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強度近視に伴うOptociliary Vein様の異常血管の1例

2018年10月31日 水曜日

《原著》あたらしい眼科35(10):1415.1417,2018c強度近視に伴うOptociliaryVein様の異常血管の1例竹内弥生*1,2石田友香*1相馬亮子*1,3大野京子*1*1東京医科歯科大学医学部附属病院眼科*2柏市立柏病院眼科*3玉川病院眼科COptociliaryVeininHighMyopiaYayoiTakeuchi1,2)C,TomokaIshida1),RyokoSoma1,3)CandKyokoOhno-Matsui1)1)DepartmentofOphthalmologyandVisualSciences,TokyoMedicalandDentalUniversity,2)DepartmentofOphthalmology,KashiwaHospital,3)DepartmentofOphthalmology,TamagawaHospitalC強度近視に伴う視神経乳頭周囲の静脈異常として網膜循環から脈絡膜循環への短絡路であるCoptociliaryveinの報告は少ない.今回筆者らはCoptociliaryCvein様の異常血管を有する強度近視眼C1例C1眼を経験したので報告する.症例:65歳,男性.左眼底視神経乳頭周囲に全周性の近視性コーヌスを認め,乳頭耳側辺縁にインドシアニングリーン蛍光眼底造影(indocyaninegreenangiography:ICGA)で網膜静脈流入期に描出されるCoptociliaryvein様の異常血管がみられた.吻合する脈絡膜血管を認めなかった.光干渉断層計(OCT)で乳頭耳側の血管途絶部位に隣接して急峻なridgeがみられた.強度近視に伴う乳頭周囲の形状の変化が異常血管の発生に関係していると思われた.CTherehavebeenfewcasereportsontheoptociliaryvein,ashuntvesselbetweenthecentralretinalveinandthechoroidalveinintheprelaminarregionoftheopticnerveheadassociatedwithhighmyopia.Weexperiencedthecaseofanoptociliary-likevesselinahighmyopiceye.Ina65-year-oldmalewhovisitedourclinic,wefoundanCanomalousCvesselCappearingCfromCtheCdiscCedge.CICGACshowedCtheCvesselC.lledCwithCdyeCinCtheCretinalCvenousphase;however,ICGdidnotshowanychoroidalvesselsaroundtheanomalousvessel,anditwasdi.cultto.ndtheout.owvessel.Wealsousedopticalcoherencetomography(OCT)C,which[disclosedahighscleralridgebesideOK?]theanomalousvessel.[WeconcludethatundetectedvesselsinICGareassociatedwithanatomicalchangesinhighmyopia.OK?i.e.,generalconclusion?]〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)C35(10):1415.1417,C2018〕Keywords:optociliaryvein,強度近視.optociliaryshunt,highmyopia.はじめに視神経乳頭縁で網膜静脈から脈絡膜循環へ交通する短絡路である網膜毛様静脈は,網膜静脈の分枝が視神経乳頭縁から脈絡膜静脈へ直接交通するCretinociliaryveinと,視神経乳頭上の網膜中心静脈の分枝部分から視神経乳頭縁を貫いて脈絡膜静脈へと注ぐCoptociliaryveinのC2通りがある1).正常の視神経乳頭においては網膜静脈と脈絡膜静脈を繋ぐ毛細血管が存在し,両者の圧は等しく保たれているが,後者のCoptociliaryveinは何らかの原因で網膜静脈圧が亢進することによりその毛細血管が拡張,可視化したものと考えられている.多くは網膜中心静脈閉塞症,髄膜腫,晩期緑内障などに合併するが2,3),これまでに強度近視に伴うCoptociliaryveinの報告は筆者らが調べた限りではC1例のみであった2).今回,強度近視眼に生じたCoptociliaryvein様の異常血管を有する症例を経験し,FA,ICGA,swept-sourceCopticalCcoherencetomography(SS-OCT)で詳細に観察したので報告する.CI症例症例はC65歳,男性.強度近視に伴う左眼視野障害の進行のため近医より当院強度近視外来に紹介となった.初時視力は右眼C0.7(1.0C×IOL×sph.2.00D(cyl.0.25DAx180°),左眼C0.1p(0.1C×IOL×sph.2.00D(cyl.0.25DAx180°),眼軸は右眼C32.4Cmm,左眼C31.5Cmmであった.両前眼部に異常なし,両眼内レンズ挿入眼であった.左眼の視神経乳頭中心部で上方の網膜中心静脈から分枝し乳頭耳側辺縁へ向か〔別刷請求先〕竹内弥生:〒113-8150東京都文京区湯島C1-45-5東京医科歯科大学医学部附属病院眼科Reprintrequests:YayoiCTakeuchi,DepartmentofOphthalmologyandVisualSciences,TokyoMedicalandDentalUniversityMedicalHospital,1-5-45Yushima,Bunkyo-ku,Tokyo113,JAPANC0910-1810/18/\100/頁/JCOPY(103)C1415図1左眼視神経乳頭周囲の画像所見a:カラー眼底写真.近視性視性コーヌスを伴う視神経乳頭が観察される.視神経乳頭耳側辺縁に網膜中心静脈から乳頭辺縁に走行する異常血管(.)を認める.Cb:FA.同異常血管(.)が造影されている.Cc:ICGA(脈絡膜静脈流入期).異常血管(.)は視神経乳頭中心部のみ造影され,過蛍光を認める.d:ICGA(網膜静脈流入期).異常血管(.)は,視神経乳頭の中心部より辺縁部へと造影されたが,視神経乳頭縁で途絶したようにみられる.い,視神経乳頭辺縁で途絶したように観察される血管を認めた(図1a).その視神経乳頭周囲には全周性の近視性コーヌスがみられ,視神経乳頭耳側には丈の高い強膜のCridgeを伴う広域の後部ぶどう腫が認められた.FAで網膜静脈流入期に同血管が造影され,蛍光漏出はみられなかった(図1b).ICGAで同異常血管は脈絡膜静脈流入期に視神経乳頭中心部のみ造影され,過蛍光を認めた後(図1c),網膜静脈流入期に視神経乳頭の中心部より辺縁へと造影されたが,視神経乳頭縁で途絶しており,その先は不明であった(図1d).SS-OCTでは視神経乳頭耳側の急峻な強膜Cridgeがみられ,ridgeの立ち上がりでは神経線維層の菲薄化と脈絡膜の欠如,乳頭内ピットが観察されたが,視神経乳頭辺縁で途絶したシャント血管の断面は撮影されていなかった(図2a).Gold-mann視野検査では中心暗点を認めた(図2b).CII考按網膜中心静脈の分枝が乳頭辺縁で脈絡膜血管へ吻合するシャント型の異常血管であるCoptociliaryveinは先天性のほか,網膜中心静脈閉塞症,髄膜腫,乳頭浮腫後,緑内障性視神経萎縮などでの合併の報告があり2,3),前述したように成因として,網膜静脈圧の亢進により元来存在した網膜静脈と脈絡膜血管に交通する毛細血管大のシャント血管が可視化し図2SS.OCTとGoldmann視野検査a:SS-OCTでは視神経乳頭耳側に急峻な強膜Cridgeを認める(.).ridge内側の神経線維層は菲薄化し,脈絡膜は欠如している.乳頭内にピットが観察される(C.)が,異常血管は捉えられていない.Cb:Goldmann視野検査ではCridgeによると思われる中心部暗点を認める.たものと考えられている.今までに強度近視眼での報告はMasuyamaらのC1例のみであり,これはCFAでの観察の報告であったが,強度近視眼の眼球伸長による何らかの網膜静脈還流障害がかかわっている可能性が考察されている2).ICGAでCoptociliaryveinを観察した報告は少ないが,Muci-Mendozaらは髄膜腫のC5症例において,ICGAでCoptocili-aryveinが視神経乳頭辺縁で脈絡膜静脈と吻合し,渦静脈へ流出する様子を報告している4).強度近視眼では,眼球の機械的伸展により視神経乳頭周囲の網膜静脈の高度な屈曲がみられることがある5)が,通常,走行が途絶したように観察されることはない.本症例は眼底所見とCFAにて視神経乳頭中心から乳頭辺縁の方向に血流が流れていることからはCoptociliaryveinであると考えられたが,ICGAで網膜静脈の描出前,つまり脈絡膜静脈相に視神経乳頭中心部の造影がみられた点と,視神経乳頭辺縁で脈絡膜静脈との吻合がみられず途絶しているように観察された点で,純粋に網膜静脈血が脈絡膜血流へ交通しているかどうか1416あたらしい眼科Vol.35,No.10,2018(104)が不明であった.網膜静脈相より早期の脈絡膜静脈相にシャント血管の視神経乳頭中心部位が造影され始める理由としては,①血流が網膜静脈由来である場合(同部位での網膜静脈の鬱滞により蛍光色素濃度が他の網膜静脈よりも高くなったために網膜静脈相よりも早期に染まった可能性),もしくは②血流が脈絡膜静脈由来である場合(ICGAでも脈絡膜毛細血管の残存している強膜Cridgeのない鼻側の脈絡膜静脈由来の血流が,顕在化していない短絡路を通って視神経乳頭中心部に集まっていた可能性)が考えられる.一方,異常血管がCICGAにおいても途絶したように観察された理由としては,以下のことが考えらえた.異常血管が途絶した乳頭耳側部位には急峻な強膜ridgeがCSS-OCTでみられ,ridge斜面では神経線維層と脈絡膜層が著明に菲薄化し,乳頭内ピットが観察された.得られたCSS-OCTの切片では血管の途絶部位にはピットの存在は確認できなかったが,ピットが多発している可能性はあり,ピットから眼外に走行しCridge下で強度近視によって後極に移動してきた渦静脈6)に交通した可能性はある.また,通常眼において,脈絡膜静脈から渦静脈を通らず,直接視神経鞘に注ぐ脈絡膜-視神経鞘の細静脈叢の短絡路であるCchoroid-pialshuntの存在が知られているが7),本症例でも同様の短絡路を通って,視神経鞘の細静脈叢へ流出した可能性も考えられる.視神経乳頭周囲の高度の構造変化を伴う症例では,視神経乳頭周囲網膜循環が障害されることにより,代償シャントであるCoptociliaryvein様の異常血管が形成されうることが示唆された.今回の症例では特徴的なCICGA所見を示したが,症例数が限られていたため,今後同様の症例を積み重ね長期の経過を追うことで,強度近視眼の視神経乳頭周囲の血行動態の変化とその成因について,さらに詳しく明らかにできると考えられる.文献1)ZaretCCR,CChoromokosCEA,CMeislerDM:Cilio-opticCveinCassociatedCwithCphakomatosis.COphthalmologyC87:330-336,C19802)MasuyamaY,KodamaY,MatsuuraYetal:Clinicalstud-iesConCtheCoccurrenceCandCtheCpathogenesisCofCoptociliaryCveins.JClinNeuroophthalmolC10:1-8,C19903)LeeCJJ,CYapEY:OptociliaryCshuntCvesselsCinCdiabetesCmellitus.SingaporeMedJC45:166-169,C20044)Muci-MendozaCR,CArevaloCF,CRamellaCMCetal:Optocili-aryCveinsCinCopticCnerveCsheathCmeningiomaCindocyanineCgreenCvideoangiographyC.ndings.COphthalmologyC106:C311-318,C19995)HayashiCW,CShimadaCN,CHayashiCKCetal:RetinalCvesselsCandhighmyopia.OphthalmologyC118:791,C20116)Ohno-MatsuiK,MorishimaN,ItoMetal:PosteriorroutesofCchoroidalCbloodCout.owCinChighCmyopia.CRetinaC16:C419-425,C19967)GordonR:PeripapillaryCvenousCdrainageCfromCtheCcho-roid:aCvariableCfeatureCinChumanCeyes.CBrCJCOphthalmolC81:76-79,C1997***(105)あたらしい眼科Vol.35,No.10,2018C1417