———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.23,No.4,2006???0910-1810/06/\100/頁/JCLS?バックグラウンドインドシアニングリーン蛍光造影(indocyaninegreenangiography:IA)に用いられる撮影記録装置には,蛍光眼底カメラをIAに改良したものと走査型レーザー検眼鏡(scanninglaserophthalmoscope:SLO)とがあり,HeidelbergRetinaAngiograph(HRA)は後者である.HRAでは,フルオレセイン蛍光造影(?uoresceinangi-ography:FA)とIAを単独もしくは同時にデジタル撮影でき,また得られた画像の解像度もよい.さらに,フルオレセインを励起するのに用いる488nmの波長のレーザーにより撮影される自発蛍光画像(auto?uores-cence:AF)も鮮明である.HRAⅡは,従来使用されていたHRAの後継機種で,前機種に比べ画像の解像度が向上し,カメラ本体およびレーザーボックスが小さくなっている.?新しい検査法(原理)HRAの共焦点方式(confocalsystem)レーザーでは,眼底からの反射光のうち散乱光は検出器の前の絞りによって除去されるため,焦点のあった光だけが透過部を通過し検出器に撮影されるのでコントラストの良い像が得られる.画角30?のときの高画質モードでは,得られた画像はただちに,1,536×1,536pixelの解像度でデジタル化される.動画撮影も可能であり,高速モードでは,画角15?のときは毎秒16フレーム,画角30?のときは毎秒9フレームで動画が得られる.?実際の使用方法HRAⅡの操作パネルは,従来のボタンとつまみ式からタッチパネル式に変わり,カメラを動かすハンドルは,Joy-stick型からXYZmovement型(カメラの位置の微調整を,カメラの下の左右にあるX軸,Y軸,Z軸のそれぞれ異なるつまみで行う)になった(図1).初めは戸惑うがすぐに慣れる.撮影方法は,造影剤を静脈注射する前に赤外線反射画面(infra-redre?ectance:IR)にして820nmの波長のレーザーで走査し,その病変部位を中心にカメラの位置を決める.つぎにFA画面に切り替えAFを動画で2秒ほど撮影する.動画で記録する理由は,AFは動画を分解し静止画にしてそれを数枚加算処理したほうが鮮明な画像となるからである.つぎにIA画面にしてインドシアニングリーンを静脈注射する.脈絡膜血管の造影が始まるときから1分までは造影所見が急速に変化するので,動画撮影は,必須である.しかし,静脈注射から1分までの連続記録はできない.そこで脈絡膜血管が造影され始めてから記録し始めると,設定により記録直前の2秒前の画像を保存できるので,脈絡膜動脈の流入期も鮮明に記録できる.その後は,3分,5分,10分,15分と5分おきに30分まで静止画で記録する.FAは,IAの早期の撮影が終了したら,フルオレセインを静脈注射する.造影剤流入期は,動画で撮影し,その後は,1分,3分,5分,8分,10分と撮影する.途中,IA,FA同時撮影を行う.立体撮影の画面にして2画像撮影すると自動的に左右に並行移動したような写真が得られる.ただし,移動量が少ないので自分で左右に移動したほうが並行移動の距新しい治療と検査シリーズ(61)160.HeidelbergRetinaAngiograph(HRA)Ⅱプレゼンテーション:森隆三郎駿河台日本大学病院眼科コメント:飯田知弘福島県立医科大学医学部眼科学講座(図1,2は,ベルギーのゲント大学で撮影されたものである.)図1HRAⅡのカメラ本体とタッチパネル操作パネルは,タッチパネル式(矢頭)で操作が容易であり,カメラを動かすハンドルはXYZmovement型で,カメラの位置の微調整をカメラの下の左右にあるX軸,Y軸,Z軸のそれぞれ異なるつまみ(矢印)で行う.??———————————————————————-Page2???あたらしい眼科Vol.23,No.4,2006離が大きくなり,立体感が得られやすい.その方法は,レンズの位置を上下前後には動かさずに病変を中心に左(右),ついで右(左)にそれぞれ画像の辺縁に影ができる直前まで移動する.?本方法の良い点IA画像は,脈絡膜血管の早期像が鮮明であり,ポリープ状脈絡膜血管症(polypoidalchoroidalvasculopa-thy:PCV)では,脈絡膜の異常血管網とその先端のポリープ状病巣を特徴とするが,早期画像によりPCVの病態を把握するのに有用である(図2A,B)1,2).IAの鮮明な早期画像は加齢黄斑変性の脈絡膜新生血管の栄養血管の検出に優れる(図2C,D).また,栄養血管光凝固の際に網膜血管を凝固部位の指標にするが,IA画像で網膜血管も比較的鮮明に造影されるので凝固部位を確認しやすい3).IA,FA同時撮影で得られた2画像は,並べて見ることができ病変の位置や活動性を把握しやすい.AFは,従来の眼底カメラ型で得られた画像よりも鮮明であり,網膜色素上皮のリポフスチンの分布を把握しやすい.HRAを用いたAF画像で加齢黄斑変性の前段階の所見を分類し,進行の程度を検討した報告もある4).文献1)森隆三郎,湯沢美都子,川村昭之:HRAによるポリープ状脈絡膜血管症のインドシアニングリーン蛍光造影所見の検討.眼科46:193-199,20042)YuzawaM,MoriM,KawamuraA:Theoriginsofpolyp-oidalchoroidalvasculopathy.???????????????89:602-607,20043)森隆三郎,湯沢美都子:ワンポイントアドバイス滲出性加齢黄斑変性の栄養血管凝固,眼科手術16:362-363,20034)EinbockW,MoessnerA,SchnurrbuschUEKetal:Changesinfundusauto?uorescenceinpatientswithage-relatedmaculopathy.Correlationtovisualfunction:apro-spectivestudy.????????????????????????????????243:300-305,2005(62)?本方法に対するコメント?HRAⅡは,上記に述べられているように,解像度が良く優れた検査機器と感じている.特に,IA初期像とAFに関しては今後も新しい知見が出て,病態の解釈や精度の高い治療に貢献するものと期待される.しかし,1)FAの蛍光漏出所見が判定しづらい,2)IA後期像が不鮮明,3)画像ファイルのサイズが大きい,という3点に関しては課題がある.1)と2)は,従来の眼底カメラ画像に慣れていることが一因としてあげられ,使用経験を積み重ねるうちに解決される問題だとは思う.Confocalsystemで走査線上の蛍光のみを撮影しているため,蛍光輝度が強い時期は解像度に優れたコントラストの良い画像が得られるが,減弱したときには眼底全体を大きな光量で励起して撮影する眼底カメラのほうが所見を捉えやすい.また,色素上皮?離の所見など,眼底カメラを用いた場合とは所見が異なることがある.同じFA,IAといっても,眼底カメラ型とは「異なる検査法」であるという意識をもって所見を読影しないと,誤った解釈をするおそれがあり,注意が必要である.3)に関しては,多数例のデータを保存する際に支障が出てくるが,保存媒体の進歩などで解決される問題である.とは言いつつも,私の診療では使用頻度がきわめて高い検査機器である.図2ポリープ状脈絡膜血管症と脈絡膜新生血管の栄養血管のインドシアニングリーン蛍光造影早期像ポリープ状脈絡膜血管症に対して光線力学的療法を行い,術3カ月後に脈絡膜新生血管(CNV)を認めた症例である.A,Bは術前で,A(18秒)の脈絡膜動脈期に異常血管網が造影され始め(矢頭),B(50秒)ではポリープ状病巣内の過蛍光は血管瘤様に見える(矢印).C,Dは術3カ月後で,C(18秒)では,術後に認めたCNVの栄養血管の起始部が造影され(矢印),D(50秒)では網目状の血管が造影される(矢頭で囲まれた範囲).矢頭で囲まれたCNV全体は,15分で旺盛な蛍光漏出を示した.ACBD