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難治性緑内障に対するAhmed緑内障バルブを用いたチューブシャント手術成績

2025年7月31日 木曜日

《第35回日本緑内障学会原著》あたらしい眼科42(7):898.903,2025c難治性緑内障に対するAhmed緑内障バルブを用いたチューブシャント手術成績韓昇熙木嶋理紀菊地香澄田川義晃董震宇新海晃弘石田晋北海道大学大学院医学研究院眼科学教室CSurgicalOutcomesandComplicationsofAhmedGlaucomaValveImplantationinPatientswithRefractoryGlaucomaShokiKan,RikiKijima,KasumiKikuchi,YoshiakiTagawa,DongZhenyu,AkihiroShinkaiandSusumuIshidaCDepartmentofOphthalmology,FacultyofMedicineandGraduateSchoolofMedicine,HokkaidoUniversityC目的:難治性緑内障に対するCAhmed緑内障バルブを用いたチューブシャント手術成績を検討する.対象および方法:北海道大学病院においてC2017年C12月.2023年C9月にCAhmed緑内障バルブを用いたチューブシャント手術を施行し,術後C6カ月以上の経過観察が可能だった連続症例C73例C82眼を,診療録をもとに後ろ向きに検討した.surgicalsuccessを術後C6カ月以降,眼圧がC5CmmHg以上C21CmmHg以下で推移し,観察期間中に眼内炎や光覚消失等の重篤な合併症を生じず,かつ追加の緑内障手術を施行しなかった症例と定義し,チューブ先端の挿入部位別の生存率を検討した.結果:男性C56眼,女性C26眼,手術時平均年齢はC59.5±17.8歳,平均経過観察期間はC25.5±19.5カ月だった.チューブ挿入部位は前房C10眼,毛様溝C57眼,硝子体腔C15眼だった.眼圧は術前C27.8±11.0CmmHg,術後C24カ月C13.4±4.3CmmHgと有意に低下した(p<0.01).術後C24カ月の累積生存率は全体でC86.3%,挿入部位別では前房C52.5%,毛様溝C92.4%,硝子体腔C86.7%だった.結論:難治性緑内障において,Ahmed緑内障バルブを用いたチューブシャント手術は有意に眼圧を下降させた.CPurpose:ToCinvestigateCtheCoutcomesCofCAhmedCGlaucomaValve(AGV,CNewCWorldMedical)implantationCforrefractoryglaucoma.SubjectsandMethods:Thisstudyinvolved82eyesof73glaucomapatientswhounder-wentAGVimplantationfromDecember2017toSeptember2023andwerefollowedforatleast6-monthspostop-erative.CInclusioncriteria:patientsCwithCnoCseriouscomplications(endophthalmitisCorClossCofvision)andCnoCneedCforadditionalglaucomasurgeryduringthefollow-upperiod.Results:Meanpatientageatsurgerywas59.5±17.8Cyears,andthemeanfollow-upperiodwas25.5±19.5months.TheAGVinsertionsiteswereanteriorchamber(n=10eyes),Cciliarysulcus(n=57eyes),CandCvitreouscavity(n=15eyes).CMeanCintraocularpressure(IOP)preCsur-geryCwasC27.8±11.0CmmHg,CyetC13.4±4.3CmmHgCatC24-monthsCpostoperative,Csigni.cantlylower(p<0.01).CAtC24Cmonths,thecumulativesurvivalratewas86.3%overall,andbyinsertionsitewas52.5%intheanteriorchamber,92.4%CinCtheCciliaryCsulcus,Cand86.7%CinCtheCvitreousCcavity.CConclusion:InCpatientsCwithCrefractoryCglaucoma,CAGVimplantationsigni.cantlyreducedIOP.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)42(7):898.903,C2025〕Keywords:Ahmed緑内障バルブ,眼圧下降効果,合併症,毛様溝.Ahmedglaucomavalve,IOPreductione.ect,complications,ciliarysulcus.Cはじめに高度な患者,線維柱帯切除術の成功が見込めない患者,ほかロングチューブシャント手術は緑内障に対して施行されるの濾過手術が技術的に施行困難な患者が適応とされてい濾過手術の一つであり,代謝拮抗薬を併用した線維柱帯切除る1).術が不成功に終わった患者,手術既往により結膜の瘢痕化が当施設でも上記に従い,いわゆる難治性の緑内障に対して〔別刷請求先〕韓昇熙:〒060-8648札幌市北区北C15条西C7丁目北海道大学大学院医学研究院眼科学教室Reprintrequests:ShokiKan,DepartmentofOphthalmologyFacultyofMedicineandGraduateSchoolofMedicineHokkaidoUniversity,North15West7,Kitaku,Sapporo-city060-8638,JAPANC898(114)ロングチューブシャント手術を実施している.また,当施設の患者では視野障害が後期であったり,角膜内皮細胞数が少なかったり,房水産生低下が予想されたりする例が多い.そのため,術直後の低眼圧による合併症を避けるための圧調整弁を有するCAhmed緑内障バルブ(AhmedCglaucomavalve:AGV)を使用する機会が多い.しかし,チューブの閉塞や露出,内皮障害,濾過胞瘢痕化による眼圧上昇など,術後に留意する点数が多くあり2),また報告ごとに頻度が異なる3.12)のは患者背景が異なるためと考えられる.そのため,当施設でのCAGVを用いたロングチューブシャント手術の術後成績および合併症について調査した.CI対象および方法2017年C12月.2023年C9月に北海道大学病院でCAGVを用いたチューブシャント手術を施行し,術後C6カ月以上の経過観察が可能だったC73例C82眼を対象とし,診療録をもとに後ろ向きに検討した.術後C6カ月以降に眼圧がC5CmmHg以上C21CmmHg以下で推移し,追加の緑内障手術を必要とせず,かつ術後合併症による眼内炎や光覚消失を生じなかった患者を,術後の緑内障点眼使用数にかかわらずCsurgicalsuc-cess症例と定義した.手術前後の眼圧の推移,緑内障点眼剤数の推移,術後合併症,累積生存率について検討した.緑内障点眼剤数は緑内障配合点眼薬についてはC2剤とし,炭酸脱水酵素阻害薬内服は回数を点眼とは別に計算した.術後合併症のうち一過性高眼圧については,術後C6カ月以内で緑内障点眼の有無を問わず眼圧C22CmmHg以上となり,その後眼圧が低下して追加の緑内障手術が不要だったものと定義した.チューブ先端は,無硝子体眼および硝子体手術を同時に実施する必要のある患者では硝子体腔へ,水晶体を温存する必要のある患者では前房へ,それ以外の患者では毛様溝へ挿入し,必要に応じて白内障手術を併施した.手術はCTenon.下麻酔による局所麻酔または,全身麻酔にて施行した.AGVは全例CFP7を使用し,結膜を切開後,上直筋と外直筋または下直筋と外直筋の間に留置した.チューブは原則自己強膜弁で被覆したが,線維柱帯切除術後などで強膜の菲薄がある場合は保存強膜を用いた.2022年C3月.2023年C9月の連続症例には術中にトリアムシノロンアセトニドC40Cmg後部CTenon.下注射(posteriorCsub-Tenoninjection:STTA)を原則施行したが,明らかなステロイドレスポンダーの患者には投与を避けた.また,終了時にデキサメタゾンの結膜下注射を施行した.術後点眼として抗菌薬点眼とベタメタゾン点眼を使用し,白内障手術を併施したものについては非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidalanti-in.ammatoryCdrugs:NSAIDs)点眼も併用した.また,術後の緑内障点眼追加については各担当医の判断で行われた.統計解析は眼圧や点眼剤数についてはCWilcoxonの符号付き順位検定を,累積生存率についてはClog-rank検定を,その他の検定にはC|2検定や対応のないCt検定を適宜使用し,p<0.05をもって有意差ありと判定した.本研究はヘルシンキ宣言に則り行われ,北海道大学病院倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号CNo.016-0056).診療録を用いた後ろ向き研究のため,インフォームド・コンセプトはオプトアウトによって取得された.CII結果男性C56眼,女性C26眼,手術時平均年齢はC59.5C±17.8歳,平均経過観察期間はC25.5C±19.5カ月だった.緑内障病型は,広義の原発開放隅角緑内障がC35眼(42.7%),血管新生緑内障がC14眼(17.1%),ぶどう膜炎続発緑内障・落屑緑内障がともにC7眼(8.5%)ずつ,アトピー性緑内障・小児緑内障がともにC5眼(6.1%)ずつ,外傷緑内障がC3眼(3.7%),その他のものがC3眼(3.7%)であった.過去の内眼手術の平均回数はC2.5C±1.0(0-5)回で,うち緑内障手術については平均C1.8±1.1(0-5)回であった.眼圧の変化・緑内障点眼剤数の変化を図1に示す.術前平均眼圧はC27.8C±11.0CmmHg,術後平均眼圧はC6カ月C15.8C±6.7mmHg,12カ月C14.4C±5.1CmmHg,24カ月C13.4C±4.3CmmHg,36カ月C13.2C±3.4CmmHg,48カ月C14.9C±4.0CmmHg,60カ月C16.7±5.8CmmHgと下降し,観察期間中どの観察時点でも有意な低下を認めた.緑内障点眼剤数については,術前平均C3.8±0.9であり,術後C36カ月までのすべての時点で術前と比較し有意に低下したが,42カ月以降は有意差がなかった.炭酸脱水酵素阻害薬の内服については,術前はC1日あたり平均C1.3C±1.1錠だったが,術後は内服を必要とした患者はいなかった.全体の累積生存率は,術後C6カ月でC93.9%,12カ月で90.5%,24カ月でC86.3%,36カ月でC81%,60カ月でC57.8%だった(図2a).チューブの挿入部位は,毛様溝へ挿入した患者がC57眼(69.5%)ともっとも多く,ついで硝子体腔がC15眼(18.3%),前房がC10眼(12.2%)であった.チューブ先端の挿入部位別の累積生存率は図2bのとおり有意差がみられ(log-rank検定,p=0.01),術後6,12,24,36,48,60カ月は挿入部位別でそれぞれ前房C70.0%,52.5%,52.5%,52.5%,52.5%,52.5%,毛様溝C100%,98.0%,92.4%,85.3%,85.3%,68.2%,硝子体腔C86.7%,86.7%,86.7%,86.7%,86.7%,0%であった.術後合併症の種類・割合は表1のとおりとなり,一過性の高眼圧がC40眼(48.8%)ともっとも多くみられた.また,重篤な合併症として駆逐性出血,水疱性角膜症が各C1眼ずつ生mmHg剤数***p<0.001,**p<0.01,*p<0.05(mean±SD)505303202*404101*************************00術前136121824303642485460カ月n=82n=60n=42n=38n=29n=21n=14n=12n=10n=9Wilcoxonの符号付き順位検定.図1術後眼圧・緑内障点眼剤数の変化左軸が眼圧,右軸が点眼剤数,下方に症例数(n).どの観察時点でも眼圧は術前と比較し有意な低下をした.緑内障点眼剤数は,術後C36カ月までは術前と比較して有意に低下したが,42カ月以降は有意差がなかった.Cab100%100%80%80%生存率生存率20%20%0%0%60%60%40%40%01224生存期間(月)生存期間(月)log-rank検定,p=0.01図2累積生存率a:全症例,Cb:チューブ挿入部位別.術後C24カ月で全体C86.3%,挿入部位別で前房C52.5%,毛様溝C92.4%,硝子体腔C86.7%で部位別では有意差がみられた.じ,駆逐性出血を起こした眼が光覚消失し,水疱性角膜症を生じた眼は,後に全層角膜移植を行い視力は改善した.術中にCSTTAを施行したものがC21眼,施行しなかったものがC61眼であった.その患者の内訳を表2に示す.施行時期の選定の違いにより,経過観察期間は有意にCSTTA施行眼が短かった.手術時年齢もCSTTA施行眼が有意に若年であった.チューブ先端の挿入部位も有意差があり,STTA施行眼は施行しなかった眼よりも硝子体腔に挿入した割合が高かったが,挿入位置として一番多いのは毛様溝だった(それぞれC52%,75%).一過性高眼圧がみられたのはそれぞれ12眼(57.1%),28眼(45.9%)であり,STTA施行の有無と一過性高眼圧に有意な関連性はみられなかった(C|2検定,Cp=0.37).一過性高眼圧の発症時期はCSTTAを施行した眼でC2.4C±1.5カ月,STTAを施行しなかった眼でC1.6C±1.0カ月とCSTTA施行した眼でやや遅い傾向はあるものの,有意差はみられなかった(対応のないCt検定,p=0.056).またそのときの最高眼圧についてもそれぞれ平均C31.4C±13.0mmHg,31.2C±5.5CmmHgと有意差はなかった(対応のないt検定,p=0.94).累積生存率についても図3に示すとおり有意差はみられなかった(log-rank検定,p=0.90).表1術後合併症の発生症例数術後合併症発生症例数一過性の高眼圧(2C2CmmHg以上)チューブ先端の位置不良(挿入しなおした症例)インプラントの露出(追加の結膜縫合,または強膜パッチを実施した症例)40眼(C48.8%)4眼(4C.9%)3眼(3C.7%)複視の自覚2眼(2C.4%)駆逐性出血1眼(1C.2%)水疱性角膜症1眼(1C.2%)光覚消失1眼(1C.2%)表2STTA施行あり/なしの症例の内訳STTA施行あり20例21眼STTA施行なし54例61眼p値経過観察期間C10.9±6.4カ月C24.1±13.2カ月<C0.001***手術時年齢C52.8±21.8歳C61.7±15.8歳C0.05*性別男15眼(71%)41眼(67%)C0.72女6眼(29%)20眼(33%)チューブ先端位置前房2眼(10%)8眼(13%)C0.02*毛様溝11眼(52%)46眼(75%)硝子体腔8眼(38%)7眼(12%)術前平均眼圧(mmHg)C31.9±11.1CmmHgC27.6±10.0CmmHgC0.07過去の内眼手術回数(うち緑内障手術回数)C2.3±1.3回(C1.7C±1.2回)C2.6±1.0回(C1.9C±1.0回)C0.23C0.57術前緑内障点眼剤数C4.0±0.8回C3.7±0.9回C0.09術前炭酸脱水酵素阻害薬内服数C1.5±1.1錠/日C1.3±1.1錠/日C0.67III考按今回の患者の術前の緑内障手術の既往は平均C1.8C±1.1回であり,多くの患者は代謝拮抗薬を併用した線維柱帯切除術を施行したが,良好な眼圧下降が得られなかったことが推測できる.複数回の代謝拮抗薬を併用した線維柱帯切除術が不奏効であった患者が多かったにもかかわらず,今回累積生存率はC2年でC86.3%であり,AGVを用いたチューブシャント手術は難治性の緑内障に対してよい適応であると考える.わが国での既報では,豊田ら3)が血管新生緑内障に対する手術成績を報告しており,過去の緑内障手術回数が平均C3回程度とかなり難治性の患者が対象だったが,術後C2年の累積生存率はC71.4.83.3%と,今回の検討同様に良好な結果であった.海外からの報告は緑内障手術既往があるものが半数を超える報告7)もあるが,半数未満からC2割程度のものが多く4.6,8.11),なかにはC9割が緑内障初回手術のもの6)もあり,対象患者が大きく異なることが推測される.また,今回チューブの挿入部位別に検討したところ,毛様溝へのチューブ挿入症例の生存率が良好な結果となった.既報では前房と毛様溝4,5),あるいは前房と硝子体腔6)へのチューブ挿入例を比較し,術後眼圧や累積生存率には有意差がないことが報告されている.今回の検討では,挿入部位により患者の年齢や緑内障の病型などの疾患背景の偏りが大きく,単純な比較はむずかしいと考える.前房へのチューブ挿入は,毛様溝と比較すると術後の角膜内皮細胞の減少率が大きいことが知られており5),また,硝子体腔への挿入は硝子体の郭清が必要である.毛様溝へのチューブ挿入は,手技の煩雑さや前房出血・誤挿入のリスクはある4,5)ものの,今回は追加の硝子体手術が必要なほど出血が遷延した患者はなかった.このことからも,硝子体手術未実施の患者に対しては,毛様溝へのチューブ挿入はよい適応であると考えられる.AGVを用いたチューブシャント手術の合併症として頻度が高く,治療上問題となるものが一過性の高眼圧である.こ100%80%60%40%STTAありSTTAなし20%0%01224364860生存期間(月)log-rank検定,p=0.90図3STTA施行の有無と累積生存率STTA施行あり群となし群で累積生存率に有意差はみられなかった.生存率れはプレート周囲組織が炎症細胞やサイトカインに曝露することで,術後数週.数カ月に発症する眼圧上昇といわれており2),頻度はC23.4.73.2%C7.11)と報告によるばらつきが大きい.今回はC48.8%であり,既報と同程度と考えられた.一過性高眼圧を抑制する手段として術中のトリアムシノロンアセトニドの後部CTenon.下注射の報告7,8)があったため,2022年C3月.2023年C9月までのステロイドレスポンダーの既往がある症例を除く連続症例にトリアムシノロンアセトニドの後部CTenon.下注射を施行したが,施行した群と施行しなかった群で,一過性高眼圧期発症の頻度や最高眼圧,累積生存率には有意差はみられなかった.既報7,8)では一過性高眼圧の頻度をC2.3割に抑え,発症までの時期を遅らせたり7),最高眼圧を低下させたり8)することが報告されているが,累積生存率やC6カ月以降の眼圧や点眼数には有意差がないとされている.今回の患者で一過性高眼圧の頻度が低下しなかった原因の一つは,施行した群としなかった群で年齢に有意差があり,施行群のほうが若年だったため,術後発症のステロイドレスポンダーが混在した可能性が考えられた.また,手術時の年齢が若年であることがリスク因子であるとの報告10)もあり,今後年齢をそろえての比較が必要と考えられた.今回術後の緑内障点眼追加については,各担当医の判断に委ねられており,統一基準がなかったが,術後早期の緑内障点眼追加による房水産生抑制が一過性高眼圧抑制に効果的という報告11)もあり,点眼の基準を揃えての検討も必要である.その他の合併症として,術後眼内炎がなく,駆逐性出血による光覚消失がC1例だけだった.難治性の患者が多かったが,重篤な合併症が少なかった.この点からも難治性の症例に適した術式であると考えられた.また,複視の自覚についてはC2例だけであるが,中心視野が障害されている患者も多いため,実際に眼球運動障害が出現していた患者はもっと多いことが推測される.Robbinsら12)はC4%程度に斜視が出現することを報告しており,斜視が出現した患者は若年で,視力が良好であったと報告している.今後の適応拡大によって,より若年で視機能良好である眼が対象になった場合,術前のインフォームドコンセントが重要となる.CIV結論難治性緑内障に対するCAGVを用いたロングチューブシャント手術は有効である.また,硝子体手術が未実施の患者に対しては,毛様溝へのチューブ挿入がよい適応である.術後合併症として,一過性高眼圧や複視には注意が必要である.利益相反:利益相反公表基準に該当なし文献1)日本緑内障学会緑内障診療ガイドライン改訂委員会:緑内障診療ガイドライン(第C5版).日眼会誌C126:85-177,C2022C2)浪口孝治:チューブシャント手術の術後管理.眼科手術C37:35-38,C20243)豊田泰大,徳田直人,塚本彩香ほか:血管新生緑内障に対する緑内障チューブシャント術(プレートのあるもの)の中期成績.あたらしい眼科39:1539-1543,C20224)BayerA,OnolM:ClinicaloutcomesofAhmedglaucomavalveCinCanteriorCchamberCversusCciliaryCsulcus.CEye(Lond)31:608-614,C20175)KimCJY,CLeeCJS,CLeeCTCetal:CornealCendothelialCcellCchangesandsurgicalresultsafterAhmedglaucomavalveimplantation:ciliarysulcusversusanteriorchambertubeplacement.SciRepC11,C12986,C20216)QinCVL,CKaleemCM,CContiCFFCetal:Long-termCclinicalCoutcomesCofCparsCplanaCversusCanteriorCchamberCplace-mentCofCglaucomaCimplantCtubes.CJCGlaucomaC27:440-444,C20187)TuralbaAV,PasqualeLR:HypertensivephaseandearlycomplicationsCafterCAhmedCglaucomaCvalveCimplantationCwithintraoperativesubtenontriamcinoloneacetonide.ClinCOphthalmolC11:1311-1316,C20148)YazdaniS,DoozandehA,PakravanMetal:AdjunctiveTriamcinoloneCAcetonideCforCAhmedCGlaucomaCValveImplantation:ARandomizedClinicalTrial.EurJOpthal-molC27:411-416,C20179)Nouri-MahdaviK,CaprioliJ:Evaluationofthehyperten-siveCphaseCafterCinsertionCofCtheCAhmedCglaucomaCvalve.CAmJOphthalmolC136:1001-1008,C200310)OzalpCO,C.lguyCS,CAtalayCECetal:RiskCfactorsCforC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