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緑内障患者の視覚障害による身体障害者手帳実態調査 2024 年版

2026年6月30日 火曜日

《第36回.日本緑内障学会.原著》あたらしい眼科43(6):686.690,2026c緑内障患者の視覚障害による身体障害者手帳実態調査2024年版小笠原涼*1井上賢治*1塩川美菜子*1鶴岡三惠子*1國松志保*2溝田淳*2富田剛司*1,3石田恭子*3*1井上眼科病院*2西葛西・井上眼科病院*3東邦大学医療センター大橋病院SurveyoftheCurrentStatusofVisualImpairmentCertificationApplicationsforGlaucomaPatientsin2024RyoOgasawara1),KenjiInoue1),MinakoShiokawa1),MiekoTsuruoka1),ShihoKunimatsu-Sanuki2),AtsushiMizota2),GojiTomita1,3)andKyokoIshida3)1)InouyeEyeHospital,2)NishikasaiInouyeEyeHospital,3)DepartmentofOphthalmology,TohoUniversityOhashiMedicalCenter目的:視覚障害による身体障害者手帳(以下,手帳)を申請した緑内障患者の身体障害者手帳の実態について検討した.対象および方法:2024年1.12月に井上眼科病院および西葛西・井上眼科病院で手帳申請を行った緑内障126例を対象とした.緑内障病型,視覚障害等級,視野測定方法を後ろ向きに調査した.2021年の前回調査の結果と比較した.結果:病型は原発開放隅角緑内障76例(60.3%),続発緑内障23例(18.3%)などだった.視覚等級は1級14例(11.1%),2級74例(58.7%),3級1例(0.8%),4級8例(6.3%),5級29例(23.0%)であり,病型,等級は前回調査と差はなかった.視野測定はGoldmann視野計(50例,39.7%)と自動視野計(75例,59.5%)を用いており,自動視野計での手帳申請の割合が前回調査より有意に増加した(p<0.01).結論:手帳申請者の緑内障病型は原発開放隅角緑内障が最多だった.視覚障害等級は1級と2級で約7割を占めた.視野測定は自動視野計が多く,経年変化では増加していた.Purpose:Tosurveyandassessthecurrentstatusofvisualimpairmentcerti.cationapplicationsforglaucomapatientsin2024.Methods:Weretrospectivelyanalyzed126glaucomapatientswhoappliedforaphysicaldisabili-tycerti.cateatInouyeEyeHospitalorNishikasai-InouyeEyeHospitalbetweenJanuaryandDecember2024.Glau-comatype,visualdisabilitygrade,andvisual.eld(VF)measurementmethodswereexaminedandcomparedwiththe.ndingsinthe2021survey.Results:Primaryopen-angleglaucoma(POAG)wasthemostcommonglaucomatype(60.3%),followedbysecondaryglaucoma(18.3%).VisualdisabilitygradeswereGrade1in11.1%,Grade2in58.7%,Grade3in0.8%,Grade4in6.3%,andGrade5in23.0%.VFassessmentwasperformedusingtheGold-mannperimeterin39.7%andautomatedperimetryin59.5%.Nosigni.cantdi.erencewasobservedinglaucomatypeordisabilitygradecomparedwiththe2021.ndings.However,certi.cationbasedonautomatedperimetryhadincreasedsigni.cantly(p<0.01).Conclusion:Inthissurvey,POAGwasthemostcommonglaucomatypeobserved.AutomatedperimetryhadincreasinglybeenusedforVFassessment,and70%oftheapplicationswereclassi.edasvisualdisabilityGrade1or2.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)43(6):686.690,2026〕Keywords:緑内障,視覚障害,身体障害者手帳,視野計,視野障害等級.glaucoma,visualimpairment,physical-lydisabilitycerti.cate,perimeter,visualdisabilitygrade.はじめにを対象とした多治見スタディでは40歳以上の5.0%で,年緑内障は視覚障害による身体障害者手帳(以下,手帳)認齢とともに有病率は上昇していた2).そこで手帳に該当する定者の原因疾患の第一位である1).緑内障の有病率は日本人緑内障患者の実態を知り,対策をとることは今後の失明予防〔別刷請求先〕小笠原涼:〒101-0062東京都千代田区神田駿河台4-3井上眼科病院Reprintrequests:RyoOgasawara,M.D.,InouyeEyeHospital,4-3Kanda-Surugadai,Chiyoda-ku,Tokyo101-0062,JAPAN686(92)今回調査(126例)前回調査(153例)原発閉塞隅角緑内障発達緑内障(1例,0.8%)原発閉塞隅角緑内障発達緑内障(2例,1.3%)(4例,3.2%)(5例,3.3%)図1緑内障病型の比較有意差なし(χ2検定).の観点から重要である.緑内障にはさまざまな病型があり,病型により重症度や進行速度に差があり,緑内障による手帳該当者にも違いがある可能性がある.そこで筆者らは井上眼科病院と西葛西・井上眼科病院において2015年3),2021年4)に手帳申請を行った緑内障患者の実態を調査・報告した.手帳認定基準は2018年4月27日に厚生労働省から「身体障害者福祉法施行規則等の一部を改正する省令」が公布され,視野障害は従来のGoldmann視野計に加えて自動視野計も使用可能となった.筆者らの2021年の調査(以下,前回調査)4)では,視野障害の認定はGoldmann視野計60.1%,自動視野計39.9%で,依然としてGoldmann視野計が多かった.今回,前回調査4)より3年間が経過したので再度同様の調査を行った.さらに前回調査4)の結果と比較し,経年変化もあわせて検討した.I対象および方法2024年1.12月に井上眼科病院および西葛西・井上眼科病院に通院中の緑内障患者で,同時期に手帳申請を行った126例(男性74例,女性52例)を対象として後ろ向きの観察研究を行った.対象の年齢は24.94歳で,平均年齢は70.8±12.8(平均±標準偏差)歳であった.手帳申請時の緑内障病型,視覚障害等級,視力障害等級,視野障害等級,視野検査方法(Goldmann視野計,自動視野計)を身体障害者診断者・意見書の控えおよび診療記録より調査した.緑内障病型別に視覚障害等級を,視野検査方法別に視野障害等級を比較した.さらに前回調査4)と緑内障病型,視覚障害等級,視力障害等級,視野障害等級を比較した.視野検査ではGoldmann視野計あるいは自動視野計のどちらを使用するかは視野障害を評価する医師の判断で選択した.統計学的検討は患者背景の年齢の比較には対応のないt検定,男女比,緑内障病型,視覚障害等級,視力障害等級,視野障害等級の比較にはχ2検定,Fisherの直接法を用いた.有意水準はp<0.05とした.なお,緑内障病型は続発緑内障の原因が多岐にわたっていたため合算し,原発開放隅角緑内障,正常眼圧緑内障,原発閉塞隅角緑内障,続発緑内障,発達緑内障の5群として検討した.本研究は井上眼科病院の倫理審査委員会で承認を得た.研究情報を院内掲示などで通知・公開し,研究対象者などが拒否できる機会を保証した.II結果緑内障病型は原発開放隅角緑内障76例(60.3%),続発緑内障23例(ぶどう膜炎10例,落屑緑内障10例,血管新生緑内障2例,ステロイド緑内障1例)(18.3%),正常眼圧緑内障22例(17.5%),原発閉塞隅角緑内障4例(3.2%),発達緑内障1例(0.8%)であった(図1).視覚障害等級は1級14例(11.1%),2級74例(58.7%),3級1例(0.8%),4級8例(6.3%),5級29例(23.0%),6級0例(0%)であった(図2).視力障害での申請は56例,視野障害での申請は125例で,重複申請は55例あった.視力障害の等級内訳は1級2例(3.6%),2級5例(8.9%),3級7例(12.5%),4級17例(30.4%),5級8例(14.3%),6級17例(12.5%)で,視野障害の等級内訳は2級88例(70.4%),3級1例(0.8%),4級1例(0.8%),5級35例(28.0%)であった(表1)視野障害等級と視野検査方法に差はなかった(p=0.5767).視野検査方法は,Goldmann視野計50例(39.7%),自動視野計75例(59.5%)であった(図3).視野障害等級は今回調査(126例)前回調査(153例)3級(1例,0.8%)表1視野障害等級と視野検査方法等級今回調査前回調査視力障害1級2(1.6%)0(0.0%)2級5(4.0%)88(69.8%)3級7(5.6%)1(0.8%)4級17(13.5%)1(0.8%)5級8(6.3%)35(27.8%)6級17(13.5%)0(0.0%)なし70(55.6%)1(0.8%)1級0(0.0%)0(0.0%)2級88(69.8%)94(61.4%)視野障害3級1(0.8%)3(2.0%)4級1(0.8%)0(0.0%)5級35(27.8%)56(36.6%)6級0(0.0%)0(0.0%)なし1(0.8%)0(0.0%)Goldmann視野計では2級42例(84.0%),5級8例(16.0%),自動視野計では2級46例(61.3%),3級1例(1.3%),4級1例(1.3%),5級27例(36.0%)であった(表2).視野検査の種類による視野等級に差はなかった(p=0.05).前回調査4)の緑内障病型は原発開放隅角緑内障83例(54.2%),続発緑内障34例(ぶどう膜炎14例,落屑緑内障14例,ステロイド緑内障3例,血管新生緑内障2例,角膜移植後1例)(22.2%),正常眼圧緑内障29例(19.0%),原発閉塞隅角緑内障5例(3.3%),発達緑内障2例(1.3%)であった(図1).視覚障害等級は1級19例(12.4%),2級77例(50.3%),3級4例(2.6%),4級12例(7.8%),5級41例(26.83級(4例,2.6%)図2視覚障害等級の比較有意差なし(χ2検定).%),6級0例(0%)であった(図2).今回調査と前回調査4)との比較では,緑内障病型は同等(p=0.82),視覚障害等級も同等(p=0.58)であった.視野検査方法は,前回調査4)でGoldmann視野計92例(60.1%),自動視野計61例(39.9%)で,今回調査では前回調査4)に比べて自動視野計の割合が有意に増加した(p<0.01).III考按手帳認定者の全国規模の疫学調査が2019年4月.2020年3月の患者を対象に行われた1).原因疾患は緑内障(40.7%),網膜色素変性(13.0%),糖尿病網膜症(10.2%),黄斑変性(9.1%)の順だった.2024年度の筆者らの施設の調査5)では原因疾患は緑内障(54.3%),網膜色素変性(14.7%),黄斑変性(9.1%),視神経症(6.9%)の順だった.2021年1.12月に行った調査4)と比較すると緑内障が最多であることには変わりないが,2024年調査5)では緑内障の割合が有意に増加した.獨協医科大学埼玉医療センターの安蘇らの報告でも,2013.2015年の3年間と2020.2022年の3年間を比較したところ,原因疾患として緑内障が増加傾向にあった6).その要因として,緑内障は加齢とともに有病率が上昇する7)ため,社会の高齢化に伴い患者が増加して重症例も増加することが考えられる.また,加齢黄斑変性や糖尿病網膜症では抗血管内皮増殖因子(vascularendothelialgrowthfactor:VEGF)薬や硝子体手術の進歩により重症例が減少したことも考えられる.そこで,前回調査4)より3年間が経過したため今回手帳を申請した緑内障患者の実態を調査した.さらに前回調査4)の結果と比較した.緑内障病型は今回調査と前回調査4)で順位は原発開放隅角緑内障,続発緑内障,正常眼圧緑内障の順で割合に差はなか該当なし今回調査(126例)前回調査(153例)(1例,0.8%)図3視覚障害等級の比較*p<0.05(χ2検定).った.外来を受診した緑内障患者の実態調査では,緑内障病型は正常眼圧緑内障45.6%,原発開放隅角緑内障33.1%,続発緑内障7.8%などであった8).今回調査の緑内障病型が原発開放隅角緑内障60.3%,続発緑内障18.3%,正常眼圧緑内障17.5%などであり,過去の報告8)と比較すると今回調査では原発開放隅角緑内障と続発緑内障が多い傾向だった.緑内障進行リスクとして高眼圧,とくに眼圧変動や経過中の平均眼圧が高いことがあげられている7).眼圧が高い原発開放隅角緑内障,眼圧変動が大きい続発緑内障が重症化しやすい可能性がある.視覚障害等級は1級と2級を合わせて今回調査では69.8%,前回調査4)では62.7%であった.緑内障の手帳申請者は依然として重症例が多いことが明らかとなった.視野障害等級は前回調査4)と比較して変化がなかった.手帳申請の視野検査方法は2018年の改定から自動視野計が利用可能となったが,自動視野計の使用割合が前回調査4)39.9%よりも今回調査59.5%では有意に増加した(p<0.05).今回調査の全症例での検討5)でもGoldmann視野計が有意に減少し,自動視野計が有意に増加した(p<0.01).自動視野計は緑内障が網膜色素変性,網脈絡膜萎縮,糖尿病網膜症に比べて有意に多く使用されていた5).視野障害判定に自動視野計が使用可能となったことは緑内障患者にとって視野障害認定の面では有益であった可能性がある.視野障害等級は,Goldmann視野計は2,5級のみ,自動視野計は2,3,4,5級の症例が存在し,自動視野計はGoldmann視野計よりも詳細に視野障害の評価ができる可能性がある.一方で,今回調査では前回調査4)に比較して緑内障による手帳申請者の件数は減少していた.近年,緑内障分野の新規配合点眼薬(ブリモニジン/リパスジル配合点眼薬,2022年上市)や,低侵襲緑内障手術(microinvasiveglaucomasur-gery:MIGS)としてiStent,KahookDualBlade,谷戸式表2今回調査と前回調査との視力障害等級,視野障害等級の比較視野障害等級自動視野計Goldmann視野計(GP)2級46423級104級105級278合計75(59.5%)50(39.7%)マイクロフックロトミー,TrabExなどが導入され治療選択肢が拡大している.これらの新規の点眼薬や手術の効果のために重症例に至る症例が減少した可能性がある.今後も治療の進歩や啓発活動の普及により,緑内障患者がより早期に診断される可能性が高まり,その結果として重症例の割合や病型分布に変化が生じる可能性がある.今後も注意深い経過観察が必要である.本論文は第36回日本緑内障学会で発表した.利益相反:利益相反公表基準に該当なし文献1)MatobaR,MorimotoN,KawasakiRetal:Anationwidesurveyofnewlycerti.edvisuallyimpairedindividualsinJapanforthe.scalyear2019:impactoftherevisionofcriteriaforvisualimpairmentcerti.cation..JpnJOphthal-mol67:346-352,20232)鈴木康之,山本哲也,新家眞ほか:日本緑内障学会多治見疫学調査(多治見スタディ)総括報告.日眼会誌112:1039-1058,20083)比嘉利沙子,井上賢治,永井瑞希ほか:緑内障患者の視覚障害による身体障害者手帳申請の実態調査(2015年度版)..あたらしい眼科.34:1042-1045,20174)正井智子,井上賢治,塩川美菜子ほか:緑内障患者の視覚障害による身体障害者手帳実態調査2021年版.あたらしい眼科.40:958-962,20235)井上賢治,鶴岡三恵子,天野史郎ほか:眼科専門病院における視覚障害による身体障害者手帳の申請(2024年).眼臨紀19:92-97,20266)安蘇谷浩乃,相馬睦,杉谷邦子ほか:眼科における身体障害者手帳申請の現況と過去との比較.日本ロービジョン学会誌.24:41-44,20247)日本緑内障学会緑内障診療ガイドライン作成委員会:緑内障診療ガイドライン(第5版).日眼会誌126:85-177,20228)小林大航,井上賢治,塩川美菜子:多施設における緑内障実態調査2024年版―薬物治療―.あたらしい眼科42:881-886,2025***

2つの視野計による新しい視野障害等級判定─緑内障による検討─

2021年1月31日 日曜日

《原著》あたらしい眼科38(1):97.101,2021c2つの視野計による新しい視野障害等級判定─緑内障による検討─石井雅子*1,2間聡美*2末武亜紀*2福地健郎*2*1新潟医療福祉大学医療技術学部視機能科学科*2新潟大学大学院医歯学総合研究科生体機能調節医学専攻感覚統合医学講座視覚病態学分野NewVisualFieldImpairmentClassDeterminationUsingTwoPerimeters:ConsiderationDuetoGlaucomaMasakoIshii1,2)C,SatomiAida2),AkiSuetake2)andTakeoFukuchi2)1)DepartmentofOrthopticsandVisualSciences,FacultyofMedicalTechnology,NiigataUniversityofHealthandWelfare,2)DivisionofOphthalmologyandVisualScience,GraduatedSchoolofMedicalandDentalSciences,NiigataUniversityC緑内障患者C65例のCGoldmann型視野計と自動視野計による視野障害等級について検討した.Goldmann型視野計での周辺視野角度,両眼中心視野角度と,自動視野計での両眼開放CEstermanテスト視認点数,10-2プログラム両眼視認点数を求めて視野障害等級判定を実施した.Goldmann型視野計での周辺視野角度が両眼ともにC80°以下の群では,6例全例(100.00%)が異級となった.一眼のみがC80°以下の群では,同級がC14例(46.67%),異級がC16例(53.33%),両眼ともに81°以上の群では,同級が19例(65.52%),異級が10例(34.48%)であった.二つの視野計での視野障害等級は,視野の残存状態,視覚特性,測定原理や検査条件の違いから乖離が生じる.このことに医療者は留意する必要がある.CPurpose:Toinvestigatethevisual.eldimpairmentgradeof65glaucomapatientsusingaGoldmannperime-terCandCautomaticCperimeter.CPatientsandmethods:ThisCstudyCinvolvedC65CglaucomaCpatientsCinCwhomCtheCperipheralvisual.eldangleandbinocularcentralvisual.eldangleweremeasuredusingtheGoldmannperimeter,andinwhomthebinocularopenEstermantestvisualrecognitionscoreand10-2programbinocularvisualrecogni-tionscorewithautomaticperimeterwerecalculatedtodeterminethevisual.eldimpairmentgrade.All65patients(100%)CweregradedwhentheGoldmannperimeterperipheralvisualanglewas80°Corlessinbotheyes.Whentheperipheralvisualanglewas80°Corlessinonlyoneeye,therewere14casesthatshowedthesamegrade(46.67%)CandC16CcasesCthatCshowedCdi.erentgrades(53.33%)C.CWhenCtheCperipheralCvisualCangleCwasC81°CorCmoreCinCbothCeyes,therewere19casesthatshowedthesamegrade(65.52%)and10casesthatshoweddi.erentgrades(34.48%).Conclusion:Ophthalmologyspecialistsshouldkeepawareofthefactthatthevisual.eldimpairmentgradesofCtheCtwoCperimetersCcanCdi.erCdueCtoCtheCresidualCstateCofCtheCvisualC.eld,CvisualCcharacteristics,CmeasurementCprinciples,andtheconditionsthatexistwhentheexaminationsareperformed.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)C38(1):97.101,2021〕Keywords:視覚障害認定基準,視野障害等級,緑内障性視野障害,ゴールドマン型視野計,自動視野計.visualCimpairmentcerti.cationstandards,visual.eldimpairmentgrade,glaucomatousvisual.elddisorder,Goldmannpe-rimeter,automaticperimeter.Cはじめにしく低下し,その結果としてCactivityCofdailyCliving(ADL)緑内障は慢性進行性の視野障害をきたす代表的な疾患であも低下する.視野障害が進行した緑内障患者では読書,運る.視野障害の進行に伴い患者のCqualityoflife(QOL)は著転,移動の障害,認知能力の低下やうつを発症することも報〔別刷請求先〕石井雅子:〒950-3198新潟市北区島見町C1398新潟医療福祉大学医療技術学部視機能科学科Reprintrequests:MasakoIshii,CPh.D.,DepartmentofOrthopticsandVisualSciences,FacultyofMedicalTechnology,NiigataUniversityofHealthandWelfare,1398Shimami-cho,Kita-ku,Niigata950-3198,JAPANC表1新しい身体障害者認定基準(視野障害)(文献C5より一部改変)Goldmann型視野計自動視野計I-4視標I-2視標両眼開放CEsterman視認点数プログラムC10-2両眼中心視野視認点数2級両眼中心視野角度C28°以下70点以下20点以下3級周辺視野角度が両眼ともにC80°以下両眼中心視野角度C56°以下40点以下4級5級両眼による視野が2分のC1以上欠損100点以下両眼中心視野角度C56°以下40点以下告されている1.3).わが国では,超高齢化に伴い緑内障患者が増加している4).視覚機能の低下した緑内障患者のCQOLを守るためには,社会資源を活用してCQOLの低下を防ぐことが重要である.視機能障害を対象とした補装具などの購入費用の補助やヘルパー派遣などのサービスを利用するには,身体障害者手帳の取得が条件となる.そのため,患者の視機能を身体障害者手帳の基準に照らして判定することが必要である.2018年C7月より新しい身体障害者手帳(視覚障害)の障害認定基準が施行された5).視野障害については,従来はCGold-mann型視野計での基準で認定されていたが,新基準では,Goldmann型視野計に加えて自動視野計による認定基準も設けられた.緑内障診療では古くからCGoldmann型視野計が用いられてきたが,Goldmann型視野計は視野全体を把握できるという利点をもつ一方で,検者の技量に左右され客観性に欠くことから,視野の定量には不向きである.近年では視野の定量性に優れ,検者の技量の影響を受けにくいコンピューター制御された自動視野計が広く普及している.しかし日常診療において,二つの視野計で視野障害等級判定の結果に違いがでることをしばしば経験する.今回筆者らは,Goldmann型視野計および自動視野計における視野障害等級判定を比較し,若干の知見を得たので報告する.CI対象および方法本研究は,視力および視野測定の結果を診療録から調査した後ろ向き研究である.ヘルシンキ宣言に従い,新潟大学倫理審査委員会の承認(承認番号:2019-0273)を得て実施された.対象は,2008年C11月.2019年C10月のC11年間に新潟大学医歯学総合病院を受診した緑内障患者のうち,Goldmann視野計(タカギセイコー)(以下,GP)での動的視野検査およびCHumphrey視野計(CarlCZeissMeditec)(以下,HFA)での両眼開放CEstermanテスト(以下,両眼CES)とプログラムC10-2(以下,10-2)を施行したC65例である.GPとCHFAの施行間隔はC6カ月以内とし,その間に病状の変化がみられた者および緑内障以外の視力および視野に影響する眼疾患を重複している者は除外した.C1.患者背景男性C33例,女性C32例,平均年齢C63.7C±12.3歳である.緑内障の病型は原発開放隅角緑内障(primaryCopen-angleglaucoma:POAG)がC41例,正常眼圧緑内障(normal-ten-sionglaucoma:NTG)がC21例,原発閉塞隅角緑内障(pri-maryangleclosureglaucoma:PACG)がC1例,落屑緑内障(exfoliationglaucoma:XFG)がC2例である.C2.方法視覚障害等級判定のパラメータである視力,GPでのCI-4周辺視野角度および両眼中心視野角度,HFAでの両眼CES視認点数およびC10-2両眼視認点数の平均,標準偏差,95%信頼区間を求めた.GPによる視野障害判定では,GPのCI-4周辺視野角度が両眼ともにC80°以下,一眼のみC80°以下,両眼ともにC81°以上のC3群に分類した.両眼CI-2中心視野角度からCGPでの視野障害等級C2級,3級,4級,5級,非該当の判定を行った.次にCHFAによる視野障害判定では,両眼CESの視認点数およびC10-2の両眼視認点数からCHFAでの視野障害等級C2級,3級,4級,5級,非該当の判定を行った(表1).二つの視野計での視野障害等級を同級と異級に分類して比較した.CII結果視力値の平均は,bettereyeがC0.03C±0.18(平均C±標準偏差)logMAR,worseeyeがC0.29C±0.51ClogMARであった.小数視力はCbettereyeがC0.2.1.2,worseeyeがC0.04.1.2であった.視力での視覚障害等級は全例が非該当であった.GPではCI-4周辺視野角度の平均は,bettereyeがC219.98C±96.20°,worseeyeがC99.60C±87.42°であった.両眼CI-2中心視野角度はC46.78C±38.41°であった.HFAでは両眼CES視認点数がC95.02C±20.47点,10-2中心視野視認点数はC26.44C±15.57点であった(表2).GPでは,I-4周辺視野角度が両眼ともにC80°以下がC6例(9.23%),一眼のみが80°以下がC30例(46.15%),両眼ともにC81°以上が29例(44.62%)であった.GPのCI-4周辺視野角度が,両眼ともにC80°以下のC6例の視野障害判定は,GPではC2級がC5例,3級がC1例であった.HFAではC5級がC6例であった(表3).GPのCI-4周辺視野角度が,一眼のみがC80°以下のC30例の視野障害判定は,GPではC5級がC23例,非該当がC7例であった.HFAでは2級が6例,3級が2例,4級が1例,5級がC19例,非該当がC2例であった(表4).GPのCI-4周辺視野角度が,両眼ともにC81°以上のC29例の視野障害判定は,GPではC5級がC18例,非該当がC11例であった.HFAではC2級がC1例,5級がC24例,非該当がC4例であった(表5).GPのCI-4周辺視野角度が両眼ともにC80°以下のC6例は,全例(100.00%)が異級でCGPの視野障害判定がCHFAよりも上級であった.GPのI-4周辺視野角度が,一眼のみが80°以下のC30例では,同級がC14例(46.67%),異級がC16例(53.33%)であった.異級のC16例はCGPが上級C1例(3.33%),HFAが上級C15例(50.00%)であった.GPのCI-4周辺視野角度表2視野障害等級認定のパラメータ平均標準偏差95%信頼区間上限下限Goldmann型視野計周辺視野角度CbettereyeCworseeyeC219.98C99.60C96.20C87.42C243.82C121.26C123.79C12.18両眼中心視野角度C46.78C38.41C56.30C8.37自動視野計両眼開放CEstermanテスト視認点数CプログラムC10-2両眼中心視野視認点数C95.02C26.44C20.47C15.57C100.09C30.30C74.5510.86表3周辺視野角度:両眼ともに80°以下の6例両眼開放CEstermanテスト視認点数70点以下100点以下101点以上自動視野計プログラムC10-2両眼プログラムC10-2両眼中心視野視認点数中心視野視認点数20点以下40点以下41点以上40点以下41点以上Goldmann型視野計(2級)(3級)(4級)(5級)(5級)(非該当)Cn=0n=0n=0n=4n=2n=028°以下(2級)Cn=5C───3C2─両眼中心視野角度56°以下(3級)Cn=1C───C1C──C表4周辺視野角度:一眼が80°以下の30例両眼開放CEstermanテスト視認点数70点以下100点以下101点以上自動視野計プログラムC10-2両眼プログラムC10-2両眼中心視野視認点数中心視野視認点数Goldmann型視野計20点以下(2級)C40点以下(3級)C41点以上(4級)C(5級)C40点以下(5級)C41点以上(非該当)Cn=6n=2n=1n=9n=10n=256°以下(5級)Cn=23C6C2C1C6C※C7C※C1両眼中心視野角度57°以上(非該当)Cn=7C─C─C─C3C3C1C※※Goldmann型視野計と自動視野計の等級が一致.表5周辺視野角度:両眼ともに81°以上の29例両眼開放CEstermanテスト視認点数70点以下100点以下101点以上自動視野計プログラムC10-2両眼プログラムC10-2両眼中心視野視認点数中心視野視認点数20点以下40点以下41点以上40点以下41点以上Goldmann型視野計(2級)(3級)(4級)(5級)(5級)(非該当)Cn=1n=0n=0n=6n=18Cn=456°以下(5級)Cn=18C1C─C─C4※12※1両眼中心視野角度3※57°以上(非該当)Cn=11C───2C6C※Goldmann型視野計と自動視野計の等級が一致.a:周辺視野角度b:周辺視野角度c:周辺視野角度両眼ともに80°以下の6例一眼のみが80°以下の30例両眼ともに81°以上の29例Goldmann型視野計が上級13.33%Goldmann型視野計が上級13.45%図1視野障害等級:同級と異級が,両眼ともにC81°以上のC29例では,同級がC19例(65.52%),異級がC10例(34.48%)であった.異級のC10例はCGPが上級C1例(3.45%),HFAが上級C9例(31.03%)であった(図1).CIII考按GPおよび自動視野計における視野障害等級判定を比較した.左右眼それぞれのCI-4イソプターによる周辺視野角度の大きさにより,二つの視野計での障害等級判定に差があった.GPによる旧視野障害等級判定には,求心性視野障害の偏心に対する対応,輪状暗点の定義,視能率・損失率の算出方法などのいくつかの問題があった6).さらに近年,視野検査の主流がコンピューター制御された自動視野計へと移行したことで,公益財団法人日本眼科学会および公益社団法人日本眼科医会の合同委員会(以下,合同委員会)が,慎重な審議を重ねて改定案をまとめた6).その結果,GPでの視能率・損失率の用語を廃止,視野角度を採用した.高齢者,視野検査に対する理解不良者など自動視野計による検査が困難な場合を考慮し,これまでのCGPによる判定も残し,自動視野計での等級判定も可能とした.この改訂では,新旧の判定において不必要な等級変動が生じないよう,またとくに等級低下に伴う不利益が生じないよう考慮してある.旧認定基準では視野障害の該当はCI-4イソプターが両眼ともにC80°内に狭窄している,または両眼の視野が2分の1以上欠けていることが条件であった.その基準によれば今回の対象のうちC6例を除くC59例は,身体障害者手帳に非該当となる.新認定基準では,GPでC18例,自動視野計でC6例が非該当であった.このたびの改正では中心視野障害が強い場合には,周辺視野が等級に該当しなくとも中心視野のみで視野障害等級に該当することとなった.緑内障の中心視野障害の程度とCQOLは相関を示すことがいわれている7,8).新しい視野障害認定基準は,患者のCQOLを反映するように改訂されたものである6).周辺視野角度が両眼ともにC80°以上のC6例全例がCGPで上級となった理由として,GPで中心視野のCI-4イソプターと周辺視野のCI-4イソプターの連続性がなく,孤立した中心部の視野角度のみが計測の対象となったことがもっとも考えられる.この場合,自動視野計の周辺視野評価である両眼CESでは耳側に残存する視野も測定範囲(左右それぞれ約C80°,上方約C40°,下方約C60°)に入るため,視認点数が高スコアとなる.GPの「I-4イソプターの連続性」については,検者の手技に左右され客観性に問題があることを合同委員会が指摘している6).GPの測定では,視標を動かす速度は,視野中心部ほど視標スピードを遅くする必要がある9).しかし,熟練していない検者では,中心部の視野と耳側に残存する視野とのわずかなつながりを検出できない可能がある.そのほかにCGPが上級となる理由として,GPは片眼ずつ測定するが,両眼CESは両眼での測定である,という計測方法の違いも判定に影響すると考える.視覚機能には両眼加重という働きがある.Pirenne10)は両眼加重とは,両眼の網膜対応点からの視覚情報が大脳視覚野で収斂することによって起こる現象である,と述べている.単眼で計測するCGPでは視認されなくとも,「両眼加重の効果」から両眼CESでは視認点となり,その結果としてCGPでの等級判定が上級となる可能性がある.周辺視野角度が一眼のみC80°以下,周辺視野角度が両眼ともにC81°以上では,自動視野計で上級となる例が多かった.自動視野計が上級となる理由としては,動的計測と静的計測という測定原理の違いが考えられる.GPの計測では,視標が視細胞をなぞりながら動的に動くことで,空間加重効果11)が生じ,多数の刺激が神経節細胞に集まり,その結果として,動的刺激が静的刺激よりも閾値が低下し視認しやすくなる.これは「静的閾値と動的閾値の乖離」(stato-kineticdis-sociation:SKD)といわれ12),その乖離はC4.5CdBと報告されている13).これが,動的検査では検出されない緑内障性視野異常が,静的検査で検出される理由であるが,自動視野計での等級判定が上級となる一因と考える.さらに,両検査の測定点の違いも判定に影響する可能性がある.GPでの視野角度は,視野全体を等分にC8方向,45°間隔に区切って,計測しているのに対し,ESはさまざまなCqualityCofCvision(QOV)の評価に用いられているスクリーニングプログラム14,15)であり,日常生活に重要である下方視野におよそC2倍の加重をおいている.したがって計測ポイントは下方視野に多い.下方の視野障害が強い場合は,GPでの視野角度に比べて,ESの視認点数は低スコアとなり,自動視野計での等級判定が上級となるであろう.GPと自動視野計との視野障害等級認定の差は,上記に述べた「1-4のイソプターの連続性」「両眼加重の効果」「静的閾値と動的閾値の乖離」「Estermanテストにおける下方視野への重みづけ」が要因と考えられた.その他にも,GPのI-4視標とCESの視標輝度は,どちらもC1,000Casbであるが,GPのCI-4,I-2の計測視標が,視標サイズCI(1/4CmmC2)であるのに対し,自動視野計は視標サイズCIII(4CmmC2)を用いている.視標輝度は等しいが面積が異なるため,検査条件の違いも要因としてあげられる.これらが複合的に影響しあい等級認定の差となることが示唆された.このことをよく理解したうえで,等級判定をすべきである.文献1)AspinallPA,JohnsonZK,Azuara-BlancoAetal:Evalua-tionofqualityoflifeandprioritiesofpatientswithglauco-ma.InvestOphthalmolVisSciC49:1907-1915,C20082)GutierrezPR,WilsonMR,JohnsonCAetal:In.urnceofglaucomatousvisual.eldlossonhealth-relatedqualityoflife.ArchOphthalmolC115:777-784,C19973)ParrishRK2nd,GeddeSJ,ScottIUetal:VisualfunctionandCqualityCofClifeCamongCpatientsCwithCglaucoma.CArchCOphthalmolC115:1447-1455,C19974)日本眼科医会研究班:日本における視覚障害の社会的コスト.日本の眼科80:付録,20095)厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部:障企発C0427第C5号「身体障害認定基準の取扱い(身体障害認定要領)について」の一部改正について.20186)日本眼科学会視覚障害者との共生委員会,日本眼科医会身体障害認定基準に関する委員会:視覚障害認定基準の改定に関する取りまとめ報告書.厚生労働省社会・援護局障害保健衛生部「第C1回視覚障害の認定基準に関する検討会」(2017年C1月C23日)資料C3.2017.https://www.mhlw.go.jp/C.le/05-Shingikai-12201000-ShakaiengokyokushougaihokenCfukushibu-Kikakuka/0000149289.pdf7)SawadaH,FukuchiT,AbeH:Evaluationoftherelation-shipCbetweenCqualityCofCvisionCandCthevisualCfunctionCindexinJapaneseglaucomapatients.GraefesArchClinExpOph-thalmolC249:1721-1727,C20118)SawadaH,YoshinoT,FukuchiTetal:Assessmentofthevisionspeci.cCqualityCofClifeCusingCclusteredCvisualC.eldCinCglaucomapatients.JGlaucomaC23:81-87,C20149)DouglasCR,CAndersonMD:3CGoldmannCperimeter.CTest-ingthe.eldofvision,Mosby,StLouis,p22-32,198210)PirenneMH:Binocularanduniocularthresholdofvision.NatureC152:698-699,C194311)GoldmannH:EinCselbstregistrierendesCProjektionskugel-perimetersCsamtCtheoretischenCundCklinischenCBemerkun-genuberPerimeterie.OphthalmologicaC109:71-79,C194512)FankhauserCF,CSchmidtT:DieCoptimalenCBedingungenCfurdieUntersuchungderraumlichensummationmitste-henderCReizmarkeCnachCderCMethodeCderCquantitativenCLichtsinnperimetie.OpthalmologicaC139:409-423,C196013)HudsonCC,CWildJM:AssessmentCofCphysiologicalCstatoCkineticCdissociationCbyCautomatedCpermetry.CInvestCOph-thalmolVisSciC33:3162-3168,C199214)MillsRP,DranceSM:Estermandisabilityratinginsevereglaucoma.OphthlmologyC93:371-378,C198615)NoeG,FerraroJ,LamoureuxEetal:Associationbetweenglaucomatousvisual.eldlossandparticipationinactivi-tiesofdailyliving.ClinExpOphthalmolC31:482-486,C2003C