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日本人における糖尿病黄斑浮腫に対するラニビズマブ硝子体 注射の長期治療成績

2018年1月31日 水曜日

《第22回日本糖尿病眼学会原著》あたらしい眼科35(1):136.139,2018c日本人における糖尿病黄斑浮腫に対するラニビズマブ硝子体注射の長期治療成績清水広之*1村松大弐*1若林美宏*1上田俊一郎*2馬詰和比古*1八木浩倫*1阿川毅*1川上摂子*1山本香織*1渡邉陽子*1塚原林太郎*2三浦雅博*2後藤浩*1*1東京医科大学眼科学分野*2東京医科大学茨城医療センター眼科IntravitrealInjectionofRanibizumabforDiabeticMacularEdemainJapan:Long-termOutcomeHiroyukiShimizu1),DaisukeMuramatsu1),YoshihiroWakabayashi1),ShunichiroUeda2),KazuhikoUmazume1),HiromichiYagi1),TsuyosiAgawa1),SetsukoKawakami1),KaoriYamamoto1),YokoWatanabe1),RintaroTsukahara2),MasahiroMiura2)andHiroshiGoto1)1)TokyoMedicalUniversity,DepartmentofOphthalmology,2)TokyoMedicalUniversity,IbarakiMedicalCenter,DepartmentofOphthalmology目的:日本人を対象とした糖尿病黄斑浮腫(DME)に対するラニビズマブ硝子体注射(IVR)の長期治療成績の報告.対象および方法:DMEにCIVRを行い,12カ月以上観察が可能であったC68眼を対象に後ろ向きに調査した.初回IVR後C6,12,18カ月の視力と中心網膜厚,追加治療について検討した.結果:観察期間は平均C19.2カ月であった.治療前視力の平均ClogMAR値はC0.37で,治療後C6カ月でC0.25,12,18カ月後では,それぞれC0.23,0.24と有意な改善を示した.治療前の平均中心網膜厚はC477Cμmで,治療6,12,18カ月後にはC387,368,312Cμmと全期間で有意な改善を示した.治療開始後C18カ月後までのCIVR回数は平均C3.3回であり,経過中に光凝固はC23眼(33%)に,トリアムシノロンアセトニドのCTenon.下注射はC15眼(22%)に併用された.全経過観察期間中にC63眼(91%)で浮腫の再発がみられた.結論:日本人においても,IVRは長期にわたりCDMEの軽減と視機能の改善に有効であるが,再発例も多く,複数回の投与と追加治療を要する.CPurpose:Toreportthelong-terme.cacyofintravitrealinjectionofranibizumab(IVR)inJapanesepatientswithdiabeticmacularedema(DME).Casesandmethods:Inthisretrospectivecaseseries,68eyesof54patientswithCDMECreceivedC0.5CmgCIVR.CCasesCwereCfollowedCupCforC12CmonthsCorClonger.CBestCcorrectedCvisualCacuity(BCVA;logCMAR)andCcentralCretinalCthickness(CRT)wereCtheCmainCoutcomeCassessments.CResults:MeanCfol-low-upperiodwas19.2months.BaselineBCVAandCRTwere0.37and477Cμm,respectively.At6months,BCVAhadCimprovedCtoC0.25CandCCRTChadCsigni.cantlyCdecreasedCtoC387Cμm,CcomparedCtoCbaseline(p<0.01).CAtC12monthsand18months,BCVAhadsigni.cantlyimprovedto0.23(p<0.01)and0.24(p<0.01),respectively;CRThaddecreasedto368Cμm(p<0.01)and312Cμm(p<0.01),respectively.TheaveragenumberofIVRwas3.3times.Amongallcases,63eyes(92%)experiencedrecurrentmacularedema.Conclusion:Intravitrealinjectionofranibi-zumabisane.ectivetreatmentforDME.However,multipleinjectionsandadditionaltreatmentsarerequired,duetofrequentrecurrence.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)35(1):136.139,C2018〕Keywords:ラニビズマブ,糖尿病黄斑浮腫,光凝固,トリアムシノロンアセトニド,抗CVEGF抗体.ranibizum-ab,diabeticmacularedema,photocoagulation,triamcinoloneacetonide,anti-VEGF.C〔別刷請求先〕清水広之:〒160-0023東京都新宿区西新宿C6-7-1東京医科大学眼科学分野Reprintrequests:HiroyukiShimizu,DepartmentofOphthalmology,TokyoMedicalUniversity,6-7-1NishishinjukuShinjuku-ku,Tokyo160-0023,JAPAN136(136)0910-1810/18/\100/頁/JCOPY(136)C1360910-1810/18/\100/頁/JCOPYはじめに糖尿病網膜症は日本の視覚障害者の主原因疾患の一つであり,なかでも糖尿病黄斑浮腫(diabeticCmacularCedema:DME)は糖尿病網膜症における視力障害の主要因子である.DMEの病態には血管内皮増殖因子(vascularCendothelialgrowthCfactor:VEGF)が関与していることが知られており1),VEGFの抑制がCDMEの制御にとってきわめて重要である.DMEに対する治療は,近年では抗CVEGF療法が治療の主体となりつつあり2,3),抗CVEGF抗体の一種でヒト化モノクローナル抗体のCFab断片であるラニビズマブは,大規模研究であるCRISE&RIDEstudyによって,偽注射に対して治療の優位性が証明された4).また,同様の大規模研究であるアジア人種を対象としたCREVEALstudy5)によって光凝固治療に対しても優位性が証明された.しかし,これらの研究の対象には厳しい組み入れ基準があるため,実臨床とは乖離している一面があり,また薬剤の投与についても臨床研究のためきわめて数多くの注射が行われているため,実臨床における反応性や効果についてはいまだに不明な点も残されている.以上の背景をもとに,2014年C2月からわが国においてもDMEへのラニビズマブ治療が認可され,広く使用されるようになってきたことから,日本人症例に対して筆者らが行ってきた治療の長期成績について報告する.CI対象および方法対象はC2014年C3月.2014年C12月に,東京医科大学ならびに東京医科大学茨城医療センターで,DMEに対してラニビズマブ0.5mgの硝子体注射(intravitrealCinjectionCofranibizumab:IVR)で治療を開始し,12カ月以上経過観察が可能であったC54例C68眼(男性C41例,女性C13例)で,全例,日本人症例であった.治療時の年齢分布はC39.81歳で,平均年齢±標準偏差はC64.8C±10.2歳である.治療歴として,ベバシズマブからの切り替え症例がC20眼(29%)あった.また,初回CIVR施行眼はC48眼(71%)であり,これらのうちC19眼はまったくの無治療,29眼(43%)は光凝固やトリアムシノロンアセトニドCTenon.下注射(sub-tenonCinjec-tionCofCtriamcinoronCacetonide:STTA)による治療歴があった.治療プロトコールとして,IVRの後に毎月観察を行い,その後は必要に応じて再治療を行った(proCreCnata:PRN).再治療は,2段階以上の視力低下,もしくはC20%以上の中心網膜厚(centralCretinalCthickness:CRT)の増加がみられ,患者の同意が得られた場合に原則としてCIVRを行った.浮腫の悪化がみられてもCIVRの同意が得られなかった場合や,IVR後の浮腫の改善が不十分な場合はCSTTAを施行した.全症例のうち,蛍光眼底造影で無灌流域や黄斑部毛細血管瘤を認めたC17眼に対しては,IVRの後,1.2週の時点で計画的に光凝固(汎網膜光凝固,血管瘤直接凝固,もしくはCtargetedCretinalCphotocoagulation:TRP6))を行い,残るC51眼はCIVR単独で治療を開始し,適宜追加治療を行った.これらC51眼のうちC19眼については,眼所見が安定するまで治療開始からC1カ月ごとにC2.3回の注射を行うCIVR導入療法を施行し,その後は必要時投与とした.検討項目は,IVR後C6,12,18カ月における完全矯正視力,および光干渉断層計3D-OCTC2000(トプコン)もしくはCirrusHD-OCT(CarlZeissMeditech)を用いて計測したCCRTで,そのほかにも再発率,治療方法ならびに投与回数,投与時期について診療録をもとに後ろ向きに調査した.統計処理はStatViewを使用して,t-検定(Bonferroni補正),c2検定を行い,有意水準5%以下を有意と判断した.CII結果全C68眼の平均観察期間はC19.2C±4.0カ月(12.27カ月)であった.全症例おける治療前の平均CCRTはC476.5C±121.8Cμmであったのに対し,IVR後C6カ月の時点ではC387.2C±119.0Cμmと減少していた.CRTはC12カ月の時点でC367.6C±118.5Cμm,18カ月の時点でC312.6C±83.7Cμmと,全期間を通じ,治療前と比較して有意な改善を示した(p<0.01,t-検定)(図1).全症例における治療前の視力のClogMAR値の平均はC0.37C±0.26であった.視力はCIVR後C6カ月でC0.25C±0.21へ改善し,IVR後C12,18カ月の時点でそれぞれC0.23C±0.23,0.24C±0.26であり,いずれの時点においても治療前と比較して有意な改善を示した(p<0.01,t-検定)(図2).治療前後の視力変化をClogMAR0.2区切りで検討すると,治療前と比較してCIVR後C6カ月の時点で改善例はC21眼(31%),不変例はC43眼(63%),悪化例はC4眼(6%)であり,12カ月の時点で改善例はC26眼(38%),不変例はC37眼(55%),悪化例はC5眼(7%),18カ月の時点で改善例はC18眼(40%),不変例はC25眼(56%),悪化例はC2眼(4%)であり,経時的に視力改善例が増加していた.治療前の小数視力が0.5以上を示した症例はC39眼(57%)存在したが,IVR後C6カ月ではC50眼(73%),12カ月でC49眼(72%),18カ月後でC35眼(78%)と,視力良好例の占める割合も増加していた(各々p<0.05,Cc2検定).一方,全経過観察期間中にC63眼(91%)で黄斑浮腫の再発がみられた.初回の注射施行後,最初に黄斑浮腫が再発するまでの期間は平均C3.9C±3.8カ月で,中央値はC2.5カ月であった.また,再注射後もC37眼(79%)がC2回目の再発をきたした.2回目の再発までの期間は平均C3.6C±3.2カ月で,中央値はC2.5カ月であった.初回治療後C6カ月までの平均CIVR回数はC2.3C±1.2回,12カ月までではC3.0C±1.9回,18カ月までではC3.3C±2.5回であ(137)あたらしい眼科Vol.35,No.1,2018C1375000.20中心網膜厚(μm)400logMAR0.30300治療前6カ月後12カ月後18カ月後n=68n=68n=68n=45図1治療前後の中心網膜厚の経時的変化12カ月時点までの全C68眼および,追跡期間がC18カ月に達したC45眼についての各時点における中心網膜厚を示す.注射C6カ月で網膜厚は大きく減少し,その後もC12,18カ月と治療前と比較し有意に網膜厚は減少している.†p<0.01.Cった.また,全経過観察期間中に,黄斑浮腫の改善目的や網膜無灌流領域に対し光凝固を併用した症例はC23眼(33%)黄斑浮腫の改善目的にCSTTAを併用した症例はC15眼(22%),存在した.今回の症例には,光凝固を併用した群と,IVR単独で治療した群が存在し,さらにCIVR単独群は,導入を行った群と,初回投与後CPRNで治療した群が存在したが,IVRの回数と,視力改善度,平均網膜厚の変化についてC3群に分けて再検討すると,12カ月の時点での平均CIVR回数は,併用群でC2.8C±1.8回,導入群でC4.1C±2.2回,初回投与後CPRN群でC2.2±1.4回と,導入群で他のC2群よりも有意に多く(p<0.01,ANOVA検定CBonferroni補正),18カ月の時点では,併用群でC3.0C±1.9回,導入群でC4.6C±2.9回,初回投与後CPRN群でC2.5C±1.9回と,導入群で他のC2群よりも有意に多かった(p<0.05,ANOVA検定CBonferroni補正).視力改善度,網膜厚の変化についてはC12,18カ月,いずれの時点でもC3群間に有意差は認めなかった(ANOVA検定CBonferroni補正).観察期間中に,眼内炎や網膜.離などの眼局所の重篤な合併症はきたさなかった.一方,脳梗塞,心筋梗塞,急性腎不全の発症および,ネフローゼ症候群の増悪をそれぞれC1例ずつ認めた.IVRから発生までの期間は,脳梗塞および急性腎不全はそれぞれC1カ月,ネフローゼの増悪はC3カ月,心筋梗塞はC14カ月であった.脳梗塞を発症した症例では,内科と連携したうえで,その後合計C4回のCIVRを行ったが,以降脳梗塞の再発は認めなかった.CIII考按無作為二重盲検試験であるCRISEC&CRIDECstudyにより,DMEに対するラニビズマブ治療の有効性が証明されたが4),この研究における治療プロトコールでは当初のC24カ月は毎0.40治療前6カ月後12カ月後18カ月後n=68n=68n=68n=45図2治療前後の視力の経時的変化全症例の各時点における視力のClogMAR値を示す.注射C6カ月で視力は上昇し,18カ月の時点まですべての時点において,治療前と比較し有意に上昇している.†p<0.01.C月ラニビズマブ注射を行っており,多数回に及ぶ注射を要したうえでC12文字の視力改善が得られていた.その後,アジア人を対象として行われた光凝固との比較試験であるREVEALCstudyにおいては,当初のC3カ月は毎月ラニビズマブ注射を行い,それ以降はC1カ月ごとの観察を継続し,必要に応じて再治療を行っている.その結果,治療開始後C12カ月の時点において平均C7.8回の注射を要したがC6.6文字の改善を得ており,1.8文字の改善に留まった光凝固との比較において,その優位性が報告された5).当院における治療方針では,25%(n=17)の症例ではIVR後C1.2週後に毛細血管瘤に対する直接光凝固や汎網膜光凝固を計画的に併用する方法で治療した.28%(n=19)の症例ではC1カ月ごとにC2.3回の注射で導入療法を行い,その後は毎月観察を行って再発,悪化時に再投与を行う方法で臨み,47%(n=32)の症例ではC1回の注射の後にCPRNとし,12カ月間で平均C3.0回,治療後C18カ月までにC3.3回の注射を行った.治療成績については,ラニビズマブ治療の開始直後から網膜浮腫は減少し,視力も治療前と比較して治療後18カ月まで有意な向上が得られた.視力のデータをCETDRSの文字数に換算すると,12カ月の時点でC6.8文字,18カ月の時点においてC7.2文字の改善が得られた.この改善度はRISE&RIDEstudyの結果には及ばなかったが,REVEALstudyとはほぼ同等であった.なお,REVEALCstudyは組み入れ基準で治療前視力はCETDRSの文字数C39文字からC78文字までの症例に限っていたが,本研究の治療前の小数視力はC0.05.1.2までの症例を含んでおり,REVEALCstudyと比較して,より治療前視力の良好な例や,不良な例を多く含んでいたので,治療前視力が,REVEALと同等の症例のみ抽出して再検討すると,視力改善文字数はC12カ月の時点で7.3文字であり,改善度は全症例における検討よりもより良(138)好な結果となった.今回の筆者らの施設の検討で,少ない注射回数にもかかわらずCREVEALstudyと同等程度の視力改善効果を得られた理由としては,経過観察中に必要応じて積極的に毛細血管瘤への直接光凝固やCTRPと称される部分的な無灌流域に対する選択的光凝固を施行したことが考えられる.REVEALstudyにおいてもラニビズマブと光凝固の併用療法を行っている群があるが,ラニビズマブ単独治療群と比較して視力改善度はわずかに劣り,1年間の注射回数もラニビズマブ単独群で平均C7.8回であったのに対し,光凝固併用群でもC7.0回とやや少ない結果に留まっていた.しかし,この報告では光凝固の適応や凝固条件が明記されておらず,詳細は不明である.国外での臨床研究における光凝固は,後極部における格子状光凝固ならびに広範な無灌流域に対する徹底的な汎網膜光凝固が主体であり,これが筆者らの治療成績との差異につながった可能性も考えられる.その他の要因として,適宜STTAを併用したことも関係している可能性が考えられる.DMEの病態進展にはCVEGFのみならず,炎症が関与することが報告されている7.10).DMEに対してフルオシノロンアセトニド徐放剤の硝子体投与の効果を検討したCFAMECstudy11)においても,DMEの網膜厚減少や視力改善などの効果が確認されている.また,糖尿病網膜症に対する汎網膜光凝固時における黄斑浮腫の発生をCSTTAによって抑制可能とする報告もあることから12),本研究におけるステロイドの併用がCVEGF以外の黄斑浮腫惹起因子を抑制していた可能性もある.今回の検討では,約C8週間でC8割以上の症例が再発を繰り返していた.今後もCIVRを行う際には厳密な経過観察とともに必要に応じた追加治療が必要と考えられ,適宜,光凝固やCSTTAなどの代替え治療も必要であると考えられた.また,DMEに対するラニビズマブ治療は加齢黄斑変性や静脈閉塞症への治療と比較して改善に時間を要するため,単回の注射のみで治療効果を判断しないことも肝要である13).以上,日本人のCDMEに対するラニビズマブ治療の長期成績も良好と考えられたが,本研究は後ろ向き研究であり症例数も十分とは言いがたい.また,DMEを含む糖尿病網膜症の発症にはさまざまな全身的な要因も関与するし,因果関係ははっきりしないものの,本研究でも全身的な合併症もみられたことから,今後も長期にわたる経過観察と治療データの蓄積が必要であると考えられる.利益相反:利益相反公表基準に該当なし文献1)FunatsuCH,CYamashitaCH,CIkedaCTCetCal:VitreousClevelsC(139)ofCinterleukin-6CandCvascularCendothelialCgrowthCfactorCareCrelatedCtoCdiabeticCmacularCedema.COphthalmologyC110:1690-1696,C20032)ShimuraCM,CYasudaCK,CYasudaCMCetCal:VisualCoutcomeCafterCintravitrealCbevacizumabCdependsConCtheCopticalCcoherenceCtomographicCpatternsCofCpatientsCwithCdi.useCdiabeticmacularedema.RetinaC33:740-747,C20133)村松大弐,三浦雅博,岩﨑琢也ほか:糖尿病黄斑浮腫に対するラニビズマブ硝子体注射の治療成績.あたらしい眼科C33:111-114,C20164)BrownCDM,CNguyenCQD,CMarcusCDMCetCal;RIDECandRISECResearchCGroup:Long-termCoutcomesCofCranibi-zumabCtherapyCforCdiabeticCmacularCedema:the36-monthCresultsCfromCtwoCphaseCIIICtrials:RISECandCRIDE.OphthalmologyC120:2013-2022,C20135)IshibashiT,LiX,KohAetal;REVEALStudyGroup:TheCREVEALCStudy:ranibizumabCmonotherapyCorCcom-binedCwithClaserCversusClaserCmonotherapyCinCAsianCpatientsCwithCdiabeticCmacularCedema.COphthalmologyC122:1402-1415,C20156)TakamuraCY,CTomomatsuCT,CMatsumuraCTCetCal:TheCe.ectCofCphotocoagulationCinCischemicCareasCtoCpreventCrecurrenceCofCdiabeticCmacularCedemaCafterCintravitrealCbevacizumabCinjection.CInvestCOphthalmolCVisCSciC55:C4741-4746,C20147)WakabayashiCY,CUsuiCY,COkunukiCYCetCal:IncreasesCofCvitreousmonocytechemotacticprotein1andinterleukin8levelsCinCpatientsCwithCconcurrentChypertensionCandCdia-beticretinopathy.RetinaC31:1951-1957,C20118)MuramatsuCD,CWakabayashiCY,CUsuiCYCetCal:CorrelationCofcomplementfragmentC5awithin.ammatorycytokinesCinthevitreousofpatientswithproliferativediabeticreti-nopathy.CGraefesCArchCClinCExpCOphthalmolC251:15-17,C20139)FunatsuH,YamashitaH,NomaHetal:AqueoushumorlevelsCofCcytokinesCareCrelatedCtoCvitreousClevelsCandCpro-gressionofdiabeticretinopathyindiabeticpatients.Grae-fesArchClinExpOphthalmolC243:3-8,C200510)AdamisCAP,CMillerCJW,CBernalCMTCetCal:IncreasedCvas-cularCendothelialCgrowthCfactorClevelsCinCtheCvitreousCofCeyesCwithCproliferativeCdiabeticCretinopathy.CAmCJCOph-thalmolC118:445-450,C199411)CampochiaroCPA,CBrownCDM,CPearsonCACetCal;FAMEStudyCGroup:SustainedCdeliveryC.uocinoloneCacetonideCvitreousCinsertsCprovideCbene.tCforCatCleastC3CyearsCinCpatientsCwithCdiabeticCmacularCedema.COphthalmologyC119:2125-2132,C201212)ShimuraCM,CYasudaCK,CShionoCT:PosteriorCsub-TenonC’sCcapsuleinjectionoftriamcinoloneacetonidepreventspan-retinalCphotocoagulation-inducedCvisualCdysfunctionCinCpatientswithseverediabeticretinopathyandgoodvision.OphthalmologyC113:381-387,C200613)BrownDM,KaiserPK,MichelsMetal;ANCHORStudyGroup:RanibizumabCversusCvertepor.nCforCneovascularCage-relatedCmacularCdegeneration.CNCEnglCJCMedC355:C1432-1444,C2006Cあたらしい眼科Vol.35,No.1,2018C139

糖尿病黄斑浮腫に対するラニビズマブ硝子体内注射後,腎症が悪化した1例

2017年3月31日 金曜日

《第21回日本糖尿病眼学会原著》あたらしい眼科34(3):419.424,2017c糖尿病黄斑浮腫に対するラニビズマブ硝子体内注射後,腎症が悪化した1例善本三和子*1高野秀樹*2東原崇明*2松元俊*1*1東京逓信病院眼科*2東京逓信病院腎臓内科ACaseofDiabeticMacularEdemawithProgressiveRenalDysfunctionafterIntravitrealInjectionofRanibizumabMiwakoYoshimoto1),HidekiTakano2),TakaakiHigashihara2)andShunMatsumoto1)1)DepartmentofOphthalmology,TokyoTeishinHospital,2)DepartmentofNephrology,TokyoTeishinHospital糖尿病性腎症(以下,腎症)を合併した糖尿病黄斑浮腫(以下,DME)患者に対するラニビズマブ硝子体内注射(以下,IVR)治療経過中,腎機能障害が急速に進行した症例を経験したので報告する.症例は56歳,男性.下腿蜂窩織炎にて当院初診時,糖尿病が発見された(HbA1C12.2%,腎症+).眼科初診時,両眼視力(1.2),増殖前網膜症を認め,内科治療開始後より右眼DMEが発症,悪化し,右眼IVRを連続3回施行したが,反応不良であった.IVR前とIVR3回後で,血清クレアチニン値2.04→3.39mg/dl,尿中TP/CRE8.14→10.92g/gCr,尿糖(.)→(+2)と3カ月間の腎機能障害の進行は急速かつ顕著であり,その後の積極的な内科治療にも抵抗して腎症はさらに悪化し続け,IVR開始11カ月後,透析導入となった.DMEに対する抗VEGF療法では,全身因子としての腎機能の変化に注意し,盲目的な連続投与は避ける必要がある.Acaseofdiabeticmacularedema(DME)withprogressiverenaldysfunctionafterrepeatedintravitrealinjec-tionofranibizumabisreported.A56-y.o.malewasadmittedtoourhospitalwithacutecellulitisofthelowerextremitiesanddiagnosedwithdiabetesmellitus(HbA1C12.2%,diabeticnephropathy+).Atinitialophthalmicexamination,correctedvisualacuityofbotheyeswas1.2,anddiabeticretinopathywaspreproliferativestage.Afterdiabetesmedicationwasinitiated,DMEofrighteyeoccurredandprogressed,andintravitrealinjectionofranibizumab(IVR)wasrepeatedthreetimes,butresponseforIVRwaspoor.Dataforserumandurineanalysis(pre-→post-IVR),serumcreatinine(2.04→3.39mg/dl),urineTP/CRE(8.14→10.92g/gCr)andurinesugar(.→+2)showedrapidrenaldysfunctionafterrepeatedIVR.Elevenmonthsafterthe.rstIVR,despiteintensivemedicaltreatmentagainstprogressiverenaldysfunction,dialysiswasinitiated.Itisnecessarytogivecareandattentiontorenalfunctioninanti-VEGFtherapyforDME,andtoavoidrepeatinginjectionsroutinely.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)34(3):419.424,2017〕Keywords:糖尿病黄斑浮腫,ラニビズマブ硝子体内注射,抗VEGF抗体,糖尿病性腎症,腎生検.diabeticmacu-laredema,intravitrealranibizumabinjection,anti-VEGFantibody,diabeticnephropathy,renalbiopsy.はじめに抗VEGF(vascularendothelialgrowthfactor:血管内皮増殖因子)抗体硝子体内注射は,現在,糖尿病黄斑浮腫(dia-beticmacularedema:DME)治療の主流になりつつある.しかし,同効薬である抗癌剤ベバシズマブの全身的副作用には高血圧や蛋白尿などが多く報告1)されており,全身合併症を有する頻度の高い糖尿病患者では,他の疾患に比べてその全身的影響が懸念されている.今回,筆者らは,初診時より腎症を有するDME患者に対し,抗VEGF抗体であるラニビズマブ硝子体内注射(intravitrealinjectionofranibizum-ab:IVR)を連続3回施行したところ,反応は不良で,かつ3回連続投与後に,急速な腎機能障害の悪化・進行が判明し〔別刷請求先〕善本三和子:〒102-8798東京都千代田区富士見2-14-23東京逓信病院眼科Reprintrequests:MiwakoYoshimoto,M.D.,DepartmentofOphthalmology,TokyoTeishinHospital,2-14-23,Fujimi,Chiyoda-ku,Tokyo102-8798,JAPANた症例を経験したので報告する.I症例患者:56歳男性.主訴:下腿浮腫,発赤.現病歴:2014年3月中旬,左足関節部の傷と下腿の発赤腫脹を自覚し,同年3月18日当院皮膚科を受診.下腿蜂窩織炎を認め,全身検査の結果,HbA1C12.2%,尿糖4+,尿蛋白3+であり,糖尿病と診断(表1)され,抗菌薬全身投与とともに,強化インスリン療法,降圧薬の投与を開始,その後,3月24日糖尿病網膜症精査目的にて当科初診.既往歴:1998年頃,肥満(体重113kg,BMI34.11kg/m2),尿糖指摘.その後自己流の運動療法で体重が20kg減少し,放置.家族歴:糖尿病:弟,高血圧:母.初診時眼科所見:視力は,RV=0.15(1.2×sph.2.25D(cyl.0.5DAx90°),LV=0.1(1.2×sph.2.25D(cyl.0.5DAx90°),眼圧:両眼18mmHg,前眼部所見:角膜・前房異常なし.軽度の白内障あり.虹彩・隅角異常なし.眼底所見:両眼ともに多数の網膜出血と軟性白斑が散在し,初診時黄斑部光干渉断層計(opticalcoherencetomography:OCT)所見では,右眼黄斑浮腫なし,左眼にはわずかな漿液性網膜.離(serousretinaldetachment:SRD)と中心窩上方に軽度の網膜膨化を認めた(図1).経過:3月25日,フルオレセイン蛍光眼底造影(.uoresceinangiography:FA)では,両眼の中間周辺部網膜に無灌流域(nonperfusionarea:NPA)を認め,とくに右眼の鼻側網膜で広く,また右眼黄斑部には造影後期に毛細血管瘤からの蛍光漏出および貯留を認めた.3月31日,右眼の視力低下(矯正0.8)を訴え,OCTでは.胞様黄斑浮腫と網膜の膨化所見を認めたため,トリアムシノロンTenon.下注射(sub-Tenon’striamcinoloneacetonideinjection:STTA)を施行し,その後,右眼黄斑局所凝固およびNPAに対する病巣凝固を開始し,4月30日には右眼DMEは消失した.初診から3カ月後には,HbA1Cは6.7%に低下し,それ以後は,テネリグリプチン(選択的DPP-4阻害薬:テネリアR20mg1錠/日)内服治療の下,HbA1Cは5.7.6.2%と良好なコントロール状態が続いた.初診から3カ月後のFAの結果,左眼のNPAに対する病巣凝固を施行し(両眼ともにDMEの再燃なし),初診から9カ月後(2014年12月)のFAでは,右眼でさらにNPAが拡大し,左眼では網膜新生血管を認め,OCTでは右眼にわずかなSRDと網膜膨化が再燃していたため,先に右眼STTAを施行後,DMEが軽減したため,網膜光凝固を追加,さらに左眼にも網膜光凝固を追加した.2015年1月7日受診時,右眼のDMEの網膜膨化所見が悪化(図2a)していたため,同年2月6日より右眼IVRを開始したところ,反応不良であったため,その後3月13日,4月24日と連続3回IVRを施行した.しかし,中心窩網膜厚(centralretinalthickness:CRT)は改善せず(図2b.d),同時期に腎機能障害の急速な進行が発覚したた表1初診時全身検査結果血液検査所見WBC(×103μl)15.6×103RBC(×106μl)4.39×106Hb(g/dl)13.5Ht(%)38.4Plt(×103μl)283×103CRP(mg/dl)19.11Na/K/Cl(mEq/l)136.7/5.0/99.3GOT/GPT(IU/l)26/18TP/Alb(g/dl)5.9/2.1BUN/CRE(mg/dl)26.6/1.79BS(mg/dl)朝食後5h504HbA1C(%)12.2eGFR32.3(ml/分/1.73m2)尿所見尿糖/尿蛋白4+/3+尿ケトン体─蛋白質定量(mg/dl)569TP/CRE(g/gCr)6.13NAG(U/l)34.3b2ミクログロブリン(ng/ml)52370身体所見身長182cmBMI26.4体重91.35kg血圧180/95異常値を○○(斜体と下線)で示す.eGFRは推算糸球体濾過量(基準値:90以上),TP/CREは1日尿蛋白量(正常:0.15未満),NAG(N-アセチル-b-D-グルコサミダーゼ正常:7以下),b2ミクログロブリン(正常:230以下)はともに尿細管障害の指標.本症例はeGFRおよび尿TP/CREより,糖尿病腎症3期(顕性腎症期)と診断された.図1初診時眼底写真とOCT2014年3月24日眼科初診時の眼底写真(右眼:a,左眼:d),および黄斑部水平断(右眼:b,左眼:e)および垂直断(右眼:c,左眼:f)OCT撮影画像を示す.眼底検査では両眼ともに多数の網膜出血と軟性白斑を認めた.OCTでは,右眼には明らかな黄斑浮腫はなく,左眼にわずかな漿液性網膜.離と中心窩上方の軽度の網膜膨化所見を認めた.め,本症例の黄斑浮腫には全身性因子の関与が強い可能性も考えられたため,その後のIVRを中止し経過観察とした.腎機能データは,当院初診時より顕性腎症期(糖尿病腎症)であったが,内科治療開始後約9カ月間は,血1表期)(3清クレアチニン値が1.3.1.7mg/dlを維持したまま経過していた.しかし,右眼DMEが再燃したため,IVRを開始し(同時期の血清クレアチニン値2.04mg/dl),連続3回施行したところ,3回目のIVRの1週間後の4月30日腎臓内科受診時,血清クレアチニン値が3.23mg/dlと急激に上昇していたため,当院腎臓内科に即日入院となった.IVR前後の右眼CRTの変化と腎機能データの推移を図3に示す.IVR後の腎臓内科入院約1カ月間,安静と飲水励行および減塩食による食事療法,降圧薬や脂質異常症治療薬の内服にて全身浮腫は改善しいったん退院したが,退院後早期に全身性浮腫が再度悪化し,7月21日腎臓内科に再入院となり,急激な腎機能障害の進行の精査目的に8月3日腎生検を施行した.病理組織学的検査(図4)では,糸球体には,慢性経過の糖尿病性腎症の病理所見で,糖尿病性結節性硬化の初期病変と考えられる細胞浸潤を伴った活動性の高いメサンギウム融解像を認めたことや,比較的新しい内皮障害が示唆される細動脈硝子化や尿細管の滲出病変が散見されたことなどから,最近になって比較的急速に進展した糖尿病性腎症の所見2)と考えられ,臨床経過を考慮すると,IVRの全身的影響の一部である可能性も考えられた.その後は,複数回の入院治療を含む積極的な内科治療にも抵抗して腎機能障害は進行し,2015年10月シャント造設,2016年1月透析導入となった.IVR後の右眼DMEは,腎臓内科入院後徐々にCRTが減少し,入院後3カ月でほぼ浮腫は消失し,その後は全身浮腫が悪化してもCRTは約250μm程度のまま,浮腫は再燃せずに経過した.なお,左眼のDMEは上記経過中出現していない.II考察DMEは,眼局所因子と全身因子が複雑にかかわり合って発症3)し,また患者個々に病態が異なることから,その治療法は大変複雑である.また,そのためかDMEに対する抗VEGF抗体単回投与の反応は,他の加齢黄斑変性や網膜静脈閉塞症に比して緩やかであり,繰り返し使用を余儀なくされることも多く4),さらに治療法の選択を困難にしていると*:CRT図2IVR前後の右眼黄斑部OCT所見(上段:水平断下段:垂直断)2015年1月7日(a),DMEが再発していたため,2月6日(b)に初回IVR,3月13日(c)に第2回IVR,4月24日(d)に第3回のIVRを施行したが,CRTは増加した.思われる.抗VEGF抗体硝子体内注射の全身的副作用としては,DME患者では狭心症・心筋梗塞,高血圧症などが少数例報告されてはいる5)ものの,大規模スタディでは,対象群と抗VEGF抗体治療群を比較しても全身的副作用の発現に有意差はない6)とされている.しかし,これらの大規模スタディの対象患者の患者背景は,比較的全身状態の良好な患者に限定されていることに注意する必要がある.抗VEGF抗体硝子体内注射後の血中VEGF濃度の推移をみた報告7)では,硝子体内注射後,血中VEGF濃度が上昇し,かつ腎障害のある患者では,そのクリアランスが低下していることや,抗VEGF抗体硝子体内注射後の腎臓組織には抗VEGF抗体が存在し,さらにVEGF活性が低下していることが報告8)されており,抗VEGF抗体硝子体内注射が腎組織に対して影響を与える可能性も考えられる.また,過去には,抗VEGF抗体の硝子体内注射後に,腎機能障害が進行した症例が報告9,10)がされており,とくに糖尿病性腎症があるDME患者において抗VEGF抗体硝子体内注射を繰り返し施行する際には,腎機能の推移に注意する必要があると考える.さらに,腎機能に対する注意は,副作用という観点だけではなく,腎機能障害が進行しつつある症例では,全身因子としてのDME悪化要因が加わることで,抗VEGF抗体注射に対する反応も不良となるため,その誤った評価により,不必要な注射を繰り返すことを避けるためにも重要であると考えられる.抗VEGF抗体である,ベバシズマブは,以前より大腸癌などの抗癌剤として全身投与が行われている薬剤であり,その全身投与時の副作用として高血圧や蛋白尿が高率に報告されており1),症例の腎生検の組織学的検討を行った報告11.16)がなされている.それらによると,腎臓組織におけるVEGFの役割は,いまだ不明な点も多いが,VEGFはおもにpodo-cyteや尿細管上皮から産生され14),糸球体毛細血管の内皮700中心窩600網膜厚500CRT400(μm)3002003.525尿NAG(Ul)尿TP/CRE(g/gCr)3201400012000血清Cr(mg/dl)尿b2MG(ng/dl)2.51510000280001060001.54000200005100.52014/10/92014/11/92014/12/92015/1/92015/2/92015/3/92015/4/92015/5/9図3IVR前後の中心窩網膜厚(CRT)と腎機能データの変化上段には中心窩網膜厚(CRT)の変化とIVR施行日を示す.下段グラフは左軸に血清クレアチニン値(実線・,□の中に実測値),尿NAG(細点線・▲),尿TP/CRE(長点線・●),右軸にb2ミクログロブリン(実線・■)を示した.グラフ右下の棒グラフは尿糖を示し,IVR開始後出現し増加した.図4腎生検(病理所見)a:糸球体.糖尿病性腎症に矛盾しない結節性病変を多数認める.b:aの拡大写真.細胞浸潤を伴うメサンギウム細胞誘融解(.)を認め,結節性病変形成の初期病変と考えられた.c:尿細管の滲出病変,尿細管間質萎縮と線維化.d:血管の光顕像(PAM染色).内皮障害を示唆する細小動脈の硝子化.細胞のfenestration形成にかかわることにより,糸球体の構造や機能を維持する役割11)や,毛細血管障害が生じた場合の修復の役割も担うこと16)が報告されている.したがって,VEGFを阻害することにより,腎臓の毛細血管の成長が阻害されることにより毛細血管障害が起こり,さらにその修復過程も阻害されることにより,腎臓組織内の毛細血管障害やthromboticmicroangiopathy(TMA)などが引き起こされることが推測されている.本症例の腎機能障害の進行経過は,通常の糖尿病腎症を否定するものではないが,IVR開始後の進行速度が,非常に急速でかつ内科的治療に抵抗性であったこと,またHbA1C5.6%と血糖コントロール良好であるにもかかわらず,IVR開始後に尿糖が陽性になり,その後増加していったことは,通常の糖尿病腎症の進行経過中にはみられない点として着目した.通常の糖尿病性腎症の進行速度は,さまざまな要因によって修飾されるため,一定速度であるとは限らないが,過去の報告17)によると,血清クレアチニン値2.0mg/dlから透析導入に至るまでの期間は糖尿病腎不全症例36例の検討では平均2年4カ月と報告されており,本症例では経過は,約1年であり,比較的早い経過で腎不全に進行した症例と考えられた.さらに腎生検では糖尿病腎症に矛盾しない所見に加えて,この病期の糖尿病腎症患者ではみることが少ない,初期病変が散見されたことは,それまで存在していた糖尿病性腎症がIVRによりさらに後押しされたように進行した可能性も考えられたが,因果関係は不明である.DMEに対する抗VEGF抗体硝子体内注射は大変有用な治療法である.しかし,DME患者では糖尿病腎症を合併していることが多く,繰り返し治療を行う場合には進行性の腎機能障害があるかどうか,治療開始後,腎機能データに著しい変動はないか,という点に注意する必要があると思われた.とくに腎症を有し,DME治療開始時期に血清クレアチニン値が上昇傾向にある患者では,腎臓内科主治医と連絡をとりあいながら治療法を決定することが望ましいと考える.利益相反:利益相反公表基準に該当なし文献1)ZhuX,WuS,DahutWLetal:Risksofproteinuriaandhypertensionwithbevacizumab,anantibodyagainstvas-cularendothelialgrowthfactor:systemicreviewandmeta-analysis.AmJKidneyDis49:186-193,20072)齋藤弥章,木田寛,吉村光弘ほか:糖尿病性腎症におけるMesangiolysisについて.日腎誌26:367-375,19843)BresnickGH:Diabeticmaculopathy.Acriticalreviewhighlightingdi.usemacularedema.Ophthalmology90:1301-1317,19834)BrownDM,NguyenQD,MarcusDMetal:Long-termoutcomesofranibizumabondiabeticmacularedema:the36-monthresultsfromtwophaseIIItrials:RISEandRIDE.Ophthalmology120:2013-2022,20135)医薬品インタビューホーム:眼科用VEGF阻害剤(ヒト化VEGFモノクローナル抗体Fab断片)ルセンティス硝子体内注射10mg/mlVIII安全性(使用上の注意等)に関する項目.VIII-8副作用.p56-58,2015年3月改訂(改訂第11版)6)LangGE,BertaA,EldemBMetal:Two-yearsafetyande.cacyofranibizumab0.5mgindiabeticmacularedema:interimanalysisoftheRESTOREeztensionstudy:Oph-thalmology120:2004-2012,20137)医薬品インタビューホーム:眼科用VEGF阻害剤(ヒト化VEGFモノクローナル抗体Fab断片)ルセンティス硝子体内注射10mg/ml.VII.薬物動態に関する項目.p47-51,2015年3月改訂(改訂第11版)8)TschlakowA,ChristnerS,JulienSetal:E.ectsofasin-gleintravitrealinjectionofa.iberceptandranibizumabonglomeruliofmonkeys.PLoSOne21:e113701,20149)PelleG,ShwekeN,DuongVanHuyenJPetal:Systemicandkidneytoxicityofintraocularadministrationofvascu-larendothelialgrowthfactorinhibitors.AmJKidneyDis57:756-759,201110)GeorgalasI,PapaconstantinouD,PapadopoulosKetal:Renalinjuryfollowingintravitrealanti-VEGFadministra-tionindiabeticpatientswithproliferativediabeticretinop-athyandchronickidneydisease-Apossiblesidee.ect?CurrentDrugSafety9:156-158,201411)EreminaV,Je.ersonJA,KowalewskaJetal:VEGFInhi-bitionandRenalThromboticMicroangiopathy.NEnglJMed358:112-1136,200812)SugimotoH,HamanoY,CharytanDetal:Neutralizationofcirculatingvascularendothelialgrowthfactor(VEGF)byanti-VEGFantibodiesandsolubleVEGFreceptor1(sFlt-1)inducesproteinuria.JBiolChem278:12605-12608,200313)GeorgeBA,ZhouXJ,TotoR:Nephroticsyndromeafterbevacizumab:casereportandliteraturereview.AmJKidneyDis49:E23-E29,200714)FrangieC,LefaucheurC,MedioniJetal:Renalthrom-boticmicroangiopathycausedbyanti-VEGF-antibodytreatmentformetastaticrenal-cellcarcinoma.LancetOncol8:177-178,200715)RonconeD,SatoskarA,NadasdyTet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抗VEGF 抗体の硝子体注射における硝子体脱出の頻度

2011年5月31日 火曜日

0910-1810/11/\100/頁/JCOPY(125)727《原著》あたらしい眼科28(5):727.729,2011cはじめに硝子体注射は眼科治療法の一つであり,近年特に抗VEGF(vascularendothelialgrowthfactor)抗体の硝子体注射の有効性が認知され,今後ますます盛んに行われると考えられる.硝子体注射に伴う重篤な合併症の一つに感染性眼内炎がある.過去の報告によると,硝子体注射症例の0.019~0.052%の頻度で眼内炎が生じたとしている1~4).眼内炎の危険因子の一つとしては,硝子体注射に伴う硝子体脱出を指摘する報告がある5)が,わが国において硝子体脱出の頻度を詳細に調査した報告はない.今回筆者らは,硝子体注射に伴う硝子体脱出の頻度(以下,硝子体脱出率)をプロスペクティブに調査し,さらに患者背景因子との関連について検討したので報告する.I対象および方法対象は当院にて2009年3月から12月の間に加齢黄斑変性に対してranibizumab(0.5mg/0.05ml)の硝子体注射を行った症例である.複数回投与を行っている症例は,症例ごとの何らかの因子が硝子体脱出率に影響する可能性があるため,初回投与のみを対象とした.硝子体手術の既往がある症〔別刷請求先〕大塚斎史:〒780-0935高知市旭町1丁目104番地町田病院Reprintrequests:YoshifumiOhtsuka,M.D.,MachidaHospital,104-1Asahimachi,Kochicity,Kochi780-0935,JAPAN抗VEGF抗体の硝子体注射における硝子体脱出の頻度大塚斎史橋田正継山本恭三星最智卜部公章町田病院FrequencyofVitreousRefluxinIntravitrealInjectionofAnti-VEGFAntibodyYoshifumiOhtsuka,MasatsuguHashida,TakamiYamamoto,SaichiHoshiandKimiakiUrabeMachidaHospital目的:抗VEGF(vascularendothelialgrowthfactor)抗体の硝子体注射に伴う硝子体脱出の頻度(以下,硝子体脱出率)を検討した.対象および方法:2009年3月から12月の間にranibizumab(0.5mg/0.05ml)の硝子体注射を行った52症例のうち初回投与のみを対象とした.30ゲージ針で硝子体注射を行い,吸収スポンジを用いて硝子体脱出の有無を確認し硝子体脱出率を検討した.また,硝子体脱出率と患者背景因子(性別,年齢,水晶体の状態,眼圧,屈折値)との関連について解析した.結果:全症例での硝子体脱出率は23.1%であった.有水晶体眼(29眼)の硝子体脱出率は34.5%であり,偽水晶体眼(23眼)の8.7%よりも有意に高かった(p=0.03).結論:硝子体注射後の硝子体脱出率は特に有水晶体眼で高かった.Objectives:Toinvestigatethefrequencyofvitreousrefluxfollowingtheintravitrealinjectionofanti-vascularendothelialgrowthfactor(anti-VEGF).SubjectsandMethods:Fifty-twocasesofpatientswhoreceivedafirstintravitrealinjectionofanti-VEGF(ranibizumab,0.5mg/0.05ml)betweenMarchandDecember2009wereenrolledinthisstudy.Anintravitrealinjectionusinga30-gaugeneedlewasperformedineachpatientandthevitreousrefluxwastheninvestigatedusinganabsorbingsponge.Therelationbetweeneachpatient’sfactorssuchasgender,age,eitherphakicorpseudophakiceye,intraocularpressure,refractiveindex,andthevitreousrefluxratewasthendetermined.Results:Thevitreousrefluxratewasobservedin23.1%ofthetotaleyes.Therewasasignificantdifference(p=0.03)inthevitreousrefluxratebetweenthephakiceyes(29eyes,34.5%)andthepseudophakiceyes(23eyes,8.7%).Conclusion:Thevitreousrefluxrateinphakiceyeswassignificantlyhigherthanthatinpseudophakiceyes.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)28(5):727.729,2011〕Keywords:硝子体注射,硝子体脱出,眼内炎,抗VEGF抗体.intravitrealinjection,vitreousreflux,endophthalmitis,anti-VEGFantibody.728あたらしい眼科Vol.28,No.5,2011(126)例は除外した.硝子体注射は手術顕微鏡下に30ゲージ針を用いて経結膜的に毛様体扁平部から行った.30ゲージ針の刺入方法は,強膜に対して垂直に刺入するだけであり,その他の特別な手技は用いていなかった.抜針後は速やかに綿棒または鑷子で強膜創を圧迫した後,吸収スポンジを用いて刺入部位からの硝子体脱出の有無を確認した.硝子体脱出を認めた場合は,吸収スポンジにて脱出した硝子体を持ち上げながらスプリング剪刀で切除した(図1).術前および術後3日間は0.5%モキシフロキサシン点眼液(ベガモックスR点眼液0.5%)の点眼を行った.検討項目として,全症例における硝子体脱出率を検討した.さらに,硝子体脱出率に影響を与えている因子を検討するため,硝子体脱出率と患者背景因子(性別,年齢,水晶体の状態,眼圧,屈折値)との関連について解析した.水晶体の状態は有水晶体眼と偽水晶体眼とに分類し,眼圧は硝子体注射前にノンコンタクト眼圧計を用いて測定した.屈折値は有水晶体眼では硝子体注射前の値を,偽水晶体眼では白内障手術前の屈折値を使用し,等価球面度数として検討した.偽水晶体眼の症例でカルテ上,以前の屈折値がわからないものは,屈折値に関する検討から省いた.統計学的処理は,性別,水晶体の状態についてはMann-WhitneyUtestを,年齢,眼圧,屈折値についてはFisher’sexacttestを用い,p<0.05を有意と判定した.II結果症例は52例52眼(男性35例35眼,女性17例17眼)で,平均年齢は74.5±9.6歳(47~93歳),眼圧の平均値は12.2±2.9mmHg(9~19mmHg)であった.症例全体の硝子体脱出率は23.1%(52眼中12眼)であった.患者背景因子として屈折値を含めて検討を行ったのは52眼中35眼で,平均の等価球面度数は.0.4±2.0D(+3~.7.75D)であった.硝子体脱出率と患者背景因子との関連を検討したところ,性別(p=0.60),年齢(p=0.92),眼圧(p=1.00),屈折値(p=0.38)であり,いずれも有意な関連は認めなかった.しかしながら,水晶体の状態ごとの硝子体脱出率に関しては,偽水晶体眼では8.7%(23眼中2眼)であるのに対し,有水晶体眼で34.5%(29眼中10眼)と有意に高かった(p=0.03)(図2).加えて,有水晶体群と偽水晶体群で,性別,年齢,眼圧,屈折値を比較すると,表1のような結果となった.2群間の比較で有意差があったのは平均年齢のみで,偽水晶体群では平均年齢が高かった.年齢が交絡因子となっている可能性も否定できないため,年齢と水晶体の状態を説明変数,硝子体脱出の有無を目的変数として多重ロジスティック回帰分析を行ったところ,年齢〔オッズ比1.1,95%信頼区間(95%CI):0.98~1.23,p=0.09〕,水晶体の状態(オッズ比18.3,95%CI:1.97~169.5,p=0.01)であり,年齢の影響を除いても,有水晶体眼で有意に硝子体脱出率が高かった.なお,今回の調査中に眼内炎や網膜.離などの眼合併症は認めなかった.II考按抗VEGF抗体の硝子体注射に伴う重大な合併症の一つに感染性眼内炎がある.硝子体注射の直後に吸収スポンジなどを用いて刺入部を詳細に観察すると,創口に嵌頓した硝子体を認めることがある.Chenらはこれをvitreouswicksyn表1有水晶体群と偽水晶体群の比較有水晶体群(n=29)偽水晶体群(n=23)p値性別(男:女)18:1117:60.27年齢(歳)69.2±8.481.1±6.4<0.0001眼圧(mmHg)12.2±3.112.2±2.80.96屈折値(D)0.12±2.2.0.79±1.00.10図1硝子体注射直後の硝子体脱出吸収スポンジにて硝子体脱出の有無を確認した(矢印).4035302520151050有水晶体眼偽水晶体眼硝子体脱出率(%)**p=0.03図2水晶体の状態ごとの硝子体脱出率有水晶体眼では,偽水晶体眼と比べ有意に硝子体脱出率が高かった.(127)あたらしい眼科Vol.28,No.5,2011729dromeとよび,硝子体注射後の感染性眼内炎の一因となっている可能性があると指摘している5).これまでの硝子体脱出の頻度に関する報告として,Benzらは38眼に対し0.1mlのトリアムシノロンを27ゲージ針にて硝子体注射したところ,硝子体脱出率が21.1%であったと報告している6).今回の筆者らの検討では硝子体脱出率は23.1%であり,Benzらの報告と比べて硝子体注射をした薬剤の体積が少ないという違いはあるものの,硝子体脱出率は近似した結果となった.このことは,抗VEGF抗体とトリアムシノロンという使用薬剤の相違以外に硝子体脱出のリスク因子が存在し,さらに,筆者らの結果が注射手技の熟練度などの技術的な問題のみで生じた結果ではないことを示唆している.そこで,硝子体脱出率と患者背景との関連を検討したところ,性別,年齢,眼圧,屈折値では有意な相違があるとはいえなかった.しかしながら,水晶体の状態に関しては,有水晶体眼と偽水晶体眼の硝子体脱出率はそれぞれ34.5%,8.7%となり,有水晶体眼で有意に高い結果となった.偽水晶体眼で硝子体脱出率が低下した原因として,白内障手術を契機に眼内の環境が変化したことが推察される.一つの仮説として,水晶体の占めていた容積が眼内レンズとなったことで硝子体腔の体積が相対的に増加し,硝子体注射による圧変動が減少する可能性が考えられるが,詳細は不明である.硝子体注射に伴う硝子体脱出の頻度について,わが国では今回の筆者らの報告以外に調査した報告はなく,発生すること自体に認識が十分でない可能性がある.今後は硝子体注射を行う際,注射直後に吸引スポンジなどを用いて硝子体脱出の有無を注意深く確認することが重要と考えられた.硝子体注射の際に硝子体脱出を生じにくくするための試みは過去に報告がある.Rodriguesらは,強膜に対して30°の角度で針の先端を1.5mm程度強膜半層まで進めて,その後硝子体腔の中心に向かって針を垂直に立てて穿刺するというtunneledscleralincisionによって,硝子体脱出の量が減少したと報告している7).小切開硝子体手術の際に結膜をずらしてカニューラの設置を行うことがある8)が,硝子体注射においても同様の手技で行うことにより,結膜からの硝子体の露出を防ぐことができるかもしれない.今後は,硝子体脱出が起こりにくくするための標準的な硝子体注射手技について検証していく必要がある.筆者らの検討における問題点として,まず,硝子体注射後の眼圧が硝子体脱出率に与える影響を調査していないことがあげられる.硝子体注射の直後に眼圧が上昇することがあり,Benzらの報告ではトリアムシノロン0.1mlの硝子体注射直後の平均眼圧が,硝子体脱出がなかった群では45.9mmHg,硝子体脱出があった群では12.6mmHgであったとしている.抗VEGF抗体の投与量は0.05mlであり,Benzらの報告よりも少量ではあるが,今後は硝子体注射後の眼圧上昇の頻度や硝子体脱出との関連を検討する必要がある.つぎに,今回の検討項目で屈折率では有意な関連がなかったものの,眼軸長を患者背景因子に加えた検討が望ましいと考えられる.また,硝子体脱出の確認方法について,吸収スポンジにて硝子体の検出を行っているが,その手技によるバイアスも考えられ今後の検討を要する.以上,まとめとして,検討では硝子体脱出率は23.1%と比較的高く,有水晶体眼では偽水晶体眼より硝子体脱出率が高かった.硝子体注射を行った直後には,吸引スポンジなどを用いて硝子体脱出の有無を注意深く確認することが重要であり,硝子体脱出を認めた場合は脱出硝子体を適切に処理すべきであると考えられた.文献1)JonasJB,SpandauUH,RenschFetal:Infectiousandnoninfectiousendophthalmitisafterintravitrealbevacizmab.JOculPharmacolTher23:240-242,20072)MasonJO3rd,WhiteMF,FeistRMetal:Incidenceofacuteonsetendophthalmitisfollowingintravitrealbevacizumab(Avastin)injection.Retina28:564-567,20083)PilliS,KotsolisA,SpaideRFetal:Endophthalmitisassociatedwithintravitrealanti-vascularendothelialgrowthfactortherapyinjectionsinanofficesetting.AmJOphthalmol145:879-882,20084)FintakDR,ShahGK,BlinderKJetal:Incidenceofendophthalmitisrelatedtointravitrealinjectionofbevacizumabandranibizumab.Retina28:1395-1399,20085)ChenSD,MohammedQ,BowlingBetal:Vitreouswicksyndrome─apotentialcauseofendophthalmitisafterintravitrealinjectionoftriamcinolonethroughtheparsplana.AmJOphthalmol137:1159-1160,20046)BenzMS,AlbiniTA,HolzERetal:Short-termcourseofintraocularpressureafterintravitrealinjectionoftriamcinoloneacetonide.Ophthalmology113:1174-1178,20067)RodriguesEB,MeyerCH,GrumannAetal:Tunneledscleralincisiontopreventvitrealrefluxafterintravitrealinjection.AmJOphthalmol143:1035-1037,20078)野田徹,寺内直毅:硝子体手術の道具立て.眼科プラクティス17巻,みんなの硝子体手術(田野保雄編),p53-61,文光堂,2007***