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翼状片再発による角膜乱視の変化

2014年9月30日 火曜日

1384あたらしい眼科Vol.4109,21,No.3(00)1384(136)0910-1810/14/\100/頁/JCOPY《原著》あたらしい眼科31(9):1384.1386,2014cはじめに翼状片は病変の進行に伴い角膜形状を変形させ,扁平化させる力学的作用を有する.そのため角膜乱視量や乱視軸に影響を及ぼすことは従来より報告1.6)されている.翼状片が再発した場合,角膜形状は直乱視化すると考えられ,直乱視であるときは角膜乱視量が増加し,倒乱視の場合は逆に角膜乱視量が減少すると考えられる(図1).しかし,筆者らが調べた限りではそのことを確かめた報告はなかった.今回,翼状片術後に再発した場合,角膜乱視がどのように変化するかについて検討した.I対象および方法対象は2004年8月から2012年3月までに当院にて翼状片単独手術もしくは白内障手術と同時に翼状片手術を受けた418名514眼のなかで,術後1カ月以内と4カ月以上の時点で角膜曲率半径の測定を行うことのできた101名121眼.翼状片は鼻側から発生した症例のみとし,翼状片以外の角膜曲率半径に影響を与える可能性のある角結膜疾患を有するものは除外した.白内障手術はすべて同一の術者が2.4mmの強角膜切開創から行った.清水2)は切開サイズが2.5mm以下の場合,術前術後の角膜乱視に変化はないとしており,竹下1)も過去に白内障手術と翼状片手術を同時に行っても屈折値の変化に差がないことを報告している.このため,白内障手術による惹起乱視は無視できるものとした.翼状片切除後,同位置から結膜下組織の異常増殖により再度角膜へ侵入したものを翼状片再発と定義した.翼状片再発の群を+(プラス)群,非再発群を.(マイナス)群とした.さらに翼状片切除手術後の角膜乱視軸の弱主〔別刷請求先〕蕪龍大:〒866-0293熊本県上天草市龍ヶ岳町高戸1419-19上天草市立上天草総合病院眼科Reprintrequests:RyotaKabura,DepartmentofOphthalmology,KamiamakusaGeneralHospital,1419-19RyugatakemachiTakado,Kamiamakusa,Kumamoto866-0293,JAPAN翼状片再発による角膜乱視の変化蕪龍大小野晶嗣竹下哲二上天草市立上天草総合病院眼科ChangesinCornealAstigmatismFollowingPterygiumRecurrenceRyotaKabura,AkitsuguOnoandTetsujiTakeshitaDepartmentofOphthalmology,KamiamakusaGeneralHospital翼状片が手術後に再発した場合と再発しなかった場合の角膜乱視の変化を検討した.翼状片の単独手術もしくは白内障と同時に手術を受けた101名121眼を対象とし,術後1カ月以内と4カ月以上経過時に角膜曲率半径を測定した.角膜乱視を直乱視群,倒乱視群,斜乱視群に分け,各群をさらに翼状片再発群と非再発群に分け,それぞれの乱視量の変化をCravy法を用いて検討した.翼状片が再発した倒乱視群は非再発の倒乱視群に対して有意に乱視量が減少していた.倒乱視では再発翼状片により強主経線の屈折力が減少し,直乱視では翼状片が再発しても乱視量の変化が少ないと思われた.Changesincornealastigmatismaftertherecurrenceofpterygiumarediscussed.Includedwere121eyesof101patients.Pterygiumsurgeriescomprisedpterygiumsurgeryaloneorsimultaneouslywithcataractsurgery.Cornealastigmatismwasmeasuredwithin1monthaftersurgeryandafter4monthsaftersurgery.Cornealastig-matismwasdividedinto3groups:astigmatism-with-the-rule,astigmatism-against-the-ruleandobliqueastigma-tism.Eachgroupwasfurtherclassifiedintorecurredgroupandnon-recurredgroup.TheCravymethodwasusedtocomparechangesinastigmatismamongthegroups.Astigmatismchangeintheagainst-the-rulerecurredgroupwasstatisticallysignificantincomparisontothatofagainst-the-rulenon-recurredgroup.Theconrneaseemstotransformitsshapesoastoberound.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)31(9):1384.1386,2014〕Keywords:翼状片,再発,乱視,手術.pterygium,recurrence,astigmatism,surgery.(00)1384(136)0910-1810/14/\100/頁/JCOPY《原著》あたらしい眼科31(9):1384.1386,2014cはじめに翼状片は病変の進行に伴い角膜形状を変形させ,扁平化させる力学的作用を有する.そのため角膜乱視量や乱視軸に影響を及ぼすことは従来より報告1.6)されている.翼状片が再発した場合,角膜形状は直乱視化すると考えられ,直乱視であるときは角膜乱視量が増加し,倒乱視の場合は逆に角膜乱視量が減少すると考えられる(図1).しかし,筆者らが調べた限りではそのことを確かめた報告はなかった.今回,翼状片術後に再発した場合,角膜乱視がどのように変化するかについて検討した.I対象および方法対象は2004年8月から2012年3月までに当院にて翼状片単独手術もしくは白内障手術と同時に翼状片手術を受けた418名514眼のなかで,術後1カ月以内と4カ月以上の時点で角膜曲率半径の測定を行うことのできた101名121眼.翼状片は鼻側から発生した症例のみとし,翼状片以外の角膜曲率半径に影響を与える可能性のある角結膜疾患を有するものは除外した.白内障手術はすべて同一の術者が2.4mmの強角膜切開創から行った.清水2)は切開サイズが2.5mm以下の場合,術前術後の角膜乱視に変化はないとしており,竹下1)も過去に白内障手術と翼状片手術を同時に行っても屈折値の変化に差がないことを報告している.このため,白内障手術による惹起乱視は無視できるものとした.翼状片切除後,同位置から結膜下組織の異常増殖により再度角膜へ侵入したものを翼状片再発と定義した.翼状片再発の群を+(プラス)群,非再発群を.(マイナス)群とした.さらに翼状片切除手術後の角膜乱視軸の弱主〔別刷請求先〕蕪龍大:〒866-0293熊本県上天草市龍ヶ岳町高戸1419-19上天草市立上天草総合病院眼科Reprintrequests:RyotaKabura,DepartmentofOphthalmology,KamiamakusaGeneralHospital,1419-19RyugatakemachiTakado,Kamiamakusa,Kumamoto866-0293,JAPAN翼状片再発による角膜乱視の変化蕪龍大小野晶嗣竹下哲二上天草市立上天草総合病院眼科ChangesinCornealAstigmatismFollowingPterygiumRecurrenceRyotaKabura,AkitsuguOnoandTetsujiTakeshitaDepartmentofOphthalmology,KamiamakusaGeneralHospital翼状片が手術後に再発した場合と再発しなかった場合の角膜乱視の変化を検討した.翼状片の単独手術もしくは白内障と同時に手術を受けた101名121眼を対象とし,術後1カ月以内と4カ月以上経過時に角膜曲率半径を測定した.角膜乱視を直乱視群,倒乱視群,斜乱視群に分け,各群をさらに翼状片再発群と非再発群に分け,それぞれの乱視量の変化をCravy法を用いて検討した.翼状片が再発した倒乱視群は非再発の倒乱視群に対して有意に乱視量が減少していた.倒乱視では再発翼状片により強主経線の屈折力が減少し,直乱視では翼状片が再発しても乱視量の変化が少ないと思われた.Changesincornealastigmatismaftertherecurrenceofpterygiumarediscussed.Includedwere121eyesof101patients.Pterygiumsurgeriescomprisedpterygiumsurgeryaloneorsimultaneouslywithcataractsurgery.Cornealastigmatismwasmeasuredwithin1monthaftersurgeryandafter4monthsaftersurgery.Cornealastig-matismwasdividedinto3groups:astigmatism-with-the-rule,astigmatism-against-the-ruleandobliqueastigma-tism.Eachgroupwasfurtherclassifiedintorecurredgroupandnon-recurredgroup.TheCravymethodwasusedtocomparechangesinastigmatismamongthegroups.Astigmatismchangeintheagainst-the-rulerecurredgroupwasstatisticallysignificantincomparisontothatofagainst-the-rulenon-recurredgroup.Theconrneaseemstotransformitsshapesoastoberound.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)31(9):1384.1386,2014〕Keywords:翼状片,再発,乱視,手術.pterygium,recurrence,astigmatism,surgery. あたらしい眼科Vol.31,No.9,20141385(137)経線が0.30°,151.180°のときを直乱視群,31.60°,121.150°のときを斜乱視群,61.120°のときを倒乱視群とし,計6群に分けた(図1,表1).+群は男性10名10眼,女性21名26眼の計36眼,.群では男性30名34眼,女性40名51眼の計85眼であった.対象者の平均年齢は+群が71.1±8.0歳,.群が71.0±8.5歳で両群間に有意差はなかった.翼状片手術から初回の角膜曲率半径計測日までの日数は6.15±1.20日であった.以下に示すCravy法を用いて乱視の変化量を算出した.術直後の角膜乱視の度数をC1(diopter),軸をA1°再発確認時の角膜乱視の度数をC2(diopter),軸をA2°としたとき,・角膜乱視の変化:sK=ΔX+ΔY(diopter)ここで・ΔX=|C2sinA2.C1sinA1|で|C1sinA1|>|C2sinA2|なら正,逆の場合は負.・ΔY=|C2cosA2.C1cosA1|で|C1cosA1|>|C2cosA2|なら正,逆の場合は負.・|A2.A1|>90°のときはA1=A1+180.・sK>0のとき直乱視化,0>sKのとき倒乱視化である.角膜曲率半径の測定にはオートレフケラトトポグラフィーであるTOMEY社製のREFTOPORT-6000を用い,トポグラフィーの測定結果を基に+群と.群の両群間にMann-Whitney-U-testにて検定を行った.II結果翼状片切除後から再発までの日数は22.949日(平均値±標準偏差:226±253日)であった.翼状片の再発率は7.0%であった.翼状片手術後と再発確認時の角膜乱視量の変化を表2に示す.角膜倒乱視群は角膜乱視量が1.64±1.30Dから1.39±1.13Dと有意に減少し直乱視化を認めたが,直乱視群,斜乱視群では有意差は認められなかった.角膜屈折力の変化は,全群間で有意差は認められなかった(表3)..群ではすべての乱視群において,角膜乱視量と角膜屈折力の変化に有意差が認められなかった(表4,5).翼状片手術後の倒.群と直.群間における乱視変化量はp=0.42で有意差は認められなかった.翼状片再発確認時の倒+群の乱視量変化は0.71±1.20D,経過観察時の倒.群の乱視量変化は0.10±1.73Dであり,両群間で倒+群は有意に角膜乱視量が減少し直乱視化した.直+群の角膜乱視量変化は0.18±1.47D,直.群では0.92±2.50D.斜+群の乱視量変化は0.68±2.13D,斜.群では0.14±1.14Dであった.直+群と直.群,斜+群と斜.群間には有意差が認められず,倒乱視化も直乱視化もしなかった(表6).III考察翼状片は良性な結膜疾患であるが,瞳孔領に達すると重篤な視力障害を引き起こす.橋本ら3)は,角膜輪部から3mm以上侵入すると不正乱視を引き起こすと述べている.また,北川4)は,再発翼状片は初発翼状片と異なり増殖組織と角膜,強膜,内直筋との癒着が顕著で,瞼球癒着とともに眼球の外転制限による複視がみられることがあると報告している.しかし,今回の症例ではそのような訴えや所見はなかった.以前,翼状片切除手術によって角膜の牽引が解除され,術前に角膜直乱視であった場合は術後の角膜乱視量が減少し倒乱視化したが,角膜倒乱視であった場合は術後の角膜乱視量の変化に有意差が得られなかったと報告した1).近江ら5)は図1翼状片再発による角膜形状の変化翼状片を切除すると角膜形状の変化によって倒乱視化し,再発時では直乱視化すると考えられる.初発翼状片再発翼状片切除経過術前術直後再発図2角膜乱視の分類斜乱視(121~150°)倒乱視(61~120°)斜乱視(31~60°)0°180°直乱視(0~30°,151~180°)表1角膜乱視の分類翼状片再発(n)翼状片非再発(n)術後直乱視直+群(5)直.群(22)術後倒乱視倒+群(23)倒.群(43)術後斜乱視斜+群(8)斜.群(20)計3685翼状片が再発した場合を+(プラス)群,再発しなかった場合を.(マイナス)群とした.強主経線が0.30°,151.180°のときを直乱視群,31.60°,121.150°のときを斜乱視群,61.120°のときを倒乱視群とした.再発翼状片切除経過術前術直後再発図1翼状片再発による角膜形状の変化翼状片を切除すると角膜形状の変化によって倒乱視化し,再発時では直乱視化すると考えられる.180°0°斜乱視(61~120°)斜乱視(121~150°)倒乱視(31~60°)直乱視(0~30°,151~180°)図2角膜乱視の分類経線が0.30°,151.180°のときを直乱視群,31.60°,121.150°のときを斜乱視群,61.120°のときを倒乱視群とし,計6群に分けた(図1,表1).+群は男性10名10眼,女性21名26眼の計36眼,.群では男性30名34眼,女性40名51眼の計85眼であった.対象者の平均年齢は+群が71.1±8.0歳,.群が71.0±8.5歳で両群間に有意差はなかった.翼状片手術から初回の角膜曲率半径計測日までの日数は6.15±1.20日であった.以下に示すCravy法を用いて乱視の変化量を算出した.術直後の角膜乱視の度数をC1(diopter),軸をA1°再発確認時の角膜乱視の度数をC2(diopter),軸をA2°としたとき,・角膜乱視の変化:sK=ΔX+ΔY(diopter)ここで・ΔX=|C2sinA2.C1sinA1|で|C1sinA1|>|C2sinA2|なら正,逆の場合は負.・ΔY=|C2cosA2.C1cosA1|で|C1cosA1|>|C2cosA2|なら正,逆の場合は負.・|A2.A1|>90°のときはA1=A1+180.・sK>0のとき直乱視化,0>sKのとき倒乱視化である.角膜曲率半径の測定にはオートレフケラトトポグラフィーであるTOMEY社製のREFTOPORT-6000を用い,トポ(137)表1角膜乱視の分類翼状片再発(n)翼状片非再発(n)術後直乱視直+群(5)直.群(22)術後倒乱視倒+群(23)倒.群(43)術後斜乱視斜+群(8)斜.群(20)計3685翼状片が再発した場合を+(プラス)群,再発しなかった場合を.(マイナス)群とした.強主経線が0.30°,151.180°のときを直乱視群,31.60°,121.150°のときを斜乱視群,61.120°のときを倒乱視群とした.グラフィーの測定結果を基に+群と.群の両群間にMannWhitney-U-testにて検定を行った.II結果翼状片切除後から再発までの日数は22.949日(平均値±標準偏差:226±253日)であった.翼状片の再発率は7.0%であった.翼状片手術後と再発確認時の角膜乱視量の変化を表2に示す.角膜倒乱視群は角膜乱視量が1.64±1.30Dから1.39±1.13Dと有意に減少し直乱視化を認めたが,直乱視群,斜乱視群では有意差は認められなかった.角膜屈折力の変化は,全群間で有意差は認められなかった(表3)..群ではすべての乱視群において,角膜乱視量と角膜屈折力の変化に有意差が認められなかった(表4,5).翼状片手術後の倒.群と直.群間における乱視変化量はp=0.42で有意差は認められなかった.翼状片再発確認時の倒+群の乱視量変化は0.71±1.20D,経過観察時の倒.群の乱視量変化は0.10±1.73Dであり,両群間で倒+群は有意に角膜乱視量が減少し直乱視化した.直+群の角膜乱視量変化は0.18±1.47D,直.群では0.92±2.50D.斜+群の乱視量変化は0.68±2.13D,斜.群では0.14±1.14Dであった.直+群と直.群,斜+群と斜.群間には有意差が認められず,倒乱視化も直乱視化もしなかった(表6).III考察翼状片は良性な結膜疾患であるが,瞳孔領に達すると重篤な視力障害を引き起こす.橋本ら3)は,角膜輪部から3mm以上侵入すると不正乱視を引き起こすと述べている.また,北川4)は,再発翼状片は初発翼状片と異なり増殖組織と角膜,強膜,内直筋との癒着が顕著で,瞼球癒着とともに眼球の外転制限による複視がみられることがあると報告している.しかし,今回の症例ではそのような訴えや所見はなかった.以前,翼状片切除手術によって角膜の牽引が解除され,術前に角膜直乱視であった場合は術後の角膜乱視量が減少し倒乱視化したが,角膜倒乱視であった場合は術後の角膜乱視量の変化に有意差が得られなかったと報告した1).近江ら5)はあたらしい眼科Vol.31,No.9,20141385 表2術後と再発確認時の角膜乱視量の変化n術後(D)再発確認時(D)有意差倒乱視231.64±1.301.39±1.13*直乱視51.21±0.810.93±0.41NS斜乱視81.22±1.341.21±0.88NS*p<0.005.表4術後と経過時の角膜乱視量の変化n術後(D)4M以上経過時(D)有意差倒乱視431.22±1.021.20±0.98NS直乱視221.37±1.101.39±1.28NS斜乱視200.68±0.440.75±0.82NS表6+群と.群の結果n年齢ΔX+ΔY有意差倒+群2472±6.50.71±1.20倒.群4374±8.00.10±1.73*直+群571±2.20.18±1.47直.群2268±6.40.92±2.50N.S.斜+群871±8.10.68±2.13斜.群2069±8.30.14±1.14N.S.症例数(n)と各群の年齢およびCravy法の結果を平均値±標準偏差で示した.倒+群と倒.群の両群間のみ有意差を認めた.*p<0.05.翼状片切除手術前後における角膜上下耳鼻側の角膜曲率半径の変化について,鼻側の角膜曲率半径のみ術前の角膜形状が扁平化から術後正常化したと述べている.角膜に非対称成分があったとしても翼状片によって引き起こされた乱視は,切除することで本来の角膜屈折力に近づくと考えられた.翼状片が再発した場合は,この逆で角膜の鼻側成分のみが耳側に対して非対称性に扁平化するということが発生したと考えられた.翼状片の再発により角膜形状が直乱視化することは従来より報告されている5.7).翼状片切除後の倒.群と直.群間における乱視量変化に有意差がなかったのに対し,倒+群のみではあったが翼状片が再発したことで有意に角膜乱視量が減少した理由は,翼状片によって角膜形状が変化し強主経線の角膜曲率半径が大きくなったためと考えられた.しかしながら,直乱視ではその変化量は少ないものと考えられ,今表3術後と再発確認時の角膜屈折力の変化n術後(D)再発確認時(D)有意差倒乱視2344.48±1.0644.52±1.18NS直乱視544.28±1.4144.51±1.04NS斜乱視844.65±1.4244.63±1.42NS表5術後と経過時の角膜屈折力の変化n術後(D)4M以上経過時(D)有意差倒乱視4344.56±1.4544.67±1.48NS直乱視2244.44±1.4444.40±1.61NS斜乱視2044.48±0.8944.52±1.02NS回の報告では直+群での直乱視化は認められない結果となった.日本人では若年層では角膜直乱視が圧倒的に多く,60歳代で角膜直乱視と角膜倒乱視の割合がほぼ同等になり,70歳を超えるとその数が逆転するという報告がある8).今回の結果では平均年齢が70歳前後だったことより,角膜倒乱視が大半を占めた.また,翼状片が再発すると角膜倒乱視は軽減するという結果となったが,翼状片が大きくなると癒着が強くなり,手術が困難となるため初回手術を適切な時期に再発が少ないと思われる方法で行うべきである.文献1)竹下哲二,吉岡久史:白内障手術と同時に行った翼状片手術の術後成績.臨眼63:933-935,20092)清水公也:角膜耳側切開白内障手術.眼科37:323-330,19953)橋本千草,山田昌和,小関茂之ほか:翼状片手術前後における角膜乱視の変化.眼科42:75-80,20004)北川和子:翼状片.日本の眼科73:575-578,20025)近江源次郎,大路正人,切通彰ほか:翼状片による角膜形状の変化.臨眼42:875-878,19886)富所敦男,江口甲一郎,多田桂一ほか:翼状片手術による角膜形状の変化.あたらしい眼科11:407-410,19947)坂口泰久,鮫島智一,宮田和典:翼状片の大きさが角膜形状に及ぼす影響.あたらしい眼科16:1135-1137,19998)林研,桝本美樹,藤野鈴枝ほか:加齢による角膜乱視の変化.日眼会誌97:1193-1196,1993***(138)