———————————————————————- Page 1(91)ツꀀ 12490910-1810/09/\100/頁/JCOPYツꀀ 19回 日本緑内障学会 原著》 あたらしい眼科 26(9):1249 1252,2009cはじめに選択的レーザー線維柱帯形成術(selective laser trabeculo-plasty:SLT)は,アルゴンレーザー線維柱帯形成術(argon laserツꀀ trabeculoplasty:ALT)に比べて低エネルギーのレーザーを使用して線維柱帯の色素細胞にのみ選択的に影響を与える1)ため安全性が高く,ALT と同等の効果が得られること2,3)など有用性が多数報告されている2 18).しかしわが国における SLT の成績に関しては欧米の結果よりも眼圧下降率が低いという報告があり6 8),日本人は SLT が効きにくい可能性も示唆されている.過去の報告からは術前眼圧が低い〔別刷請求先〕南野桂三:〒570-8507 守口市文園町 10-15関西医科大学附属滝井病院眼科Reprint requests:Keizo Minamino, M.D., Department of Ophthalmology, Kansai Medical University, Takii Hospital, 10-15 Fumizono-cho, Moriguchi, Osaka 570-8507, JAPAN選択的レーザー線維柱帯形成術の治療成績南野桂三松岡雅人安藤彰松山加耶子嶋千絵子福井智恵子 桑原敦子尾辻剛緒方奈保子西村哲哉関西医科大学附属滝井病院眼科Outcome of Selective Laser TrabeculoplastyKeizo Minamino, Masato Matsuoka, Akira Ando, Kayako Matsuyama, Chieko Shima, Chieko Fukui,ツꀀ Atsuko Kuwahara, Tsuyoshi Otsuji, Nahoko Ogata and Tetsuya NishimuraDepartment of Ophthalmology, Kansai Medical University, Takii Hospital選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT)の成績をレトロスペクティブに検討した.対象は原発開放隅角緑内障(POAG)6 例 9 眼,慢性閉塞隅角緑内障(CACG)2 例 2 眼,続発緑内障(SOAG)1 例 1 眼,落屑緑内障 1 例 1 眼の 10例 13 眼.男性 5 例 6 眼,女性 5 例 7 眼,平均 76.5 歳(66 92 歳).経過観察期間は 1 12 カ月,平均 7.1 カ月.エレックス社製 Laserex SoloTMで,隅角半周から全周を 0.8 1.0 mJ で半周当たり約 50 発照射した.術前平均眼圧は22.3 mmHg で, 術 後 は 1 週 18.8 mmHg,1 カ 月 20.7 mmHg,3 カ 月 15.7 mmHg,6 カ 月 16.4 mmHg,12 カ 月 16.2 mmHg であった.術後 1 カ月で 3 眼に眼圧上昇(平均 6.8 mmHg)がみられ,眼圧下降薬点眼,内服あるいは線維柱帯切開術を施行した.SLT は眼圧コントロール不良な POAG 症例,特に点眼による角膜上皮障害がみられる症例やアセタゾラミドの内服で副作用がある症例など薬剤数を減少させたい場合には良い適応であるが,SOAG 症例や CACG 症例には慎重に行うべきである.Weツꀀ retrospectivelyツꀀ evaluatedツꀀ theツꀀ outcomeツꀀ ofツꀀ selectiveツꀀ laserツꀀ trabeculoplasty(SLT)inツꀀ 13ツꀀ eyesツꀀ ofツꀀ 10ツꀀ glaucoma patients with poor intraocular pressure(IOP)control, or who had refused surgery despite progressive visualツꀀ eld deterioration.ツꀀ Weツꀀ analyzedツꀀ 9ツꀀ eyesツꀀ ofツꀀ 6ツꀀ patientsツꀀ withツꀀ primaryツꀀ open-angleツꀀ glaucoma(POAG),ツꀀ 2ツꀀ eyesツꀀ ofツꀀ 2ツꀀ patients with chronic angle-closure glaucoma(CACG), 1 eye with secondary open-angle glaucoma(SOAG)and 1 eye with exfoliation glaucoma. These comprised 6 eyes of 5 males and 7 eyes of 5 females;average age was 76.5 years. Fol-low-upツꀀ periodツꀀ rangedツꀀ fromツꀀ 1ツꀀ toツꀀ 12ツꀀ months,ツꀀ averagingツꀀ 7.1ツꀀ months.ツꀀ Patientsツꀀ wereツꀀ treatedツꀀ usingツꀀ Laserexツꀀ SoloTM(Elex instruments), with irradiation via 0.8 1.0 mJ laser in 50 shots per half circle and 100 shots per whole circle. Meanツꀀ IOPツꀀ wasツꀀ 22.3,ツꀀ 18.8,ツꀀ 20.7,ツꀀ 15.7,ツꀀ 16.4ツꀀ andツꀀ 16.2 mmHgツꀀ atツꀀ pre-SLTツꀀ andツꀀ 1ツꀀ week,ツꀀ 1,ツꀀ 3,ツꀀ 6ツꀀ andツꀀ 12ツꀀ months,ツꀀ respec-tively, post-SLT. Over 5 mmHg elevation of IOP was observed in three eyes(one eye each with POAG, SOAG and CACG);theseツꀀ wereツꀀ treatedツꀀ withツꀀ oralツꀀ carbonateツꀀ anhydraseツꀀ inhibitor(CAI),ツꀀ CAIツꀀ eyedropsツꀀ andツꀀ trabeculotomy, respectively. When an antiglaucomatous agent side e ect, such as corneal epithelium disorder, is severe, SLT could beツꀀ anツꀀ alternativeツꀀ treatmentツꀀ forツꀀ decreasingツꀀ theツꀀ quantityツꀀ ofツꀀ eyedropツꀀ orツꀀ oralツꀀ acetazolamide,ツꀀ inツꀀ POAGツꀀ patientsツꀀ with poor IOP control.〔Atarashii Ganka(Journal of the Eye)26(9):1249 1252, 2009〕Key words:選択的レーザー線維柱帯形成術,原発開放隅角緑内障,落屑緑内障,慢性閉塞隅角緑内障.selective laser trabeculoplasty, primary open-anagle glaucoma, exfoliation glaucoma, chronic angle-closure glaucoma.———————————————————————- Page 21250あたらしい眼科Vol. 26,No. 9,2009(92)ものほど有意に眼圧下降における生存率が高いという報告6)や,反対に術前眼圧が有効率と正の相関があったという報 告9)があり,さらには SLT の術後成績に術前眼圧は関係ない と す る 報告10,11)ま で あ り さ ま ざ ま で あ る. 手 術 既 往 はSLT の成績に影響を与える可能性があるが,緑内障手術既往のない眼が良い適応であるといった報告9,12)や,手術既往がある眼のほうが有効であったという報告13)などさまざまである.また SLT の眼圧下降効果は隅角色素沈着の程度には関係なく5,6,8),SLT の有効性や合併症を予測する因子はいまだ明らかではない.SLT は一過性の眼圧上昇がみられるなど合併症が皆無というわけではないが,比較的安全でラタノプロスト点眼に比肩する眼圧下降が得られるため5,14,15),点眼剤による角膜障害がみられる症例では点眼剤数を減らして角膜障害を軽減できる可能性もある.今回筆者らは当院で施行した SLT の成績をレトロスペクティブに検討した.I対象および方法眼圧下降薬の点眼あるいは内服を使用しても,眼圧コントロール不良な症例あるいは視野障害が進行し,さらなる眼圧下降が望ましい症例で手術に同意が得られなかった症例,眼圧下降薬点眼にて角膜障害が強い症例で可能であれば点眼を中止したい症例を対象とした.内訳は 10 例 13 眼(男性 5 例6 眼,女性 5 例 7 眼)で,66 92 歳(平均 76.5 歳),経過観察期間は 1 12 カ月(平均 7.1 カ月)であった(表 1).病型は原発開放隅角緑内障(POAG)が 6 例 9 眼,慢性閉塞隅角緑内障(CACG)が 2 例 2 眼,続発緑内障(SOAG)が 1 例 1眼,落屑緑内障が 1 例 1 眼あった(表 1).SLT 前の手術既往は白内障手術(超音波水晶体乳化吸引術および眼内レンズ挿入術:PEA+IOL)が POAGツꀀ 4 眼,CACGツꀀ 1 眼,SOAGツꀀ 1眼,硝子体手術が CACGツꀀ 1 眼,SOAGツꀀ 1 眼,非穿孔線維柱帯切除術が POAGツꀀ 2 眼,線維柱帯切除術が POAGツꀀ 1 眼,アルゴンレーザー線維柱帯形成術(ALT)が POAG 1 眼と落屑緑内障 1 眼であった.術前平均眼圧は 22.3±4.2 mmHg で,眼圧下降薬数は 1 5 剤(平均 2.8 剤)を使用していた.術前後に 1%アプラクロニジンの点眼を行い,レーザー装置はエレックス社製 Laserex SoloTMを使用して,照射条件はスポットサイズ 400 μm,波長 532 nm,パルス幅 3 ナノ秒,エネルギー 0.8 1.0 mJ で,気泡が生じる最小エネルギーを用いた.照射範囲は半周なら約 50 発,全周なら約 100 発を目安に行った.術後に消炎剤の点眼は使用しなかった.II結果症例のまとめを表 1 に示す.POAGツꀀ 4 眼と PEA+IOL 術後で周辺虹彩前癒着のない CACG 1 眼で隅角全周 360°を約100 スポットで照射,他の CACGツꀀ 1 眼では上方に周辺虹彩前癒着がみられたため,隅角開放部を約 270° 照射した.残りの POAGツꀀ 5 眼,SOAGツꀀ 1 眼,落屑緑内障 1 眼で隅角下半周 180° を約 50 スポットで照射した.眼圧の経過を図 1 に示す.施行後 1 カ月で眼圧上昇がみられ薬剤あるいは手術を追加した 3 眼(症例 1,2,5)は脱落症例として 3 カ月以降の眼圧を評価の対象から除外した.施行前平均眼圧は 22.3±4.2 mmHg,施行 1 週後は 18.8±3.9 mmHg(p<0.0001),1表 1症例のまとめ症例性別年齢(歳)病型照射範囲術前投薬内眼手術既往眼圧最終眼圧下降率施行前平均施行後1週1月3月6月12 月1女性77SOAG半周PG,b,CAIPEA+IOL+PPV20.732(CAI 追加)2男性79CACG3/4 周DX,PG,CAILI,PEA+IOL+PPV30.02537(LOT 施行)3男性76CACG全周PG,b,CAILI18.01615141233.34女性84POAG全周bPEA+IOL18.3141815177.384POAG全周bPEA+IOL18.01715141611.15女性66POAG半周PG,b30.02632(DX 内服)6女性76EX半周DX,PG,b,CAI,PiloALT24.31820201826.07女性70POAG半周PG,b,CAINPT24.0181615161633.370POAG半周PG,b,CAINPT,ALT24.72016171731.18男性92POAG半周DX,PG,b,aPEA+IOL,LET21.0171716161814.39男性89POAG半周PG,CAI,aPEA+IOL19.31314151522.410男性66POAG全周PG,b,CAI22.013161722.766POAG全周PG,b,CAI19.017141615.8平均値76.522.318.820.715.416.016.521.7 SOAG:続発緑内障,CACG:慢性閉塞隅角緑内障,POAG:原発開放隅角緑内障,PG:プロスタグランジン誘導体点眼,b:b遮断薬点眼,CAI:炭酸脱水酵素阻害薬点眼,DX:アセタゾラミド内服,Pilo:ピロカルピン点眼,a:a遮断薬点眼,PEA:水晶体超音波乳化吸引術,IOL:眼内レンズ挿入術,PPV:経毛様体扁平部硝子体切除術,LI:レーザー虹彩切開術,ALT:アルゴンレーザー線維柱帯形成術,NPT:非穿孔性線維柱帯切除術,LET:線維柱帯切除術.———————————————————————- Page 3あたらしい眼科Vol. 26,No. 9,20091251(93)カ月後は 20.7±8.6 mmHg(p=0.4152),3 カ月後は 15.7±2.1 mmHg(p<0.0001),6 カ 月 後 は 16.4±2.0 mmHg(p<0.0001),12 カ月後は 16.2±1.3 mmHg(p=0.019)であった(paired t-test).平均眼圧下降率は施行後 1 週で 17.0±6.8%,1 カ 月 で 8.6±28.1%,3 カ 月 で 24.2±8.2%,6 カ 月 で20.9±10.4%,12 カ月で 25.7±7.6%であった.角膜障害がみられていたカルテオロール点眼中の POAG の 1 例 2 眼(症例 4)で SLT 施行後から点眼を中止したが,6 カ月まで眼圧上昇はみられず角膜障害は減少していた.POAG の 1 眼(症例 8)で SLT 施行後からアセタゾラミドの内服を中止したが10%以上の眼圧下降率を持続した.術後 1 カ月で 5 mmHg以上の眼圧上昇が SOAG の 1 眼(症例 1)はブリンゾラミド点 眼 を 追 加 し て 眼 圧 コ ン ト ロ ー ル が 得 ら れ た. ほ か に 5 mmHg 以上の眼圧上昇がみられた CACG の 1 眼(症例 2)は上方隅角が開放していたため線維柱帯切開術を施行し,POAG の 1 眼(症例 5)はアセタゾラミドの内服を行いそれぞれ眼圧コントロールが得られた.POAGツꀀ 5 眼,CACGツꀀ 1眼,落屑緑内障 1 眼の計 7 眼は SLT 施行後も点眼に変更はなく,最終の眼圧下降率は 7.3 33.3%(平均 21.7±9.4%)であった.III考按SLT 術後に点眼薬数を減らしても眼圧コントロールが継続できたという報告15)はあるが,SLT 術後に点眼を減らした場合の眼圧や角膜の状況を検討した報告はみられない.今回の筆者らの症例で SLT 施行後に点眼やアセタゾラミド内服を中止しても眼圧が維持できた症例が 3 例あり,点眼を中止した 2 例とも角膜上皮障害が軽快した.加治屋ら16)は1例で追加照射を行い,眼圧下降薬を 1 剤減らしても眼圧が維持できたと報告している.今回の検討では,眼圧下降薬数は術前平均 2.8 剤が SLT 施行後に平均 2.7 剤と不変であったが,SLT は角膜上皮障害が強い症例などでは点眼数の減少あるいは内服を中止するために試みてもよい治療の候補と考えられる.望月ら9)は緑内障手術既往がある眼では成績が悪かったと報告しているが,反対に真鍋ら13)は緑内障手術既往がある症例で成績が良かったと報告している.今回の検討ではトラベクロトミーが POAG の 1 眼,非穿孔性トラベクレクトミーが POAG の 2 眼でそれぞれ有効であった.トラベクロトミーやトラベクレクトミーの既往が SLT の効果に与える影響が一定しないのは,隅角操作の範囲や程度にバリエーションがあるからではないかと推察する.ALT の既往は SLT の成績に影響しないと報告されており6,7),今回の筆者らの症例も ALT の既往があったのは落屑緑内障 1 眼と POAG の 1眼で,最終の眼圧下降率は 20%以上と有効であったと考える.白内障手術については 6 例が PEA+IOL を施行されていた.単独のものは POAG の 3 眼で,1 眼は後日トラベクレクトミーが行われていた.ほかの 2 眼は硝子体手術が併用されており,CACG の症例では白内障術後に眼圧上昇と浅前房がみられたため悪性緑内障を疑ってコアビトレクトミーを行ったもので,SOAG の症例では黄斑円孔網膜 離に対する硝子体切除術であった.白内障術後では水晶体がなくなるため隅角は広くなることが多いと思われるが,Werner ら17)は有水晶体眼と眼内レンズ挿入眼の間で SLT の成績に差はなかったと報告している.筆者らの症例も同様に PEA+IOL 術後の症例は全例合併症もなく,眼圧の経過は有水晶体眼の経過と有意差はなかった(p=0.89;Two-Way ANOVA).すなわち白内障手術や緑内障手術などの前眼部の手術は,合併症がなければ SLT の効果に大きな影響は与えないのではないかと考えられる.一方,硝子体手術の既往がある 2 眼はどちらも術後に眼圧上昇がみられたため,硝子体手術の既往については手術を必要とした原疾患を含めて今後検討するべき項目ではないかと考える.照射範囲については 180°照射と 360°照射で効果に有意差がないとする報告があり18),今回の検討でも POAGツꀀ 4 眼で 360° 照射,CACGツꀀ 1眼で隅角開放部を約 270° 照射を行っており,残り 7 眼は180°照射であった.270°照射を行った CACG の 1 眼を除き,脱落例を除外した 5 眼ずつで検討すると 180° 照射と 360° 照射の症例で術後の各時点で眼圧経過に有意差はなかったが,術前眼圧が 180° 照射の症例で有意に眼圧が高かった(p=0.0249)ため,今後症例数を増やして検討する必要があると思われる.今回の症例では 5 mmHg 以上の眼圧上昇が 2 眼にみられた.1 例は CACG の白内障手術後に部分的な慢性の周辺虹彩前癒着が残存した症例で,SLT を行った隅角開放部も色素帯の色素沈着がかなり強かった(図 2,Scheie 分類 IV).SLT の効果に線維柱帯の色素沈着の程度は相関しないという報告が多い6,8)が,色素緑内障 4 例で SLT 後に眼圧上昇をきたしたという報告19)があり,照射したレーザーは色素に反応するため隅角に過剰な色素沈着がある症例では効果や副作用が異なる可能性があると思われる.本症例では色素沈着1510502025303540眼圧(mmHg)施行前1週3カ月6カ月12カ月1カ月図 1選択的レーザー線維柱帯形成術前後の眼圧の経過———————————————————————- Page 41252あたらしい眼科Vol. 26,No. 9,2009(94)の程度が非常に強く,レーザーによる色素細胞への影響が過剰に出て細胞や組織に障害が起こり,房水流出抵抗の増加が生じたのではないかと推察している.このように apositional closure がみられる CACG や落屑緑内障などで線維柱帯の色素沈着が非常に強い場合は慎重に行う必要があると思われる.もう 1 例は炎症が非活動期にある続発緑内障であったが,1 カ月後の受診時に 11 mmHg の眼圧上昇がみられ,炭酸脱水酵素阻害薬点眼を追加して眼圧コントロールが得られた.この症例でも SLT 本来の効果が得られず,むしろ線維柱帯組織の炎症などが惹起されたことで一時的に房水流出抵抗が増加した可能性が考えられた.硝子体手術の既往がある2 例で SLT 術後に眼圧上昇がみられたため,山崎ら8)が報告しているように視野にまだ余裕がある症例には良い適応であるが,進行した緑内障では慎重に施行すべきと思われる.今回の筆者らの結果には手術既往などさまざまな背景をもつ症例が含まれていた.術後に眼圧上昇がみられ点眼や手術を追加した症例や,点眼や内服を中止した症例が含まれるため,純粋な SLT の眼圧下降効果や合併症について症例を増やして検討する必要があると思われるが,POAG,特に点眼による角膜上皮障害がみられ点眼剤数を減少させたい症例などは SLT の良い適応であり,一方 SOAG や CACG 症例には術後の眼圧上昇に注意して慎重に行うのがよいと思われた.文献 1) Latina MA, Park C:Selective targeting of trabecular meshworkツꀀ cells:inツꀀ vitroツꀀ studiesツꀀ ofツꀀ pulsedツꀀ andツꀀ CWツꀀ laser interactions. Exp Eye Res 60:359-371, 1995 2) Damji KF, Shah KC, Rock WJ et al:Selective laser trabe-culoplasty v argon laser trabeculoplasty:a prospective randomised clinical trial. Br J Ophthalmol 83:718-722, 1999 3) 佐々木誠,原岳,橋本尚子ほか:選択的レーザー線維柱帯形成術とアルゴンレーザー線維柱帯形成術の効果比較.眼臨 99:633-637, 2005 4) Melamedツꀀ S,ツꀀ Benツꀀ Simonツꀀ GJ,ツꀀ Levkovitch-Verbinツꀀ H:Selec-tive laser trabeculoplasty as primary treatment for open-angle glaucoma:a prospective, nonrandomized pilot study. Arch Ophthalmol 121:957-960, 2003 5) McIlraith I, Strasfeld M, Colev G et al:Selective laser trabeculoplasty as initial and adjunctive treatment for open-angle glaucoma. J Glaucoma 15:124-130, 2006 6) 狩野廉,桑山泰明,溝上志朗ほか:選択的レーザー線維柱帯形成術の術後成績.日眼会誌 103:612-616, 1999 7) 前田貴美人,大黒浩,丸山幾代:Selectiveツꀀ Laserツꀀ Trabe-culoplasty の治療成績.あたらしい眼科 18:515-518, 2001 8) 山崎裕子,三木篤也,大鳥安正ほか:大阪大学眼科における選択的レーザー線維柱帯形成術の成績.眼紀 58:493-498, 2007 9) 望月英毅,高松倫也,木内良明:選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT)の術後 6 カ月の有効率.あたらしい眼科 25:693-696, 2008 10) 齋藤代志明,東出朋巳,杉山和久:原発開放隅角緑内障症例への選択的レーザー線維柱帯形成術の追加治療成績.日眼会誌 111:953-958, 2007 11) 尾崎弘明,ファン・ジェーン,尾崎恵子ほか:選択的レーザー線維柱帯形成術の術後治療成績.臨眼 62:1529-1532, 2008 12) 上野豊広,岩脇卓司,湯才勇ほか:選択的レーザー線維柱帯形成術の治療成績.あたらしい眼科 25:1439-1442, 2008 13) 真鍋伸一,網野憲太郎,高島保之ほか:Selective Laser Trabeculoplasty の治療成績.眼科手術 12:535-538, 1999 14) Nagar M, Ogunyomade A, O’Brart DP et al:A ran-domised,ツꀀ prospectiveツꀀ studyツꀀ comparingツꀀ selectiveツꀀ laserツꀀ tra-beculoplasty with latanoprost for the control of intraocular pressure in ocular hypertension and open angle glaucoma. Br J Ophthalmol 89:1413-1417, 2005 15) Francis BA, Ianchulev T, Scho eld JK et al:Selective laserツꀀ trabeculoplastyツꀀ asツꀀ aツꀀ replacementツꀀ forツꀀ medicalツꀀ thera-pyツꀀ inツꀀ open-angleツꀀ glaucoma.ツꀀ Amツꀀ Jツꀀ Ophthalmol 140:524-525, 2005 16) 加治屋志郎,早川和久,澤口昭一:選択的レーザー線維柱帯形成術の治療成績.日眼会誌 104:160-164, 2000 17) Werner M, Smith MF, Doyle JW:Selective laser trabecu-loplasty in phakic and pseudophakic eyes. Ophthalmic Surg Lasers Imaging 38:182-188, 2007 18) 田中祥恵,今野伸介,大黒浩:選択的レーザー線維柱帯形成術における 180°照射と 360°照射の比較.あたらしい眼科 24:527-530, 2007 19) Harasymowycz PJ, Papamatheakis DG, Latina M et al:Selective laser trabeculoplasty(SLT)complicated by intraocular pressure elevation in eyes with heavily pig-mented trabecular meshworks. Am J Ophthalmol 139:1110-1113, 2005図 2症例2の隅角所見色素沈着が強く Scheie 分類 IV(矢頭).一部に周辺虹彩前癒着(矢印)や,appositional closure の痕がみられる(白抜き矢印).***