,尿路感染症,2 型糖尿病,カンジ《原著》あたらしい眼科43(4):457.461,2026c緑内障患者におけるツバ着色ノズル容器の視認性と使用意向の検討奥野周蔵*1溝上志朗*1田坂嘉孝*2,3篠崎友治*2浪口孝治*3多鹿哲也*4白石敦*1大橋裕一*2*1愛媛大学大学院医学系研究科眼科学講座*2南松山病院眼科*3愛媛大学大学院医学系研究科視機能再生学講座*4千寿製薬株式会社メディカルアフェアーズ部CEvaluationoftheVisibilityandPreferenceofColored-FlangeNozzleContainersinGlaucomaPatientsShuzoOkuno1),ShiroMizoue1),YoshitakaTasaka2,3)C,TomoharuShinozaki2),KojiNamiguchi3),TetsuyaTajika4),AtsushiShiraishi1)andYuichiOhashi2)1)DepartmentofOphthalmology,EhimeUniversityGraduateSchoolofMedicine,2)DepartmentofOphthalmology,Minami-MatsuyamaHospital,3)DepartmentofOphthalmology&RegenerativeMedicineEhimeUniversityGraduateSchoolofMedicine,4)MedicalAffairsDepartment,SenjuPharmaceutical.Co.Ltd.C目的:緑内障患者におけるツバ部を着色したノズル容器の視認性と使用意向を検討する.対象と方法:南松山病院で点眼治療中の緑内障患者にて,Humphrey視野検査で中心窩閾値の低いほう(左右同値の際は右眼)を対象眼とし,ツバ着色ノズル容器と無色ノズル容器のノズル先端部の視認性の優劣と使用意向(どちらを使いたいか)およびその理由を調査した.また,結果は中心窩閾値C31dBを基準として高閾値群と低閾値群に層別化した.結果:対象はC146例(男性C64例,女性C82例,平均年齢C66.4C±11.1歳),対象眼の平均CMD値-13.15±9.09dB,中心窩閾値C30.76C±6.89dBであった.視認性は全体のC77.4%(高閾値群のC79.1%,低閾値群のC74.5%),使用意向は全体のC72.6%(高閾値群の70.3%,低閾値群のC76.4%)がツバ着色ノズルを選択したが,いずれも高低閾値の両群間で有意差はなかった(Fisherの正確確率検定).結論:ツバ着色ノズル容器は,緑内障患者の中心窩閾値によらず無色ノズル容器よりノズル先端部の視認性に優れ,かつ使用意向が高かった.CObjective:Toevaluatethevisibilityanduserpreferenceforcolored-flangenozzlecontainersamongglaucomapatients.CMethods:GlaucomaCpatientsCundergoingCtopicalCtherapyCatCMinami-MatsuyamaCHospitalCwereCenrolled.CThestudyeyewasdefinedastheonewiththelowercentralfovealthresholdonHumphreyvisualfield(VF)test-ing(righteyedatausedifbotheyesequal).PatientscomparedthevisibilityofthenozzletipandindicatedtheirpreferenceCbetweenCcolored-flangeCandCcolorlessCnozzleCcontainers,CandCprovidedCtheCreasonsCforCtheirCchoice.CResultswerestratifiedintohighandlowthresholdgroupsbasedonacentralfovealthresholdof31decibels(dB)C.Results:AmongC146patients(64Cmales,C82females;Cmeanage:C66.4±11.1years)C,CtheCVFCmeanCdeviationCwas-13.15±9.09dBandthecentralfovealthresholdwas30.76±6.89dB.Thecolored-flangenozzlewaspreferredforvisibilityby77.4%ofthepatientsoverall(high:79.1%,low:74.5%)andforuseby72.6%ofthepatientsoverall(high:70.3%,low:76.4%)C,withnosignificantdifferencebetweenthegroups.Conclusion:Colored-flangenozzlecontainersoffersuperiortipvisibilityandhigheruserpreferenceregardlessofcentralfovealthresholdinglaucomapatients.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)C43(4):457.461,C2026〕Keywords:ツバ着色ノズル容器,緑内障,視認性,中心窩閾値.colored-flangeeyedropcontainer,glaucoma,visibility,fovealthreshold.C〔別刷請求先〕奥野周蔵:〒791-0295愛媛県東温市志津川C454愛媛大学大学院医学系研究科眼科学講座Reprintrequests:ShuzoOkuno,M.D.,DepartmentofOphthalmology,EhimeUniversityGraduateSchoolofMedicine,454Shitsukawa,Toon-city,Ehime791-0295,JAPANCはじめに眼科における薬物治療では,点眼薬が重要な役割を果たしている.とくに,慢性疾患である緑内障においては,点眼薬の治療効果に対してアドヒアランス要因が影響することから1),点眼アドヒアランスに関連する研究が数多く報告されている1.4).既報では,緑内障患者へのアンケート結果から,点眼アドヒアランスに係る問題点の一つとして,「基本的な手技に関する問題」のなかで「点眼瓶の先が見えない」ことが指摘されており2),その視認性を向上させることは点眼アドヒアランスに影響を与える可能性がある.また,ノズルと点眼容器の配色やコントラスト比が視認性に影響することが示されている5).これらのことから,さらにノズル先端部の視認性を向上させるためには,ノズル自体に色差がある点眼容器が有用であると考えられたため,ノズル先端部とノズルツバ部に色差を有するノズル(ツバ着色ノズル)が考案された(図1).ツバ着色ノズルを用いた点眼容器は,健常者においてノズル先端部の視認性を向上させる6)ことが確認された一方で,緑内障患者におけるツバ着色ノズルの視認性への影響はまだ検討されていない.そこで筆者らは,ツバ着色ノズルが緑内障患者における視認性と使用意向に与える影響を検討するためにアンケート調査を実施した.緑内障は,視野はもとよりコントラスト感度へも強く影響するため,緑内障患者においてツバ着色ノズルの影響を調査することは重要であると考えられる.さらに,緑内障の進行に伴い中心窩閾値が低下することが報告されており7),中心窩閾値がノズル先端部の視認性や使用意向に及ぼす影響についても検討した.CI対象および方法本研究は,2024年C12月.2025年C3月に南松山病院眼科を受診した緑内障患者のなかから本研究に同意が得られた満18歳以上の男女で,片眼または両眼に緑内障を有し,点眼治療を受けている者を対象とした.視野検査に影響を与える可能性のある疾患を有する者,手指などに自己点眼が困難な程度の不自由を有する者,Humphrey視野検査を実施することが困難な者は除外した.対象眼は緑内障罹患眼とし,両眼に緑内障を有する場合は中心窩閾値が低いほうを対象眼とした.なお,左右が同じ中心窩閾値の場合は右眼を対象とした.評価者は点眼容器を研究対象者に渡し,研究対象者は普段どおりの点眼動作で点眼容器を対象眼に近づけた位置で評価した.評価する点眼容器の順番は割付管理帳票8)によりランダムに割り付けた.調査項目は,視認性に関して「ノズルの先端が見やすいのはどちらか」(無色ノズル・ツバ着色ノズル),使用意向に関して「今後使用したいと思うのはどちらか」(無色ノズル・ツバ着色ノズル・どちらでもよい),最後に,使用意向に関してその回答を選んだ理由を担当医師が口頭で聴取し記録した.使用容器は,緑色ボトルに青色ツバ着色ノズルを組み合わせた点眼容器(ツバ着色ノズル容器)と,緑色ボトルに無色ノズルを組み合わせた点眼容器(無色ノズル容器)で,どちらもラベルのない未充填のものを使用した(図1).容器の色については,緑内障患者におけるノズル視認性の検討結果5)と,健常人対象の既報6)を参考に選択した.健常人における検討6)では緑色ボトルに橙色ツバ着色ノズル容器の視認性も良好だったが,緑色ボトルに青色ツバ着色ノズル容器の色差がより大きかったことと,緑色ボトルと橙色ツバ着色の組み合わせでは,1型およびC2型色覚異常者が判別しにくくなる可能性を考慮した.統計解析には,IBMCSPSSStatistics28.0(日本CIBM)およびCSAS9.4(SASInstitute)を用いた.主要評価項目であるツバ着色ノズルおよび無色ノズル容器のノズル先端部の視認性の比較には二項検定を実施した.中心窩閾値による層別解析では,高閾値群(>31dB)と低域値群(≦31dB)のC2群に分けてCFisherの正確確率検定を用いて関連性を確認した.進行緑内障に関連する矯正視力はCSnellen視力C20/40(log-MAR0.3)に相当し,これは中心窩閾値C31dBに相当するという既報7,9)を参考に基準を設定した.また,患者の背景因子との関係についてはCPearsonおよびCSpearmanの相関係数を用いた相関解析を行った.統計学的な有意水準はC5%とし,両側検定で実施した.本研究は,ヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則を遵守し,特定非営利活動法人臨床研究の倫理を考える会倫理審査委員会の承認を得たうえで実施した(承認番号:E2024-15-001).また,UMIN臨床試験登録に登録したうえで施行した(UMIN000056436).なお,本研究は千寿製薬株式会社との共同研究として実施し,千寿製薬株式会社から研究費用および点眼容器の提供を受けて行った.CII結果結果と患者背景を表1に示す.146例(男性C64例,女性82例,平均値C±標準偏差:66.4C±11.1歳,最小値.最大値:36.86歳)だった.対象眼の中心窩閾値は平均C30.76C±6.89dBで低閾値群C55例,高閾値群C91例が組み入れられた.低閾値群は高域値群より高齢で,傍中心C4点の閾値,最高矯正視力および近見視力は有意に高閾値群が良好であった.また,眼圧は低閾値群で有意に低く,等価球面度数には差はなかった.主要評価項目であるノズル先端部の視認性は,対象者全体のC77.4%(113例)が無色ノズル容器よりツバ着色ノズル容器のほうが優れていると回答した(二項検定,p<0.0001)(図2,3).中心窩閾値別では,高閾値群C79.1%(72/91例),abノズル先端部ツバ着色ノズルノズルツバ部ボトル無色ノズル図1使用した点眼容器a:横からの図.b:上からの図.表1結果と患者背景全体(n=1C46)〔平均値±標準偏差(最小値.最大値)〕低閾値群(≦3C1dB)(n=55)〔平均値±標準偏差(最小値.最大値)〕高閾値群(>3C1dB)(n=91)〔平均値±標準偏差(最小値.最大値)〕p値(CWelchのt検定)年齢66.4歳C±11.1歳(C36.C86歳)68.7歳C±10.0歳(C44.C86歳)65.0歳C±11.5歳(C36.C85歳)C0.0427*中心窩閾値30.76±6.89dB(0.C38dB)24.80±8.07dB(0.C31dB)34.36±1.62(C32.C38dB)C0.0000**傍中心4点NS18.10±13.04dB(C0.C34)14.49±12.06dB(C0.C34)20.27±13.18dB(0.C34dB)C0.0077**CTS22.44±11.29dB(0.C35dB)18.47±11.23dB(0.C32dB)24.84±10.69dB(0.C35dB)C0.0010**CNI23.73±11.30dB(0.C35dB)17.75±11.88dB(0.C34dB)27.34±9.28dB(0.C35dB)C0.0000**CTI25.84±9.85dB(0.C35dB)17.91±11.73dB(0.C31dB)30.63±3.48dB(6.C35dB)C0.0000**最高矯正視力0.97±0.34(C0.05.C1.5)0.68±0.33(C0.05.C1.2)1.14±0.21(C0.4.C1.5)C0.0000**近見視力0.27±0.23(C0.02.C1.2)0.20±0.16(C0.02.C0.6)0.31±0.25(C0.03.C1.2)C0.0012**眼圧C13.75±3.32CmmHg(5C.0.C27.5mmHg)C12.75±3.30CmmHg(6C.0.C27.5mmHg)C14.35±3.20CmmHg(5C.0.C24.0mmHg)C0.0050**MD値-13.15±9.09dB(-34.40.C0.84dB)-19.06±8.39dB(-3C4.40.C0.07dB)-9.58±7.53dB(-2C7.29.C0.84dB)C0.0000**等価球面度数-3.14±3.31D(-14.25.C3.00D)-2.81±3.18D(-11.88.C3.00D)-3.33±3.39D(-14.25.C2.75D)C0.3649*=p<0.05**=p<0.01NS:nasalsuperior,TS:temporalsuperior,NI:nasalinferior,TI:temporalinferior.低閾値群C74.5%(41/55例)がツバ着色ノズル容器と回答したが,両群間で有意差はなかった(Fisherの正確確率検定,Cp=0.6942)(図2,3).一方で,使用意向に関しても全体の72.6%(106例)がツバ着色ノズル容器を選択し(二項検定,p<0.0001)(図2,3),高閾値群C70.3%(64/91例),低閾値群C76.4%(42/55例)の両群間で有意差はなかった(Fisherの正確確率検定,p=0.7327)(図2,3).また,視認性ではツバ着色ノズルと回答したが,使用意向ではどちらでもよいと回答した患者もC13例みられ,このうち高閾値群はC10例,低閾値群はC3例だった.CIII考按本研究では緑内障患者において,ツバ着色ノズル容器が無色ノズル容器と比較して視認性および使用意向の両面で有意に優れていることが示された.これらの結果から,ツバ着色ノズルは点眼アドヒアランスにおける「点眼瓶の先が見えない」という既報の課題に対する有効な解決策となりうることが示唆される.視認性の中心窩閾値による層別解析では,高閾値群・低閾値群ともにツバ着色ノズル容器の優位性が認められ,両群間に有意差はなかった.これは,健常人と同様に緑内障患者においても,色差による視認性が向上することを示している.また,使用意向においても中心窩閾値の高低にかかわらず同様の傾向で,一定の効果があることが示唆された.また,点眼容器の色調や形状が使用性に影響することは既報5)でも示されており,本研究結果は今回使用したツバ着色a視認性b使用意向(名)(名)120**113高閾値群120106**高閾値群低閾値群100低閾値群100414280回答者数回答者数4060252119102067408412ツバ着色ノズル無色ノズル差がないツバ着色ノズル無色ノズルどちらでもよい**:p=0.0001(二項検定)**:p=0.0001(二項検定)図2視認性(a)と使用意向(b)の調査結果a視認性b使用意向0%25%50%75%100%5.5%0%25%50%75%100%100%2.7%10.3%49.3%2.7%6.8%28.1%100%10.3%8.2%43.8%4.1%4.8%28.8%14.4%13.0%72.6%どちらでもよい差がない75%75%50%50%無色ノズル無色ノズルツバ着色ツバ着色ノズルノズル25%25%0%0%高閾値群低閾値群全体高閾値群低閾値群全体9155146915514662.3%37.7%100.0%62.3%37.7%100.0%図3視認性(a)と使用意向(b)の調査結果(モザイク図)ノズル容器の有用性を臨床的に裏づけるものである.とくに,ツバ部の着色によってノズル先端の位置が明確になることで,点眼時の空間認識が向上し,誤点眼の防止やアドヒアランスの向上につながる可能性がある.さらに,視認性の向上は患者の心理的負担軽減にも寄与し,点眼治療の継続性を高める要因となる可能性がある.一方で,視認性ではツバ着色ノズルと回答したものの,使用意向ではどちらでもよいと回答した例もみられ,その理由として,「点眼時には先端を見ていない」「着色ノズル容器の先端は見やすいが,無色ノズル容器でも問題なく点眼することができる」などの意見がみられた.また,中心部を含む広C460あたらしい眼科Vol.43,No.4,2026範な視野欠損がある患者では,点眼時にノズル先端を視認できない場合がある.中心視野が消失してしまっている場合にはそもそも見ることができないので容器の着色による差は出にくく,これらのことは,本研究の結果がすべての症例に当てはまるわけではないという限界も示している.また,今回の検討では空容器を使用しているため,薬剤が充填された実際の容器における光学的特性とは異なる可能性も考えられる.しかし,点眼容器のデザインにおいて色彩設計を含む視認性向上の工夫は,誤点眼の防止やアドヒアランスの向上に寄与する可能性があり,患者の心理的負担軽減や治療継続性の向上にも寄与する可能性がある.(118)利益相反:利益相反公表基準に該当なし文献1)谷戸正樹:緑内障点眼手技の実態.眼薬理C37:64-66,C20232)谷戸正樹:K-J法により把握した点眼アドヒアランスの問題点.あたらしい眼科35:1679-1682,C20183)末武亜紀,福地健郎,田中隆之ほか:Patient-CenteredCommunication(PCC)Toolとしての緑内障点眼治療アンケート.あたらしい眼科29:969-974,C20124)NaitoT,YoshikawaK,NamiguchiKetal:Comparisonofsuccessratesineyedropinstillationbetweensittingposi-tionandsupineposition.PLoSCOneC13:e0204363,C20185)鎌尾知行,溝上志朗,浪口孝治ほか:点眼容器の形状と色調が緑内障患者の使用性に与える影響.あたらしい眼科C35:258-262,C20186)岩崎達朗,藤本高志,大久保宏哉ほか:ツバ部に着色したノズルを使用した点眼容器のノズル先端部の視認性向上に関する検討.医学と薬学81:309-316,C20247)SongWK,KimKE,YoonJYetal:Associationofmacularstructure,function,andvesseldensitywithfovealthresh-oldinadvancedglaucoma.SciRepC12:19771,C20228)藤野善久,丹澤和雅,村松圭司ほか:ランダム化比較試験における割付管理のための方法に関する発案.JCUOEHC42:77-82,C20209)FlaxelCCJ,CSamplesCJR,CDustinL:RelationshipCbetweenCfovealCthresholdCandCvisualCacuityCusingCtheCHumphreyCvisualCfieldCanalyzer.CAmCJCOphthalmolC143:875-877,C2007C***