———————————————————————-Page10910-1810/08/\100/頁/JCLSのリポフスチンがおもな自発蛍光物質であると考えられている.リポフスチンは,視細胞外節の網膜色素上皮細胞による代謝産物であり,FAFを観察することで,造影剤を使用することなく網膜色素上皮の機能を評価できると考えられている.この検査は,まだ広く普及していないが,学会などでは盛んに議論されており,眼科医として基礎知識は理解しておく必要がある.本稿では,加齢黄斑変性およびその特殊型であるポリープ状脈絡膜血管症(PCV)と網膜内血管腫状増殖(RAP),その他関連疾患に関して,基本となる蛍光造影を概説し,現在発展著しいOCTについては具体的に症例提示をしながら解説し,今後の発展が期待されるFAFについても触れる.I蛍光眼底造影新生血管の部位や活動性の評価のために以前より蛍光眼底造影検査が行われてきた.FAは網膜血管の描出に優れ,網膜色素上皮の異常を鋭敏に検出可能である.これにより,新生血管が網膜色素上皮上(2型)にあるか,網膜色素上皮下(1型)にあるかをある程度診断できる.つまり,FA所見のクラシック型≒2型CNV(脈絡膜血管新生),オカルト型≒1型CNVの関係が成り立つ.典型的な滲出型加齢黄斑変性では,これらのCNV成分の割合によってpredominantlyclassicCNV(クラシック型CNV成分が病変の50%以上),minimallyclassicCNV(クラシック型CNV成分が病変の50%未満),はじめに加齢黄斑変性は古くは老人性円板状黄斑変性症とよばれていた頃から,蛍光眼底造影検査による診断が行われている.現在でも滲出型加齢黄斑変性における診断や病型別分類,治療効果判定においてはフルオレセイン蛍光眼底造影(FA)やインドシアニングリーン蛍光眼底造影(IA)は重要である.近年その蛍光眼底造影所見を強力に補助できる新しい検査機器が開発されている.光干渉断層計(OCT)は,網膜の断層像を容易に,かつ非侵襲的に得ることのできる画期的な装置である.1996年に臨床に登場以来,OCTは黄斑部および視神経乳頭を観察するうえで必要不可欠な存在となった.最近ではさらに進歩し,病変を二次元的な断面像だけではなく,三次元的な立体像として捉えることが可能となった.その所見の解釈についてはまだ完全に確立されてはいないが,滲出型加齢黄斑変性における新生血管の部位や滲出性変化(漿液性網膜離,網膜浮腫など)の有無など新生血管の活動性を形態的変化としてみることが可能である.2008年4月からは,診療報酬の改定に伴い眼底三次元解析が算定可能となりOCTは今後広く普及していくと考えられ,一般眼科医にとっても強力な診断ツールとなることは間違いない.また非侵襲的に眼底を観察できる検査として最近,眼底自発蛍光(FAF)が注目されている.これは眼底に存在する蛍光物質を観察するもので,網膜色素上皮細胞内(27)1215IciaTmiIia96012951特集●加齢黄斑変性あたらしい眼科25(9):12151222,2008加齢黄斑変性および関連疾患の画像診断の進歩新しい検査機器AdvancedRetinalImagingSystemforAge-RelatedMacularDegenerationandAssociatedDisease丸子一朗*飯田知弘*———————————————————————-Page21216あたらしい眼科Vol.25,No.9,2008(28)による蓄積されたノウハウをもつZeiss社が作ったスペクトラルドメインOCTである.この2つに代表されるスペクトラルドメインOCTは,網膜断層像を撮るスピードが高速化し,さらに高解像度化したため,1枚1枚の画像の情報が多く網膜の各層がよく観察できる.3Dscanモード(3D-OCT)やcubescanモード(CirrusOCT)で撮影し,解析すると三次元的に網膜病変を表示可能である.IV滲出型加齢黄斑変性におけるOCT所見脈絡膜新生血管(CNV)は,病理学的にBruch膜内にまで進展し網膜色素上皮下にあるものが1型CNV,Bruch膜を超えて網膜色素上皮上に進展したものが2型CNVと定義される2).厚生労働省特定疾患網脈絡膜・視神経萎縮症調査研究班によれば,滲出型加齢黄斑変性は,典型的な1型または2型を示すCNVがみられるもののほかに,特殊型としてPCVとRAPをあげている.現在ではPCVとRAP以外の典型的加齢黄斑変性を便宜的に狭義加齢黄斑変性とよぶことが多い.またそのほかにも黄斑部に2型CNVを生じる強度近視新生血管黄斑症や特発性脈絡膜新生血管があり,これらの疾患それぞれのOCT所見について概説する.1.狭義加齢黄斑変性フルオレセイン蛍光眼底造影検査(FA)所見によって,クラシック型CNV(≒2型CNV)とオカルト型CNV(≒1型CNV)の大きく2種類に臨床的には分類される.ただしFA所見はあくまで病理学的所見とはイコールではなく,注意が必要である.2型CNVの典型例におけるOCTでは,網膜色素上皮層の上にCNVを示す高反射が観察される(図1).1型CNVにおけるOCTでは,新生血管そのものの変化をみることはできないが,CNVによる網膜色素上皮層の二次的な変化である隆起や不整像が観察される(図2).1型CNVと2型CNVが混在することも多く,OCTで網膜色素上皮層の上に高反射帯がみられても,その周囲では網膜色素上皮層の変化のみが観察される場合もある(図3a).occultwithnoclassicCNV(オカルト型CNVのみ)に分類される1).光線力学的療法(PDT)の治療方針の決定にもこの分類は関連しており,FAによるサブタイプ分類は,治療において明確な指標となる.これに対しIAは810nmの蛍光(赤外光)を発し,分子量が大きく脈絡膜血管からの漏出も少なく,網膜色素上皮下の脈絡膜循環が観察可能であり,脈絡膜新生血管の進展部位をほぼ推定できるようになった.特にIAの高解像度化が得られた1990年ごろから,それまでのFAでの基準に含まれない症例が観察されるようになった.これらはPCVやRAPのような新しい疾患概念として提唱された.個々の症例の診断については別稿に譲るが,今日でもまだ蛍光眼底造影検査は発展している.ハイデルベルグ社のHRA2やNIDEK社のF-10のような共焦点走査型レーザー検眼鏡では,FA・IAともにより高解像度の画像が得られ,動画での撮影も可能である.PCVやRAPの診断には特に威力を発揮する.IIタイムドメインOCT現在最も普及しているタイムドメインOCTはOCT3000(CarlZeissMeditec社)である.OCT3000は深さ分解能が約10μm程度で網膜の層構造が明瞭に観察され,日常診療においては十分すぎる解像度である.網膜断層像は擬似カラー表示されるが,これは現在でもOCTのスタンダードとなっている.OCT-Ophthalmo-scope(NIDEK社)は,深さ分解能は約9μm,同一光源を用いることでOCT画像と走査レーザー検眼鏡(SLO)画像を同時に取得することが可能であり,両画像を1対1対応できる.網膜の断層像(B-scan)だけでなく,網膜面に水平の前額断(C-scan)として観察できることも大きな特徴である.IIIスペクトラルドメインOCTタイムドメインOCTは光干渉を時間領域で行うのに対し,スペクトラルドメインOCTはFourier空間で行うことで高速化・高解像度化を実現した.深さ分解能は約5μm以下である.3D-OCT(TOPCON社)はスペクトラルドメインOCTの商業ベースで世界初の製品である.CirrusOCT(CarlZeissMeditec社)はOCT3000———————————————————————-Page3あたらしい眼科Vol.25,No.9,20081217(29)2.ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)PCVは1990年にYannuzziら3)によって報告された脈絡膜血管に由来する異常血管網とその先端のポリープ状病巣からなる明確な疾患群である.検眼鏡での橙赤色隆起病巣とIAでポリープ状病巣が確認されることが特図1症例1:クラシック型脈絡膜新生血管(CNV)左上:カラー写真.右上:フルオレセイン蛍光造影(FA)初期像.境界明瞭なCNV.右下:FA後期像.著明な蛍光漏出.左下:光干渉断層計(OCT)所見.網膜色素上皮上にCNVと一致した高反射塊.網膜色素上皮の高反射帯は一部断裂している.図2症例2:オカルト型CNV左上:カラー写真.右上:FA中期像.境界不明瞭な弱い蛍光漏出.右下:インドシアニングリーン蛍光造影(IA)後期像.CNVに一致した後期過蛍光.左下:OCT所見.網膜色素上皮の不整をみるが断裂は観察されない.漿液性網膜離を伴う.図3a症例3:minimallyclassicCNV(クラシック型CNV成分が病変の50%未満)左上:カラー写真.右上:FA初期像.右下:FA後期像.中心窩下方の著明な蛍光漏出を示すクラシック型CNV成分と中心窩上方の淡い蛍光漏出を示すオカルト型CNV成分が混在.左下:OCT所見.中心窩鼻側の網膜色素上皮の不整像と中心窩耳側に網膜色素上皮上の高反射帯.図3b症例3のFAF(CNVのFAF低蛍光)———————————————————————-Page41218あたらしい眼科Vol.25,No.9,2008(30)徴であり,日本PCV研究会の診断基準4)でも,この2つが重要とされている.OCTではポリープ状病巣に一致して,網膜色素上皮の急峻な突出がみられる5).この所見はPCVに特徴的であり,造影検査をすることなくPCVを疑う根拠にもなりうる.ただし,この急峻な突出はポリープそのものではなく,網膜色素上皮の二次的な変化によるものであるため,ポリープの活動性が低下している場合もしくは閉塞が得られている場合でも,同様の像を示している可能性があり注意を要する.網膜色素上皮離を伴う症例において,OCTの断面をみるとドーム状の網膜色素上皮離の隆起に隣接した小さな網膜色素上皮離がみられる(tomographicnotch)6)(図4下段左).網膜面に水平にスキャン(C-scan)し観察すると網膜色素上皮離のラインに連続して,ポリープ状病巣のある部位でそのラインの一部外側への突出がみられる7)(図4下段中).またPCVの定義でも述べられている異常血管網はポリープ状病巣とは別に網膜色素上皮の不整や丈の低い隆起として観察されることがあり図4症例4:ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)上段左:レッドフリー眼底写真.上段中:FA初期像.淡い過蛍光と網膜色素上皮離.上段右:FA後期像.オカルト型の淡い蛍光漏出.下段右:IA初期像.典型的なポリープ状病巣.下段左:OCT所見(Bスキャン).網膜色素上皮離の隆起に隣接した小さな網膜色素上皮離,いわゆるtomographicnotchサイン.下段中:OCT所見(Cスキャン).網膜色素上皮離のラインの一部外側への突出.図5症例5:ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)左上:カラー写真.右上:FA中期像.オカルト型CNVを示す淡い蛍光漏出.右下:IA後期像.典型的なポリープ状病巣.左下:OCT所見.ポリープ状病巣に一致した網膜色素上皮の急峻な突出.漿液性網膜離と網膜色素上皮の不整(doublelayersign)を伴う.———————————————————————-Page5あたらしい眼科Vol.25,No.9,20081219(31)(doublelayersign)79)(図5),これもPCVを疑わせる所見である.3.網膜血管腫状増殖(RAP)(図6)RAPは2001年にYannuzziら10)によって報告された,網膜血管由来の新生血管を起源とする加齢黄斑変性の一型である.stageI(網膜内新生血管),stageII(網膜下新生血管),stageIII(脈絡膜新生血管)の病期に分けられる.眼底検査では軟性ドルーゼンが多発している,網膜毛細血管拡張を伴うことが特徴で,通常網膜下,網膜内,網膜前出血がみられ,初期例から胞様黄斑浮腫(CME)が観察される.stageII以降に進行した場合には多くの症例で網膜色素上皮離も同時に観察される.OCTではRAP部位は高反射帯として観察され,胞様黄斑浮腫および網膜色素上皮離を伴う.RAP病巣に一致した部位で網膜色素上皮離の断裂像がみられることもある11).4.その他a.特発性脈絡膜新生血管(ICNV)特に誘因がなく,若年者の黄斑部に2型CNVを生じ図7a症例7:特発性脈絡膜新生血管(ICNV)左上:カラー写真.右上:FA初期像.境界明瞭な過蛍光.右下:FA後期像.著明な蛍光漏出.左下:OCT所見.網膜色素上皮上の高反射帯,漿液性網膜離を伴う.図7b症例7に対してベバシズマブ硝子体内注射後上:カラー写真.下:OCT所見.網膜色素上皮の囲い込みによる網膜色素上皮離様所見.図6症例6:網膜血管腫状増殖(RAP)左上:カラー写真.右上:FA中期像.典型的なRAP病巣.右下:IA後期像.RAP病巣に一致したhotspot.左下:OCT所見.網膜色素上皮離とその上のRAP病巣に一致した高反射帯,網膜浮腫を伴う.———————————————————————-Page61220あたらしい眼科Vol.25,No.9,2008(32)できる.撮影方法は,共焦点走査型レーザー検眼鏡(HRA2など)を用いたFA用の光源(波長488nm)とバリアフィルターを使う方法と,眼底カメラを改良して励起波長580nmでバリアフィルター695nmを使用する方法の2種類がある.撮影機種が異なると正常なFAFでも異なる像になる.特に黄斑部には短波長を吸収するキサントフィルがあり,共焦点走査型レーザー検眼鏡の波長488nmでは黄斑部は暗く映る.FAF過蛍光は網膜色素上皮細胞内のリポフスチンが増加していることを示すとされている.リポフスチンは加齢とともに増加し70歳を超えると細胞内の1/4を占める.過剰に蓄積すると,網膜色素上皮細胞の変性・萎縮をきたし,FAFは逆に低蛍光を示す.最近ではリポフスチン以外の自発蛍光物質の存在も示されているため所見の読影には注意を要する.FAF過蛍光を示す疾患として,リポフスチンが過剰に蓄積するStargardt病やBest病(図9)がある14,15).これらは遺伝的に網膜色素上皮の代謝異常が指摘されている疾患で,現在ではFAF所見が診断にも有用である.る疾患である.2040歳代の女性に多く,近視は軽度であり,ドルーゼンなどの加齢性変化を伴わない.約30%は自然軽快するとされるが,中心窩下に瘢痕を残すと視力予後不良である.OCTでは,活動期には網膜色素上皮層の上にCNVを示す高反射塊が観察され,その直上や周囲には網膜浮腫や漿液性網膜離がみられる12).これは2型CNVに一致する所見である(図7a).その後治癒瘢痕期のOCTでは網膜色素上皮層が丈の低い隆起を示し,RPEと一塊になったり,あたかも網膜色素上皮離様所見がみられる(図7b).CNV周囲の網膜色素上皮細胞が,CNVの囲い込みを起こしている像を捉えていると考えられる.b.強度近視新生血管黄斑症(図8)眼軸長が26.5mm以上の強度近視眼で2型CNVを生じる場合がある.若年者に多い強度近視眼の単純出血とは区別される.中心窩下に好発し,中心窩CNVとその周囲に網膜下出血がみられることが多い.突然の視力低下をきたす.OCTでは,網膜色素上皮層の上にCNVの隆起を示す高反射帯がみられ,周囲には網膜浮腫,漿液性網膜離を伴っている.活動性が低下し萎縮・瘢痕化してくると,網膜色素上皮細胞によるCNVの囲い込みが起こり,表面が高反射層となり網膜色素上皮層の隆起として観察される13).V眼底自発蛍光(FAF)FAFは網膜色素上皮細胞内のリポフスチン量を反映しているとされ,間接的に網膜色素上皮細胞機能を評価図7c症例7:治療前後のFAF所見左:治療前.CNVのFAF低蛍光.右:ベバシズマブ硝子体内注射後.CNVを取り囲むようにFAF過蛍光.図8症例8:強度近視新生血管黄斑症左上:カラー写真.右上:FA初期像.境界明瞭な過蛍光.右下:FA後期像.著明な蛍光漏出を示す(クラシック型CNV).左下:OCT所見.網膜色素上皮上の高反射帯,一部漿液性網膜離を伴う.———————————————————————-Page7あたらしい眼科Vol.25,No.9,20081221VI加齢黄斑変性および関連疾患におけるFAF所見加齢黄斑症は,加齢黄斑変性の前段階であり網膜色素上皮の色素沈着やドルーゼンがみられる.特にドルーゼンはリポフスチンを多く含むとされ,FAF過蛍光を示すことが多い.ただし,加齢に伴い網膜色素上皮内のリポフスチンは増加しているため,その輝度の差によってはFAF過蛍光がはっきりしない場合もある16).滲出型加齢黄斑変性における2型CNVそのものは通常FAFでは低蛍光を示す(図3b)が,その周囲で網膜色素上皮細胞の囲い込みが起こるため,CNV周囲はFAF過蛍光を示す17).特発性脈絡膜新生血管(図7c)や強度近視新生血管黄斑症における2型CNVでも同様の機序でCNV周囲のFAF過蛍光がみられる.これらの疾患ではCNV周囲のFAF過蛍光は加齢黄斑変性のCNV周囲より境界明瞭に観察されるが,これは網膜色素上皮細胞の加齢性変化が少なく,健常に近いためと考えられている18).1型CNVでは,CNVそのものは検出されないが,網膜色素上皮の障害が強い症例では,一般に同部位でのFAF低蛍光を示す.網膜色素上皮離の部位は,FAF低蛍光を示すことが多いが,その頂点ではやや過蛍光を示すこともある.網膜色素上皮裂孔部位では,網膜色素上皮細胞が欠損しているためFAFは低蛍光を示し診断に有用であり,その辺縁ではロールした網膜色素上皮のFAF過蛍光が観察される(図10).網膜下出血は,FAF低蛍光を示すが,陳旧化し器質化してくるとFAF過蛍光として観察される19).以上のように滲出型加齢黄斑変性ではさまざまな病態が混在しており,FAF所見は複雑化し,その評価は慎重にする必要がある.FAFはむしろ萎縮型加齢黄斑変性での有用性が指摘され,さまざまな報告がなされている.黄斑部の萎縮巣はFAF低蛍光を示し,その辺縁は逆にFAF過蛍光を呈している(図11).これは経過とともに徐々に拡大していくとされ,近年さまざまな分類方法が提唱されている20).ただし,萎縮型加齢黄斑変性の進行は遅く,その臨床上の有用性の評価には時間がかかる.(33)図9Best病の眼底自発蛍光(FAF)(リポフスチンによる過蛍光)図11症例10:萎縮型加齢黄斑変性左:カラー写真.右:萎縮部位のFAF低蛍光とその周囲のFAF過蛍光.図10症例9:網膜色素上皮裂孔左:カラー写真.右:FAF所見.網膜色素上皮裂孔部位に一致したFAF低蛍光とロールした網膜色素上皮部位のFAF過蛍光.———————————————————————-Page81222あたらしい眼科Vol.25,No.9,2008おわりに本稿では,加齢黄斑変性および関連疾患の画像診断における検査機器について,基本となる蛍光造影検査,現在最も注目されているOCTと今後注目されるであろうFAFを中心に述べた.OCTは加齢黄斑変性の診断には必須ではなく,診断基準にも取り入れられてはいないが,非侵襲的に眼底病変を評価でき,すでに多数の報告がなされている.病型により特徴的な所見があり,その違いは知っておかなければならない.現在OCTは技術革新によりさらなる高速化,高解像度化が進みつつある最先端の分野である一方,今後は一般の眼科でも広く普及することが予想されることから,OCTによる眼底所見の読影手技は重要である.FAFは,現在,さまざまな眼底疾患に臨床応用されているが,加齢黄斑変性では所見が複雑なためにまだまだ不明な部分は多い.ただし,造影検査と異なり非侵襲的に網膜色素上皮機能の評価が可能であり,今後の研究次第では造影検査に匹敵するツールになる可能性もある.これらの検査が一般化し,さまざまな分野から加齢黄斑変性の病態解明が進むことを期待したい.文献1)BarbazettoI,BurdanA,BresslerNMetal:TreatmentofAge-RelatedMacularDegenerationwithPhotodynamicTherapyStudyGroup;VerteporninPhotodynamicTherapyStudyGroup.Photodynamictherapyofsubfovealchoroidalneovascularizationwithverteporn:uoresceinangiographicguidelinesforevaluationandtreatment─TAPandVIPreportNo.2.ArchOphthalmol121:1253-1268,20032)GreenWR,EngerC:Age-relatedmaculardegenerationhistopathologicstudies.The1992LorenzE.ZimmermanLecture.Ophthalmology100:1519-1535,19933)YannuzziLA,WongDW,SforzoliniBSetal:Polypoidalchoroidalvasculopathyandneovascularizedage-relatedmaculardegeneration.ArchOphthalmol117:1503-1510,19994)日本ポリープ状脈絡膜血管症研究会:ポリープ状脈絡膜血管症の診断基準.日眼会誌109:417-427,20055)IijimaH,IidaT,ImaiMetal:Opticalcoherencetomogra-phyoforange-redsubretinallesionsineyeswithidiopath-icpolypoidalchoroidalvasculopathy.AmJOphthalmol129:21-26,20006)SatoT,IidaT,HagimuraNetal:Correlationofopticalcoherencetomographywithangiographyinretinalpig-mentepithelialdetachmentassociatedwithage-relatedmaculardegeneration.Retina24:910-914,20047)SaitoM,IidaT,NagayamaD:Cross-sectionalandenfaceopticalcoherencetomographicfeaturesofpolypoidalchoroidalvasculopathy.Retina28:459-464,20088)SatoT,KishiS,WatanabeGetal:Tomographicfeaturesofbranchingvascularnetworksinpolypoidalchoroidalvasculopathy.Retina27:589-594,20079)TsujikawaA,SasaharaM,OtaniAetal:Pigmentepithe-lialdetachmentinpolypoidalchoroidalvasculopathy.AmJOphthalmol143:102-111,200710)YannuzziLA,NegraoS,IidaTetal:Retinalangiomatousproliferationinage-re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