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緑内障患者におけるツバ着色ノズル容器の視認性と使用意向 の検討

2026年4月30日 木曜日

,尿路感染症,2 型糖尿病,カンジ《原著》あたらしい眼科43(4):457.461,2026c緑内障患者におけるツバ着色ノズル容器の視認性と使用意向の検討奥野周蔵*1溝上志朗*1田坂嘉孝*2,3篠崎友治*2浪口孝治*3多鹿哲也*4白石敦*1大橋裕一*2*1愛媛大学大学院医学系研究科眼科学講座*2南松山病院眼科*3愛媛大学大学院医学系研究科視機能再生学講座*4千寿製薬株式会社メディカルアフェアーズ部CEvaluationoftheVisibilityandPreferenceofColored-FlangeNozzleContainersinGlaucomaPatientsShuzoOkuno1),ShiroMizoue1),YoshitakaTasaka2,3)C,TomoharuShinozaki2),KojiNamiguchi3),TetsuyaTajika4),AtsushiShiraishi1)andYuichiOhashi2)1)DepartmentofOphthalmology,EhimeUniversityGraduateSchoolofMedicine,2)DepartmentofOphthalmology,Minami-MatsuyamaHospital,3)DepartmentofOphthalmology&RegenerativeMedicineEhimeUniversityGraduateSchoolofMedicine,4)MedicalAffairsDepartment,SenjuPharmaceutical.Co.Ltd.C目的:緑内障患者におけるツバ部を着色したノズル容器の視認性と使用意向を検討する.対象と方法:南松山病院で点眼治療中の緑内障患者にて,Humphrey視野検査で中心窩閾値の低いほう(左右同値の際は右眼)を対象眼とし,ツバ着色ノズル容器と無色ノズル容器のノズル先端部の視認性の優劣と使用意向(どちらを使いたいか)およびその理由を調査した.また,結果は中心窩閾値C31dBを基準として高閾値群と低閾値群に層別化した.結果:対象はC146例(男性C64例,女性C82例,平均年齢C66.4C±11.1歳),対象眼の平均CMD値-13.15±9.09dB,中心窩閾値C30.76C±6.89dBであった.視認性は全体のC77.4%(高閾値群のC79.1%,低閾値群のC74.5%),使用意向は全体のC72.6%(高閾値群の70.3%,低閾値群のC76.4%)がツバ着色ノズルを選択したが,いずれも高低閾値の両群間で有意差はなかった(Fisherの正確確率検定).結論:ツバ着色ノズル容器は,緑内障患者の中心窩閾値によらず無色ノズル容器よりノズル先端部の視認性に優れ,かつ使用意向が高かった.CObjective:Toevaluatethevisibilityanduserpreferenceforcolored-flangenozzlecontainersamongglaucomapatients.CMethods:GlaucomaCpatientsCundergoingCtopicalCtherapyCatCMinami-MatsuyamaCHospitalCwereCenrolled.CThestudyeyewasdefinedastheonewiththelowercentralfovealthresholdonHumphreyvisualfield(VF)test-ing(righteyedatausedifbotheyesequal).PatientscomparedthevisibilityofthenozzletipandindicatedtheirpreferenceCbetweenCcolored-flangeCandCcolorlessCnozzleCcontainers,CandCprovidedCtheCreasonsCforCtheirCchoice.CResultswerestratifiedintohighandlowthresholdgroupsbasedonacentralfovealthresholdof31decibels(dB)C.Results:AmongC146patients(64Cmales,C82females;Cmeanage:C66.4±11.1years)C,CtheCVFCmeanCdeviationCwas-13.15±9.09dBandthecentralfovealthresholdwas30.76±6.89dB.Thecolored-flangenozzlewaspreferredforvisibilityby77.4%ofthepatientsoverall(high:79.1%,low:74.5%)andforuseby72.6%ofthepatientsoverall(high:70.3%,low:76.4%)C,withnosignificantdifferencebetweenthegroups.Conclusion:Colored-flangenozzlecontainersoffersuperiortipvisibilityandhigheruserpreferenceregardlessofcentralfovealthresholdinglaucomapatients.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)C43(4):457.461,C2026〕Keywords:ツバ着色ノズル容器,緑内障,視認性,中心窩閾値.colored-flangeeyedropcontainer,glaucoma,visibility,fovealthreshold.C〔別刷請求先〕奥野周蔵:〒791-0295愛媛県東温市志津川C454愛媛大学大学院医学系研究科眼科学講座Reprintrequests:ShuzoOkuno,M.D.,DepartmentofOphthalmology,EhimeUniversityGraduateSchoolofMedicine,454Shitsukawa,Toon-city,Ehime791-0295,JAPANCはじめに眼科における薬物治療では,点眼薬が重要な役割を果たしている.とくに,慢性疾患である緑内障においては,点眼薬の治療効果に対してアドヒアランス要因が影響することから1),点眼アドヒアランスに関連する研究が数多く報告されている1.4).既報では,緑内障患者へのアンケート結果から,点眼アドヒアランスに係る問題点の一つとして,「基本的な手技に関する問題」のなかで「点眼瓶の先が見えない」ことが指摘されており2),その視認性を向上させることは点眼アドヒアランスに影響を与える可能性がある.また,ノズルと点眼容器の配色やコントラスト比が視認性に影響することが示されている5).これらのことから,さらにノズル先端部の視認性を向上させるためには,ノズル自体に色差がある点眼容器が有用であると考えられたため,ノズル先端部とノズルツバ部に色差を有するノズル(ツバ着色ノズル)が考案された(図1).ツバ着色ノズルを用いた点眼容器は,健常者においてノズル先端部の視認性を向上させる6)ことが確認された一方で,緑内障患者におけるツバ着色ノズルの視認性への影響はまだ検討されていない.そこで筆者らは,ツバ着色ノズルが緑内障患者における視認性と使用意向に与える影響を検討するためにアンケート調査を実施した.緑内障は,視野はもとよりコントラスト感度へも強く影響するため,緑内障患者においてツバ着色ノズルの影響を調査することは重要であると考えられる.さらに,緑内障の進行に伴い中心窩閾値が低下することが報告されており7),中心窩閾値がノズル先端部の視認性や使用意向に及ぼす影響についても検討した.CI対象および方法本研究は,2024年C12月.2025年C3月に南松山病院眼科を受診した緑内障患者のなかから本研究に同意が得られた満18歳以上の男女で,片眼または両眼に緑内障を有し,点眼治療を受けている者を対象とした.視野検査に影響を与える可能性のある疾患を有する者,手指などに自己点眼が困難な程度の不自由を有する者,Humphrey視野検査を実施することが困難な者は除外した.対象眼は緑内障罹患眼とし,両眼に緑内障を有する場合は中心窩閾値が低いほうを対象眼とした.なお,左右が同じ中心窩閾値の場合は右眼を対象とした.評価者は点眼容器を研究対象者に渡し,研究対象者は普段どおりの点眼動作で点眼容器を対象眼に近づけた位置で評価した.評価する点眼容器の順番は割付管理帳票8)によりランダムに割り付けた.調査項目は,視認性に関して「ノズルの先端が見やすいのはどちらか」(無色ノズル・ツバ着色ノズル),使用意向に関して「今後使用したいと思うのはどちらか」(無色ノズル・ツバ着色ノズル・どちらでもよい),最後に,使用意向に関してその回答を選んだ理由を担当医師が口頭で聴取し記録した.使用容器は,緑色ボトルに青色ツバ着色ノズルを組み合わせた点眼容器(ツバ着色ノズル容器)と,緑色ボトルに無色ノズルを組み合わせた点眼容器(無色ノズル容器)で,どちらもラベルのない未充填のものを使用した(図1).容器の色については,緑内障患者におけるノズル視認性の検討結果5)と,健常人対象の既報6)を参考に選択した.健常人における検討6)では緑色ボトルに橙色ツバ着色ノズル容器の視認性も良好だったが,緑色ボトルに青色ツバ着色ノズル容器の色差がより大きかったことと,緑色ボトルと橙色ツバ着色の組み合わせでは,1型およびC2型色覚異常者が判別しにくくなる可能性を考慮した.統計解析には,IBMCSPSSStatistics28.0(日本CIBM)およびCSAS9.4(SASInstitute)を用いた.主要評価項目であるツバ着色ノズルおよび無色ノズル容器のノズル先端部の視認性の比較には二項検定を実施した.中心窩閾値による層別解析では,高閾値群(>31dB)と低域値群(≦31dB)のC2群に分けてCFisherの正確確率検定を用いて関連性を確認した.進行緑内障に関連する矯正視力はCSnellen視力C20/40(log-MAR0.3)に相当し,これは中心窩閾値C31dBに相当するという既報7,9)を参考に基準を設定した.また,患者の背景因子との関係についてはCPearsonおよびCSpearmanの相関係数を用いた相関解析を行った.統計学的な有意水準はC5%とし,両側検定で実施した.本研究は,ヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則を遵守し,特定非営利活動法人臨床研究の倫理を考える会倫理審査委員会の承認を得たうえで実施した(承認番号:E2024-15-001).また,UMIN臨床試験登録に登録したうえで施行した(UMIN000056436).なお,本研究は千寿製薬株式会社との共同研究として実施し,千寿製薬株式会社から研究費用および点眼容器の提供を受けて行った.CII結果結果と患者背景を表1に示す.146例(男性C64例,女性82例,平均値C±標準偏差:66.4C±11.1歳,最小値.最大値:36.86歳)だった.対象眼の中心窩閾値は平均C30.76C±6.89dBで低閾値群C55例,高閾値群C91例が組み入れられた.低閾値群は高域値群より高齢で,傍中心C4点の閾値,最高矯正視力および近見視力は有意に高閾値群が良好であった.また,眼圧は低閾値群で有意に低く,等価球面度数には差はなかった.主要評価項目であるノズル先端部の視認性は,対象者全体のC77.4%(113例)が無色ノズル容器よりツバ着色ノズル容器のほうが優れていると回答した(二項検定,p<0.0001)(図2,3).中心窩閾値別では,高閾値群C79.1%(72/91例),abノズル先端部ツバ着色ノズルノズルツバ部ボトル無色ノズル図1使用した点眼容器a:横からの図.b:上からの図.表1結果と患者背景全体(n=1C46)〔平均値±標準偏差(最小値.最大値)〕低閾値群(≦3C1dB)(n=55)〔平均値±標準偏差(最小値.最大値)〕高閾値群(>3C1dB)(n=91)〔平均値±標準偏差(最小値.最大値)〕p値(CWelchのt検定)年齢66.4歳C±11.1歳(C36.C86歳)68.7歳C±10.0歳(C44.C86歳)65.0歳C±11.5歳(C36.C85歳)C0.0427*中心窩閾値30.76±6.89dB(0.C38dB)24.80±8.07dB(0.C31dB)34.36±1.62(C32.C38dB)C0.0000**傍中心4点NS18.10±13.04dB(C0.C34)14.49±12.06dB(C0.C34)20.27±13.18dB(0.C34dB)C0.0077**CTS22.44±11.29dB(0.C35dB)18.47±11.23dB(0.C32dB)24.84±10.69dB(0.C35dB)C0.0010**CNI23.73±11.30dB(0.C35dB)17.75±11.88dB(0.C34dB)27.34±9.28dB(0.C35dB)C0.0000**CTI25.84±9.85dB(0.C35dB)17.91±11.73dB(0.C31dB)30.63±3.48dB(6.C35dB)C0.0000**最高矯正視力0.97±0.34(C0.05.C1.5)0.68±0.33(C0.05.C1.2)1.14±0.21(C0.4.C1.5)C0.0000**近見視力0.27±0.23(C0.02.C1.2)0.20±0.16(C0.02.C0.6)0.31±0.25(C0.03.C1.2)C0.0012**眼圧C13.75±3.32CmmHg(5C.0.C27.5mmHg)C12.75±3.30CmmHg(6C.0.C27.5mmHg)C14.35±3.20CmmHg(5C.0.C24.0mmHg)C0.0050**MD値-13.15±9.09dB(-34.40.C0.84dB)-19.06±8.39dB(-3C4.40.C0.07dB)-9.58±7.53dB(-2C7.29.C0.84dB)C0.0000**等価球面度数-3.14±3.31D(-14.25.C3.00D)-2.81±3.18D(-11.88.C3.00D)-3.33±3.39D(-14.25.C2.75D)C0.3649*=p<0.05**=p<0.01NS:nasalsuperior,TS:temporalsuperior,NI:nasalinferior,TI:temporalinferior.低閾値群C74.5%(41/55例)がツバ着色ノズル容器と回答したが,両群間で有意差はなかった(Fisherの正確確率検定,Cp=0.6942)(図2,3).一方で,使用意向に関しても全体の72.6%(106例)がツバ着色ノズル容器を選択し(二項検定,p<0.0001)(図2,3),高閾値群C70.3%(64/91例),低閾値群C76.4%(42/55例)の両群間で有意差はなかった(Fisherの正確確率検定,p=0.7327)(図2,3).また,視認性ではツバ着色ノズルと回答したが,使用意向ではどちらでもよいと回答した患者もC13例みられ,このうち高閾値群はC10例,低閾値群はC3例だった.CIII考按本研究では緑内障患者において,ツバ着色ノズル容器が無色ノズル容器と比較して視認性および使用意向の両面で有意に優れていることが示された.これらの結果から,ツバ着色ノズルは点眼アドヒアランスにおける「点眼瓶の先が見えない」という既報の課題に対する有効な解決策となりうることが示唆される.視認性の中心窩閾値による層別解析では,高閾値群・低閾値群ともにツバ着色ノズル容器の優位性が認められ,両群間に有意差はなかった.これは,健常人と同様に緑内障患者においても,色差による視認性が向上することを示している.また,使用意向においても中心窩閾値の高低にかかわらず同様の傾向で,一定の効果があることが示唆された.また,点眼容器の色調や形状が使用性に影響することは既報5)でも示されており,本研究結果は今回使用したツバ着色a視認性b使用意向(名)(名)120**113高閾値群120106**高閾値群低閾値群100低閾値群100414280回答者数回答者数4060252119102067408412ツバ着色ノズル無色ノズル差がないツバ着色ノズル無色ノズルどちらでもよい**:p=0.0001(二項検定)**:p=0.0001(二項検定)図2視認性(a)と使用意向(b)の調査結果a視認性b使用意向0%25%50%75%100%5.5%0%25%50%75%100%100%2.7%10.3%49.3%2.7%6.8%28.1%100%10.3%8.2%43.8%4.1%4.8%28.8%14.4%13.0%72.6%どちらでもよい差がない75%75%50%50%無色ノズル無色ノズルツバ着色ツバ着色ノズルノズル25%25%0%0%高閾値群低閾値群全体高閾値群低閾値群全体9155146915514662.3%37.7%100.0%62.3%37.7%100.0%図3視認性(a)と使用意向(b)の調査結果(モザイク図)ノズル容器の有用性を臨床的に裏づけるものである.とくに,ツバ部の着色によってノズル先端の位置が明確になることで,点眼時の空間認識が向上し,誤点眼の防止やアドヒアランスの向上につながる可能性がある.さらに,視認性の向上は患者の心理的負担軽減にも寄与し,点眼治療の継続性を高める要因となる可能性がある.一方で,視認性ではツバ着色ノズルと回答したものの,使用意向ではどちらでもよいと回答した例もみられ,その理由として,「点眼時には先端を見ていない」「着色ノズル容器の先端は見やすいが,無色ノズル容器でも問題なく点眼することができる」などの意見がみられた.また,中心部を含む広C460あたらしい眼科Vol.43,No.4,2026範な視野欠損がある患者では,点眼時にノズル先端を視認できない場合がある.中心視野が消失してしまっている場合にはそもそも見ることができないので容器の着色による差は出にくく,これらのことは,本研究の結果がすべての症例に当てはまるわけではないという限界も示している.また,今回の検討では空容器を使用しているため,薬剤が充填された実際の容器における光学的特性とは異なる可能性も考えられる.しかし,点眼容器のデザインにおいて色彩設計を含む視認性向上の工夫は,誤点眼の防止やアドヒアランスの向上に寄与する可能性があり,患者の心理的負担軽減や治療継続性の向上にも寄与する可能性がある.(118)利益相反:利益相反公表基準に該当なし文献1)谷戸正樹:緑内障点眼手技の実態.眼薬理C37:64-66,C20232)谷戸正樹:K-J法により把握した点眼アドヒアランスの問題点.あたらしい眼科35:1679-1682,C20183)末武亜紀,福地健郎,田中隆之ほか:Patient-CenteredCommunication(PCC)Toolとしての緑内障点眼治療アンケート.あたらしい眼科29:969-974,C20124)NaitoT,YoshikawaK,NamiguchiKetal:Comparisonofsuccessratesineyedropinstillationbetweensittingposi-tionandsupineposition.PLoSCOneC13:e0204363,C20185)鎌尾知行,溝上志朗,浪口孝治ほか:点眼容器の形状と色調が緑内障患者の使用性に与える影響.あたらしい眼科C35:258-262,C20186)岩崎達朗,藤本高志,大久保宏哉ほか:ツバ部に着色したノズルを使用した点眼容器のノズル先端部の視認性向上に関する検討.医学と薬学81:309-316,C20247)SongWK,KimKE,YoonJYetal:Associationofmacularstructure,function,andvesseldensitywithfovealthresh-oldinadvancedglaucoma.SciRepC12:19771,C20228)藤野善久,丹澤和雅,村松圭司ほか:ランダム化比較試験における割付管理のための方法に関する発案.JCUOEHC42:77-82,C20209)FlaxelCCJ,CSamplesCJR,CDustinL:RelationshipCbetweenCfovealCthresholdCandCvisualCacuityCusingCtheCHumphreyCvisualCfieldCanalyzer.CAmCJCOphthalmolC143:875-877,C2007C***

点眼容器の形状と色調が緑内障患者の使用性に与える影響

2018年2月28日 水曜日

《原著》あたらしい眼科35(2):258.262,2018c点眼容器の形状と色調が緑内障患者の使用性に与える影響鎌尾知行*1溝上志朗*2浪口孝治*1篠崎友治*3田坂嘉孝*2,3白石敦*1*1愛媛大学大学院医学系研究科眼科学講座*2愛媛大学大学院医学系研究科視機能再生学講座*3南松山病院眼科CIn.uenceofEyedropContainerPropertyandVisibilityonUsabilitybyPatientswithGlaucomaTomoyukiKamao1),ShiroMizoue2),KojiNamiguchi1),TomoharuShinozaki3),YoshitakaTasaka2,3)andAtsushiShiraishi1)1)DepartmentofOphthalmology,EhimeUniversityGraduateSchoolofMedicine,2)DepartmentofOphthalmologyandRegenerativeMedicine,EhimeUniversityGraduateSchoolofMedicine,3)DepartmentofOphthalmology,Minami-MatsuyamaHospital目的:緑内障患者が点眼しやすい容器の形状と色調を調査する.対象および方法:対象は,南松山病院に通院中の緑内障患者C100例(男性C49例,女性C51例,平均年齢C64.6±13.5歳).「ルミガンR点眼液C0.03%」容器の旧型と新型で,キャップの大きさ,キャップの開閉操作のしやすさ,容器の持ちやすさ,容器の押しやすさ,1滴量の滴下のしやすさについての聞き取り比較調査を行った.つぎに,容器の色調が異なるC3種類の現行型の容器で白色ノズルの視認性を調査した.結果:キャップの大きさ,容器の持ちやすさ,容器の押しやすさ,1滴量の滴下のしやすさは新型の評価が高く(p<0.0001),総合的にも新型を好む者が多かった(p<0.0001).ノズルの視認性は,緑色,褐色,灰白色の容器の順に評価が高く,各群間に差を認めた(p<0.0001).結論:点眼容器の形状と色調は,ともに緑内障患者の使用性に影響する.CPurpose:Toinvestigatethein.uenceofeyedropcontainershapeandcolorcombinationonusabilityandvisi-bilityCinCglaucomaCpatients.CSubjectsandMethods:ThisCcaseCseriesCstudyCcomprisedC100CglaucomaCpatients(49malesCandC51Cfemales)atCMinami-MatsuyamaCHospitalCfromCDecemberC2015CtoCMarchC2016.CAllCpatientsCwereCscoredCasCtoCusabilityCofCconventionalCandCcurrentCtypeCLumiganRCeyedropCcontainersCviaCquestionnaires,CrankingCvisibilityamong3di.erentcolorcombinationsofeyedropnozzles.Results:Thecurrenttypewassigni.cantlybet-terastocapsizes,bottlehandling,bottlesqueezingandfeelingofdrippingonedropthantheconventionaltype(p<0.0001).Amongthethreecontainers,colorevaluationswerehighintheorderofgreen>brown>grayish-white(p<0.0001).Conclusion:OurCresultsCsuggestCthatCeyedropCcontainerCusabilityCandCvisibilityCareCa.ectedCbyCcon-tainershapeandcolorcombination.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)35(2):258.262,C2018〕Keywords:点眼容器,緑内障,使用性,視認性.eyedropcontainer,glaucoma,usability,visibility.Cはじめに点眼容器は形状や硬さ,キャップの大きさなどにより持ちやすさ,さしやすさ,開閉操作などの使用性が異なり1),患者は使用性に優れた点眼容器を支持することから2,3),点眼容器の使用性改善により点眼アドヒアランスの向上も期待できる.近年,プロスタグランジン関連薬の一つである「ルミガンR点眼液C0.03%」(以下,ルミガン)の容器が使用性の向上を目的として変更されたが4),実際に緑内障患者の使用性にどのような影響を与えたかに関してはまだ検討されていない.一方,視野障害を有する緑内障患者では,健常者に比べ点眼の際にノズル視認性に劣るため,眼表面への適切な滴下が困難であり5),より視認性の高いノズルを有する点眼容器が〔別刷請求先〕鎌尾知行:〒791-0295愛媛県東温市志津川愛媛大学大学院医学系研究科眼科学講座Reprintrequests:TomoyukiKamao,M.D.,Ph.D.,DepartmentofOphthalmology,MedicineofSensoryFunction,EhimeUniversityGraduateSchoolofMedicine,Shitsukawa,Toon,Ehime791-0295,JAPAN258(98)望ましい.しかしながら,筆者らが調べた限りではこれまで点眼容器の色調の違いがノズルの視認性に与える影響に関する検討もされていない.そこで今回,緑内障性視野障害を有する緑内障患者を対象として,ルミガンの旧型と新型容器(図1a)の使用性に関するインタビュー調査を行った.同様に,ノズル先端と点眼容器の色コントラストが視認性に与える影響について,同一の白色のノズルを有しながら容器の色が異なる,褐色のルミガン新型容器,緑色の「アイファガンCR点眼液C0.1%」(以下,アイファガン)容器,および灰白色容器(以下,コントロール)(図1b)を用いて検討した.CI対象および方法対象はC2015年C12月.2016年C3月に南松山病院眼科を受診した緑内障患者のなかから本研究に同意が得られた満C20歳以上の男女で,片眼もしくは両眼に緑内障性視野障害を認める患者を選択した.なお,過去にルミガンと同形状の点眼容器の使用経験がある者,手指の運動障害により点眼操作が不可能な者は除外した.点眼容器の使用性の調査は,評価者が被験者に開封済みのルミガンの新旧容器を渡し,キャップや容器の把持,開閉操作,点眼操作をさせた後,キャップと容器の使用性に関する5項目について,既報1)に準じて評価させた(表1).最後に継続して使用したい点眼容器を選択させた.ノズルの視認性の調査は,キャップをはずしたルミガン新型,アイファガン,コントロールの三つの点眼容器を被験者に擬似点眼操作をさせ,対象眼に実際に点眼する距離まで容器を近づけたときのノズル先端の視認性を順位づけさせた.評価する容器の順番はアトランダムに割り付けた.対象眼はHumphrey自動視野計のCMD(meanCdeviation)の低値側とした.さらに視認性に関与する因子を調べるため,ノズルと各容器の色差およびコントラスト比を測定した.色差は,ノズルとそれぞれの容器のCL*a*b*表色系を分光測色計(コニカミノルタ製,CM-5)にて測定し,色差(CΔE*ab)を評価した6).コントラスト比は,ノズル(白)とそれぞれの容器(緑色,褐色,灰白色)の輝度を二次元輝度計(コニカミノルタ製CA-2500)にてC3回測定し,輝度の比の平均を算出した.統計解析にはCJMPCR11.2(SASCinstitute,CNorthCCarolina,USA)を用いた.使用性のC5項目はC1.5点で点数化し,各項目についてルミガン旧型と新型でCWilcoxon符号順位検定旧型新型253522142121211717(mm)2123正面側面正面側面a:ルミガンR点眼液C0.03%(ルミガン)旧型と新型容器のキャップと容器写真.新型はキャップが小型化,容器が大型化し,形状が円柱から扁平型に変更された.ルミガン新型アイファガンコントロールb:褐色容器ルミガン新型,緑色容器アイファガンCR点眼液C0.1%(アイファガン),灰白色容器(コントロール)のキャップをはずしノズル側より撮影した写真.図1調査に使用した点眼容器表1使用性のアンケート調査の設問と選択肢小さすぎやや小さいちょうどよいやや大きい大きすぎ1.キャップの大きさ(1点)(3点)(5点)(3点)(1点)開けやすいやや開けやすいふつうやや開けにくい開けにくい2.キャップの開閉操作のしやすさ(5点)(4点)(3点)(2点)(1点)持ちやすいやや持ちやすいふつうやや持ちにくい持ちにくい3.容器の持ちやすさ(5点)(4点)(3点)(2点)(1点)硬すぎやや硬いちょうどよいやや軟らかい軟らかすぎ4.容器の押しやすさ(1点)(3点)(5点)(3点)(1点)出すぎるやや出すぎるちょうどよいやや出にくい出にくい5.1滴量の滴下のしやすさ(1点)(3点)(5点)(3点)(1点)旧型容器がよい6.総合評価新型容器がよいキャップの大きさ,開閉操作のしやすさ,容器の持ちやすさ,押しやすさ,1滴量の滴下のしやすさのC5項目をルミガン新旧容器それぞれについて,5段階評価させた.最後に総合評価として継続して使用したいと考える点眼容器を選択させた.キャップの大きさ*Wilcoxon符号順位検定1滴量の*キャップの開閉操作*滴下のしやすさ容器の押しやすさ*容器の持ちやすさ*新型4.46±1.023.66±1.114.04±1.074.32±1.144.18±1.14p<0.0001p=0.0927p<0.0001p<0.0001p<0.0001図2使用性の平均スコア灰色五角形が旧型容器,黒線五角形が新型容器のC5項目それぞれの平均スコアのレーダーチャート.キャップの大きさ,容器の持ちやすさ,容器の押しやすさ,1滴量の滴下のしやすさは,有意に新型の評価が高かった(*p<0.0001,Wilcoxon符号順位検定)を行った.総合評価はC1変量のCc2検定で解析した.視認性はCSteel-Dwass法による多重比較を行った.有意水準は5%とした.本研究を実施するに際し,事前に愛媛大学医学部附属病院臨床研究審査委員会(1511007)の承認を得た.また,UMIN臨床試験登録に登録したうえで施行した(UMIN000020122).なお,本研究に使用したルミガン新旧型製品およびルミガン新型,アイファガン,コントロールの空き容器は千寿製薬より提供を受け,受託研究として行った.CII結果対象として選択されたのはC100例(男性C49例,女性C51例,平均C64.6C±13.5歳:34.88歳)だった.対象の緑内障罹病期間は平均C7.2C±5.2年:0.5.22年,使用緑内障点眼剤数は平均C1.3C±0.7剤(0.3剤),有水晶体眼C69眼,眼内レンズ挿入眼C31眼,近見視力は平均C0.32C±0.47(0.1.1.0),Hum-phrey自動視野計のCMD値は平均C.12.94±7.70CdB(C.32.07..0.76CdB)であった.白内障による視力低下を認めた症例はなかった.点眼容器の使用性は,キャップの大きさに関しては,ちょうどよいと答えたのは旧型がC39例(39.0%)に対して,新型がC76例(76.0%)であった.キャップの開閉操作のしやすさは,開けやすいと答えたのは旧型がC26例(26.0%)に対して,新型がC32例(32.0%)であった.容器の持ちやすさは,持ちやすいと答えたのは旧型がC13例(13.0%)に対して,新型が42例(42.0%)であった.容器の押しやすさは,ちょうどよいと答えたのは旧型がC19例(19.0%)に対して,新型がC71例(71.0%)であった.1滴量の滴下のしやすさはちょうどよいと答えたのは旧型がC32例(32.0%)に対して,新型が63例(63.0%)であった.キャップの大きさ,容器の持ちやすさ,容器の押しやすさ,1滴量の滴下のしやすさのC4項目については,新型が旧型より有意に使用性が高いという結果であった(Wilcoxon符号順位検定,p<0.0001).2容器それぞれで使用性の評価結果の平均スコアを算出したレーダーチャートを図2に示した.点眼容器の使用性と患者背景の関連を調べるため,使用性のスコアと年齢の相関を検討した.新型はキャップの開閉操作と年齢に正の,旧型はキャップの大きさ,容器の押しやすさ,1滴の落としやすさと年齢に負の相関を認めた(Spearmanの順位相関係数=0.2899,C.0.2068,C.0.3477,C.0.2876,p=0.0034,0.0390,0.0004,0.0037).一方,男女C2群で使用性を比較したが,スコアは有意差を認めなかった.また,継続して使用したいと考える点眼容器については,旧型を選んだのがC21名(21.0%)だったのに対して,新型を選択したのがC79名(79.0%)で,総合的に新型を好む者が多かった(Cc2検定,p<0.0001).つぎに,点眼容器の視認性は,1位に順位付けされたのがルミガン新型C19例(19.0%),アイファガンC69例(69.0%),コントロールC12例(12.0%)であった(図3).2位はルミガ■ルミガン新型■アイファガン■コントロール9080706050403020100例数1位2位3位図3視認性の順位1位はルミガン新型C19例,アイファガンC69例,コントロールC12例.2位はルミガン新型C73例,アイファガンC22例,コントロールC5例,3位はルミガン新型8例,アイファガンC9例,コントロールC83例であった.アイファガン,ルミガン新型,コントロールの順で有意に視認性が優れていた(Steel-Dwass法,p<0.0001).ン新型がC73例(73.0%),3位はコントロールがC83例(83.0%)ともっとも多く,視認性はアイファガン,ルミガン新型,コントロールの順で優れていた(Steel-Dwass法,p<0.0001).近見視力,中心窩閾値の中央値,0.4,34CdBを閾値としてC2群に分けて視認性を検討したが,同様の結果であり,視機能の良否にかかわらずアイファガンの視認性が優れていた.最後に,ノズルとルミガン新型,アイファガン,コントロールのC3つの点眼容器の色差(CΔE*ab)は,それぞれC15.4,21.2,7.1であった.コントラスト比は,それぞれC2.14C±0.09,2.10C±0.24,1.21C±0.06であった(表2).CIII考按ルミガンの新旧容器の使用性の比較では,新型容器のほうが,キャップの大きさ,容器の持ちやすさ,容器の押しやすさ,およびC1滴量の滴下のしやすさのC4項目で,旧型容器よりも優れていた.なお,今回の調査では,使用経験の有無によるバイアスを排除するため,過去に新旧容器の使用経験のない者を対象として選択している.新型容器の大きな改良点としては,容器が円柱型から把持部面積の大きい扁平型になり,キャップが小型化したことがあげられる.とくに,容器の持ちやすさやと押しやすさに関しては,過去の報告でも把持部に十分な高さをもつものや凹みを有しているものが優れるとされており1),今回の把持部面積の大きい扁平型の新型容器が高く評価された結果は矛盾しない.また,キャップの大きさ,容器の押しやすさ,1滴の落としやすさのスコアは,旧型容器では年齢と負の相関を認めたが,新型容器では相関を認めなかった.つまり旧型容器は高齢者ほど使用性が悪いと評価しているが,新型容器は改善されていることが示唆される.表2ノズル先端と容器の色差,コントラスト比色差Cルミガン新型15.4Cアイファガン21.2Cコントロール7.1コントラスト比C2.14±0.09C2.10±0.24C1.21±0.06C一方,キャップの開閉操作については新旧容器間で使用性に差がなかった.円柱型のキャップを有する旧型に対し,新型はC10角形に成形され,把持性を向上させるためにキャップ全体に縦方向のねじれをつけているが,その使用感に差はみられなかった.しかし,新型容器は年齢と使用性に正の相関を認めたため,高齢者においては高評価を得ている.新型容器は旧型容器よりもC1滴量の滴下のしやすさに優れていた.新型容器では,旧型よりも軽いスクイズ力でC1滴目が滴下可能で,2滴目の滴下に要するスクイズ力は旧型よりも大きくなるように設計されていることで4),1滴を点眼しやすく,連続で射出されにくい構造になっている.この容器の物性の改良点が,患者の使用感の向上に寄与したと推測される.今回の調査では約C8割の患者が旧型容器よりも新型容器を支持した.この結果は,形状と物性の両面からの改良が反映された結果と推測されるが,旧型容器を好む患者も約C2割存在した.この結果は,点眼容器の好みには,手指の大きさやスクイズ力の違いなどの身体的要因,あるいは過去にどのような点眼容器をどれくらいの期間使用してきたかなどの経験的要因など,さまざまな因子が影響する可能性が考えられる.白色のノズルの視認性については,もっとも優れていたのは点眼容器が緑色のアイファガンであり,褐色のルミガン新型容器と灰白色のコントロールと続いた.この結果は視機能に影響されなかった.分光測色計を用いた色差の評価でもアイファガン,ルミガン新型容器,コントロールの順番であり,ノズル先端と容器の形状はC3容器ともに同一であることから,ノズルと点眼容器の配色やコントラスト比が視認性に影響を与えたことが示唆された.緑内障患者では色覚やコントラスト感度が低下しているため7,8),ノズルの視認が困難な患者が多く,とくに緑内障点眼薬の容器の設計にあたっては,配色やコントラスト比に留意する必要性が示唆された.以上,今回の結果より,点眼容器の形状や物性の改良以外にも,ノズルと容器の色コントラストを改善することは,患者の使用性の向上と,アドヒアランスの向上につながる可能性が示された.本稿の要旨は第C27回日本緑内障学会にて発表した.文献1)兵頭涼子,溝上志朗,川﨑史朗ほか:高齢者が使いやすい緑内障点眼容器の検討.あたらしい眼科24:371-376,C20072)兵頭涼子,林康人,鎌尾知行ほか:プロスタグランジン点眼容器の使用性の比較.あたらしい眼科C27:1127-1132,C20103)兵頭涼子,林康人,溝上志朗ほか:押し圧力と滴下時間が点眼容器の使用性に与える影響.あたらしい眼科C28:C1050-1054,C20114)大塚忠史:点眼アドヒアランスの向上を指向した医療用点眼容器の開発.人間生活工学12:32-38,C20115)SleathCB,CBlalockCS,CCovertCDCetCal:TheCrelationshipCbetweenCglaucomaCmedicationCadherence,CeyeCdropCtech-nique,CandCvisualC.eldCdefectCseverity.COphthalmologyC118:2398-2402,C20116)小松原仁:色差式の開発動向.照明学会誌C76:496-499,C19927)BullCO:BemerkungenCuberCdenCFarbensinnCunterCver-schiedenenCphysiologischenCundCpathologischenCVerhalt-nissen.CAlbrechtCvonCGraefesCArchivCfurCOphthalmologieC29:71-116,C18838)CampbellCFW,CGreenCDG:OpticalCandCretinalCfactorsCa.ectingvisualresolution.JPhysiolC181:576-593,C1965***