●連載◯150監修=安川力五味文130抗VEGF薬併用光線力学的療法の吉田紀子信州大学医学部眼科学教室活用方法最近は滲出型加齢黄斑変性に対する治療の第一選択はどの病型でもほぼ抗CVEGF薬となっているが,治療回数の増加や治療抵抗例などの問題があり,光線力学的療法(PDT)の活用が再考されている.PDTでは脈絡膜厚の減少による治療効果が期待されており,ポリープ状脈絡膜血管症やパキコロイド関連疾患に対し抗CVEGF薬を併用する方法が試みられている.はじめに2012年に示された日本における加齢黄斑変性(age-relatedCmaculardegeneration:AMD)の治療指針1)では,滲出型CAMDのうちポリープ状脈絡膜血管症(pol-ypoidalCchoroidalvasculopathy:PCV)と網膜血管腫状増殖に対する光線力学的療法(photodynamictherapy:PDT)について言及している.ただし,この治療指針は抗CVEGF薬であるアフリベルセプトの使用開始前に制定されたものである.その後,網膜色素上皮(retinalpigmentCepithelium:RPE)下への効果が高い抗CVEGF薬が複数使用可能となったことにより,最近では滲出型AMDに対する治療の第一選択は,どの病型でもほぼ抗VEGF薬となっている.しかし抗CVEGF薬は視力の改善や維持のために繰り返しの投与が必要であり,通院に対する疲弊や治療費負担が問題となってきている.また,抗CVEGF薬が無効なケースも一定数は存在し,ここにきてCPDTの活用が図1PCVに対するアフリベルセプト併用PDT施行例(82歳,男性)近医にて右眼CPCVに対しアフリベルセプト硝子体内注射(intravitrealCa.iber-cept:IVA)をC3回施行したが,最終注射後C1カ月で所見のさらなる悪化を認めたため紹介となった.右眼視力(0.4).漿液性網膜色素上皮.離,網膜下液(subretinal.uid:SRF),蛍光眼底造影検査にて集簇したポリープ状病巣(.)を認め,IVA併用CPDTを施行した.3カ月後の右眼視力(0.6).滲出は消失し,造影検査ではポリープ状病巣が消退していた.その後経過を追えたC12カ月間,追加治療なしで再発は認められなかった.再考されている.抗VEGF薬併用PDTPDTの合併症として脈絡膜毛細血管板やCRPEの萎縮,網膜下出血,RPE裂孔があり,著しい視力低下につながることもある.これらの合併症はCPDT施行後早期に起こる著明な炎症反応やCVEGFの増加が原因と考えられるため,PDTに抗CVEGF薬を併用する方法が試みられている.PCVに対するCPDTの併用療法に関する大規模試験にCEVERESTII試験2)とCPLANET試験3)がある.EVER-ESTII試験では,PCVに対するラニビズマブ単独療法と,ラニビズマブとCPDT併用療法において,併用療法のほうが治療効果が高いことが示された.一方,PLANET試験では,PCVに対するアフリベルセプト単独療法は,アフリベルセプトとCPDT併用のレスキュー療法に対し非劣性であるとの結果が出た.PDT併用療法の優位性は示されなかったが,実臨床においては,ア(67)あたらしい眼科Vol.41,No.12,202414510910-1810/24/\100/頁/JCOPY図2PNVに対するアフリベルセプト併用PDT施行例(53歳,女性)近医より右眼の中心性漿液性脈絡網膜症疑いにて紹介となった.左眼視力(1.0).OCTangiography(OCTA)にてMNVを認めPNVと診断した.IVAにてC3回の導入期治療ののち,CtreatCandextendの方針としたが,2カ月後の診察でCSRFが再発していた.まだC50代でもあり,今後の治療費のことも考慮してCIVA併用CPDTを施行した.治療後合併症はなく,SRFは速やかに消失した.治療C24カ月後の左眼視力(1.2).再発は認めず,追加治療なしで経過している.フリベルセプト単独療法での無効例や再発例へのCPDT併用療法の効果を筆者も経験している(図1).パキコロイドに対するPDT最近,脈絡膜厚が厚くなるパキコロイド関連疾患という疾患概念が提唱されている.これは脈絡膜の透過性亢進によるパキコロイド,中心性漿液性脈絡網膜症,RPEの異常(pachychoroidCpigmentCepitheliopathy),黄斑部新生血管(macularneovascularization:MNV)を伴うCpachychoridCneovasculopathy(PNV),そしてCPCVが同一疾患スペクトラム上にあるとの考え方である4).PDTでは施行後の脈絡膜厚減少効果が知られており,もともと滲出型CAMDの中でも脈絡膜厚が厚い傾向にあるCPCVに対して治療効果が高いとされていた.MikiらはCPNVに対し抗CVEGF薬併用CPDTを施行し,追加治療を減らすことができたと報告しており5),今後はパキコロイド関連疾患に対してもCPDTが選択肢となりうる可能性が考えられる(図2).おわりに最近では,ブロルシズマブ,ファリシマブ,高容量アフリベルセプトなど,長期に効果が持続する抗CVEGF薬も登場しており,今後CPDTとの比較検討が必要であC1452あたらしい眼科Vol.41,No.12,2024る.しかし,PDTは抗CVEGF薬とはまったく違うアプローチの治療であり,その特性を理解したうえで,対象患者を十分に検討,選択すれば,治療の選択肢の一つとなりうると考えられる.(本稿は新生血管型加齢黄斑変性の診療ガイドラインが発表される前のC2024年C7月に執筆した内容である)文献1)髙橋寛二,小椋祐一郎,石橋達朗ほか:加齢黄斑変性の治療指針.日眼会誌116:1150-1155,C20122)KohCA,CLaiCTYY,CTakasakiCKCetal;EVERESTCIICstudygroup:E.cacyCandCsafetyCofCranibizumabCwithCorCwith-outCvertepor.nCphotodynamicCtherapyCforCpolypoidalCcho-roidalvasculopathy:aCrandomizedCclinicalCtrial.CJAMACOohthalmolC135:1206-1213,C20173)LeeWK,IidaT,OguraYetal:PLANETinvestigators:Ce.cacyandsafetyofintravitreala.iberceptforpolypoidalchoroidalvasculopathyinthePLANETstudy:arandom-izedclinicaltrial.JAMAOphthalmol136:786-793,C20184)FungCAT,CYannuzziCLA,CFreundKB:Type-1(subretinalCpigmentepithelial)neovascularizationCinCcentralCserousCchorioretinopahyCmasqueradingCasCneovascularCage-relat-edmaculardegeneration.RetinaC32:1829-1837,C20125)MikiA,KusuharaS,OtsujiTetal:Photodynamicthera-pycombinedwithanti-vascularendothelialgrowthfactortherapyforpachychoroidneovasculopathy.PLosOne16:Ce0248760,C2021(68)