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多施設による緑内障患者の実態調査2020 年度版 ─高齢患者と若年・中年患者─

2022年2月28日 月曜日

《原著》あたらしい眼科39(2):219.225,2022c多施設による緑内障患者の実態調査2020年度版─高齢患者と若年・中年患者─藤嶋さくら*1井上賢治*1國松志保*2井上順治*2石田恭子*3富田剛司*1,3*1井上眼科病院*2西葛西・井上眼科病院*3東邦大学医療センター大橋病院眼科CASurveyofElderlyandYoung/Middle-AgeGlaucomaPatientsSeenatMultipleInstitutionsin2020SakuraFujishima1),KenjiInoue1),ShihoKunimatsu-Sanuki2),JunjiInoue2),KyokoIshida3)andGojiTomita1,3)1)InouyeEyeHospital,2)NishikasaiInouyeEyeHospital,3)DepartmentofOphthalmology,TohoUniversityOhashiMedicalCenterC目的:眼科病院または診療所に通院中の緑内障患者の薬物治療実態を調査し,そのなかから高齢患者と若年・中年患者の相違を検討した.対象および方法:本調査の趣旨に賛同したC78施設にC2020年C3月C8.14日に外来受診した緑内障,高眼圧症患者C5,303例を対象とし,患者背景,使用薬剤を調査した.そのなかでC65歳以上の高齢患者C3,534例とC65歳未満の若年・中年患者C1,769例に分けて比較した.さらにC2016年の前回調査と比較した.結果:薬剤数は高齢患者(1.8C±1.3剤)で若年・中年患者(1.7C±1.2剤)より多かった.単剤例は高齢患者(1,431例)と若年・中年患者(772例)でともにプロスタグランジン(PG)関連薬が最多だった.2剤例は高齢患者(815例)と若年・中年患者(402例)でともにCPG関連薬/Cb遮断薬配合剤が最多だった.前回調査と比べてC2剤例で配合剤が増加し,PG関連薬+b(ab)遮断薬が減少した.結論:高齢患者と若年・中年患者の薬物治療は似ていた.単剤例はCPG関連薬,2剤例ではPG関連薬/Cb遮断薬配合剤が多く使用されていた.CPurpose:Toinvestigateage-relateddi.erencesinmedicationsusedandtherapiesadministeredinglaucomapatientsseenatmultipleinstitutions.Subjectsandmethods:Inthisstudy,weinvestigatedandcomparedpatientbackgroundCandCmedicationsCadministeredCinC5,303CpatientsCwithCglaucomaCandCocularChypertensionCdividedCintoCtwoCagegroups[elderly:≧65Cyearsold(n=3,534patients);young/middle-age:<65Cyearsold(n=1,769patients)]seenat78outpatientclinicsinJapanbetweenMarch8andMarch14,2020.Themedicationsandtypesusedwerecomparedbetweenthetwogroups,andalsocomparedwiththe.ndingsinour2016study.Results:CThemeannumberofmedicationsadministeredintheelderlypatientswasgreaterthanthatintheyoung/middle-agedpatients(i.e.,1.8±1.3vs.1.7±1.2,respectively).Inbothgroups,prostaglandin(PG)-analogswerethedrugsmostCfrequentlyCadministeredCinCtheCpatientsCundergoingCmonotherapy,CwhileCPG-analogs/b-blockersC.xed-combinationwerethedrugsmostfrequentlyadministeredinthe‘multiple-medication’patients.Comparedtothe.ndingsinthe2016study,theuseof.xed-combinationdrugsincreasedinthemultiple-medicationpatients,whiletheCuseCofCPG-analogs+b(ab)-blockersCdecreased.CConclusion:AlthoughCtheCmedicationsCadministeredCinCbothCgroupsweresimilar,PG-analogsandPG-analogs/b-blockers.xed-combination,respectively,werethedrugsmostfrequentlyadministeredinmonotherapyandmultiple-medicationglaucomapatients.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)C39(2):219.225,C2022〕Keywords:緑内障,薬物治療,高齢患者,若年・中年患者,配合剤.glaucoma,medication,elderpatients,youngerormiddleagedpatients,.xedcombinationeyedrops.C〔別刷請求先〕藤嶋さくら:〒101-0062東京都千代田区神田駿河台C4-3井上眼科病院Reprintrequests:SakuraFujishima,M.D.,InouyeEyeHospital,4-3Kanda-Surugadai,Chiyoda-ku,Tokyo101-0062,JAPANC0910-1810/22/\100/頁/JCOPY(87)C219表1参加施設ふじた眼科クリニックえづれ眼科川島眼科鬼怒川眼科医院とやま眼科博愛こばやし眼科いずみ眼科クリニックおおはら眼科さいはく眼科クリニックサンアイ眼科篠崎駅前髙橋眼科久が原眼科さいき眼科みやざき眼科藤原眼科石井眼科クリニックはしだ眼科クリニックかわぞえ眼科クリニックやながわ眼科そが眼科クリニック槇眼科医院ふかさく眼科高輪台眼科クリニック大原ちか眼科たじま眼科・形成外科早稲田眼科診療所かさい眼科あおやぎ眼科井荻菊池眼科ほりかわ眼科久我山井の頭通り本郷眼科いなげ眼科やなせ眼科吉田眼科赤塚眼科はやし医院的場眼科クリニックのだ眼科麻酔科医院えぎ眼科仙川クリニックにしかまた眼科みやけ眼科東小金井駅前眼科小川眼科診療所高根台眼科後藤眼科良田眼科谷津駅前あじさい眼科おがわ眼科白金眼科クリニックおおあみ眼科西府ひかり眼科あつみクリニック中山眼科医院だんのうえ眼科クリニックあつみ整形外科・眼科クリニックもりちか眼科クリニック綱島駅前眼科林眼科医院中沢眼科医院眼科中井医院なかむら眼科・形成外科駒込みつい眼科さいとう眼科さくら眼科・内科立川しんどう眼科ヒルサイド眼科クリニック井上眼科病院町屋駅前眼科図師眼科医院お茶の水・井上眼科クリニック菅原眼科クリニックいまこが眼科医院西葛西・井上眼科病院うえだ眼科クリニックむらかみ眼科クリニック大宮・井上眼科クリニック江本眼科ガキヤ眼科医院札幌・井上眼科クリニックはじめに日本の総人口はC2019年C10月現在C1億C2,617万人である1).2015年頃より総人口は減少を続けている.一方,65歳以上人口はC3,589万人で,総人口に占める割合(高齢化率)は28.4%である.65歳以上人口と高齢化率は年々増加している.このことから眼科を受診する患者もC65歳以上の高齢者が増加すると予想される.40歳以上を対象として行われた多治見スタディにおいても緑内障の有病率は年齢とともに増加していた2).今後,高齢患者はますます増加し,われわれ眼科医が高齢の緑内障患者を診察する機会も増加することが予想される.緑内障治療の第一選択は点眼薬治療である3).点眼薬には効果と副作用があり,処方する際にはそのバランスを考慮する必要がある.副作用には全身性と眼局所性があり,全身性の副作用では他の疾患を引き起こしたり悪化させたりする危険がある.そこで身体機能が若年・中年者に比べて低下していると考えられる高齢者では使用しづらい.また,眼局所性の副作用ではアドヒアランスが低下する危険がある.近年プロスタグランジン関連薬による眼局所の美容的副作用(眼瞼色素沈着,上眼瞼溝深化)3)が問題になっており,女性や若年患者では使用しづらい状況である.それらを考慮した薬剤順不同・敬称略処方が眼科医によって行われていると考えると,高齢患者と若年・中年患者では使用する薬剤が異なる可能性がある.そこで年齢による緑内障薬物治療の相違を調査する目的で筆者らは緑内障患者の薬物治療の実態調査をC2007年より定期的に行っている4.7).2016年の前回調査4)よりC4年が経過し,さらにその間に眼圧下降の作用機序の異なる点眼薬(オミデネパグ点眼薬)とC2種類の配合点眼薬(ラタノプロスト/カルテオロール配合点眼薬,ブリモニジン/チモロール配合点眼薬)の合計C3種類の点眼薬が新規に使用可能となった.そこで今回,緑内障薬物治療の実態調査を再度行い,高齢患者と若年・中年患者での使用薬剤の違いを再検討した.さらに前回調査4)の結果と比較することで,経年的変化を検討した.CI対象および方法この調査は,調査の趣旨に賛同した眼科病院あるいは眼科診療所C78施設において,2020年C3月C8.14日に行った(表1).この調査期間内に,調査施設の外来を受診した緑内障および高眼圧症患者全員で,1例C1眼を対象とした.総症例数はC5,303例(男性C2,347例,女性C2,956例),年齢はC68.7C±13.1歳(平均C±標準偏差,年齢分布C11.101歳)であった.緑内障の診断と管理は,緑内障診療ガイドライン3)に則り,220あたらしい眼科Vol.39,No.2,2022(88)図1調査票(89)あたらしい眼科Vol.39,No.2,2022C221各施設の医師の判断で行った.片眼のみの緑内障または高眼圧症患者では罹患眼を,両眼罹患している場合は右眼を調査対象眼とした.調査施設にあらかじめ調査票(図1)を送付し,診療録から診察時の年齢,性別,病型,使用薬剤(薬剤濃度は問わない),レーザー治療の既往,緑内障の手術既往を調査した.調査施設からのすべての調査票を井上眼科病院内の集計センターに回収し,集計を行った.なお,前回調査までは点眼薬は先発医薬品と後発医薬品に分けて調査していたが,今回調査では薬剤は一般名での収集とした.65歳以上の高齢患者C3,534例とC65歳未満の若年・中年患者C1,769例に分け,患者背景因子(平均年齢,男女比,緑内障病型,レーザー治療既往,緑内障手術既往)および薬物治療におけるC2群間の相違を検討した(Cc2検定,Mann-Whit-neyU検定).薬剤治療では使用薬剤数,単剤例の薬剤,2剤例の薬剤を調査し,さらにそれぞれの結果をC2016年に行った前回調査の結果4)と比較した(Cc2検定,Mann-WhitneyU検定).配合点眼薬はC2剤として解析した.全症例での病型は,正常眼圧緑内障C2,710例(51.1%),(狭義)原発開放隅角緑内障C1,638例(30.9%),続発緑内障435例(8.2%),高眼圧症C286例(5.4%),原発閉塞隅角緑内障C225例(4.2%),小児緑内障C4例(0.1%)などであった.レーザー治療はC220例(4.1%)に行われていた.内訳はレーザー虹彩切開術C151例(68.6%),選択的レーザー線維柱帯形成術C68例(30.9%)などであった.緑内障手術はC366例(6.9%)に行われていた.術式は線維柱帯切除術C263例(71.9%),線維柱帯切開術C60例(16.4%),チューブシャント手術C18例(4.9%)などであった.CII結果患者背景は,平均年齢は高齢患者C76.4C±6.8歳,若年・中年患者C53.4C±8.5歳であった(表2).性別は高齢患者が男性1,477例,女性C2,057例で,若年・中年患者の男性C870例,女性C899例に比べて女性の割合が有意に多かった(p<0.0001,Cc2検定).緑内障の病型は原発開放隅角緑内障,原発閉塞隅角緑内障,続発緑内障が高齢患者に,正常眼圧緑内障が若年・中年患者に有意に多かった(p<0.001,Cc2検定)(表2).レーザー治療既往症例は高齢患者C189例(5.3%)が若年・中年患者C31例(1.8%)に比べて有意に多かった(p<0.0001,Cc2検定).レーザー治療の内訳は高齢患者ではレーザー周辺虹彩切開術C133例,選択的レーザー線維柱帯形成術C55例など,若年・中年患者ではレーザー周辺虹彩切開術18例,選択的レーザー線維柱帯形成術C13例であった.緑内障手術既往症例は高齢患者がC278例(7.9%)で,若年・中年患者C88例(5.0%)に比べて有意に多かった(p<0.0001,Cc2検定).手術の内訳は高齢患者では線維柱帯切除術C193例,線維柱帯切開術C50例,チューブシャント手術C12例など,若年・中年患者では線維柱帯切除術C70例,線維柱帯切開術10例,チューブシャント手術C6例などであった.平均使用薬剤数は高齢患者がC1.8C±1.3剤で,若年・中年患者のC1.7C±1.2剤に比べて有意に多かった(p<0.05,Mann-WhitneyU検定)(図2).単剤例の使用薬剤を表3に示す.EP2作動薬は若年・中年患者が高齢患者に比べて有意に多かった(p<0.0001,Cc2検定).2剤例の使用薬剤の組み合わせを図3に示す.もっとも多く使用されていたプロスタグランジン関連薬/Cb遮断薬配合剤の内訳は,高齢者(304例)ではラタノプロスト/カルテオロール配合点眼薬C118例(38.8%),ラタノプロスト/チモロール配合点眼薬C103例(33.9%),タフルプロスト/チモロール配合点眼薬C42例(13.8%),トラボプロスト/チモロール配合点眼薬C41例(13.5%)であった.若年・中年患者(217例)ではラタノプロスト/カルテオロール配合点眼薬C86例(39.6%),ラタノプロスト/チモロール配合点眼薬C64例(29.5%),トラボプロスト/チモロ表2患者背景年齢C男女比病型正常眼圧緑内障原発開放隅角緑内障続発緑内障原発閉塞隅角緑内障高眼圧症小児緑内障レーザー既往症例緑内障手術既往症例高齢患者3,534例76.4±6.8歳C1,477:C2,0571,678例(C47.5%)1,148例(C32.5%)331例(C9.4%)199例(C5.6%)177例(C5.0%)0例(0C.0%)189例(C5.3%)278例(C7.9%)若年・中年患者1,769例53.4±8.5歳870:C8991,032例(C58.3%)490例(C27.7%)C104例(C5.9%)26例(1C.5%)109例(C6.2%)C4例(0C.2%)C31例(1C.8%)88例(5C.0%)p値<C0.0001<C0.00010.0004<C0.0001<C0.00010.08190.0124<C0.0001<C0.0001222あたらしい眼科Vol.39,No.2,2C022(90)4剤271例7.7%高齢患者(3,534例)5剤6剤116例25例3.3%0.7%平均1.8±1.3剤*若年・中年患者(1,769例)5剤6剤4剤120例44例2.5%9例0.5%7剤1例0.1%6.8%*p<0.05平均1.7±1.2剤*図2使用薬剤数表3使用薬剤内訳(単剤例)高齢患者若年・中年患者プロスタグランジン関連薬974例68.1%496例64.2%Cb遮断薬314例21.9%172例22.3%Ca2作動薬56例3.9%22例2.8%EP2受容体**45例3.1%**62例8.0%炭酸脱水酵素阻害薬27例1.9%12例1.6%ROCK阻害薬7例0.5%2例0.3%Ca1遮断薬5例0.3%1例0.1%その他3例0.2%5例0.6%合計1,431例772例PG+a265例8.0%CAI/b配合剤96例11.8%PG+b(ab)119例14.6%**p<0.0001(Cc2検定)高齢患者(815例)若年・中年患者(402例)PG+a220例5.0%CAI/b配合剤50例12.4%PG+b(ab)43例10.7%**PG+点眼CAI**PG+点眼CAI121例14.8%22例5.5%**p<0.0001(c2検定)図3使用薬剤(2剤例)(91)あたらしい眼科Vol.39,No.2,2022C223ール配合点眼薬C37例(17.1%),タフルプロスト/チモロール配合点眼薬C30例(13.8%)であった.2剤例では,プロスタグランジン関連薬/Cb遮断薬配合剤が若年・中年患者で高齢患者に比べて有意に多かった(p<0.0001,Cc2検定).また,プロスタグランジン関連薬+炭酸脱水酵素阻害薬が高齢患者で若年・中年患者に比べて有意に多かった(p<0.0001,Cc2検定).今回調査とC2016年の前回調査4)の結果を比較すると,高齢患者では年齢は有意に上昇し(p<0.0001),男女比では男性の割合が有意に増加していたが(p<0.05),若年・中年患者では同等であった.病型は高齢患者では原発開放隅角緑内障が有意に増加し(p<0.001,Cc2検定),原発閉塞隅角緑内障が有意に減少した(p<0.05,Cc2検定)が,若年・中年患者では同等であった.レーザー治療既往症例は高齢患者では今回調査(5.3%)が前回調査(7.7%)に比べて有意に減少し(p<0.01),若年・中年患者では同等であった.緑内障手術既往症例は高齢患者,若年・中年患者ともに今回調査では同等であった.使用薬剤数は高齢患者では今回調査(1.8C±1.3剤)で前回調査(1.7C±1.2剤)に比べて有意に増加し(p<0.01,Mann-WhitneyU検定),若年・中年患者では同等であった.単剤例は高齢患者では前回調査に比べて有意に減少し(p<0.001,Cc2検定),4剤例は有意に増加した(p<0.05,Cc2検定).若年・中年患者ではC2剤,5剤例は有意に増加した(p<0.0001,Cc2検定).単剤例は高齢患者では前回調査に比べてプロスタグランジン関連薬(p<0.001,Cc2検定)とCa1遮断薬(p<0.05,Cc2検定)が有意に減少し,Ca2作動薬が有意に増加した(p<0.05,Cc2検定).若年・中年患者では同等であった.一方,2剤例では高齢患者,若年・中年患者ともにプロスタグランジン関連薬/Cb遮断薬配合剤が前回調査に比べて有意に増加し(p<0.01,Cc2検定),プロスタグランジン関連薬+b(ab)遮断薬が前回調査に比べて有意に減少した(p<0.0001,Cc2検定).若年・中年患者ではプロスタグランジン関連薬+a2作動薬が前回調査に比べて有意に減少した(p<0.05,Cc2検定).CIII考按患者背景については,今回調査でも前回調査同様に女性の割合が高齢患者で若年・中年患者に比べて有意に多かったが,これは女性の平均寿命が長いことが一因と考えられる.緑内障病型は高齢患者,若年・中年患者ともに(広義)原発開放隅角緑内障がC80%以上を占め,多治見スタディ2)の結果と同様であった.正常眼圧緑内障が若年・中年患者で高齢患者に比べて有意に多かったが,緑内障の啓発活動,職場での健康診断,人間ドックによってみつかったケースが多かったと考えられる.レーザー治療既往症例が高齢患者で若年・中年患者に比べて有意に多かったが,レーザー虹彩切開術がとくに多かったことが影響したと考えられる.緑内障手術既往症例が高齢患者で若年・中年患者に比べて有意に多かったが,緑内障罹病期間が長いことがその原因と考えられる.前回調査と比較すると若年・中年患者では患者背景に変化は少なかった.高齢患者では平均年齢が有意に高くなったが,平均寿命の伸長が関与していると考えられる.高齢患者ではレーザー治療既往症例が有意に減少したが,原発閉塞隅角緑内障が有意に減少したことが関連していると考えられる.高齢患者では使用薬剤数は今回調査では有意に増加したが,その理由としてこのC4年間で従来の点眼薬とは眼圧下降の作用機序が異なる点眼薬(オミデネパグ点眼薬)と新規の配合点眼薬(ラタノプロスト/カルテオロール配合点眼薬,ブリモニジン/チモロール配合点眼薬)が使用可能になり,それらの点眼薬が追加投与されて多剤併用症例となったことが考えられる.単剤例の使用薬剤は高齢患者と若年・中年患者でほぼ同様であった.EP2作動薬のみが若年・中年患者で高齢患者に比べて有意に多かったが,EP2作動薬は従来のプロスタグランジン関連薬で出現する美容的な眼局所副作用が少ないこと8,9)が影響したと考えられる.高齢患者ではプロスタグランジン関連薬が前回調査に比べて有意に減少したが,Ca2作動薬とCEP2作動薬が増加したことが原因と考えられる.2剤例ではプロスタグランジン関連薬/Cb遮断薬配合剤が若年・中年患者で高齢患者に比べて有意に多く,プロスタグランジン関連薬+炭酸脱水酵素阻害薬が高齢患者で若年・中年患者に比べて有意に多かった.高齢者では全身性副作用が出現しやすいCb遮断薬の使用を控えて全身性副作用が出現しにくい炭酸脱水酵素阻害薬を使用したことと,1日C1回点眼のアドヒアランス向上からアドヒアランスが不良と考えられる若年・中年患者にプロスタグランジン関連薬/Cb遮断薬配合剤が使用されたことの両方が原因と考えられる.さらに2017年より使用可能となったラタノプロスト/カルテオロール配合点眼薬がプロスタグランジン関連薬/Cb遮断薬配合剤のなかで高齢患者(38.8%),若年・中年患者(39.6%)ともにもっとも多く使用されていた.この配合点眼薬は従来のチモロール点眼薬との配合ではなくカルテオロール点眼薬との配合である.カルテオロール点眼薬がチモロール点眼薬と眼圧下降効果は同等で,安全性はチモロール点眼薬よりも高いことが影響したと考えられる10,11).また,前回調査と比べて高齢患者,若年・中年患者ともにプロスタグランジン関連薬+b(ab)遮断薬が有意に減少し,プロスタグランジン関連薬/b遮断薬配合剤が有意に増加した.単剤の併用よりも配合剤C1剤のほうがC1日の総点眼回数が少なく,アドヒアランスの面から配合剤が増加したと考えられる.また,若年・中年患者ではプロスタグランジン関連薬+a2作動薬と炭酸脱水酵素阻害薬+a2作動薬が有意に減少したが,アドヒアランス向上の面からプロスタグランジン関連薬/Cb遮断薬配合224あたらしい眼科Vol.39,No.2,2022(92)剤が増加したことが原因と考えられる.今回調査ではC65歳を境にして高齢患者と若年・中年患者に分けたところ高齢患者が若年・中年患者に比べてC2.0倍多かった.もう少し高い年齢で区切って検討したほうがよい可能性がある.また,高齢患者では緑内障の罹病期間が長く,治療が落ちつき同じ点眼薬が継続的に使用されていることも考えられる.一方,年齢的に手術適応ではなく,多剤併用のままアドヒアランスにやや問題があっても継続使用している高齢患者も存在すると考えられる.あるC1回の外来受診時に使用している薬物調査のため,患者個々人の経時的変化が不明なことが今回調査の問題点と考えられる.今回調査はC78施設C5,303例,前回調査4)はC57施設C4,288例で行った.前回調査,今回調査ともに参加した施設はC53施設であった.施設数や症例数も異なるため,両調査を直接的に比較することは妥当性がない可能性も考えられる.前回調査と同一施設,同一患者で調査を行うのが理想だが,現実にはむずかしい.そこで,なるべく多くの施設,多くの症例からデータを集めることで緑内障患者の実態がより判明すると考えて施設や症例を増加させて今回の検討を行った.今回の結果をまとめる.高齢と若年・中年の緑内障患者の薬物治療を比較すると,高齢患者,若年・中年患者ともに単剤例では依然としてプロスタグランジン関連薬が最多だった.2剤例では,高齢患者,若年・中年患者ともにプロスタグランジン関連薬/Cb遮断薬配合剤がもっとも多かった.配合剤はC2剤例で高齢患者ではC49.6%,若年・中年患者では67.9%の症例で使用されていた.前回調査4)との比較では,使用薬剤数が高齢患者では増加した.単剤例は高齢患者ではプロスタグランジン関連薬が減少した.2剤例は高齢患者,若年・中年患者ともにプロスタグランジン関連薬+b(ab)遮断薬が減少し,プロスタグランジン関連薬/Cb遮断薬配合剤が増加した.今後ますます配合剤や新しい眼圧下降の作用機序を有する点眼薬(EP2作動薬)の使用が増加すると予想される.文献1)内閣府:令和C2年版高齢社会白書(全体版)第C1章高齢化の状況2)IwaseA,SuzukiY,AraieMetal:Theprevalenceofpri-maryCopen-angleCglaucomaCinJapanese:theCTajimiCStudy.OphthalmologyC111:1641-1648,C20043)InoueK:ManagingCadverseCe.ectsCofCglaucomaCmedica-tions.ClinOphthalmolC12:903-913,C20144)井上賢治,岡山良子,井上順治ほか:多施設による緑内障患者の実態調査C2016年度版─高齢患者と若年・中年患者.眼臨紀C10:627-633,C20175)井上賢治,塩川美菜子,岡山良子ほか:多施設による緑内障患者の実態調査C2012年度版:高齢患者と若年・中年患者.眼臨紀C6:869-874,C20136)野崎令恵,井上賢治,塩川美菜子ほか:多施設による緑内障患者の実態調査C2009年度版─高齢患者と若年・中年患者.臨眼C66:495-501,C20127)増本美枝子,井上賢治,塩川美菜子ほか:多施設による緑内障患者の実態調査高齢患者と若年・中年患者.臨眼C63:1897-1903,C20098)AiharaCM,CLuCF,CKawataCHCetal:PhaseC2,Crandomized,Cdose-.ndingCstudiesCofComidenepagCisopropyl,CaCselectiveCEP2Cagonist,CinCpatientsCwithCprimaryCopen-angleCglauco-maCorCocularChypertension.CJCGlaucomaC28:375-385,C20199)NakakuraS,TeraoE,FujisawaYetal:Changesinpros-taglandin-associatedCperiobitalCsyndromeCafterCswitchCfromconventionalprostaglandinF2atreatmenttoomide-nepagCisopropylCinC11consecutiveCpatients.CJCGlaucomaC29:326-328,C202010)LiCT,CLindsleyCK,CRouseCBCetal:ComparativeCe.ective-nessCofC.rst-lineCmedicationsCforCprimaryCopen-angleCglaucoma.OphthalmologyC123:129-140,C201611)湖崎淳:抗緑内障点眼薬と角膜上皮障害.臨眼C64:729-732,C2010C***(93)あたらしい眼科Vol.39,No.2,2022C225

心房中隔欠損による奇異性塞栓により発症した若年の片眼性網膜中心動脈閉塞症の1例

2016年4月30日 土曜日

《原著》あたらしい眼科33(4):601〜605,2016©心房中隔欠損による奇異性塞栓により発症した若年の片眼性網膜中心動脈閉塞症の1例中村将一朗*1小林謙信*1高山圭*2*1愛知県厚生農業協同組合連合会海南病院眼科*2名古屋大学眼科学・感覚器障害制御学教室CaseofCentralRetinalArteryOcclusioninYoungMale,CausedbyAtrialSeptalDefect-AssociatedParadoxicalEmbolismShoichiroNakamura1),KenshinKobayashi1)andKeiTakayama2)1)DepartmentofOphthalmology,AichiPrefecturalFederationofAgriculturalCooperativesforHealthandWelfareKainanHospital,2)DepartmentofOphthalmology,NagoyaUniversityGraduateSchoolofMedicine目的:心房中隔欠損による奇異性塞栓により発症したと考えられた若年の網膜中心動脈閉塞症の症例を経験したので報告する.症例:17歳,男性.起床時より左眼の視力低下・視野障害が出現し,同日正午過ぎに受診した.全身的既往・眼科的既往はなく,就寝時には自覚症状はなかった.初診時視力は右眼矯正1.0,左眼0.1(矯正不可),眼圧は右眼10mmHg,左眼13mmHg,左眼眼底に網膜の蒼白化と桜実紅斑があった.蛍光眼底造影検査で左眼網膜動脈の循環不全を認めたため左眼網膜中心動脈閉塞症と診断し,眼球マッサージ・ウロキナーゼ製剤とプロスタグランジンE1製剤の点滴・内服加療などを実施し,視力・視野の改善を得られた.採血検査で特記すべき異常はなくMRI検査で頸動脈に異常はなかったが,超音波検査で心房中隔欠損が指摘された.結論:若年者の網膜中心動脈閉塞症の原因として心房中隔欠損による奇異性塞栓を考慮にいれる必要がある.Subject:Toreportacaseofcentralretinalarteryocclusion(CRAO)inayoungmale,causedbyatrialseptaldefect-associatedparadoxicalembolism.Casereport:A17-year-oldmalevisitedourdepartmentbecauseofvisualdefectinhislefteyesincethatmorning.Inhislefteye,visualacuitywas2/20andintraocularpressurewas13mmHg.Cherry-redspotandpaleretinawerefoundintheleftfundus.Fluorescenceangiographyshoweddelayofretinalarteryinfusioninhislefteye;wethereforediagnosedCRAO.Ultrasoundexaminationfoundatrialseptaldefect-associatedparadoxicalembolism,whichwasconsideredtobethecauseoftheCRAO.Conclusion:ItispossiblethatyoungpatientswithCRAOhaveatrialseptaldefect-associatedparadoxicalembolism.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)33(4):601〜605,2016〕Keywords:網膜中心動脈閉塞症,若年,心房中隔欠損症,奇異性塞栓.centralretinalarteryocclusion,young,atrialseptaldefect,paradoxicalembolism.はじめに網膜中心動脈閉塞(centralretinalarteryocclusion:CRAO)は,一般的に高血圧や糖尿病・心疾患・頸動脈病変などの基礎疾患を有する中高齢者に多く,若年者に発症することは少ない1).若年者に発症したCRAOは原因疾患として膠原病や血管炎が報告されているが2,3),奇異性塞栓によるものという報告はない.今回,心房中隔欠損(atrialseptaldefect:ASD)による奇異性塞栓が原因となって発症したと考えられる若年者のCRAOの1例を経験したので報告する.I症例17歳,男性.起床時より左眼の視力低下・視野障害が出現し,改善がないため,同日正午過ぎに厚生連海南病院救急外来を受診した.眼科既往歴・全身既往歴に特記すべきものはなかった.左側頭部痛が起床時より出現したが,受診時には改善傾向であった.視力は右眼矯正1.0,左眼0.1(矯正不可),眼圧は右眼10mmHg,左眼13mmHg.瞳孔径は明所にて右眼3.5mm/左眼6.5mmと左眼に散瞳を認め,相対的求心路瞳孔反応障害陽性であった.両眼とも前眼部・中間透光体には異常はなく,右眼眼底に異常はなかったが,左眼は中心窩に桜実紅斑と黄斑部上方以外の網膜の乳白色混濁がみられた(図1).頭部・眼窩部CT検査および採血検査(表1)では特記すべき異常はなかった.フルオレセイン蛍光眼底造影検査で左眼の網膜内循環時間遅延を認め(図2),CRAOと診断し同日緊急入院となった(図3).CRAOの原因精査のため,循環器内科・脳神経外科・膠原病内科で全身精査を行い,超音波検査でASDが指摘された.頸部MRAでは頸動脈に異常所見はなかった.D-マンニトール・アセタゾラミドナトリウム点滴静注,ニトログリセリン舌下内服,眼球マッサージを実施し,診断確定後に線維素溶解療法(ウロキナーゼ24万単位/日とプロスタグランジンE1製剤5μg/日)を7日間実施した.第6病日,検眼鏡的には変化がないが,左眼矯正視力が0.3に改善し,視野も拡大した(図4).蛍光眼底造影検査では網膜内循環時間は正常となった(図4).一般的には動脈硬化性の網膜動脈閉塞症であれば抗血小板薬の内服加療を行うが,今回はASDによる奇異性塞栓が原因として考えられたため,点滴加療より抗凝固薬(ワルファリンカリウム)内服に変更して第12病日に退院となった.第21病日には網膜の乳白色浮腫は消失し正常の色調となり,左眼矯正視力は0.5に改善,視野も拡大し(図5),第146病日では,左眼矯正視力0.4,左眼眼圧14mmHgとなり,視野(図6)はさらに拡大した.網膜光干渉断層計では網膜の乳白色混濁部位で網膜は菲薄化していたが,中心窩の陥凹は浅いが同定できた(図7).II考按網膜動脈閉塞症は,一般に動脈硬化による血栓形成,高血圧症や糖尿病,心臓弁膜症をはじめとする心疾患,内頸動脈閉塞をはじめとする頸動脈病変などの基礎疾患を有する中高齢者に多く,若年者には少ない1).Brownら2)は1967~1979年の13年間のCRAO338人(平均年齢58.5歳)中,30歳未満の患者数は27名であったと報告している.その原因として,中高齢者の場合は網膜細動脈の攣縮,全身の血管病変に関連した血栓症,動脈炎による血栓性閉塞1)やアテローム性血管変化による閉塞がもっとも多く3),若年者では心疾患,血液疾患,膠原病などを基礎疾患とした血管炎4,5),外傷,頸動脈狭窄6)などが報告されているが,原因不明の症例も少なくない.高橋ら7)は,6歳・24歳・29歳の若年者CRAOの3例を報告しているが,いずれの症例も原因不明であった.また,中野ら8)は溶連菌感染症の経過中にCRAOを発症した11歳の例を報告している.若年者では視力予後は中高齢者より比較的良好であるが9,10),予後不良な場合もあり,平均寿命の点からも若年者のCRAOは深刻である.本症例では,原因検索のため頭部・眼窩部CT検査,頸部MRA,採血検査,全身精査をしたが,超音波検査でASDのみを認め,ASDに伴う奇異性塞栓によるものと考えられた.ASDは,胎生期の心房中隔の発達障害により先天的に心房中隔に欠損孔が存在し,欠損孔を通じて左右短絡を生じ右房・右室へ容量負荷をきたすものであり,頻度として全先天性心疾患の約1割前後を占めるといわれている.芳賀らはASDに伴う奇異性塞栓により生じた若年性脳梗塞を報告しているが11),奇異性塞栓によってCRAOが発症したとする報告はなかった.彼らはASDによる奇異性脳塞栓と診断後に組織プラスミノーゲンン活性化因子静注療法を施行して改善を得たが11),本症例でも同様に診断時よりウロキナーゼで加療し,視力が改善し,視野も拡大した.CRAOは網膜循環途絶90~100分で網膜に不可逆性の変化が生じるとされている12).臨床的には発症後48時間以内であれば視機能回復の見込みがあるとされ13),今回の症例では治療開始までの時間が短かったことや,若年者で高血圧・糖尿病・動脈硬化などの他の危険因子がなかったことにより,視力の改善・視野の拡大につながったと考えられる.III結論若年者の網膜中心動脈閉塞症の原因として心房中隔欠損による奇異性塞栓を考慮にいれる必要がある.文献1)堀内二彦:網膜動脈閉塞症.眼科26:1055-1067,19842)BrownGC,MagargalLE,ShieldsJAetal:Retinalarterialobstructioninchildrenandyoungadults.Ophthalmology88:18-25,19813)山之内夘一,小田隆子,高瀬智子:若年者に見られた一側性網膜血行障害について.眼紀22:708-713,19714)BrownGC,MagargalLE:Centralretinalarteryobstructionandvisualacuity.Ophthalmology89:14-19,19825)SorrEM,GoldburgRE:Traumaticcentralretinalarteryocculusionwithsicklecelltrait.AmJOphthalmol80:648-652,19756)張野正誉,三浦玲子,渡辺仁ほか:網膜動脈閉塞における頸動脈病変.眼紀36:2274-2278,19857)高橋寧子,堀内二彦,大野仁ほか:若年者の網膜動脈閉塞症の3例.眼紀41:2258-2262,19908)中野直樹,吉田泰弘,周藤昌行ほか:11歳女児の網膜中心動脈閉塞症.眼紀43:161-164,19929)地場奈実,地場達也,飯島裕幸:若年者の網膜中心動脈閉塞症.眼科44:1837-1843,200210)前田貴美人,鈴木純一,田川博ほか:網膜動脈閉塞症の治療成績.眼紀51:148-152,200011)芳賀智顕,佐光一也,増渕雅広ほか:若年性脳梗塞を契機に診断にいたった心房中隔欠損症の1例.心臓45:195-199,201312)HayrehSS,KolderHE,WeingeistTA:Centralretinalarteryocclusionandretinaltolerancetime.Ophthalmology87:75-78,198013)AugsburgerJJ,MagargalLE:Visualprognosisfollowingtreatmentofacutecentralretinalarteryobstruction.BrJOphthalmol64:913-917,1980〔別刷請求先〕中村将一朗:〒498-8502愛知県弥富市前ケ須町南本田396番地愛知県厚生農業協同組合連合会海南病院眼科Reprintrequests:ShoichiroNakamura,DepartmentofOphthalmology,AichiPrefecturalFederationofAgriculturalCooperativesforHealthandWelfareKainanHospital,396Minamihonda,Maegasu-cho,Yatomicity,Aichi498-8502,JAPAN0910-1810/16/¥100/頁/JCOPY(119)601図1初診時の眼底所見左直接対光反射が減弱していた.前眼部・中間透光体には異常はみられなかったが,左眼黄斑部の桜実紅斑と網膜の乳白色混濁がみられた.表1血液検査の結果総蛋白7.3g/dlPT%87.4%アルブミン4.9g/dlPT秒12.5秒総ビリルビン1.2mg/dlAPTT26.8秒AST21IU/L血清補体価44.5CH50U/mlALT21IU/LC3104mg/dlアルカリフォスファターゼ264IU/LC417mg/dlクリアチニン0.89mg/dl抗核抗体<40尿素窒素14.1mg/dl抗カルジオリピンB2グリコプロテイン複合体抗体(−)血糖値(随時)106mg/dl抗カルジオリピン抗体(−)HbA1C(NGSP)5.6%ループスアンチコアグラント(−)CRP0.02mg/dlC-ANCA(−)総コレステロール量197mg/dlP-ANCA(−)白血球数4800/μl抗SS-A抗体(−)赤血球数512×104/μlリウマトイド因子(−)ヘモグロビン15.1g/dlヘマトクリット値45.9%血小板数21.7×104/μl血沈1mm/時図2初診時の蛍光眼底造影所見フルオレセイン蛍光眼底造影検査で左眼の網膜内循環時間遅延を認めた.602あたらしい眼科Vol.33,No.4,2016(120)図3初診時の左眼視野図4第6病日の左眼カラー・蛍光眼底造影所見と視野フルオレセイン蛍光眼底造影検査で左眼の網膜内循環再灌流を確認.左眼視野も改善がみられた.(121)あたらしい眼科Vol.33,No.4,2016603図5第21病日の左眼カラー眼底所見と視野網膜の乳白色浮腫は消失した.視野の改善がみられた.図6第146病日の左眼視野視野の改善がみられた.604あたらしい眼科Vol.33,No.4,2016(122)図7第146病日の網膜光干渉断層計網膜の乳白色混濁部位で網膜は菲薄化していたが,中心窩の陥凹は浅いが同定できた.(123)あたらしい眼科Vol.33,No.4,2016605