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強度近視に伴うOptociliary Vein様の異常血管の1例

2018年10月31日 水曜日

《原著》あたらしい眼科35(10):1415.1417,2018c強度近視に伴うOptociliaryVein様の異常血管の1例竹内弥生*1,2石田友香*1相馬亮子*1,3大野京子*1*1東京医科歯科大学医学部附属病院眼科*2柏市立柏病院眼科*3玉川病院眼科COptociliaryVeininHighMyopiaYayoiTakeuchi1,2)C,TomokaIshida1),RyokoSoma1,3)CandKyokoOhno-Matsui1)1)DepartmentofOphthalmologyandVisualSciences,TokyoMedicalandDentalUniversity,2)DepartmentofOphthalmology,KashiwaHospital,3)DepartmentofOphthalmology,TamagawaHospitalC強度近視に伴う視神経乳頭周囲の静脈異常として網膜循環から脈絡膜循環への短絡路であるCoptociliaryveinの報告は少ない.今回筆者らはCoptociliaryCvein様の異常血管を有する強度近視眼C1例C1眼を経験したので報告する.症例:65歳,男性.左眼底視神経乳頭周囲に全周性の近視性コーヌスを認め,乳頭耳側辺縁にインドシアニングリーン蛍光眼底造影(indocyaninegreenangiography:ICGA)で網膜静脈流入期に描出されるCoptociliaryvein様の異常血管がみられた.吻合する脈絡膜血管を認めなかった.光干渉断層計(OCT)で乳頭耳側の血管途絶部位に隣接して急峻なridgeがみられた.強度近視に伴う乳頭周囲の形状の変化が異常血管の発生に関係していると思われた.CTherehavebeenfewcasereportsontheoptociliaryvein,ashuntvesselbetweenthecentralretinalveinandthechoroidalveinintheprelaminarregionoftheopticnerveheadassociatedwithhighmyopia.Weexperiencedthecaseofanoptociliary-likevesselinahighmyopiceye.Ina65-year-oldmalewhovisitedourclinic,wefoundanCanomalousCvesselCappearingCfromCtheCdiscCedge.CICGACshowedCtheCvesselC.lledCwithCdyeCinCtheCretinalCvenousphase;however,ICGdidnotshowanychoroidalvesselsaroundtheanomalousvessel,anditwasdi.cultto.ndtheout.owvessel.Wealsousedopticalcoherencetomography(OCT)C,which[disclosedahighscleralridgebesideOK?]theanomalousvessel.[WeconcludethatundetectedvesselsinICGareassociatedwithanatomicalchangesinhighmyopia.OK?i.e.,generalconclusion?]〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)C35(10):1415.1417,C2018〕Keywords:optociliaryvein,強度近視.optociliaryshunt,highmyopia.はじめに視神経乳頭縁で網膜静脈から脈絡膜循環へ交通する短絡路である網膜毛様静脈は,網膜静脈の分枝が視神経乳頭縁から脈絡膜静脈へ直接交通するCretinociliaryveinと,視神経乳頭上の網膜中心静脈の分枝部分から視神経乳頭縁を貫いて脈絡膜静脈へと注ぐCoptociliaryveinのC2通りがある1).正常の視神経乳頭においては網膜静脈と脈絡膜静脈を繋ぐ毛細血管が存在し,両者の圧は等しく保たれているが,後者のCoptociliaryveinは何らかの原因で網膜静脈圧が亢進することによりその毛細血管が拡張,可視化したものと考えられている.多くは網膜中心静脈閉塞症,髄膜腫,晩期緑内障などに合併するが2,3),これまでに強度近視に伴うCoptociliaryveinの報告は筆者らが調べた限りではC1例のみであった2).今回,強度近視眼に生じたCoptociliaryvein様の異常血管を有する症例を経験し,FA,ICGA,swept-sourceCopticalCcoherencetomography(SS-OCT)で詳細に観察したので報告する.CI症例症例はC65歳,男性.強度近視に伴う左眼視野障害の進行のため近医より当院強度近視外来に紹介となった.初時視力は右眼C0.7(1.0C×IOL×sph.2.00D(cyl.0.25DAx180°),左眼C0.1p(0.1C×IOL×sph.2.00D(cyl.0.25DAx180°),眼軸は右眼C32.4Cmm,左眼C31.5Cmmであった.両前眼部に異常なし,両眼内レンズ挿入眼であった.左眼の視神経乳頭中心部で上方の網膜中心静脈から分枝し乳頭耳側辺縁へ向か〔別刷請求先〕竹内弥生:〒113-8150東京都文京区湯島C1-45-5東京医科歯科大学医学部附属病院眼科Reprintrequests:YayoiCTakeuchi,DepartmentofOphthalmologyandVisualSciences,TokyoMedicalandDentalUniversityMedicalHospital,1-5-45Yushima,Bunkyo-ku,Tokyo113,JAPANC0910-1810/18/\100/頁/JCOPY(103)C1415図1左眼視神経乳頭周囲の画像所見a:カラー眼底写真.近視性視性コーヌスを伴う視神経乳頭が観察される.視神経乳頭耳側辺縁に網膜中心静脈から乳頭辺縁に走行する異常血管(.)を認める.Cb:FA.同異常血管(.)が造影されている.Cc:ICGA(脈絡膜静脈流入期).異常血管(.)は視神経乳頭中心部のみ造影され,過蛍光を認める.d:ICGA(網膜静脈流入期).異常血管(.)は,視神経乳頭の中心部より辺縁部へと造影されたが,視神経乳頭縁で途絶したようにみられる.い,視神経乳頭辺縁で途絶したように観察される血管を認めた(図1a).その視神経乳頭周囲には全周性の近視性コーヌスがみられ,視神経乳頭耳側には丈の高い強膜のCridgeを伴う広域の後部ぶどう腫が認められた.FAで網膜静脈流入期に同血管が造影され,蛍光漏出はみられなかった(図1b).ICGAで同異常血管は脈絡膜静脈流入期に視神経乳頭中心部のみ造影され,過蛍光を認めた後(図1c),網膜静脈流入期に視神経乳頭の中心部より辺縁へと造影されたが,視神経乳頭縁で途絶しており,その先は不明であった(図1d).SS-OCTでは視神経乳頭耳側の急峻な強膜Cridgeがみられ,ridgeの立ち上がりでは神経線維層の菲薄化と脈絡膜の欠如,乳頭内ピットが観察されたが,視神経乳頭辺縁で途絶したシャント血管の断面は撮影されていなかった(図2a).Gold-mann視野検査では中心暗点を認めた(図2b).CII考按網膜中心静脈の分枝が乳頭辺縁で脈絡膜血管へ吻合するシャント型の異常血管であるCoptociliaryveinは先天性のほか,網膜中心静脈閉塞症,髄膜腫,乳頭浮腫後,緑内障性視神経萎縮などでの合併の報告があり2,3),前述したように成因として,網膜静脈圧の亢進により元来存在した網膜静脈と脈絡膜血管に交通する毛細血管大のシャント血管が可視化し図2SS.OCTとGoldmann視野検査a:SS-OCTでは視神経乳頭耳側に急峻な強膜Cridgeを認める(.).ridge内側の神経線維層は菲薄化し,脈絡膜は欠如している.乳頭内にピットが観察される(C.)が,異常血管は捉えられていない.Cb:Goldmann視野検査ではCridgeによると思われる中心部暗点を認める.たものと考えられている.今までに強度近視眼での報告はMasuyamaらのC1例のみであり,これはCFAでの観察の報告であったが,強度近視眼の眼球伸長による何らかの網膜静脈還流障害がかかわっている可能性が考察されている2).ICGAでCoptociliaryveinを観察した報告は少ないが,Muci-Mendozaらは髄膜腫のC5症例において,ICGAでCoptocili-aryveinが視神経乳頭辺縁で脈絡膜静脈と吻合し,渦静脈へ流出する様子を報告している4).強度近視眼では,眼球の機械的伸展により視神経乳頭周囲の網膜静脈の高度な屈曲がみられることがある5)が,通常,走行が途絶したように観察されることはない.本症例は眼底所見とCFAにて視神経乳頭中心から乳頭辺縁の方向に血流が流れていることからはCoptociliaryveinであると考えられたが,ICGAで網膜静脈の描出前,つまり脈絡膜静脈相に視神経乳頭中心部の造影がみられた点と,視神経乳頭辺縁で脈絡膜静脈との吻合がみられず途絶しているように観察された点で,純粋に網膜静脈血が脈絡膜血流へ交通しているかどうか1416あたらしい眼科Vol.35,No.10,2018(104)が不明であった.網膜静脈相より早期の脈絡膜静脈相にシャント血管の視神経乳頭中心部位が造影され始める理由としては,①血流が網膜静脈由来である場合(同部位での網膜静脈の鬱滞により蛍光色素濃度が他の網膜静脈よりも高くなったために網膜静脈相よりも早期に染まった可能性),もしくは②血流が脈絡膜静脈由来である場合(ICGAでも脈絡膜毛細血管の残存している強膜Cridgeのない鼻側の脈絡膜静脈由来の血流が,顕在化していない短絡路を通って視神経乳頭中心部に集まっていた可能性)が考えられる.一方,異常血管がCICGAにおいても途絶したように観察された理由としては,以下のことが考えらえた.異常血管が途絶した乳頭耳側部位には急峻な強膜ridgeがCSS-OCTでみられ,ridge斜面では神経線維層と脈絡膜層が著明に菲薄化し,乳頭内ピットが観察された.得られたCSS-OCTの切片では血管の途絶部位にはピットの存在は確認できなかったが,ピットが多発している可能性はあり,ピットから眼外に走行しCridge下で強度近視によって後極に移動してきた渦静脈6)に交通した可能性はある.また,通常眼において,脈絡膜静脈から渦静脈を通らず,直接視神経鞘に注ぐ脈絡膜-視神経鞘の細静脈叢の短絡路であるCchoroid-pialshuntの存在が知られているが7),本症例でも同様の短絡路を通って,視神経鞘の細静脈叢へ流出した可能性も考えられる.視神経乳頭周囲の高度の構造変化を伴う症例では,視神経乳頭周囲網膜循環が障害されることにより,代償シャントであるCoptociliaryvein様の異常血管が形成されうることが示唆された.今回の症例では特徴的なCICGA所見を示したが,症例数が限られていたため,今後同様の症例を積み重ね長期の経過を追うことで,強度近視眼の視神経乳頭周囲の血行動態の変化とその成因について,さらに詳しく明らかにできると考えられる.文献1)ZaretCCR,CChoromokosCEA,CMeislerDM:Cilio-opticCveinCassociatedCwithCphakomatosis.COphthalmologyC87:330-336,C19802)MasuyamaY,KodamaY,MatsuuraYetal:Clinicalstud-iesConCtheCoccurrenceCandCtheCpathogenesisCofCoptociliaryCveins.JClinNeuroophthalmolC10:1-8,C19903)LeeCJJ,CYapEY:OptociliaryCshuntCvesselsCinCdiabetesCmellitus.SingaporeMedJC45:166-169,C20044)Muci-MendozaCR,CArevaloCF,CRamellaCMCetal:Optocili-aryCveinsCinCopticCnerveCsheathCmeningiomaCindocyanineCgreenCvideoangiographyC.ndings.COphthalmologyC106:C311-318,C19995)HayashiCW,CShimadaCN,CHayashiCKCetal:RetinalCvesselsCandhighmyopia.OphthalmologyC118:791,C20116)Ohno-MatsuiK,MorishimaN,ItoMetal:PosteriorroutesofCchoroidalCbloodCout.owCinChighCmyopia.CRetinaC16:C419-425,C19967)GordonR:PeripapillaryCvenousCdrainageCfromCtheCcho-roid:aCvariableCfeatureCinChumanCeyes.CBrCJCOphthalmolC81:76-79,C1997***(105)あたらしい眼科Vol.35,No.10,2018C1417

強度近視網膜分離症の硝子体手術成績と自然経過

2017年10月31日 火曜日

《原著》あたらしい眼科34(10):1459~1464,2017強度近視網膜分離症の硝子体手術成績と自然経過岩崎将典木下貴正宮本寛知今泉寛子市立札幌病院眼科CSurgicalOutcomeandNaturalCourseofRetinoschisisinHighlyMyopicEyesMasanoriIwasaki,TakamasaKinoshita,HirotomoMiyamotoandHirokoImaizumiCDepartmentofOphthalmology,SapporoCityGeneralHospital強度近視網膜分離症C20例C23眼について,内境界膜(ILM).離併用C25ゲージ(G)硝子体手術を行ったCPPV群(16眼)と未施行の経過観察群(7眼)に分けて,レトロスペクティブに治療成績を比較検討した.PPV群はベースライン小数視力C0.28であったが,最終視力C0.39となり有意に改善した(p=0.035).経過観察群ではベースライン小数視力C0.46が最終視力C0.43と有意な変化はみられなかった.最終受診時の中心窩網膜厚はCPPV群C143.1C.m,経過観察群460.3C.mとCPPV群のほうが有意に小さかった(p=0.0003).ILM完全.離を施行したC11眼中C3眼に術後黄斑円孔網膜.離が発症したが,中心窩CILMを残す術式(FSIP)を施行したC5眼には術後全層円孔が生じなかった.強度近視網膜分離症に対しCILM.離を併用した硝子体手術が視力や中心窩網膜厚の改善に有用であった.中心窩が菲薄化している症例ではCFSIPで術後全層円孔を予防する必要がある.Westudied23eyesof20patientswithmyopicretinoschisis(RS)C.Vitrectomywithinternallimitingmembrane(ILM)peelingCwasCperformedCinC16Ceyes;7CeyesCwereConlyCobserved.CTheCmeanCdecimalCbest-correctedCvisualacuity(BCVA)intheoperatedgroupsigni.cantlyimprovedfrom0.28(baseline)to0.39(.nalvisit;p=0.035)C,buttheCmeanCBCVACinCtheCnon-operatedCgroupCdidCnotCchangeCsigni.cantlyCduringCfollow-up.CTheCcentralCretinalthickness(CRT)intheoperatedgroupwassigni.cantlysmallerthanthatinthenon-operatedgroupat.nalvisit(143.1C.mand460.3C.m,respectively,p=0.0003)C.Macularholeretinaldetachmentdevelopedin3ofthe11eyesthatunderwentcompleteILMpeelingaftersurgery.Nomacularcomplicationsdevelopedin5eyesthatunderwentfovea-sparingILMpeeling(FSIP)C.TheseresultssuggestthatvitrectomywithILMpeelingimprovesvisualacuityandCRTineyeswithRS,andthatFSIPshouldbeperformedtopreventmacularcomplications.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)C34(10):1459~1464,C2017〕Keywords:網膜分離症,強度近視,黄斑円孔網膜.離,硝子体手術,自然経過.retinoschisis,highmyopia,mac-ularholeretinaldetachment,vitrectomy,naturalcourse.Cはじめに強度近視網膜分離症はC1958年にCPhillipsらによって黄斑円孔のない後極部網膜.離として初めて報告された1).その後,光干渉断層計(opticalCcoherenceCtomography:OCT)の開発によりその詳細な病態が報告されており2,3),強度近視眼における視力障害のおもな原因の一つとされている4).OCTでは網膜分離は網膜内層と外層が裂けた状態として認められるが,時間の経過とともに中心窩.離(fovealdetach-ment:FD),そして黄斑円孔網膜.離(macularholereti.naldetachment:MHRD)へと進行することが報告された5).治療法としては硝子体手術が広く行われており,内境界膜(internalClimitingCmembrane:ILM).離を併施することで網膜の伸展性が改善し,網膜の復位が得られるとの報告6)や,中心窩再.離が起きず最終視力も有意に改善したとの報告7,8)もあり,網膜分離症に対する有効性が示されている.さらに最近では,中心窩のCILMは.離せず,その周りをドーナツ状に.離する方法(foveaCsparingCILMCpeeling:FSIP)を行うことで術後全層円孔を予防する方法9)も報告されている.一方,自然経過において視力やCOCT所見があまり変化しないとの報告9)もあるため,一定の見解が得られて〔別刷請求先〕岩崎将典:〒060-8604北海道札幌市中央区北C11条西C13丁目C1-1市立札幌病院眼科Reprintrequests:MasanoriIwasaki,M.D.,DepartmentofOphthalmology,SapporoCityGeneralHospital,1-1Nishi13-Chome,Kita11Jo,Chuo-ku,SapporoHokkaido060-8604,JAPANいない.今回筆者らは市立札幌病院眼科を受診した強度近視網膜分離症例について,ILM.離を併用した硝子体手術を行ったCPPV群と,手術が行われなかった経過観察群とに分けて比較検討した.CI対象および方法2010年C4月~2016年C3月のC6年間に市立札幌病院眼科においてCOCTで強度近視網膜分離症と診断されC6カ月以上の自然経過を追えたC6例C7眼,および術後C6カ月以上の経過観察が可能であったC14例C16眼の計C20例C23眼を対象とした.強度近視の定義は,近視研究会がC2016年に示した等価球面値が-6.0D以上,または眼軸長C26.0Cmm以上に従った.視力に影響のある角膜混濁,弱視,中心窩を含む斑状網脈絡膜萎縮,黄斑円孔のある例は除外した.全症例の臨床経過を表1と表2に示す.男性C3例C5眼,女性C17例C18眼と女性が多く,平均年齢はC71.0C±8.9歳(54~83歳),平均観察期間はC30.2カ月(8~72カ月),ベースライン平均眼圧はC15.8C±2.5CmmHg(10~20mmHg)であった.有水晶体眼C18眼の平均等価球面屈折値はC-14.8±4.5D(C-5.9~C-22.3D)であった.眼軸長を測定したC18眼の平均眼軸長はC29.1C±1.5Cmm(26.6~30.8Cmm)であった.網膜分離以外の黄斑部併発病変は,網膜前膜C14眼(60.9%),分層円孔C10眼(43.5%),中心窩.離C8眼(34.8%)であった.経過中に硝子体手術を施行したCPPV群がC14例C16眼,手術を施行せず自然経過をみた経過観察群がC6例C7眼であった.これらの症例に対し視力測定や後極部のCOCT撮影をベースライン,3,C6,C12カ月後と最終受診時に施行した.また中心窩を通るCOCT水平断におけるCILMから網膜色素上皮の内縁までの距離を中心窩網膜厚(centralCretinalCthick.ness:CRT)と定義し,マニュアルキャリパー機能を用いて測定した.硝子体手術は全例C25ゲージシステムにより実施した.黄斑部の網膜前膜や硝子体皮質を除去し,全例でトリアムシノロンアセトニドもしくはブリリアントブルーCG(brilliantblueCG:BBG)を用いたCILM.離を併用した.ILM.離はILMを中心窩に残さない完全.離がC11眼,中心窩部分のILMを残す術式(FSIP)がC5眼であった.初回手術時にガスタンポナーデはC9眼に行った.内訳は空気がC2眼,20%CSFC6がC6眼,12%CSFC6がC1眼であった.有水晶体眼のC11眼には水晶体超音波乳化吸引術と眼内レンズ挿入術を併施した.これらの症例を,硝子体手術を施行したCPPV群と施行しなかった経過観察群に分けて,視力やCCRT,OCT所見に着目しレトロスペクティブに分析検討した.小数視力はすべてlogMAR値に換算して統計解析を行った.p<0.05を有意とした.CII結果両群間においてベースラインの視力,眼圧,性別,年齢,有水晶体眼の等価球面屈折値に統計学的な有意差は認めなかった(p≧0.05,FisherC’sCexactCtest,CMann-WhitneyCUCtest).視力について,PPV群ではベースラインの平均ClogMARは0.56(小数視力C0.28)であったが,最終C0.41(0.39)となり有意に改善した(p=0.035,Wilcoxonsigned-ranktest).一方,経過観察群ではベースラインの平均ClogMARはC0.33(0.46)であり,最終C0.36(0.43)と有意差はなかった(表3).また,ベースラインと最終視力を比較してClogMAR0.2以上の変化を改善もしくは悪化と定義した場合,表4に示すようにPPV群のほうが,最終視力が良好な傾向があった(p=0.067,Mann-WhitneyUtest).それぞれの群のCCRTの推移を図1に示す.ベースラインの平均CRTはPPV群518.9.m,経過観察群C335.1.mとPPV群のほうが大きい傾向がみられた(p=0.06,Mann-Whit.neyCUCtest).PPV群では術後C3カ月以降,有意にCCRTが減少した(p<0.01,WilcoxonCsigned-rankCtest).一方,経過観察群では有意なCCRTの変化はみられなかった.最終CRTはCPPV群C143.1C.m,経過観察群C460.3C.mとCPPV群のほうが有意に小さかった(p=0.0003,Mann-WhitneyCUtest).PPV群において全例で術中合併症は認めなかった.術後合併症はCMHRDをC3眼(18.8%)に認め,すべて初回手術後2週間以内に発症した.これらC3眼は術前からCFDを併発していた(図2).このうちのC1眼(6.3%)はCCC3F8ガスタンポナーデを用いた再手術で網膜は復位し,黄斑円孔は閉鎖した.残りのC2眼はシリコーンオイルタンポナーデを用いた再手術を施行し,約C1年後にシリコーンオイルを抜去した.このうちC1眼はシリコーンオイル除去時に黄斑プロンベ縫着を併施した.これらC2眼はともに網膜の復位を得たが,黄斑円孔は残存した.FSIPを施行したC5眼について,術後C6カ月までの経過の1眼に網膜分離の残存を認めているが,残りC4眼はすべて網膜分離が消失し黄斑円孔も発生しなかった.ベースラインの平均小数視力はC0.46であったが,最終C0.69と改善した.ベースラインの平均CCRTはC528.8C.mであったが,最終C149.0.mと有意に減少した(p=0.04,CWilcoxonCsigned-rankCtest).FSIPを施行した代表症例を図3に示す.術前は網膜分離と大きなCFDを認めていた.FSIPを併用した硝子体手術を施行し20%SFC6ガス置換とした.術後C2週間で網膜分離やFDは消失し術後C12カ月まで網膜分離の再燃なく最終視力(1.0)であった.最終COCT所見は,PPV群ではC15眼(93.8%)で網膜分離は消失し,1眼(6.3%)で網膜分離が残存した.網膜分離消表1PPV群の臨床経過ベースラインフォローアップC分離等価球面眼軸CRT観察最終最終C消失No.性別年齢視力屈折値長C(.m)COCT期間ILM.離ガス術後合併症出現時期・内容・手術視力CRT最終COCT期間(.m)(月)C1CMC78C0.6CIOLC30.8C1281CRSFDERMC15CFSIP20%CSFC6なしC1.0C85RS(-)MH(-)C0.5C2CMC78C0.6CIOLC30.5C166RS分層円孔C15CFSIP20%CSFC6なしC0.5C112RS(-)MH(-)C7C3CFC71C0.4C-17.9C30.3C399RS分層円孔ERMC17CFSIP12%CSFC6なしC0.9C250CRSC4CFC66C0.2CIOLC27.3C505RS分層円孔C10CFSIP20%CSFC6なしC0.6C178RS(-)MH(-)C10C5CFC74C0.7CIOLC28.2C293CRSFDERMC16CFSIPCAIRなしC0.6C120RS(-)MH(-)C16C6CFC83C0.1C-10.3C27.8C699CRSFDC29完全.離なしなしC0.09C188RS(-)MH(-)C6C2Cw後CMHRDPPV2+C3F812%7CFC67C0.15C-5.9C28.7C1014RSFD分層円孔ERMC18完全.離なし1M後CMHRDPPV3+SO0.09CMHC2C11M後CPPV4+SO抜去+黄斑プロンベC8CFC66C0.15CIOLC28.7C368CRSERMC29完全.離CAIRなしC0.15C80RS(-)MH(-)C7C2w後CMHRDでCPPV2+SO9CFC70C0.1C-22.3C30.7C475CRSFDC72完全.離20%CSFC612M後CPPV3+SO抜去C0.1CMHC23C10FC760.5C-10.5C30.4C377RS分層円孔ERMC12完全.離なしなしC1.0C169RS(-)MH(-)C5C11FC790.2C-10.9C26.6C529CRSC25完全.離なしなしC0.6C124RS(-)MH(-)C8C12FC790.2C-13.4C27.4C433CRSC25完全.離なしなしC0.5C116RS(-)MH(-)C14C13CFC790.1C-11.1C26.6C421RSFD分層円孔C50完全.離20%CSFC6なしC0.2C92RS(-)MH(-)C8C14FC560.6C-17.6C30.8C411RS分層円孔ERMC31完全.離20%CSFC6なしC0.4C122RS(-)MH(-)C11C15FC650.4C-14.4C29.5C310RS分層円孔ERMC8完全.離なしなしC1.0C184RS(-)MH(-)C7C16MC540.6C-19.5C29.9C621CRSFDERMC12完全.離なし2w後CMHRD+RS0.7C183RS(-)MH(-)C11100%CCC3F8硝子体注射C平均値C71.3C0.28C-14.0C29.0C518.9C24.0C0.39C143.1C9.0M:male,男性,F:female,女性,IOL:intraocularlens眼内レンズ挿入眼.RS:retinoschisis網膜分離,ERM:epiretinalmembrane網膜前膜,FD:fovealdetachment網膜.離,MH:macularhole黄斑円孔,MHRD:macularholeretinaldetachment黄斑円孔網膜.離,SO:siliconeoilシリコーンオイル,FSIP:foveasparingILMpeeling.表2経過観察群の臨床経過ベースラインフォローアップCNo.性別年齢視力等価球面屈折値眼軸CCRT(C.m)COCT観察期間最終視力最終CCRT(C.m)最終COCTC17C18C19C20C21C22C23CFCFCFCFCMCMCFC82C60C69C54C78C78C67C0.4C0.6C0.4C0.4C0.3C0.8C0.5C-13.0C-21.8-19.0-11.3-14.0-17.0-17.429.6C未測定C未測定C未測定C未測定C未測定C未測定C268C487302413409191276CRSCRS分層円孔ERMCRS分層円孔ERMCRSERMCRSFDERMCRSERMCRSC32C60C24C70C44C44C37C0.5C0.4C0.4C0.8C0.15C0.5C0.6C429C520349511369734310CRSCRS分層円孔ERMCRS分層円孔ERMCRSERMCRSFDERMCRS分層円孔CERMCVMTSCRSC7C69.7C0.46C-16.2C29.6C335.1C44.4C0.43C460.3M:male男性,F:female女性.RS:retinoschisis網膜分離,ERM:epiretinalCmembrane網膜前膜,FD:fovealCdetachment網膜.離,VMTS:vitreomacularCtrac.tionsyndrome.表3ベースラインと最終受診時の平均視力ベースライン最終受診時p値平均観察期間(月)平均ClogMAR0.560.410.035*PPV群(n=16)小数視力(範囲)C0.28(0.1~0.7)C0.39(0.09~1.0)C24.0平均ClogMAR0.330.36経過観察群(n=7)小数視力(範囲)C0.46(0.3~0.8)C0.43(0.15~0.8)C0.675C44.4*CPPV群の最終視力はベースラインと比較して有意に改善した.Wilcoxonsigned-ranktest,p<0.05.表4ベースラインと最終受診時の視力変化改善不変悪化PPV群(n=16)8眼(50.0%)C7眼(43.8%)C1眼(6.3%)Cp=0.067*経過観察群(n=7)C1眼(14.3%)C4眼(57.1%)C2眼(28.6%)ベースラインと比較しClogMAR0.2以上の変化を改善,もしくは悪化と定義した.*CPPV群のほうが視力予後良好な傾向があった.Mann-WhitneyUtest.失までに要した期間は平均C9.0カ月であった.また,2眼(11.8%)で黄斑円孔が残存した.一方,経過観察群ではC7眼中C7眼(100%)がC2年以上経過した後にも網膜分離が残存していた.CIII考按強度近視網膜分離症はしばしば緩徐な経過をたどるが,平均C31.2カ月でC68.9%が視力低下したとの報告5)や,平均15.7カ月の観察期間でC28.5%が視力低下や変視にて手術を必要としたとの報告11)もある.また,自然経過において網膜分離が改善することは少なく,徐々に網膜分離は広範囲に広がり分離の程度も悪化してゆく.その後しばしばCMHRDに進行し,その予後はきわめて不良となる10,12,13).本症例においても経過観察群のうちC2眼(28.6%)はベースラインと比較した最終視力のClogMARはC0.2以上の悪化をきたしていた.これに対し,PPV群において悪化はC1眼(6.3%)のみで,8眼(50.0%)が最終的にClogMARC0.2以上の改善を得た(表4).また,表3に示したようにCPPV群は最終視力も有意に改善した.このように強度近視網膜分離症においてCILM.離を併用した硝子体手術を行うことは視力の改善に有用と思われる.また,網膜分離に対しては経過観察群の全例で平均C44.4カ月後も最終的に網膜分離は残存し,CRTはベースラインのC355.1C.mから最終C460.3C.mとなり,悪化傾向がみられた(p=0.063).一方,PPV群のC15眼(93.8%)で網膜分離は消失しCCRTはベースラインC518.9.mが術後C3カ月で194.4C.mまで有意に改善し,最終的にC143.1C.mとなった.さらに,最終CCRTは経過観察群に比べCPPV群で有意に小さかった(p=0.0003).以上から,ILM.離を併用した硝子体手術は網膜分離を消失,改善させることに有効であり,網平均CRT(.m)PPV群経過観察群500600■400★★300★★200★★1000ベースライン3M6M12M最終n=23n=18*n=21*n=17*n=21*図1中心窩網膜厚(CRT)の推移■ベースラインCCRTはCPPV群のほうが経過観察群より大きい傾向がみられた.p=0.06,Mann-WhitneyUtest.★CPPV群のCCRTはベースラインと比較してC3カ月以降有意に低下した.p<0.01,Wilcoxonsigned-ranktest.★★最終CCRTはCPPV群のほうが経過観察群より有意に小さかった.p=0.0003,Mann-WhitneyUtest.*術後に黄斑円孔が残存したC2眼は除外した.C図3FSIPを施行した代表症例(症例CNo1)上:術前OCT.大きな中心窩.離(★)と網膜分離を認める.中:術後C2週のCOCT.PPV+FSIP+20%CSFC6置換を施行し術後2週で復位した.下:術後C12カ月のCOCT.網膜分離の再燃もなく視力(1.0)であった.C膜分離が持続することによる視力低下を防止することができると考えられた.ただし,硝子体手術には合併症があり,FDがある症例では,とくに術後にCMHRDになる可能性が高いとされてい図2術後にMHRDを生じた3例の術前OCTa:症例CNo9.シリコーンオイル使用するも最終的にCMHが残存した症例.Cb:症例CNo16.CC3F8使用によりCMHは閉鎖した.Cc:症例CNo7.2度CMHRDをきたし黄斑プロンベを施行.最終的に網膜は復位し,MHは残存.★:中心窩.離(FD)を認め中心窩は菲薄化している.このような症例には中心窩のCILMを残す術式(FSIP)が望ましい.Cる14).今回の症例でも術前からCFDを認めていたC7眼中C3眼に術後CMHRDが発生し,これらはすべてCILMを完全.離した症例であった.このうちC2眼は最終的に黄斑円孔が残存した.これら黄斑円孔が残存したC2眼は最終視力も不良であった(表1).このようにCFDに伴い,中心窩の網膜が菲薄化している症例においては,完全なCILM.離は術後に全層円孔を生じる危険性がある.ShimadaらはCFDを併発した強度近視網膜分離症C15眼に対しCFSIPを行うことで術後全層円孔が発生しなかったと報告している9).HoらもC12例の強度近視網膜分離症(うちC7例はCFD併発)にCFSIPを施行した結果,術後全層円孔がC1例もなく,視力低下もなかったと報告している15).今回の検討においても,FSIPを施行した5眼(うちC2眼はCFD併発)は術後全層円孔がみられず,最終視力も全例で(0.5)以上であった.以上から,FDを伴う症例においてはCFSIPを施行することが望ましいと思われた.強度近視網膜分離症に対してCILM.離を併用した硝子体手術を施行し,黄斑形態の改善や,視力およびCCRTの有意な改善を得た.したがって,本術式は強度近視網膜分離症の治療に有用であると思われた.しかしながら,FDを伴い中心窩が菲薄化している症例ではCFSIPによって術後全層円孔を予防する必要がある.本研究は後ろ向き検討であり,症例数も少ないため,今後のさらなる検討が必要と思われる.文献1)PillipsCCI:RetinalCdetachmentCatCtheCposteriorCpole.CBrJOphthalmolC42:749-753,C19582)TakanoCM,CKishiCS:FovealCretinoschisisCandCretinalCdetachmentinseverelymyopiceyeswithposteriorstaph-yloma.AmJOphthalmolC128:472-476,C19993)BenhamouN,MassinP,HaouchineBetal:MacularretiC-noschisisCinChighlyCmyopicCeyes.CAmCJCOphthalmolC133:C794-800,C20024)GohilCR,CSivaprasadCS,CHanCLTCetCal:MyopicCfoveoschi-sis:aclinicalreview.EyeC29:593-601,C20155)GaucherCD,CHaouchineCB,CTadayoniCRCetCal:Long-termfollow-upofhighmyopicfoveoschisis:naturalcourseandsurgicaloutcome.AmJOphthalmolC143:455-462,C20076)IkunoCY,CSayanagiCK,COhjiCM:VitrectomyCandCinternalClimitingCmembraneCpeelingCforCmyopicCfoveoschisis.CAmJOphthalmolC137:719-724,C20047)TaniuchiS,HirakataA,ItohYetal:VitrectomywithorwithoutinternallimitingmembranepeelingforeachstageofCmyopicCtractionCmaculopathy.CRetinaC33:2018-2025,C20138)IkunoCY,CSayanagiCK,CSogaCKCetCal:FovealCanatomicalCstatusCandCsurgicalCresultsCinCvitrectomyCforCmyopicCfoveoschisis.JpnJOphthalmolC52:269-276,C20089)ShimadaCN,CSugamotoCY,COgawaCMCetCal:FoveaCsparingCinternalClimitingCmembraneCpeelingCforCmyopicCtractionCmaculopathy.AmJOphthalmolC154:693-701,C201210)ShimadaN,TanakaY,TokoroTetal:NaturalcourseofmyopicCtractionCmaculopathyCandCfactorsCassociatedCwithCprogressionCorCresolution.CAmCJCOphthalmolC156:948.957,C201311)AmandaR,IgunasiJ,XavierMetal:NaturalcourseandsurgicalCmanagementCofChighCmyopicCfoveoschisis.COph.thalmologicaC231:45-50,C201412)島田典明,大野京子:強度近視網膜分離症アップデート.眼科C56:499-504,C201413)廣田和成:強度近視網膜分離症の手術適応.眼科C56:C1433-1437,C201414)HirakataA,HidaT:Vitrectomyformyopicposteriorret.inoschisisCorCfovealCdetachment.CJpnCJCOphthalmolC50:C53-61,C200615)HoCT,CYangCM,CHuangCJCetCal:Long-termCoutcomeCofCfoveolarCinternalClimitingCmembraneCnonpeelingCforCmyo.pictractionmaculopathy.RetinaC34:1833-1840,C2014***

強度近視として経過観察されていた完全型先天停在性夜盲の1例

2015年9月30日 水曜日

《原著》あたらしい眼科32(9):1355.1358,2015c強度近視として経過観察されていた完全型先天停在性夜盲の1例福永とも子松宮亘中村誠神戸大学大学院医学研究科外科系講座眼科学分野ACaseofCompleteCongenitalStationaryNightBlindnessDiagnosedasHighMyopiaTomokoFukunaga,WataruMatsumiyaandMakotoNakamuraDivisionofOphthalmology,DepartmentofSurgery,KobeUniversityGraduateSchoolofMedicine完全型先天停在性夜盲の1例を経験したので報告する.症例は35歳,男性.既往歴として両眼強度近視による屈折弱視と小学生の頃からの夜盲.家族歴として夜盲と強度近視がある.現症として視力は右眼(0.4×.23D),左眼(0.3×.20D).眼軸長は右眼28.97mm,左眼28.78mm.眼軸長に比べ近視が強く,説明のつかない強度近視を呈していた.錐体一相型の暗順応を示し,錐体ERG(網膜電図)では良好な反応を示したが,全視野ERGでは陰性波形とb波の消失があり,杆体反応・律動小波・長時間刺激によるon応答の消失がみられた.以上の杆体機能中心の障害とon型双極細胞の機能不全と臨床症状より,完全型先天停在性夜盲と診断した.眼軸長に見合わない強度近視を呈する症例には,完全型先天停在性夜盲が潜んでいる可能性があるため,網膜電図などの電気生理学的な検査の施行を考慮すべきである.A35-year-oldmanpresentedwithrefractiveamblyopiawithhighmyopiaandnightblindnessfromelementaryschoolageandfamilyhistoryofhighmyopiaandnightblindness.Uponexamination,hisrespectivebest-correctedvisualacuityandaxiallengthwere0.4with.23.0diopters(D)sphericalequivalentand28.97mmintherighteyeand0.3with.20.0Dsphericalequivalentand28.78mminthelefteye.Hishighmyopiawasnotrelatedtoaxiallength.Electroretinography(ERG)testingrevealeddisappearanceoftheb-waveresultinginanegativeshape,rodresponse,oscillitatorypotentialwaves,andon-responsebylong-durationflashERG.Wesubsequentlydiagnosedthepatientascompletecongenitalstationarynightblindness(CSNB)duetotheabsenceofrodfunction,dysfunctionoftheON-bipolarcell,andhisclinicalmanifestation.Thefindingsofthisstudyshowthatincasesofhighmyopiaunrelatedtoaxiallength,electrophysiologicaltesting,suchasanERG,shouldbeperformedinordertopreventmisdiagnosingCSNB.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)32(9):1355.1358,2015〕Keywords:完全型先天停在性夜盲,強度近視,錐体一相型暗順応,網膜電図,on型双極細胞.completetypeofthecongenitalstationarynightblindness,highmyopia,cone-monophasicdarkadaptation,electroretinogram,onbipolarcell.はじめに眼底が正常でありながら,網膜電図が陰性型を示す疾患として先天停在性夜盲がある1,2).杆体機能が消失した完全型と杆体機能が残存した不全型に分類され,完全型は,on型双極細胞機能不全があるため夜盲を訴える2,3).強度近視を伴うため,幼少時に近視性弱視として経過観察される例もあり,見逃しやすい疾患である.この度,網膜電図が鑑別に有用であった1例を経験したので報告する.I症例患者:35歳,男性.主訴:両眼の夜盲,視力低下.既往歴:なし.現病歴:小学時より両眼視力不良で,暗いところが見えに〔別刷請求先〕福永とも子:〒650-0017兵庫県神戸市中央区楠町7-5-1神戸大学大学院医学研究科外科系講座眼科学分野Reprintrequests:TomokoFukunaga,DivisionofOphthalmology,DepertmentofSurgery,KobeUniversityGraduateSchoolofMedicine,7-5-1Kusunoki-cho,Chuo-ku,KobeCity,Hyogo650-0017,JAPAN0910-1810/15/\100/頁/JCOPY(127)1355 図1両眼底写真左:右眼,右:左眼.図2OCT画像上段:右眼,下段:左眼.くく,中学時は視力(0.7)だった.弱視のため視力が上がることはないといわれ,その後,通院を自己中断.3年前より視力低下が進行したため,2013年1月7日神戸大学病院を受診した.家族歴:患者の父方の祖父母は近親婚(従妹婚であるかどうかは不明).祖父・父・叔父・兄は夜盲と強度近視あり.父は緑内障で点眼加療中である.初診時所見:VD=0.01(0.4×.23.0D(cyl.2.0DAx30°)VS=0.01(0.3×.20.0D(cyl.1.5DAx170°)眼軸長は右眼28.97mm,左眼28.78mm.眼圧は両眼ともに14mmHgと正常範囲内,前眼部および中間透光体の異常はなし.眼底は,豹紋状眼底で,近視性視神経乳頭を呈し,1乳頭径以上の乳頭周囲脈絡網膜萎縮巣がみられた(図1).検査所見:光干渉断層計(OCT)ではellipsoidzoneは鮮明で,網膜内層構造も保たれていた(図2).Goldmann視野計で不規則な耳側視野狭窄がみられた.暗順応最終閾値は上図3暗順応の結果上段:正常対照,下段:本症例.矢印:Kohlraush屈曲点.昇しており,Kohlrausch屈曲点は消失し,錐体応答を示す1次曲線のみみられた(図3).網膜電図(ERG):トロピカミド,フェニレフリン塩酸塩点眼で両眼を極大散瞳し,30分間の暗順応後,メーヨー社製のBrain-Allen型電極(LED電極EW-102)を用い,国際臨床視覚電気生理学会のプロトコールに従って刺激し,日本光電社製NeuropackMEB-9104を用いて記録した.杆体系・混合応答を記録,10分間の明順応後,錐体応答(単一刺激・30Hzフリッカ刺激)ならびに長時間刺激ERGを記録した.多局所ERGは,VERISScienceを用いて記録した.錐体応答は単一刺激ならびに30Hzフリッカ刺激とともに良好な反応を示したが,混合応答では陰性波形と律動小波の消失,杆体応答は消失していた(図4).長時間刺激を用いて記録した錐体応答では,b波の消失と1356あたらしい眼科Vol.32,No.9,2015(128) A100μV100μVBD図4全視野ERGいずれも左:正常対照,右:本症例.A:錐体応答(単一刺激).症例では律動小波はみられず,b波の振幅はやや減弱しているも,正常波形に近い.B:錐体応答(フリッカ刺激).ほぼ正常波形を呈している.C:混合応答.症例では陰性波形を呈している.D:杆体応答.症例では消失している.d波の増大,すなわちon応答の消失がみられた(図5).多局所ERGでは局所的に応答密度の非特異的な低下を示した(図6).II考按この症例は,強度近視による両眼屈折弱視として経過観察されていたが,小児期から夜盲を自覚していた若年男性である.家族には夜盲のある兄弟や親戚があり,強度近視家系で,症例は網膜の器質的異常はなかったため,先天停在性夜盲を疑い,電気生理的検査を施行した.暗順応計にて錐体一相型の暗順応を示し,ERGの混合応答での陰性波形と律動小波の消失,杆体応答の消失,錐体応答の温存,長時間刺激ERGにて,b波の消失とd波の増大がみられた.以上より,錐体機能の保持と杆体機能・on型双極細胞機能不全が存在することが示され,完全型先天停在性夜盲と確定診断した1.3).完全型先天停在性夜盲はかつてSchubert-Bornschein型と一括されていた先天停在性夜盲の亜型を,三宅らが電気生理学的検査,とりわけ長時間刺激錐体ERGで完全型と不全型に区分したものである1.3).その後,完全型先天停在性夜盲の原因遺伝子として,現在まで5つの遺伝子(NYX,GRM6,TRPM1,GPR179,LRIT34.7))が発見されている.これらの遺伝子はすべて視細胞からon型双極細胞への信号伝達あるいはシナプス形成に関係する遺伝子であることがわかっている.これらの遺伝子に異常があると,視細胞からon型双極細胞に信号が伝達されないために,患者は杆体機能を失い,重症の夜盲を呈することが知られている.臨床的には強度近視を呈するもの(129)100μV100μV図5長時間ERG左:正常対照,右:本症例.症例では,a波とd波は検出されるが,b波は検出されない.d波は逆に強調されている(矢印).図6多局所ERG左:3Dプロット,右:波形一覧.上段:右眼,下段:左眼.両眼とも応答密度の減弱を認める.の,眼底は近視性変化以外には特異的変化がなく,OCTでも網膜外層の異常が検出されない.このため,原因不明の視力低下ないしは,本症例のように強度近視による屈折弱視と見誤られることがある.今回筆者らは,完全型先天停在性夜盲の患者から多局所ERGを記録した.その結果,全体的に振幅はよく保たれていたものの,振幅が低下している部分もみられた.これについては,強度近視に伴う網脈絡膜萎縮によるものと考えられた.完全型先天停在性夜盲の多局所ERGについては,過去にKondoら8)の報告があり,潜時は若干遅れるものの,振幅は全体的によく保たれていると述べており,筆者らの症例の所見もこれに一致していると考えられた.このように,眼軸長に不釣り合いな強度近視症例においては,問診にて夜盲の存在を確認し,積極的に電気生理学検査を行って確定診断を行うべきと考えられた.文献1)MiyakeY,YagasakiK,HoriguchiMetal:Congenitalstationarynight-blindnesswithnegativeelectroretinogram.Anewclassification.ArchOphthalmol104:1013-1020,19862)三宅養三:あたらしい疾患概念の確立─先天停在性夜盲のあたらしい眼科Vol.32,No.9,20151357 完全型と不全型.日眼会誌106:737-755,20023)MiyakeY,YagasakiK,HoriguchiMetal:On-andoff-responsesinphotopicelectroretinogramincompleteandincompletetypesofcongenitalstationarynightblindness.JpnJOphthalmol31:81-87,19874)DryjaTP,McGeeTL,BersonELetal:NightblindnessandabnormalconeelectroretinogramONresponsesinpatientswithmutationsintheGRM6geneencodingmGluR6.ProcNatlAcadSciUSA102:4884-4889,20055)AudoI,KohlS,LeroyBPetal:TRPM1ismutatedinpatientswithautosomal-recessivecompletecongenitalstationarynightblindness.AmJHumGenet85:720729,20096)AudoI,BujakowskaK,OrhanEetal:Whole-exomesequencingidentifiesmutationsinGPR179leadingtoautosomal-recessivecompletecongenitalstationarynightblindness.AmJHumGenet90:321-330,20127)ZeitzC,JacobsonSG,HamelCPetal:Whole-exomesequencingidentifiesLRIT3mutationsasacauseofautosomal-recessivecompletecongenitalstationarynightblindness.AmJHumGenet92:67-75,20138)KondoM,MiyakeY,KondoNetal:MultifocalERGfindingsincompletetypecongenitalstationarynightblindness.InvestOphthalmolVisSci42:1342-1348,2001***1358あたらしい眼科Vol.32,No.9,2015(130)

大阪大学病院での近視性中心窩分離症における中心窩形態の特徴

2011年5月31日 火曜日

0910-1810/11/\100/頁/JCOPY(137)739《原著》あたらしい眼科28(5):739.741,2011cはじめに中心窩分離症(myopicfoveoschisis:MF)は中高年女性に好発し,強度近視に伴う後極部の非裂孔原性網膜分離,.離を主徴とする疾患で,最初Phillipsらによって1953年,黄斑円孔のない近視性後極部網膜.離として報告された1).その後光干渉断層計(opticalcoherencetomography:OCT)の発達によって,より詳細な観察が可能となり2),今では多くの形態的なサブタイプがあることが報告されている.Benhamouらは中心窩分離症の中心窩形態として,中心窩.離型(fovealdetachment),分層円孔型(lamellarhole),そして.胞型(cystic)の3種があると報告した3).中心窩分離に対して硝子体手術が有効であることはすでに報告されている4.7)が,筆者らは手術成績を基に視細胞が網膜色素上皮より.離している中心窩.離型(fovealdetachment)とまだ.離していない網膜分離型(retinoschisis)の2つに分類し,前者のほうが硝子体手術による視力改善が大きく,より手術に適するのではないかと考察した8).中心窩分離の成因として,硝子体牽引,黄斑前膜の形成,内境界膜や網膜血管の非伸展性や後部ぶどう腫の形成が考えられている9,10).また,放置すると黄斑円孔を形成したり網〔別刷請求先〕十河薫:〒665-0832宝塚市向月町15-9宝塚第一病院眼科Reprintrequests:KaoriSoga,M.D.,DepartmentofOphthalmology,Takarazuka-DaiichiHospital,15-9Kozuki-cho,Takarazuka,Hyogo665-0832,JAPAN大阪大学病院での近視性中心窩分離症における中心窩形態の特徴十河薫佐柳香織生野恭司大阪大学大学院医学系研究科眼科学教室FovealAnatomicalProfileofMyopicFoveoschisisinHighMyopiaClinicofOsakaUniversityHospitalKaoriSoga,KaoriSayanagiandYasushiIkunoDepartmentofOphthalmology,OsakaUniversityGraduateSchoolofMedicine強度近視に続発する中心窩分離症症例の形態的特徴を検討した.対象は2000年から2005年の間に大阪大学病院強度近視外来を受診している強度近視に続発した中心窩分離症症例52例63眼である.強度近視の定義は等価球面屈折値が.8ジオプトリー以上または眼軸長26mm以上とした.症例の内訳は男性8例10眼,女性44例53眼で,どの年齢層でも女性が多かった.平均年齢は62.1歳で,60歳代が最も多かった.平均眼軸長は28.9mmであった.両眼性は11例,片眼性は41例で,形態分類の内訳は中心窩.離型が34眼(65%)で最も多く,続いて分層円孔型20眼(38%),.胞型9眼(17%)であった.視力は中心窩.離型が最も悪く,続いて分層円孔型,.胞型の順であったが,眼軸長については3者で大きな差はみられなかった.外来受診する中心窩分離症の多くは60歳代の女性かつ,中心窩.離型が多い.ThefovealanatomicalprofileofmyopicfoveoschisiswasinvestigatedatthehighmyopiaclinicofOsakaUniversityHospitalbetween2000and2005.Subjectscomprised63eyesof52patients(8male,44female;meanage,62.1years;meanaxiallength,28.9mm).Theconditionwasbilateralin11patientsandunilateralin41patients.Ofthe63eyes,18(28%)werefovealdetachmenttype,29(46%)wereretinoschisistypeand16(25%)weremacularholetype.Visualacuitywasworstinmacularholetype,althoughtheaxiallengthwassimilar.About80%ofmacularholeandfovealdetachmenttypeeyesunderwentvitrectomy,ascomparedto50%ofretinoschisistypeeyes.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)28(5):739.741,2011〕Keywords:強度近視,中心窩分離症,硝子体手術,光干渉断層計.highmyopia,myopicfoveoschisis,vitrectomy,opticalcoherencetomography.740あたらしい眼科Vol.28,No.5,2011(138)膜.離に至る11)ことから,それ以前に予防的に硝子体手術が盛んに行われている.黄斑円孔を併発していない場合,手術予後はおおむね良好であるが,黄斑円孔を併発してしまった場合,閉鎖率が低いことから,手術成績は著しく悪い12).中心窩分離症は網膜分離から中心窩.離を併発し,最終的に中心窩が菲薄化して黄斑円孔になると考えられているが,これらの事情から黄斑円孔になるまでに手術を行うのが理想とされている9).中心窩分離症はこのように強度近視にとって大きな脅威であるが,頻度が低いことから疾患の詳細な情報は得られていない.本稿では,大阪大学病院(以下,当院)強度近視外来を受診した中心窩分離症症例を分析しその傾向を検討した.I対象および方法対象は2000年から2005年の間に当院強度近視外来を初診で受診している強度近視に続発した中心窩分離症症例52例63眼である.すでに他院で手術や光線力学的療法など加療をされているもの,脈絡膜新生血管など他の黄斑疾病を合併しているもの,そして極度の網脈絡膜萎縮をきたしている症例は除外した.強度近視の定義は等価球面屈折値が.8ジオプトリー以上または眼軸長26mm以上とした.これら症例の視力や症例の状態を後ろ向きに診療録やOCTイメージを調査,検討した.中心窩分離症は,中心窩のOCTイメージの状態からBenhamouの分類に従い,以下のように分類した.中心窩.離をきたしているもの(fovealdetachment:FD),分層円孔となっているもの(lamellarhole:LH),.胞様変化をきたしているもの(cystic:CT)とした.また,血管アーケードを超えるような網膜.離および明らかな黄斑前膜症例は除外した.II結果症例の内訳は男性8例10眼,女性44例53眼であった.平均年齢は62.1歳で,平均眼軸長は28.9mmであった.年齢別にみると40歳代は6例(12%),50歳代は13例(25%),60歳代は22例(42%),70歳代は11例(21%)であった.両眼性は11例,片眼性は41例で,形態分類の内訳は中心窩.離型が34眼(65%)で最も多く,続いて分層円孔型20眼(38%),.胞型9眼(17%)であった.また,初診時すでに黄斑円孔を併発していたものが26眼(50%)あった.年代別の男女構成を図1に示す.40歳代を除き男性の割合は10.20%であった.これは年齢にかかわらず,症例のほとんどを女性が占めるということである.つぎにFD,LH,およびCTの各タイプ別における視力の分布を図2に示した.FDが最も悪く,0.1未満の症例が40%前後と最も多くを占め,また0.4以上の症例が20%前後と3タイプのなかで最も少なかった.最も良好であったのはCTタイプで,ほとんどの症例が0.4以上の視力を有していた.LHタイプはFDとCTの中間のような視力分布であった.つぎに眼軸長が測定可能であった29眼について,タイプTotaln=5270~n=1160~69n=2250~59n=1340~49n=60%20%40%60%80%100%■:男性■:女性図1年齢別にみた男女の比率Totaln=29CTn=3LHn=10FDn=16■:28mm未満■:28mm以上30mm未満■:30mm以上0%20%40%60%80%100%図3FD(中心窩分離型),LH(分層円孔型)およびCT(.胞型)の眼軸長分布Totaln=63CTn=9LHn=20FDn=34■:0.1未満■:0.1~0.3■:0.4以上0%20%40%60%80%100%図2FD(中心窩分離型),LH(分層円孔型)およびCT(.胞型)の矯正視力分布Totaln=63CTn=9LHn=20FDn=34■:手術施行例■:手術非施行例0%20%40%60%80%100%図4FD(中心窩分離型),LH(分層円孔型)およびCT(.胞型)の手術施行例.非施行例の割合(139)あたらしい眼科Vol.28,No.5,2011741別にその分布を調査した(図3).FD,LHタイプともに眼軸長28mm未満の症例が50%程度,30mmを超える症例が30%程度でその分布は非常に類似していた.CTは唯一30mm以上の症例がなかったが,今回は3症例の検討であった.手術の施行と非施行の割合を調査したところ,FDが最も手術されている割合が高く約70%の症例に手術が施行されていた(図4).一方でLHとCTには40.50%前後にしか手術は施行されていなかった.III考按今回は当院強度近視外来を受診中の中心窩分離症症例の特に中心窩の形態を検討した.今までに病院ベースで中心窩分離のプロファイルを調査した統計はなく,そのため詳細な比較検討はむずかしいが,FD,LH,CTの3群に分類した場合,Benhamouら3)はCTが10眼,LHが6眼そして,FDが6眼と報告している.今回は少しこれらと異なるが,当院でみられる中心窩分離のほとんどがFDであった.FDは,視力改善という点では,中心窩分離のなかでも最も硝子体手術に適するとされており,このように手術が必要とされるサブタイプであるFDが多く来院することは眼科医として肝に銘じておくべきである.中心窩分離症を放置した場合,2,3年のうちに約半数が黄斑円孔や網膜.離を発症するとされている11).強度近視における黄斑円孔は,特に網膜分離を伴った場合,予後が悪いため12),黄斑円孔が生じる前に硝子体手術を行い,その予防的措置を行うことが重要である.特にFDでは,網膜.離のために,中心窩が薄くなっており,経過観察中に黄斑円孔発症の可能性が高いと考えられる.したがって外来診療においては,このように黄斑円孔のリスクの高い患者が多く診療に訪れることを知っておくべきであろう.今回の調査では中心窩分離の症例は40歳代から70歳代に分布していた.中心窩分離は後部ぶどう腫の発症に従って生じるとされていることから,ある程度近視が進行して後部ぶどう腫が形成される年齢に達していることが必須であると考えられる.どの年齢においても女性が優位であったが,40歳代のみやや男性が多い傾向があった.近視も一般に女性が多いとされている.しかしながら,この場合40歳代が6例と少ないため,40歳代だけ比率が異なるか否かの判断は注意を要すると考えられる.FDで視力が一番不良であったのは,網膜.離に伴う視細胞の障害が最も顕著であるからと考えられる.LH,CTともに視力の低下している症例はあったが,FDほどの低下はみられなかった.中心窩分離においては,分離でも網膜障害が生じるが,視力という面ではやはり,中心窩視細胞の.離の有無が大きく関係するものと考えられる.実際筆者らの検討でも,中心窩.離がある症例のほうが,ない症例よりも視力が悪い8).また,硝子体手術においても,中心窩.離がある症例のほうが,ない症例よりも視力の回復が良好であることが報告されており8),治療では視細胞の救済が非常に重要であることを示唆するものである.これと関連して,手術された症例の割合はFDが最も高かった.これはFDが最も手術的に回復することが可能であること,視力不良の症例が多くを占め,手術を勧めやすいことが考えられる.最後にこれはあくまで病院における後ろ向き検討であるので,必ずしも疫学ベースでの結果と異なる可能性がある.特に視力が良好な間は,中心窩分離症例はなかなか病院を受診しないことも考えられる.本格的な疫学調査に関しては,今後の検討が待たれるところである.文献1)PhillipsCI:Retinaldetachmentattheposteriorpole.BrJOphthalmol42:749-753,19582)TakanoM,KishiS:Fovealretinoschisisandretinaldetachmentinseverelymyopiceyeswithposteriorstaphyloma.AmJOphthalmol128:472-476,19993)BenhamouN,MassinP,HaouchineBetal:Macularretinoschisisinhighlymyopiceyes.AmJOphthalmol133:794-800,20024)石川太,荻野誠周,沖田和久ほか:高度近視眼の黄斑円孔を伴わない黄斑.離に対する硝子体手術.あたらしい眼科18:953-956,20015)KobayashiH,KishiS:Vitreoussurgeryforhighlymyopiceyeswithfovealdetachmentandretinoschisis.Ophthalmology110:1702-1707,20036)IkunoY,SayanagiK,OhjiMetal:Vitrectomyandinternallimitingmembranepeelingformyopicfoveoschisis.AmJOphthalmol137:719-724,20047)HirakataA,HidaT:Vitrectomyformyopicposteriorretinoschisisorfovealdetachment.JpnJOphthalmol50:53-61,20068)IkunoY,SayanagiK,SogaKetal:Fovealanatomicalstatusandsurgicalresultsinvitrectomyformyopicfoveoschisis.JpnJOphthalmol52:269-276,20089)生野恭司:強度近視眼に続発した中心窩分離症の病因と治療.日眼会誌110:855-863,200610)BabaT,Ohno-MatsuiK,FutagamiSetal:Prevalenceandcharacteristicsoffovealretinaldetachmentwithoutmacularholeinhighmyopia.AmJOphthalmol135:338-342,200311)GaucherD,HaouchineB,TadayoniRetal:Long-termfollow-upofhighmyopicfoveoschisis:naturalcourseandsurgicaloutcome.AmJOphthalmol143:455-462,200712)IkunoY,TanoY:Vitrectomyformacularholesassociatedwithmyopicfoveoschisis.AmJOphthalmol141:774-776,2006