上方群が上下群には上方群C90例(83.3%)と上下群C29例(87.9%)で同等だっ比べ有意に良好だった(p<0.0001).た(p=0.08).平均チェック数は上方群C3.5C±2.2個と上下群C4.3C±2.3個チェック項目は,上方群では「①目が疲れやすくなった」60例(55.6%),⑥「まぶしく感じやすい」57例(52.8%),「③新聞・本を長時間見ることが少なくなった」54例(50.0%)の順に多かった(表3).上下群では「⑥まぶしく感じやすい」22例(66.7%),「⑤眼鏡をかけてもよく見えないと感じることが多くなった」21例(63.6%),「⑨段差や階段で危ないと感じたことがある」20例(60.6%)の順に多かった.各項目の発現頻度を比較すると「⑨段差や階段で危ないと感じたことがある」のみが上下群(60.6%)で上方群(38.9%)よりも有意に多かった(p<0.05).CIII考按今回のアイフレイル自己チェックでの患者のチェック数は,上方群(よいほうの眼の視野CMD値C.5.34±3.49CdB)でC3.5±2.2個,上下群(よいほうの眼の視野CMD値C.11.46±4.43CdB)でC4.3C±2.3個だった.宮本らの報告3)でのチェック数は,早期視野群(よいほうの眼の視野CMD値C.0.21±1.28dB)でC2.7C±1.7個,後期視野群(よいほうの眼の視野CMD値.5.56±5.03CdB)でC3.8C±2.0個だった.よいほうの眼の視野CMD値が悪化するほどチェック数が増加すると考えられる.同様に,チェック数がC2個以上の患者の割合は今回の上方群C83.3%,上下群C87.9%,宮本ら3)の早期視野群C78.8%,後期視野群C82.8%でほぼ同等の結果だった.緑内障では初期から,また,視野障害が上方のみにあるうちからアイフレイル状況に陥ることが判明した.項目別では,今回の上方群では「①目が疲れやすくなった」(55.6%)が多く,宮本らの報告3)の全症例でも「①目が疲れやすくなった」(59.8%)が最多だった.また,今回は「⑥まぶしく感じやすい」(52.8%),「③新聞や本を長時間見ることが少なくなった」(50.0%)の順に多く,これらの項目は宮本らの報告3)でもそれぞれC42.3%,47.4%と多かった.上下に及ぶ視野障害を有する今回の上下群では,「⑥まぶしく感じやすい」(66.7%),「⑤眼鏡をかけてもよく見えないと感じることが多くなった」(63.6%),「⑨段差や階段で危ないと感じたことがある」(60.6%)の順に多く,宮本らの報告3)でチェックされた項目と比較すると,⑥以外は異なっていた.以上をまとめると,緑内障では初期には眼が疲れやすくなり,まぶしく感じることが多くなる可能性があると考えられる.白内障と羞明には関連があるC.アイフレイル自己チェックの「⑥まぶしく感じやすい」は白内障でも発生しやすいことが判明している8).筆者らが調査した白内障手術前の患者のアイフレイル自己チェックでは「⑥まぶしく感じやすい」がもっとも多く,79.2%(38例/48例)だった8).今回は,白内障を有していても矯正視力がC0.7以下の症例は除外したため,白内障の重症例は対象に含まれていない.しかし,白内障が軽度であっても羞明を感じる人もいるため,以下に白内障の有無による羞明の影響を検討した.今回の対象で片眼でも白内障を有していた症例は,上方群C50.0%(54例/108例),上下群C54.5%(18例/33例)だった.上方群と上下群の症例割合は同等だった(p=0.694).白内障を有していた症例のうち⑥まぶしく感じやすいをチェックした症例は上方群51.9%(28例/54例),上下群C72.2%(13例/18例)で,上方群と上下群の症例割合は同等だった(p=0.173).一方,白内障を有していない症例(水晶体が鮮明あるいは偽水晶体眼)のうち⑥まぶしく感じやすいをチェックした症例は上方群C57.4%(31例/54例),上下群C69.2%(9例/13例)で,上方群と上下群の症例割合は同等だった(p=0.538).そのため「⑥まぶしく感じやすい」は,今回の症例では白内障の有無による上方群と上下群の差に影響は及ぼさなかったと考えた.今回は「⑨段差や階段で危ないと感じたことがある」のみが上下群と上方群でチェックした患者数に差があり,前者が後者に比べて有意にチェックした症例が多かった.この⑨の項目を放置すると転倒につながると考える.Blackらは緑内障患者における転倒の危険因子の解析を行い,下方の視野障害が重篤化するほど転倒リスクが上昇したと報告した10).Yukiらは下方周辺視野障害を有する女性緑内障患者は転倒に伴い怪我をしやすい可能性があると報告した11).また,転倒に至らなくても,転倒恐怖感が出現すると考える.Adachiらは転倒恐怖感発症のリスク要因を検討したところ,下方周辺視野障害を有する緑内障患者のリスクが高かったと報告した12).今回の結果とこれらの報告10.12)から,緑内障患者では,下方視野が段差や階段歩行には重要で,下方視野障害を有する緑内障患者ではとくに転倒に注意が必要である.今回の研究の問題点として,上下群では視力障害を有さず上下に視野障害を有する症例を対象としたため症例数が少なく,上下群と上方群の対象者数が異なった.また,上下群と上方群だけでなく下方群も対象としたほうがより詳細が判明した可能性があるが,今回は実現できなかった.さらにチェック項目の「⑨段差や階段で危ないと感じたことがある」のみで上下群と上方群の間にチェックした患者の割合に有意差があった.段差や階段の歩行には視野だけではなく,筋力や認知能力なども関与していると考えられるが,それらの影響を考慮することはできなかった.おわりに今回は,両眼の上方あるいは上下に視野障害を有する原発開放隅角緑内障症例でアイフレイル自己チェックを施行した.平均チェック数とチェック数C2個以上の症例の割合に差はなかった.しかし,緑内障では初期から,また視野障害が上方のみにあるうちからアイフレイル状況に陥ることがわかった.また,チェック項目の「⑨段差や階段で危ないと感じたことがある」が上下群で上方群よりも有意に多く,下方視野が段差や階段歩行に重要であると考えられる.利益相反:利益相反公表基準に該当なし文献1)辻川明孝:「アイフレイル」対策における眼科医の役割C.日本の眼科92:957-958,C20212)アイフレイル日本眼科啓発会議:アイフレイル啓発公式サイトChttps://www.eye-frail.jp/3)宮本大輝,市村美香,落合峻ほか:広義原発開放隅角緑内障患者に対するアイフレイルチェックリストの有用性の検討.眼科65:571-578,C20234)ItokazuCM,CIshizukaCM,CUchikawaCYCetal:RelationshipCbetweenCeyeCfrailtyCandCphysical,Csocial,CandCpsychologi-cal/cognitiveCweaknessesCamongCcommunity-dwellingColderadultsinJapan.IntJEnvironResPublicHealth19:C13011,C20225)井上賢治,天野史郎,徳田芳浩ほか:初診患者のアイフレイル調査.臨眼77:662-668,C20236)藤嶋さくら,井上賢治,天野史郎ほか:高齢患者のアイフレイル調査.臨眼77:373-378,C20237)山田昌和,平塚義宗,鹿野由利子ほか:Web調査によるアイフレイルチェックリストの検証.日眼会誌C128:466-472,C20248)井上賢治,砂川広海,徳田芳浩ほか:白内障手術によるセルフチェックリストの改善効果.臨眼78:380-385,C20249)AndersonCDR,CPatellaVM:ComparisonCofCtheCnormal,CpreperimetricCglaucoma,CandCglaucomatousCeyesCwithCupper-hemi.elddefectsusingSD-OCT.AutomatedStaticPerimetry2ndedtion,p121-190,Mosby,St.Louis,199910)BlackAA,WoodJM,Lovie-KichinJEetal:Inferior.eldlossCincreasesCrateCofCfallsCinColderCadultsCwithCglaucoma.COptomVisSciC88:1275-1282,C201111)YukiCK,CAsaokaCR,CTubotaCKCetal:InvestigatingCtheCin.uenceCofCvisualCfunctionCandCsystemicCriskCfactorsConCfallsCandCinjuriousCfallsCinCglaucomaCusingCtheCstructuralCequationmodeling.PLosOneC10:e0129316,C201512)AdachiS,YukiK,Awano-TanabeSetal:Factorsassoci-atedwithdevelopingafearoffallinginsubjectswithpri-maryCopen-angleCglaucoma.CBMCCOphthalmolC18:39,C2018C***

Descemet膜角膜内皮移植術(DMEK)後の眼圧推移の検討

2025年5月31日 土曜日

《原著》あたらしい眼科42(5):613.617,2025cDescemet膜角膜内皮移植術(DMEK)後の眼圧推移の検討武田将人*1,2林孝彦*1,3井田泰嗣*1,2水木悠喜*1,2清水俊輝*2,3黒木翼*1,2山上聡*3水木信久*2*1国家公務員共済組合連合会横浜南共済病院眼科*2横浜市立大学医学部眼科学教室*3日本大学医学部視覚科学系眼科学分野CExaminationofIntraocularPressureChangesafterDescemetMembraneEndothelialKeratoplasty(DMEK)MasatoTakeda1,2)C,TakahikoHayashi1,3)C,YasutsuguIda1,2)C,YukiMizuki1,2)C,ToshikiShimizu2,3)C,TsubasaKuroki1,2)C,SatoruYamagami3)andNobuhisaMizuki2)1)DepartmentofOphthalmology,YokohamaMinamiKyosaiHospital,2)DepartmentofOphthalmology,YokohamaCityUniversitySchoolofMedicine,3)DivisionofOphthalmology,DepartmentofVisualSciences,NihonUniversitySchooolofMedicineC目的:角膜移植後は拒絶反応抑制のため,副腎皮質ステロイド点眼の使用が不可欠であり,術後の眼圧上昇や緑内障が問題となる.Descemet膜角膜内皮移植術(DMEK)術後では拒絶反応が低いことが報告されており副腎皮質ステロイド点眼の使用を減らせる可能性があるが,アジアからの報告はない.本研究では日本人眼におけるCDMEK術前後での眼圧変化の推移を検討したので報告する.結果:対象眼はC91眼,術前眼圧は平均C12.1CmmHgであった.術後平均眼圧は,1週間後:12.7CmmHg,1カ月後:10.7CmmHg,3カ月後:12.8CmmHg,6カ月後:12.9CmmHg,12カ月後:12.7CmmHg,24カ月後:12.1CmmHg,36カ月後C12.4CmmHg,48カ月後C14.1CmmHg,60カ月後C13.3CmmHg,であった.術後どの測定時点においても,有意な眼圧変化は認めなかった.結論:DMEKの眼圧に対する影響は軽微であることが示唆された.CPurpose:AfterCcornealCtransplantation,CcorticosteroidCadministrationCisCessentialCtoCpreventCrejectionCofCtheCimplantedCcornealCgraft.CMoreover,CcornealCtransplantationCincreasesCtheCriskCofCincreasedCintraocularCpressure(IOP)andglaucoma,regardlessofthemethodofkeratoplastyused.ComparedwithpenetratingkeratoplastyandDescemetCstrippingCautomatedCendothelialCkeratoplasty,CDescemetCmembraneCendothelialkeratoplasty(DMEK)isClessCinvasiveCandCisCalsoCreportedlyCassociatedCwithCaClowerCprobabilityCofCincreasedCIOPCandCglaucomaCpostCsur-gery.Inthisstudy,weinvestigatedchangesinIOPbeforeandafterDMEKsurgeryinJapaneseeyes.Rsesults:CThisCstudyCinvolvedC91CeyesCthatCunderwentCDMEK,CandCtheCaverageCpreoperativeCIOPCwasC12.1CmmHg.CConclu-sion:Nosigni.cantchangesinIOPwereobservedatanytime-pointofthepostoperativefollow-upperiod,thussuggestingthatDMEKhasonlyaminore.ectonIOP.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)C42(5):613.617,C2025〕Keywords:Descemet膜角膜内皮移植術(DMEK),眼圧上昇,緑内障.Descemetmembraneendothelialkerato-plasty(DMEK)C,increasedintraocularpressure,glaucoma.CI背景Descemet膜角膜内皮移植術(DescemetCmembraneCendo-thelialkeratoplasty:DMEK)は,角膜内皮細胞とCDes-cemet膜を移植する手術方法である.DMEKは他の術式と比較して視機能がよく,拒絶反応が起こりにくいため,長期的な透明治癒率が良好であるといわれている1.4).角膜移植術の術後合併症のうち,眼圧上昇は失明につながりうる重要な合併症の一つであり,全層角膜移植術以外のどの手術方法においても起こりうる5).DMEKにおける術後の眼圧上昇の機序は,早期タイプと後期タイプに分けられることが知られている6.8).〔別刷請求先〕武田将人:〒236-0037神奈川県横浜市金沢区六浦東C1-21-1横浜南共済病院眼科Reprintrequests:MasatoTakeda:DepartmentofOphthalmology,YokohamaMinamiKyosaiHospital,1-21-1MutsuurahigashiKanazawa,Yokohama,Kanagawa236-0037,JAPANC術後早期の眼圧上昇の重要なメカニズムは,気泡による隅角閉塞である.DMEKでは移植片の接着のため,前房内に気泡を注入し仰臥位を保持する.前房内の気泡が瞳孔ブロックを生じる恐れがあるため,周辺虹彩切除も行われる.術後後期の眼圧上昇のメカニズムとしては,ステロイド誘発性緑内障および持続的な炎症があげられる.ステロイドのDMEK術後の使用は,内皮拒絶反応を予防し,移植片の生存を維持するために不可欠であるが,長期的な使用によりステロイド誘発性の眼圧上昇を引き起こす.また,DMEK術後の炎症が長期間持続する場合には,虹彩前癒着が形成され,隅角を閉塞し眼圧上昇をきたす6.8).DMEK後の眼圧上昇についての既報は,MaierらのC2014年,2021年の報告を除いては希少であり,DMEK術後C36カ月以上の長期にわたる眼圧の推移の報告はアジアではいまだなく,またこれまでの報告は欧米諸国からのものであった7,9).本研究では,アジア人患者におけるCDMEK術前後の眼圧の推移について,36カ月以上の長期にわたり観察し検討を行った.CII方法本研究は,DMEKを施行されたアジア人における後向きコホート研究であり,横浜南共済病院倫理委員会より承認を得て実施した(承認番号:1-19-11-11).対象者は,2015年C1月.2021年C2月に横浜南共済病院にてCDMEKを施行された患者である.既往に緑内障があっても,点眼で眼圧コントロールが良好である場合には検討対象とした.すべてのDMEKは同一術者により行った.また,通院を中断した患者やドナー由来の原発性移植片機能不全と判断された患者は除外した.手術は点眼,瞬目,球後麻酔下で行った.まず,ドナー移植片をC0.06%トリパンブルーまたはC0.1%ブリリアントブルーCG(BBG)にて染色し(2016年C1月以降CBBGを使用),各症例に応じたサイズ径で移植片を作製した.次に,3カ所のサイドポートとC2.8Cmm上方強角膜切開を行い,8Cmm径大でCDescemet膜.離を行ったのち,下方最周辺部に虹彩切除を行った.採取した移植片を眼内レンズ挿入器具(アキュジェクトユニフィット)に装.し,前房内へ移植片を挿入した.その後,空気あるいはC20%六フッ化硫黄(SCF6)ガスで移植片の展開・固定を行い手術終了とした(SFC6ガスはC2017年C10月以降に使用).術後は移植片の生着を促すため,一定期間は仰臥位の保持を指示した.角膜上皮浮腫の強い患者では,視認性改善のために上皮.離除去を行った.すべての患者は,標準的なプロトコールに従い経過観察のための診察を受けた.気体の再注入は,大きく進行する移植片.離を瞳孔領域に認めた場合に行われた.DMEK術直後から,前房内の気泡がある限り仰臥位の保持を継続した.移植片が.離した場合には,20%CSFC6ガスの追加注入を行った.術後療法としてベタメタゾンリン酸ナトリウムC0.1%(ベタメタゾンリン酸エステルCNa・PF眼科耳鼻科用液C0.1%),レバミピドC2%(ムコスタ点眼液CUD2%),レボフロキサシン水和物C1.5%(レボフロキサシン点眼液C1.5%)をC1日C4回,ブロムフェナクナトリウム水和物C0.1%(ブロナック点眼液0.1%)をC1日C2回点眼継続した.術後炎症が改善したのち,べタメタゾンリン酸ナトリウムC0.1%をフルオロメトロンC0.1%(フルオロメトロン点眼液C0.1%)に変更した.術後の検査は細隙灯顕微鏡,前眼部光干渉断層計(opticalcoherencetomography:OCT)RS-3000(ニデック)を使用した.眼圧が術前と術後の両方ですべての眼において評価された.眼圧測定は,iCareIC200(以下,iCare,IcareCFin-land社)を使用してC1回測定された.本研究においては,iCareによる眼圧測定のバラつきを抑えるために特定の検査員が測定を行った.DMEK後の眼圧上昇は,眼圧≧22mmHg,またはベースライン眼圧からC10CmmHg以上の眼圧の増加と定義した.眼圧は,DMEKのC1週間後,1,2,3,6カ月後,そしてその後はC6カ月ごとに,iCareを使用して測定した.眼圧上昇をきたして抗緑内障薬を投与,もしくは緑内障手術を要した症例も眼圧値は実測値のまま解析を行った.CIII統計解析表作成において,量的変数と平均(標準偏差)と中央値(範囲:最小値-最大値)で要約し,質的変数を頻度と%で表現した.各時点の眼圧(術前,術後C1週間,1カ月,3カ月,6カ月,以降C6カ月ごと)を,術前眼圧を対照群とし多重比較検定であるCDunnett検定を行った.p値<0.05を統計的に有意であると規定した.統計分析は,JMPProバージョン16.2.0(SASInstitute)を使用して行った.CIV結果DMEKを受けたC91眼の連続症例(男性C32人,女性C59人,右眼C52眼,左眼C39眼)を解析した.表1にCDMEKを施行された症例の術前の特徴を示す.平均年齢はC74.9C±7.4歳,平均観察期間はC31.2C±16.1カ月,平均眼軸長はC23.5C±1.6Cmmであった.すべての眼はCDMEK施行時に眼内レンズ挿入眼であった.術前視力はClogMAR視力C0.79C±0.50,術前眼圧はC12.6C±0.4CmmHgであった.DMEKの適応疾患は,Fuchs角膜内皮ジストロフィ(n=27),原発閉塞隅角症(primaryCangleclosure:PAC)に伴う角膜内皮障害(n=27),落屑症候群(n=14),無水晶体眼水疱性角膜症(n=9),偽水晶体眼水疱性角膜症(n=7),ぶどう膜炎(n=2),虹彩角膜内皮症候群(ICE症候群)(n=2),全層角膜移植後の内皮機能不全(n=2),鉗子分娩(n=1)であった.術前に緑内障を指摘されていた症例はC19例あり,原発閉塞隅角緑内障,原発開放隅角緑内障,落屑緑内障,正常眼圧緑内障,続発緑内障の順に多かった.そのうち術前に抗緑内障薬を点眼していたのはC17例であった.術前に緑内障手術を受けた症例は,レーザー虹彩切開術がC91例中C15例,トラベクレクトミーおよび選択的レーザー線維柱帯形成術を受けた症例がC1例であった.図1にCDMEK術後の平均眼圧の推移を示す.術後のいずれの時点でも術前眼圧と比較して有意な平均眼圧の上昇を認めなかった.急性期タイプの眼圧上昇はC6例認められたが,発症早期の処置により正常化した.再CbubblingはC24例(26%)で施行した.術後C1カ月後以降の後期に術前眼圧と比較してC10mmHg以上の眼圧上昇を認めた頻度はC19例(21%)であった.それらは術後C1.48カ月後に認められ,平均C9.7カ月,中央値はC5カ月だった.そのうちC16例(86%)については,早期にベタメタゾンからフルオロメトロンC0.1%に点眼が変更され,眼圧下降薬の点眼を開始し,正常眼圧となった.91例中C3例で眼圧コントロールが不良となり緑内障手術を施行した.3例はいずれの症例も術前に落屑緑内障を有していた.術式はCBaerverdtがC1例(術後C8カ月),Ahmed緑内障バルブインプラントがC1例(術後C12カ月),谷戸氏マイクロフックを用いたトラベクロトミー(術後C6カ月)がC1例であった.トラベクロトミーを行った症例は過去にトラベクレクトミーと選択的レーザー線維柱帯形成術を施行されていた.他のC2例は過去に緑内障手術の既往はなかった.いずれも術後は良好な眼圧コントロールを得た.術前から抗緑内障点眼を投与されていたのはC17眼であったが,それらの症例の術前の平均点眼本数はC1.81本,術後C1年での点眼本数は1.13本であった.CV考按本研究では平均観察期間C31.2カ月と長期に渡り,アジア人集団でのCDMEK術後の平均眼圧の推移を観察した.いずれの時期でも有意な平均眼圧の上昇を認めなかった.角膜移植後は移植片拒絶反応抑制のため,副腎皮質ステロイド点眼が必要であり,それによる術後の眼圧上昇や緑内障が問題となる.そのなかでCDMEK術後の拒絶反応率は非常に低く(約C1%)10,11),DMEKのC1カ月後に術後点眼薬を強ステロイド点眼から弱ステロイド点眼に変更したが,移植片拒絶反応率の上昇は観察されなかった.さらに,弱ステロイド点眼に変更することで眼圧の上昇と緑内障のリスクが減少することが報告されている.Priceら表1本研究に登録されたDescemet膜角膜内皮移植術適応症例の術前の臨床的特徴患者背景C性別男:女32:5C9人右眼:左眼52:3C9眼年齢,mean±SDC74.9±7.4歳Total観察期間,mean±SDC31.2±16.1カ月(n=91)眼軸長,mean±SDC23.5±1.6Cmm術前視力,logMAR,mean±SDC0.79±0.50術前眼圧,mean±SDC12.6±0.4CmmHgFuchs角膜内皮ジストロフィー30%(n=27)原発閉塞隅角症30%(n=27)落屑症候群15%(n=14)無水晶体眼水疱性角膜症10%(n=9)偽水晶体眼水疱性角膜症8%(n=7)ぶどう膜炎2%(n=2)ICE症候群2%(n=2)診断角膜移植後の内皮機能不全2%(n=2)分娩損傷1%(n=1)既存の緑内障23%(n=19)原発閉塞隅角緑内障8%(n=7)原発開放隅角緑内障5%(n=5)落屑緑内障5%(n=5)正常眼圧緑内障1%(n=1)続発緑内障(ICE症候群)1%(n=1)の報告では,強ステロイドであるプレドニゾロン点眼を継続した群に対して,術後C1カ月で弱ステロイドであるフルオロメトロン点眼に変更した群では,術後C1年で有意に眼圧上昇の頻度が少なかった(22%Cvs6%,p=0.0005)10).本研究でも術後のステロイド点眼は術後炎症の改善を認めた段階でベタメタゾンリン酸エステルC0.1%からフルオロメトロンC0.1%に変更した.ベタメタゾンの平均点眼期間はC7.9C±6.5カ月,中央値はC6.0カ月であった.術後速やかに点眼変更したことにより集団の平均眼圧の上昇を抑制できた可能性がある.本研究においては平均観察期間C31.2カ月の中で約C5人に1人(21.1%)がCDMEK術後に眼圧スパイクを生じていた.既報でもC36カ月でC18.8%の眼圧スパイクが報告されており9),本研究でも同様であることがわかった.本研究では,早急な眼圧下降薬の点眼により,ほとんどの症例で眼圧は正常化していたが,3例(3.2%)で眼圧コントロールがつかず緑内障手術が必要となった.最終的には,すべての症例で正常眼圧となった.既報ではCDMEK術後の眼圧上昇および緑内障の要因として,ステロイド点眼のほかに既往の緑内障,302520眼圧15105Pre平均眼圧(mmHg)12.612.110.712.812.912.712.612.111.912.411.814.114.313.3±0.4±0.4±0.4±0.4±0.4±0.4±0.4±0.5±0.6±0.7±0.8±0.9±1.0±1.5症例数n919191878879726240302116136図1Descemet膜角膜内皮移植術後の平均眼圧*術前眼圧を対象群としたCDunnettの検定:全測定時点;p>0.05C気泡誘発性の機械的隅角閉塞瞳孔ブロック,虹彩前癒着,術前眼圧,術前診断(移植片不全と水疱性角膜症)があげられている4,6,7,9,12).緑内障手術が必要となったC3例はいずれの症例も術前に落屑緑内障を有しており,眼圧上昇のリスクとなっていたと考えられた.DMEK術後の眼圧推移に関する既報は欧米からのものが大多数を占めており,アジア人におけるCDMEK術後経過の報告は少ない.欧米諸国では角膜内皮細胞機能不全の原因としてCFuchs角膜内皮ジストロフィが多く13),それに対してアジア諸国ではCPACに対するレーザー手術や外科手術の割合が多いなどの疫学的な差異もある14).本研究ではアジア人を対象としてCDMEK術後の眼圧推移を検討した.その結果,アジア人においてもCDMEK術後の眼圧上昇リスクが軽微であるが,落屑症候群など一部のハイリスク症例において眼圧コントロールが不良であることが示唆された.CVI本研究の限界本研究では術後炎症が落ち着いた段階でベタメタゾンからフルオロメトロンへ術後点眼を変更した.変更時期が一定ではなかったため,眼圧の推移にバラつきが生じた可能性がある.本研究では眼圧上昇をきたすリスク因子に関しては検討できていない.アジア人における眼圧上昇のリスク因子は既報の西洋諸国において報告されているリスク因子と異なる可能性があり,今後の検討課題である.VII結論本研究ではアジア人集団においてCDMEK術後の観察期間中いずれの時期も有意な集団の平均眼圧の上昇を認めなかった.DMEKはアジア人においても術後長期間にわたり眼圧上昇が生じにくいことが示唆された.ただし,一部の患者では眼圧上昇の危険性があるため注意が必要である.利益相反:利益相反公表基準に該当なし文献1)LiCS,CLiuCL,CWangCWCetal:E.cacyCandCsafetyCofCDes-cemet’sCmembraneCendothelialCkeratoplastyCversusCDes-cemet’sCstrippingCendothelialkeratoplasty:ACsystematicCreviewCandCmeta-analysis.CPLOSCONEC12:e0182275,C20172)DengCSX,CLeeCWB,CHammersmithCKMCetal:DescemetCmembraneCendothelialkeratoplasty:safetyCandCout-comes:aCreportCbyCtheCAmericanCAcademyCofCOphthal-mology.OphthalmologyC125:295-310,C20183)StuartCAJ,CRomanoCV,CVirgiliCGCetal:DescemetC’sCmem-braneendothelialkeratoplasty(DMEK)versusDescemet’CsCstrippingCautomatedCendothelialkeratoplasty(DSAEK)Cforcornealendothelialfailure.CochraneDatabaseSystRevC6:CD012097,C20184)TrindadeBLC,EliazarG:Descemetmembraneendotheli-alkeratoplasty(DMEK):anCupdateConCsafety,Ce.cacyCandCpatientCselection.CClinCOphthalmolC13:1549-1557,C20195)AndersCLM,CGatzioufasCZ,CGrieshaberMC:ChallengesCinCtheCcomplexCmanagementCofCpost-keratoplastyCglaucoma.CTherAdvOphthalmolC13:25158414211031397,C20216)NaveirasM,DirisamerM,ParkerJetal:Causesofglau-comaCafterCDescemetCmembraneCendothelialCkeratoplasty.CAmJOphthalmolC153:958-966,Ce1,C20217)MaierCAK,CWolfCT,CGundlachCECetal:IntraocularCpres-sureCelevationCandCpost-DMEKCglaucomaCfollowingCDes-cemetCmembraneCendothelialCkeratoplasty.CGraefesCArchCClinExpOphthalmolC252:1947-1954,C20148)RockCD,CBartz-SchmidtCKU,CRockCTCetal:AirCbubble-inducedChighCintraocularCpressureCafterCDescemetCmem-braneCendothelialCkeratoplasty.CCorneaC35:1035-1039,C20169)MaierAB,PilgerD,GundlachEetal:Long-termresultsofCintraocularCpressureCelevationCandCpost-DMEKCglauco-maCafterCDescemetCmembraneCendothelialCkeratoplasty.CCorneaC40:26-32,C202110)PriceCMO,CPriceCFWCJr,CKruseCFECetal:RandomizedcomparisonCofCtopicalCprednisoloneCacetate1%CversusC.uorometholone0.1%CinCtheC.rstCyearCafterCDescemetCmembraneCendothelialCkeratoplasty,CCorneaC33,C880-886,C201411)SchrittenlocherCS,CSchaubCF,CHosCDCetal:EvolutionCofCconsecutiveDescemetmembraneendothelialkeratoplastyoutcomesCthroughoutCaC5-yearCperiodCperformedCbyCtwoCexperiencedCsurgeons.CAmCJCOphthalmolC190,C171-178,C201812)MaierCAK,CGundlachCE,CGonnermannCJCetal:Retrospec-tiveCcontralateralCstudyCcomparingCDescemetCmembraneCendothelialCkeratoplastyCwithCDescemetCstrippingCauto-matedCendothelialkeratoplasty.CEye(Lond)C29:327-332,C201513)EyeBankAssociationofAmerica:2014eyebankingsta-tisticalCreport,CEyeCBankCAssociationCofCAmerica,CWash-ingtonD.C.,201514)NishinoCT,CKobayashiCA,CYokogawaCHCetal:AC10-yearCreviewofunderlyingdiseasesforendothelialkeratoplasty(DSAEK/DMEK)inCaCtertiaryCreferralChospitalCinCJapan.CClinOphthalmolC12:1359-1365,C2018***

リパスジル塩酸塩水和物・ブリモニジン酒石酸塩配合点眼液の使用経験

2025年3月31日 月曜日

《原著》あたらしい眼科42(3):378.382,2025cリパスジル塩酸塩水和物・ブリモニジン酒石酸塩配合点眼液の使用経験吉見翔太*1,2齋藤雄太*1,3三浦瑛子*1恩田秀寿*1*1昭和大学医学部眼科学講座*2野近眼科医院*3さいとう眼科医院CTheOutcomesofUsingRipasudil-BrimonidineFixed-CombinationEyeDropsfortheReductionofIntraocularPressureShotaYoshimi1,2),YutaSaito1,3),EikoMiura1)andHidetoshiOnda1)1)DepartmentofOphthalmology,ShowaUniversitySchoolofMedicine,2)NojikaEyeClinic,3)SaitoEyeClinicC目的:リパスジル塩酸塩水和物・ブリモニジン酒石酸塩配合点眼液(RBFC)の眼圧下降効果に関して後ろ向きに検討した.対象と方法:2022年C12月.2023年C6月にC3施設においてCRBFCを処方されたC71例の患者のうち,白内障以外の眼科手術歴あり,眼術直後の高眼圧あり,RBFC処方後C3カ月以内の再診歴がない患者を除外し,両眼症例は右眼の眼圧値を採用した.処方前後の点眼スコア増減数を.1.+2成分とパターン化し,各パターンにおける点眼処方前と処方後C3カ月の眼圧下降効果を検討した.結果:対象はC33眼で,7眼で+2成分,14眼で+1成分,9眼で±0成分,3眼で.1成分であった.点眼スコア増減数の処方前後眼圧は+2成分でC18.4±4.4CmmHgC→C14.7±1.8CmmHg(p=0.022),+1成分でC17.9±6.6CmmHgC→C14.6±2.5CmmHg(p=0.042)と点眼スコア増加で有意に眼圧下降を認めた.結論:RBFCへの変更によって点眼スコアが増加した症例では有意な眼圧下降を認めた.CPurpose:Toretrospectivelyexaminetheintraocularpressure(IOP)-loweringe.ectsofripasudil-brimonidine.xed-combination(RBFC)eyeCdrops.CSubjectsandMethods:ThisCstudyCinvolvedC71CpatientsCprescribedCRBFCCeyeCdropsCatConeChospitalCandCtwoCeyeCclinicsCfromCDecemberC2022CtoCJuneC2023.CPatientsCwithCaChistoryCofCeyeCsurgeryotherthancataractsurgery,highIOPimmediatelyaftersurgery,andnohistoryofre-examinationwithin3monthsafterprescriptionwereexcluded.Inbilateralcases,theright-eyedatawasused.Wepatternedthenum-berCofCincreasesCandCdecreasesCinCmedicationCscoresCbeforeCandCafterCprescriptionCintoCcomponentsCrangingCfromC.1to+2,CandCcomparedCIOPCatCpre-instillationCofCRBFCCeyeCdropsCwithCIOPCatCpost-instillationCofCRBFCCeyeCdrops.Results:Thisstudyincluded33eyes.Thechangesinmedicationscorewasasfollows:+2componentsin7eyes,+1componentin14eyes,±0componentsin9eyes,and.1componentin3eyes.ComparisonofthemeanIOPofpre-andpost-instillationofRBFCeyedropsforeachchangeinmedicationscore,signi.cantIOPreductionwasCobservedCwithCanCincreasedCmedicationCscoreCasfollows:18.4±4.4CmmHgCtoC14.7±1.8CmmHg(p=0.022)for+2Ccomponents,C17.9±6.6CmmHgCtoC14.6±2.5CmmHg(p=0.042)for+1Ccomponent,C16.2±4.3CmmHgCtoC15.0±3.2CmmHg(p=0.230)forC±0Ccomponents,CandC15.0±5.2CmmHgCtoC15.0±4.6CmmHg(p=1.000)forC.1Ccomponent.CConclusion:ThisCstudyCsuggestedCthatCRBFCCeyeCdropsCsigni.cantlyCdecreasedCIOPCatCincreasedCmedicationCscores.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)42(3):378.382,C2025〕Keywords:緑内障,高眼圧症,眼圧,点眼スコア,リパスジル塩酸塩水和物・ブリモニジン酒石酸塩配合点眼液.Cglaucoma,ocularhypertension,intraocularpressure,medicationscore,ripasudil-brimonidine.xedcombinationCはじめに圧を下降させることが,現在唯一のエビデンスの高い治療法緑内障は世界中で失明のおもな原因の一つとなっている.となっている.眼圧を下降させるためのおもな治療法としてそして緑内障による視野障害の進行を抑制するためには,眼点眼薬の使用が行われているが,目標眼圧に到達するために〔別刷請求先〕吉見翔太:〒142-8666東京都品川区旗の台C1-5-8昭和大学医学部眼科学講座Reprintrequests:ShotaYoshimi,M.D.,Ph.D.,DepartmentofOphthalmology,ShowaUniversitySchoolofMedicine,1-5-8Hatanodai,Shinagawa-ku,Tokyo142-8666,JAPANC378(114)表1点眼スコアのパターンパターン変更前変更後成分増減意義C①現状点眼なし1眼EP21眼FP1眼FP/b4眼RBFC追加+2強力に治療強化目的C②リパスジルFP+リパスジル1眼FP/b+リパスジル2眼b/CAI+リパスジル1眼FP+CAI+リパスジル1眼CRBFC+1治療強化目的C③ブリモニジンEPC2+ブリモニジン1眼FP+ブリモニジン1眼FP/b+ブリモニジン3眼FP+b/CAI+ブリモニジン1眼CRBFC+1治療強化目的C④CCAIFP/b+CAI2眼*CAI+b/CAI1眼CRBFC+1治療強化目的C⑤CBBFCFP/b+BBFC6眼CRBFCC±0薬理作用の異なる成分へ変更し,さらなる眼圧下降に期待C⑥ブリモニジン+リパスジルFP/b+BBFC+リパスジル2眼EPC2+CAI+ブリモニジン+リパスジル1眼CRBFCC±0点眼をまとめてアドヒアランス向上を目的C⑦CBBFC+リパスジルFP/b+BBFC+リパスジル2眼FP/b+BBFC+リパスジル+a1遮断薬1眼CRBFCC.1点眼本数を減らしてでもアドヒアランス向上を目的FP:プロスタノイドCFP受容体作動薬,EP2:プロスタノイドCEP2受容体選択性作動薬,Cb:b遮断薬,CAI:炭酸脱水酵素阻害薬,Ca1:Ca1受容体遮断薬,BBFC:ブリモニジン酒石酸塩・ブリンゾラミド配合懸濁性点眼液*CAIが重複していたため,1つのCCAIを変更複数の眼圧下降薬を必要とする患者も多い.しかし,点眼薬の本数が増えると患者の点眼アドヒアランスが低下することが報告されている1).そこで近年では緑内障配合点眼薬が続々と登場してきた.配合点眼薬を使用することで,より少ない点眼本数で眼圧を下降させるとともに,点眼アドヒアランスの向上も期待できる2).その中で,リパスジル塩酸塩水和物(以下,リパスジル)とブリモニジン酒石酸塩(以下,ブリモニジン)の配合点眼液であるリパスジル・ブリモニジン配合点眼液(グラアルファ,以下,RBFC)がC2022年C9月に国内承認となった.リパスジルはCROCK阻害薬であり,房水流出抵抗の主座である主流出路の線維柱帯.Schlemm管からの房水流出を促進することにより眼圧を下降させる3).一方,ブリモニジンはアドレナリンCa2受容体作動薬であり,房水産生抑制およびぶどう膜強膜流出路を介した房水流出促進により眼圧を下降させる4).RBFCはC1剤で主流出路からの房水流出促進,副流出路からの房水流出促進および房水産生抑制のC3種の眼圧下降機序を有する世界初の新規配合点眼液である.今回筆者らは,RBFCの眼圧下降効果に関して診療録をもとに後ろ向きに検討したので報告する.CI対象と方法2022年C12月.2023年C6月に昭和大学病院附属東病院,野近眼科医院,さいとう眼科医院のC3施設においてCRBFCを処方されたC71人の患者のうち,白内障手術以外の眼手術歴,直後の高眼圧,処方後C3カ月以内の再診歴がない患者を除外し,両眼へCRBFCを使用している患者では右眼の眼圧値を採用した.また,RBFCの処方時に,他の緑内障点眼薬も追加または点眼薬の組み合わせを変更している症例があり,これらの患者はCRBFC以外の点眼成分も眼圧へ影響している可能性があるため除外した.眼圧はCGoldmann圧平眼圧計または非接触型圧平眼圧計で測定した.処方前後の点眼スコア増減数を.1.+2成分と以下および表1に示すようにパターン化した.表2患者背景(N=33)年齢C66.8±10.5(42.92)歳男/女13/20人病型POAG26眼CPE4眼COH2眼Csteroid1眼有水晶体眼/眼内レンズ挿入眼21眼/12眼眼圧C17.3±5.4(10.37)mmHg点眼スコア(成分)C3.2±1.2(0.6)POAG:原発開放隅角緑内障,PE:落屑緑内障,OH:高眼圧症,steroid:ステロイド緑内障平均±標準偏差(範囲)表3点眼スコア増減数および副作用点眼スコア増減処方前眼圧処方後最終眼圧副作用(パターン)症例数(眼)(mmHg)(mmHg)p値〔眼(パターン)〕+2(①)C7C18.4±4.4(14.26)C14.7±1.8(12.17)C*0.0219結膜充血1眼結膜充血1眼(④)+1(②③④)C14C17.9±6.6(11.37)C14.6±2.5(11.19)C0.0422*結膜炎1眼(④)眼刺激1眼(④)口渇1眼(②)C±0(⑤⑥)C9C16.2±4.3(10.25)C15.0±3.2(11.21)C0.2295なしC.1(⑦)C3C15.0±5.2(12.21)C15.0±4.6(10.19)C1.0000結膜充血1眼・パターン①(2成分増):現状よりさらに強力に眼圧を下降させる目的でリパスジルとブリモニジンのC2成分を同時に追加した症例.・パターン②③④(1成分増):さらなる眼圧下降を目的として,すでにリパスジルまたはブリモニジンを単剤で使用している症例をCRBFCへ変更,もしくは炭酸脱水酵素阻害薬の単剤使用をCRBFCへ変更した症例.・パターン⑤(成分の増減なし):ブリモニジン酒石酸塩・ブリンゾラミド配合懸濁性点眼液(以下,BBFC)の使用症例で点眼本数は増やさずに,薬理作用の異なる成分へ変更(炭酸脱水酵素阻害薬→リパスジル)することで,さらなる眼圧下降に期待した症例.・パターン⑥(成分の増減なし):ブリモニジンとリパスジルのC2成分を使用している症例に対して,点眼本数を減らしてアドヒアランスを向上させることを目的とした症例.・パターン⑦(1成分減):あえてC1成分(炭酸脱水酵素阻害薬)を減らしてでも点眼本数を減らすことで,点眼回数の負担を減らしてアドヒアランスの向上を期待した症例.各パターンにおける処方前と処方後最終診察時の眼圧を統計解析ソフトCJMPCProCver.17.0.0を使用して対応のあるCt平均±標準偏差(範囲)*:p<0.05検定を行い,p<0.05を有意とした.本研究は「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」を遵守し,昭和大学における人を対象とする研究等に関する倫理委員会の承認を得て,診療録をもとに後ろ向きに調査を行った.CII結果患者背景を表2に示す.対象となったC33眼は平均年齢C66.8±10.5歳(平均C±標準偏差,以下同様).病型は原発開放隅角緑内障C26眼,落屑緑内障C4眼,高眼圧症C2眼,ステロイド緑内障C1眼であり,有水晶体眼C21眼,眼内レンズ挿入眼C12眼であった.処方前眼圧はC17.3C±5.4CmmHg.処方前点眼スコアはC3.2C±1.2成分であり,点眼スコア数増減数は表3に示すように,+2成分はC7眼,+1成分はC14眼,C±0成分はC9眼,C.1成分はC3眼であった.点眼スコア増減数の処方前後眼圧を図1に示す.+2成分はC18.4C±4.4CmmHgC→C14.7C±1.8CmmHg(p=0.022),+1成分はC17.9C±6.6CmmHgC→C14.6C±2.5CmmHg(p=0.042),±0成分はC16.2C±4.3CmmHgC→C15.0C±3.2CmmHg(p=0.230),.1成分はC15.0C±5.2CmmHgC→C15.0C±4.6CmmHg(p=1.000)であった.点眼スコア増加で有意に眼圧(mmHg)3020100点眼スコア増減図1処方前後の眼圧点眼スコアの増加で有意に眼圧下降を認めた.眼圧下降を認めた.また,副作用はC6眼(18.2%)に認められ(重複なし),結膜充血C3眼(9.1%),結膜炎C1眼(3.0%),眼刺激C1眼(3.0%),口渇C1眼(3.0%)であった(表3).CIII考按現在,国内には作用機序の異なる多くの緑内障点眼薬が存在する.緑内障診療ガイドライン第C5版5)ではまず単剤から点眼を開始し,効果不十分であるときには多剤併用療法(配合点眼薬を含む)を行うとされている.本研究では目標眼圧に達していない症例や視野障害の進行速度が早い症例,点眼アドヒアランスが良好でない症例などを対象にCRBFCへの切り替え,または追加を行った.その結果,表1に示すような点眼成分の増減のパターンがみられた.緑内障診療ガイドラインのフューチャーリサーチクエスチョン(FQ)1には,FP受容体作動薬以外の眼圧下降薬の追加薬としての眼圧下降幅はC1.2CmmHgと少量であるとの記載がある5).ただし当時,上市直後で文献の少ないCROCK阻害薬は,このCFQ1でのシステマティックレビューは行えていなかった.リパスジルは線維柱帯に作用することで主流出路からの房水流出促進をするといった他の眼圧下降薬とは異なるユニークな眼圧下降機序があり,すでにC3.0C±0.9成分使用している症例に対して,リパスジル点眼の追加でC2.8C±3.3CmmHgの眼圧下降幅を認めたとの報告もある6).本研究において,点眼スコアの増えた症例(パターン①.④)では眼圧が有意に低下したことは,臨床的に妥当な結果であったといえる.一方,点眼スコアが不変(パターン⑤⑥)でも変更前に比べて非劣性であった.また,症例数は少ないが,1成分減ったパターン⑦でも眼圧の変化はみられず,多剤併用症例ではC1成分の眼圧下降効果が少ないことを表しているのかもしれない.点眼のアドヒアランスが悪いことが緑内障の進行に関与することが報告7)されている.現在,プロスタノイド受容体関連薬・Cb遮断薬・炭酸脱水酵素阻害薬・Ca2作動薬・ROCK阻害薬のC5成分を組み合わせて眼圧下降させることが多く,配合点眼薬を使用することで,点眼薬C3本でC5成分を使用することができる.配合点眼薬であるCRBFCは,点眼本数を減らすことでアドヒアランスを改善させる可能性があり,また多剤連続点眼による薬剤のウォッシュアウトの可能性が低減するため,眼圧下降効果が強化される可能性も考えられ,RBFCは緑内障および高眼圧症治療の新しい選択肢となる可能性がある.また,本研究では副作用はC18.2%と既報8,9)より少なかった.既報9)の代表的副作用は,結膜充血C58.1%,眼瞼炎C25.7%,アレルギー性結膜炎C21.2%,眼刺激C7.3%であった.また,結膜充血と眼刺激はCRBFC開始後C12週以内に,アレルギー性結膜炎はC12.24週に,眼瞼炎はC24.36週にもっとも発生した.本研究でCRBFC使用に伴う副作用が少なかった原因は,観察期間が処方後C3カ月以内と短かったことや,外来診療においてCRBFC処方前に副作用の出現の可能性を十分説明しており,副作用の自己申告が少なくなった可能性も考えられる.また,李ら10)はリパスジル単剤使用に比べ,リパスジルとブリモニジンの併用により結膜充血が有意に軽減したと報告しており,リパスジルの平滑筋弛緩作用による血管拡張作用とブリモニジンのアドレナリンCa2受容体刺激による血管収縮作用の両者11,12)の拮抗に伴い,RBFCの副作用で最多とされる結膜充血が出現しにくかったと考えられる.近年,ブリモニジンによる角膜混濁の報告13,14)があり,わが国でも注意喚起されている.配合点眼薬であっても成分それぞれの副作用発現には十分注意する必要がある.本研究の限界として対象症例がC33眼と少なく,処方後C3カ月以内と観察期間が短いことがあげられる.また,今回はRBFCへの変更・追加症例のみを対象にしており,今後はRBFCから他剤への変更・追加症例も検討されるべきであろう.今後は症例数を増やし,観察期間を伸ばして検討する必要がある.本研究の結果,RBFCへの変更によって点眼スコアが増加した症例では有意な眼圧下降を認め,緑内障および高眼圧症治療の新しい選択肢となる可能性が示された.利益相反:利益相反公表基準に該当なし文献1)DjafariCF,CLeskCMR,CHarasymowyczCPJCetal:DetermiC-nantsCofCadherenceCtoCglaucomaCmedicalCtherapyCinCaClong-termCpatientCpopulation.CJCGlaucomaC18:238-243,C20092)ShiraiCC,CMatsuokaCN,CNakazawaT:ComparisonCofCadherencebetween.xedandun.xedtopicalcombinationglaucomaCtherapiesCusingCJapaneseChealthcare/pharmacyCclaimsdatabase:aCretrospectiveCnon-interventionalCcohortstudy.BMCOphthalmolC21:52,C20213)InoueT,TaniharaH:Rho-associatedkinaseinhibitors:anovelCglaucomaCtherapy.CProgCRetinCEyeCResC37:1-12,C20134)TorisCB,GleasonML,CamrasCBetal:E.ectsofbrimo-nidineConCaqueousChumorCdynamicsCinChumanCeyes.CArchCOphthalmolC113:1514-1517,C19955)日本緑内障学会緑内障診療ガイドライン改定委員会:緑内障:85-177,2022C126版).日眼会誌C5診療ガイドライン(第6)當重明子,齋藤雄太,高橋春男:開放隅角緑内障に対するリパスジル点眼薬の短期的な眼圧下降効果.臨眼C71:1105-1109,C20177)TsaiJC:ACcomprehensiveCperspectiveConCpatientCadher-enceCtoCtopicalCglaucomaCtherapy.COphthalmologyC116:C30-36,C20098)TaniharaH,YamamotoT,AiharaMetal:Ripasudil-bri-monidineC.xed-doseCcombinationCvsCripasudilCorCbrimoni-dine:twoCphaseC3CrandomizedCclinicalCtrials.CAmCJCOph-thalmolC248:35-44,C20239)TaniharaCH,CYamamotoCT,CAiharaCMCetal:Long-termCintraocularCpressure-loweringCe.cacyCandCsafetyCofCripa-sudil-brimonidineC.xed-doseCcombinationCforCglaucomaCandocularhypertension:amulticenter,open-label,phase3Cstudy.CGraefesCArchCClinCExpCOphthalmolC262:2579-2591,C202410)李真煕,小溝崇史,小野喬ほか:健常者におけるブリモニジンとリパスジルの単回併用点眼による眼圧下降効果,瞳孔径,結膜充血の検討.日眼会誌C122:453-459,C201811)TaniharaCH,CInataniCM,CHonjoCMCetal:IntraocularCpres-sure-loweringCe.ectsCandCsafetyCofCtopicalCadministrationCofaselectiveROCKinhibitor,SNJ-1656,inhealthyvolun-teers.ArchOphthalmolC126:309-315,C200812)Dahlmann-NoorAH,CosgraveE,LoweSetal:Brimoni-dineCandCapraclonidineCasCvasoconstrictorsCinCadjustableCstrabismussurgery.JAAPOSC13:123-126,C200913)ManabeCY,CSawadaCA,CMochizukiK:CornealCsterileCin.ltrationCinducedCbyCtopicalCuseCofCocularChypotensiveCagent.EurJOphthalmolC30:NP23-NP25,C202014)篠崎友治,溝上志朗,細川寛子ほか:ブリモニジン関連角膜実質混濁の臨床経過自験C3症例からの考察.あたらしい眼科C41:82-88,C2024***

経強膜的マイクロパルス波毛様体凝固術の短期治療成績

2024年9月30日 月曜日

《原著》あたらしい眼科41(9):1131.1134,2024c経強膜的マイクロパルス波毛様体凝固術の短期治療成績大原成喜梅津新矢渡部恵錦織奈美大黒浩札幌医科大学眼科学講座CShort-TermSurgicalOutcomesofMicropulseTransscleralCyclophotocoagulationforGlaucomaNarukiOhara,ArayaUmetsu,MegumiWatanabe,NamiNishikioriandHiroshiOhguroCDepartmentofOphthalmology,SapporoMedicalUniversityC目的:マイクロパルス波毛様体凝固術(MP-CPC)の短期治療成績の検討.対象および方法:2023年2月.6月に札幌医科大学付属病院でCMP-CPCを施行した緑内障患者C18人C18眼を後ろ向きに検討した.検討項目は術前,術後C1週間,術後C1,2カ月の眼圧値,術前,術後C2カ月の点眼スコア,術前,術後の矯正視力(logMAR),有害事象の有無とした.結果:平均眼圧は術前がC29.9C±9.6CmmHg,術後C1週間がC17.9C±6.6CmmHg,術後1,2カ月がそれぞれC19.7C±7.1CmmHg,20.1C±7.6CmmHgで,術前と比較してすべての時点で有意な眼圧下降を示した(p<0.05).点眼スコアおよび矯正視力はそれぞれ術前がC4.3C±1.6およびC0.7C±0.8,術後C2カ月がC4.5C±1.5およびC0.7C±0.8と術前後で有意な差はなかった(p>0.05).合併症では瞳孔散大C3例で,眼球癆などの重篤な合併症は認めなかった.結論:緑内障の病型にかかわらずCMP-CPCは施行可能であった.CPurpose:ToCinvestigateCtheCshort-termCsurgicalCoutcomesCofCmicropulseCtransscleralCcyclophotocoagulation(MP-CPC)forglaucoma.Methods:Weretrospectivelyevaluated18glaucomapatientswhounderwentMP-CPCfromCFebruaryCtoCJuneC2023CatCSapporoCMedicalCUniversityCHospital.CResults:MeanCintraocularpressure(IOP)Cwas29.9±9.6CmmHgpresurgery,and17.9±6.6CmmHg,19.7±7.1CmmHg,and20.1±7.6CmmHgat1week,2weeks,and2months,respectively,postsurgery,thusshowingthatMP-CPCresultedinasigni.cantdecreaseinIOPatallpostoperativetimepoints(p<0.05)C.Nosigni.cantdi.erenceswerefoundinthenumberofanti-glaucomamedi-cationsCusedCorCcorrectedCvisualCacuityCbetweenCtheCpre-andpostoperativeCperiods(p>0.05)C.CExceptCforCdilatedpupils(n=3cases)C,CnoCmajorCcomplicationsCoccurred.CConclusion:RegardlessCofCglaucomaCtype,CMP-CPCCwasCe.ectiveforthereductionofIOP,thusillustratingthatitisoneoptionforthetreatmentofglaucoma.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)C41(9):1131.1134,C2024〕Keywords:マイクロパルス波毛様体凝固術,緑内障.micropulsetransscleralcyclophotocoagulation,glaucoma.はじめに緑内障の治療目標は,眼圧下降を図ることによる視野進行の抑制であり,治療法としては点眼,内服,手術療法がある1).毛様体をターゲットとした手術治療は,従来は毛様体上皮を破壊することで房水産生を抑制し眼圧下降を図ったが,眼球癆などの重篤な合併症を生じるため難症例の緑内障におもに行われていた.2010年に報告された経強膜的マイクロパルス波毛様体凝固術(micropulseCtransscleralcyclophotocoagulation:MP-CPC)は,従来よりも低い出力のレーザーを,短時間照射(on)と休止(o.)を周期的に繰り返すことにより,周囲組織の温度上昇を抑えながら毛様体光凝固を行う1).そのため従来の毛様体破壊術とは違い,手術侵襲が少なく重篤な合併症はきわめてまれである.また,MP-CPCは毛様体への破壊作用と流出路の促進と両方あると考えられているが,現在のところは詳細な見解が得られていない.現在,MP-CPCは適応を中期の緑内障へと広げて加療されているが2),日本ではC2017年に認可されたため,術後成績の報告はまだ少数である3,4).そこで今回筆者らは,札幌医科大学病院(以下,当院)における短期治療成績を検討した.〔別刷請求先〕大原成喜:〒060-8543北海道札幌市中央区南C1条西C16丁目札幌医科大学眼科学講座Reprintrequests:NarukiOhara,M.D.,DepartmentofOphthalmology,SapporoMedicalUniversity,Minami1-joNishi16-chome,Chuo-ko,Sapporocity,Hokkaido060-8543,JAPANC表1患者背景年齢C71.72±16.94歳性別男8例(C44.4%)女10例(C55.6%)病型開放隅角緑内障9眼(C50.0%)高眼圧症3眼(C16.7%)閉塞隅角緑内障2眼(C11.1%)落屑緑内障2眼(C11.1%)血管新生緑内障2眼(C11.1%)手術既往8眼(C44.4%)Trabeculotomy5眼(C27.8%)Trabeculectomy4眼(C22.2%)AhmedglaucomavalveC1眼(5C.6%)術前眼圧C29.89±9.37CmmHg術前視力(logMAR)C0.71±0.81術前点眼スコアC4.29±1.52点(平均±標準偏差)CI対象および方法対象はC2023年C2月.6月に当院眼科でCMP-CPCを施行した緑内障患者で,男性C8例,女性C10例,年齢C71.7C±16.9歳(平均年齢C±標準偏差)のC18人C18眼である.病型は,原発開放隅角緑内障C9眼,原発閉塞隅角緑内障C2眼,落屑緑内障2眼,血管新生緑内障C2眼および高眼圧症C3眼で,そのうちのC8眼が緑内障手術既往眼であった(表1).測定項目は,①眼圧値(術前,術後C1週間,術後C1カ月,2カ月),②術前および術後C2カ月の点眼スコア(点眼薬:1点,配合薬:2点,炭酸脱水酵素阻害薬内服:2点),③術前,術後の矯正視力(logMAR)および④有害事象の有無を診療録から後ろ向きに検討した.MP-CPCはCCycloG6CGlaucomaCLasermachine(IRIDEX社)とCMP3プローブCRev2を使用し,下耳側にCTenon.下麻酔(2%リドカイン)をC2Cml注入したあとに,以下の条件で施行した.出力C2,500CmW,DutycycleはC31.3%(on0.5ms,o.1.1ms)で上半球および下半球をそれぞれ片道C20秒,合計C2往復照射し,合計C160秒で終了とした.毛様動脈の照射による損傷を避けるためにC3時,9時は避けて照射した.また,濾過胞がある患者に対しては濾過胞部位も避けて照射した.解析は平均眼圧はCOne-wayANOVA,手術の有無による平均眼圧の推移はCmixed-e.ectsanalysis,点眼スコアおよび矯正視力の推移はCunpairedt検定を用いて検討し,いずれもCp<0.05を有意水準とした.なお,本研究は札幌医科大学倫理委員会で承認された.眼圧(mmHg)***50****403020100(repeatedmeasuresANOVA)***p<0.001術前術後術後術後****p<0.00011週間1カ月2カ月図1平均眼圧の推移II結果18例中C2例は眼圧低下を認めたものの,目標眼圧に達しなかったため,術後C1カ月までの検討で打ち切りとなった.このC2例のうちC1例は複数回にわたり,従来の毛様体破壊術を行い眼圧コントロールしていた症例であり,再度従来の毛様体破壊術を施行し,もうC1例は濾過手術を行った.平均眼圧の推移を図1に示す.平均眼圧は術前がC29.9C±9.6CmmHg,術後C1週間がC17.9C±6.6CmmHg,術後C1およびC2カ月がそれぞれC19.7C±7.1CmmHgおよびC20.1C±7.6CmmHgで,術前と比較してすべての時点で有意な眼圧下降を認めた(p<0.05).また,眼圧下降率は術後C1週間がC40.1%,術後C1およびC2カ月がそれぞれC34.1%およびC32.8%であった.緑内障手術既往の有無別での平均眼圧の推移を図2に示す.手術既往眼の平均眼圧は術前がC27.1C±8.1CmmHg,術後1週間がC16.9C±6.0CmmHg,術後C1およびC2カ月がそれぞれC21.1±8.1CmmHgおよびC18.8C±7.9CmmHgで,術前と比較してすべての時点で有意な眼圧下降であり(p<0.05),一方,非手術既往眼の平均眼圧でも術前がC32.1C±10.6CmmHg,術後C1週間がC18.6C±7.2CmmHg,術後C1およびC2カ月がそれぞれC19.5C±7.4CmmHgおよびC20.5C±7.8CmmHgと,術前と比較してすべての時点で眼圧が有意に下降した(p<0.05).手術既往眼,非手術既往眼ともに,術後C2カ月時点で術前と比較し有意な眼圧下降を認めた(p<0.05).手術の既往の有無での有意差は認めなかった.点眼スコアおよび矯正視力の推移は,それぞれ術前がC4.3C±1.6およびC0.7C±0.8,術後C2カ月がC4.5C±1.5およびC0.7C±0.8で術前後において有意な差はなかった(p>0.05).合併症はC3例で瞳孔散大と羞明などの自覚症状を認めたが,眼球癆などの重篤なものは認めなかった.**眼圧(mmHg)50403020100手術既往なし●手術既往あり固定効果:手術既往の有無変量効果:眼圧Paired-t検定で解析を行っています(mixed-e.ectsanalysis)術前術後術後術後**p<0.01,***p<0.005,****p<0.0011週間1カ月2カ月*******図2手術既往の有無別にみた平均眼圧の推移表2既報との比較Rita.Cら5)今回症例数61眼18眼年齢C73.9±10.8歳C71.7±16.9歳病型開放隅角緑内障3C9眼(6C3.9%)開放隅角緑内障9眼(5C0.0%)落屑緑内障1C2眼(1C9.7%)高眼圧症3眼(1C6.7%)血管新生緑内障6眼(1C0.0%)閉塞隅角緑内障2眼(1C1.1%)閉塞隅角緑内障2眼(3.3%)落屑緑内障2眼(1C1.1%)先天性緑内障2眼(3.3%)血管新生緑内障2眼(1C1.1%)緑内障手術既往眼23眼(C37.8%)8眼(C44.4%)術前眼圧C24.9±8.6CmmHgC29.9±9.6CmmHg術後C1カ月での眼圧下降率34.8%34.1%術前後の矯正視力0.5(有意差なし)0.7(有意差なし)合併症前房炎症4眼(6C.6%)瞳孔散大3眼(1C6.7%)角膜障害3眼(4C.9%)黄斑浮腫2眼(3C.3%)III考按今回,当院では従来の点眼や手術などの治療法で目標眼圧に達することができなかった患者をCMP-CPCの適応とした.その結果,眼圧は術後C1週間からC2カ月までで有意な眼圧下降を認めた.本研究と類似条件でCMP-CPCを施行した既報5)との比較を表2に示す.そのほかにもC2,500CmWの出力でC31.3.57%,2,000CmWの出力でC17.8.30%の眼圧下降を認めた報告があり6,7),本研究でも最長C2カ月の経過でC32%の眼圧下降と既報と同等の結果だった.手術既往の有無別に検討したところ,本研究では手術歴の有無にかかわらず,術後C1週間より良好な眼圧下降を得られ,術後C2カ月までの経過中も有意な眼圧下降を認めた.一方,MP-CPCによる眼圧下降の手術歴の有無による有意差は既報でも見解が分かれており8,9),統一した見解はない.本研究では手術眼がC8例と症例数が少なく,また短期期間の結果にとどまるため,今後さらなる症例数の蓄積および追跡による検討が必要である.術前後の矯正視力に関しては,本研究では術前後で有意な変化は認めなかった.既報でも,同様の報告が多数みられる一方,Sarrafpourらは視力C20/400以上の患者のC18.8%において,視力がC2段階下がり,counting.nger(CF)の患者の10%がCnolightCperception(NLP)になったと報告している6).また,Jammalらは,難治性・進行性の緑内障患者においてはCMP-CPCによりC2段以上の視力低下がC4.8%で生じたと報告しており10),比較的末期の緑内障患者においてはMP-CPCによる視力低下が生じやすいことが考えられる.本研究では術前視力が良好であった症例が多いことから,矯正視力に有意差が生じなかったと考えられた.点眼スコアに関しては,今回は術前後で有意な変化は認めなかったが,既報では点眼スコアが有意に減少した報告が複数散見される5,11).本研究では比較的中期.末期の緑内障が多く,20.30%程度の眼圧下降を得られていても,目標眼圧をより低く設定している症例が多いことや,観察期間がC2カ月と短いことから,点眼調整が始まる前の症例が多いことが一因であると考えられた.合併症に関しては,本研究では既報同様に瞳孔散大を16.7%に認めたのみで,既報で報告されている前房出血5)を生じた症例はなかった.瞳孔散大についてCRadhakrishmanらは,アジア人や水晶体眼では術後瞳孔散大の頻度が高いと報告している12).本研究でも比較的高頻度の瞳孔散大が認められ,人種による要因がある可能性が示唆された.しかし,本研究で認めた瞳孔散大はいずれも経過観察中に改善を認め一過性のもので,加えて低眼圧による眼球癆などの重篤な合併症を認めなかったことから,MP-CPCは合併症の少ない治療法であると思われた.従来の毛様体破壊術と違い,重篤な合併症が少なく良好な眼圧下降が得られることから,中期の緑内障への適応拡大の可能性が示唆された.しかし,軽度の瞳孔散大を数例で認めるため,視力や視野が良好な人には,施行後に羞明や見えづらさなどが出現する可能性があり,初期症例に対しては慎重な検討が必要である.今回筆者らは,短期成績ではあるがCMP-CPCで良好な眼圧下降を得ることができ,緑内障治療の選択肢の一つとしての可能性が示唆された.今後は症例数を増やし,長期的な眼圧経過および視野進行を追跡しさらなる検討を行うことが必要である.利益相反:利益相反公表基準に該当なし文献1)日本緑内障学会緑内障診療ガイドライン作成委員会:緑内障診療ガイドライン(第C5版).日眼会誌C126:85-177,C20222)ChangCHL,CChaoCSC,CLeeCMTCetal:MicropulseCtranss-cleralCcyclophotocoagulationCasCprimaryCsurgicalCtreat-mentforprimaryopenangleglaucomainTaiwanduringtheCCOVID-19Cpandemic.Healthcare(Basel)C9:1563,C20213)山本理沙子,藤代貴志,杉本宏一郎ほか:難治性緑内障におけるマイクロパルス波経強膜的毛様体凝固術の短期成績.あたらしい眼科36:933-936,C20194)神谷由紀,神谷隆行,木ノ内玲子ほか:マイクロパルス波経強膜毛様体光凝固術の短期治療成績.あたらしい眼科C40:1103-1107,C20235)BastoCRC,CAlmeidaCJ,CRoqueCJNCetal:ClinicalCoutcomesCofCmicropulseCtransscleralcyclophotocoagulation:2CyearsofexperienceinPortugueseeyes:JCurrGlaucomaPractC17:30-36,C20236)SarrafpourS,SalehD,AyoubSetal:Micropulsetranss-cleralcyclophotocoagulation:AClookCatClong-termCe.ectivenessCandCoutcomes.COphthalmolCGlaucomaC2:C167-171,C20197)KabaCQ,CSomaniCS,CTamCECetal:TheCe.ectivenessCandCsafetyCofCmicropulseCcyclophotocoagulationCinCtheCtreat-mentCofCocularChypertensionCandCglaucoma.COphthalmolCGlaucomaC3:181-189,C20208)ZaarourCK,CAbdelmassihCY,CArejCNCetal:OutcomesCofCmicropulseCtransscleralCcyclophotocoagulationCinCuncon-trolledglaucomapatients.JGlaucomaC28:270-275,C20199)GarciaCGA,CNguyenCCV,CYelenskiyCACetal:MicropulseCtransscleralCdiodeClaserCcyclophotocoagulationCinCrefracto-ryglaucoma:Short-termCe.cacy,Csafety,CandCimpactCofCsurgicalChistoryConCoutcomes.COphthalmolCGlaucomaC2:C402-412,C201910)JammalCAA,CCostaCDC,CVasconcellosCJPCCetal:Prospec-tiveCevaluationCofCmicropulseCtransscleralCdiodeCcyclopho-tocoagulationinrefractoryglaucoma:1yearresults.ArqBrasOftalmolC82:381-388,C201911)deVriesVA,PalsJ,PoelmanHJetal:E.cacyandsafe-tyofmicropulsetransscleralcyclophotocoagulation.CJClinMedC11:3447,C202212)RadhakrishnanS,WanJ,TranBetal:Micropulsecyclo-photocoagulation:ACmulticenterCstudyCofCe.cacy,Csafety,CandCfactorsCassociatedCwithCincreasedCriskCofCcomplica-tions.JGlaucomaC29:1126-1131,C2020***

目磨き文化の醸成として緑内障啓発活動の試み

2024年7月31日 水曜日

《第34回日本緑内障学会原著》あたらしい眼科41(7):837.842,2024c目磨き文化の醸成として緑内障啓発活動の試み檜森紀子*1,2遠藤雅俊*1,3松原雄介*4稲穂健市*4矢花武史*1石川誠*1國方彦志*1中澤徹*1*1東北大学大学院医学系研究科神経感覚器病態学講座・眼科学分野*2東北大学大学院医工学研究科生体再生医工学視覚抗加齢医工学分野*3東北大学COINEXT「VisiontoConnect」拠点*4東北大学研究推進・支援機構リサーチマネジメントセンターCAttemptstoRaiseAwarenessofGlaucomaNorikoHimori1,2)C,MasatoshiEndo1,3)C,YusukeMatsubara4),KenichiInaho4),TakeshiYabana1),MakotoIshikawa1),HiroshiKunikata1)andToruNakazawa1)1)DepartmentofOphthalmology,TohokuUniversityGraduateSchoolofMedicine,2)DepartmentofAgingVisionHealthcare,TohokuUniversityGraduateSchoolofBiomedicalEngineering,3)COINEXTTohokuUniversity,VisiontoConnect,4)ResearchManagementCenter,OrganizationforResearchPromotion,TohokuUniversityC目的:日本における年齢別の眼疾患の有病率はC60歳以上で上昇し,なかでも緑内障の上昇が著しいため,高齢化社会において早期発見・治療は重要であると考えられる.そこで筆者らは「目磨き」の文化を醸成し,自分の健康を知る機会を設け緑内障の早期発見意識向上へ向けた活動に取り組むこととした.方法:2023年3月11日,12日にショッピングセンターに来店する地域住民を対象にC29企業・4学科の協力のもとC27ブースを出展,C“「みえる」が変わると「世界」が変わるカラダとココロのおもしろ体験イベントC2CdaysC!”を開催し,来場者にアンケートを実施しC222名から回答を得た.結果:延べC4,105人がイベントに参加した.アンケートより目のトラブルを心配している参加者はC48%を占め,眼の検査(眼底写真,OCT),眼科医師の健康相談は参加者が多く参加者の満足度も高い傾向にあった.また,参加者のC52.3%がイベントに参加して病院を受診しようと考え,「見える」の考え方,捉え方がC76.8%で変化したという結果を得た.結論:本イベントは参加者の意識改革に大きく寄与することができ,定期的な市民への啓発活動が視機能維持に重要であると考えられた.CPurpose:Theprevalenceofeyediseasesincreasesamongpeopleagedover60years,andtheriseinglauco-maisparticularlysigni.cant,soearlydetectionandtreatmentareconsideredimportantinanagingsocietysuchasJapan.Therefore,wedecidedtofosteracultureof“memigakibunkajosei”(takingcareofyoureyes)toprovideopportunitiesCforCpeopleCtoClearnCaboutCtheirCownChealthCandCengageCinCactivitiesCtoCraiseCawarenessCofCtheCearlyCdetectionCofCglaucoma.CMethods:WeCtargetedClocalCpeopleCvisitingCaCshoppingCcenterConCtwoCconsecutiveCdaysCinCMarch2023,andsetup27boothsincooperationwith29companiesand4academicdepartments.Ourmottowas“WhenCyouCchangeCtheCwayCyouCsee,CtheCworldCchangesC─CyourCbody.CTwoCdaysCofCfunCexperienceCeventCwithCheartC!C”,CandCweCconductedCaCsurveyCofCtheCvisitorsCandCreceivedCresponsesCfromC222Cpeople.CResults:ACtotalCofC4,105CpeopleCparticipatedCinCtheCevent.CAccordingCtoCtheCsurveyCresponses,48%CofCtheCparticipantsCwereCworriedCabouteyeproblems,andmanyofthemweresatis.edwitheyeexaminations(i.e.,fundusphotographyandopticalcoherencetomography)andhealthconsultationswithophthalmologists.Inaddition,53%oftheparticipantsconsid-eredvisitingahospitalafterattendingtheevent,and77%ofthemsaidthattheirwayofthinkingandunderstand-ingCaboutCproperCvisionChadCchanged.CConclusion:ThisCeventCwasCableCtoCgreatlyCcontributeCtoCchangingCtheCawarenessofparticipants,andweconsiderregularpublicawarenessactivitiesimportantformaintaininggoodvisu-alfunction.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)C41(7):837.842,C2024〕Keywords:緑内障,啓発活動,目磨き文化醸成.glaucoma,CpublicCawarenessCactivities,CtakingCcareCofCyourCeyes.C〔別刷請求先〕檜森紀子:〒980-8574宮城県仙台市青葉区星陵町C1-1東北大学大学院医学系研究科神経感覚器病態学講座・眼科学分野Reprintrequests:NorikoHimori,DepartmentofOphthalmology,TohokuUniversityGraduateSchoolofMedicine,1-1Seiryo-cho,Aoba-ku,Sendai-shi,Miyagi980-8574,JAPANC図1“「みえる」が変わると「世界」が変わるカラダとココロのおもしろ体験イベント2days!”の会場図2イベント出展例a:緑内障CVR体験コーナー.Cb:眼科医師による相談コーナー.c:音楽イベント.はじめに日本での視覚障害認定状況は原因疾患別では緑内障が第一位であり,4割を占めている1).現在,光干渉断層計(opticalcoherencetomography:OCT)を含む眼底検査機器の進歩により極早期の緑内障診断は向上している.そして,さまざまな機序の点眼薬により低い眼圧を保つことができるようになった.緑内障手術も幅広く開発され,治療の進歩により高度な視機能障害をきたす確率は低下してきている.しかし,緑内障は自覚症状の弱い疾患であり,視野の欠けは自覚されにくい.現行の緑内障診療の目標は進行を抑制することであり,生活に不便を感じ病院を受診するのでは,患者の治療満足度の向上は得られない.本人が病気に興味をもち病院を受診してもらい,早期発見・治療を実現させるためには市民への啓発活動が必要であると考えられる.そして一人でも多くの無自覚緑内障患者を減らすために,筆者らは「目磨き」の文化を醸成し,自分の健康を知る啓発活動に取り組むこととした.本稿では,本イベントが緑内障を早期発見する意識向上に有効かアンケート調査の結果を解析したので報告する.CI対象および方法2023年C3月C11日,12日に宮城県利府町のショッピングセンターに来店する地域住民を対象に東北大学CCOICNEXT「VisiontoConnect」拠点が宮城県眼疾患早期発見コンソーシアム(https://mewomamoru.net/),宮城県眼科医会,東北大学C4学科(医学,歯学,薬学,工学)と協力し,C“「みえる」が変わると「世界」が変わるカラダとココロのおもしろ体験イベントC2Cdays!”を開催した(図1).イベントの広a性別b年代20代7.7%回答しない0.5%回答しない10代以下1.8%2.3%■10代以下60代以上■20代21.8%30代男15.0%44.5%■30代■男■40代■女女■50代■回答しない55.0%■60代以上■回答しない50代40代27.3%24.1%図3アンケート回答者a:性別.b:年代.報はCHPで紹介し,東北大学,関連病院,宮城県眼疾患早期発見コンソーシアムに加入しているクリニックに来院した患者に案内した.29企業・東北大学C4学科(医学,歯学,薬学,工学)と協議を重ねC27ブースを出展し,各ブース出展企業や学科から人員を配置した.また,保健所に診療所開設届を提出し,眼科医師による健康相談は東北大学眼科医局員,眼科検査については東北大学眼科CORT交替で担当し,施行した.トークイベント,音楽イベント,眼底写真,健康相談,視力計測,virtualreality(VR)体験,毛細血管測定などC27ブースを出展した(図2a~c).さまざまな点からショッピングモールにきた人をリクルートし,アンケートを実施しC222名から回答を得た.本稿で報告する啓発活動で入手したアンケートはすでに匿名加工している情報(名前は聞いておらず,年代と性別のみ)のため倫理指針の対象とはならず,倫理審査は不要と判断した(東北大学倫理員会確認済).CII結果本イベントには延べC4,105人が来場し,222件のアンケートの回答を得た.参加者の性別は男性C55.4%,女性C44.1%(図3a),幅広い年代に参加いただきとくにC40代,50代の人に多く参加いただいた(図3b).現在,身体の不調として眼のトラブルをあげる人が多いことが明らかになった(図4a~c).体験イベントは健康相談,眼底写真,OCT検査の参加者が多く(図5a),来場者の満足度も非常に高いという結果を得た(図5b).イベントに参加して病院を受診しようと思っている人がC52.3%(図6a),76.8%の参加者に見えることに関して意識改革ができたという結果を得(図6b),イベント参加者の意識改革に大きく寄与することができたと考えられた.III考按多治見スタディでは全緑内障の約C9割は未発見・未治療であることが明らかになっており2),診断されずに潜在している緑内障患者が多いことが第C1の問題として考えられる.第2の問題点として,緑内障は自覚症状が弱い病気であり,病院受診する人が少ないことがあげられる.実際,人間ドック後の眼科医療機関を受診しない人はC32.8%存在し3),理由として「たいしたことない」という理由が一番であった4).潜在している緑内障患者を調べると,視力や眼圧を確認するよりも視神経乳頭の診察が診断に重要という報告もあることから,眼科受診が必須となる5).視覚はCQOLに直結しているが,重要性を自覚している人が残念ながら少ないのが現状であり,確実な受診に結びつけるために,行動変容を促すための専門家による相談体制作りや啓発活動が重要である.本イベントでは,視力検査,簡易視野検査,OCT撮影,VR機器で緑内障の視界を体験,医師の相談コーナーなどが開設され,ショッピングセンターを訪れた幅広い年齢層の人に体験いただいた.トークイベントを聞いた人のなかには熱心にメモをとる人もみられ,眼疾患への関心の高さがうかがえた.今回の体験コーナーでは自身の眼の健康をチェックすることで,病院を受診しようと思っている方がC52.3%,76.8%の参加者が見えることに関して意識改革ができたという結果を得たことから,市民にとって眼の健康に関心をもつ良い機会になったと考えられた.緑内障で大切なことは早期発見の機会をもち,診断の結果治療が必要なら治療開始,疑わしいなら経過観察,健診・検診は定期的に受けることである.今回のような持続的な啓発活動を通して市民に眼疾患へ興味をもってもらうことは,日本国民の視機能維持に重要であると考えられる.現在,身体に不調はありますか(複数回答可)210件の回答a目のトラブル耳のトラブル肌のトラブル口腔のトラブル関節のトラブル偏頭痛冷え性肩こり胃腸(便秘・下痢)低血庄・高血庄睡眠が浅い・寝つきが悪い花粉症耳鼻科特になしない特にない膝滑膜性骨軟骨腫症冠攣縮性狭心症なし目がかすむ,目がつかれる0b目のトラブル耳のトラブル肌のトラブル口腔のトラブル関節のトラブル偏頭痛冷え性肩こり胃腸(便秘・下痢)01024(11.4%)27(12.9%)23(11%)36(17.1%)35(16.7%)34(16.2%)28(13.3%)5(2.4%)2(1%)1(0.5%)1(0.5%)1(0.5%)1(0.5%)1(0.5%)1(0.5%)1(0.5%)1(0.5%)202030405040(19%)36(17.1%)40606070809082(39%)74(35.2%)80100■女実数■男実数c目のトラブル耳のトラブル肌のトラブル口腔のトラブル関節のトラブル偏頭痛冷え性屑こり胃腸(便秘・下痢)低血圧・高血圧唾眠が浅い・寝つきが悪い0102030405060708090■10代以下■20代■30代■40代■50代■60代以上図4不調を自覚している身体の部位a:全体.Cb:男女別赤:女性の実数,青:男性の実数.Cc:年代別青:10代以下,赤:20代,黄:30代,緑:40代,橙:50代,薄緑:60代以上.a本日どのイベントメニューを体験しましたか216件の回答①医師による相談コーナー115(53.2%)②老眼や加齢に伴う見え…60(27.8%)③誰でも簡単に眼の健康…68(31.5%)④黄斑色素密度を高くす…45(20.8%)⑤あなたの目は大丈夫!…44(20.4%)⑥眼底写真で健康チェック117(54.2%)⑦緑内障をご存知ですか?40(18.5%)⑧OCTスキャナー76(35.2%)⑨「きこえ」を良くして…15(6.9%)⑩虫歯・歯周病のリスク…23(10.6%)⑪お口の機能をみてみよ…16(7.4%)⑫爪先毛細血管・”ゴース…62(28.7%)⑬障がいのある方の就労…2(0.9%)⑭ゆるスポーツ「コツコ…7(3.2%)⑮さまざまな目の症状を疑似…8(3.7%)⑯緑内障VRヘッドセット…19(8.8%)⑰親子で!友達同士で!…18(8.3%)⑱認知症などの疾病リス…14(6.5%)⑲ロービジョン患者さん…3(1.4%)⑳誰もが手軽に眼の状態…6(2.8%)⑪“見えづらい”を“見える”…7(3.2%)⑫クイズで学ぶ「生活習…10(4.6%)A-①みんなで一緒に!イ…1(0.5%)A-②感覚を研ぎ澄ませ!…4(1.9%)B-①イオン薬局出張所2(0.9%)B-②ウエルシア薬局出張所6(2.8%)Cバランスウォーキング(…4(1.9%)0255075100125b本日体験したイベントメニューでよかったメニューはどれですか199件の回答①医師による相談コーナー101(50.8%)②老眼や加齢に伴う見え…38(19.1%)③誰でも簡単に眼の健康…43(21.6%)④黄斑色素密度を高くす…30(15.1%)⑤あなたの目は大丈夫!…30(15.1%)⑥眼底写真で健康チェック78(39.2%)⑦緑内障をご存知ですか?30(15.1%)⑧OCTスキャナー62(31.2%)⑨「きこえ」をよくして…13(6.5%)⑩虫歯・歯周病のリスク…20(10.1%)⑪お口の機能をみてみよ…12(6%)⑫爪先毛細血管・”ゴース…42(21.1%)⑬障がいのある人の就労…3(1.5%)⑭ゆるスポーツ「コツコ…6(3%)⑮さまざまな目の症状を疑似…4(2%)⑯緑内障VRヘッドセット…11(5.5%)⑰親子で!友達同士で!…10(5%)⑱認知症などの疾病リス…8(4%)⑲ロービジョン患者さん…2(1%)⑳誰もが手軽に眼の状態…3(1.5%)⑪“見えづらい”を“見える”…6(3%)⑫クイズで学ぶ「生活習…8(4%)A-①みんなで一緒に!イ…0(0%)A-②感覚を研ぎ澄ませ!…3(1.5%)B-①イオン薬局出張所2(1%)B-②ウエルシア薬局出張所5(2.5%)Cバランスウォーキング(…3(1.5%)0255075100125図5体験イベントに関してa:どのイベントを体験しましたか.Cb:体験したイベントメニューでよかったメニューはどれですか.abいいえ■はい■はい2.3%■いいえ■いいえ■どちらともいえない■どちらともいえない図6行動変容に関してa:今回のイベントに参加して,病院を受診しようと思いましたか?の考え方,とらえ方が変わりましたか?文献1)MatobaCR,CMorimotoCN,CKawasakiCRCetal:ACnationwideCsurveyCofCnewlyCcerti.edCvisuallyCimpairedCindividualsCinCJapanCforCtheC.scalCyear2019:impactCofCtheCrevisionCofCcriteriaCforCvisualCimpairmentCcerti.cation.CJpnCJCOphthal-molC67:346-352,C20232)日本緑内障学会:日本緑内障学会多治見疫学調査報告書C2012Cb:今回のイベントに参加して,「見える」3)和田高,寺島早,三村昭ほか:人間ドックC3カ月後の受診勧奨と今後の課題.人間ドックC27:748-754,C20124)鈴木真,酒井博,福田吉:健診結果に基づく事業場労働者の医療機関受診につながる要因.産業衛生学雑誌C61:247-255,C20195)IwaseCA,CSuzukiCY,CAraieM:CharacteristicsCofCundiag-nosedprimaryCopen-angleCglaucoma:theCTajimiCStudy.COphthalmicEpidemiolC21:39-44,C2014***

マイクロパルス経強膜毛様体光凝固術の短期治療成績

2023年8月31日 木曜日

《第33回日本緑内障学会原著》あたらしい眼科40(8):1103.1107,2023cマイクロパルス経強膜毛様体光凝固術の短期治療成績神谷由紀神谷隆行木ノ内玲子中林征吾善岡尊文室野真孝宋勇錫旭川医科大学眼科学教室CShort-termSurgicalOutcomesofMicropulseTransscleralCyclophotocoagulationYukiKamiya,TakayukiKamiya,ReikoKinouchi,SeigoNakabayashi,TakafumiYoshioka,MasatakaMuronoandSongYoungseokCDepartmentofOphthalmology,AsahikawaMedicalUniversityC目的:視野障害が中期以降の緑内障に対するマイクロパルス経強膜毛様体光凝固術(MP-CPC)の短期治療成績を検討した.対象および方法:2021年5.12月に旭川医科大学病院でCMP-CPCを施行し,6カ月以上経過観察可能であったC21例C21眼を対象とし,診療録から後ろ向きに術前,術後C1,3,6カ月の眼圧値,点眼スコア,有害事象の有無を検討した.結果:平均年齢はC72.3C±11.9歳,病型は原発開放隅角緑内障がC9眼で最多であった.また,16眼が緑内障手術既往眼であった.平均眼圧は術前がC22.5C±5.4CmmHg,術後1,3,6カ月がそれぞれC15.6C±4.3,16.9C±5.5,16.7C±4.3CmmHgで,すべての時点で術前と比較して有意に下降した(p<0.05).点眼スコアは術前がC3.8C±1.4,術後1,3,6カ月がそれぞれC3.4C±1.0,3.4C±1.0,3.5C±0.9で,すべての時点で術前と比較して有意な差はなかった(p>0.05).合併症は瞳孔散大C4例で,眼内出血や眼球癆などの重篤な合併症を認めなかった.結論:中期以降の緑内障に対するMP-CPCは術後C6カ月では安全かつ眼圧下降に有用な治療法であると考えられる.CPurpose:ToCinvestigateCtheCshort-termCsurgicalCoutcomesCofCmicropulseCtransscleralCcyclophotocoagulation(MP-TSCPC)forCmoderate-toCsevere-stageCglaucoma.CMethods:InCthisCretrospectiveCstudy,CweCreviewedCtheCmedicalrecordsofglaucomapatientswhounderwentMP-TSCPCatAsahikawaMedicalUniversityHospitalfromMaytoDecember2021andwhowerefollowedforatleast6-monthspostoperative.Results:Atotalof21eyesof21patients(meanage:72.3C±11.9years)wereincluded,andprimaryopen-angleglaucomawasthemostcommondiagnosis.CInC16CofCtheC21Ccases,CtheCpatientChadCpreviouslyCundergoneCglaucomaCsurgery.CFollowingCMP-TSCPC,CmeanCintraocularpressure(IOP)wasCsigni.cantlyClowerCatCallfollow-upCtime-points(p<0.05)C,CthereCwasCnoCsigni.cantchangeinthemeannumberofglaucomamedicationsused,andnomajorcomplicationsoccurred.Con-clusion:OurCshort-termCoutcomesCrevealedCthatCMP-TSCPCCisCaCsafeCandCe.ectiveCsurgicalCtreatmentCforCtheCreductionofIOPinpatientswithsevere-stageglaucoma.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)C40(8):1103.1107,C2023〕Keywords:マイクロパルス経強膜毛様体光凝固術,緑内障,短期治療成績.micropulsetransscleralcyclophoto-coagulation(MP-CPC)C,glaucoma,short-termsurgicaloutcomes.Cはじめに現在,緑内障に対するエビデンスに基づいた唯一確実な治療法は眼圧下降であり1),薬物療法,手術やレーザー治療などで眼圧下降が図られる.従来,点眼や手術によるコントロールが不良な難治性緑内障に対し,経強膜毛様体光凝固術(continuousCwaveCtransscleralcyclophotocoagulation:CW-CPC)が施行されてきた.CW-CPCは良好な眼圧下降は得られるが,合併症の重篤さから眼圧下降の最終手段と考えるべきとされている1).2017年にわが国にマイクロパルス経強膜毛様体光凝固術(micropulseCtransscleralcyclophotocoagulation:MP-CPC)が導入された.MP-CPCは照射のCon-o.サイクルを繰り返すことによりCCW-CPCと比較し重篤な合併症が少ないことが特徴であり,点眼治療への追加など早期の患者にも適応とされることが期待されてい〔別刷請求先〕神谷由紀:〒078-8510北海道旭川市緑が丘東C2-1-1-1旭川医科大学眼科学教室Reprintrequests:YukiKamiya,M.D.,DepartmentofOphthalmology,AsahikawaMedicalUniversity,2-1-1-1MidorigaokahigashiAsahikawacity,Hokkaido078-8510,JAPANCるがまだ十分に検討されていない1).海外ではその効果と安全性が多数報告されている2.9)が,国内での報告はまだ少数である10,11)ため,旭川医科大学病院(以下,当院)における短期治療成績を検討した.CI対象および方法対象はC2021年C5.12月に当院眼科でCMP-CPCを施行した中期以降の緑内障患者で,6カ月以上経過観察可能であった男性C10例,女性C11例,年齢C72.3C±11.9歳(平均年齢C±標準偏差)のC21例C21眼である.本研究において,全症例で6カ月以上経過観察可能であった.術前,術後C1,3,6カ月の眼圧値,点眼スコア(配合剤はC2点,内服薬はC1日当たりの錠数につきC1錠をC1点とした),有害事象の有無を診療録から後ろ向きに検討した.緑内障病期を静的視野検査で初期:meandeviation(MD)値≧C.6CdB,中期:C.12CdB≦MD値<C.6CdB,後期:MD値<C.12CdBと定義し,対象の視野障害の程度を評価した.MP-CPCはCCycloG6CGlaucomaCLasermachine(IRIDEX社)とCMP3プローブを使用し,推奨されている以下の条件で施行した.PowerはC2,000mW,DutycycleはC31.3%(on0.5Cms,o.1.1Cms)で各半球を最大C80秒,片道C10秒,合計4往復照射した.3時,9時,濾過胞作製部と留置チューブのある部分は避けて照射した.解析は眼圧,点眼スコアについて統計ソフトCGraphPadPrism9を用いてCDunnett’stestで検討した.また,手術既往の有無別についても検討した.いずれもCp<0.05を有意水準とした.なお,本研究は旭川医科大学倫理委員会で承認された.CII結果対象のC21眼の病型は,原発開放隅角緑内障C9眼,閉塞隅角緑内障C2眼,血管新生緑内障C3眼,落屑緑内障C3眼,その他C4眼であった.静的視野検査を施行できたものはC11眼(52.4%)で,平均値はC.20.49±5.9CdBであった.また,16眼が緑内障手術既往眼であった(表1).平均眼圧の推移を図1に示す.平均眼圧は術前C22.5C±5.4mmHg,術後C1,3およびC6カ月はC15.6C±4.3,16.9C±5.5,C16.7±4.3CmmHgで,すべての時点において術前と比較して有意に下降した(p<0.05,Dunnett’stest).術前からC20%以上の眼圧下降を示した割合は術後C1,3およびC6カ月で76.2,71.4,61.9%であった.また,眼圧C6.21CmmHgの割合は術前,術後C1,3およびC6カ月でC42.9,90.5,76.2,85.7%であった.点眼スコアの推移を図2に示す.点眼スコアは術前C3.8C±1.4,術後C1,3およびC6カ月はC3.4C±1.0,3.4C±1.0,3.5C±0.9ですべての時点において術前と比較して有意な差を認めなかった(Dunnett’stest).手術既往の有無別にみた平均眼圧の推移を図3に示す.手術既往眼の平均眼圧は術前C21.9C±5.9CmmHg,術後1,3およびC6カ月はC15.8C±4.8,16.5C±5.1,17.2C±4.7CmmHgで,すべての時点において術前と比較して有意に下降した(p<C0.05,Dunnett’stest).非手術既往眼の平均眼圧は術前C24.4C±3.1mmHg,術後C1,3およびC6カ月はC14.8C±3.0,18.0C±7.2,14.6C±1.8CmmHgで,術後C1,6カ月において術前と比較して有意に下降した(p<0.05,Dunnett’stest).手術既往眼,非手術既往眼ともに,術後C6カ月時点で術前と比較し有意に下降した(p<0.05,Dunnett’stest).合併症は瞳孔散大C4例を認め,羞明の自覚症状があったが,いずれも術後C6カ月までには改善または改善傾向であった.また,眼内出血や眼球癆などの重篤な合併症を認めなかった.CIII考按今回,眼圧は術後C1,3およびC6カ月のすべての時点において術前と比較して有意に下降した.今回とCMP-CPC施行条件,成功基準が類似している既報との比較を表2に示す.既報では成功基準を「眼圧C6.21CmmHgまたは術前からC20%以上の眼圧下降」とした場合,術後C6カ月時点でC74.3.83.3%の症例がこの基準を満たす2.5)と報告されている.今回はC90.5%の症例がこの基準を満たしており,既報と比較し同等以上の効果を認めた.加齢により毛様体無色素上皮の色素が増加すること12),白色人種と比較し,有色人種のほうが眼の色素が濃いために少ないレーザーパワーで効果が現れやすいこと6,7,13)が知られている.CW-CPCの成功率は患者の年齢と相関がある8)という報告や,MP-CPCでもC40歳以上の患者ではC40歳未満の若年者と比較し再手術のリスクが低いこと2),有色素眼のほうが無色素眼よりもレーザーの効果が高い9)という報告がある.今回は既報と比較し,平均年齢が高く,色素の増加によりレーザーの感受性が高くなり生存率を上昇させた可能性も考えられる.点眼スコアに関し,今回は術前後で点眼スコアに有意な変化は認めなかった.既報では点眼スコアは有意に減少した2.5)と多く報告されている.一方,Laruelleらは点眼調整における明確な基準が存在しなかったこと,症例に進行例が含まれていたことなどから,術前後で点眼スコアに有意な変化を認めなかった14)と報告している.本研究においても末期緑内障が多く,20%以上の眼圧下降が得られていても,10CmmHg台前半以下の眼圧を達成するため術前と同強度の薬物療法が継続となった症例が多かったためと考えられる.また,このように術後も術前と同強度の薬物治療を継続としたことが,術後C6カ月時点で既報と比較し良好な術後成績が得られた一因とも考えられる.手術既往の有無別に検討したところ,本研究では手術歴の表1患者背景30年齢C72.3±11.9歳25性別男10例(C47.6%)女11例(C52.4%)病型原発開放隅角緑内障9眼(42.8%)閉塞隅角緑内障2眼(9.5%)眼圧(mmHg)2010血管新生緑内障3眼(14.2%)落屑緑内障3眼(14.2%)C5その他4眼(1C9.0%)静的視野検査(HFA)11眼(C52.4%)初期(MD値≧C.6dB)0眼(0C.0%)中期(C.12CdB≦MD値<C.6dB)1眼(4C.8%)末期(MD値<C.12dB)10眼(4C.8%)手術既往16眼(C76.2%)Trabeculectomy12眼(C57.1%)Trabeculotomy3眼(1C4.2%)Ahmedglaucomavalve2眼(9C.5%)Express2眼(9C.5%)術前術後1カ月術後3カ月術後6カ月図1平均眼圧の推移平均眼圧は術前と比較し,術後すべての時点で有意な下降を認めた(p<0.05).C6(平均±標準偏差)*p<0.05,Dunnett’stest533.5±0.93.8±1.43.4±1.03.4±1.02Selectivelasertrabeculoplasty1眼(4.7%)(平均±標準偏差)点眼スコア4有無にかかわらず,術後C6カ月の時点で有意な眼圧下降を認めた.Zaarourらは手術歴の有無にかかわらず,有意な眼圧下降を認めたが,非手術既往眼のほうが手術既往眼よりも眼圧下降率が高い3)と報告している.この理由としてCChenらは手術既往眼であること自体,難治性緑内障である可能性が1術前術後1カ月術後3カ月術後6カ月図2点眼スコアの推移点眼スコアは術前と比較し,術後すべての時点で有意差を認めな高く,以前に手術を受けた患者は成功率が低くなる可能性がかった.高いのではないか2)と示唆している.一方で手術既往眼のほうが非手術既往眼よりも眼圧下降率が高い4,9)という報告もC30あり,統一した見解はない.25以上から,MP-CPCは手術後の眼圧コントロール不良な難治性緑内障のみならず,認知症や全身状態不良などの理由で手術自体が困難な患者に対する治療の選択肢の一つとなりうると考えられる.しかし,手術既往の有無別での眼圧下降率の優劣に関しては,本研究では非手術既往眼はC5例と症例眼圧(mmHg)201510数も少ないため,さらなる症例の蓄積・検討が必要と考えられる.合併症に関しては,本研究では既報同様に眼球勞やその他視機能に影響を与える重篤な合併症は認めなかった.これまでの報告では前房炎症の頻度が高い2,3)が,本研究では前房炎症を生じた症例はなかった.既報においてCMP-CPC後の前房炎症はC1週間程度のステロイド点眼の使用により改善が得られており,本研究では予防的にステロイド点眼を処方していたため前房炎症の発生が抑制された可能性が考えられる.また,本研究では経過中に瞳孔散大をC4眼(18%)で認めた.ChenらはC3.3%,RadhakrishnanらもC11%で瞳孔散大を認めたと報告している2,15).Radhakrishnanらはアジア(119)5手術既往眼非手術既往眼図3手術既往の有無別にみた平均眼圧の推移手術歴の有無にかかわらず,術後C6カ月の時点で有意な眼圧下降を認めた.人や水晶体眼では術後散瞳の頻度が高いと報告しており15),本研究およびCChenらの研究でもアジア人の割合が高いため,他の研究に比較し瞳孔散大の頻度が高くなった可能性が考えられる.本研究で瞳孔散大を認めた症例はいずれも経過あたらしい眼科Vol.40,No.8,2023C1105表2既報との比較評価項目と達成率文献年齢おもな病型手術既往(術後C6カ月)合併症原発開放隅角緑内障9眼(42.8%)手術既往眼16眼(76.2%)瞳孔散大4眼(18.2%)閉塞隅角緑内障2眼(9.5%)Trabeculoctomy12眼(57.1%)今回血管新生緑内障3眼(14.2%)Trabeculotomy3眼(14.2%)①眼圧6.21CmmHgor21例21眼90.5%C72.8±11.8歳落屑緑内障3眼(14.2%)Ahmedglaucomavalve2眼(9.5%)②術前からC20%以上の下降Express2眼(9.5%)Selectivelasertrabeculoplasty1眼(4.7%)原発開放隅角緑内障26眼(34.7%)手術既往眼31眼(41.3%)炎症17眼(23.0%)閉塞隅角緑内障6眼(8.0%)Trabeculoctomy14眼(18.7%)視力低下8眼(14.0%)CZaarourKetal.20183)血管新生緑内障4眼(5.3%)Ahmedglaucomavalve20眼(26.7%)①眼圧6.21CmmHgor69例75眼81.4%C55.5±22.9歳落屑緑内障3眼(4.0%)Diodelasereyelophotocoagulation6眼(8.0%)②術前からC20%以上の下降Laserperipheralindotomy6眼(8.0%)Selectivelasertrabeculoplasty3眼(4.0%)原発開放隅角緑内障66眼(56.9%)手術既往眼79眼(68.1%)視力低下9眼(7.8%)閉塞隅角緑内障7眼(6.0%)Trabeculoctomy31眼(26.7%)低眼圧症2眼(1.7%)CGarciaGAetal.20194)血管新生緑内障3眼(2.6%)Tubeshuntsurgery57眼(49.1%)①眼圧6.21CmmHgor116例C116眼74.3%C65.8±16.9歳落屑緑内障6眼(4.3%)Express5眼(4.3%)②術前からC20%以上の下降Diodelasereyelophotocoagulation3眼(2.6%)Selectivelasertrabeculoplasty9眼(7.8%)原発開放隅角緑内障12眼(41.4%)手術既往眼17眼(58.6%)黄斑浮腫1眼(3.4%)CVigNetal.20205)閉塞隅角緑内障1眼(3.4%)Trabeculoctomy8眼(27.6%)①眼圧6.21CmmHgorC64.7±15.1歳血管新生緑内障2眼(6.9%)Bacrveldttubes9眼(33.3%)②術前からC20%以上の下降29例29眼落屑緑内障1眼(3.4%)Diodelasereyelophotocoagulation10眼(34.5%)75.9%Minimallyinvasivegraucomashunt7眼(24.1%)原発開放隅角緑内障37眼(61.7%)手術既往眼18眼(30.0%)前房炎症13眼(21.6%)閉塞隅角緑内障6眼(10.0%)Trabeculoctomy14眼(273.3%)①眼圧6.21CmmHgor結膜出血4眼(6.7%)CChenHSetal.20222)C58.9±12.4歳Express2眼(3.3%)②術前からC20%以上の下降低眼圧症2眼(3.3%)56例60眼血管新生緑内障4眼(7.1%)CW-TSCPC8眼(13.3%)83.3%瞳孔散大2眼(3.3%)(<6mmHg)今回とCMP-CPC施行条件,成功基準が類似している既報についてまとめた.既報では成功基準を「眼圧C6.21CmmHgまたは術前からC20%以上の眼圧下降」とした場合,術後C6カ月時点でC74.3.83.3%の症例がこの基準を満たす.今回はC90.5%の症例がこの基準を満たしており,既報と比較し同等以上の効果を認めた.観察のみで術後C6カ月には改善が得られている.以上より,MP-CPCは安全性に優れた治療法と考えられる.CIV結論利益相反:利益相反公表基準に該当なし文献1)日本緑内障学会緑内障診療ガイドライン作成委員会:緑内障診療ガイドライン(第C5版).日眼会誌C126:85-177,C20222)ChenHS,YehPH,YehCTetal:MicropulsetransscleralcyclophotocoagulationCinCaCTaiwanesepopulation:2-yearCclinicalCoutcomesCandCprognosticCfactors.CGraefesCArchCClinExpOphthalmolC260:1265-1273,C20223)ZaarourCK,CAbdelmassihCY,CArejCNCetal:OutcomesCofCmicropulseCtransscleralCcyclophotocoagulationCinCuncon-trolledglaucomapatients.JGlaucomaC28:270-275,C20194)GarciaCGA,CNguyenCCV,CYelenskiyCACetal:MicropulseCtransscleralCdiodeClaserCcyclophotocoagulationCinCrefracto-ryglaucoma:Short-termCe.cacy,Csafety,CandCimpactCofCsurgicalChistoryConCoutcomes.COphthalmolCGlaucomaC2:C402-412,C20195)VigCN,CAmeenCS,CBloomCPCetal:MicropulseCtransscleralcyclophotocoagulation:initialCresultsCusingCaCreducedCenergyprotocolinrefractoryglaucoma.GraefesArchClinExpOphthalmolC258:1073-1079,C20206)CheungCJJC,CLiCKKW,CTangSWK:RetrospectiveCreviewConCtheCoutcomeCandCsafetyCofCtransscleralCdiodeClaserCcyclophotocoagulationCinCrefractoryCglaucomaCinCChineseCpatients.IntOphthalmolC39:41-46,C20197)KaushikS,PandavSS,JainRetal:LowerenergylevelsadequateCforCe.ectiveCtransscleralCdiodeClaserCcyclophoto-coagulationCinCAsianCeyesCwithCrefractoryCglaucoma.CEye(Lond)22:398-405,C20088)SchloteT,DerseM,RassmannKetal:E.cacyandsafe-tyCofCcontactCtransscleralCdiodeClaserCcyclophotocoagula-tionCforCadvancedCglaucoma.CJCGlaucomaC10:294-301,C20019)deCCromCRMPC,CSlangenCCGMM,CKujovic-AleksovCSCetal:MicropulseCtrans-scleralCcyclophotocoagulationCinCpatientsCwithglaucoma:1-andC2-yearCtreatmentCout-comes.JGlaucomaC29:794-798,C202010)山本理紗子,藤代貴志,杉本宏一郎ほか:難治性緑内障におけるマイクロパルス経強膜的毛様体凝固術の短期成績.あたらしい眼科36:933-936,C201911)光田緑,中島圭一,谷原秀信ほか:マイクロパルス波経強膜毛様体凝固術の短期成績.あたらしい眼科C36:1078-1082,C201912)GartnerJ:ElectronCmicroscopicCobservationsConCtheCcil-iozonularCborderCareaCofCtheChumanCeyeCwithCparticularCreferencetotheagingchanges.ZAnatEntwicklungsgeschC131:263-273,C197013)CantorLB,NicholsDA,KatzLJetal:Neodymium-YAGtransscleralCcyclophotocoaguration.CTheCroleCofCpigmenta-tion.InvestOphthalmolVisSciC30:1834-1837,C198914)LaruelleG,PourjavanS,JanssensXetal:Real-lifeexpe-rienceCofCmicropulseCtransscleralCcyclophotocoagulation(MP-TSCPC)inadvancedanduncontrolledcasesofsev-eralglaucomaCtypes:aCmulticentricCretrospectiveCstudy.CIntOphthalmolC41:3341-3348,C202115)RadhakrishnanS,WanJ,TranBetal:Micropulsecyclo-photocoagulation:aCmulticenterCstudyCofCe.cacy,Csafety,CandCfactorsCassociatedCwithCincreasedCriskCofCcomplica-tions.JGlaucomaC29:1126-1131,C2020***

自家層状強膜グラフトを用いて融解強膜弁を被覆した 濾過胞再建術の1 例

2023年8月31日 木曜日

《第33回日本緑内障学会原著》あたらしい眼科40(8):1097.1102,2023c自家層状強膜グラフトを用いて融解強膜弁を被覆した濾過胞再建術の1例滝澤早織杉原佳恵桝田悠喜瀬口次郎成田亜希子岡山済生会総合病院眼科CACaseofSurgicalBlebReconstructionUsinganAutologousLamellarScleralGrafttoCoveraMeltedScleralFlapSaoriTakizawa,KaeSugihara,YukiMasuda,JiroSeguchiandAkikoNaritaCDepartmentofOphthalmology,OkayamaSaiseikaiGeneralHospitalC目的:マイトマイシンCC(mitomycinC:MMC)併用トラベクレクトミー術後に濾過胞再建術を行う場合,強膜弁が融解した患者に遭遇することがあり治療に苦慮する.今回,濾過胞再建術施行時に自家層状強膜グラフトを用いて融解強膜弁を被覆し,良好な眼圧コントロールを得られたC1例を経験したので報告する.症例:60歳代,男性.他院で原発開放隅角緑内障に対して両眼CMMC併用トラベクレクトミーが施行された.術後C13年目に当院で左眼濾過胞再建術を施行した.術中,強膜弁の融解・欠損を認め,縫合困難であったため,鼻側隣接部分に層状強膜グラフトを作製し,翻転させて強膜弁を被覆した.術後良好な濾過胞が形成され,術後C21カ月で緑内障点眼薬をC2剤追加したが,術後C2年の眼圧はC9.5CmmHgであった.結論:MMC併用トラベクレクトミー術後に強膜弁が融解した症例に対し,自家層状強膜グラフトを用いた強膜弁被覆が有用であった.CPurpose:ToCreportCaCcaseCofCsurgicalCblebCreconstructionCinCwhichCaCmeltedCscleralC.apCwasCsuccessfullyCtreatedwithanautologouslamellarscleralgraft.Case:Amaninhissixtiesunderwenttrabeculectomywithmito-mycinC(MMC)forbilateralprimaryopen-angleglaucoma.Thirteenyearsaftersurgery,hewasreferredtoourhospitalforfurtherconsultation,andsurgicalblebreconstructionwasperformedinhislefteye.Intraoperatively,ameltedscleral.apwithadefectwasobserved,andanautologouslamellarscleralgraftwascreatedadjacenttothescleral.apandthenupturnedandsuturedoverthescleral.ap.Aftersurgery,agood.lteringblebwasformed,andCatC2-yearsCpostoperative,CtheCintraocularCpressureCinCthatCeyeCwasC9.5CmmHgConC2CclassesCofCglaucomaCeye-dropmedications.Conclusion:Anautologouslamellarscleralgraftmaybeanoptiontocoverameltedscleral.apatthetimeofsurgicalblebreconstructionafterfailedtrabeculotomywithMMC.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)C40(8):1097.1102,C2023〕Keywords:緑内障,濾過胞再建術,融解強膜弁,マイトマイシンCC,自家強膜グラフト.glaucoma,CsurgicalCblebCrevision,meltedscleral.ap,mitomycinC,autologousscleralgraft.CはじめにマイトマイシンCC(mitomycinC:MMC)併用トラベクレクトミーは,眼圧下降効果の点でもっとも優れた術式であり,緑内障手術のゴールドスタンダードとされている.MMCを併用することで,線維芽細胞増殖抑制作用により濾過部位の瘢痕化が抑制され,トラベクレクトミーの眼圧コントロール成績は向上したが,MMCは術後低眼圧や強膜融解などの合併症と関連があり1,2),濾過胞再建術や低眼圧症例に対し手術を行う場合に,強膜弁が融解した患者に遭遇することがある.強膜弁の融解・欠損部分を被覆する方法には,保存強膜3.5),角膜6),筋膜7)による被覆,自家強膜移植2,8)などが報告されているが,術前に既存の強膜弁の状態を正確に把握するのは困難であるため,術中に強膜弁の融解・欠損が明らかになっても被覆材料が準備されていない場合があ〔別刷請求先〕滝澤早織:〒700-0021岡山市北区国体町C2C-25岡山済生会総合病院眼科Reprintrequests:SaoriTakizawa,M.D.,DepartmentofOphthalmology,OkayamaSaiseikaiGeneralHospital,2-25Kokutaityou,Kita-ku,Okayamasi700-0021,JAPANCab図1初診時前眼部写真・前眼部OCT画像(左眼)a:前眼部写真.限局した無血管濾過胞を認めた(.).b:前眼部COCT画像.角膜輪部に限局した低反射濾過胞壁を有する濾過胞を認めた.強膜弁と強膜弁下の水隙が確認できたが,強膜弁の後方(.)は境界が不明瞭であった.る.今回,濾過胞再建術施行時に自家層状強膜グラフトを用いて融解強膜弁を被覆し,良好な眼圧コントロールを得られた1例を経験したので報告する.CI症例患者:60歳代,男性.主訴:左眼の眼圧上昇.既往歴:高血圧.現病歴:原発開放隅角緑内障に対しCX年に他院で両眼MMC併用トラベクレクトミーが施行され,術後眼圧は緑内障点眼なしでC10CmmHg台前半であった.X+6年で左眼眼圧がC15CmmHgを超えるようになり,緑内障点眼薬(ラタノプロスト・チモロールマレイン酸塩配合点眼薬)が再開された.その後,X+13年に左眼の眼圧上昇と視野障害進行を認めたため,岡山済生会総合病院眼科(以下,当科)紹介受診となった.初診時所見:視力は右眼C0.06(1.5×sph.6.50D(cylC.0.75DCAx100°),左眼0.06(1.2×sph.6.50D(cyl.1.00DAx170°),眼圧はCGoldmann圧平眼圧計で右眼C15mmHg,左眼C17mmHgであった(経過観察中を含め,眼圧測定はGoldmann圧平眼圧計を用いた).細隙灯顕微鏡検査では,左眼角膜上方に限局した無血管濾過胞を認めた(図1a).左眼眼底は視神経乳頭の陥凹拡大,耳上側,耳下側にCnotch-ingならびに網膜神経線維層欠損を認め(図2a),同部位に光干渉断層計(opticalCcoherencetomography:OCT)で網膜神経線維層厚の菲薄化を認めた(図2b).また,黄斑部の神経節細胞-内網状層については,耳側縫線での上下非対称性を示す所見であるCtemporalCrapheCsignを認めた(図2b).Humphrey静的量的視野検査中心C30-2で左眼の平均偏差値は.11.34CdB,上半視野に固視点近傍まで及ぶ弓状暗点,下半視野に鼻側階段を認めた(図2c).前眼部COCTで濾過胞を観察すると,強膜弁ならびに強膜弁下の水隙は確認できたが,強膜弁の後方は境界が不明瞭であった(図1b).手術:当院初診からC3カ月後,左眼に濾過胞再建術を施行した.スプリング剪刀を用いて結膜を切開し,肥厚したTenon.を除去した.強膜弁周囲の被膜を残したまま,C0.4Cmg/mlMMCを手術用マイクロスポンジに浸潤させて強膜弁周囲の強膜ならびに結膜にC3分間塗布し,150Cmlの生理食塩水で洗浄した.その後強膜弁周囲の被膜を除去したところ,12時付近に強膜弁を認めたが,融解・欠損して半分以下のサイズになっていた(図3a).10-0ナイロン糸にて強膜弁の縫合を試みたが,強膜弁が脆弱なため,1糸縫合できたのみで,それ以上の縫合は困難であった.被覆材料を用意していなかったため,強膜弁の鼻側隣接部分に替刃メスとクレセントナイフを用いてC4Cmm×4Cmmの層状強膜グラフトを作製し(図3b),翻転させて,融解・欠損した強膜弁を被覆した(図3c).そして,10-0ナイロン糸で強膜と層状強膜グラフトのサイドをC6糸縫合し(図3d),房水が層状強膜グラフトの後方から円蓋部へ流出するのを確認したあとに,acb輪部結膜に半返し縫合を行い,輪部からの房水漏出がないことを確認して手術を終了した.術後経過:術後C4日からC6カ月の間にC6本すべての縫合糸にレーザー切糸を行い,その後眼圧はC12CmmHgに維持されたが,術後C21カ月で眼圧がC14.5CmmHgに上昇したためラタノプロスト・チモロールマレイン酸塩配合点眼薬を追加し,その後眼圧はC9.5CmmHgまで下降した(図4).前眼部OCTによる観察では,融解・欠損した強膜弁の上に層状強膜グラフトを認め,濾過胞の高さは低いが,広範な水隙を有する奥行きのある濾過胞が形成された(図5b).CII考按MMCは有糸分裂を示す細胞に対して抗増殖作用をもつ代謝拮抗薬であり,DNA合成を阻害しCRNA転写や蛋白質の合成を阻害する9).トラベクレクトミーにCMMCを併用する図2初診時所見(左眼)a:カラー眼底写真.視神経乳頭の陥凹拡大,耳上側,耳下側にCnotchingと網膜神経線維層欠損を認めた.Cb:OCT画像.視神経乳頭の耳上側,耳下側に網膜神経線維層厚の菲薄化を認めた.黄斑部にはCtemporalraphesignを認めた.Cc:Humphrey静的量的視野検査中心C30-2.左眼の平均偏差値はC.11.34CdBで,上半視野に固視点近傍まで及ぶ弓状暗点,下半視野に鼻側階段を認めた.ことで,線維芽細胞増殖抑制作用により濾過部位の瘢痕化が抑制され,眼圧コントロール成績は向上したが2,8),その一方で,遅発性房水漏出,低眼圧,低眼圧黄斑症,濾過胞感染1,10.13)などの術後合併症が増加したと報告されている8).また,MMCは翼状片の再発防止にも有効とされ,翼状片切除術に併用した場合,角膜・強膜の融解を含む術後合併症を生じることがあり,傷害の重症度によっては,強膜融解から脈絡膜へ達し,硝子体脱出や眼内炎を含む感染症を引き起こすリスクがあるとされている2).翼状片切除術については,強膜壊死の発症率はC0.2.4.5%で,MMCの併用,とくに高濃度または反復投与によってリスクが高くなると報告されているが14),MMC併用トラベクレクトミー術後の強膜弁融解の発症率については報告がない.強膜弁の融解・欠損部分を被覆する方法には,保存強膜3.5),角膜6),筋膜7)による被覆,自家強膜移植2,8)などの①眼圧(mmHg)図3術中写真a:強膜弁の融解・欠損を認めた.b:強膜弁の鼻側にC4Cmm×4Cmmの層状強膜グラフト(.)を作製した.c:層状強膜グラフトを翻転().d:10-0ナイロン糸で①.⑥の計C6糸縫合した.C2520151050観察期間(カ月)図4治療経過左眼の眼圧の推移,施行した投薬・処置の内容を示す.LSL:lasersuturelysis.報告があるが,保存強膜を用いた強膜弁被覆について良好な手術ならびに緑内障点眼の再開が不要であったと報告した.成績が報告されている4,5).Halkiadakisら4)は,トラベクレAuら5)は,保存強膜と結膜前転を用いた濾過胞再建術を行クトミー術後に遅発性の房水漏出や低眼圧黄斑症を認めたったC12眼について,2年間の経過観察期間において,58%14眼に保存強膜を用いた濾過胞再建術を行い,10カ月の経の症例が薬物治療なしで眼圧C16CmmHg未満,75%の症例が過観察期間において濾過胞からの房水漏出と低眼圧黄斑症は薬物治療ありで眼圧C16CmmHg未満であり,追加緑内障手術全例治癒し,術後平均眼圧はC11.6±3.4CmmHgで,21.4%のを要した症例はなかったと報告した.また,Bochmannら6)症例で緑内障手術を追加したが,50%の症例で追加緑内障は,重度の低眼圧症例C5眼に対して層状角膜組織を用いて融a図5最終受診時前眼部写真と前眼部OCT画像(左眼)a:前眼部写真.Cb:前眼部COCT画像.濾過胞高は低いが,広範な内部水隙を有する奥行きのある濾過胞が形成された.解強膜弁の被覆を行い,低眼圧は全例治癒,9カ月以上の経過観察で,濾過胞からの房水漏出や低眼圧を認めなかったが,眼圧コントロール不良となったC1例に対しチューブシャント手術を施行したと報告した.Qu-Knafoら7)は,局所麻酔下で表在側頭筋膜を採取し,強膜欠損部分を被覆したC1例において,6カ月の経過観察期間において濾過胞からの漏出を認めず,緑内障点眼なしで眼圧はC12CmmHgであったと報告した.本症例では,術前の前眼部COCTを用いた濾過胞観察で,強膜弁の後方は不明瞭だったものの,強膜弁と強膜弁下の水隙が確認できたため,濾過胞再建術が可能と考え手術を行った.術中強膜弁周囲の被膜除去後に融解・欠損した強膜弁と著明な房水の漏出を認め,強膜弁縫合を試みたが十分な縫合が行えず,保存強膜の準備がなかったため,自家層状グラフトを用いて融解強膜弁の被覆を行った.また,本症例は比較的若年であり,今後の眼圧上昇や視野障害の進行によっては,トラベクレクトミーやチューブシャント手術を行う可能性があり,耳上側の強膜・結膜を温存したかったため,強膜弁に隣接した鼻側強膜を用いて層状グラフトを作製し,翻転させて強膜弁を被覆した.Sharmaら8)は,本症例と同様に自家層状グラフトを用いて融解強膜弁の被覆を行った症例を報告した.彼らは,トラベクレクトミー術後の低眼圧黄斑症に対する濾過胞再建術において,術中強膜弁の融解を認めたため,強膜弁の後方に層状グラフトを作製し翻転させて強膜弁を被覆したところ,術後低眼圧黄斑症は治癒し,眼圧は10CmmHg台前半に維持されたと報告した.本症例との相違(115)b点は自家層状グラフトの作製部位であり,術後後方へ房水を流出させてびまん性濾過胞を形成させるためには,本症例のように鼻側隣接部分に作製するか,もしくは鼻側強膜も温存するため後方に作製するのであれば遊離の層状グラフトを作製するのが好ましいと考える.自家層状グラフトを用いた融解強膜弁被覆のメリットとしては,強膜弁を翻転した場合に,強膜弁の下にいくらか空間ができるため,保存強膜による被覆や遊離の自家強膜移植と比べて強膜弁が癒着しにくい可能性があり,本症例でも術後に前眼部COCTで濾過胞を観察したところ,術直後から融解・欠損した強膜弁と翻転した強膜弁との間に空間が保たれていた.一方,デメリットとしては,輪部側からの房水漏出の可能性があることがあげられるが,本症例では早期からレーザー切糸を行い,強膜弁後方からの房水流出を促進するよう努めたため,術後輪部からの房水漏出を認めなかったのではないかと考えた.MMCの使用については,本症例では強膜弁周囲の被膜を除去する前に使用したため,使用する際に強膜弁の融解を認識していなかった.トラベクレクトミー施行時のCMMC使用が強膜弁融解に関与していた可能性があることから,濾過胞再建術時にCMMCを使用することで術後強膜融解や低眼圧のリスクが上昇すると考える.一方で,濾過胞再建術では初回手術に比べ術後濾過胞の瘢痕化がさらに生じやすい.したがって,患者ごとに強膜の融解の程度・範囲やCMMCのメリット・デメリットを勘案したうえでCMMCを使用するかどうかを決定する必要がある.トラベクレクトミー術後に濾過胞再建術を施行する際,術あたらしい眼科Vol.40,No.8,2023C1101前に既存の強膜弁の融解・欠損の有無が予測できた場合には被覆材料を準備しておくことが可能であるが,実際には前眼部COCTなどを用いても強膜弁の状態を把握するには限界がある.さらに,わが国における保存強膜の入手状況を考慮すると,ほとんどの医療機関において普段から保存強膜を準備しておくのは困難であり,本症例のように濾過胞再建術の術中に強膜弁の融解を認めた場合は,強膜弁周囲の強膜が健常であれば,隣接強膜を用いて自家層状強膜グラフトを作製し,翻転させて融解強膜弁を被覆する方法が一つの選択肢となりうると考える.利益相反:利益相反公表基準に該当なし文献1)BindlishCR,CCondonCGP,CSchlosserCJDCetal:E.cacyCandCsafetyCofCmitomycin-CCinprimaryCtrabeculectomy:.ve-yearfollow-up.OphthalmologyC109:1336-1341,C20022)PolatN:UseCofCanCautologousClamellarCscleralCgraftCtoCrepairascleralmeltaftermitomycinapplication.Ophthal-molTherC3:73-76,C20143)MelamedS,AshkenaziI,BelcherDCetal:DonorscleralgraftCpatchingCforCpersistentC.ltrationCblebCleak.COphthal-micSurgC22:164-165,C19914)HalkiadakisCI,CLimCP,CMoroiS:SurgicalCresultsCofCblebCrevisionCwithCscleralCpatchCgraftCforClate-onsetCblebCcom-plications.OphthalmicSurgLasersC36:14-23,C20055)AuCL,CWechslerCD,CSpencerCFCetal:OutcomeCofCblebCrevisionCusingCscleralCpatchCgraftCandCconjunctivalCadvancement.JGlaucomaC18:331-335,C20096)BochmannF,KaufmannC,KipferAetal:CornealpatchgraftCforCtheCrepairCofClate-onsetChypotonyCorC.lteringCblebleakaftertrabeculectomy:anewsurgicaltechnique.JGlaucomaC23:e76-e80,C20147)Qu-KnafoCL,CLeCDuCB,CBoumendilCJCetal:BlebCrevisionCwithtemporalisfasciaautograft.JGlaucomaC26:e11-e14,C20178)SharmaCS,CPatelCD,CSharmaCRCetal:BlebCrevisionCusingCreversedscleral.apandpedicalconjunctivalgraft.JCurrGlaucomaPractC6:94-97,C20129)RoyCS,CRoswellCR,CRaymondCMCetal:SeriousCcomplica-tionsCofCtopicalCmitomycin-CCafterCpterygiumCsurgery.COphthalmologyC99:1647-1654,C199210)PoulsenCEJ,CAllinghamRR:CharacteristicsCandCriskCfac-torsofinfectionsafterglaucoma.lteringsurgery.JGlau-comaC9:438-443,C200011)MochizukiCK,CJikiharaCS,CAndoCYCetal:IncidenceCofCdelayedonsetinfectionaftertrabeculectomywithadjunc-tiveCmitomycinCCCorC5-.uorouracilCtreatment.CBrCJCOph-thalmolC81:877-883,C199712)DeBryCPW,CPerkinsCTW,CHeatleyCGCetal:IncidenceCofClate-onsetbleb-relatedcomplicationsfollowingtrabeculec-tomyCwithCmitomycin.CArchCOphthalmolC120:297-300,C200213)SoltauJB,RothmanRF,BudenzDLetal:Riskfactorsforglaucoma.lteringblebinfections.ArchOphthalmolC118:C338-342,C200014)Chan-HoCC,CSang-BummL:BiodegradableCcollagenmatrix(OlogenCTM)implantCandCconjunctivalCautograftCforCscleralCnecrosisCafterCpterygiumexcision:twoCcaseCreports.BMCOphthalmolC15:140,C2015***

選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT)の1 年間の治療成績

2023年8月31日 木曜日

《第33回日本緑内障学会原著》あたらしい眼科40(8):1093.1096,2023c選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT)の1年間の治療成績内匠哲郎*1,3井上賢治*1國松志保*2石田恭子*3富田剛司*1,3*1井上眼科病院*2西葛西・井上眼科病院*3東邦大学医療センター大橋病院眼科COne-YearTreatmentOutcomesafterSelectiveLaserTrabeculoplastyTetsuroTakumi1,3)C,KenjiInoue1),ShihoKunimatsu-Sanuki2),KyokoIshida3)andGojiTomita1,3)1)InouyeEyeHospital,2)NishikasaiInouyeEyeHospital,3)DepartmentofOphthalmology,TohoUniversityOhashiMedicalCenterC目的:選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT)の治療成績を検討した.対象および方法:SLTを施行したC199例199眼を対象とし,1年間の経過を調査した.病型は広義原発開放隅角緑内障C168眼,落屑緑内障C26眼などであった.術前平均投薬数はC4.5剤であった.術前と術C12カ月後までの眼圧を比較した.SLT後に薬剤変更,緑内障観血的手術施行,SLT再施行,眼圧下降率C20%未満がC3回続いた場合を死亡と定義し,生存率を検討した.術後の合併症を調査した.結果:眼圧は術前C19.9C±6.4CmmHg,術C6カ月後C15.5C±5.3CmmHg,術C12カ月後C15.5C±5.1CmmHgで有意に下降した(p<0.0001).生存率はC6カ月後C30%,12カ月後C24%だった.一過性眼圧上昇以外の合併症は認めなかった.結論:SLT施行後,眼圧は有意に低下したが,その効果は経過観察に伴い低下した.平均眼圧はC1年間で約C20%下降した.CPurpose:Toinvestigatethetreatmentoutcomesfor1yearafterselectivelasertrabeculoplasty(SLT)C.Meth-ods:InCthisCstudy,CweCinvestigatedCtheCtreatmentCoutcomesCinC199CeyesCofC199glaucomaCpatients(i.e.,Cprimaryopen-angleglaucoma:168eyes;exfoliationglaucoma:26eyes;othertypeglaucoma:5eyes)at6monthsand1yearCafterCSLT.CInCallCsubjects,CtheCaverageCnumberCofCglaucomaCmedicationsCusedCbeforeCSLTCwasC4.5,CandCweCcomparedIOPbeforeSLTandat6upto12-monthspostoperative.Thefailurecriteriawerechanged/addedmedi-cations,CglaucomaCsurgery,CandCre-operationCofCSLT,CandCtheCsurvivalCratesCandCcomplicationsCafterCSLTCwereCinvestigated.Results:MeanIOPatbaselineandat6-and12-monthspostoperativewas19.9±6.4CmmHg,15.5±5.3CmmHg,CandC15.5±5.1CmmHg,Crespectively(p<0.0001)C,CthusCshowingCaCsigni.cantCdecreaseCofCIOPCatC6CandC12CmonthsafterSLT.Thesurvivalrateat6-and12-monthspostoperativewas30%Cand24%,respectively,andnocomplicationsCotherCthanCtransientCincreasedCIOPCwereCobserved.CConclusion:AfterCSLT,CIOPCsigni.cantlyCdecreased,yetthee.ectdeclinedovertime,andmeanIOPdecreasedbyapproximately20%Cat1-yearpostopera-tive.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)C40(8):1093.1096,C2023〕Keywords:選択的レーザー線維柱帯形成術,眼圧,生存率,合併症,緑内障.selectivelasertrabeculoplasty,in-traocularpressure,survivalrate,complication,glaucoma.Cはじめに1979年にCWiseらは,隅角全周の線維柱帯色素帯にアルゴンレーザーを照射するレーザー線維柱帯形成術(argonClasertrabeculoplasty:ALT)によって眼圧下降が得られることを報告した1).ALTは線維柱帯構造全体に作用し,周辺虹彩前癒着が生じる,線維柱帯の器質的変化が生じ眼圧が上昇するなどの問題点がその後指摘された2,3).選択的レーザー線維柱帯形成術(selectivelasertrabeculo-plasty:SLT)は線維柱帯の有色素細胞を選択的に破砕し,線維柱帯細胞を活性化して房水流出を改善し眼圧を下降させる方法4)で,照射するエネルギー量が少なく,反復照射可能で合併症も少ないことから薬物療法と観血的治療の中間の治療として期待されている5.7).井上眼科病院(以下,当院)ではC2010年に菅原ら8)が〔別刷請求先〕内匠哲郎:〒101-0062東京都千代田区神田駿河台C4-3井上眼科病院Reprintrequests:TetsuroTakumi,M.D.,Ph.D.,InouyeEyeHospital,4-3Kanda-Surugadai,Chiyoda-ku,Tokyo101-0062,CJAPANCSLTの治療成績を報告したが,症例数がC39例C47眼,経過観察期間が約C6カ月間であった.今回経過観察期間をより長期として,当院の治療成績を後ろ向きに検討した.CI対象および方法当院通院中の緑内障患者でC2019年C1月.2021年C3月にSLTを施行した199例199眼(男性97例97眼,女性102例C102眼)を対象とし,1年間の経過を調査した.年齢はC67.2±12.4歳(平均C±標準偏差),26.93歳であった.前投薬数は点眼薬と内服薬(内服薬は錠数にかかわらずC1剤とした)を合わせて,4.5C±1.1剤で,内訳は点眼薬・内服薬未使用1眼,1剤2眼,2剤9眼,3剤22眼,4剤52眼,5剤79眼,6剤C34眼であった.なお,アセタゾラミド内服を行っていた症例はC53例であった.術前CHumphrey視野中心30-2プログラムCSITA-standardのCmeandeviation(MD)値は.13.2±6.2CdB(C.28.58.1.01CdB)であった.異なる日に計測した連続する術前2回の眼圧の平均値はC19.9C±6.4mmHg(9.5.45.0CmmHg)であった.緑内障の病型は広義原発開放隅角緑内障(primaryCopenangleCglaucoma:POAG)168眼,落屑緑内障(exfoliationglaucoma:XFG)26眼,原発閉塞隅角緑内障(primaryCangleCclosureglaucoma:PACG)2眼,ステロイド緑内障C1眼,ステロイド以外の続発緑内障(secondaryCopenangleCglaucoma:SOAG)2眼であった.SLTの適応は点眼・内服治療を行っている,もしくは点眼・内服治療にアレルギーがあり使用できない患者(点眼薬・内服薬未使用)で,視野障害の進行を認め,さらなる眼圧下降が必要な患者とした.周辺虹彩前癒着などがあり,全周に十分照射できなかったと考えられる患者や,不慣れな術者のため通常以上の過剰照射を行ったと考えられる患者は除外した.SLT施行後からC12カ月後までの間の眼圧測定がC3回未満の症例は除外した.また,視野障害が進行しすでに中期.後期緑内障の患者,今後も進行が速いと予測される患者に対しては観血的手術の提案も行い,観血的治療およびSLTの有効性およびリスクに関し十分かつ丁寧に説明を行った.患者にはインフォームド・コンセントをとり,文書にて同意を得た.SLTのレーザー装置はエレックス社製タンゴオフサルミックレーザーを使用した.照射条件は,0.4CmJより開始し,気泡が生じる最小エネルギーとした.全例隅角全周に照射した.照射前と照射後にアプラクロニジン塩酸塩点眼薬を投与した.SLT施行後も点眼薬,内服薬は原則として継続使用とした.術前眼圧と術C1.2週間後,1カ月後,3カ月後,6カ月後,9カ月後,12カ月後の眼圧を比較した.SLT後に薬剤の変更または投薬数を増加,緑内障観血的手術施行,SLTを再度施行,あるいは眼圧下降率C20%未満がC3回続いた場合を死亡と定義し,Kaplan-Meier法により生存率を検討した.また,SLTの治療成績に影響を与える因子(年齢,性別,術前眼圧,緑内障病型,術前投薬数)をCCox比例ハザードモデルを用いて検討した.調査期間内に両眼CSLTを施行した症例では,先にCSLTを施行した眼を解析した.SLT術前後の眼圧の比較にはCANOVA,Bonferroni/Dunn検定を用いた.統計学的検討における有意水準はCp<0.05とした.本研究は井上眼科病院の倫理審査委員会で承認を得た.研究情報を院内掲示などで通知・公開し,研究対象者などが拒否できる機会を保障した.CII結果1照射エネルギーはC0.7C±0.2CmJ(0.4.1.1CmJ),照射数はC117.8±17.9発(88.199発)であった.術後眼圧の推移を図1に示す.術前眼圧(199眼)19.9C±6.4mmHgから1.2週間後(178眼)にはC18.4C±6.9CmmHg,1カ月後(78眼)にはC17.3±7.2mmHg,3カ月後(88眼)にはC15.4C±4.1CmmHg,6カ月後(61眼)にはC15.5C±5.3CmmHg,9カ月後(51眼)にはC15.1C±3.6mmHg,12カ月後(47眼)にはC15.5C±5.1CmmHgと,眼圧は術前と比較し,1.2週間後以外の各時点で有意に下降した(1カ月後Cp<0.05,3,6,9,12カ月後Cp<0.0001).Kaplan-Meier法による累積生存率はC6カ月後でC30%,12カ月後でC24%であった(図2).SLT6カ月後までに死亡した症例の内訳は,眼圧下降率C20%未満C84眼,薬剤追加または変更C24眼,緑内障観血的手術(線維柱帯切除術)28眼,SLT再施行C3眼であった.12カ月後までに死亡した症例の内訳は眼圧下降率C20%未満C89眼,薬剤追加または変更C28眼,緑内障観血的手術(線維柱帯切除術)30眼,SLT再施行4眼であった.SLT12カ月後の点眼薬・内服薬使用状況は,変更なしC44眼,SLT施行前より減少C3眼であった.また,生存した症例のC12カ月間の平均受診回数はC6.2C±1.9回であった.Cox比例ハザードモデルによる分析では,年齢,性別(女性を基準とする),術前眼圧,緑内障病型(POAGを基準とする),術前投薬数は治療成績に影響を与える有意な因子ではなかった(表1).SLT施行C1.2週間後にC5mmHg以上の眼圧上昇をC199眼中C12眼(6.0%)で認めたが,薬剤の変更・追加あるいは経過観察のみで下降を得た.その他に重篤な合併症を認めなかった.CIII考按本研究は術前点眼数がC4.5C±1.1剤と多剤併用症例(術前C4剤以上使用例がC82.9%)に対しCSLTを隅角全周に施行した結果である.同様に多剤併用例に対しCSLTの効果を報告したCMikiら9),齋藤ら10)の報告との比較を表2に示した.術30**p<0.00011**p<0.0525****.8****眼圧値(mmHg)累積生存率.6.4.20024681012時間(月)図2Kaplan-Meier法による累積生存率図1術後平均眼圧の推移表1SLTの治療成績に影響を与える因子ハザード比95%信頼区間p値性別(女性を基準とする)C0.8790.656.C1.178C0.3876年齢C0.9970.986.C1.009C0.6421術前投薬数C1.0310.900.C1.181C0.6637術前眼圧C0.9950.968.C1.023C0.7276緑内障病型(広義原発開放隅角緑内障を基準とする)落屑緑内障C0.9150.200.C3.831C0.6947原発閉塞隅角緑内障C0.6530.157.C2.716C0.5578ステロイド緑内障C0.4730.061.C3.647C0.4725ステロイド以外の続発緑内障C1.1430.261.C5.007C0.8590表2術前多剤使用例に対するSLTの成績MikiAら9)齋藤ら10)本研究症例数75眼34眼199眼術前眼圧C薬剤数C23.9±6.2CmmHgC3.4±1.3剤C20.9±3.4CmmHgC3.5±0.7剤(3.C5剤)C19.9±6.4CmmHg4.5±1.1剤(0.C6剤)照射範囲全周半周全周死亡定義下降率C20%未満光覚喪失SLT再施行緑内障観血的手術Out.owpressure下降率C20%未満投薬数増加SLT再施行緑内障観血的手術下降率C20%未満投薬変更/増加SLT再施行緑内障観血的手術生存率(1C2カ月後)14.2%23.2%24%前薬剤数は本研究がもっとも多く,Mikiらの報告9)では続発緑内障が約C3割含まれ本研究と患者背景が異なるため術前眼圧がやや高いこと,齋藤らの報告10)では術前眼圧は本研究と同程度であるが照射範囲が隅角半周であること,また両報告とも死亡定義が一部異なるといった違いがあるが,生存率は本研究とほぼ同等であった.Mikiらの報告9)ではSOAGやCXFGよりCPOAGで成功率が高い傾向と,術前点眼数が増えると成功率が下がる傾向を指摘している.齋藤らの報告10)では過去の報告とのCSLT治療成績を比較しており,隅角半周照射の報告ではあるものの,術前投薬数が少ないほど眼圧下降率は良好なものが多かった.新田ら11)は正常眼圧緑内障に対する第一選択治療としてのCSLTの有用性を報告しており,また近年,未治療の緑内障に対する初期治療としてのCSLTの成績が海外からも報告され7),薬剤数が少ないほどCSLT後の眼圧下降率,生存率が良好という報告が多い7,11).本研究でも治療成績に影響を与える因子を検討したがいずれも有意ではなかった.その理由は不明であり,本研究からはCSLTがどのような症例に有効かを証明できなかった.本研究ではCSLT後に重篤な合併症を認めなかったものの,SLT施行C1.2週間後にC5CmmHg以上の眼圧上昇をC6.0%で認めた.一過性の眼圧上昇はC4.27%と報告されている12).本研究で一過性の眼圧上昇を認めたC12眼のうち,広義POAGが8眼(POAG全168眼のうち4.8%),XFGが4眼(XFG全C26眼のうちC15.4%)と割合としてはCXFGのほうが多かった.POAGとCXFGに対するCSLTの治療成績を直接比較した報告では,早期眼圧上昇や術後炎症の割合は有意差がなかったが13),XFGに対するCSLT後の眼圧上昇に対し観血的手術を要した報告も存在する12).また,隅角色素沈着が高度な例での眼圧上昇が報告されており12),XFGに対するSLTでは,色素沈着の程度に応じ照射パワーを調整する,術後経過観察を頻回に行うなどしてより注意する必要があると考えられた.本研究の限界として,後ろ向き研究であること,全例で未治療時のベースライン眼圧を把握できていないこと,そのため狭義CPOAGおよび正常眼圧緑内障とに区別できなかったこと,正常眼圧緑内障単独では治療成績を検討できていないこと,複数の医師がCSLTを行い症例選択や治療プロトコールが厳密に決定されていないことなどがあげられる.また,眼圧は各観察ポイントを設定したが,観察ポイントに来院していない症例ではそのポイントの眼圧値のデータが欠損となった.たとえばC12カ月後では,生存しているが眼圧値がない症例がC2眼であった.12カ月後に薬剤変更のため死亡したC1例は眼圧値があるので合計C47眼で眼圧を検討した.本研究では多剤併用緑内障症例に対するCSLTの術後C1年間の成績を報告した.平均眼圧は術後C6カ月およびC1年で約20%下降を認めた.一過性の眼圧上昇以外の重篤な合併症を認めなかったことおよび入院を要さない治療であることから,事前の十分な説明のもと,施行を考えてよい治療法と考えられた.利益相反:利益相反公表基準に該当なし文献1)WiseCJB,CWitterSL:ArgonClaserCtherapyCforCopen-angleglaucoma:ACpilotCstudy.CArchCOphthalmolC97:319-322,C19792)HoskinsCHDCJr,CHetheringtonCJCJr,CMincklerCDSCetal:CComplicationsCofClaserCtrabeculoplasty.COphthalmologyC90:796-799,C19833)LeveneR:MajorCearlyCcomplicationsCofClaserCtrabeculo-plasty.OphthalmicSurgC14:947-953,C19834)LatinaCMA,CParkC:SelectiveCtargetingCofClaserCmesh-workcells:invitroCstudiesofpulsedandCWlaserinter-actions.ExpEyeResC60:359-371,C19955)KramerTR,NoeckerRJ:ComparisonofthemorphologicchangesCafterCselectiveClaserCtrabeculoplastyCandCargonClaserCtrabeculoplastyCinChumanCeyeCbankCeyes.COphthal-mologyC108:773-779,C20016)LatinaCMA,CSibayanCSA,CShinCDHCetal:Q-switchedC532CnmNd:YAGClasertrabeculoplasty(selectiveClasertrabeculoplasty):aCmulticenter,Cpilot,CclinicalCstudy.COph-thalmologyC105:2082-2088,C19987)GazzardG,KonstantakopoulouE,Garway-HeathDetal:CSelectivelasertrabeculoplastyversuseyedropsfor.rst-lineCtreatmentCofCocularChypertensionCandCglaucoma(LiGHT):amulticentrerandomisedcontrolledtrial.Lan-cetC393:1505-1516,C20198)菅原道孝,井上賢治,若倉雅登ほか:選択的レーザー線維柱帯形成術の治療成績.あたらしい眼科C27:835-838,C20109)MikiA,KawashimaR,UsuiSetal:TreatmentoutcomesandCprognosticCfactorsCofCselectiveClaserCtrabeculoplastyCforCopen-angleCglaucomaCreceivingCmaximal-tolerableCmedicaltherapy.JGlaucomaC25:785-789,C201610)齋藤代志明,東出朋巳,杉山和久:原発開放隅角緑内障症例への選択的レーザー線維柱帯形成術の追加治療成績.日眼会誌C111:953-958,C200711)新田耕治,杉山和久,馬渡嘉郎ほか:正常眼圧緑内障に対する第一選択治療としての選択的レーザー線維柱帯形成術の有用性.日眼会誌C117:335-343,C201312)BettisCDI,CWhiteheadCJJ,CFarhiCPCetal:IntraocularCpres-surespikeandcornealdecompensationfollowingselectivelasertrabeculoplastyinpatientswithexfoliationglaucoma.CJGlaucomaC25:e433-e437,C201613)KaraCN,CAltanCC,CYukselCKCetal:ComparisonCofCtheCe.cacyCandCsafetyCofCselectiveClaserCtrabeculoplastyCinCcaseswithprimaryopenangleglaucomaandpseudoexfo-liativeglaucoma.KaohsiungJMedSciC29:500-504,C2013***

緑内障患者におけるアイモ 24plus(1-2)と10-2 間の 測定点閾値の比較検討

2023年8月31日 木曜日

《第33回日本緑内障学会原著》あたらしい眼科40(8):1089.1092,2023c緑内障患者におけるアイモ24plus(1-2)と10-2間の測定点閾値の比較検討継大器鈴木康之東海大学医学部付属病院眼科ComparisonofCentralVisualFieldThresholdsbetweentheimo24plus(1-2)Programand10-2inGlaucomaTaikiTsuguandYasuyukiSuzukiCDepartmentofOphthalmology,TokaiUniversityHospitalC目的:自動静的視野計アイモ(クリュートメディカルシステムズ)のC24plus(1-2)プログラムによる中心視野評価に関する臨床的有用性を調べるため,10-2の測定点閾値と比較検討した.対象および方法:過去C1回以上C24plus(1-2)とC10-2を施行した緑内障患者のうち,強度近視眼を除き,かつ信頼性の高い眼(偽陽性<10%,偽陰性<12%,固視監視<20%)33例C63眼を対象とし,両者で重複しているC28点の測定点閾値を比較検討した.結果:24plus(1-2)と10-2の上下C28点平均閾値,上半視野C14点平均閾値,下半視野C14点平均閾値はそれぞれ,19.11C±7.58CdBとC19.43C±7.60CdB,16.98C±9.01CdBとC17.85C±8.89CdB,21.23C±8.41CdBとC21.01C±8.54CdBで,値の差は軽微であった.各測定点閾値における相関係数では,両者で強い相関を認め,閾値の差も軽微であった.結論:24plus(1-2)とC10-2の結果には相関がみられることから,24plus(1-2)がC10-2の代替になる可能性が示唆された.CPurpose:ToCinvestigateCtheCclinicalCusefulnessCofCtheCimo24plus(1-2)head-mountedCautomatedCperimeter(CREWTCMedicalSystems)inCcomparisonCtoC10-2CforCtheCevaluationCofCcentralCvisual.eld(VF)measurementCthresholdCvaluesCinCglaucoma.CSubjectsandMethods:InC63CeyesCofC33CglaucomaCpatientsCwhoCunderwentCimo24plus(1-2)andC10-2CexaminationCmoreCthanConce,CtheCVFCresultsCwithChighcon.dence(excludingChighCmyopiaeyes)wereCcomparedCatC28Cmeasurement-pointCthresholdsCthatCoverlapCinCboth.CResults:TheCmeanC28-point,C14-pointCupperChemi.eld,CandC14-pointClowerChemi.eldCVFCthresholdCvalues,Crespectively,CwereC19.11±7.58CdB,C16.98±9.01CdB,and21.23±8.41CdBforimo24plus(1-2)and19.43C±7.60CdB,C17.85±8.89CdB,and21.01±8.54CdBfor10-2.CEachCVFCmeasurementCpointCthresholdCwasCstronglyCcorrelatedCwithCboth,CandCtheCdi.erenceCinCthresholdsCwasCminor.CConclusions:TheCstrongCcorrelationCbetweenCtheCimo24plus(1-2)andC10-2CVFCthresholdCvaluesrevealedthatimo24plus(1-2)maybeagoodsubstitutefor10-2.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)C40(8):1089.1092,C2023〕Keywords:緑内障,視野,アイモ.glaucoma,visual.eld,imo.はじめに緑内障は進行性の視神経障害を伴う疾患であり,視野障害の評価は非常に重要である.緑内障の視野障害を測定する方法として静的視野検査が推奨されている1).アイモ(クリュートメディカルシステムズ)は小型軽量のヘッドマウント型静的視野計であり,静的視野検査の患者負担の軽減を目的として開発された.imoはコンパクトに持ち運べ暗室環境を必要としない2,3).また,左右独立したディスプレイを搭載し,両眼開放下でランダムに指標呈示することで両眼同時に検査を行うことが可能である.さらに瞳孔の動きをリアルタイムでモニターし固視監視を行い,固視に追従して視標呈示位置を自動補正する4,5).アイモの測定点配置として,Humphrey視野計(Hum-phreyC.eldanalyzer:HFA)同様にC10-2,24-2,30-2が〔別刷請求先〕継大器:〒259-1193神奈川県伊勢原市下糟屋C143東海大学医学部付属病院眼科Reprintrequests:TaikiTsugu,M.D.,DepartmentofOphthalmology,TokaiUniversityHospital,143Shimokasuya,Isehara,Kanagawa259-1193,JAPANCあるほか,24plus(1-2)がある.24plus(1-2)はC24-2の検査点をベースに,10-2の検査点の一部を追加し,黄斑部の検査点密度を高めたCimo独自の配列である.アイモオリジナルのストラテジーとしてCAmbientCInter-activeZippyEstimatedSequentialTesting(AIZE),AIZERapid,AIZEEXがある.AIZEはベイズ推定により検査試行ごとに刺激強度を決定し,最尤法を用いて最終的な網膜感度閾値を決定する.各検査点での被験者の応答を隣接する周囲の検査点に反映することにより,事前の予測精度を高め,従来のC4-2CdBbracketingと比較し検査時間の短縮が報告されている6).AIZERapidはCAIZEのストラテジーは変えず,各検査点での応答をより強く隣接点に反映させる.さらに偽陽性(FalsePositive:FP),偽陰性(FalseNegative:FN),固視監視(FixationLoss:FL)の三つの信頼性指標を検査プロセスから推定し,より時間短縮が可能となる.AIZECEXは過去データから閾値探索することで,さらなる時間短縮が可能となる.このようにアイモは緑内障診療における患者の視野検査の負担を軽減できる可能性があり,中心C24°内かつC10°内の視野評価を同時に行えるC24plus(1-2)は,さらなる患者負担の軽減につながると考えられる.しかし,その実臨床における有用性を検討した報告は少ない.本研究の目的は緑内障診療におけるアイモC24plus(1-2)の中心視野評価に関する臨床的有用性を検討することである.CI対象および方法2020年C4月.2021年C12月に東海大学医学部付属病院眼科にて,少なくとも過去C1回アイモで検査を施行した緑内障患者(病型不問)のうち,24plus(1-2)かつC10-2で閾値測定を行った眼を選択した.そのうえでC.6.0D以上の強度近視眼を除外し,かつ矯正視力C0.1以上,信頼性の高い眼(偽陽性<10%,偽陰性<12%,固視監視<20%)を対象とした.本研究はヘルシンキ宣言に準拠して行われ,東海大学医学部付属病院倫理委員会の承認(20R-057号)のもと,すべての対象者から同意を取得した.検査ストラテジーとしては,24plus(1-2)およびC10-2ともにCAIZEEXを用いた.アイモは,非検査眼は遮閉せずに片眼測定を行い,スタンド固定して検査した.解析は両者が重複するC28点の測定点閾値を用い.各測定点ごと,上下C28点平均閾値,上半視野C14点平均閾値,下半視野C14点平均閾値で行った.両者の解析には対応のあるCt検定を用い,p<0.05を統計学的に有意とした.相関解析にはCPearson積率相関係数を使用した.CII結果症例はC33例C63眼,平均年齢はC64.7(33.83)歳,logCMARC視力はC0.029(C.0.079.1.000),等価球面度数C.2.03(C.6.00.1.00)であった.対象患者の背景を表1に示した.①上下C28点平均閾値,②上半視野C14点平均閾値,③下半視野C14点平均閾値の相関係数を図1に,また,それぞれのC24plus(1-2)とC10-2での平均閾値を表2に示す.相関係数はそれぞれ①C0.96,②C0.92,③C0.94ですべて高い相関を認めた(Pearson積率相関係数).24plus(1-2)とC10-2の上下C28点平均閾値,上半視野C14点平均閾値,下半視野C14点平均閾値はそれぞれ,19.11C±7.58CdBとC19.43C±7.60CdB,C16.98±9.01CdBとC17.85C±8.89CdB,21.23C±8.41CdBとC21.01C±8.54CdBで,上半視野C14点平均閾値におけるC24plus(1-2)がC10-2より有意に低い結果となった(pairedt-test,p<0.05).また,24plus(1-2)とC10-2の測定時間はそれぞれC4.1±0.4分,3.7C±0.6分でC24plus(1-2)が有意に長い結果となった(p=0.002).24plus(1-2)とC10-2が重複するC28点の測定点閾値の相関は,すべての閾値でおおむね高い相関を認めたものの,上半視野固視近傍のC2点ではやや低めであった.また,各測定点の閾値を両者で比較したところ,上半視野において固視近傍の一点でC24plus(1-2)が有意に低く(21.33C±10.98CvsC24.31±8.81,p=0.004),下半視野において固視近傍の一点でC24plus(1-2)が有意に高い(23.22C±10.35CvsC21.52±12.01,p=0.01)結果となった.それぞれの比較における有意差をより詳細に検討するために,有意差を認めた上半視野C14点平均閾値,上半視野固視近傍一点の閾値,下半視野固視近傍一点の閾値の差を,①24plus(1-2)を先に施行した群と,②C10-2を先に施行した群に分けて検討した(表3).①C24plus(1-2)を先に施行した群において,上半視野固視近傍一点の閾値(22.93CdBCvs26.40CdB)でC24plus(1-2)が低く,下半視野固視近傍一点の閾値(24.03CdBCvs21.09CdB)でC24plus(1-2)が高い結果となった.CIII考按緑内障診療において,中心C24°内だけではなくC10°内の視野検査の施行は,後期緑内障に関して重要なだけではなく,一部の初期緑内障患者においても,中心窩や黄斑部の変化を生じることがあるため重要である7,8).また,検査回数(回/年)が多くなるほど,視野障害進行の検出までの期間が短縮される9)が,施行回数が多くなるほど,経済面や体力面などで患者負担が増加し,検査精度や再現性にも影響を及ぼすことが考えられる.本研究では,中心C24°内かつ10°内を評価可能なC24plus(1-2)の臨床的有用性を検討し,10-2の代用になりうるか,そして検査回数の減少ひいては患者負担の軽減につながるか確認することを目的とした.24plus(1-2)とC10-2が重複するC28点の測定点閾値すべ表1対象患者の背景24plus(1C-2)C10-2眼数(n)33症例63眼平均年齢(範囲)(歳)64.7(C33.C83)性別(男/女)C17/16測定間隔(月)5.4(1.C15)矯正視力(範囲)(logMAR)等価球面度数(範囲)(diopter)C0.029(C.0.079.C1.000).2.03(C.6.00.C1.00)眼圧(mmHg)C13.8±5.4MD(dB)C.13.8±6.8C.13.2±7.8PSD(dB)C10.3±3.3C9.1±3.8VFI(%)C59.8±26.4C-平均±標準偏差(最小.最大)①上下28点平均閾値②上半視野14点平均閾値③下半視野14点平均閾値24plus(1-2)[dB]353025201510524plus(1-2)[dB]2524plus(1-2)[dB]2510図1各検査間における上下28点平均閾値,上半視野14点平均閾値,下半視野14点平均閾値の散布図アイモC24plus(1-2),10-2における①上下C28点平均閾値,②上半視野C14点平均閾値,③下半視野C14点平均閾値の散布図を示した.回帰直線は赤い直線で示した.相関係数はそれぞれ①C0.96,②C0.92,③C0.94であった(Pearson積率相関係数).表224plus(1-2)と10-2における,上下28点平均閾値,上半視野14点平均閾値,下半視野14点平均閾値0510152025303510-2[dB]0510152025303510-2[dB]0510152025303510-2[dB]24plus(1C-2)C10-2p値上下C28点平均閾値(dB)C19.11±7.58C19.43±7.60C0.23上半視野C14点平均閾値(dB)C16.98±9.01C17.85±8.89C0.04下半視野C14点平均閾値(dB)C21.23±8.41C21.01±8.54C0.53測定時間(分)C4.1±0.4C3.7±0.6C0.0002平均±標準偏差表3有意差を認めた測定点に関する検討24plus(C1-2)C→C10-2[平均期間:6C.1カ月]10-2C→C24plus(C1-2)[平均期間:7C.3カ月]24plus(1C-2)C10-224plus(1C-2)C10-2上半視野C14点平均閾値C18.23C18.86C15.70C16.79(.1,1)平均閾値C22.93C26.40C19.67C22.16(.3,3)平均閾値C24.03C21.09C22.38C21.96C表4HFA24-2SITAStandard,imo24-2,imo24plus(1-2)における測定時間の比較a:当院での既報静的視野計測定時間(分)CHFASITAStandardC6.8±1.1C24-2AIZERapidC3.3±0.524plus(1C-2)CAIZEEXC4.0±0.6b:本研究影響した可能性があり,実臨床すべてを反映する結果とはいえない.結論として,緑内障患者におけるC24plus(1-2)とC10-2間の結果には相関がみられ,24plus(1-2)がC10-2の代替になる可能性が示唆された.24plus(1-2)をC10-2の代用として用いることで,中心C24°内かつC10°内の視野評価をより短い測定時間と低い患者負担で行うことが可能になることが期待される.静的視野計測定時間(分)24plus(1C-2)CAIZEEXC4.1±0.4C10-2AIZEEXC3.7±0.6平均±標準偏差てでおおむね高い相関を認め,上下C28点平均閾値,上半視野C14点平均閾値,下半視野C14点平均閾値においても高い相関を認めた.しかし,上半視野C14点平均閾値および固視近傍一点における平均閾値で,24plus(1-2)がC10-2よりも有意に低く,下半視野固視近傍一点でC24plus(1-2)が有意に高くなる結果を認めた.原因として,24plus(1-2)と10-2間の閾値変化が著明な測定点が存在していたこと,またそれらの測定点が絶対暗点域と正常域の境界に位置していたことが考えられる.絶対暗点域近傍では閾値の変動幅は大きくなる10,11).また,同様に閾値が低値になるほど,その傾向がみられる.眼数が少数である本研究では,それら外れ値により有意差が生じてしまった可能性が考えられる.乱視レンズの追加が有意差へ影響した可能性に関して,乱視度数の増加が視野感度や測定閾値に影響を及ぼすとされている12).本研究では著明な閾値変化を示した測定点におけるC10眼のうち8眼に乱視度数を認めた.しかし,各眼C0.5.1.25Dの範囲内であり,有意差に影響を及ぼす程度ではないと考えられた.一方測定時間に関して,当院での既報C13と本研究を比較したものを表4に示す.一概に比較はできないが,24plus(1-2)の測定時間(4.1C±0.4分)が,24-2とC10-2の測定時間(3.3C±0.5分,3.7C±0.6分)のトータルよりも短い結果となった.以上より,中心C24°内かつC10°内がみられ,測定時間の短縮につながるC24plus(1-2)の臨床的有用性が示唆され,患者負担の軽減につながりうるものであることが示唆された.本研究の問題点として,1例C1眼でない点や各検査間で測定間隔が定まっていなかった点,有水晶体眼および眼内レンズ挿入眼の両方が含まれている点があげられる.測定間隔に均一性がない場合,その間に緑内障の進行がありうることが示唆され,また有水晶体眼か否かの違い,ひいては視機能の良し悪しの違いは,両眼開放下における視野感度に影響することが報告されている14).これらの問題点は本研究の結果に利益相反:利益相反公表基準に該当なし文献1)日本緑内障学会緑内障診療ガイドライン作成委員会:緑内障診療ガイドライン第C5版.日眼会誌126:85-177,C20222)北川厚子,清水美智子,山中麻友美:アイモ24plus(1)の使用経験とCHumphrey視野計との比較.あたらしい眼科C35:1117-1121,C20183)林由紀子,坂本麻里,村井佑輔:緑内障診療におけるアイモ両眼ランダム測定の有用性の検討.日眼会誌C125:C530-538,C20214)松本長太:新しい視野検査.日本の眼科C88:452-457,C20175)澤村裕正,相原一:11.ヘッドマウント視野計アイモCR.眼科58:869-878,C20166)MatsumotoC,YamaoS,NomotoHetal:Visual.eldtest-ingCwithChead-mountedCperimeter‘imo’.CPLoSCOneC11:Ce0161974,C20167)RaoCHL,CBegumCVU,CKhadkaCDCetal:ComparingCglauco-maCprogressionConC24-2CandC10-2CvisualC.eldCexamina-tions.PLoSOneC10:e0127233,C20158)TraynisI,DeMoraesCG,RazaASetal:Prevalenceandnatureofearlyglaucomatousdefectsinthecentral10°Cofthevisual.eld.JAMAOphthalmolC132:291-297,C20149)ChauchanBC,Garway-HeathDF,GoniFJetal:PracticalrecommendationsCforCmeasuringCratesCofCvisualC.eldCchangeinglaucoma.BrJOphthalmolC92:569-573,C200810)FlammerJ,DranceSM,AugustinyLetal:Quanti.cationofCglaucomatousCvisualC.eldCdefectsCwithCautomatedCperimetry.InvestOphthalmolVisSciC26:176-181,C198511)FlammerJ:TheCconceptCofCvisualC.eldCindices.CGraefesCArchClinExpOphthalmolC224:389-392,C198612)駒形友紀,中野匡,江田愛夢ほか:Humphery.eldana-lyzerIII860の乱視補正法におけるCLiquidCTrialLensと従来法の比較検討.日本視能訓練士協会誌C46:275-280,C201713)佐藤恵理,中川喜博,鈴木康之:緑内障患者におけるCHum-phrey自動視野計からアイモへの切り替えについての検討.あたらしい眼科39:1379-1385,C202214)KumagaiCT,CShojiCT,CYoshikawaCYCetal:ComparisonCofCcentralCvisualCsensitivityCbetweenCmonocularCandCbinocu-larCtestingCinCadvancedCglaucomaCpatientsCusingCimoCperimetry.BrJOphthalmolC104:1258-1534,C2020