あたらしい眼科42(4):443.451,2025c第29回日本糖尿病眼学会特別講演(眼科)増殖糖尿病網膜症への治療戦略TreatmentStrategyforProliferativeDiabeticRetinopathy井上真*はじめに糖尿病網膜症は最近の統計でも未だにわが国の失明原因の第3位である.糖尿病内科治療薬が進歩しているにもかかわらず糖尿病推定患者は増加しており,視覚の質(qualityofvision:QOV)を維持するための糖尿病網膜症に対する治療戦略構築は喫緊の課題である.増殖期前の治療は糖尿病黄斑浮腫(diabeticmacularedema:DME)に対する抗血管内皮増殖因子(vascularendothe-lialgrowthfactor:VEGF)療法と網膜光凝固である.光凝固はショートパルス光凝固の登場で低侵襲化しているが,DMEに対してはより効果を高めるために抗VEGF療法やステロイド療法も併用する.増殖期で吸収しない硝子体出血や網膜.離に対しては硝子体手術が適応になる.硝子体手術も広角観察システム,広角照明の他に25ゲージ(G)や27G手術など小切開硝子体手術の登場で低侵襲化が進んでいる.また,手術顕微鏡を覗いて手術をするのではなく,ビデオカメラを通して偏光モニターに映し出された3D画像をバイザーで観察しながら手術を行うheads-upsurgeryも登場した.治療が進歩したとはいえ,硝子体出血や網膜.離による視力障害が生じてから初めて眼科を受診する,光凝固未施行の,30.40歳代の,血糖コントロール不良な増殖糖尿病網膜症(proliferativediabeticretinopathy:PDR)への治療に難儀することも多い.本稿ではPDRに対する治療法の進歩と最新のトピックをまとめ,難治性PDRに対する治療の取り組みについて再考する.I疫学とスクリーニング糖尿病網膜症は糖尿病の三大合併症の一つである.日本における視覚障害の割合は2014年の報告(2007.2010年の検討)では1位が緑内障,2位が糖尿病網膜症,3位が網膜色素変性であった1).2019年(2015年の統計)と2023年(2019年の統計)の報告では1位は緑内障で2位は網膜色素変症,3位が糖尿病網膜症であり,糖尿病網膜症の順位が2位から3位になっている2,3).これは糖尿病への内科治療法が進歩して重症化する患者が少なくなったことと抗VEGF薬が登場したことによると考えられている.WHO基準では失明を視力0.05未満と定義しており,わが国での失明者は毎年約3,000人と推計されている.糖尿病推定患者数は約2,000万人とされ,50.60歳代の糖尿病患者のうち約300万人の38.3%が網膜症を発症していると推計されている.重症化する患者は少なくなっていると推測されているが,糖尿病網膜症は未だに失明原因の上位を占める疾患である.糖尿病網膜症は糖尿病腎症や糖尿病神経症と同様に,病態がかなり進行してからでないと症状が出現してこない.そこで糖尿病による眼病変の一番の治療は,定期検査をしっかり行い,網膜症を重症化する前に発見することである.2017年の米国糖尿病学会による研究では,定期検査によって糖尿病網膜症による視覚の損失の最高98%の予防が可能となると報告されている4).米国では人工知能(arti.cialintelligence:AI)搭載の眼底カメラが認可されており,この機械で眼底写真を撮影すると*MakotoInoue:杏林大学医学部眼科学教室〔別刷請求先〕井上真:〒180-8611東京都三鷹市新川6-20-2杏林大学医学部眼科学教室0910-1810/25/\100/頁/JCOPY(53)443AIが糖尿病網膜症を自動判定する.この検査法は保険収載されているため,眼科医でなくても網膜症のスクリーニングができる.眼底写真の画像データをサーバーに集約することで自動診断の精度を向上させている.しかし,眼底写真は顔写真と同等の個人情報をもつと考えられ,この画像データそのものを個人情報の点からわが国ではどのように保護するかが問題になっている.II検査糖尿病網膜症のステージ分類は国際重症度分類,Davis分類,新福田分類が知られている5).Davis分類では単純網膜症,増殖前網膜症,増殖網膜症に分類している.眼底所見を記録するためには広い範囲を撮像できる広角眼底写真が有用である(図1a).蛍光眼底撮影は眼底の網膜血流の状態を調べるため,黄色の蛍光色素を静脈注射して眼底に流れ込んできた状態を連続して写真撮影する.網膜血管の灌流状態を把握できるだけでなく,毛細血管網の閉塞領域である無血管野や網膜新生血管を描出できる(図1c).一方で,蛍光色素の静脈注射による気分不快や,まれではあるがアナフラキシーショックが生じることが欠点である.そのため頻回には検査を行えない.非侵襲的な検査として,光干渉断層計(opticalcoherencetomography:OCT)があげられる.OCTは眼底に投影した近赤外光の反射光を干渉させることで網膜の断層像を得る画像検査である.網膜の内部に液体が存在して黄斑浮腫となっているか,網膜下液なのかが判定できる.また,黄斑前膜や増殖膜によって黄斑部が牽引されているかどうかも観察できる.光干渉断層計血管撮影(OCTangiography:OCTA)は造影剤を使用しないで網膜血管像が得られる(図2).OCTの網膜断層像を経時的に比較して網膜像から動くものを抽出するとおもに赤血球が検出される.これを画像化することで血管像を構築する.OCTAは造影剤を使用しないのでアナフラキシーショックなどが起こらず,何回も反復して検査ができる.また,網膜深層の微小血管を描出できるため,虚血が網膜の表層であるか深層であるかも判定できる.網膜新生血管の検出には網膜硝子体面のスラブ(vitreo-retinalinterfaceslab)を解析すると判定しやすい6).一方で,広角OCTAの解析では,セグメンテーション(層間解析)不良によって網膜新生血管の検出率が低下するため,手動でセグメンテーションを修正すると検出率が増加すると報告されている6).また,網膜硝子体網膜血管像を構築するのには数秒から数十秒の間1カ所を固視しないといけないため,固視が不良である場合には血管像が得られないのが欠点である.CarlZeiss社のOCTAであるPlexEliteに前眼部観察用のレンズを装着すると前眼部のOCTAが撮像可能である(図3b).Aicherら7)は前眼部OCTAの画像を白内障手術後と硝子体手術後で比較した.前眼部OCTAを用いると虹彩ルベオーシスの判定がOCTAで可能である(図3).III治療1.光凝固網膜光凝固は大きく分けて汎網膜光凝固と局所光凝固の二種類がある.汎網膜光凝固は進行した前増殖期,もしくは増殖期に至ってしまった場合に失明を予防する治療である.中心領域を除く網膜の全体に広範に光凝固を行う.局所光凝固はおもに黄斑浮腫を起こしている網膜血管瘤に対する部分光凝固である.光凝固は網膜を熱で傷害する治療となり,光凝固の照射部位には網膜感度の低下を生じる.そこで最近の光凝固は低侵襲化している.ショートパルス光凝固は,レーザーの凝固時間を短縮することで網膜内で発生する熱エネルギーを最小限にしている8).通常の光凝固が網膜全層を凝固するのに対して,ショートパルス光凝固では網膜外層のみを凝固するが,光凝固の虚血を抑制する効果は通常の光凝固より減弱する.マイクロパルス光凝固や閾値下光凝固なども低エネルギー光凝固である.ナビラスレーザーは追視装置の付いたナビゲーションレーザー(自動光凝固装置)である8).眼底写真などをレーザー装置に取り込んで,あらかじめ光凝固を行う領域をプログラムする.局所光凝固や汎網膜光凝固では凝固範囲を取り込んだ画像から指定すると装置が自動で光凝固を行うが,眼球の動きを追尾する機能があるため,目標に正確に照射できることが利点である.2.抗VEGF薬DMEに対しては抗VEGF薬の眼内注射が第一選択になっている.現在認可されている抗VEGF薬はラニビズマブ,アフリベルセプト,ブロルシズマブ,ファリシマブの4種類がある.治療方法としては最初は1カ月ごとに3.6回の導入期投与を行い,その後は必要に応じて注射を続けていく.効果がある治療法であるが,欠点図1増殖糖尿病網膜症の広角眼底写真,OCTA,広角蛍光眼底画像a:広角眼底写真では点状出血や軟性白斑がみられる.b:OCTAでは血管アーケード外で広範な無血管野がみられる.12×12mmの撮像範囲では網膜新生血管はみられない.c:広角蛍光眼底画像では鼻側に網膜新生血管()と耳側周辺部の網膜血管からの漏出もみられる.は薬剤が高額であり,かつ反復投与が必要なことであいるが,治療開始後2年では視力回復に差がなかった9).る.DRCR.netによるProtocol-T研究では,DMEに対DMEを軽快させる内服薬としてsodium-glucoseするラニビズマブ0.3mg(日本でのラニビズマブの認可transportprotein2(SGLT2)阻害薬が注目されていは0.5mg)とアフリベルセプト2mgの効果を比較してる10).血液中のブドウ糖は,腎臓の中の糸球体で濾過さ図2増殖糖尿病網膜症での広角眼底写真とOCTAの比較a:視力はC1.0であるが,広角眼底写真では点状出血と軽度の硬性白斑のみのような印象であるが鼻側にループ状血管()と後極にモヤモヤした網膜血管()がみられる.Cb:同写真の拡大像では網膜静脈のループ状血管()とその周囲の静脈経は不同である.Cc:同写真の拡大像ではモヤモヤした網膜血管は新生血管()であることがわかりやすくなる.Cd:全網膜スラブのCOCTAでは無血管野と網膜新生血管()が描出されている.Bスキャン(下図)では断層像で血流がある箇所が赤く表示される.Ce:網膜硝子体面のスラブのCOCTAでは網膜表面から突出した網膜新生血管()が描出されている.網膜新生血管の部位のCBスキャン(下図)では網膜から突出した網膜新生血管の血流()が確認される.図3虹彩ルベオーシスに対する前眼部OCTAa:スリット写真では瞳孔縁に新生血管がみられる().b:前眼部COCTAでも虹彩と虹彩縁に新生血管がみられる.結膜血管や眼瞼皮膚の血管も描出されている.Cc:前眼部COCTAのCBスキャンでは虹彩の前面と後面に血流の血流分布()が赤く表示されている.れ一度排出されるが,尿細管で再吸収される.SGLT2阻害薬はブドウ糖の取り込みで働いているCSGLT2蛋白の働きを抑えることで,ブドウ糖を尿に排泄させて血糖を下げる働きをもつ.現在市販されているCSGLT2阻害薬は数種あるが,慢性心不全や慢性腎不全に対しても一部が保険適用となっている.抗CVEGF薬に反応が不良であったCDMEの患者にCSGLT2阻害薬を投与すると黄斑浮腫が軽快することが報告されている10).DMEに対してCSGLT2阻害薬は抗CVEGF薬の治療を増強する可能性があり,注目されている.C3.硝子体手術1992年にCLewisら11)は,肥厚した後部硝子体膜を伴うCDMEにおいて,肥厚した後部硝子体皮質を.離する硝子体手術を行い,黄斑浮腫が軽快することを報告した.その後にわが国からもCTachiら12)によって後部硝子体が未.離のCDMEに有効であることや,Satoら13)によって後部硝子体.離があっても硝子体手術が有効であることが報告され,わが国では硝子体手術が盛んに行われた.海外では,硝子体手術後に白内障による視力低下が出現するため,DMEへの治療は抗CVEGF療法に置き換わっている.わが国では白内障同時手術を行うことが多いため,現在でも対象を選択して硝子体手術が行われている.Otaniら14)はCDMEをスポンジ様浮腫,.胞様黄斑浮腫,漿液性網膜.離という三つのタイプに分類した.スポンジ様浮腫に関しては近年のCOCTの進歩で黄斑前膜を伴うことが知られ,DMEに黄斑前膜があると抗CVEGF療法に抵抗性であることから,スポンジ様浮腫に対しては硝子体手術が選択される.黄斑浮腫の合併症として黄斑下に硬性白斑が沈着すると抗CVEGF療法には抵抗性である.Takagiら15)はC1999年に黄斑下に沈着した硬性白斑に対して,網膜下注入針で眼内灌流液を吹き付けながら洗浄する黄斑下手術が有効であることを報告した.以降は抗CVEGF療法が広まったため,DMEへの硝子体手術は減少しているが,症例を選択すれば有効な方法である.Morizaneら16)は網膜下に眼内灌流液を注入して人工的に網膜.離を作製することで難治性の黄斑浮腫を早期に改善することができたと報告した.また,Imaiら17)は中心窩.胞を硝子体手術で摘出することで,術後に中心窩網膜厚が減少して視力も維持されたと報告した.さらに摘出した.胞にスペクトロメトリー解析を行い,.胞がフィブリノーゲンに近い性質を示したと報告している.DMEに対する硝子体手術は内境界膜.離を行うことが主流になっているが18,19),新しい手術手技も報告されており,抗CVEGF療法に抵抗性のCDMEに対する新しい手術適応となっている.増殖期になって網膜.離や硝子体出血が出現すると硝子体を切除する硝子体手術が適応となる.硝子体手術の歴史は,Machemerら20)がC1970年代に経毛様体扁平部に強膜創を作製するCclosedvitrectomyを開発して始まった.当時は強膜創がC1カ所であるCone-portvitrecto-myで,ローター式の硝子体カッターと眼内照明と,眼内灌流が一体になっていた.3.3Cmmの切開が必要であったが,それ以前の,角膜を取りはずして直視下で硝子体切除を行うCopen-skyCvitrectomyより格段の低侵襲図4両眼の無治療増殖糖尿病網膜症45歳,女性.増殖糖尿病網膜症による硝子体出血が右眼(Ca)と左眼(Cb)にみられる.視力は右眼C0.6,左眼0.2であるが,右眼は黄斑部を除いてほぼ全.離の状態であった.Cc:右眼の術中画像ではC25Gの硝子体剪刀と鑷子を用いた双手法で.離した網膜上の増殖膜を除去している.Cd:液体パープルオロカーボンで後極網膜を押さえながら周辺部に後部硝子体.離を拡大している.Ce:術C7カ月後の右眼と左眼(Cf)の眼底写真では網膜は復位しており,視力は右眼C0.9,左眼C1.0であった.手術であった.ている.網膜を復位させたC25%のうち,59%で視力改Machemerら21)は硝子体手術の黎明期であるC1981年善が得られ,全体としてC46%の症例で著明な視力改善に硝子体出血を併発したCPDR663眼の治療成績を報告となった.また,20/200以上の視力を維持できた症例している.網膜新生血管からの出血はC97%でみられ,を加えると,全体の成功率はC51%であったと報告して増殖膜膜の除去はC42%,網膜.離が合併した場合はC60いる.驚くべきはこの時代から網膜.離と虹彩のルベオ%で増殖膜を除去していた.もっとも多い合併症は網膜ーシスが予後不良のおもな要因であると報告しているこ裂孔の形成であった,水晶体はC73%の症例で摘出除去とで,全眼のC42%に少なくともある程度の虹彩ルベオし,保持された透明水晶体のC82%では白内障は進行せーシスがあり,全眼のC23%が血管新生緑内障になってず,白内障がなければ水晶体は温存すべきであると述べいた.硝子体手術後の血管新生緑内障をいかに予防すべ図5硝子体出血を伴う増殖糖尿病網膜症a:左眼に硝子体出血がみられ,視力は手動弁であった.b:超音波検査では視神経乳頭周囲に牽引性網膜.離がみられる.Cc:27Gのベベルド硝子体カッターの先端を増殖膜の下に挿入して増殖膜を切除している(は進行方向).d:鼻側の増殖には硝子体カッターを持ち替えてカッターの頭部の角度が眼球壁に併行するように増殖膜を切除していく(は進行方向).e:術C2カ月後には硝子体出血も軽快して網膜も復位した.視力は0.8であった.Cf:OCTでも黄斑部は良好な形態を維持している.きかは現在でも共通の問題点である.近年の硝子体手術はC20Gの時代からC25GやC27Gの時代に変化している.Yokotaら22)はCPDR424眼の硝子体手術成績をC20G,23G,25Gごとに比較した.小切開硝子体手術ではC1回の硝子体切除量が減少するため,術中の医原性裂孔の発生が少なく,術後の強膜創血管新生が予防でき,術後の硝子体出血が減少するのではと考えられた.結果としては,小切開硝子体手術であるC23GとC25Gでは従来のC20G手術と比べて医原性裂孔が少なく,液体パーフルオロカーボンの使用頻度が少なく,術後の血管新生緑内障が少なかった.しかし,術後C1カ月以降に生じる硝子体出血の頻度には差がなかった.術後の血管新生緑内障が減少したことに関しては,従来の20G手術では強膜創を縫合していたのに対して小切開硝子体手術では切開が小さく,強膜創を縫合する頻度が減少して,前眼部虚血を起こしにくくしていたことが原因と考えられた.一方で硝子体手術装置の進歩により硝子体カッターの切除が高速化している.Sanoら23)はCPDR393眼を毎分1,500.2,500カットのアキュラスを使用した低速カット群と毎分C5,000カットのコンステレーションを使用した高速カット群で術後成績を比較した.高速カット群では術中に剪刀を使用する頻度が少なく,術後C1カ月以降に生じる術後硝子体出血が少なかった.小切開硝子体手術では高速カットになるとC1回の切除量がさらに減少しうるため,硝子体カッターのみで増殖膜の処理ができる症例が増加したためと考えられた.しかし,増殖膜の牽引が著しい難治症例に対しては,25G手術での硝子体剪刀や鑷子を用いた双手法が必要となる(図4).広角観察システムやシャンデリア照明などの手術装置の進歩によりCPDR手術では結膜がより温存できる小切開硝子体手術が標準術式となっている.硝子体カッターの先端にC30°の角度をつけたベベルド硝子体カッターは,従来の硝子体カッターと比較してカッターの開口部を網膜表面により近く設置することができ,より網膜近傍での増殖膜処理に有利である.また,硝子体カッター開口部への吸引水流を改善させることで硝子体切除効率も向上させていた24).さらに硝子体カッターの内筒にもう一つの開口部をもつCdual-bladeのベベルド硝子体カッターは硝子体切除の効率をさらに向上させた25).硝子体切除効率がC25G手術と比較して不良であったC27G手術でもC25G手術と同様な硝子体切除効率が可能となり,ベベルド硝子体カッターと相まってとくにCPDR手術においてその威力を発揮できるようになっている.このような器具の進歩がCPDR手術でのより小切開であるC27G手術で対応できる適応拡大につながっている.Heads-upsurgeryのような観察系の進歩や,このような硝子体手術装置や器具の進歩によってPDRの手術成績は確実に向上していると考えられるが,やはり糖尿病のコントロールと定期検査による適切な時期での光凝固や抗CVEGF薬を使用することで難治症例を作らないことが重要である.硝子体手術が必要になった場合でも,手術の安全性を向上させ,視力予後にもっとも関連している因子であることはいうまでもない.CIVまとめ糖尿病網膜症はわが国の失明原因の第C3位である.定期検査によって糖尿病網膜症患者のC98%で失明の予防が可能であると算出されており,血糖コントロールに加えて定期検査を行うことがもっとも重要である.診断技術や,低侵襲光凝固や抗CVEGF薬による治療が進歩しているが,糖尿病コントロールと定期検査に勝る治療法はない.難治性のCPDRをいかに予防できるかが今後の重要課題である.文献1)若生里奈,安川力,加藤亜紀ほか:日本における視覚障害の原因と現状.日眼会誌118:495-501,C20142)MorizaneCY,CMorimotoCN,CFujiwaraCACetal:IncidenceCandCcausesCofCvisualCimpairmentCinJapan:theC.rstCnation-wideCcompleteCenumerationCsurveyCofCnewlyCcerti.edCvisuallyCimpairedCindividuals.CJpnCJCOphthalmolC63:26-33,C20193)MatobaCR,CMorimotoCN,CKawasakiCRCetal:ACnationwideCsurveyCofCnewlyCcerti.edCvisuallyCimpairedCindividualsCinCJapanCforCtheC.scalCyear2019:impactCofCtheCrevisionCofCcriteriaCforCvisualCimpairmentCcerti.cation.CJpnCJCOphthal-molC67:346-352,C20234)SolomonCSD,CChewCE,CDuhCEJCetal:DiabeticCretinopa-thy:aCpositionCstatementCbyCtheCAmericanCDiabetesCAssociation.DiabetesCareC40:412-418,C20175)日本糖尿病眼学会診療ガイドトライン委員会:糖尿病網膜症診療ガイドライン(第C1版).日眼会誌C124:955-981,C20206)HiranoCT,CHoshiyamaCK,CHirabayashiCKCetal:Vitreoreti-nalCinterfaceCslabCinCOCTCangiographyCforCdetectingCdia-beticCretinalCneovascularization.COphthalmolCRetinaC4:C588-594,C20207)AicherCNT,CNagahoriCK,CInoueCMCetal:VascularCdensityCofCtheCanteriorCsegmentCofCtheCeyeCdeterminedCbyCopticalCcoherencetomographyangiographyandslit-lampphotog-raphy.OphthalmicResC63:572-579,C20208)NozakiCM,CAndoCR,CKimuraCTCetal:TheCRoleCofClaserCphotocoagulationCinCtreatingCdiabeticCmacularCedemaCinCtheCeraCofCintravitrealCdrugadministration:aCdescriptivereview.Medicina(Kaunas)C59:1319,C20239)BresslerCNM,CBeaulieuCWT,CMaguireCMGCetal:DiabeticCretinopathyCclinicalCresearchCnetwork.CearlyCresponseCtoCanti-vascularendothelialgrowthfactorandtwo-yearout-comesamongeyeswithdiabeticmacularedemainproto-colT.AmJOphthalmolC195:93-100,C201810)TatsumiCT,COshitariCT,CTakatsunaCYCetal:Sodium-glu-coseco-transporter2inhibitorsreducemac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