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国立病院機構東京医療センターにおける最近1年間の角膜移植成績および術式別短期視力評価

2016年6月30日 木曜日

《原著》あたらしい眼科33(6):889.893,2016c国立病院機構東京医療センターにおける最近1年間の角膜移植成績および術式別短期視力評価秦未稀*1,2福井正樹*1,2,3水野嘉信*1大野健治*1,4野田徹*1*1国立病院機構東京医療センター眼科*2慶應義塾大学医学部眼科学教室*3南青山アイクリニック*4東京慈恵会医科大学附属病院眼科SurgicalResultsofKeratoplastyatTokyoMedicalCenteroverOne-YearPeriodMikiHata1,2),MasakiFukui1,2,3),YoshinobuMizuno1),KenjiOhno1,4)andToruNoda1)1)DepartmentofOphthalmology,NationalHospitalOrganization,TokyoMedicalCenter,2)UniversitySchoolofMedicine,3)MinamiaoyamaEyeClinic,4)DepartmentofOphthalmology,KeioDepartmentofOphthalmology,JikeiUniversitySchoolofMedicine目的:国立病院機構東京医療センター(NTMC)での過去1年間の角膜移植術の成績を検討した.方法:2014年1月1日.12月31日の間にNTMCで行った角膜移植術47例51眼の原因,術式,合併症,術後6カ月までの視力を後方視的に検討した.結果:原因は水疱性角膜症19眼(37%),再移植14眼(23%),角膜穿孔6眼(12%),その他(40%)であった.術式は全層移植術18眼(35%),内皮移植術18眼(35%),深層層状移植術10眼(24%),層状移植術15眼(10%)であった.合併症は術後二重前房7眼(14%),術中水晶体・眼内レンズ脱臼4眼(8%),術後高眼圧4眼(8%),その他9眼(18%)であった.矯正視力(logMAR換算)は術前平均で1.60±0.85,術後最高視力平均で0.69±0.66,術前より0.2以上改善したのが45眼(88%)であった.術式別視力上昇率では術後2週目に全層移植術が深層層状移植術より有意な視力上昇を認めた.結論:角膜移植術の術式が多様化したことで既報の合併症,術後視力から変化があったと考えられる.Wereporttheresultsofastudyof51eyesthatunderwentkeratoplastyattheDepartmentofOphthalmology,TokyoMedicalCenter,in2014.Theresultswerestudiedretrospectivelyforalleyesthathadundergonepenetratingkeratoplasty(PKP),deeplamellarkeratoplasty(DALK),endothelialkeratoplasty(EK)orlamellarkeratoplasty(LKP).Theindicationswerebullouskeratopathy(19eyes),replantation(14eyes),cornealtrauma(6eyes),andother(12eyes).EKwasperformedon18eyes,PKPon18eyes,DALKon10eyesandLKPon5eyes;88%oftheeyesshowedpostoperativevisualacuityimprovementofmorethantwostepsonavision-testingchart.Wealsoevaluatedthevisualacuityimprovementrate,whichrevealedthatPKPimprovedsignificantlyearlierthanDALK.Themostcommoncomplicationwasdoublechamber(14%).Wesuggestthatvisualacuityimprovementpost-surgeryandthedecreaseinseverecomplicationsareduetochangesinoperativeprocedures.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)33(6):889.893,2016〕Keywords:角膜パーツ移植,視力上昇率,原因疾患,合併症.componentsurgeryofthecornea,improvementrateofvisualacuity,primarydisease,complication.はじめに角膜移植術は1905年E.Zirmが全層角膜移植を成功させた1)ことに始まり,全層角膜移植術(penetratingkeratoplasty:PKP),表層角膜移植術(lamellarkeratoplasty:LKP)の2種類に加え,20世紀末から,角膜移植の革命ともいわれるパーツ移植の概念・技術が進歩した.病変部のみを治療の標的として行うパーツ移植に,実質を標的とする深層角膜移植(deeplamellarkeratoplasty:DALK),内皮を標的とする内皮移植(endotherialkeratoplasty:EK)などが登場し,角膜移植術式の選択肢が広がったと考えられる2).〔別刷請求先〕秦未稀:〒152-8902東京都目黒区東が丘2-5-1国立病院機構東京医療センター眼科Reprintrequests:MikiHata,M.D.,NationalInstituteofSensoryOrgans,NationalTokyoMedicalCenter,2-5-1Higashigaoka,Meguro-ku,Tokyo152-8902,JAPAN0910-1810/16/\100/頁/JCOPY(129)889 また,術中の眼球解放状態(opensky)に伴う水晶体脱臼や駆逐性出血,拒絶反応,屈折異常などの合併症が低減できると考えられる.術式の多様化および普及に伴い,これまで多数の施設で角膜移植の成績が検討されている3.7).今回,筆者らは,2014年1年間に国立病院機構東京医療センター(NationalHospitalOrganizationTokyoMedicalCenter:NTMC)で行った角膜移植術の内容を検討し,これらと2007年および2010年のNTMCで行った角膜移植術症例および既報3.7)を比較した.また,2014年の症例に関して,手術成績や短期の術式別の視力改善の早さを含めた考察を加え報告する.I対象および方法対象は2014年1月1日.12月31日の1年間に,NTMCで角膜移植眼を行った47例51眼(男性24症例25眼,女性23症例26眼),平均年齢は66.3±18.9歳(17.93歳)であった.対象症例について,原因疾患,術式〔PKP,EK(Descemetstrippingautomatedendotherialkeratoplasty(DSAEK)またはnon-Descemetstrippingautomatedendotherialkeratoplasty(nDSAEK),DALK,LKP〕,視力変化,合併症を後方視的に検討した.視力変化率はlogMAR換算視力(0.1未満の視力はlogMAR換算視力3.0とした)で術前から.0.2以下の変化を改善,+0.2以上の変化を悪化とし,.0.2より大きく0.2より小さい変化を不変と定義した.また,術後1週間ごとの視力を評価するために視力上昇率を(術後logMAR換算視力-術前logMAR換算視力)÷(術後6カ月間でのlogMAR換算最高視力-術前logMAR換算視力)×100とし,PKP,DALK,EKの術式ごとに4週間の期間で検討した.また,術式間に有意差があるかをMann-WhitneyU検定を行い,有意水準5%で判定を行った.合併症は術中および術後6カ月以内に起きたものを検討した.Primarygraftfailureは角膜移植後一度も透明化しなかったものと定義した.なお,原因疾患,術式,合併症については2007年および2010年にNTMCで行った角膜移植および既報3.7)を比較した.II結果1.原因疾患原因疾患は水疱性角膜症19眼(37%),再移植14眼(23%),角膜穿孔6眼(12%),角膜変性症4眼(10%),角膜混濁4眼(10%),円錐角膜3眼(6%),角膜拡張症1眼(2%)であった.再移植の内訳は,PKP,EK後の移植片機能不全がそれぞれ8眼,2眼,角膜穿孔2眼,角膜混濁1眼,残り1眼はDALK後二重前房が消退せずPKPを行った症例であった(図1a).890あたらしい眼科Vol.33,No.6,2016過去の移植例,既報3.7)との比較では,水疱性角膜症と角膜変性の割合が経時的に増えており,角膜混濁の割合が減っているように感じられた(図1b).2.術式角膜移植術を行った全51眼の術式の内訳は,PKP:18眼(35%)〔うち2眼が水晶体.外摘出術(ECCE)+眼内レンズ(IOL)挿入術併用〕,EK:18眼(35%),DALK:10眼(24%),LKP:5眼(10%)であった.EKは水疱性角膜症18眼に行い,PKP18眼は水疱性角膜症12眼(うち9眼が再移植,2眼がECCE+IOL併用),円錐角膜2眼,角膜混濁2眼(うち1眼が再移植),角膜変性症1眼,角膜穿孔1眼(再移植)であった.円錐角膜2眼は術中Descemet膜穿孔しPKPに術式変更した症例であった.DALK10眼は角膜変性症4眼,角膜混濁3眼,円錐角膜2眼,角膜拡張症1眼,LKP5眼はすべて角膜穿孔に行った(図1c).過去の移植例,既報3.7)との比較ではEKとDALKの割合が経時的に増えており,PKPの割合が減っているように感じられた(図1d).3.視力変化角膜移植全体のlogMAR換算視力は術前平均1.60±0.85,術後6カ月以内の最高視力平均0.69±0.66であった.術式ごとでは術前平均/術後6カ月以内の最高視力平均でPKP2.04±0.89/0.86±0.70,EK1.29±0.47/0.39±0.32,DALK1.16±0.88/0.76±0.57,LKP1.81±1.04/1.17±1.60であった(表1).視力変化率(%)は改善/不変/悪化の順に角膜移植全体で88.2/11.1/2.0,PKPで88.9/3.9/0,EK100/0/0,DALK70/20/10,LKP80/20/0であった(表1).術式別の視力上昇率(%)は1週,2週,3週,4週の順にPKP.8.5±147.85,67.9±29.0,51.4±60.2,60.9±29.0,EK12.0±75.3,34.9±53.5,45.1±34.5,64.7±42.5,DALK.30.1±85.9,11.4±52.9,14.1±58.2,70.2±55.0であった.2週目でPKPがDALKに比べて有意に上昇率が高く(p=0.040),PKPがEKに比べ上昇率が高い傾向にあった(p=0.053)が,その他は術式間で有意な差を認めなかった(図2).4.合併症術中合併症は水晶体・IOL眼脱臼4眼(PKP4眼),Descemet膜穿孔(PKPへ術式変更)2眼,(DALK2眼),術後合併症は二重前房がもっとも多く7眼(DALK6眼,EK1眼),ステロイド起因性緑内障4眼(PKP2眼,DALK2眼),graft離開3眼(PKP1眼,LKP2眼),primarygraftfailure2眼(EK2眼),細菌性角膜炎1眼(PKP1眼),ヘルペス角膜炎再発1眼(PKP1眼)であった(表2).なお,当院での角膜移植では重篤な合併症の代表である駆逐性出血,感染(130) 表1国立病院機構東京医療センター(NTMC)1年間の角膜移植術前および術後最高logMAR換算視力の成績平均術後最高視力術前logMAR換算視力術後最高logMAR換算視力上昇不変悪化全症例49眼1.60±0.850.69±0.6643眼(88.2%)5眼(11.1%)1眼(2.0%)PKP18眼2.04±0.890.86±0.7016眼(88.9%)2眼(11.1%)0眼(0.0%)EK18眼1.29±0.470.39±0.3218眼(100.0%)0眼(0.0%)0眼(0.0%)DALK10眼1.16±0.880.76±0.577眼(70.0%)2眼(20.0%)1眼(10.0%)LKP3眼1.81±1.041.17±1.602眼(66.7%)1眼(33.3%)0眼(0.0%)PKP:全層角膜移植術,EK:角膜内皮移植術,DALK:深層層状角膜移植術,LKP:層状角膜移植術視力はlogMAR換算視力(0.1未満の視力はlogMAR換算視力3.0と定義).視力変化率を示す,術後最高視力の「上昇」・「不変」・「悪化」はlogMAR換算視力で術前から.0.2以下の変化を「改善」,+0.2以上の変化を「悪化」とし,.0.2より大きく0.2より小さい変化を「不変」と定義した.(131)あたらしい眼科Vol.33,No.6,2016891原因疾患の内訳角膜拡張性1眼水疱性角膜症30眼(再移植11眼)角膜混濁5眼(再移植1眼)角膜穿孔円錐角膜6眼(再移植2眼)角膜変性症5眼4眼ac図1角膜移植術の原因疾患および術式の内訳:国立病院機構東京医療センター(NTMC)および既報の比較PKP:全層角膜移植術,EK:角膜内皮移植術,DALK:深層層状角膜移植術,LKP:層状角膜移植術,ALTK:表層角膜移植.a:国立病院機構東京医療センター(NTMC)の2014年1年間の角膜移植術の原因疾患の内訳.b:角膜移植術の原因疾患の内訳;2014年・2007年・2010年のNTMCおよび既報の比較.c:NTMCの2014年1年間の角膜移植術式の内訳.d:角膜移植術式の内訳;2014年・2007年・2010年のNTMCおよび既報の比較.なお,b.およびd.の既報は文献3.7)より作成PKP18眼(うち2眼がECCE+IOL併用)EK18眼DALK10眼LKP5眼■PKP■EK■DALKLKP■ALTKNTMC2014.1~2014.12NTMC2010.1~2010.12NTMC2007.1~2007.12富山大学2004.2~2010.5東京医科歯科大学2000.6~2002.10秋田大学1993.1~2002.1今泉西病院1982~2002旭川医科大学1997~2001角膜移植術式の内訳35.3%35.3%19.6%9.8%20.7%10.3%6.9%13.8%48.3%63.6%9.1%15.2%6.1%6.1%7.5%12.5%80.0%100.0%88.0%6.0%6.0%10.7%3.3%86.0%91.7%2.8%5.6%100%90%80%70%60%50%40%30%20%10%0%NTMC2014.1~2014.12NTMC2010.1~2010.12NTMC2007.1~2007.12富山大学2004.2~2010.5東京医科歯科大学2000.6~2002.10秋田大学1993.1~2002.1今泉西病院1982~2002旭川医科大学1997~2001bd58.8%19.6%11.8%9.8%10.3%10.3%17.2%27.6%34.5%27.3%24.2%3.0%39.4%6.1%10.0%30.0%20.0%15.0%25.0%44.8%13.8%10.3%31.0%60.0%10.0%6.0%24.0%35.8%12.0%11.7%40.5%52.8%14.8%5.6%26.9%100%90%80%70%60%50%40%30%20%10%0%水疱性角膜症■角膜変性■角膜穿孔■角膜混濁■その他 性眼内炎はなく,半年間での術後経過観察期間ではあるが拒絶反応も認めなかった.III考按パーツ移植の開発・普及に伴い,角膜移植はこの20年間,術式,合併症,視力予後と大きく変化したと考えられる.当院の過去の症例および既報3.7)では全術式中でPKPがもっ250200150100視力上昇率(%)術後週数(週)500-50Mann-Whitney-U※p=0.040※※p=0.053※※※全層角膜移植内皮移植深層層状角膜移植01234図2術後4週間の術式別視力上昇率視力上昇率(%)=(術後logMAR換算視力.術前logMAR換算視力)(術後6カ月間での最高logMAR換算視力.術前logMAR換(÷)算視力)×100術後1,3,4週では各術式間に有意な差はないが,術後2週で全層角膜移植が深層層状角膜移植より有意に上昇率が高く,内皮移植より上昇率が高い傾向にあった.とも多かったが,2014年1年間の術式を対象とした本検討では,PKP,EKが同数であり,層状移植(DALK+LKP)もそれに匹敵する症例数となっている.EK,DALKでは対象とする疾患が異なるため,今後両者の占める割合の変化は原因疾患の変化によると考えられるが,過去にPKPを行っていた疾患でパーツ移植が適応になる疾患はパーツ移植に移行していくと考えられ,PKPの割合が今後も減るのではないかと考えられる.しかし,NTMCでの全層移植は再移植が多いのが特徴であり,これはNTMCの角膜移植術が2003年から行われており,10年以上の歴史があることによると思われる.PKPの再移植はPKPで行うことが多いことから,近い将来にPKPの需要がなくなることはないと考える.NTMCにおける角膜移植術の原因疾患は水疱性角膜症が多く,NTMCの過去症例および既報と異なる点である.これは水疱性角膜症の増加,他の疾患の減少があり得るが,増加の要因としては角膜内皮移植術,とくにDSAEK,nDSAEKが普及してその成績や術式が安定してくると,これまで角膜内皮数が少なかったり,内皮機能が悪いと考えられたりした症例にも,白内障をはじめとする内眼手術を積極的に行うことができるようになるからと考えられる.また,日本人の寿命が延びれば延びるほど水疱性角膜症の症例数は理論的に増えると考えられる.一方,他疾患の減少の要因であるが,遺伝性疾患や円錐角膜などの変性疾患の割合は変わらないと考えられるが,梅毒性角膜実質炎後や結核性角膜実質炎後などの感染性角膜実質炎後の角膜混濁は,感染の制御が進んでい表2角膜移植術の合併症の内訳:国立病院機構東京医療センター(NTMC)および既報の比較術中合併症駆逐性出血水晶体・IOL脱臼硝子体脱出虹彩損傷NTMC(2014)51眼4NTMC(2010)29眼1NTMC(2007)33眼2東京医科歯科大学29眼秋田大学50眼旭川医科大学108眼411術後合併症眼内炎Primarygraftfailure拒絶反応Graft離開PKP二重前房高眼圧感染症他術式変更NTMC(2014)232742NTMC(2010)131NTMC(2007)1342東京医科歯科大学1314秋田大学139旭川医科大学1142PKP:全層角膜移植術.上:角膜移植術中の合併症の内訳;国立病院機構東京医療センター2014年・2010年・2007年および既報の比較.下:角膜移植術後の合併症の内訳;国立病院機構東京医療センター2014年・2010年・2007年および既報の比較.なお,既報は文献3,5,6)より作成.892あたらしい眼科Vol.33,No.6,2016(132) ることから減少している可能性がある.これらの理由あるいは両者の理由から,水疱性角膜症の増加が反映されているかもしれない.さて,今回筆者らは短期の術後視力推移を,視力上昇率を求めることで評価した.通常は術後の視力を最終視力や術前からの視力の上昇で評価することが多いが,もともと術後視力が1.0以上を期待できなかったり,術式で最終の期待視力が異なったり,併存疾患があっても評価ができる方法として視力上昇率を用いた.これにより,各手術での術後の視力の立ち上がりの早さを比べることができると考えられる.本研究では直近の手術を検討したため術後の経過観察期間が短いこと,施設によってはルーチンに角膜移植後6カ月以降で縫合糸抜糸を行うところがあることから,6カ月以内での術前視力,術後最高視力を用いて視力上昇率を求めた.その結果,術後4週間での術式別視力上昇率は,1,3,4週目では有意差がないものの,2週目でPKPがDALKより有意に上昇が早く,PKPがEKより上昇が早い傾向がみられた.これはPKP,EK,DALKの順に視力上昇が得られることが示唆され,層間接着の要素が必要なEK,層間接着と縫合といったEKとPKPの両方の特徴を兼ねるDALKがさらに上昇が遅延することを示唆していると推測される.合併症については当院では観察期間が6カ月と短期間であるため,拒絶反応の発症率は0%であったが,これは角膜パーツ移植の増加に伴い拒絶反応の発症率を抑制した可能性も期待したい.術後眼内炎や駆逐性出血が起きていないのも同様の理由である.一方,パーツ移植が増えたことで術後二重前房,DALK術中のDescemet膜穿孔といった術中の手技にかかわる合併症が多い結果となっている.今回,筆者らは1年間の組み入れ期間,半年間の観察期間という短期の検討を行ったが,過去の報告と比べること,また,視力上昇率という新たな指標を用いることでパーツ移植という角膜移植の新時代の現況を評価できたと考える.これをさらに継続して検討していくことで,より正確な状況や継時的な変化も評価できると考える.角膜移植は手術手技が多様化したことにより,今後ますます手術の特徴を考慮し,個々の患者背景に合わせて術式を選択していく必要があると考える.文献1)ZirmEK:EineerfolgreichetotaleKeratoplastik(Asuccessfultotalkeratoplasty).1906.RefractCornealSurg5:258-261,19892)福井正樹,榛村重人:角膜パーツ移植.眼科54:639-647,20123)村松治,五十嵐羊羽,花田一臣ほか:旭川医科大学眼科における過去5年間の角膜移植術の成績.あたらしい眼科21:1229-1232,20044)星兵仁,川島千鶴子,百瀬皓:今泉西病院における角膜移植手術20年の成績.眼紀56:264-269,20055)早川宏一,昆野清輝,徐カイイほか:秋田大学眼科における角膜移植成績.眼紀55:475-478,20046)山田由希子,佐々木秀次,佐々木環ほか:東京医科歯科大学眼科における角膜移植術後成績.あたらしい眼科20:1699-1702,20037)矢合隆昭,柳沢秀一郎,柚木達也ほか:最近6年間の角膜移植手術成績.臨紀4:609,2011***(133)あたらしい眼科Vol.33,No.6,2016893