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コンタクトレンズセミナー:弱度乱視矯正とトーリックソフトコンタクトレンズ処方の現状

2026年1月31日 土曜日

■■コンタクトレンズセミナーあたらしいコンタクトレンズ診療監修前田直之1.弱度乱視矯正とトーリックソフト高静花大阪大学大学院医学系研究科視覚先端医学講座コンタクトレンズ処方の現状世界と日本におけるコンタクトレンズ処方の現状コンタクトレンズ(CL)の処方状況は毎年C1月に世界22カ国から報告されている.2023年の集計によると,2000~2022年の世界の処方動向では,全ソフトコンタクトレンズ(SCL)処方のうちトーリックCSCLの処方率はC28%であり,単焦点CSCLのみを対象とした場合には37%に上昇し,2000年以降ほぼ倍増している(図1)1).この背景には,CL製造メーカーによる品質改良や,処方者が自信をもってトーリックCSCLを選択できるようになったことがあると推察される.しかし,その処方傾向には国ごとの特徴がある.欧米ではトーリックCSCLが広く普及し,乱視矯正はスタンダードな選択肢として定着している一方,日本ではトーリックCSCLの処方率は依然として約C20%にとどまる.乱視(C.0.75D以上)の有病率はC47%と広く知られているが2),日本においてトーリックCSCLを実際に装用しているのはその半数以下に過ぎない.このギャップには,眼科医側の処方習慣や患者側の認識不足,価格の高さな60%50%40%30%20%10%日本0%0001020304050607080910111213141516YEARSOFTTORICS(OFSTANDARDSINGLEVISION)ど,複数の要因が関与していると考えられる.従来,日本では「乱視度数が強い場合のみトーリックレンズを処方する」という考え方が一般的であった.とくに弱度乱視では,球面レンズでの矯正でも実用上問題ないとされ,眼科医も患者も積極的な乱視矯正を求めてこなかった.しかし,近年のレンズ設計や円柱軸安定化技術の進歩により,トーリックCSCLは快適性と視力の両立が可能となり,弱度乱視でも視機能向上や快適性改善が得られることが示されている.世界的には「弱度乱視こそ積極的に矯正すべき」という考え方が主流になりつつある.デジタル環境下で顕在化する弱度乱視の影響現代の生活はスマートフォンやパソコンなしには成り立たない.小さな文字を長時間注視する生活習慣は,眼精疲労やドライアイだけでなく,弱度の乱視の影響を顕在化させやすい.弱度乱視が残存していても,通常の視力検査ではC1.0が得られることが多いが,実際にはコンAustraliaBulgariaCanadaCzechRepublicDenmarkIsraelJapanLithuania図1世界の単焦点NetherlandsトーリックコNewZealandンタクトレンNorwayPortugalSpainズ処方状況(文献C1より一部改変して転載)SwedenTaiwanUnitedKingdomUnitedStatesMean171819202122(71)あたらしい眼科Vol.43,No.1,2026C710910-1810/26/\100/頁/JCOPY図2デジタル眼精疲労トラスト感度や夜間視力が低下し,夕方以降の薄暗い環境で「にじんで見える」「はっきりしない」といった訴えが生じやすい.これらは未矯正乱視による視覚ストレスであり,眼精疲労,頭痛,肩こりといった全身症状にもつながりうる.近年ではデジタル眼精疲労(digitalCeyestrain)という概念が注目されており,デバイス使用時の視覚的負担を軽減するためにも,弱度乱視を含めた適切な乱視矯正が重要である(図2)3).適切な乱視矯正がもたらす価値弱度乱視を適切に矯正することは,単に視力を改善するだけでなく,視覚ストレスを軽減し,日常生活の快適性を大きく向上させる.Chaudhryらは,C.0.75DからC.1.25Dの弱度乱視眼C36例を対象に,球面CSCLとトーリックCSCLを比較した.その結果,トーリックCSCLでは視力がより良好であっただけでなく,眼の疲れの自覚スコアも有意に低下したと報告している4).この知見は,適切な乱視矯正が「ぼやけ」を減らし,眼精疲労の軽減に直接寄与することを示すものである.さらに,良好な見え方は装用感の改善にもつながり5),CL装用の継続率を高める.とくにデジタル機器を長時間使用する若年層や,夜間運転を行う成人ではその恩恵が顕著である.眼科医が積極的にトーリックCSCLを提案することは,患者に「快適な視覚体験」を提供し,生活の質を向上させる第一歩となるだろう.弱度乱視矯正をためらわないためにトーリックCSCL処方が進まない背景には,心理的・実務的なハードルが存在する.かつてはトライアルレンズの選択肢が限られ,適合検査に手間がかかることが課題であった.しかし現在では,各メーカーから多様な乱視度数・軸度のレンズが提供され,処方の自由度は大きく向上している.また,トーリックCSCLによる視機能向上や快適性の価値を実感できれば,球面CSCLに比べて約C50%高い費用負担であっても,多くの患者が受け入れ可能であることが報告されている6).すなわち,従来の懸念は徐々に解消されつつあるといえる.筆者らが最近行った研究では,異なるデザインのトーリックCSCLを装用した被験者,視機能を波面センサーを用いて評価した結果,レンズデザインによる「見え方」の違いが明らかになり,従来は主観評価に頼っていた快適性評価が,今後はより客観的に行える可能性が示された7).こうした知見は,眼科医がトーリックCSCL処方に自信をもつ一助となるだろう.文献1)https://www.clspectrum.com/issues/2023/january-20232)YoungG,SulleyA,HuntC:Prevalenceofastigmatisminrelationtosoftcontactlens.tting.EyeContactLensC37:C2025,C20113)Wol.sohnCJS,CLinghamCG,CDownieCLECetal:TFOSClife-style:ImpactCofCtheCdigitalCenvironmentConCtheCocularCsurface.OculSurf28:213-252,C20234)ChaudhryM,SahSP,SharmaIPetal:Doeso.eringonlytheCsphericalCcontactClensCtrialCtoCtheClowCastigmatsCmis-leadCtheCpractitioners?CIntCJCOphthalmolC14:1281-1284,C20215)Maldonado-CodinaC,NavascuesCornagoM,ReadMLeta:Theassociationofcomfortandvisioninsofttoriccon-tactlenswear.ContLensAnteriorEyeC44:101387,C20216)MorganOA,MirzaAA,ParmarKRetal:Clinicalperfor-manceandwillingnesstopayforsofttoriccontactlensesinClowCandCmoderateCastigmats.CContCLensCAnteriorCEyeC46:101887,C20237)KohS,MaedaN,TeraoMetal:Opticalqualityandvisu-alCperformanceCwithCdi.erentCtoricCcontactClensCdesigns.CEyeContactLensC49:483-488,C2023

写真セミナー:Corneal inlay挿入眼

2026年1月31日 土曜日

写真セミナー監修/福岡秀記山口剛史伊藤栄500.Cornealinlay挿入眼獨協医科大学眼科学講座図2図1のシェーマ①CKAMRAC図1前眼部所見角膜中央部に黒色のドーナツ形状をしたCcornealinlay(KAMRA)を認める.図3Cornealinlay挿入眼の眼底所見a:30°プリズムレンズによる眼底所見.Cb:後極部観察用レンズによる眼底所見(inlayの外側).c:後極部観察用レンズによる眼底所見(inlayの内側).レンズを水平方向に動かし,inlayの内側と外側から術野を確保して手術操作を行った.(69)あたらしい眼科Vol.43,No.1,2026C690910-1810/26/\100/頁/JCOPY老視矯正の方法としてcornealinlayが用いられることがある.AcuFocus社製のKAMRAやReVisionOptics社製のRainDrop,Presbia社製のFlexivueMicrolensなどがあり,いずれも角膜内に挿入するため,laserinsitukeratomileusis(LASIK)と併用されることも多い.Cornealinlayは不適合の場合,除去できることが利点である.しかし,cornealinlay挿入眼に眼疾患を併発した場合の対応方法は議論されるところである.今回,KAMRA挿入眼に硝子体手術を施行した症例を提示する.患者はC65歳,女性.近医で右眼の黄斑円孔を指摘され,筆者の病院を紹介受診した.13年前に両眼にLASIKが施行され,8年前には右眼にCKAMRAが挿入されていた(図1,2).初診時の細隙灯顕微鏡検査で明らかな白内障は認めなかった.眼底検査,眼底三次元画像解析で右眼に強度近視による網膜分離を伴う黄斑円孔を認めた.視力は右眼C0.1(0.3pC×sph-3.00D(cyl.1.75DAx10°),左眼C1.2(n.c.)であった.KAMRAと水晶体を温存し,右眼の硝子体手術を施行した.術中所見ではCKAMRAにより術野の視認性低下を認めたが,接触型の硝子体手術用コンタクトレンズを水平方向に動かして,inlayで妨げられる視野の外側や内側から視認し,内境界膜を.離した(図3).術後,中心窩の網膜分離はわずかに残存したものの黄斑円孔は閉鎖した.術後視力は右眼(0.3pC×sph-2.00D(cyl.0.75DAx15°)であった.KAMRAはCpolyvinylidenedi.uorideでできており,内径がC1.6mm,外径がC3.8mm,厚さC6μmで黒色のドーナツ形状をしている1).ピンホール効果を用いて焦点深度を拡大し,近方視力を改善する.屈折異常がある場合にはCLASIKで矯正したあとにCinlayを挿入し,通常は非優位眼のみに挿入する.2005年にCCEマークを取得し,2015年に米国食品医薬品局によりC45~60歳の患者への使用が承認された.2017年までに世界中でC2万眼以上に挿入されたが,米国ではC2022年に販売が中止となっている2).KAMRAは除去可能であることがメリットの一つであるが,除去後に角膜混濁の残存,屈折値の遠視化,視力低下を起こす場合もある2).除去せずに内眼手術を行う場合は,inlayによって術野が妨げられ手術操作がむずかしくなるが,白内障手術に関しては眼球を回転することで術野を確保しながら手術可能である3).また,裂孔原性網膜.離を合併した症例でも,広角観察システムを用いて硝子体手術が可能であったと報告されている4,5).今回の症例は黄斑疾患で内境界膜.離を行う必要があり,より繊細な黄斑部操作が必要なケースであった.C30°プリズムレンズと後極部観察用の硝子体レンズを用いて,レンズを水平方向に動かすことで,術野を確保して手術操作をすることが可能であった.今後,高齢化に伴いCcornealinlay挿入眼に眼疾患を併発した患者も増えてくるため,対応に留意しておく必要がある.文献1)USCFoodCandCDrugAdministration:KAMRACRCinlayCpro-fessionaluseinformation.https://www.accessdata.fda.gov/Ccdrh_docs/pdf12/p120023d.pdf.CAccessedC12CSeptemberC20252)MoshirfarM,LauC-K,ChartrandNAetal:ExplantationofKAMRACornealInlay:10-yearoccurrenceandvisualoutcomeanalysis.ClinOphthalmol16:3327-3337,C20223)TanT-E,MehtaJS:CataractsurgeryfollowingKAMRApresbyopicimplant.ClinOphthalmolC7:1899-1903,C20134)佐藤英寿,三浦玄,大和田彩子ほか:老視用角膜インレー挿入眼に対する硝子体手術.臨眼70:331-335,C20165)JabburCNS,CAwwadCST,CBashshurZF:SequentialCparsCplanavitrectomyandcataractextractionwithintraocularlensimplantationinpatientwithcornealinlaywhodevel-opedCretinalCdetachmentCfollowedCbyCcataract.CJCCataractCRefractSurg43:570-571,C2017

Deep Learning(DL Segmentation)と Structural Normality Map(SN map)

2026年1月31日 土曜日

DeepLearning(DLSegmentation)とStructuralNormalityMap(SNmap)IntegrationofDeepLearning-BasedSegmentationandStructuralNormalityMappingforRetinalImaging園田祥三*はじめに深層学習(ディープラーニング,deeplearning:DL)の登場により人工知能(arti.cialintelligence:AI)の発展にはめざましいものがあり,眼科分野でもさまざまな医療画像に対し応用され,高い精度での疾患の診断などの有用性が報告されており,一部については臨床応用も始まっている1).しかし,診断根拠となった所見やポイントを示すことができないという根本的な問題がAIにはあり,ブラックボックスAIとよばれ,臨床現場でのAIの利活用のステージでは致命的な課題といえる2,3).近年では次世代診断用のAIとして,Adler,MilsteinらはWay.ndingAIという考え方を提唱した4).AIが提示するのは最初から最終診断である.しかし,医療者と患者は多くのデータ中から不確実な情報を取り除いて行くことが正しい道であり,それを通じてdevelopmentofcareplanを行うのが常である.最初から最終診断を出されても決して臨床家の信頼を得ることはできない.そこで,最終診断を行う現在のAIではなく,このプロセスの“ナビゲーション”をAIが支援する次世代AI,すなわちway.ndingAIの必要性を述べている.筆者らは光干渉断層計(opticalcoherencetomogra-phy:OCT)診断において,人間が迷う症例は同じようにAIも判断に迷うことを見いだした5).さらに,AIの優れたところは,診断や所見に関しての自信の強さを数字で表すことができる点であり,その機能を使えば最終診断だけではなく,臨床所見のそれぞれについて自身の強さを数値で示すことができる.臨床家はそのなかから適切なものを選択していけるので,way.ndingprocessを誘導することが可能となる6).網脈絡膜組織は,その機能を体現するため筆者らが知る組織構造を呈している.疾患眼では,病状形成の過程で正常組織の破壊がおきるため,形態観察によりその状態を推察することにつながる.筆者らは,AIを用いてこの原則を定量化,マップ化して可視化するモデルを考案し市販OCTに実装したので,その原理について,ならびに症例を通して有効性について述べる.ISNmapとは:原理の概要を理解するStructuralNormalitymap(SNmap)とは,OCT画像上で「構造の乱れ=AIの迷い」を色で可視化した地図のようなものである.網膜各層の境界検出(セグメンテーション)をDLによって行うというモデルを,筆者らとNIDEK社が共同開発するなかで生み出されたものである.考え方の背景にあるのは,正常眼は網膜構造に異常がなく,OCTで観察すると網膜各層の境界が明瞭であるため層境界検出が成功しやすいと確認されていることである.他方で,疾患眼では障害部位の構造変化によって層境界が不明瞭なため層境界検出がむずかしく,構造変化の程度が強ければ複数の層にまたがって影響が現れるため,さらに検出が困難となる.この原則をDLが計算する過程において,層検出の迷いを定量化しマップ化したものがSN*ShozoSonoda:医療法人明星会鹿児島園田眼科形成外科,鹿児島大学〔別刷請求先〕園田祥三:〒890-0053鹿児島市中央町29-4鹿児島園田眼科形成外科(1)(59)590910-1810/26/\100/頁/JCOPYcd境界判定の確信度が高いほどピークが一つエントロピーとは「状態の混沌性・不規則性の程度を表す指標」px,z,l:層境界lの座標(x,z)におけるネットワークの出力値.図1網膜6層の境界をAIを用いて判定するモデル網膜各層の境界を検出するAIモデルを作成した.正常眼では境界が明瞭(a),疾患眼では層境界は不明瞭(b)でAIでも正確な判定はむずかしい.このAIの迷いをエントロピーとして,cに示す数式で算出できる.具体的にAIの迷いの定量化は,OCTAスキャンごとに判定していく.OCTAスキャンが512画素から構成される場合,aのように網膜各層の境界が明確であると,AIは高い確度で答えを出すことができる.bのように網膜構造が破壊されると,目的のOCTシグナルが不明確となり,AIの目的となる層の算出確度も下がり,エントロピーも上昇する(d).確率が均一になるほどエントロピーは高くなるhig図2正常眼のSNmapa~d,g~h:網膜6層の境界判定のAIモデルを元に表示されたSNmap.眼底後極赤外光の眼底写真上に異常シグナルが色で表示される.寒色系が低いエントロピーで,赤になるほどエントロピーが高値である.すなわち,色によって正常構造からの逸脱の程度を示している.正常眼ではほとんどシグナルは表示されないが,アーケード血管などの網膜浅層の大きな血管や黄斑(とくにbとd)ではシグナルが観察できる(b,cのはアーケード血管に一致したシグナル,dのは黄斑に一致した円形のシグナル).大部分の網膜構造と比較すると,血管に一致した部位や黄斑では構造が異なるため,正常眼でもシグナルが検出されると考えられる.BM:構造マップ眼底観察画像ILMIPL/INLEZRPE/BMBM図3実際のSNmapの表示画面OCT市販機では,ILM,IPL/INL,EZ,RPE/BM,BMの5層が表示画面のサイズの都合から選択され表示されている.本症例は中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)であるが,漿液性網膜.離(SRD)のためにEZ層がとくに障害をうけていることがすぐに判別できる.このように,疾患眼では表示された隣り合う層のシグナルの関係性を読影することが重要である.f図4症例1OCTBスキャン像(e)を確認すると,脈絡膜新生血管(CNV)の存在を示唆するdoublelayersignと漿液性網膜.離があり,加齢黄斑変性(AMD)の診断は容易にできる.SNmap(a~d)ではBM層(d)のシグナルがもっとも強く,CNVに一致している.しかし,BM層からもっとも離れたILM層でも異常シグナルがあり,これは網膜前膜を示し,OCTBスキャン像(e)でも確認できる().眼底写真(f)でも黄斑上方に前膜が観察できる.-図5症例2a~h:軟性白斑(右眼)の症例.患者の自覚はなく,定期検査でのCSNmapである.僚眼は網膜静脈閉塞の既往がある.SNmapでNFL/GCL層(Cb)にもっとも強いシグナルがあり,隣り合う層(Cc,d)にも同じ形でシグナルが確認でき,EZ層(Cf)まで続いている.隣り合う層の関係をみることで,おもに障害を受けている部位や,その障害がどこまで及んでいるのかを視覚的に観察できる.abcdIPL/INL層図6症例3a,b:単純型糖尿病網膜症の眼底写真(Ca)とCOCT像(Cb).拡大図でCOCTの層構造の乱れが確認できる().これは,いわゆる網膜内層の層構造の乱れ(DRIL)とよばれる所見で,OCT上で早期糖尿病網膜構造変化を示唆するとされる.しかし,DRILを検出するためには丁寧なCOCT観察が必要である.また,糖尿病診察に用いられる網膜厚みマップ(Cc)には暖色で表示される部位はなく,正常と判断される.SNmapではCIPL/INL層(Cd)において異常シグナルが後極に存在しており,これらがCDRILを示唆するものである.図7症例4a~f:前増殖糖尿病網膜症の症例.網膜内層CIPL/INL層およびCOPL/ONL層で異常シグナルが確認できる(Ca,b).DRIL並びに虚血による網膜構造変化を示しており,同症例のCOCTA(Cf)において,SNmapの異常シグナル(Cbの)に一致して低反射領域が確認できる().また,眼底写真(Ce)でも観察できる黄斑耳側の網膜光凝固斑がCSNmapでも観察できる.SNmapで多くの層に同じ形で観察できる凝固斑に一致した異常シグナルは,光凝固からの時間が長く経過したことを示している.図8症例5ポリープ状脈絡膜血管症の症例.当初(Ca)はの部位がもっとも活動性が高く,ポリープの丈が高かったが,経過中(Cb~g)に抗VEGF療法を行うことでポリープの形,部位が変わっていることがわかる.最後のCOCT(Ch)ではC.の部分に新たな病変が広がってきていることがわかる.従来のCOCTBスキャンの観察とは異なり,病勢観察の新しい手法になると考えている.ab図9症例6中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)の経時的な変化を示す(Ca,b,cの順).本症例はCCSCのCSRDが経過観察中に自然吸収された.当初はCBM層で隆起性変化が観察されていた.SRDの吸収後も,SNmapでは漏出の責任部位に異常シグナルが残っている.SNmapの経時変化の観察の有効性を示すと同時に,仮にCSRDが消失した状態で初めての診察を行う場合でも,これまでの病態の推察に利用できる可能性がある.ILM層IPL/INL層EZ層視力(1.0)視力(0.7)視力(0.06)図10症例7網膜前膜(ERM)のC3症例.中心窩視細胞の形態変化に伴ってCEZ層のシグナルが出現している.原則として,視力の障害が強いほどCEZ層での異常シグナルが強く表示される.また,ILM層では,ERMと網膜に隙間が存在するほどCSNmapでのシグナル強度が強くなる傾向があり,手術時のCERM.離のきっかけの目安として活用できる.これまで定量評価がむずかしかったCERMなどの疾患において,SNmapが新たな定量評価を可能にするかもしれない.

電子カルテに眠るデータを臨床に活かす: AI による医療情報抽出

2026年1月31日 土曜日

電子カルテに眠るデータを臨床に活かす:AIによる医療情報抽出AI-DrivenExtractionofHiddenClinicalDatafromElectronicHealthRecords奥村直毅*はじめに電子カルテの普及により,日常診療で記録された膨大な情報をあとから解析することが容易になって久しい.患者の主訴,診察所見,検査結果,治療方針などは,個々の診療に不可欠であると同時に,集めれば臨床研究における貴重な資源となる.しかし,電子カルテのなかで構造化されたデータも存在する一方で,「自由記述」として記録されているデータも多く,解析やデータベース化に活用するには大きな壁が存在する.人間にとっては容易に理解できる記録も,コンピュータにとって非構造化データは扱いにくく,従来は大規模な自動解析は現実的ではなかった.近年では,この「言葉の壁」を乗り越える技術として人工知能(arti.cialintelligence:AI),とくに自然言語処理や大規模言語モデル(largelanguagemodel:LLM)が急速に発展している.これらの技術は,電子カルテに眠る膨大な記録を解析可能なデータへと変換し,臨床研究の新たな推進力となる可能性を秘めている.IAIによる「言葉の壁」の突破口―自然言語処理とは1.自然言語処理の位置づけと電子カルテ応用の試みAIは多様な技術から構成されており,その一つが自然言語処理である.自然言語処理は,人間の書き言葉や話し言葉をコンピュータに理解させる技術であり,検索エンジン,翻訳サービス,音声認識などを通じて,すでに社会に広く浸透してきた.医療分野でも早くから電子カルテの文章解析に応用しようとする試みが早くから行われてきたものの,自由記述の多様性や複雑さが大きな壁となり,従来の技術では十分な成果を得ることは困難であった.2.従来の自然言語処理の限界とBERTによる革新従来の自然言語処理は,人間があらかじめルールを設定し,そのルールに基づいて記録を処理する方法が主流であった.たとえば,「文章に『緑内障』という単語が含まれていれば緑内障と判断する」といった単純な規則である.しかし実際のカルテは「緑内障の疑い」「gla.sus.(glaucomasuspectの略)」「家族歴:母が緑内障」など表現が多様であり,同じ単語を含んでいても意味はまったく異なる.これらを網羅するルールを構築するのは現実的ではなく,従来のアプローチには精度の限界があった.この状況を大きく変えたのが,2018年にGoogleが発表したbidirectionalencoderrepresentationsfromtransformers(BERT)である1).BERTは前後の文脈を同時に処理することで単語の意味を理解できるようになり,たとえば人間が「はし」を「橋」と「箸」の文脈で区別できるように,人間に近い形で解釈できるようになった.さらに,一般的な言語能力を獲得したあとに特定領域で追加学習(ファインチューニング)を行うことで,医療記録のように専門用語や独特の記載が多い領域にも*NaokiOkumura:同志社大学生命医科学部〔別刷請求先〕奥村直毅:〒610-0394京田辺市多々羅都谷1-3同志社大学生命医科学部(1)(51)510910-1810/26/\100/頁/JCOPY対応できるようになった.これにより,従来の自然言語処理を超える精度で電子カルテから有用な情報を抽出できる可能性が開かれた.IILLMの衝撃1.LLMの登場とその特徴2018年にBERTが登場して自然言語処理に革新がもたらされたあと,OpenAIのGPTシリーズが次々に発展し,2022年にChatGPTが一般公開されたことで,LLMは一躍社会に広く知られる存在となった.そのあともGoogleのGeminiやAnthropicのClaudeなど多様なLLMが開発され,LLMの継続的な性能向上と爆発的な普及は広く認知されている.これらのモデルは事前に大規模なデータを学習しており,BERTのような単語の意味理解にとどまらず,人間に近い自然な文章の生成,要約,質問応答など,多様なタスクをこなすことができる.その最大の特徴の一つは,膨大な教師データを用いた従来型のファインチューニングを必ずしも必要とせず,「ゼロショット学習」や「フューショット学習」とよばれる方法で,わずかな指示(プロンプト)だけで柔軟に応用できる点にある.2.BERTとの比較と医療応用の可能性BERTとLLMは,その性質の違いから「専門家」と「ジェネラリスト」にたとえることができる.BERTは詳細なマニュアル(正解データ)に基づいて徹底的に訓練された専門スタッフのように,特定の業務(例:眼圧や視野データの抽出)を高精度にこなす.一方,LLMは幅広い知識をもつ汎用的なスタッフのように,マニュアルがなくても「このカルテから眼圧,視力,処方薬を抜き出して表にまとめてほしい」といった口頭指示に対応できる.この柔軟性と汎用性は,医療情報の抽出や整理にも新しい可能性を開くものであり,従来の手法では時間や労力がかかりすぎた研究や解析に,迅速かつ容易に実現できる環境をもたらすと期待されている.III眼科領域でのAI活用―自然言語処理とLLMの展開1.自然言語処理を用いた緑内障診療データの自動抽出の実例電子カルテの自由記述から臨床研究に必要な情報を抽出する作業は,従来は膨大な時間と人手を要し,大規模研究の障害となっていた.筆者らの研究チームはこの課題に対処するため,緑内障患者の診療記録を対象にBERTを応用した自動抽出モデルを開発した.ここでは,眼科領域の臨床研究における自然言語処理活用の1例として紹介する.研究を行った時点ではLLMがまだ一般に普及しておらず,電子カルテの文章から定型的な数値や薬剤名を正確に抽出するには,自然言語処理がもっとも適した選択肢であった.島根大学医学部附属病院の緑内障患者1,091名の診療記録を取得し,そのうち150名分を学習データとした.Googleが発表したBERTに日本語が理解できるようにしたモデルである「京大BERT」に,緑内障患者150名分のデータを転移学習させた(図1).その結果,眼圧,視力,屈折値,視野検査データ〔meandeviation(MD)値など〕,処方薬名といった多様な情報を高精度で抽出できる「緑内障BERT」が作成できた.京大BERTでは緑内障の診療データから情報がうまく抽出できないことも多くあったが,緑内障BERTではほとんど問題なく情報が抽出できるようになった(表1).従来は1症例30分以上を要していた手作業の抽出が,AIの利用で平均30秒に短縮され,多くの患者の複数回にわたる診療記録から,迅速に必要な情報を抽出して研究に活用できるようになった2).この成果は,BERTであっても十分に実用的な成果が得られることを示したものであり,文章から必要な情報を抜き出すタスクであればLLMでなくても自然言語処理で可能であることを示した1例である.また,わずか150名分のデータの転移学習で緑内障の診療データに特化したモデルが作成できるため,この技術を用いて異なる医療機関や緑内障以外の疾患に特化したモデルを作成することもそれほどむずかしくないことを示しており,自然言語処理モデルを用いた臨床研究の可能性を強く支持するものといえる.52あたらしい眼科Vol.43,No.1,2026(52)日本語対応緑内障診療記録対応Googleが開発京都大学が開発同志社大学,島根大学が開発学習学習日本語Wikipedia緑内障診療記録約1,800万文150名(14,054文)図1緑内障BERT作成の流れGoogleが開発したCBERTを基盤に,京都大学が日本語CWikipedia約C1,800万文を学習させて日本語に対応させた「京大BERT」を構築し,研究者が事前に利用できるよう公開した.さらに,島根大学医学部附属病院の緑内障患者C150名の診療記録(14,054文)を用いて転移学習を行い,緑内障診療記録に特化した「緑内障CBERT」を作成した.本図は,BERTから京大CBERTを経て,転移学習によって緑内障CBERTへと特化させていったプロセスを示している.表1緑内障BERTによるデータ抽出の一例日付右裸眼視力右矯正視力右S右C右A左裸眼視力左矯正視力左S左C左A右眼圧(GAT)左眼圧(GAT)右HFA左HFA右角膜内皮細胞密度左角膜内皮細胞密度右角膜厚左角膜厚収縮期血圧拡張期血圧脈拍キサラタン点眼液0.005%キサラタン点眼液0.005%タプロス点眼液0.0015%タプロス点眼液0.0015%C2014/04/21C0.5C0.7C.1.5C90C0.4C0.8C2C19C.6.32C.5.01C1193C2284C463C460C164C79C70C1C1C2C2C2014/06/27C0.6C1.2C.1.5C110C0.4C1.2C3C.3C90C15C9C2190C458C163C81C72C0C0C0C0C2014/08/01C0.4C1C.1.25C90C0.3C1C2.25C.2C70C11C9C1560C2025C476C447C155C73C75C1C1C2C2C2014/10/31C0.6C1C.1.25C90C0.7C1C.0.5C14C13C1354C1258C469C478C144C76C74C1C1C2C2C2017/03/27C0.7C1C.1C80C0.1C0.3C1C.1.5C90C25C22C.14.87C.9.1C1430C1502C474C497C190C81C76C0C0C0C0C2017/04/24C0.4C0.5C.0.5C.1C130C0.5C9C11C1436C485C1C1C0C2C2017/05/29C0.4C1C0C.1C130C0.5C0.8C0.75C12C13C1126C2103C469C437C1C1C0C2C2017/06/26C0.4C0.6C.0.5C.1.5C150C0.15C0.7C3C.4.5C70C7C13C1380C1824C462C444C154C83C74C0C0C0C0C2017/07/10C0.01C0.5C0.7C2.5C.3.5C80C13C13C1224C1372C503C453C1C1C0C2C2017/07/20C0.08C0.1C.2.5C110C0.3C0.7C.2.5C.3.5C80C12C1C1C0C2C2017/08/04C0.3C0.7C.2C110C0.3C0.4C3.5C.3.75C85C17C16C1282C1504C475C411C156C80C74C1C1C0C2C2017/09/04C0.3C0.7C0.5C.2C110C0.15C0.6C4.75C.5C90C15C11C.13.52C.8.31C1343C1560C462C415C152C77C73C1C1C2C2C2017/10/18C0.4C0.4C0.5C.2C110C0.15C0.3C.2C100C9C10C1038C1179C472C434C149C74C64C0C0C0C0C2017/12/18C0.3C0.5C1.5C.3C90C0.2C0.4C1C.4C80C10C15C1082C1745C459C460C0C0C0C0C2018/02/13C0.3C0.6C1.5C.2.5C100C0.4C0.6C3.75C.3.5C90C11C15C.12.77C.5.35C1146C1238C459C443C175C79C73C0C0C0C0C2018/05/24C0.4C0.8C1.25C.2.25C100C0.9C0.9C3.5C.2.25C80C12C12C.3.69C2310C1929C465C443C139C63C64C0C0C0C0C2018/08/23C0.2C0.8C1C.2C100C0.5C0.9C2.75C.2.25C80C11C14C.12.04C.4.38C2249C2067C465C450C150C64C66C0C0C0C0C2018/11/27C0.8C1.5C.2.5C90C0.8C3C.2.5C80C18C18C.13.2C.7.64C1458C1476C466C447C192C87C80C0C0C0C0C2019/08/08C0.2C0.8C1.5C.1.75C90C0.3C0.8C2.25C.2C80C8C11C.14.35C.8.25C1362C1498C468C452C179C75C75C0C0C0C0C2020/02/13C0.5C0.7C1.5C.2.5C90C0.6C0.8C1.5C.1.5C90C11C11C.11.63C.10.62C1779C1879C470C459C187C93C82C0C0C0C0(文献C2より改変引用)角膜内細胞密度の低下(%)30MovingAverage±1SDRange20100-10-20-30y=-0.00955x-40-500200400600800100012001400術後経過日数(日)・36,561受診のデータを自動的に取得.・濾過手術後の角膜内細胞密度は,100日ごとに1%の割合で減少.・Ex-PRESSシャントと線維柱帯切除術で差はない.・原疾患として原発開放隅角緑内障(POAG)と落屑緑内障(EXG)で差はない.図2濾過手術後の角膜内皮細胞密度変化の解析例緑内障CBERTを用いて抽出した診療記録を解析し,濾過手術を受けたC136名の患者におけるC36,561回分のデータを評価した.術後C1,500日間にわたり,角膜内皮細胞密度はほぼ直線的にC100日あたり約C1%ずつ低下することが明らかとなった.また,Ex-PRESSシャントと線維柱帯切除術の間に有意な差はなく,原疾患が原発開放隅角緑内障(primaryopenangleglaucoma:POAG)か落屑緑内障(exfoliationglaucoma:EXG)かによる差も認められなかった.本図は,AIによるデータ抽出が長期的なリアルワールドデータ解析を可能にした一例を示している.表2人工知能(AI)が医療分野にもたらす変化領域おもな変化具体例1.創薬・治験分子設計の効率化,バイオマーカー探索,治験支援・AI創薬企業(Exscientia,InsilicoMedicine)による候補・薬設計・治験患者リクルートの自動化(EMR活用)・デジタルツインで治療効果を事前シミュレーション2.基礎研究ビッグデータ解析,構造予測,自動化・AlphaFoldによる蛋白質構造予測・大規模RNA-seq/シングルセル解析の自動化・AI駆動の実験ロボット(labautomation)3.臨床研究データ解析効率化,新知見発見・眼科COCT画像からの疾患分類研究・文献自動要約(Scholarcy,Elicit)・リアルワールドデータを用いた薬剤比較研究4.疫学研究公衆衛生データ解析,予測モデル・COVID-19流行予測モデル(機械学習)・ソーシャルメディアからのインフルエンザ流行監視・気候・環境データとアレルギー発症の関連解析5.日常診療診断支援,記録自動化,患者対応・糖尿病網膜症診断CAI(FDA承認IDx-DR)・診療音声をCSTTで記録→LLMで要約・患者向け説明文を自動生成して理解促進・遠隔診療でのCAIトリアージ6.医療運営・教育資源配分,教育・支援・病院ベッド稼働率予測と最適化・VR+AIによる手術トレーニング・患者向けセルフマネジメントCAIアプリEMR:電子医療記録,RNA-seq:RNAシークエンス,FDA:米国食品医薬品局,STT:音声認識.でのトリアージ支援などが実用化され,教育・運営面ではCVR+AIによる手術トレーニングや病院経営の最適化が試みられている.これらは代表的な応用の一部にすぎず,AIの活用はこれらにとどまらず,今後さらに多様な領域へ広がることが確実である.AIは,臨床・研究・教育を含む包括的な医療システムそのものを変革する可能性を秘めている.C2.電子カルテ活用の位置づけこれまで臨床研究は,電子カルテに記録された情報を研究者が半ば手作業で抽出し,集計・解析を行うことで進められてきた.この手法は多くの労力を要する一方で,重要なクリニカルクエスチョンに対して数多くの答えを導き出してきた実績があり,今後も重要な役割を果たし続けるであろう.しかし近年では,自然言語処理やLLMを用いて診療記録などの大量のデータを自動的に解析する新しいタイプの臨床研究が可能となりつつある.この新しいアプローチは,従来の研究手法と対立するものではなく,むしろ目的に応じて使い分けられるべきものであろう.とくに,より多くの症例を対象とする研究や,長期間にわたる追跡解析,あるいは多岐にわたる項目を同時に扱う必要がある研究では,AI技術を用いることで効率的かつ高精度な解析が可能になる.こうしたアプローチはまだ馴染みが薄いかもしれないが,技術的ハードルは大きく下がっており,臨床研究の方向性としてきわめて合理的である.特別なプログラミングの知識を有する一部の研究者が行うような手法ではなく,文字どおり「誰でも」活用できるところまでハードルが下がっていることを強調させていただきたい.さらに,単施設の研究にとどまらず,レジストリーや多施設共同研究にCAIを応用することで,より大規模で実臨床に即した知見が得られる可能性が高い.C3.PHR時代の到来とAIの不可欠性今後の医療情報基盤を考えるうえで,パーソナルヘルスレコード(personalChealthrecord:PHR)の概念はきわめて重要である.PHRとは,医療機関が保有する診療情報だけでなく,患者自身が健康に関するさまざまなデータを一元的に管理・活用できる仕組みをさす.従来の電子カルテは病院や診療所ごとに分断され,患者が自らの診療記録を統合的に把握することは困難であった.これに対しCPHRでは,複数の医療機関をまたいで診療情報を統合できるだけでなく,ウェアラブルデバイスによる日常の活動量や心拍,睡眠の記録,さらには食事や生活習慣に関するデータまで含めて,患者本人が主体的に管理できる点が特徴である.米国ではすでに,電子カルテ情報を患者自身がアプリやオンラインサービスを通じて閲覧・管理できる環境が広がっている.将来的には,診療情報,生活習慣データ,さらにはゲノムや分子レベルのデータまでが統合され,個々の患者に関する膨大で多様な情報がデジタル化されると予測される.このような「個人単位の大規模データ」を有効に解析し,臨床や予防医療に活かすためには,AIの力が不可欠である.とくに,疾患リスクの予測,治療効果の最適化,個別化医療の実現といった課題は,PHRとCAIの組み合わせによって初めて現実味を帯びてくる.PHRの普及は,研究と診療の両面でデータ駆動型医療を推進する原動力となり,AIはその中心的役割を担う存在になるだろう.CVAI活用における新たなリテラシーの必要性AIの普及により,これまで専門的な知識や技術を要した複雑な作業が誰にでも容易に実行できるようになった.今後,臨床や研究の現場でもCAIの活用はさらに広がっていくと考えられるが,その利便性の裏側には新たな課題が潜んでいる.それは,どのような使い方が許容され,どのような使い方が危険であるかを明確に理解するリテラシーが不可欠になったという点である.たとえば,患者の個人情報をそのまま入力することや,診療記録全体を外部サービスに投げ込むこと,氏名やCIDが記された医療画像データを読み込ませることなどは厳に慎むべき行為である(表3).日常生活におけるCAI利用が急速に一般化している現在,こうした「してはならない使い方」を理由とともに理解しておく必要がある.一方で,「してはいけないこと」があるので危険だから使わない,という姿勢は医学の発展と逆行するもので56あたらしい眼科Vol.43,No.1,2026(56)表3AI活用における安全性・情報流出の観点からの禁止事項の例1.個人情報を含むデータの入力・患者氏名,住所,電話番号,ID番号などの直接識別子を入力してはいけない・電子カルテの内容をそのままコピー&ペーストしてCAIに入力するのは厳禁2.診療記録や医療文書の丸投げ・診療録(カルテ),退院サマリー,紹介状,オペ記録などをそのままCAIに作成・編集させるのは危険3.音声や画像の無断入力・診察中の音声をそのまま録音してCAIに送信しない・患者の眼底写真や角膜画像などを個人同定情報と紐づいた形で入力しないAIを医療に応用する際に,情報流出や安全性の観点から厳に避けるべき行為をまとめた.患者氏名や住所,ID番号などの直接識別子を含むデータの入力,診療録や退院サマリー,紹介状,手術記録といった医療文書の丸ごとの入力,さらには個人情報と紐づいた音声や眼底写真,角膜画像の無断入力などがあげられる.これらは患者のプライバシー保護や法的規制の観点から重大なリスクを伴うため,医療者は「してよいこと」と「してはいけないこと」を正しく区別し,AIを適切に活用するためのリテラシーを身につける必要がある.

眼底画像から健康関連バイオマーカーを 推測するAI

2026年1月31日 土曜日

眼底画像から健康関連バイオマーカーを推測するAIAIforPredictingHealth-RelatedBiomarkersfromFundusImages森健策*小田昌宏**はじめに人工知能(arti.cialintelligence:AI)技術の進歩はめざましく,社会のあらゆる分野での利活用が進むに至っている.2010年代後半は,画像から物体を検出するなどのCAIが着目されるようになり,顔画像認識と連動したカメラのオートフォーカス,顔認識による出入国自動ゲート,建物の入退館ゲートなど,社会基盤の一つとしてCAIが定着する先駆けとなった.また,大腸内視鏡画像からの大腸ポリープ検出1)や大腸ポリープの質的診断など,医療分野におけるCAIの利活用もこの時代から始まったといえよう.そのあとに,ChatGPT2)に代表される対話CAIによって社会におけるCAIの利活用が加速したといえる.眼科領域においても,眼底画像からの疾患予測3),OCT画像の解析4,5),前眼部画像のCAIによる解析6)など,眼科におけるさまざまな領域に対してのCAI開発とその利活用が進められようとしている.とくに,画像AIを用いることで,これまで目視による診断では定量化がむずかしかった年齢,性別,血圧,その他の眼科以外の検査数値などが予測できる可能性も示されている.人体内部を光学的に比較的容易に観察できる眼科領域の画像から,眼科以外の情報を推測可能であることは興味深い.本稿では,筆者らがこれまでに日本眼科学会の研究者らと共同で開発を進めてきた眼底画像からの健康関連バイオマーカーを推測する手法について解説する.I健康関連バイオマーカー推定AI1.眼底画像からの健康関連バイオマーカー推定AIを用いた画像解析の場合には,画像からの特徴量抽出と抽出された特徴量に基づいて目的に応じた分類や数値回帰を行うことになる.いわゆる畳み込みニューラルネットワークでは,特徴量抽出や分類回帰のための種々のパラメータ設定を学習プロセスに基づいて行うことになる.単純な問題であれば,たとえばCResNet7)やCVGG8)などのニューラルネットワークを利用することになる(ResNetもCVGGもC2025年末となっては古典的なネットワークであるものの,画像分類・回帰タスクなどにおいては強力であることは間違いない).最近では,CVisionTransformerやCVisionMambaなどの手法を用いることもできる.ニューラルネットワークの学習においては,画像と分類のカテゴリ,あるいは,回帰したい数値のペアを大量に用意し,それを用いたニューラルネットワークを学習させることになる.AIプログラミングにおいて広範に用いられるCPyTorchにおけるCtorichvisonではCResNetなどのモデルはあらかじめ実装されており,簡単に利用することができる.最近ではCChatGPTを用いてPythonのプログラムソースコードを生成可能であり,誰でも簡単にニューラルネットワークを用いた分類や回帰を行うプログラムを作製可能である.*KensakuMori:名古屋大学大学院情報学研究科,名古屋大学情報基盤センター,国立情報学研究所医療ビッグデータ研究センター**MasahiroOda:名古屋大学情報基盤センター〔別刷請求先〕森健策:〒464-8601名古屋市千種区不老町名古屋大学大学院情報学研究科(1)(45)C450910-1810/26/\100/頁/JCOPY(mmHg)120100806040真値図2AIモデルによって推測された拡張期血圧の推定値と真値の関係推定値406080100120(mmHg)図1健康関連バイオマーカ推定に利用した眼底画像の例E.cientNetB7E.cientNetB6E.cientNetB5E.cientNetB4E.cientNetB3E.cientNetB2E.cientNetB1E.cientNetB0XceptionMobileNetV2MobileNetInceptionResNetV2InceptionV3DenseNet201DenseNet169DenseNet121図3眼底画像に基づく年齢推定における真値と推定値の関係0.860.870.880.890.90.910.920.93分類正解率([0,1])眼底画像から年齢推定を行うプログラムを生成させるためのプロンプト「眼底画像(2DRGBJPEG)から年齢を回帰推定するPyTorchコードを作成してください.ResNet50(torch-visionが配布しているImageNet事前学習モデル)を使用し,最終層のみ1出力の回帰に置き換えてください.train.csvならびにval.csvにはimage_path,ageの列があり,test.csvにはimage_pathのみがあります.data/images/に画像がある前提で,学習・検証・推論まで行い,テスト画像の推定結果をpred_test.csvに保存するフルスクリプトを作成してください」(ChatGPTによるプロンプト修正を含む)上記プロンプトを実行するための方法をたずねるプロンプト上記のプログラムの実行環境をWindowsに構築する方法,プログラムの実行法について教えてください.図4生成AIによる画像AI構築のためのプロンプト例

網膜AI

2026年1月31日 土曜日

網膜AIAIforExaminationandTreatmentoftheRetina三宅正裕*はじめに人工知能(arti.cialintelligence:AI)は,医療のあらゆる分野で急速に浸透している.そのなかでも眼科は,AI応用がもっとも早く進んだ領域の一つである.網膜は中枢神経系の延長上にある臓器であり,光学的に容易に観察できる唯一の「生体の窓」とされる.血管や神経が非侵襲的に可視化できるという特徴から,眼底写真や光干渉断層計(opticalcoherencetomography:OCT)などの画像が大量に蓄積され,AIによる解析に最適な環境が整っていた.2016年以降は深層学習(ディープラーニング,deeplearning:DL)の導入により,AIは眼底画像から糖尿病網膜症(diabeticretinopathy:DR)や加齢黄斑変性(age-relatedmaculardegeneration:AMD),緑内障などを高精度に検出できるようになった.研究レベルでは,専門医に匹敵あるいは専門医を上回る精度を示し,スクリーニングの自動化を現実のものとした.こうした技術により,医療アクセスの改善や,検査の効率化・負担軽減への応用が現実のものとなりつつある.さらに注目すべきは,網膜画像が眼疾患の枠を超えて,全身の健康状態を映し出す「バイオマーカー」としての役割をもつようになった点である.すでに,血管径,分岐角,屈曲度,フラクタル次元といった網膜血管の形態学的特徴は,心血管疾患や糖尿病など全身疾患のリスクと強く関連することが知られている.近年ではAIの導入によって,これらの指標を自動的に抽出・定量化することが可能となったほか,眼底画像から直接全身のさまざまなパラメータを推定することが可能となり,「眼から全身を診る」医学,すなわちオキュロミクス(oculomics)という新たな概念が生まれた.このように,網膜AIは「診断補助ツール」という枠を超え,疾病予測や健康管理の基盤となる技術へと進化を遂げつつある.AIが視覚情報から抽出する膨大な特徴量は,医師の肉眼では捉えきれない病態のパターンを明らかにしつつある.I網膜AIの発展網膜AIの発展は,大きく三つの段階に分けられる.1.疾患を検出するAI初期のAIは,おもに疾患の「有無」を判定することに焦点を当てていた.DRはその代表例であり,MES-SIDORやEyePACSといった公的データセットを用いた研究では,areaunderthecurve(AUC)0.97~0.99という高精度が報告されている.これに続き,AMD,緑内障,近視性網膜病変などへの応用が進み,多疾患を同時に検出するAIモデルも登場した.これらのAIは診断補助やスクリーニング自動化に有用である一方,臨床導入にあたっては「一般化性能(generalizability)」と「説明可能性(explainability)」の確保が課題とされる.*MasahiroMiyake:京都大学大学院医学研究科眼科学〔別刷請求先〕三宅正裕:〒606-8507京都市左京区聖護院川原町54京都大学大学院医学研究科眼科学(1)(37)370910-1810/26/\100/頁/JCOPY2.予後を予測するAIつぎの段階では,AIは「診断」から「予後」へと対象を広げた.抗VEGF治療への反応予測や,視力の長期転帰の推定など,治療効果や疾患進行を数値的に示す研究が進められている.AIは膨大な画像情報から微細な変化を抽出し,医師の経験的判断を補完する「予測ツール」としての役割を担い始めている.3.疾患を理解するAI近年では,AIが病態そのものを「理解」する段階に入りつつある.AIは教師なし学習やクラスタリング手法を通じて,従来の分類では説明できない新しい疾患サブタイプを抽出しつつある.たとえば,脈絡膜厚の変化パターンや微小血管構造の自動解析を通じ,AIが新しい病態仮説を提示する「AI-drivenhypothesis」への展開が始まっている.このように,網膜AIは「疾患を見つける」段階を超え,「疾患の仕組みを読み解く」段階へと進化している.眼科領域は,AIがもっとも早く臨床応用された領域であると同時に,AIによって疾患理解そのものが深まる実験場でもある.II網膜AIの実際1.臨床現場での網膜AI眼科領域は,医療AIの社会実装がもっとも早く進んだ分野の一つである.とくに網膜疾患を対象としたAIシステムは,すでに複数の国で医療機器として承認され,実際の診療に導入されている.代表的な例として,米国食品医薬品局(FoodandDrugAdministration:FDA)が2018年に承認したIDx-DR(DigitalDiagnos-tics社)は,DRを自動的に検出するシステムであり,医師の診断を介さずにスクリーニング判定を下すことができる世界初のAI医療機器である.このシステムは2枚の眼底写真を解析し,DRの有無と重症度を出力する.臨床試験では一定の精度が報告され,一次検診の効率化に寄与している.同様に,Eyenuk社のEyeArtもFDA承認を受けたAIであり,DRスクリーニングを完全自動化している.これらのAIシステムは,網膜カメラで撮影した画像をクラウド上のアルゴリズムに送信し,数十秒以内に結果を返す構造をとる.これにより,従来必要であった専門医による読影を不要とし,糖尿病患者のスクリーニング受診率を大幅に向上させたことが示されている.そのほかの多数の国で眼科領域のAI医療機器が承認を受けているが,これらはすべてDRのスクリーニングプログラムである.シンガポール,タイなどでは,国家主導のDRスクリーニングプログラムにAIを導入し,地域全体で検診体制を拡張する取り組みも行われている.わが国においても2025年10月に,眼底画像の診断補助を目的とした眼科領域初のAI医療機器が薬事承認を受けた.これは,日本眼科学会が国立情報学研究所との共同研究で作成したAIモデルを,日本眼科医療機器協会の子会社であるG-Data社が製造販売するものである.本機器はDRの有無を判定するものではなく,緑内障,DR,病的近視,網膜静脈閉塞症などを含む11の代表的疾患の特徴を検出するシステムである.いずれかの疾患の特徴が認められれば「有所見」,該当しなければ「所見なし」と判定する.このAIは単独で診断を行うものではなく,医師の診療補助として利用されることを前提としている.眼科医(非専門医)レベルのスクリーニング精度を目標とした臨床性能評価試験が実施され,結果として,感度98.3%,特異度83.3%という高い性能を示した.開発の目的は,健康診断施設などで一次スクリーニングを効率化することにあり,AIが異常の可能性を検出した場合にのみ眼科医による二次読影へとつなげる運用を想定している.このようなAI補助によって,非眼科医であっても眼科医(非専門医)と同等の水準まで見逃し率を低減できることが期待される.また,不要な二次読影を減らすことで,読影を行う眼科医の負担軽減にも寄与する(図1).結果として,診断精度を維持しながら医療コストを削減できる点が本機器の狙いである.また,上記医療機器の延長のプロジェクトとして,11の個別疾患を判定するAI医療機器の開発も行っており,医薬品医療機器総合機構(PharmaceuticalsandMedicalDevicesAgency:PMDA)との相談を進めている.パイロット研究においては,本AIモデルの補助を受けることにより,眼科医(非専門医)のみならず眼38あたらしい眼科Vol.43,No.1,2026(38)図1人工知能(AI)を活用した眼底画像スクリーニング体制従来,健康診断で撮影された眼底画像はすべて眼科医が読影していたが,2025年10月1日に製造販売承認が得られたAIプログラムを導入することにより,健康診断施設の医師(内科医など)がAIの判定補助により正常/異常を眼科医(非専門医)レベルで判定できるようになる.これにより,少しでも異常の可能性がある症例のみを眼科医の二次読影へと進める,という二段階方式が実現し,医療資源の効率化が可能となる.このようにAIがスクリーニングを支援することで,精度を維持しつつ医師の負担を軽減する仕組みが確立されると期待される.-log10(p)50CSH3YL1,ALKAL2C40C30C20C10CSLC16A1FAM110C,ACP1TM4SF20NKX6-1CPOC5MEF2CRAET1GSNTG1ARMS2GRM5TSPAN11GJA3AREL1OCA2GPR139C12345678910111213141516171819202122CChromosome図2網膜年齢加齢(eyeAgeAccel)のゲノムワイド関連解析結果Ahadiらが報告した網膜年齢加齢(eyeAgeAccel)に対するゲノムワイド関連解析の結果を示す.横軸は染色体位置,縦軸は各遺伝子座の関連の程度(.log10p値)を表す.もっとも強い関連を示したSH3YL1/ALKAL2領域()は,筆者らが長浜スタディのデータを用いて実施した再現性確認研究によって,日本人データにおいても再現性が確認された.この結果は,AIが算出する網膜年齢加齢が遺伝的背景をもつ生物学的指標である可能性を示唆している.(文献1より引用)図3実測の屈折値に対するゲノムワイド関連解析結果とAI推定屈折値を用いたゲノムワイド関連解析結果との比較aは実測の等価球面度数,bはAIが眼底画像から推定した等価球面度数に基づくゲノムワイド関連解析の結果を示す.両者はいずれも近視関連の既知遺伝子であるGJD2にゲノムワイドレベルで有意な一塩基多型(singlenucleotidepolymorphism:SNP)を検出しており,AI推定値を用いた解析でも実測データとおおむね同等の結果が得られた.これにより,網膜AIによる表現型推定がゲノム解析の拡張手段として有効であることが示唆される.1.00.9■基盤モデル不使用■基盤モデル使用分類精度0.80.70.60.50.40.30.20.101302616541,3092,6206,55013,10126,20452,40878,612104,817131,022(0.1%)(0.2%)(0.5%)(1%)(2%)(5%)(10%)(20%)(40%)(60%)(80%)(100%)学習画像数図4日本眼科学会が作成した基盤モデルによる学習効率の向上横軸は学習に用いた眼底画像の枚数,縦軸は分類精度を示す.緑は従来のスクラッチ学習(基盤モデル不使用),赤は基盤モデルを用いた学習結果である.基盤モデルを使用することで,わずか130枚の追加学習でも52,408枚のスクラッチ学習と同等の精度を達成しており,少量データ環境下でも高性能を実現できることを示している.-

問診AI:眼科クリニックと総合病院における 問診システム導入

2026年1月31日 土曜日

問診AI:眼科クリニックと総合病院における問診システム導入AdvantagesofAI-BasedDigitalPatientInterviewSystemsinHospitalsandClinics荻野顕*はじめに筆者は2019年にTapiaというコミュニケーションロボット〔図1,デモ動画をYouTubeで公開中(https://youtu.be/ndI7DfaubzM)〕を使用し,患者に対する白内障術後アンケートをまとめた.Tapiaへの注目は第57回日本網膜硝子体学会にて明石市のあさぎり病院にて白内障術前説明に導入され,使用経験を述べられていたことがきっかけである.Tapiaは卵型の高さ40.cmぐらいの筐体で,眼の部分(タッチパネル)に文字を表示することができ,その文字の読み上げを行う.使用者は眼の表示部位にタッチし会話を成立させる.約1カ月半の間に168名の患者からアンケートをとることができ,有効回答率は81.6%とまずまずであった一方で,当時の人工知能(arti.cialintelligence:AI)技術で行う限界も感じていた.それから6年が経過し,現在診療で使用できる問診AIはどのようなものであろうか.I2025年現在の問診システム近年,医療現場における情報通信技術(informationandcommunicationtechnology:ICT)化の進展により,問診業務の電子化が進んでいる.書面の問診の問題点として,電子カルテへの転記の無駄だけでなく,字を書く機会が減っている現代人の字は読み取りづらいといったことまであるようだ.電子問診システムは,業務の効率化だけでなく,診療の質向上や患者満足度の向上にも寄与する.しかし,導入に際しては,施設の規模や診療体図1Tapia制に応じたシステム設計が求められる.また,2025年8月時点で,ChatGPTのようないわゆる生成AIを用いた問診AIは上梓されていないことを最初に述べておく.II入力負担と情報精度のバランス問診システムにおいては,設問数と入力の手間が患者の受診意欲に大きく影響する.従来の医師や看護師によ*KenOgino:日本赤十字社和歌山医療センター眼科〔別刷請求先〕荻野顕:〒640-8558和歌山県和歌山市小松原通4-20日本赤十字社和歌山医療センター眼科(1)(31)310910-1810/26/\100/頁/JCOPY図2チャット形式の問診システム普及率の高いLINEをイメージしたメルプWEB問診(ヒーローイノベーション社)の画面.(ヒーローイノベーション社HPより許可を得て転載)表1問診に連携した検査指示と受診前アナウンス例主訴想定される疾患検査指示受診前のアナウンス例飛蚊症後部硝子体.離,網膜裂孔など眼底検査,散瞳など車での受診は控えてください,など視力低下近視,老眼,白内障など視力,細隙灯顕微鏡,OCTなど普段使用している眼鏡をもってきてください,など目のかゆみ,眼脂アレルギー性結膜炎,流行性角結膜炎など感染対策(視力検査なしなど)OCT:光干渉断層計(opticalcoherencetomography)図3問診樹形図の一例WEB問診Symview(レイヤード社)の画面.フォーマットを利用することもでき,改変も可能.(レイヤード社HPより許可を得て転載)図4問診システム,予約システム,電子カルテの連携イメージ(ヒーローイノベーション社HPより許可を得て改変引用)図5入院前の問診例アポクル問診の画面.(資料提供:カルー社)自動取り込み電子カルテの患者情報をシムビューが自動的に取込む連携方法です.電子カルテを開いた際に,シムビュー上に該当患者のWEB問診があれば,自動的にカルテの横にWEB問診の入力内容(カルテテキストに変換された内容)が表示されます.画面を遷移せず,電子カルテ画面上で転記作業が完結できます.直接連携QR連携電子カルテ端末でシムビュー画面を開くことができる連携方法.電子カルテ端末と同居できるので,別途端末を用意する必要がありません.クラウド型はもちろん,インターネットに接続していないオンプレ型もメーカ側にシムビューのみ接続できるよう調整を行っていただき,直接連携することができます.直接連携(URL連携)ができない電子カルテの場合,QRコードによる連携が可能です.シムビュー用の端末(タブレットやPC)をご用意いただき,患者ごとの問診画面で生成されるQRコードをQRコードリーダーで読み取って,電子カルテ端末に取り込むことができます.この方法であれば,どのメーカでも連携することができます.図6問診システムと電子カルテを連携する3方法WEB問診Symview(レイヤード社)の連携イメージ.三つの連携方法により,ほぼすべての電子カルテと連携が可能になるという.(レイヤード社の資料より改変引用)

OCT の3D データから視野を推測するAI が 日常診療をどう変えるか

2026年1月31日 土曜日

OCTの3Dデータから視野を推測するAIが日常診療をどう変えるかHowAI-BasedVisualFieldEstimationfrom3DOCTDataisTransformingDailyClinicalPractice古山誠*はじめに筆者はもともとパソコンいじりが好きな一介の眼科開業医である.日々多くの緑内障患者を診るなかで,自分では順調に管理できていると考えていた症例が予想外に早く進行したり,進行に気づいたときにはすでに重度の視野障害に至ってしまったりという経験を幾度となく味わい,そのたびに悔しい思いをしてきた.この臨床的な課題をなんとか解決し,緑内障診療の質を高めたいという一心で,光干渉断層計(opticalcoherencetomogra-phy:OCT)画像を用いた人工知能(arti.cialintelli-gence:AI)による視野推測の研究に取り組むに至った.研究開始当初は,まさに手探りの状態であった.しかし,既存の報告の多くが二次元(2D)のOCT画像を用いているのに対し,筆者はより情報量の多い三次元(3D)データ,つまりOCTが捉えた網膜の立体構造そのものをAIに学習させることに挑戦した.網膜の空間情報を最大限に活かせば,より高精度な推測が可能になると考えたからである.しかし,3Dモデルは計算に必要なマシンパワーがきわめて大きく,当時は学習を実行すること自体が困難であった.さまざまな手法で試行錯誤を繰り返し,多くの失敗を重ねながらも,時折得られる成功手法を積み重ねることで少しずつ推測精度を高めていった.さらに「現実の臨床に本当に役立つAI」をめざすため,既報の研究とは一線を画すアプローチをとった.それは,緑内障以外の疾患をもつ症例を解析から除外せず,黄斑上膜や白内障,糖尿病網膜症といった多様な合併症をもつ症例もすべて学習データに含めたことである1).この方針転換により,学習サンプル数が飛躍的に増加して推測性能が向上しただけでなく,従来はOCT解析が困難とされてきたさまざまな合併疾患をもつ症例にも,高い精度で対応できる「実臨床に即した汎用性」を獲得することができた.現在は多施設共同研究へと発展し,複数メーカーのOCT機種のデータを用いてAIの学習を進めており,今後も対応機種を増やしていくことをめざしている.筆者の施設では,このAIを組み込んだシステムを試験的に運用している.具体的には,Nidek社製のOCTを用いて無散瞳で撮影した9mm×9mmの黄斑マップデータをもとに,撮影直後にAIが自動で視野を推測する仕組みを日々の診療に活用している(図1).本稿では,この試験運用版を実際に使用して得られた臨床上のメリットや,具体的な活用事例について紹介する.なお,本稿で紹介する内容は試験運用版の機能であり,将来に製品化された場合の仕様とは異なる可能性がある.I診療フローが変わる:視野検査オーダーの新しい発想多くの医療機関では,初診時に視野検査を即日行うことはむずかしく,予約を取って後日実施するのが一般的である.その結果,患者は「緑内障かもしれないが,実際どの程度見えていないのか」という不安を長期間抱え*MakotoKoyama:南子安眼科〔別刷請求先〕古山誠:〒299-1162千葉県君津市南子安2-8-30南子安眼科(1)(23)230910-1810/26/\100/頁/JCOPY図1視野推測AIのイメージ図入力されたOCT三次元画像から自動的に24-2と10-2の合成視野を推測する.aHFAvs.OCT-VF(10-2Thresholds)40201510500510152025303510-2PointwiseHFAThresholds(dB)dHFAvs.OCT-VF(10-2MD)0-5-35-5-10-15-20-25-30010-2HFAMD(dB)図2実測視野(横軸)と本AIによる推測視野(縦軸)の良好な相関を示す箱ひげ図a:24-2閾値.b:10-2閾値.c:24-2MD.d:10-2MD.24-2MDの.33dB付近にみられるはずれ値は,おもに心因性視野障害など機能と構造が一致しない症例に由来する.abd10-2MDAbsoluteError(dB)10-2PointwiseAbsoluteError(dB)OCTFocus(D)図3横軸はOCTfocus(≒屈折値),縦軸は推測エラーの絶対値の箱ひげ図a:24-2閾値.Cb:10-2閾値.Cc:24-2MD.Cd:10-2MD.推測視野は屈折異常の影響をほとんど受けないことが確認できる.E.ectofOCTFocuson10-2PointwiseAbsoluteError3520151050-15-10-50510OCTFocus(D)E.ectofOCTFocuson10-2MDAbsoluteError302520151050-15-10-50510aResidualsofOCT-VF24-2bResidualsofHFA24-21.151.161.231.242.602.442.542.671.141.161.151.191.221.222.552.352.242.242.232.321.121.181.211.221.241.211.211.022.672.302.232.382.582.422.412.211.001.071.151.201.201.101.140.983.032.682.552.522.732.763.162.381.031.061.071.030.980.920.910.953.032.642.392.062.182.272.562.451.081.081.051.011.071.041.030.982.452.332.212.242.322.382.262.091.081.021.001.041.081.102.512.362.302.142.062.291.061.051.141.162.422.322.202.36cResidualsofOCT-VF10-2dResidualsofHFA10-21.201.232.642.601.191.241.271.261.281.292.482.352.152.472.782.811.191.251.341.361.381.361.341.322.482.342.422.483.002.993.253.251.221.321.411.421.311.301.291.292.262.432.332.952.762.662.672.941.091.151.231.291.130.920.910.950.971.072.822.612.712.873.012.141.971.892.153.001.071.121.141.080.870.780.800.830.840.912.191.982.061.861.911.821.851.691.722.131.151.161.161.050.930.930.920.921.942.201.791.771.861.821.952.061.071.131.131.101.041.000.981.002.092.001.851.781.902.012.022.381.051.091.101.091.091.092.121.951.982.032.212.451.061.112.222.29図4測定のばらつきの大きさを比較したヒートマップa:24-2推測視野.Cb:24-2実測視野.Cc:10-2推測視野.Cd:10-2実測視野.各測定点が平均的な進行傾向からどの程度ずれるか(ばらつき)を計算し色分けした.色が黄色に近いほどばらつきが小さく,赤に近いほど大きいことを示す.すべての測定点において,推測視野(Ca,c)が実測視野(Cb,d)よりも圧倒的にばらつきが少ないことが一目でわかる.ValueScale現されていた.測定ごとにばらつきがあるため,それ以上に細かく表示しても臨床的な有用性は乏しいという判断があったのかもしれない.そのため,われわれはグレースケール表示だけを見て診療を行うことの危うさを学び,実際の感度(dB値)も確認する必要性を教わってきた.しかし,複数回の視野検査結果の,とくにC24-2と10-2の両方を毎回CdB値で追いかけるのは,膨大な数字の羅列を頭のなかで濃淡に変換し続ける作業であり,多忙な外来診療のなかでは大変な労力である.一方,AIによる推測視野は,実測値のようなばらつきがきわめて少ないため,より滑らかな表現が可能である.そこで,本システムではC255段階のグレースケールで濃淡を滑らかに表示することにした.これにより,dB値を一つひとつ確認しなくても,視野のわずかな変化を直感的に把握できる.この利点を最大限に活かすため,メイン画面からはあえてCdB表示をなくし,限られた画面スペースをより重要な情報(後述)のために活用する設計とした.CVIIIトータル偏差の表示方法の工夫視野検査におけるトータル偏差とは,同年代の正常な眼と比較してどのくらい感度が低下しているかの差を示す指標である.従来の視野計では,この偏差を数値やCp値(統計的な有意確率)に応じた段階的なグレーパターンで表示していた.しかし,数値表示では多くの検査結果を時系列で比較するのが困難であり,p値によるパターン表示では,たとえばCp<0.5%まで悪化すると,それ以上視野が悪化しても同じ黒い表示のままとなり,変化を捉えられないという欠点があった.そこで推測視野システムでは,新しい表示方法として「年齢補正グレースケール」を採用した.これは,同年代の正常視野の感度を基準(分母)とし,患者の推測視野感度(分子)を比率としてグレースケールで表現するものである.この表示法により,加齢による生理的な感度低下の影響が補正され,同年代と比べた視野欠損の状態が可視化される.時系列での比較が容易になるだけでなく,重症例であっても連続的なグレースケールで変化を描出することが可能となった.IX見た瞬間に全体像がわかる情報設計かつて,視野検査の結果は一枚一枚紙に印刷され,カルテに綴じられていた.時系列での変化を追うには,何枚もの紙をめくりながら比較する必要があり,視野進行の全体像を把握するには多大な労力が必要であった.その後,電子カルテやファイリングソフトが普及し,複数回の視野を並べて表示したり,MDスロープをグラフ化したりできるようになり,診療効率は大きく向上した.しかし,多くの既存システムでは,依然として片眼ずつ,あるいは測定プログラムごとに表示を切り替える必要がある.「右眼のC24-2」「左眼のC24-2」「右眼の10-2」「左眼のC10-2」……と,それぞれのデータを確認するために何度もマウスクリックが必要で,全体像を統合して把握するには,医師の頭のなかでの作業が必要であった.筆者は,必要な情報を瞬時にかつ統合的に把握できるインターフェースこそが理想だと考え,システムを設計した.両眼のC24-2とC10-2を合成した推測視野(年齢補正グレースケールとパターン偏差Cp値),そして両眼・両条件のCMDスロープの推移グラフを,すべて一画面に時系列で表示できるようにしたのである(図5).この設計により,医師は「一目見ただけで,その患者の両眼の視野の全体像,進行傾向,そして中心視野の状態まで,すべてを直感的に理解できる」ようになった.CX医師の診断能力を鍛える教育ツールとして日常の緑内障診療において,われわれは眼底写真,OCT画像,視野検査結果などを見比べながら,「この視神経乳頭の形状なら,視野のこのあたりに欠損が出そうだ」「このCOCT所見からすると,24-2だけでなくC10-2でも異常が出るかもしれない」「進行速度はこれくらいだろうか」──といった推論を頭のなかで組み立て,実際の結果と照らし合わせることで,日々診断能力を磨いている.このプロセスにCAIによる推測視野が加わったことで,筆者自身,日々多くの推測視野を目にするうちに,緑内障を診る能力が鍛えられ,考え方が大きく変わってきたと実感している.推測視野は,人間の直感や経験的な推28あたらしい眼科Vol.C43,No.1,2026(28)(24R)-0.66dB/Y±0.17,P=0.00,(10R)-0.67dB/Y±0.23,P=0.00(24L)-0.79dB/Y±0.12,P=0.00,(10L)-0.63dB/Y±0.10,P=0.0020-2-2-4-4-6-6-8-8-10-10-12MD(dB)右眼パターン偏差p値年齢補正グレースケール左眼パターン偏差p値図5当院の実際の臨床で使用している画面のイメージ図両眼のC24-2およびC10-2を同時に合成表示し,MDスロープと,時系列に並べた年齢補正グレースケールおよびパターン偏差Cp値を表示できるため,多くの情報のすべてを一目で把握できる.

院内管理AI

2026年1月31日 土曜日

院内管理AIImplementationandChallengesofAI-BasedSafetySystemsinOphthalmicSurgery田淵仁志*はじめに眼科業務は多岐にわたる.人手不足や保険診療緊縮の折にそれらを機械化して効率性を向上させる取り組みには多くの興味が集まっている.人工知能を用いた眼科用アプリケーションは多岐にわたる.筆者らのチームが取り組んできたものだけでも,各種眼科疾患用画像診断用人工知能(arti.cialintelli-gence:AI)1~3),点眼アドヒアランスAI4,5),問診票を用いた診断能力向上AI(投稿中),画像生成AIによる診断能力向上教育システム6~7),眼内レンズ(intraocularlens:IOL)計算式8~10),手術安全管理AIシステム11~13),疾患/手術説明Q&A自動応答システム(論文投稿準備中),加齢黄斑変性(age-relatedmaculardegenera-tion:AMD)長期臨床管理モニター14)など,多様な眼科業務に合わせるかのようにバラエティは豊かである.今回は,AIに詳しくない方にもわかりやすく,院内で実装しているAIアプリケーションをベースにその意義を解説する.I人間とAIにできることとできないこと最初に理解したいのは,AIと人間には何ができて何ができないのかという点である.基本的に機械化すべき業務とは,人間にはできないがAIにはできることだからである.そんななかで,実はAIにも人間にも絶対にできない二つのことがある.それは,未来予測と境界例の識別である.未来に何が起こるかについては,AIであろうが人間であろうがわからない.未来を予測するタイプのAIは常に非難の的になってきた.ビックデータの重要性が叫ばれるようになったきっかけとされ,Google検索の入力内容によるインフルエンザの発生予測は,事後検証でまったく役に立たないことがわかっている15).新型コロナの発生者数の予測についても桁違いの予測をしていたことは記憶に新しい16).占いビジネスはどんなに時代が変わっても存在し続け,とくに問題になっていないが,これは「未来は予測できると思いがち」な人間特有のバイアスによるものである.そして,もう一つの絶対にできないことは,境界例の識別である.重なりあう2群がある場合に,その重なっている境界例を識別する方法は,別の定義を持ち込んで分離すること以外に存在しない.したがって,極端な差があるような対象だけが分離可能となる.見落としてはいけない疾患について,感度を極限まで上げると偽陽性が多くなるのは当たり前であり,感度を極限まで高めた診断用AIが見落としを防止できるのは確かであるが,その分だけ偽陽性の処理が大きな負担となる.これが,いつまでたってもAI診断実装のボトルネックとなるのである.人間にできない未来予測と境界例の判別を一生懸命にやらせようとしてきたのが,あるいはできるかのようにマーケティングしてきたのがAIビジネスのパターンである.そのほうが投資家からの資金を集めやすいからで*HitoshiTabuchi:ツカザキ病院眼科〔別刷請求先〕田淵仁志:〒671-1227兵庫県姫路市網干区和久68-1ツカザキ病院眼科(1)(3)30910-1810/26/\100/頁/JCOPY表1AIアプリケーションの機能とその機能がカバーする人間の欠点アプリケーション名機能カバーしている人間の欠点点眼瓶センサーAI点眼アドヒアランス自動客観管理・点眼を継続できない・過大に点眼申告をする・医師の推定も当たらないAMD長期臨床管理モニターRPE層の突発的変化の自動同定黄斑体積推移の視覚化・患者の長期にわたる臨床経過を思い出せない・OCT全スライスを診療時間内に把握できない医療安全管理AI顔認証・左右眼・IOL同定・人間はどんなに注意しても左右を間違える・心理的危険環境下では間違いを指摘できない・自分のミスを報告することが心理的にできない患者Q&AAIハルシネーションゼロの自動応答・24時間365時間働けない・頻回のよくある質問回答にストレスを感じる図1点眼瓶センサーAI点眼瓶センサーAIは,どのような形状の点眼瓶も保持できるように設計されたシリコーン製のコンテナ底部に携帯電話の部品である加速度センサーが組み込まれたもので,電池式である.3カ月間電池交換不要で,患者のアドヒアランスを悪化させるような追加作業を極力避けた設計になっている.#2.初診日#3.最終診察日#4.表示切替#1.最終来院日(経過日数)#5.治療間隔(週)#6.侵襲性治療(PDT/硝子体注射)#7.黄斑体積推移とトレンド回帰直線#8.中心網膜厚#9.ランドルト環視力(LogMAR)#10.OCT画像サムネイル図2加齢黄斑変性(AMD)長期臨床管理モニターモニターは左右眼ごとに表示される.侵襲治療のタイミング,黄斑体積,中心網膜厚,視力,OCT像が一目瞭然で提示される.図3眼科手術用の医療安全管理AIシステムは顔認証(a),左右認証(b),IOL認証(c)の三つの認証から構成される.操作・認証・確認がすべてiPad上で完結するように設計されており,院内ネットワークに組み込まれている.a1,b1,c1は認証成功時,a2,b2,c2は認証失敗時の表示である.図4患者Q&Aシステム(白内障周術期用)スマートフォンのLINEアプリに組み込まれた自動応答システムのやり取り例を示す.白内障手術の費用についての質問をすると,あらかじめデータベースに格納された質問リストの中からユーザーの入力内容に近い質問をAIが選択してリスト表示する.そのリストをユーザーが選択すると,あらかじめデータベースに登録された内容が自動応答する.このシステム最大の利点は,AI生成で絶対にゼロにできないハルシネーション(創作,まるで本当かと思うような嘘)を完全回避し,患者のあらぬ誤解を招かないことである.所要時間3:21:362:52:482:24:001:55:121:26:240:57:360:28:480:00:00線形回帰直線*****●データ手入力○データ自動表示050100150200250診察回数図5加齢黄斑変性(AMD)患者の蓄積診察回数に応じたデータ手入力時間の推移X軸はCAMD患者の診察回数で,Y軸は患者の診療情報(視力,黄斑体積,中心網膜厚,OCT画像)をすべて入力するのに必要だった時間である.黒丸は手入力,白丸は長期臨床管理モニターの表示時間である.100.0%90.0%80.0%70.0%60.0%50.0%40.0%30.0%20.0%10.0%0.0%202220232024図6医療安全管理AIの3認証の利用率の変遷は顔認証,は左右認証,はCIOL認証の実施率の変遷を示す.最初のC3カ月はとくに左右認証の利用率が低く,導入初月はC80%を下回った,99%に実施率が到達するのにC3カ月が必要であった.図7多職種による月例のフィードバック会議の様子毎月の多職種協働会議の様子.視能訓練士,看護師,医師がWeb会議と現場のハイブリッド形式で医療安全管理CAIの実施状況(実施率,医療過誤発生率,ニアミス発生率など)の把握と運用方法についての改善活動を継続している.(人)15105012345678910(点)図8手術室看護師18名に対するNPSスコアアンケートNetpromoterscore(NPSスコア)を用いて,眼科医療安全管理CAIを実際に使用し認証している手術室看護師C18名に質問した結果.NPSスコアは「手術室内安全管理システムをほかの人に勧めるか」をたずねるもので,最低点はC1点(まったく勧めない),最高点はC10点(強く勧める)であり,10点とした看護師が過半数であった.(秒)100%7.9%4.3%5.1%14.4%89.9%94.6%80.3%2.2%0.0%0.9%0.2%0.2%2590%80%2070%60%1511.850%40%1030%20%510%0%0顔認証左右認証IOL認証顔認証左右認証IOL認証■1回で認証成功■2回で認証成功図9医療安全管理AIの3認証にかかる平均時間■認証成功に3回以上必要■認証不成立顔認証はC11.8秒(95%信頼区間:2.6秒~21秒),左右認証は3.1秒(95%信頼区間:1.5~4.8秒),眼内レンズ認証はC8.6秒図10医療安全管理AIの3認証における認証回数の分布(95%信頼区間:5.8秒~11.3秒)であった.各認証の認証回数である.3認証すべてにおいてC1回目の認証でC80%以上,2回目の認証ではC94%以上が終了している.(%)10096.797.597.3969696.497.296.196.7(%)95.295.494.294.1952回目で認証成功9087.286.686.385(%)801回目で認証成功75707月8月9月10月11月12月1月2月3月4月6月7月8月1回目(%)87.285.384.484.886.683.485.385.884.286.384.582.1842回目まで(%)96.797.597.3969694.196.495.294.297.296.195.496.7図11顔認証の回数別成功率の月間推移(2023年)毎月の医療安全管理CAIフィードバック会議で使用される定点観測データの一つ.1,2回目での認証成功回数が極端に低下していないかを確認している.3回以上の認証が必要だった患者については個別に認証記録画像を分析し,撮影方法やアルゴリズム変更などの改善の資料とする.abc図12医療安全管理AI用の三つの認証がすべて終了していることを示す認証終了確認アラートシステムa:認証が完全終了していない時点で,タイムアウトモニター(各手術室に視認性のよい場所に天吊りされている患者確認モニター)の外枠が赤く点滅し続ける,Cb:三つの認証がすべて成功終了(すべて正しいことが確認されることを成功としている)すると外枠が緑色で静止する.Cc:タイムアウトモニターの表示内容.(%)0.70.620.60.50.40.30.20.100.420.420.410.210.160.120.15顔認証左右認証眼内レンズ認証3認証全体■導入前1年未実施率(%)■導入後1年未実施率(%)図13認証終了確認アラートシステム導入前後の認証未実施率の変化認証終了確認アラートシステム(点滅アラート)導入前後の認証未実施率の推移.3認証とも低下している.VIII人間とAIは相補的であるYouTubeなどのCSNSプラットフォーム運営会社が運用している不適切動画識別CAIを除いて,AI最大の応用先である自動運転推進派の過激な意見として「人間が運転するよりよほど安全である」というものがある22).この点はすでに丁寧な科学的分析があり,通常の道路事情のときには人間よりも自動運転がよほど安全であることは確かにいえる.居眠りやよそ見などの人間のミスは機械トラブルよりも多いのである.一方で,滅多にないような状況において,自動運転はまったく人間に歯が立たない.交通量が不規則な交差点内での事故は自動運転のほうが多いのである23).交差点内での車の動きは複雑怪奇であり,過去の事象として学習パターン数がどうしても不足しているのが理由である.人間は複雑な状況に入ると,そのこと自体を危険性が高まったと判断して集中力を研ぎ澄まし,対応能力を上げることができる.このようにCAIができないこと,人間ができないことを常に意識してCAI応用・AI利用を進めていけば,よりよい未来が手に入る.文献1)OhsugiCH,CTabuchiCH,CEnnoCHCetal:AccuracyCofCdeepClearning,CaCmachine-learningCtechnology,CusingCultra-wide-.eldCfundusCophthalmoscopyCforCdetectingCrheg-matogenousretinaldetachment.SciRepC7:9425,C20172)MasumotoH,TabuchiH,NakakuraSetal:Deep-learn-ingCclassi.erCwithCanCultrawide-.eldCscanningClaserCoph-thalmoscopeCdetectsCglaucomaCvisualC.eldCseverity.CJGlaucomaC27:647-652,C20183)NagasatoCD,CSogawaCT,CTanabeCMCetal:EstimationCofCvisualCfunctionCusingCdeepClearningCfromCultra-wide.eldCfundusCimagesCinCretinitisCpigmentosa.CJAMACOphthalmolC141:305-313,C20234)NishimuraK,TabuchiH,NakakuraSetal:EvaluationofautomaticCmonitoringCofCinstillationCadherenceCusingCeyeCdropperCbottleCsensorCandCdeepClearningCinCpatientsCwithCglaucoma.TranslVisSciTechnol8:55,C20195)TabuchiCH,CNishimuraCK,CAkadaCMCetal:Real-worldCevaluationCofCnovelCeyeCdropCbottlesensors:cloud-basedCAICsupportCforCeyeCdropCadherence.CHeliyonC10:e34167,C20246)TabuchiCH,CEngelmannCJ,CMaedaCFCetal:UsingCAICtoCimproveChumanperformance:e.cientCretinalCdiseaseCdetectiontrainingwithsyntheticimages.BrJOphthalmolC108:1430-1435,C20247)TabuchiH,NakajimaI,DayMetal:Comparativeeduca-tionale.ectivenessofAIgeneratedimagesandtraditionallecturesCforCdiagnosingCchalazionCandCsebaceousCcarcino-ma.SciRepC14:29200,C20248)YamauchiCT,CTabuchiCH,CTakaseCKCetal:ComparisonCofCvisualCperformanceCofCtoricCversusCnon-toricCintraocularClensesCwithCsameCmaterial.CClinCOphthalmolC12:2237-2243,C20189)MoriCY,CYamauchiCT,CTokudaCSCetal:MachineClearningCadaptationCofCintraocularClensCpowerCcalculationCforCapatientgroup.CEyeVis(Lond)C8:42,C202110)TabuchiCH,CYamauchiCT,CShojoCTCetal:TrainingCdataCsizeandpredicationerrorsintheuseofmachine-learningassistedCintraocularClensCpowerCcalculation.CSciCRepC13:C11348,C202311)MoritaCS,CTabuchiCH,CMasumotoCHCetal:Real-timeCextractionCofCimportantCsurgicalCphasesCinCcataractCsur-geryvideos.SciRep9:16590,C201912)MoritaS,TabuchiH,MasumotoHetal:Real-timesurgi-calproblemdetectionandinstrumenttrackingincataractsurgery.JClinMedC9:3896,C202013)TabuchiH,MoritaS,MikiMetal:Real-timeAIevalua-tionCofCcataractsurgery:aCpreliminaryCstudyConCdemon-strationCexperiment.CTaiwanCJCOphthalmolC12:147-154,C202214)TabuchiH,YamauchiT,NagasawaTetal:Revolutioniz-ingCpatientCmonitoringCinCage-relatedCmacularCdegenera-tion:acomparativestudyonthenecessityande.ciencyofCtheCAMDCVIEWER.Bioengineering(Basel)C10:1426,C202315)KandulaCS,CShamanJ:ReappraisingCtheCutilityCofCGoogleC.utrends.PLoSComputBiolC15:e1007258,C201916)IoannidisCJPA,CCrippsCS,CTannerMA:ForecastingCforCCOVID-19hasfailed.IntJForecastC38:423-438,C202217)林喜男:人間信頼性工学,海文堂出版,198418)DunnCBD,CEvansCD,CMakarovaCDCetal:GutCfeelingsCandCthereactiontoperceivedinequity:theinterplaybetweenbodilyCresponses,Cregulation,CandCperceptionCshapesCtheCrejectionCofCunfairCo.ersConCtheCultimatumCgame.CCognCA.ectBehavNeurosci12:419-429,C201219)QuarantaCL,CNovellaCA,CTettamantiCMCetal:AdherenceCandpersistencetomedicaltherapyinglaucoma:anover-view.OphthalmolTherC12:2227-2240,C202320)Newman-CaseyCPA,CRobinCAL,CBlachleyCTCetal:TheCmostCcommonCbarriersCtoCglaucomaCmedicationCadher-ence:across-sectionalsurvey.Ophthalmology122:1308-1316,C201521)OkekeCCO,CQuigleyCHA,CJampelCHDCetal:InterventionsCimproveCpoorCadherenceCwithConceCdailyCglaucomaCmedi-cationsinelectronicallymonitoredpatients.OphthalmologyC116:2286-2293,C200922)DiLilloL,GodeT,ZhouXetal:Doautonomousvehicles(13)あたらしい眼科Vol.43,No.1,2026C13’C

前眼部AI

2026年1月31日 土曜日

前眼部AIAnteriorSegmentAI北口善之*はじめに眼科領域では,人工知能(arti.cialintelligence:AI)を活用した診断支援技術の開発が急速に進んでいる.現時点で前眼部の診断AIは未承認だが,研究レベルでは実用レベルに達しつつあるものが登場している.本稿では,前眼部AIの「今」を,開発中のAI技術を中心に紹介する.I前眼部AIにはどんなものがあるか前眼部のAI研究には,大きく分けて二つの方向性がある.一つは,細隙灯顕微鏡写真から角膜疾患や白内障を自動判別する診断AIである.もう一つは,トポグラフィーや光干渉断層計(opticalcoherencetomogra-phy:OCT)といった検査機器に組み込まれ,計測精度を高めたり異常を検出したりする組み込みAIである.診断AIの代表例として,日本発のCorneAIが注目される.これは前眼部の写真から9種類の病態を自動判別するもので,詳細は後述する.組み込みAIのなかには,すでに臨床で使われているものもある.たとえば,白内障手術の眼内レンズ(intra-ocularlens:IOL)計算式(BarrettやKaneなど)にはAI技術が組み込まれており,従来法より予測精度が高い.また,前眼部OCTの虹彩や強膜岬の検出にもAIが使われ始めている.これらのAI技術が実臨床で使えるようになれば,角膜専門医がいない施設でも適切なトリアージが可能になり,見逃しが減り,患者の予後改善につながると期待される.II前眼部AI研究の最前線1.細隙灯顕微鏡写真ベースのAI前眼部AI研究のなかでもっとも活発なのが,細隙灯顕微鏡写真を用いた画像分類である.角膜疾患の鑑別は,「イヌとネコを見分ける」画像分類と同じ仕組みで行うことができる.2015年に開催された画像分類コンテスト(ImageNetLargeScaleVisualRecognitionChallenge:ILSVRC)では,深層学習が人間を超える精度を達成した.この技術が眼科にも応用され,2020年頃から前眼部疾患を自動判別するAIが次々と報告されている.a.CorneAI─多施設共同による9分類モデル日本発の前眼部疾患鑑別AIであるCorneAIは,多施設共同研究により開発が進められている1).このモデルの強みは,23の多施設データにより学習されている点である.単一施設のデータでは撮影環境や症例構成に偏りが生じやすいが,多施設データを用いることで汎化性能が大きく向上する.CorneAIは5,270枚の細隙灯顕微鏡撮影画像で学習され,正常,感染性角膜炎,非感染性角膜炎,瘢痕,角膜沈着物,水疱性角膜症,腫瘍性病変,水晶体混濁(白内障),急性原発閉塞隅角症(acuteprimaryangleclo-sure:APAC)の前眼部疾患カテゴリーを9分類する*YoshiyukiKitaguchi:大阪大学大学院医学系研究科脳神経感覚器外科学(眼科学)〔別刷請求先〕北口善之:〒565-0871大阪府吹田市山田丘2-2大阪大学大学院医学系研究科脳神経感覚器外科学(眼科学)(1)(15)150910-1810/26/\100/頁/JCOPY図1CorneAIのデモ画面感染症と判定された場合には予測される病原体も表示される.図2CorneAIの9分類カテゴリー別正答率感染性角膜炎瘢痕%%***********100100505000水疱性角膜症緑内障発作眼科医全体眼科専門医レジデントCorneAI眼科医全体眼科専門医レジデントCorneAI%100****%100505000■CorneAIの支援なし■CorneAIの支援あり図3CorneAIの診断支援効果(医師の正答率向上)CorneAIの診断支援のもとで眼科医全体,眼科専門医,レジデントが画像の判定を行ったときの正答率.(文献C2より改変引用)眼科医全体眼科専門医レジデントCorneAI眼科医全体眼科専門医レジデントCorneAI図4充血により判定が変わった症例における注目点の可視化正常例(Ca)の角膜を充血の背景に貼り付けることにより,感染と診断が変わった症例(Cc).充血が加わることにより,注目点が結膜を含む部分まで広がっていることが見てとれる(Cb,d).(文献C4より許諾を得て引用)ン版,オートレフラクトメータ連携版と多様な実装が進められており,臨床現場での使いやすさ向上が期待される.Cc.アレルギー性結膜炎の鑑別AI日本発で,アレルギー性結膜炎の鑑別CAIも開発されている5).10施設からC1,038枚の画像を収集して学習されたモデルである.このCAIのユニークな点は,画像をそのまま分類するのではなく,まず眼瞼結膜や眼球結膜などの領域を分割する点である.そのうえで,結膜充血,濾胞,乳頭,巨大乳頭,シールド潰瘍などの個別所見を判定する.判断根拠が理解しやすく,説明可能性の観点からも優れている.診断カテゴリーは,季節性アレルギー性結膜炎,難治性アレルギー性結膜炎(アトピー性など),巨大乳頭結膜炎,正常のC4分類である.いずれも高い精度〔areaCunderthecurve(AUC)0.93以上〕を達成している.そのほかにも,白内障,感染性角膜炎,角膜ジストロフィ,アレルギー性結膜炎,翼状片,トラコーマ,ドライアイなど,多数の細隙灯顕微鏡ベースのCAIが報告されており,白内障や角膜感染の自動分類では,いずれもCAUC0.99以上の高精度が達成されている.多疾患を同時に判別するCAIでは,13種類の疾患でCAUC0.92以上と報告されている.これらの研究に共通するのは,訓練データの質と量が性能を左右する点である.希少疾患ではデータ不足が精度低下の原因となっており,今後の課題である.C2.トポグラフィーベースのAI角膜トポグラフィーは,円錐角膜のスクリーニングと進行予測において重要な役割を果たす.AI研究では,カラーマップをそのまま学習させることで高精度な診断が可能となっている.研究の多くではカラーマップを直接CAIに学習させており,円錐角膜の検出で正解率C90%程度と良好な成績が得られている(図5)6).ただし,円錐角膜疑いを含む境界症例では正解率がC69%に低下するという報告もあり,AIでも線引きはむずかしい.円錐角膜においては進行予測も臨床的に重要性が高い.トポグラフィーのカラーマップに年齢・性別を加えてCAIに学習させた研究では,1ジオプトリー以上の乱視増加を正答率C80%前半で予測できている.年齢調整により精度が向上することが示され,円錐角膜の進行が年齢に大きく影響されることが確認された.C3.前眼部OCTBスキャンベースのAI前眼部COCTにおいて,角膜,前房,虹彩,強膜岬といった構造の正確なセグメンテーションは結果の評価に不可欠である.しかし従来の方法では,コントラストの低い虹彩や強膜岬(隅角評価の基準点)の検出精度が低いという問題があった.セグメンテーションにCAIを用いることで,閉塞隅角眼でも強膜岬を高精度に検出できることが示され,従来法の限界が克服された.HeidelbergCEngineering社のCAnterion前眼部COCTに搭載された,AI強膜岬検出機能を用いた研究もある.1,308画像の検証で,AIは熟練者を上回る精度(誤差52.56Cμmvs61Cμm)と高い再現性を示した.Descemet膜角膜内皮移植術(DescemetCmembraneendothelialkeratoplasty:DMEK)後のグラフト脱落は,空気再注入の必要性を判断するうえで重要であり,前眼部COCT画像からグラフト脱落を自動検出する研究が複数報告されている.とくに実用的なのは,中央C4Cmm領域のグラフト脱落(空気再注入が必要な状態)を判定するCAIである(図6)7).AUC0.956,感度C91%,特異度92%と良好な成績を示している.このレベルの精度であれば,術後管理における意思決定支援として十分に機能すると期待される.C4.そのほかの前眼部AIドライアイもCAI研究の対象として活発な領域である.ビデオケラトグラフィーのリングのぼやけ(blurvalue)や涙液層の干渉画像を用いて,涙液分泌低下型,濡れ性低下型,蒸発亢進型のC3病型を分類した研究がある.243動画を解析し,病型判別が可能であることが示された.また,涙液インターフェロメトリーを用いたグレーディングの自動判定も試みられている.これらの研究は,涙液動態という時系列データを扱う点で特徴的であり,今後の発展が期待される.AIは,スペキュラーマイクロスコープの精度向上も18あたらしい眼科Vol.43,No.1,2026(18)図5円錐角膜検出のトポグラフィーAI角膜トポグラフィーのカラーマップCAIに直接学習させた報告.円錐角膜の検出精度はC0.991,重症度の正答率はC0.874であった.(文献C6より引用)図6前眼部OCTセグメンテーションとグラフト脱落検出角膜内皮移植(DMEK)後のグラフト脱落による前房内空気注入の必要性を判定する例.AUC0.956,感度C91%,特異度C92%と良好な成績を示している.Ca:正常.Cb,c:脱落はあるが空気注入は不要な状態.Cd:脱落が中央C4Cmmにかかっており,空気注入が必要な状態.(文献C7より引用)表1薬事承認分類(ヘルスソフトウェアClassIII/IV)分類リスク例承認要件ヘルスソフトウェア診断・治療・予防を目的としない教育用,電子カルテ,健康増進アプリ非医療機器CClassI医療に用いるが低リスク視力検査,細隙灯顕微鏡検査一般医療機器CClassII行動変容を伴うがリスクは比較的低い診断支援プログラム,治療アプリ管理医療機器CClassIII,IV誤動作すると身体に重大な被害放射線治療計画,遺伝子変異解析高度管理医療機器’C