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安定的に経過している緑内障におけるimo 24plus(1-2) AIZE-EX のMD 値変動と予測区間

2026年2月28日 土曜日

《原著》あたらしい眼科43(2):210.215,2026c安定的に経過している緑内障におけるimo24plus(1-2)AIZE-EXのMD値変動と予測区間北川厚子*1堀口剛*2野本裕貴*3井田直子*1清水美智子*1廣信麻友美*1上暁美*1手良向聡*2松本長太*3*1北川眼科医院*2京都府立医科大学大学院医学研究科生物統計学*3近畿大学医学部眼科学教室EvaluationoftheFluctuationandPredictionIntervalofimo24plus(1-2)AIZE-EXinStableGlaucomaPatientsAtsukoKitagawa1),GoHoriguchi2),HirokiNomoto3),NaokoIda1),MichikoShimizu1),MayumiHironobu1),AkemiUe1),SatoshiTeramukai2)andChotaMatsumoto3)1)KitagawaEyeClinic,2)DepartmentofBiostatistics,GraduateSchoolofMedicalScience.KyotoPrefecturalUniversityofMedicine,3)DepartmentofOphthalmology,KindaiUniversityFacultyofMedicineC目的:安定的に経過している緑内障におけるCimo24plus(1-2)AIZE-EXのCMD値変動と予測区間を調べる.対象および方法:2年以内にC3回,imoAIZE-EXを施行し,安定的に経過している緑内障および緑内障疑い例をCbettereye・worseeyeのC2群に分け,検査点ごとの閾値変動,およびベースライン閾値に対する再検査の変動および予測区間を算出した.また,病期別C4群に分類し,その予測区間を算出した.結果:検査点ごとおよび再検査の変動は閾値が大きいほど小さかった.予測区間は,病期により±0.85CdB.±1.56CdBであった.結論:予測区間は視野障害の進行評価を行う際の有用な指標となる.CPurpose:Toinvestigatethevariabilityand95%predictionintervalsofvisual.eldindicesobtainedusingtheAIZE-EXalgorithmontheimo24plus(1-2)perimeter(CREWTMedicalSystems)inpatientswithstableglauco-maCorCsuspectedCglaucoma.CPatientsandMethods:DataCfromC146CeyesCwithCthreeCtestsCoverCaC2-yearCperiodCwereCretrospectivelyCanalyzed.CResults:Point-wiseCsensitivityCvariabilityCdecreasedCwithChigherCthresholdCvalues.CMixed-e.ectsmodelingshowedminimaltime-relatedchangesinmeandeviation(MD),allowingestimationofpre-dictionintervalsacrossdi.erentglaucomastages.ThewidthofMDpredictionintervalsrangedfrom±0.85CdBinearlyCstagesCtoC±1.56CdBCinCmoderateCstages.CTheseCintervalsCprovideCusefulCreferenceCrangesCtoChelpCdistinguishCactualCdiseaseCprogressionCfromCmeasurementCvariability.CConclusion:AIZE-EXCdemonstratedClessC.uctuationCthanthepreviouslystudiedAIZE-Rapid,thussuggestingalgorithmicsuperiority.Whilehelpfulinclinicaldecision-making,predictionintervalsshouldbeinterpretedalongsideclinicalcontextandrepeatedtestingwhennecessary.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)43(2):210.215,C2026〕Keywords:緑内障,アイモ視野計,24plus(1-2)AIZE-EX,変動,予測区間.glaucoma,imoperimetry,.uctu-ation,24plus(1-2)AIZE-EX,predictioninterval.はじめにimo(クリュートメディカルシステムズ)はC2015年に開発されたヘッドマウント型自動視野計1)であるが,据置型がおもに使用されている.imoに搭載されている検査アルゴリズムCAnbientInteractiveZippyEstimatedSequentialTesting(AIZE)2)は,Humphrey視野計(HumphreyCFieldCAnalyz-er:HFA)のCSITAStandardより短い検査時間で同等の緑内障性視野障害が検出できることが報告されている3).また,その後開発されたCAIZE-EXは前回のデータを利用し効率的に閾値検査を行うことで,短時間かつCAIZEと同程度の異常検出ができる4).緑内障の早期発見や進行評価において中心C10°内の検査が〔別刷請求先〕北川厚子:〒607-8041京都市山科区四ノ宮垣ノ内町C32北川眼科医院Reprintrequests:AtsukoKitagawa,KitagawaEyeClinic,32Kakinouchi-cho,Shinomiya,Yamashina-ku,Kyoto-City607-8041,CJAPANC210(92)有用とされており5,6),imoでは従来のC24-2の検査点C54点にC10-2の測定点C24点を追加したC24plus(1-2)での検査が行える(図1).筆者らはCHFACSITA-FAST24-2とC10-2をあわせた結果とCimo24plus(1-2)AIZE-Rapidの比較を行い,検査データの一致度が高かった結果を踏まえ7),緑内障の経過観察はC24plus(1-2)で行っている.視野検査は自覚検査であり検査結果は常に変動するため8,9),緑内障の経過診察を行うに際しては,検査結果のとりうる変動範囲を知っておくことが重要となる.筆者らは過去に安定した経過を示す緑内障および緑内障疑い症例におけるCimo24plus(1-2)AIZE-Rapidの変動・予測区間について報告している10).本研究では新たな測定アルゴリズムであるCAIZE-EXでの予測区間を算出し,緑内障の経過において視野障害進行ではなく検査結果の変動と判断できうる範囲の検討を行った.CI対象および方法1.対象2020.2022年に北川眼科医院でCimo24plus(1-2)CAIZE-EX(据置型)による検査をC2年以内にC3回行えた(固視不良5%以下,偽陽性・偽陰性C10%以下),少なくともC1眼が経過中の視野状態が安定的に経過している(MDslope<C±0.5CdB/year)緑内障,および緑内障疑い症例を対象とした.除外基準は,矯正視力C0.5未満,明らかな網脈絡膜疾患を有するもの,急速な白内障進行例,期間中に眼科手術を施行されたものとした.ベースラインのCMD値に基づき両眼をCbettereye,worseeyeのC2群,および進行度によりC4群に分類し解析を行った.本後ろ向き研究は,京都府立医科大学医学倫理審査委員会の承認(ERB-C-2394)を受けている.C2.診断機器imoはCHFAと同じ条件下で視野検査を行うことが可能となっている.詳細については過去の論文1)に述べられているが,両眼開放下に同時に両眼検査を行えるのが特徴である.C3.評価項目MD値および各測定点の閾値を評価項目とした.C4.統計解析各対象者のベースライン時における患者特性について,分類変数は例数(割合),連続変数は中央値(範囲)で要約した.閾値と変動の関係をみるために,3回の検査結果に対して検査点ごとの平均閾値と標準偏差を計算し,平均閾値(5CdBごと)に対する標準偏差をプロットした.Bettereye,Cworseeye間の比較はCWilcoxon順位和検定を用いて行った.また,最初の検査とC2回目以降の再検査の変動を比較するた24-210-230°6°間隔54点2°間隔24点>合計78点図124plus(1-2)の配列めに,ベースラインの閾値ごとにC2回目以降の再検査の閾値の分布を箱ひげ図で示した.ベースラインの閾値はC2CdBごとに刻み,箱ひげ図はC5,25,75,95パーセンタイルと中央値で表現した.各症例C3回の検査で得られたCMD値の推移について,個人内相関を考慮するため,個人を変量効果,時間を固定効果とした混合効果モデル(ランダム切片モデル)を用いてC95%予測区間を算出した.時間効果の推定値が小さく統計的にも有意でなかった場合には,時間によるCMD値の変化が臨床的に無視できると判断し,MD値が時間に依存せず一定であるという仮定のもとで予測区間を解釈した.95%予測区間は,ある対象者におけるつぎの測定値がC95%の確率でとりうる区間を表す11).各対象者の推移を折れ線グラフで図示し,回帰直線およびC95%予測区間を追加した.予測区間については,ベースラインCMD値に基づく病期別C4分類(MD>.3CdB,C.6CdB<MDC..3CdB,C.12CdB<MDC..6CdB,CMD..12CdB)でも同様に算出し,グラフを作成した.なお,ベースラインのCMDに基づくC4分類については,標本サイズを確保するためにCbettereye,worseeyeを区別せずに分類した.そのため,同一対象者の両眼が同じグループに含まれる場合は,右眼の検査値を採用した.検査時間とCMD値の関係を調べるために,ベースラインにおける検査時間について,bettereye,worseeyeのC2群およびベースラインCMD値に基づくC4群ごとに中央値(範囲)を算出した.検定の有意水準は両側C0.05とし,すべての統計解析は表1ベースライン時における研究対象者の人口統計学的および臨床的背景bettereye(n=60)Cworseeye(n=86)検査眼.右眼:n(割合)28(C46.7%)59(C68.6%)年齢:中央値(範囲)68歳(2C0歳,8C8歳)65.5歳(C20歳,C90歳)性別:男性C/女性C18/42C33/53視力:中央値(範囲)1.0(C0.6,C1.5)1.0(C0.5,C1.5)等価球面度数:中央値(範囲)C.2.38D(C.13.0D,+3.75D)C.2.00D(C.16.75D,+3.50D)固視監視:中央値(範囲)0%(0%,5%)0%(0%,4%)偽陽性:中央値(範囲)1%(0%,1C0%)0.5%(0%,1C0%)偽陰性:中央値(範囲)0%(0%,4%)0%(0%,5%)検査:中央値(範囲)1.01年(C0.58年,C1.99年)1.03(C0.55年,C1.94年)グローバルインデックスMD:中央値(範囲)C.0.30CdB(C.15.26dB,2C.03dB)C.2.15CdB(C.23.30dB,1C.35dB)MDslope:中央値(範囲)0.07CdB/年(C.0.46CdB/年,C0.48CdB/年)0.12CdB/年(C.0.49CdB,C/年C0.49CdB/年)眼圧(CGoldmann圧平眼圧計)3回の平均:中央値(範囲)14.8CmmHg(C10.3CmmHg,C22.0CmmHg)C14.5CmmHg(9C.3mmHg,2C0.7mmHg)3回の標準偏差:中央値(範囲)1.2CmmHg(0C.0mmHg,4C.5mmHg)1.5CmmHg(0C.0mmHg,5C.3mmHg)COCT*RNFL厚C3回の平均,中央値(範囲)79.3Cμm(C55.7Cμm,9C8.7Cμm)(n=59)77.3Cμm(C51.0Cμm,C159.3Cμm)RNFLslope:平均値(標準偏差)0.46Cμm/年(C3.87Cμm/年)(n=59)C.0.07Cμm/年(C4.28Cμm/年)CGCL+IPL厚C3回の平均:中央値(範囲)70.0Cμm(C54.3Cμm,9C2.7Cμm)(n=58)68.0Cμm(C47.5Cμm,8C5.0Cμm)黄斑マップslope:平均値(標準偏差)C.0.15Cμm/年(C2.49Cμm/年)(n=58)C.0.41Cμm/年(C2.41Cμm/年)*CIRRUSHD-OCTplus(モデルC5000,CarlZeissMeditecInc).少なくともC1眼がCMDslope<C±0.5CdB/年の症例をCbettereye,worseeyeのC2群に分類し,ついで除外基準により選別しているため,2群の症例数は異なる.ab(dB)(dB)bettereye(dB)worseeye131211bettereyeworseeye3632363210282892424再検査の閾値再検査の閾値標準偏差2016122016127655%5%3825%825%214中央値75%4中央値75%0095%095%05101520253035024681012141618202224262830323436024681012141618202224262830323436閾値[dB]ベースラインの閾値[dB]ベースラインの閾値[dB]図2閾値の変動a:検査点ごとの平均閾値の変動.bettereyeおよびCworseeyeにおける検査点ごとの平均閾値に対する標準偏差を示す.Cb:ベースライン閾値(bettereyeおよびCworseeye)に対する再検査の変動.細い縦線は再検査のC90%区間(再検査閾値のC5.95パーセンタイルの幅)を示し,太い縦線は四分位範囲を示す.SASversion9.4(SASInstitute,Inc,Cary,NC)を用いて行った.CII結果解析対象の背景を表1に示す.abettereyeworseeye(dB)95%予測区間の幅:±0.992MD0-2n=600200400600(日)(日)時間bMD>-3-6<MD.-3(dB)95%予測区間の幅:±0.852MD0-2n=910200400600(日)(日)時間-12<MD.-6MD.-12(dB)95%予測区間の幅:±1.562MD0-2n=180100200300(日)400(日)時間図3予測区間a:対象者ごとの推移と予測区間(bettereyeおよびCworseeyeにおけるCMDのスパゲティプロット).グレーの塗りつぶしは予測区間を示す.b:ベースラインCMD別の予測区間.bettereye,worseeyeともに各症例の閾値の変動は検査点の平均閾値と関連しており,閾値が大きいほど変動は小さかった(図2a).15CdB以上では,bettereyeとCworseCeyeの変動はほぼ同等であったが,10.15CdBでは,betterCeyeの変動がCworseeyeよりも大きい傾向がみられた(p=0.024,図2a).検査機器のダイナミックレンジが限られているため,閾値がゼロに近い部分での標準偏差は低かったが,再検査分布の尾は長く,90%区間は大きかった(図2a,b).MD値について,混合効果モデルによる解析を行った結果,時間効果の推定値はCbettereye:0.00024(p=0.293),worseeye:0.00024(p=0.191),MD>.3のグループ:0.00020(p=0.176),.6CdB<MD..3:0.00021(p=0.564),.12CdB<MD..6:0.00022(p=0.763),MD..12:.0.00033(p=0.674)であり,時間の効果は非常に小さかった.したがって,予測区間を解釈するにあたり,時間による変化はないと仮定した.図3にCbettereye・worseeye別,およびベースラインCMD別の推移と予測区間を示した.予測区間の幅は,bettereye・worseeyeとも±0.99CdBであり,ベースラインCMD値別では,MD>.3CdB:±0.85CdB,.6CdB<MD..3CdB:±0.97CdB,.12CdB<MD..6CdB:±1.56dB,MD..12dB:±0.96CdBであった.ベースラインでの検査時間は,中央値がCbettereye:2.6分,worseeye:3.0分であった.また,ベースラインのCMD別では,MD>.3CdB:2.6分,.6CdB<MD..3CdB:3.3分,C.12CdB<MD..6CdB:3.5分,MD..12dB:3.9分であり,MD値が低いほど検査時間が長い傾向がみられた.CIII考按安定的に経過している緑内障症例の経過観察におけるCimo24plus(1-2)AIZE-EXの変動を解析した.過去のCHFAについての報告と同様に,各測定点の閾値変動は検査点の閾値が大きいほど小さかった8).また,3回の測定の変動から算出された予測区間の幅は,ベースラインCMD値別で±0.9.C±1.6CdBであった.以前筆者らが報告したCAIZE-Rapidの予測区間は±1.4.±1.8CdBであり10),AIZE-EXの優位性の可能性が示唆されたが,今後更に多くのデータをもとに緑内障の視野経過観察では,AIZE-Rapid,AIZE-EX,AIZE-RapidEXなどのいずれのアルゴリズムがもっとも短時間にかつ正確な経過判断が可能か検討を要する.95%予測区間は将来の測定値がC95%の確率で入る区間を表す.つまり,測定結果が予測区間外であった場合には,状態が改善もしくは悪化している可能性が高いと判断できる.そのため,検査結果が悪化した場合は,疾患進行によるものか,測定誤差による変動であるかを判別する指標として有用となる可能性がある.推定値の精度を表す指標としては信頼区間がよく用いられる.たとえば,本研究のデータに対してCMD値の平均値の95%信頼区間幅を計算すると,bettereyeで±0.09CdB,Cworseeyeで±0.08CdBとなり,予測区間の幅と比較すると非常に狭くなるが,これは個々の測定データのばらつきを考慮していないためであり,信頼区間は母平均などの母数に関する推測を意味する.一方で,個々のばらつきを考慮した予測区間は,標本に関する推測に対応する.また,データが正規分布に従う場合は,平均値±1.96×標準偏差の範囲にはデータのC95%が含まれることが知られているが,将来のデータがこの範囲に入る確率はC95%にはならない.これは,推定量(平均値と標準偏差)の不確かさを考慮していないためである.予測区間はこの不確かさを考慮しており,将来の測定値が含まれるであろう区間を表す.本研究ではこの予測区間を用いることで検査結果の変動を評価可能であると考えた.本研究の限界について,一つは安定的に経過している緑内障の定義があげられる.本研究では著明な眼圧変動もなく,CMDCslope..0.5dB/年,光干渉断層計(opticalCco-herencetomography:OCT)でも大きな変化の認められない症例とした12).また,今回算出した予測区間はデータに依存している点,また,MD..12CdBの後期症例については症例数が少ない点,症例を追加したうえでのさらなる検討が必要である(図3b).予測区間はあくまでも目安であり,予測区間に入っていても進行の可能性はある.逆に,予測区間に入っていなくても透光体の混濁の変化,患者の集中度,検査機器の誤差による変化である可能性もあり,これらを考慮したうえで予測区間を超える結果が認められた場合や,再検査を行い再現性のある結果が得られた場合は進行と判断し治療強化を行う必要がある.検査結果の変動から算出したCMD値の予測区間は,初期・早期:±0.9.±1.0CdB,中期:±1.6CdBであり,中期症例での予測区間が大きくなる傾向があった.各病期におけるCMD値の変動幅がこの値を超えると視野障害進行を疑う指標となり,緑内障進行の評価を行う際の有用な指標となると考える.利益相反:利益相反公表基準に該当なし文献1)MatsumotoC,YamaoS,NomotoHetal:Visual.eldtest-ingCwithChead-mountedCperimeter‘imo’.CPLoSCOneC11:Ce0161974,C20162)NomotoH,MatsumotoC,OkuyamaS:Anewstaticvisu-alC.eldCtestalgorithm:theCAmbientCInteractiveCZEST(AIZE).SciRepC13:14945,C20233)KimuraCT,CMatsumotoCC,CNomotoH:ComparisonCofChead-mountedperimeter(imoCR)andCHumphreyCFieldCAnalyzer.ClinOphthalmolC13:501-513,C20194)NomotoCH,CMatsumotoCC,CYoshikawaCKCetal:EvaluationCofthevisual.eldtestalgorithm:theAmbientInteractiveZEST-EX(AIZE-EX)C.CSciRep(2026,Cinpress):https://Cdoi.org/10.1038/s41598-026-35696-y5)KimuraCY,CHangaiCM,CMorookaCSCetal:RetinalCnerveC.berlayerdefectsinhighlymyopiceyeswithearlyglau-coma.InvestOphthalmolVisSciC53:6472-6478,C20126)DeMoraesCG,HoodDC,ThenappanAetal:24-2visual.eldsmisscentraldefectsshownon10-2testsinglauco-maCsuspects,CocularChypertensives,CandCearlyCglaucoma.COphthalmologyC124:1449-1456,C20177)北川厚子,清水美智子,山中麻友美ほか:ヘッドマウント型自動視野計と従来型自動視野計の検査結果および検査時間の比較.あたらしい眼科C38:1221-1228,C20218)ArtesPH,IwaseA,OhnoYetal:Propertiesofperimet-ricCthresholdCestimatesCfromCFullCThreshold,CSITACStan-dard,andSITAFaststrategies.InvestOphthalmolVisSciC43:2654-2659,C20029)GardinerSK,SwansonWH,GorenDetal:Assessmentofthereliabilityofstandardautomatedperimetryinregionsofglaucomatousdamage.OphthalmologyC127:1359-1369,C201410)KitagawaCA,CHoriguchiCG,CNomotoCHCetal:EvaluationCofCthevariabilityofAmbientInteractiveZippyEstimationofSequentialCRapidCTestsConCthe“imo”perimeterCinCpatientsCwithCstableCglaucoma.CJCGlaucomaC33:849-854,C202411)FrancqCBG,CLinCD,CHoyerW:Con.dence,Cprediction,CandCtoleranceCinClinearCmixedCmodels.CStatCMedC38:5603-5622,C201912)LakhaniCBK,CGiannouladisCK,CLeightonCPCetal:De.ningCstableglaucoma:aCDelphiCconsensusCsurveyCofCUKCoptometristsCwithCaCspecialistCinterestCinCGlaucoma.CEye(Lond)35:2524-2534,C2021***

携帯式眼圧計アイケアHOMEの精度と再現性の検討

2017年11月30日 木曜日

《原著》あたらしい眼科34(11):1610.1616,2017c携帯式眼圧計アイケアHOMEの精度と再現性の検討塩川美菜子*1方倉聖基*1井上賢治*1狩野廉*2桑山泰明*2*1井上眼科病院*2福島アイクリニックCEvaluatingthePrecisionandReproducibilityofSelf-measuredIntraocularPressurewithIcareHOMEReboundTonometerMinakoShiokawa1),SeikiKatakura1),KenjiInoue1),KiyoshiKano2)andYasuakiKuwayama2)1)InouyeEyeHospital,2)FukushimaEyeClinic目的:アイケアCHOMEによる眼圧自己測定の精度と再現性,問題点を検討する.対象および方法:井上眼科病院と福島アイクリニックの有志職員C67例C134眼(平均年齢C31.8±10.7歳,利き手:右C61例,左C6例)を対象とした.アイケアCHOMEによる眼圧自己測定を左右各々C5回の測定値が得られるまで連続で行い,平均眼圧とCGoldmann圧平式眼圧計(GAT)による眼圧を比較した.測定値の変動幅と変動係数により再現性を評価した.測定エラーの回数を記録した.結果:アイケアCHOMEの測定値はCGATの測定値より右眼でC1.5CmmHg,左眼はC1.2CmmHg過小評価だった.変動係数は右眼C8.7±5.8%,左眼C10.5±6.8%,変動幅は右眼C2.3±1.7CmmHg,左眼C2.9±1.9CmmHgで左眼が有意に大きかった(p=0.0194).エラー回数は右眼がC1.8±3.5回,左眼がC3.3±4.8回で左眼が有意に多かった(p=0.0161).結論:アイケアCHOMEによる眼圧自己測定の精度は比較的良好だが,左眼の測定が課題である.CPurpose:Toevaluatetheprecision,variationandproblemsofself-measuringintraocularpressure(IOP)withIcareHOMEreboundtonometer.MethodsandSubjects:Botheyesof67normativevolunteersfromInouyeEyeHospitalCandCFukushimaCEyeCClinicCwereCenrolled.CIOPsCwereCself-measuredCusingCtheCIcareCHOME.CAllCsubjectsCcontinuedtomeasureuntilthecompletionof5measurements.Additionally,IOPwithGoldmannapplanationtonom-etry(GAT)wasCrecorded,CasCwereCtheCnumberCofCmeasurementCerrors.CResults:TheCmeanCdi.erenceCbetweenIcareCHOMECandCGATCmeasurementsCofCRightCeye(R)andCLeftCeye(L)wereC.1.5CmmHgCandC.1.2CmmHg,respectively.IcareHOMEunderestimatedIOPincomparisonwithGAT.Thecoe.cientofvariation(CV)was8.7C±5.8%(R)andC10.5±6.8%(L).CMeasurementCerrorCincidencesCweC1.8±3.5(R)andC3.3±4.8(L),Cmeasurementerrorsoccurringmorefrequentlywiththelefteyethanwiththeright(p=0.0161).CConclusion:IcareHOMEmaybeCusefulCasCequipmentCenablingCpatientsCtoCself-measureCIOP.CHowever,Cself-measuringCtheCIOPCofCtheCleftCeyeCrequirestraining.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)34(11):1610.1616,C2017〕Keywords:アイケアHOME,眼圧,自己測定,変動,測定エラー.IcareHOMEreboundtonometer,intraocularpressure,self-measurement,variation,measurementerrors.CはじめにアイケアCHOME(icareCFinland社製)は眼科医の指導のもと,患者自身による眼圧自己測定を目的に開発された携帯式眼圧計である.先行のアイケアCONEに改良を加えた機器で,わが国ではC2014年C10月に承認され,2015年C2月に発売された.アイケア1,2)(icareCFinland社製)と同様のCreboundtonometerで,プローブが角膜にあたったときの動きを電気信号へ変換することで眼圧を測定する.点眼麻酔不要で測定でき,プローブの先端が小さいため瞼裂が狭い症例や小児でも測定が可能である.アイケアCHOMEの外観を図1aに,背面パネルを図1bに示す.大きさはC11×8×3cm,重さはC150gでアイケアCONEと変わらない.測定方法もアイケアCONEと同様に直径C1.73mmのプラスチック製のヘッドがついているディスポーザブ〔別刷請求先〕塩川美菜子:〒101-0062東京都千代田区神田駿河台C4-3井上眼科病院Reprintrequests:MinakoShiokawa,M.D.,InouyeEyeHospital,4-3Kanda-Surugadai,Chiyoda-ku,Tokyo101-0062,JAPAN1610(126)b図1アイケアHOMEの外観a:全体,b:背面パネル.Cルのプローブを本体にセットし,ヘッドが被験者の角膜頂点からC4.8Cmmに位置するように額,頬あてを調整のうえ,被験者自身が壁掛け鏡を見ながらプローブが角膜中央に正面から垂直にあたるようにアイケアCHOMEを保持し,測定ボタンを押す.測定はC1回モードと通常モードがある.通常モードではC6回測定(角膜にC6回,プローブのヘッドがあたる)をC1セットとし,6回すべてが正しく測定され,測定値が安定していれば測定が完了し本体背面パネルの「DONE」の上方にチェックマークが緑で点灯し,測定結果が本体に内蔵されたメモリに日時とともに記録される.睫毛にプローブがあたる,ポジションが悪いなどにより正しく測定できていないときや測定結果にばらつきがあると,背面パネルの「REPEAT」の上方に繰り返しを示す矢印が橙色で点灯,あるいは背面パネルのどこにも点灯,点滅しない状態で測定エラーとなり,結果は記録されず再測定となる.アイケアCONEからの改良点は,センサーで左右の測定眼を自動で識別する機能と測定位置が正しいかをプローブベースのCLEDで知らせる機能(正しければ緑が点灯し測定可,正しくなければ赤が点灯し測定不可)が加わったことである.反対にアイケアCONEでは内蔵メモリに測定結果が保存されるほかに,本体背面パネルにも眼圧(5.50CmmHg)をC11段階に分けて表示されるので,検者,被験者はおおよその眼圧測定結果をその場で知ることができたが,アイケアCHOMEでは測定結果は本体のパネルに表示されないため,IcareLinkソフトウエアを使用してパソコンで確認しない限り測定結果を知ることはできない.アイケアCONEはCGoldmann圧平式眼圧計(GoldmannCappla-nationCtonometer:GAT)との互換性が報告されており3,4),筆者らも健常者を対象にアイケアCONEを用いてC24時間眼圧自己測定を行い報告した5).今回はアイケアCHOMEによる眼圧自己測定を行い,その精度,再現性と問題点を検討した.CI対象および方法本研究の趣旨に賛同のうえ,2015年C3.8月に文書で同意を得た全身疾患,眼疾患を有しない井上眼科病院および福島アイクリニックの職員C67例C134眼を対象とした.屈折矯正手術の既往がある症例は除外した.性別は男性C19例,女性48例,年齢はC20.67歳(平均年齢C31.8C±10.7歳)であった.方法は,まず被験者に合わせてアイケアCHOMEの額,頬あてを調整し,操作と測定方法を口頭で指導した後に眼圧自己測定を数回練習し測定ができることを確認した.指導と練習は医師あるいは視能訓練士が行った.その後,右眼,左眼の順で通常モードで測定を開始しC5回測定が完了するまで連続で測定を繰り返した.さらにC5回の測定が完了するまでの測定エラーの回数を記録した.アイケアCHOMEによる眼圧自己測定時間の前あるいは後,15分以内にCGATによる眼圧測定をC1回行った.GATによる眼圧測定は井上眼科病院ではC2名,福島アイクリニックではC1名の眼科医が行った.背景因子として矯正視力,屈折,中心角膜厚(centralcor-nealthickness:CCT),瞼裂幅の測定と利き手を調査した.CCTの測定はポータブル超音波角膜厚測定装置で行い,井上眼科病院はCTOMEY社製CAL4000,福島アイクリニックはCTOMEY社製CSP100を用いた.全測定終了後にアイケアCHOMEによる眼圧自己測定についてアンケート調査を行った.項目は以下のとおりである.1)操作,取扱いはどうでしたか①簡単,②どちらかといえば簡単,③どちらかといえば難しい,④難しい2)測定は簡単でしたか①簡単,②どちらかといえば簡単,③どちらかといえば難しい,④難しい3)測定は怖かったですか①怖い,②怖くない4)左右どちらが測定しやすかったですか①右,②左,③どちらでもない5)患者でも自己測定が可能であると思いますか①できる,②できない6)自由記載測定結果の分析は以下について行った.1)アイケアCHOMEの測定値とCGATの測定値の比較アイケアCHOMEのC5回の測定結果から平均眼圧(以下,アイケア平均眼圧)を算出し,GATによる眼圧測定値と比較した.統計学的検討はCSpearman順位相関の係数を求め,さらにCBland-AltmanPlotsのC95%信頼区間を用いて評価した.2)アイケアCHOMEの再現性アイケアCHOMEによる眼圧自己測定値の再現性を検討するために変動幅(最高眼圧値C.最低眼圧値)と変動係数((標準偏差/平均値)C×100)を求めた.さらに左右眼の変動幅と変動係数を比較した.統計学的検討は対応のあるCt検定を用いた.3)測定エラーの回数測定エラーの回数を左右眼で比較した.統計学的検討には対応のあるCt検定を用いた.4)アイケアCHOMEによる眼圧自己測定の測定エラーの回数,変動幅と背景因子との相関測定エラーの回数と年齢,測定エラーの回数と変動幅,測定エラーの回数と瞼裂幅,変動幅と年齢,変動幅と瞼裂幅についてCSpearman順位相関の係数を求めた.5)アイケア平均眼圧とCCCTアイケア平均眼圧とCCCTについてCSpearman順位相関の係数を求めた.いずれにおいても左右眼の比較についての統計解析は対応のあるCt検定を用い,有意水準はCp<0.05とした.なお本研究は井上眼科病院倫理委員会の承認を得て行った.CII結果1.背.景.因.子矯正視力,屈折値,瞼裂幅,CCT,GATによる眼圧を表1に示す.矯正視力はClogMAR視力で右眼C.0.07±0.03,左眼.0.04±0.25,屈折値は右眼C.2.9±2.8D,左眼C.2.7±3.1D,瞼裂幅は右眼C9.9C±1.4mm,左眼C9.7C±1.3Cmmであった.CCTは右眼C541.9C±40.9μm,左眼C547.1C±36.0Cμm,GATによる眼圧は右眼C13.4C±1.9CmmHg,左眼C13.2C±1.9CmmHgであった.瞼裂幅が右眼のほうが左眼に比べて有意に大きいほかは左右眼に差はなかった.利き手は右がC61例,左がC6例であった.C2.アイケア平均眼圧とGATによる眼圧測定値の比較アイケア平均眼圧とCGATの眼圧は右眼が相関係数(corre-lationCcoe.cient:以下,r)r=0.455,p<0.0001,左眼がCr=0.491,p<0.0001でいずれも中等度の有意な相関があった(図2).Bland-Altman解析を図3に示す.右眼は平均がC.1.5CmmHg,95%信頼区間はC.6.8.3.9CmmHg,左眼は平均が.1.2mmHg,95%信頼区間はC.6.3.3.8CmmHgであり,右眼,左眼ともにアイケアCHOMEがCGATよりも過小評価表1症例の背景因子右眼左眼p矯正視力(logMAR)C.0.07±0.03(C.0.08.C0.05)C*.0.04±0.25(C.0.08.C2.0)0.5002屈折値(D)C.2.9±2.8(+1.5.C.11.5)C.2.7±3.1(+5.25.C.11.75)C0.5152瞼裂幅(mm)C9.9±1.4(6.12)C9.7±1.3(6.12)C0.0064CCT(Cμm)C541.9±40.9(4C03.6C88)C547.1±36.0(4C72.6C61)C0.0839GATによる眼圧(mmHg)C13.4±1.9(9.19)C13.2±1.9(9.18)C0.1024*弱視C1眼を含む.右眼左眼20r=0.455p<0.0001r=0.491p<0.0001n=6720アイケ平均眼圧(mmHg)151015105551015205101520GAT(mmHg)GAT(mmHg)図2アイケアHOMEとGATの眼圧測定値の相関(128)右眼左眼アイケア平均-GAT(mmHg)86420-2-4-6-8-1061116(GAT+アイケア平均)/2(mmHg)図3Bland.Altman解析によるアイケアHOMEとGATの眼圧測定値の比較右眼左眼右眼左眼6~10mmHg5mmHg4.5%0mmHg6~10mmHg0mmHg1.5%1.5%5mmHg7.5%1.5%4mmHg7.5%7.5%4回1.5%平均:1.8±3.5回平均:3.3±4.8回**p=0.0161対応のあるt検定図4アイケアHOMEによる5回の眼圧自己測定の変動幅表2測定エラーの回数および測定値の変動幅と年齢,瞼裂幅の関係右眼左眼Cprprエラー回数と変動幅C0.2858C.0.133C0.7780C0.035エラー回数と瞼裂幅C0.4741C.0.089C0.3048C0.128エラー回数と年齢C0.1848C.0.164C0.3561C.0.115変動幅と瞼裂幅C0.4474C.0.095C0.1938C.0.161変動幅と年齢C0.1258C0.189C0.0191C0.285であった.C3.アイケアHOMEによる眼圧自己測定値の再現性アイケア平均眼圧は右眼C11.9C±3.0mmHg,左眼C12.0C±2.9mmHgであった.眼圧変動幅がC0.2CmmHgと少なかった症例は右眼で約C70%であった.左眼はC50%に満たなかった(図4).平均変動幅は右眼C2.3C±1.7mmHg,左眼C2.9C±1.9mmHgで左眼が有意に大きかった(p<0.0194).平均変動係数は右眼C8.7C±5.8%,左眼C10.5C±6.8%,変動係数C10%以図5アイケアHOMEによる5回の眼圧自己測定における測定エラーの回数下の症例は右眼でC74.6%,左眼でC55.2%であった.C4.測定エラーの回数測定エラーの回数は右眼がC1.8C±3.5回,左眼がC3.3C±4.8回で左眼が有意に多かった(p=0.0161,図5).C5.測定エラーの回数および変動幅と背景因子の相関(表2)測定エラーの回数と変動幅,瞼裂幅,年齢,および変動幅と瞼裂幅の間に有意な相関はなかった.変動幅と年齢では右眼は相関がなかったが,左眼に有意な弱い相関があった(r=0.281,p<0.05).右利き(n=61)の症例では右眼はC1.8C±3.5回,左眼はC3.5C±5.0回と左眼の測定エラー回数が有意に多かった(p<0.05).左利きの症例(n=6)では右眼はC1.0C±1.7回,左眼はC1.2C±1.2回で有意差はなかった.C6.アイケア平均眼圧とCCT(図6)アイケア平均眼圧とCCCTは右眼においてはCr=0.004,p=0.9758で相関はなかった.左眼においてはCr=0.256,p=0.0361で弱い相関があった.右眼左眼p=0.9758r=0.00420p=0.0361r=0.256201818y=0.0039x+9.8282y=0.0207x+0.7058アイケア平均眼圧(mmHg)16141210864アイケア平均眼圧(mmHg)161412108642200400500600700400500600700中心角膜厚(μm)中心角膜厚(μm)図6アイケア平均眼圧とCCTの関係■簡単操作,取り扱いはどうか■どちらかといえば簡単■どちらかといえば難しい測定は簡単か■難しい0%50%100%■怖くない測定は怖かったか■怖い0%50%100%■右左右どちらが■どちらでもない測定しやすいか■左0%50%100%患者でも自己■できる測定できるか■できない0%50%100%図7眼圧自己測定後のアンケート調査結果7.アンケート調査(図7)60例から回答を得た.1)「操作,取扱い」については約C80%の症例が難しくないと回答した.2)「測定」についてはC70%の症例が測定は難しくないと回答した.3)測定は「怖くなかった」がC45例C75%であった.4)測定しやすかったのは「右眼」または「どちらでもない」が大多数を占めた.5)「患者でも自己測定できる」との回答はC34例C56.7%であった.自由記載で多かった意見として,「高齢者や視機能障害者による眼圧自己測定は困難と思う」(28例),「慣れれば眼圧自己測定は容易」(24例),「裸眼視力が悪いので位置をあわせるのが難しい」(11例)「眼圧自己測定は他者の監視下で行うほうがよい」(8例)など,があった.CIII考按緑内障診療を行ううえで眼圧日内変動を把握することは有益である.しかし,日内変動を知るためには患者を入院という非日常の環境においたうえでC24時間の眼圧測定を行わなければならず,医師にとっても患者にとっても負担を強いるため容易ではない.携帯式眼圧計による眼圧自己測定ができれば,簡便に眼圧日内変動を知ることが可能になるが,実際に緑内障患者に眼圧自己測定を行ってもらうためには使用する眼圧計の安全性,再現性,操作性と精度を検証する必要がある.さらに種々の背景因子と眼圧自己測定結果の関連を知ることは患者の眼圧自己測定の可否,結果の信憑性を評価するうえで参考となる.本研究においてアイケアCHOMEの測定値とCGATの測定値には有意な相関があったが,アイケアCHOMEの測定値はGATの測定値よりも過小評価される傾向にあった.GATとアイケアCHOMEの眼圧測定値を比較した研究は調べた限りではまだ少ない6.9).DabasiaらはC76例を対象にアイケアHOMEを用いて検者による眼圧測定と眼圧自己測定をC3回ずつ行い,GATによる眼圧測定と比較しアイケアCHOMEの眼圧自己測定値はCGATの測定値よりもC0.3CmmHg過小評価であったと報告している6).Termuhlenらは緑内障患者を含むC154例を対象にアイケアCHOME,アイケアCONEを用いた医師による眼圧測定と患者による眼圧自己測定,GATによる眼圧測定を比較した研究で,アイケアCHOMEによる医師による眼圧測定と患者による眼圧自己測定の結果は同等で,アイケアCHOMEの医師による眼圧測定とCGATの測定結果を比較するとアイケアCHOMEはCGATよりもC0.82mmHg過小評価であったと報告している7).Noguchiらは若年健常者C43例を対象にC8.18時までC2時間ごとにアイケア,GATによる測定とアイケアCHOMEによる眼圧自己測定を行った研究で,アイケアCHOMEの眼圧自己測定値はCGATの測定値よりもC1.03CmmHgの過小評価であったと報告している8).Mudieらは緑内障患者(疑いを含む)189例を対象にアイケアによる眼圧測定とアイケアCHOMEによる眼圧自己測定,GATによる眼圧測定を行い,すべての測定が可能であった164例を解析した結果,アイケアCHOMEの眼圧自己測定値はCGATの測定値よりもC0.33CmmHgの過小評価であったと報告している9).眼圧測定値の差は報告によって異なるが,これまでのところアイケアCHOMEの眼圧測定値はCGATの眼圧測定値よりも過小評価であるという点は一致しており,本研究結果も既報と同様であった.アイケアCHOMEの測定値がCGATの測定値よりも過小評価となる一因として,プローブが角膜中央に正確にあたっていなかった可能性がある.アイケアCHOMEの測定ボタンはアイケアと異なり図1に示したように本体の上方に位置している.タッチ式ではないためボタンを押すために力を加えた際に本体の保持が不安定であると,本体ごとプローブが下方に移動する.それによりプローブが角膜中央にあたらず,プローブと角膜の距離も変わるため反跳に変化が生じたと考えた.アイケアCHOMEの眼圧自己測定値の再現性では,平均変動幅は左眼が有意に大きく,平均変動係数は左右差があり,測定エラーの回数は左眼が有意に多かった.Mudieらは,アイケアCHOMEでC3回眼圧自己測定を行い,変動係数は最初のC2回の測定ではC7.02%,3回すべての測定ではC8.20%であったと報告しており9),本研究のほうが変動係数は高かった.Mudieらの研究は対象がC1例C1眼で,測定回数も異なるため一概に比較はできないが,Mudieらの研究でC2回の測定よりもC3回の測定で変動係数が高くなっていたこと,本研究の測定回数がC5回であったことから,本研究における変動係数は右眼についてはCMudieらの研究とほぼ同等と推察された.左眼の再現性が低く測定エラーが多い要因としては,左眼の測定時に機器保持が不安定になりやすいことが考えられた.本研究では測定時のアイケアCHOMEの把持は各被験者に一任したため,右眼は右手,左眼は左手で把持,両眼とも利き手で把持,両眼とも両手で把持など被験者により異なったため角膜中央にプローブが正確にあたっていなかった症例もあったと考えられた.また,優位眼が右眼の場合に左眼の位置決めが不正確になることも一因と考えられた.本研究では調査しなかったが,今後は優位眼と測定エラーの関連についても検討する必要がある.測定エラーの回数と変動幅,測定エラーの回数と瞼裂幅,測定エラーの回数と年齢,変動幅と瞼裂幅に相関はなかった.アイケアCHOMEはプローブの先端が小さいため瞼裂幅が狭い症例でも測定が可能であることが機器の長所の一つであり,今回の結果からも瞼裂幅にかかわらず自己測定が可能であることが示唆された.変動幅と年齢では統計学的には左眼のみに有意な弱い相関があったが,左眼は測定エラー,変動が多く測定自体が右眼よりも不正確であると考えられることから信頼性に乏しいと解釈した.年齢については,比較的若年者では自己測定が可能な症例が多いと思われるが,本研究の対象は高齢者がほとんど含まれていなかったため,今後高齢者に対する調査が必要である.アイケア平均眼圧とCCCTは右眼では相関がなかったが左眼では弱い相関があったCDabasiaらの報告ではCCCTがC500μmより薄い症例ではアイケアCHOMEはCGATよりもC1.9mmHgの過小評価,500.600CμmではアイケアCHOMEはGATよりもC0.1CmmHgの過大評価,600Cμmより厚い症例ではアイケアCHOMEはCGATよりもC1.0CmmHgの過小評価となっている6).Termuhlenらの報告では右眼においてアイケアCHOMEの測定値と中心角膜厚の相関はなかったが,左眼では有意な正の相関があったとしている7).CCTとアイケアCHOMEの眼圧測定値の関連については症例数を増やしてさらに検討が必要である.アンケート調査では約C80%の症例が操作,取扱い,測定は難しくないと回答し,70%の症例が測定は難しくないと回答した.アイケアCHOMEの眼圧自己測定はCDabasiaらの報告6)ではC84%,Noguchiらの報告8)ではC86%が難しくないと回答しており本研究結果と同様であった.これらのことからアイケアCHOMEは比較的簡便に眼圧自己測定を施行できる機器であると考えられた.一方で,25%の症例は測定が怖いと回答しており,自己測定にあたっては事前に十分に練習を行って機器に慣れる必要があることも示唆された.本研究結果からアイケアCHOMEはCGATよりも過小評価であるが相関があり,比較的簡便に眼圧自己測定を可能にする携帯式眼圧計として一定レベルの有用性が期待できると考えた.しかし,左眼は変動幅が大きく測定エラー回数も多かったことから左眼の測定は課題であり,これらの原因究明と測定精度を向上させるための練習や測定の要領を見出す必要があると考えた.さらにアンケート調査でも高齢者や視機能障害者による眼圧自己測定は困難,裸眼視力が悪いので位置をあわせるのが難しい,眼圧自己測定は他者の監視下で行うほうがよいなどの意見があった.緑内障患者でC24時間眼圧自己測定を完了するにはプローブをプローブベースにセットする作業や機器の操作,測定を医療従事者の監視なしですべて患者自身が行わなければならないため.アイケアCHOMEによるC24時間眼圧自己測定の可否には裸眼視力,屈折,視野障害の程度やパターン,年齢,さらには手指の関節や筋力の状態,使用経験のない機械への苦手意識,自己測定への意欲など種々の要因を考慮しなければならないと考えられる.本研究は健常者を対象に行ったが,今後は緑内障患者を対象に自己測定を行い,さらなる検証を進めたい.利益相反:利益相反公表基準に該当なし文献1)中村誠:新しい眼圧計アイケア.あたらしい眼科C23:893-894,C20062)坂田礼:アイケア眼圧計の使い方について教えてください.あたらしい眼科27(臨増):176-178,C20103)GandhiCNG,CPrakalapakornCSG,CEL-DairiCMACetCal:IcareCONEreboundversusGoldmannapplanationtonometryinchildrenCwithCknownCorCsuspectedCglaucoma.CAmCJCOph-thalmolC154:843-849,C20124)SakamotoM,KanamoriA,FujiharaMetal:AssessmentofIcareONEreboundtonometerforself-measuringintra-ocularpressure.ActaOphthalmolC92:243-248,C20145)塩川美菜子,方倉聖基,井上賢治ほか:携帯式眼圧計アイケアCONECRによるC24時間眼圧自己測定の検討.あたらしい眼科C32:1173-1178,C20156)DabasiaCPL,CLawrensonCJG,CMurdochCIE:EvaluationCofCaCnewreboundtonometerforself-measurementofintraocu-larpressure.BrJOphthalmolC100:1139-1143,C20167)TermuhlenCJ,CMihailovicCN,CAlnawaisehCMCetCal:Accura-cyCofCMeasurementsCWithCtheCiCareCHOMECReboundCTonometer.JGlaucomaC25:533-538,C20168)NoguchiA,NakakuraS,FujioYetal:ApilotevaluationassessingCtheCeaseCofCuseCandCaccuracyCofCtheCnewCself/Chome-tonometerCIcareCHOMECinChealthyCyoungCsubjects.CJGlaucomaC25:835-841,C20169)MudieL,LaBarreS,VaradarajVetal:TheIcareHOME(TA022)studyCperformanceCofCanCintraocularCpressureCmeasuringCdeviceCforCself-tonometryCbyCglaucomaCpatients.OphthalmologyC123:1675-1684,C2016***