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硝子体手術のワンポイントアドバイス 193.赤道部に巨大裂孔をきたす網膜剝離の臨床的特徴(中級編)

2019年6月30日 日曜日

硝子体手術のワンポイントアドバイス●連載193193赤道部に巨大裂孔をきたす網膜.離の臨床的特徴(中級編)池田恒彦大阪医科大学眼科●はじめに通常,巨大裂孔は硝子体基底部後縁に沿って生じ,赤道部近傍に生じることはまれである.巨大裂孔網膜.離の危険因子としては,外傷,強度近視,アトピー性皮膚炎,Stickler症候群などの網膜硝子体ジストロフィ,Marfan症候群などが指摘されている.筆者らは以前に,全身疾患を伴わず,長眼軸のわりに角膜がC.atで屈折が正視に近い眼球に,赤道部巨大裂孔による網膜.離をきたしたC2例を経験し報告したことがある1).C●症例症例C1:63歳,男性.右眼は上鼻側から下耳側にかけての赤道部よりやや後極に広範な網膜格子状変性を認めた.左眼は赤道部やや後方の網膜格子状変性の辺縁が裂けた約C140°の巨大裂孔を認め,上方C2象限に胞状の網膜.離をきたしていた(図1).眼軸長は右眼C26.13mm,左眼C25.81mm,角膜曲率半径は両眼ともC8.2~8.3mmで通常よりC.atであった.眼軸長が長いわりに屈折値はほぼ正視または軽度近視であった.水晶体切除術および硝子体切除術(シリコーンオイルタンポナ-デ)を施行し,3カ月後にシリコーンオイル抜去と眼内レンズ二次挿入術を施行した.術後矯正視力はC1.0に改善した(図2).症例C2:54歳,男性.右眼底は硝子体出血のため透見不良で,超音波CBモード検査で網膜全.離を認めた.左眼は上方から下耳側にかけて広範な網膜格子状変性を認めた.眼軸長は右眼C25.07Cmm,左眼C25.79Cmm,角膜曲率半径は両眼ともC7.9~8.1Cmmで通常よりC.atであった.症例C1と同様に眼軸長が長いわりに屈折値は軽度近視であった.症例C1と同様の術式を行い,網膜の復位を得た.術後右眼矯正視力は(1.0)に改善した.C●赤道部近傍に巨大裂孔をきたす網膜.離の臨床的特徴このC2症例の特徴として,巨大裂孔が硝子体基底部後(81)C0910-1810/19/\100/頁/JCOPY図1症例1の左眼術前眼底写真上方赤道部に約C140°の巨大裂孔を認め,胞状網膜.離となっている.図2症例1の左眼術後眼底写真赤道部やや後極に網膜光凝固斑を認め,網膜は復位している.縁ではなく,赤道部近傍の網膜格子状変性後縁に沿って生じたことがあげられる.また,角膜形状が通常より.atで,長眼軸のわりに屈折は正視または軽度近視であり,通常の軸性近視とは異なり眼球が前後方向だけではなく赤道部径も長く,球状に大きいといった特徴があった.球状に大きい眼球をきたす疾患としてCmegaloph-thalmos,先天緑内障,Marfan症候群などがあげられる.過去の報告によると,このC3疾患はいずれも網膜.離の発症リスクが高く,巨大裂孔の割合も高いようである2~4).また,Marfan症候群では全体の半数以上の裂孔が赤道部より前方に生じていたという報告がある4).なぜこのような眼球では通常より後極側に巨大裂孔をきたしやすいかについては不明であるが,眼球が球状に拡大することで赤道部近傍の網膜が過度に伸展され,網膜格子状変性が広範囲にわたって形成されやすくなると同時に,硝子体容積の増大により硝子体の液化変性が生じやすくなることなどが考えられる.文献1)KohmotoR,FukumotoM,SatoTetal:RhegmatogenousretinalCdetachmentCwithCaCgiantCtearClocatedCinCtheCinter-mediateperiphery:TwoCcaseCreports.Medicine(Balti-more)C98:e14271,C20192)AhmadiehCH,CBanaeeCT,CJavadiCMACetal:VitreoretinalCdisordersCinCanteriorCmegalophthalmos.CJpnCJCOphthalmolC50:515-523,C20063)CoolingCRJ,CRiceCNS,CMcleodD:RetinalCdetachmentCinCcongenitalglaucoma.BrJOphthalmol64:417-421,C19804)SharmaCT,CGopalCL,CShanmugamCMPCetal:RetinalCdetachmentCinCMarfansyndrome:CclinicalCcharacteristicsCandsurgicaloutcome.RetinaC22:423-428,C2002あたらしい眼科Vol.36,No.6,2019C785

眼瞼・結膜:巨大乳頭結膜炎

2019年6月30日 日曜日

眼瞼・結膜セミナー監修/稲富勉・小幡博人深川和己51.巨大乳頭結膜炎両国眼科クリニック巨大乳頭結膜炎は,上眼瞼結膜の巨大乳頭増殖が特徴的なアレルギー性結膜疾患である.コンタクトレンズの上方へのズレ,異物感や眼脂などの症状が多い.結膜上皮細胞の機械的障害とアレルギー性炎症により巨大結膜乳頭増殖が生じる.治療は機械的刺激の原因物質の除去と,ステロイド点眼,抗アレルギー薬点眼を行う.●巨大乳頭結膜炎とは巨大乳頭結膜炎(giantCpapillaryCconjunctivitis:GPC)はコンタクトレンズ(CL),義眼,手術用縫合糸,露出した強膜バックル,角化した角膜輪部デルモイドなどの機械的刺激による上眼瞼結膜の巨大乳頭増殖が特徴的なアレルギー性結膜疾患である1)(図1).とくにCCLが原因のCcontactlens-relatedpapillaryconjunctivitis:CLPC)の重症例が多い1).C●GPCの臨床症状,臨床診断上記のようなCCL装用をはじめとする機械的刺激の原因要素がある患者で,異物感,眼脂,CLの上方へのズレを訴えることが多い1).掻痒感をあまり訴えない患者もいる.機械的刺激の原因要素と,上眼瞼の結膜充血および浮腫,巨大乳頭増殖により臨床診断することができる1).C●GPCの組織と炎症細胞CLを装用するだけで上眼瞼結膜上皮のCmicrovilliが損なわれるが,GPCとなるとさらに上皮障害が顕著となり,結膜が肥厚する.さらに,GPCの結膜では通常結膜上皮内には存在しないマスト細胞が検出され,正常では結膜組織には存在しない好酸球と好塩基球が上皮内および上皮下に検出される2).C●GPCの病態生理現状ではCGPCの正確な原因と病態生理は完全には解明されていない.春季カタル(vernalCkeratoconjuncti-vitis:VKC)と同様に巨大結膜乳頭の発生,結膜でのマスト細胞,好酸球,好塩基球の増加,涙液中ヒスタミンやCIgEの増加から,I型アレルギー反応,もしくは遅延型アレルギー反応が関与すると考えられている2).(79)図1巨大乳頭結膜炎(GPC)の一例コンタクトレンズによるCGPCが多いが,本症例では露出した縫合糸が原因となって,上眼瞼結膜にCGPCが発生した(Cb).しかし,CLや義眼を構成する物質自体の抗原性が低いこと,GPC患者のアレルギー性疾患の合併率が少ないことから,機械的刺激が主原因とも考えられている3).また,GPC患者のCCLをカニクイザルに装用させるとGPCが発症することから,CLや義眼などの表面に沈着あたらしい眼科Vol.36,No.6,2019C7830910-1810/19/\100/頁/JCOPYb図2巨大乳頭結膜炎(GPC)の治療経過2週間交換型ソフトコンタクトレンズによるCGPC(Ca)に対して,コンタクトレンズ非装用,ステロイド点眼,抗アレルギー点眼薬で治療した.1カ月後,上眼瞼結膜の充血や飛行が減少しCGPCは非常に小さくなり(Cb),自覚症状も軽減した.した物質に対するアレルギー反応の関与も疑われている2).これらのことから次のようなメカニズムが推測される.CLなどによる結膜上皮細胞の機械的障害→局所への炎症細胞の集積→CCL上への炎症惹起物質沈着→アレルギー性炎症→結膜乳頭増殖.C●CLによるGPCGPCの発生頻度は,ハードCCLよりもソフトCCLが多く,ソフトCCLのなかでは毎日交換のCdisposableCcon-tactlens(DSCL)で発生率が少ない2).3週間以上の同一CCLの使用によりCGPC発生率が増加すると報告されている2)が,2週間の頻回交換型ソフトCCLでもケアがC784あたらしい眼科Vol.36,No.6,2019おざなりになってCGPCを発症する症例を経験する.C●GPCとVKCの違いは?GPCとCVKCは巨大結膜乳頭が発生する点は似ているが,多くの相違点がある.臨床症状では,VKCではかゆみや痛み,大量の眼脂など症状が非常に激しいが,GPCでは異物感や目脂,CLがずれるなど,マイルドである.臨床所見としては,VKCでは大きく不整な石垣状結膜乳頭増殖が生じて角膜びらんや角膜潰瘍が頻発するのに比して,GPCでは均一で比較的小ぶりでなだらかな結膜乳頭増殖であり,角膜障害は限定的であることが多い.さらに組織学的にはCVKCでは脱顆粒したマスト細胞が多く,好酸球の集積が顕著であるのに比して,GPCでは炎症細胞の集積もマイルドである.治療としてもCVKCは強力な免疫抑制が必要である一方,GPCはCLなどの機械的刺激の除去によりかなり改善する.以上より,VKCとCGPCは異なる病態をベースとした異なる疾患であると考えられる.C●GPCの治療GPCの病態が機械的刺激とアレルギー反応であるため,治療はCCLや縫合糸など機械的刺激の原因自体の除去,それらの表面を覆うアレルギーを起こす原因の物質の除去がもっとも大切である.増殖が収まるまでCCLは装用しないか,毎日交換のCDSCLを短時間装用する.そのうえで,炎症を起こして増殖している結膜に対して,ステロイド点眼薬と抗アレルギー点眼薬で消炎を図る(図2).また,ステロイド点眼薬により眼圧が上昇する症例に対しては免疫抑制点眼薬を用いる.CLや義眼の再装用が必要な場合は慎重に行い,毎日交換CDSCLに変更する,義眼の洗浄ケアをしっかり行うなどの再発防止策をとる.文献1)高村悦子,内尾英一,海老原伸行ほか:アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン(第C2版).日眼会誌C114:833-870,C20102)DonshikPC:GiantCpapillaryCconjunctivitis.CTransCAmCOphthalmolSocC92:687-744,C19943)FriedlaenderMH:SomeCunusualCnonallergicCcausesCofCgiantCpapillaryCconjunctivitis.CTransCAmCOphthalmolCSocC88:343-351,C1990(80)

抗VEGF治療:糖尿病網膜症:抗VEGF薬による黄斑浮腫抑制

2019年6月30日 日曜日

●連載監修=安川力髙橋寛二65.糖尿病網膜症:抗VEGF薬による山田晴彦関西医科大学付属病院眼科黄斑浮腫抑制糖尿病網膜症に対する抗CVEGF療法は,2014年にわが国で認可されて以来,糖尿病黄斑症に対する治療の代表的な選択肢となっている.本稿では,RESTORE,VIVID-DME,DRCRnetprotocolTの三つの大規模臨床試験の結果を踏まえ,糖尿病黄斑症に対する抗CVEGF療法について述べる.糖尿病網膜症に対する抗VEGF療法糖尿病網膜症は日本人の後天的失明において第C3位の疾患であり,世界を見渡しても,先進国中で比較的若年者の失明原因のトップに位置する.糖尿病網膜症によって視力低下が起こる理由についてはいくつかあるが,近年注目されているのは,糖尿病黄斑症によるものである.以前は光凝固や硝子体手術といった,いわば物理的な治療が行われてきたが,わが国でC2014年に抗CVEGF療法が糖尿病黄斑症の治療として認可されてからは,抗VEGF療法の使用度合いが飛躍的に増え,糖尿病黄斑症の治療選択肢として確固たる地位を築いている.そのほか,増殖糖尿病網膜症の硝子体手術治療前に,術中の出血コントロール目的で抗CVEGF薬を投与したり,糖尿病網膜症から進行した血管新生緑内障に対して抗VEGF薬を投与する試みなどが行われているが,薬剤の適応外使用であることから,本稿では糖尿病黄斑症に対する抗CVEGF療法について述べる.糖尿病網膜症は高血糖による血管内皮細胞の障害などを原因として網膜の毛細血管が閉塞し無灌流を生じる.そのためにCVEGFの産生が亢進することで,その血管新生促進因子としての働きから網膜新生血管を発生させ,血管透過性因子としての働きから網膜浮腫を発生させる.その意味から,糖尿病網膜症(黄斑症)の治療に抗CVEGF療法を行うことはその病態に適している.以下に代表的な三つの大規模臨床試験の結果を紹介する.CRESTORE試験糖尿病黄斑症の症例に対し,ラニビズマブC0.5Cmg単独投与,ラニビズマブ+光凝固,光凝固のみのC3群に無作為に割つけて治療を行い,1年間の経過をみた.ラニビズマブ投与は治験開始時にC3カ月毎月連続投与し,その後は必要に応じて投与するCproCrenata(PRN)法で経過観察した.開始C1年後には,ラニビズマブC0.5Cmg単独投与ではC7.9文字の改善,ラニビズマブ+光凝固では(77)7.1文字の改善,光凝固のみではC2.3文字の改善とラニミズマブ投与群で有意に視力改善・維持が得られた.1年経過後,オープンラベルでさらにC2年の経過観察結果がCextensionstudyとして報告されているが,光凝固のみ群であってもラニビズマブのCPRN投与(レスキュー)が可能となり,3年目の結果としてはラニビズマブ0.5Cmg単独投与ではC8.0文字の改善,ラニビズマブ+光凝固ではC6.7文字の改善,光凝固のみからラニビズマブ投与ではC6.0文字の改善と,レスキューされた光凝固のみ群が他群に近づいており,光凝固による改善効果は乏しいが,ラニビズマブ投与で視力改善が得られることが示された.VIVID.DME試験本試験では,アフリベルセプトC2CmgをC4週ごと投与,アフリベルセプトC2CmgをC8週ごと投与,光凝固のみの3群に無作為に割つけてC3年間の経過観察を行った.結果として,治験終了時にアフリベルセプトC2CmgをC4週ごと投与ではC12.5文字,アフリベルセプトC2CmgをC8週ごと投与ではC10.7文字,光凝固のみではC0.2文字で,アフリベルセプト投与のC2群が光凝固のみと比較して視力改善が有意に高かった.薬剤の投与回数は,アフリベルセプトC2CmgをC4週ごと投与でC11.9回,アフリベルセプトC2CmgをC8週ごと投与でC8.5回とC8週ごと投与群では投与回数が少ないにもかかわらず,視力改善はC4週ごと群と大差なかった.CDRCRnetprotocolTDRCRnet(DiabeticCRetinopathyCClinicalCResearchNetwork)では,protocolTとして,ベバシズマブ,ラニビズマブ,アフリベルセプトを同じ治療プロトコルで比較している.ベバシズマブはC1.25Cmg,ラニビズマブはC0.3mg,アフリベルセプトはC2Cmgをそれぞれ使用し,治療レジメンに従いながらC1カ月ごと投与でC2年間経過観察を行なった.結果は,ベバシズマブはC10.0文字,あたらしい眼科Vol.36,No.6,2019C7810910-1810/19/\100/頁/JCOPY図1抗VEGF療法著効例44歳,男性.両眼の糖尿病網膜症のために近医から紹介された.初診時矯正視力は右眼C1.0,左眼0.6.左眼のカラー眼底写真(左上),左眼の蛍光眼底造影写真(右上)に示すように増殖網膜症を認めたため,両眼に汎網膜光凝固を行った.初診時から黄斑浮腫があり,レーザー後ラニビズマブをC1回投与したところ,初診時左眼のCOCT画像(左下)から,右下のように黄斑浮腫は改善し,矯正視力も左C1.0に回復した.ラニビズマブはC12.3文字,アフリベルセプトはC12.8文字の視力改善で,各群間に差はないようだったが,各群の視力のベースラインに有意差があり,それが低いと視力改善も少なかった.注射回数についてもC3群間で差はなかったが,視力低下時にレーザーを行うプロトコルのために,視力低下が多いとレーザー回数が増える.レーザーの適応回数がベバシズマブC64%,ラニビズマブC52%,アフリベルセプトC41%で,アフリベルセプトが他群よりも有意に少なく,ベバシズマブでラニビズマブよりも有意に少なかった.つまり,アフリベルセプトの視力低下回数が一番少ない結果であった.臨床試験の結果を日常診療にどう生かすかこのような大規模臨床試験では,それぞれの実施プロトコルが互いに異なるために単純にどの薬物や投与法がよいかの比較はむずかしく,糖尿病黄斑症に対して推薦される絶対的治療法を導き出すことは困難である.ただ,傾向としてはっきりしているのは,抗CVEGF療法によって黄斑浮腫が改善して,視力がC10文字(少数視力で約C2段階)程度改善するということと,投与開始C1年目よりC2年目以降の注射回数が少なくなること,注射薬の種類によって効果が異ならないということであろう.大規模試験は欧米主導のため,日本で馴染みのないCgridlaser光凝固(あるいはCfocallaser)を対照群としてC782あたらしい眼科Vol.36,No.6,2019いたり,手術治療が治療選択肢にないことから,必ずしもわが国での糖尿病黄斑症治療の指標とはならないが,治療法決定の参考にはなる.しかし,抗CVEGF療法は大規模スタディをみるかぎり,2年間でC15回程度は注射することになるので,2,000例にC1例程度起こるとされる細菌性眼内炎発生の危険性や,薬剤の自己負担費用が問題となる.一方で,糖尿病黄斑症の治療目的に行う硝子体手術を自己負担C3割のケースで比較すると,わが国では高額療養費制度があるために,注射C3回で抗VEGF療法が手術よりも負担が大きくなる.そのため,抗CVEGF療法のみが治療選択肢ではなく,手術という方法もありえることを念頭に診療に当たることが,医療経済の面からも求められるのではないかと考える.文献1)MitchellCP,CBandelloCF,Cetal:RESTORECstudygroup:TheRESTOREstudy:ranibizumabmonotherapyorcom-binedCwithClaserCversusClaserCmonotherapyCforCdiabeticCmacularedema.OphthalmologyC118:615-625,C20112)KorobelnikJF,DoDV,Schmidt-ErfurthUetal:Intravit-realCa.iberceptCforCdiabeticCmacularCedema.COphthalmolo-gyC121:2247-2254,C20143)DiabeticRetinopathyClinicalResearchNetwork,WellsJA,GlassmanCARCetal:A.ibercept,Cbevacizumab,CorCranibi-zumabCforCdiabeticCmacularCedema.CNCEnglCJCMedC372:C1193-1203,C2015(78)

緑内障:小児緑内障の分類

2019年6月30日 日曜日

●連載228監修=山本哲也福地健郎228.小児緑内障の分類中西(山田)裕子神戸大学大学院医学研究科外科系講座眼科学分野WorldGlaucomaAssociationコンセンサス会議での提言をふまえ,緑内障診療ガイドライン第4版では小児緑内障の診断基準と新分類が示された.原発,続発の大別,発症年齢,背景や要因となる疾患に基づく細分類をもとに,各疾患のもつ特徴をふまえた診療,治療選択につなげたい.●はじめに小児期に発症した病態に起因する小児緑内障について,第3版までの緑内障診療ガイドラインでは発達緑内障(developmentalglaucoma)という用語が用いられてきたが1),WorldGlaucomaAssociation(WGA)コンセンサス会議での提言をふまえ2),第4版では発達緑内障から小児緑内障(childhoodglaucoma)に用語が改められ,新たに診断基準の記載,定義と細分類の変更がなされ,背景や病態をもとに改訂,整理された3).●小児緑内障の診断基準と分類ガイドライン第4版に記載された小児緑内障の診断基準を示す(表1)3).眼圧測定はいずれの緑内障でも重要であるが,小児では良好な条件での検査が困難な場合も多く,眼圧のみならず,視神経乳頭所見,角膜径の増大やHaab線(Descemet膜破裂線),眼軸長の伸長,視野欠損といった5項目のうち2項目以上を満たす場合を小児緑内障,1項目以上を小児緑内障疑いとしている.新たな分類(表2)では,他の要因を伴わないものを原発小児緑内障,他の先天的な眼疾患や全身疾患ないし後天的な要因を伴う場合をまとめて続発小児緑内障と,大きく分けている.各病型は小児緑内障の診断基準を満たす.第3版までと第4版の分類の対比を表3に示す.●原発小児緑内障①原発先天緑内障強度の隅角形成異常により,誕生直後または生後早期からの高眼圧で牛眼など眼球拡大を生じるもので,さらに発症年齢から,(1)出生前または新生児期(0~1カ月),(2)乳児期(1~24カ月),(3)遅発性(2歳以上)に細分類される.また,自然に停止して正常眼圧となった症例で典型的な徴候があるものも,これに分類される.治療はまず手術が選択され,ゴニオトミーやトラベクロトミーといった流出路再建術から行い,それらが成功表1WorldGlaucomaAssociation(WGA)における小児緑内障の診断基準緑内障の診断基準(2項目以上)・眼圧が21mmHgより高い(全身麻酔下であればあらゆる眼圧測定方法で).・陥凹乳頭径比(cup-to-discratio:C/D比)増大の進行,C/D比の左右非対称の増大,リムの菲薄化.・角膜所見:Haab線または新生児では角膜径11mm以上,1歳未満では12mm以上,すべての年齢で13mm以上.・眼軸長の正常発達を超えた伸長による近視の進行,近視化.・緑内障性視神経乳頭と再現性のある視野欠損を有し,視野欠損の原因となる他の異常がない.緑内障疑いの診断基準(1項目以上)・2回以上の眼圧測定で眼圧が21mmHgより大きい.・C/D比増大などの緑内障を疑わせる視神経乳頭所見がある.・緑内障による視野障害が疑われる.・角膜径の拡大,眼軸長の延長がある.(文献3より転載)しなかった場合に濾過手術やチューブシャント手術が検討される.薬物療法は手術までの期間や術後眼圧下降が不十分な場合に補助的に用いる.②若年開放隅角緑内障軽度の隅角形成異常のため眼球拡大をきたさず,小児緑内障の診断基準を満たすが,眼球拡大や先天性の眼形成異常,全身疾患を伴わず,開放隅角(正常隅角所見)を呈し,4歳以降に発症するものである.●続発小児緑内障①先天眼形成異常に関連した緑内障全身所見との関連が明らかではない眼形成異常が出生時から存在するもので,Axenfeld-Rieger異常,Peters異常といった前眼部形成異常,無虹彩症は指定難病となっている.②先天全身疾患に関連した緑内障出生時から眼所見に関連する先天性全身疾患があるも(75)あたらしい眼科Vol.36,No.6,20197790910-1810/19/\100/頁/JCOPY表2緑内障診療ガイドライン(第4版)における小児緑内障の分類原発小児緑内障(primarychildhoodglaucoma)原発先天緑内障(primarycongenitalglaucoma:PCG)強度の隅角形成異常による誕生直後または生後早期からの高眼圧で牛眼など眼球拡大を生じるもの.小児緑内障の診断基準を満たす.ただし,自然に停止し正常眼圧となった症例であってもPCGの典型的兆候があればPCGとして分類される.<発症年齢による細分類>(1)出生前または新生児期(0~1カ月)(2)乳児期(1~24カ月)(3)遅発性(2歳以上)若年開放隅角緑内障(juvenileopen-angleglaucoma:JOAG)軽度の隅角形成異常のため眼球拡大を来たさず,4歳以降に発症する小児緑内障.小児緑内障の診断基準を満たすが,眼球拡大や先天性の眼形成異常,全身疾患を伴わず,開放隅角(正常隅角所見)を呈する.続発小児緑内障(secondarychildhoodglaucoma)先天眼形成異常に関連した緑内障(glaucomaassociatedwithnon-acquiredocularanomalies)小児緑内障の診断基準を満たす.全身所見との関連が明らかではない眼形成異常が出生時から存在.<先天眼形成異常の代表例>Axenfeld-Rieger異常,Peters異常,ぶどう膜外反,虹彩形成不全,無虹彩症,第一次硝子体過形成遺残,眼皮膚メラノーシス(太田母斑),後部多形性角膜ジストロフィ,小眼球症,小角膜症,水晶体偏位など先天全身疾患に関連した緑内障(glaucomaassociatedwithnon-acquiredsystemicdiseaseorsyndrome)小児緑内障の診断基準を満たす.出生時から眼所見に関連する先天性全身疾患がある.<先天全身疾患の代表例>Down症候群などの染色体異常,結合組織異常(Marfan症候群,Weill-Marchesani症候群,Stickler症候群),代謝異常(ホモシスチン尿症,Lowe症候群,ムコ多糖症)母斑症(神経線維腫症,Sturge-Weber症候群,Klippel-,Trenaunay-Weber症候群),Rubinstein-Taybi症候群,先天性風疹症候群など後天要因による続発緑内障(glaucomaassociatedwithacquiredcondition)出生時にはなく,生後に発生した後天要因によって発症した緑内障で小児緑内障の診断基準を満たすが,白内障術後の緑内障は除く.隅角所見により(1)開放隅角(50%以上開放)(2)閉塞隅角(50%未満開放または急性閉塞隅角)に分かれる.<後天要因の代表例>ぶどう膜炎,外傷(前房出血,隅角離解,水晶体偏位),ステロイド,腫瘍(良性/悪性,眼内/眼窩),未熟児網膜症など白内障術後の緑内障(glaucomafollowingcataractsurgery)白内障術後に発症した緑内障で診断基準を満たす.白内障のタイプにより(1)特発性の先天白内障(2)緑内障を伴わない眼形成異常または全身疾患に関連した先天白内障(3)緑内障を伴わない併発白内障隅角所見により(1)開放隅角(50%以上開放)(2)閉塞隅角(50%未満開放または急性閉塞隅角)に分かれる.(文献3より作成)表3小児緑内障の緑内障診療ガイドライン第3版と第4版の対比1~3)ガイドライン第3版カイドライン第4版/WGAコンセンサス発達緑内障小児緑内障原発小児緑内障早発型発達緑内障原発先天緑内障遅発型発達緑内障若年開放隅角緑内障続発小児緑内障他の先天異常を伴う発達緑内障先天眼形成異常に関連した緑内障先天全身疾患に関連した緑内障続発緑内障後天要因による続発緑内障白内障術後の緑内障ので,これらの疾患は小児指定難病に含まれるものも多い.③後天的な要因による緑内障生後に発生した後天要因によって発症するが,白内障術後の緑内障はその頻度の高さや特徴から別途項目が設けられている.開放隅角緑内障が一般的である.④白内障術後の緑内障小児期に白内障手術を必要とする症例では房水流出路の発達異常を伴うことがあり,眼圧上昇につながり緑内障を生じることがある.発症のリスクは生涯にわたり,無水晶体でも偽水晶体でも生じる.低年齢での手術,小角膜,小眼球を伴う症例ではさらにリスクが高い.中心角膜が厚いため,見かけ上の高眼圧になっている場合もある.●新分類をふまえた臨床小児緑内障を疑う場合,まず診断基準を満たすか,そして原発,続発のいずれかにつき大別する.原発小児緑内障では発症年齢による細分類は手術予後の目安となる.また,続発小児緑内障は,流出路再建術の成績が原発小児緑内障に比べて下がることを意味する.背景や要因となる疾患に基づく細分類をふまえ,各々の疾患のもつ特徴に即した診療,治療選択につなげたい4).文献1)日本緑内障学会緑内障診療ガイドライン作成委員会:緑内障診療ガイドライン(第3版).日眼会誌116:3-46,20122)WorldGlaucomaAssociation:Childhoodglaucoma.The9thConsensusReportoftheWorldGlaucomaAssociation(editedbyWeinrebRN,GrajewskiAL,PapadopoulosMetal),KuglerPublications,Amsterdam,p1-270,20133)日本緑内障学会緑内障診療ガイドライン作成委員会:緑内障診療ガイドライン(第4版).日眼会誌122:3-53,20184)杉山和久,竹本大輔:小児緑内障のコンセンサス診断基準と新分類.眼科57:1677-1682,2015780あたらしい眼科Vol.36,No.6,2019(76)

屈折矯正手術:角膜クロスリンキング後の感染

2019年6月30日 日曜日

●連載229229.角膜クロスリンキング後の感染監修=木下茂大橋裕一坪田一男長谷川亜里JCHO中京病院眼科小島隆司慶応義塾大学医学部眼科学教室角膜クロスリンキング後の感染性角膜炎はきわめてまれであるが,上皮化までの過程に問題がある場合,発症することもある.アトピー性皮膚炎など常在菌として結膜.に多剤耐性菌を保菌している症例も指摘されており,術前の結膜.培養や,術後抗菌点眼薬の選択に注意するなど配慮するとともに,十分な患者指導も重要である.C●はじめに角膜クロスリンキング(cornealCcrosslinking:CXL)は,Seilerらによって開始され1),進行性円錐角膜の進行予防治療としてエビデンスが確立されている治療法である.CXLに用いられるリボフラビン(ビタミンCB2)は紫外線CA波(UV-A)の照射により活性酸素を生成し,光化学反応を起こさせることで,角膜実質のコラーゲン架橋を増強させ,角膜の生体力学的な強度を高める効果があるとされている.また,円錐角膜と病態の似た角膜屈折矯正手術後のケラトエクタジアの進行予防にも応用されている.CXLは安全性が高く,合併症の頻度は低いが,無菌性角膜浸潤,淡い角膜実質混濁(ヘイズ),角膜融解のほか,感染性角膜炎が報告されている.CXL後の感染性角膜炎の発症はきわめてまれと考えられている.CXLにより病原体CDNAが直接損傷されて病原体が不活性化されること,酵素分解に対する耐性が強化されること,実質コラーゲン線維の引っ張り強度・剛性の強化により角膜実質融解を防ぐ効果があること,などがその理由である2).これらの作用から,CXLは近年,多剤耐性菌感染など既存の治療法に反応しない感染性角膜炎の治療法3)としても注目されている.C●CXL後の感染性角膜炎このようにCCXL自体が感染に強い術式であるが,CXL術後の感染性角膜炎の報告もある.CXLの原法であるドレスデンプロトコールでは,最初に角膜上皮を.離してから施術する.そのため,上皮の治癒過程に問題がある場合は,感染性角膜炎のリスク因子となりうる.患者背景としては,糖尿病やアトピー性皮膚炎の症例な(73)ど,CXL術後に高頻度で使用されるバンデージコンタクトレンズもリスク因子といえる.CXL後の感染性角膜炎角膜炎を対象とした症例対照研究のシステマティックレビュー2)では,感染性角膜炎は術終了後から上皮化までの期間に発症しうることが述べられている.この文献によると,2000~2013年の期間にC10眼の感染性角膜炎症例が報告されている.原因病原体は細菌(S.epidermidis,P.aeruginosa,E.coli,S.aureus,S.salivarius/S.oralis)がC5眼,真菌(Fusari-umsolani,Microsporidia)とヘルペスがそれぞれC2眼,アカントアメーバがC1眼で,術後平均C6.50C±8.34(1~30)日目に発症している.CXL術後処方は,6眼でフルオロキノロン,3眼でアミノグリコシドが処方され,そのうちステロイド点眼の併用はC4眼だった(1眼は詳細不明).汚染された手指で眼をこする,術直後から水道水で眼を洗浄する,バンデージコンタクトレンズをなめて装用する,など上皮の治癒過程における患者の不適切な行動が,もっとも頻度の高いリスク因子であったと指摘されている.C●自験例の紹介当院で経験したCCXL後感染性角膜炎の症例を紹介する.患者はC38歳,男性で,アトピー性皮膚炎にて顔面にタクロリムス軟膏を使用していた.前医にて両眼のレーシック後ケラトエクタジアと診断され,2017年C6月左眼にCCXLが施行された.術後C5日目に角膜上皮化が完了したものの,角膜内浸潤が増強していた.レーシックの層間への無菌性浸潤の可能性を考えてステロイドを強化した.抗菌薬点眼はレボフロキサシンC4回のみだった.術後C7日目にさらに悪化を認めたため,感染性角膜あたらしい眼科Vol.36,No.6,2019C7770910-1810/19/\100/頁/JCOPY図1初診時スリット写真図2CXL術後3カ月炎を疑い中京病院眼科を紹介受診となった.初診後,感染性角膜炎の治療目的にて入院.角膜擦過培養の結果,Staphylococcusaureusが検出された.薬剤感受性試験は,感受性あり:セフメノキシム,セフメタゾール,バンコマイシン,感受性なし:ガチフロキサシン,レボフロキサシン,エリスロマイシンの結果であった.セフメノキシム点眼C6回,トブラマイシン点眼C6回,バンコマイシン点眼C2時間ごとにて加療したところ,徐々に角膜浸潤は改善し,5日目に退院となった.CXL後C3カ月時点では感染部位に淡い混濁を認めたが,視軸には影響せず,視力はCHCL矯正でC1.2と術前と同レベルであった.C●おわりにCXL術後感染は予防が重要である.CXLの術式は多様化しており,角膜上皮をはがさないCepi-on治療も行C778あたらしい眼科Vol.36,No.6,2019われている.Epi-o.治療と比べて感染のリスクを減らす効果も期待されるが,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistantCStaphylococcusaureus:MRSA)感染で角膜穿孔に至った例4)も報告されている.また,CXL術後の抗菌点眼薬の選択には,近年指摘される多剤耐性菌の増加を考慮する必要がある.円錐角膜患者で合併頻度の高いアトピー性皮膚炎では,同年代の健常者と比較して結膜.の細菌検出率が高く,MRSAを含む黄色ブドウ球菌の検出率が高いなど,常在細菌叢が健常者と異なっていることが報告されている5).このようなハイリスク患者では,術前に結膜.培養を行うことや,耐性菌が多いとされるフルオロキノロン単剤での治療を避けることも検討する必要がある.さらに,前述のシステマティックレビュー2)で指摘されたような術後の患者の不適切な行動を念頭に,十分に患者指導を行うことも重要であると考える.文献1)WollensakG,SpoerlE,SeilerT:Ribo.avin/ultraviolet-a-inducedcollagencrosslinkingforthetreatmentofkerato-conus.AmJOphthalmol135:620-627,C20032)AbboudaCA,CAbiccaCI,CAlioJL:InfectiousCkeratitisCfollow-ingcornealcrosslinking:Asystematicreviewofreportedcases:Management,CvisualCoutcome,CandCtreatmentCpro-posed.SeminOphthalmol31:485-491,C20163)AlioJL,AbboudaA,ValleDDetal:Cornealcrosslinkingandinfectiouskeratitis:asystematicreviewwithameta-analysisCofCreportedCcases.CJCOphthalmicCIn.ammCInfectC29:47,C20134)OakeyCZ,CThaiCK,CGargS:BilateralCcornealCperforationCdueCtoCMRSACkeratitisCinCaCcrosslinkingCpatient.CGMSCOphthalmolCases15:7,C20175)春畑裕二,山田昌和,大竹雄一郎ほか:アトピー性皮膚炎患者の結膜.細菌培養.日眼紀要52:494-497,C2001(74)

眼内レンズ:360度全秀虹彩付きリングの2枚同時挿入法

2019年6月30日 日曜日

眼内レンズセミナー監修/大鹿哲郎・佐々木洋森山涼391.360°全周虹彩付きリングの2枚同時挿入法井上眼科病院白内障手術時に使用可能な全周人工虹彩付き着色水晶体.拡張リング(AniridiaRingsType50F,Morcher社)は,虹彩欠損を伴う白内障例に対して非常に有用なアイテムである.欠点として挿入手技のむずかしさがあるが,従来の挿入方法よりも簡便で確実な挿入手技を考案したので紹介する.●はじめに全周人工虹彩付き着色水晶体.拡張リング(AniridiaRingsType50F,Morcher社)は,虹彩欠損を伴う白内障の手術時に,術後の羞明予防および整容面を考慮して眼内(水晶体.内)に留置するデバイスである.形状は,従来のカプセルテンションリングに歯車上の遮蔽板がついた構造となっていて,それを2枚挿入することで360°の遮蔽効果を得られるようになっている.このリングの欠点として,その挿入手技のむずかしさがある.虹彩欠損を伴う白内障の疾患背景として,外傷や先天無虹彩症など,Zinn小帯および水晶体.脆弱を伴うことが多い.そのような症例に対して,眼内の限られたスペースにこのリングを1枚ずつ,2回挿入することは決して容易ではない.そこで,2枚のリングを重ねて同時に挿入することで,リング同士が引っかかるなどの従来の方法の欠点を克服した手技を考案したので紹介する.●症例49歳,男性.20年前に野球のボールで右眼を打撲,その後,徐々に視力が低下し,手術希望で受診した.右眼には角膜裂傷の瘢痕,広範囲に及ぶ虹彩根部離断および外傷性散瞳,Zinn小帯断裂,後.下白内障を認めた(図1).●手術方法まず,通常通りの超音波水晶体乳化吸引および皮質吸引を行い,7mm光学径眼内レンズ(NX-70,参天製薬)を挿入した.なお,この症例では,将来の眼内レンズ偏位に備えて縫着用のカプセルテンションリングを併用している(図2).次に,従来は1枚ずつ挿入していた本リングを,リン(71)0910-1810/19/\100/頁/JCOPY図1外傷性散瞳および虹彩根部離断を伴う白内障外傷性散瞳および4時~7時方向の虹彩根部離断,4時~10時方向のZinn小帯断裂,後.下白内障を認める.グ表面に粘弾性物質を塗布することで2枚を互いに密着させ(図3),2枚同時に挿入した(図4).1回の操作で2枚のリングが円滑に挿入できた..内でのリングの配置は,片方のリングをサイドポート鑷子で固定してから,もう1枚のリングをフックなどを用いて回転させることで両者が同時に回転することを防止できた.それぞれのリングをずらして交互に配置することで全周の遮蔽効果を得ることができた(図5).●おわりに従来,本リングの挿入手技は,2枚目の挿入時に1枚目のリングが引っかかったり,眼内の視認性を低下させたりする点で難易度が高かった.今回紹介した2枚のリングを密着させて同時に挿入する手技では,そのような欠点が克服できた.また,リングの交互配置も比較的容易にコントロールすることができた.あわせて有用な手あたらしい眼科Vol.36,No.6,2019775図2眼内レンズ(NX.70,参天製薬)挿入後図3粘弾性物質で2枚を密着させた状態の全周虹彩付き水晶体を除去し,.内に眼内レンズおよび縫着用のカプセリング(AniridiaRingsType50F,Morcher)ルテンションリングを挿入した状態.従来は1枚ずつ挿入していた全周虹彩付きリングに粘弾性物質を塗布することで2枚を互いに密着させた.技と考える.図4全周虹彩付きリングの2枚同時挿入手技粘弾性物質で密着させた2枚の全周虹彩付きリングを同時に挿入している.左手に持ったフックで眼内におけるリングの挙動をコントロールして,リングの先端を.内に誘導している.図5手術終了時密着した2枚の全周虹彩付きリングをずらして交互に配置することで,全周に隙間なく遮蔽効果を得ることができた.

コンタクトレンズ:コンタクトレンズの装用感

2019年6月30日 日曜日

提供コンタクトレンズセミナーコンタクトレンズ処方さらなる一歩監修/下村嘉一56.コンタクトレンズの装用感●はじめにコンタクトレンズ(CL)装用を安全に続けるうえで,CLの装用感はもっとも重要な事項の一つである.装用感がよくないということは,単なる異物感と捉えるのではなく,CLが眼表面に対して何らかの機械的なストレスを与えていると考えるべきであり,臨床像との関連性も考慮すべきである.装用感は,乾燥感などの自覚症状を含めて快適性(comfort)と表現されており,CL装用時の眼不快感(CLdiscomfort:CLD)には最大限の注意を払わなければならない.CLDは「CLと眼の環境との適合性の低下により生じるCCL装用に関連した視機能異常の有無を問わない一過性あるいは持続する眼の感覚の異常であり,装用時間の減少あるいはレンズ装用の中止を余儀なくされ得るもの」と定義され,CLDを自覚する割合はCCL装用者の半数近くであるとされる1).本稿では,CLDが問題となるタイミングとCCLDの原因について述べる.CLDの原因には,温度,湿度,風,エアコンおよびCVDT(visualCdisplayterminal)作業などの外部環境もあげられるが,レンズとオキュラーサーフェイスの両面から,その対策も含めて述べる.C●タイミングCLDが問題となるタイミングは,ソフトCCL(SCL)とハードCCL(HCL)では特徴が異なる.SCLでは,CLvisualanaloguescale10080604020012471428日日数図1HCL初装時におけるCLDの経時的変化藤田博紀藤田眼科関連ドライアイ(CL-relateddryeye:CLRDE)に伴い,夕方や夜などの一日の装用の終わり頃に生じやすく,またレンズの汚れやCCL関連乳頭性結膜炎(CL-inducedpapillaryCconjunctivitis:CLPC)に伴い,定期交換レンズや頻回交換レンズでは使用終盤に顕著となる.一方,HCLでは,初装時が大きな問題となり,ドロップアウトのおもな原因となる.筆者らの研究では,HCL初装時のCCLDは装用開始C1週間で軽減した(図1).また,初装時においてCCLDが自覚的に装用に支障なくなるまでの期間は,図2のように個人差はあるが平均C23.0C±22.1日であった2).いったん装用に慣れてしまえばCHCLとCSCLの装用感に差異はないため,HCL初装時のCCLDを克服することは臨床的に大きな意義がある.C●レンズCLの装用感は,レンズの表面やエッジと角結膜の物理的な摩擦に関係する.レンズの製品によって異なり3),レンズの素材や表面処理によって摩擦係数が異なると思われ,摩擦係数が小さいと快適性が向上する.レンズデザインにおいても,ベースカーブ,直径,エッジおよびべベルなどがCCLDに影響を及ぼす.とくにCHCLでは,レンズデザインやフィッティングが適切でない場合,異物感や疼痛によるドロップアウトの原因となるため,最適なデザインのレンズを選択し,必要に応じて適時変更図2HCL初装時においてCLDが自覚的に装用に支障なくなるまでの期間(69)あたらしい眼科Vol.36,No.6,2019C7730910-1810/19/\100/頁/JCOPY図3高度円錐角膜に対するpiggybacklenssystemすることが重要である.たとえば,レンズが上方偏位している症例ではレンズ径を小さく,逆にレンズが下方偏位している症例では,レンズ径を大きくしたほうが良好なセンタリングが得られ,装用感が改善する.また,標準サイズの直径の球面レンズと比較して,直径の大きな非球面レンズのほうが初装時のCCLDは軽減される4).とくに,円錐角膜のようにCHCLを用いなければ視覚補正がむずかしい症例では,装用の継続が可能となるように,非球面レンズや多段階カーブレンズなど,レンズデザインの選択に注力する必要がある.それでも強い異物感のため,装用の継続が困難な高度円錐角膜に対しては,SCLの上からCHCLを二重に装用するCpiggybackClenssystem(図3)を用いる場合がある5).この他,レンズの傷,汚れ,変形,破損およびレンズケアもCCLDの原因となりうる.●オキュラーサーフェイスCLの装用は,ドライアイのリスクを高めると報告されており6),CLRDEはCCL装用中止のおもな原因となる.CLRDEに対しては,①含水率が低い,②直径が小さい,③表面の水濡れ性が良好である,④水分蒸発の少ない,⑤エッジが摩擦の少ない滑らかな形状をもつといった特徴のレンズが適している.CLRDEは,SCL装用時にはCsmileCmarkCsuper.cialCpunctateCkeratitis(SPK),CsuperiorCepithelialCarcuatelesion(SEAL),lidCwiperepitheliopathy(LWE)を,またCHCL装用時にはC3C&C9O’clockstainingを引き起こし,それぞれがCCLDの原因となる.これらに対しては,涙液量を増やし,涙液の菲薄化を防ぐ目的で点眼加療を行い,また適切なレンズに変更する必要がある.文献1)NicholsCJJ,CWillcoxCMD,CBronCAJCetal:TheCTFOSCInter-nationalCWorkshopConCContactCLensDiscomfort:Cexecu-tiveCsummary.CInvestCOphthalmolCVisCSciC54:TFOS7-TFOS13,C20132)FujitaH,SanoK,SasakiSetal:Oculardiscomfortattheinitialwearingofrigidgaspermeablecontactlenses.CJpnJOphthalmolC48:376-379,C20043)RobaCM,CDuncanCEG,CHillCGACetal:FrictionCmeasure-mentsConCcontactClensesCinCtheirCoperatingCenvironment.CTribolLettC44:387-397,C20114)藤田博紀,馬場富夫,田中直ほか:大直径非球面ハードコンタクトレンズの初装時における異物感の評価.あたらしい眼科24:835-837,C20075)藤田博紀,佐野研二,溝口正一ほか:円錐角膜におけるコンタクトレンズ選択に関する全国アンケート調査.あたらしい眼科17:1117-1121,C20006)UchinoCM,CNishiwakiCY,CMichikawaCTCetal:PrevalenceCandCriskCfactorsCofCdryCeyeCdiseaseCinJapan:CKoumiCstudy.OphthalmologyC118:2361-2367,C2011PAS118

写真:再発翼状片に対する冷凍保存角膜を用いた角膜上皮形成術

2019年6月30日 日曜日

写真セミナー監修/島﨑潤横井則彦421.再発翼状片に対する冷凍保存角膜を吉岡誇市立福知山市民病院用いた角膜上皮形成術福岡秀記京都府立医科大学眼科学教室図2図1のシェーマ①再発翼状片図1初診時の前眼部写真右眼2-4時に薄い再発翼状片組織の侵入を認める.瞼球癒着・眼球運動障害は認めなかった.図3角膜上皮形成術翌日のフルオレセイン染色所見2-4時角膜輪部近傍にフルオレセインにより染色される移植されたレンティクルを認める.術直後よりソフトコンタクトレンズを装用している.図5術後6カ月の前眼部写真再発翼状片があった部位に瘢痕性混濁を若干残すも,再発を認めない.(67)あたらしい眼科Vol.36,No.6,20197710910-1810/19/\100/頁/JCOPY翼状片が発生する機序は明らかになっていないが,角膜への結膜下線維性増殖組織と結膜侵入を本態とする疾患である.再発においても線維芽細胞が関連している可能性が高いため,若年,強い充血や結膜下線維組織の多い翼状片,再発症例で再発しやすいことが知られている1).治療に際してはこれらを考慮し,再発を予防する工夫が重要である.また,再発翼状片では,初回もしくは複数回の手術の瘢痕形成や結膜.短縮による眼球運動障害を合併しており,それらにも対処する必要がある2).翼状片の再発は,残存した結膜下組織が増殖することや,角膜輪部バリア機能不全のために,角膜へ結膜が侵入すると考えられる.翼状片の再発を予防するためには,これらの病態をどのように対処するかが手術の鍵となっており,自己結膜移植,羊膜移植,角膜上皮移植などが利用されている3).結膜下組織の異常増殖を予防するには,病的結膜下組織を可能なかぎり切除することが重要であることはいうまでもない.それに加え,線維芽細胞増殖を抑制するためにマイトマイシンC(MMC)を術中使用することも有用である2,3).しかし,頻度は少ないものの強膜軟化症や無菌性角膜潰瘍といった重大な合併症が長期にわたって生じる可能性があり,使用には注意が必要である.また,羊膜移植も再発翼状片手術において用いられる.羊膜は,結膜短縮をきたしている症例などにおいて結膜再建を行う場合に有用である.さらに線維性増殖をきたす結膜下線維芽細胞のtransformationgrowthfactor-b(TGF-b)およびそのレセプターの発現を抑制し,凍結保存羊膜中にはepidermalgrowthfactor(EGF),keratinocytegrowthfactor(KGF),hepatocytegrowthfactor(HGF)などの角結膜上皮の創傷治癒促進効果を有する成長因子が発現するため,翼状片手術に適している3).次に角膜上皮形成術(keratoepithelioplasty:KEP)があげられる.この術式は結膜の免疫担当細胞の侵入を抑制できるため,もともとMooren潰瘍に有効な治療として報告されている4,5).再発翼状片に対しては,凍結保存角膜を用いたKEPが有効である.これは,コラーゲンにより構成されるBowman膜が翼状片の侵入を物理的に阻止していることによると考えられる.そのため再発翼状片などの活動性が高く角膜輪部バリア機能の再建を重視すべき場合は,選択されるべき術式の一つである.症例は46歳の男性で,3年前に前医で右翼状片に対してMMCを併用し単純切除および有茎結膜弁移植を施行された.術後再発をきたし,当院を紹介受診となった.受診時所見として,2-4時方向の角膜輪部から瞳孔領まで比較的広く翼状片が角膜へ侵入していた(図1,2)が,すでに鼻側結膜はTenon.組織も薄く,十分に消炎されたため,右再発翼状片単純切除およびKEPを施行した.角膜輪部より約2mmの位置まで結膜・結膜下線維組織を強膜部分まで切開切除し,スパーテルを用いて角膜上の結膜も.離した.0.04%MMCは使用せず,幅2mmの凍結保存角膜から作成したレンティクルを10-0ナイロンで角膜輪部に沿うように移植し,SCLを装用して終了した(図3,4).術後,6カ月経過しているが,再発を認めず経過良好である(図5).本症例は,KEPの単純な効果の理解を助ける症例である.文献1)檜森紀子,中澤徹,劉猛林ほか:初発・再発翼状片の手術成績と翼状片再発の危険因子.あたらしい眼科25:1421-1425,20082)川崎史朗,宇野敏彦,島村一郎ほか:マイトマイシンC術中塗布と羊膜移植を併用した再発翼状片の手術成績.日眼会誌107:316-321,20033)福岡秀記,稲富勉,中村隆宏ほか:羊膜移植による再発翼状片手術の術後成績.あたらしい眼科24:381-385,20074)KinoshitaS,OhashiY,OhjiMetal:Long-termresultsofkeratoepithelioplastyinMooren’sulcer.Ophthalmology98:438-445,19915)粉川範子,西田幸二,横井則彦ほか:周辺部角膜潰瘍の外科的治療─上皮なしのLenticuleを用いたKeratoepithelio-plasty.あたらしい眼科12:1151-1153,1995

総説:第23回 日本糖尿病眼学会総会 特別講演Ⅱ(眼科) 糖尿病網膜症の病態と治療-臨床と基礎研究の接点-

2019年6月30日 日曜日

あたらしい眼科36(6):757~770,2019c第23回日本糖尿病眼学会総会特別講演Ⅱ(眼科)糖尿病網膜症の病態と治療─臨床と基礎研究の接点─PathophysiologyandTreatmentofDiabeticRetinopathy:ClinicalandBasicResearch池田恒彦*共同研究者:奥英弘*1杉山哲也*1植木麻理*1小嶌祥太*1喜田照代*1小林崇俊*1柴田真帆*1佐藤孝樹*1福本雅格*1森下清太*1糸井恭子*1中泉敦子*1細木安希子*1西川優子*1堀江妙子*1中村公俊*2宮崎瑞夫*3高井真司*4はじめに筆者の専門は網膜硝子体手術であるが,筆者自身が硝子体手術を手がけ始めた昭和60年頃は硝子体手術の黎明期で,当時の糖尿病網膜症(diabeticretinopathy:DR)に対する手術成績は決して良好なものではなかった.その後,硝子体手術はめざましい進歩を遂げ,最近では高速回転カッターを用いたmicro-incisionvitrecto-mysurgery(MIVS)やワイドビューイングシステムの普及で,手術成績は著しく向上した1).しかし,増殖糖尿病網膜症(proliferativediabeticretinopathy:PDR)に対する硝子体手術後には再増殖,再.離,血管新生緑内障,視神経萎縮などの併発症をきたす頻度が高い.手術成績を向上させるには病態解明が重要であるが,当時は硝子体中のサイトカインを測定するという臨床研究2~6)や,網膜の主要なグリアであるMuller細胞に関する基礎研究7~10)などを行った.しかし,DRの臨床像はきわめて多彩であり,病態解明にはPDRのみを対象とするのではなく,各病期で総合的に研究する必要性を感じた.そして,日常臨床で感じる素朴な疑問を出発点として,分子生物学,生化学,病理学などの手法を用いながら病態を解明する研究をライフワークにしてきた.本稿では,筆者らのDRに関する病態研究のうち「DRの7不思議」ともいえる次の七つの項目について述べる.I.糖尿病黄斑浮腫(diabeticmacularedema:DME)はなぜ黄斑部に生じるのか,II.硬性白斑が中心窩に徐々に集積するのはなぜか,III.急激な血糖コントロールでDRが悪化するのはなぜか,IV.局所性浮腫で硬性白斑はなぜ輪状になるのか,V.DMEに硝子体手術が奏効するはなぜか,VI.PDRでもDMEをまったく認めない症例があるのはなぜか,VII.DRでしばしば血管の白鞘化を認めるのはなぜか.IDMEはなぜ黄斑部に生じるのかDRに限らず網膜浮腫は,なぜ黄斑部にしばしば生じるのであろうか.網膜浮腫は血管透過性亢進によって生じるが,なぜ無血管である中心窩に浮腫が生じやすいのかという素朴な疑問が湧いてくる.黄斑部に特異的に生じる疾患は黄斑上膜,黄斑円孔,DMEをはじめとして多くの疾患がある.黄斑部には中心窩陥凹および無血管野があり,網膜の構造が他の部位とは大きく異なる.1.特発性黄斑円孔の閉鎖機序DRから少し話は外れるが,黄斑部の特殊性を解明するため,筆者らは特発性黄斑円孔(idiopathicmacularhole:IMH)の発症および硝子体手術後の閉鎖機序について研究してきた.IMHの発症機序としては,Kishiらが提唱した後部硝子体皮質ポケット後壁の硝子体ゲルによる牽引の関与が知られており,IMHの閉鎖はこの牽*1TsunehikoIkeda,HidehiroOku,TetsuyaSugiyama,MariUeki,ShotaKojima,TeruyoKida,TakatoshiKobayashi,MahoShibata,TakakiSato,MasanoriFukumoto,SeitaMorishita,KyokoItoi,AtsukoNakaizumi,AkikoHosoki,YukoNishikawa,TaekoHorie:大阪医科大学眼科学教室*2KimitoshiNakamura:中村眼科*3MizuoMiyazaki:大阪医科大学薬理学教室*4ShinjiTakai:大阪医科大学創薬医学教室〔別刷請求先〕池田恒彦:〒569-8686大阪府高槻市大学町2-7大阪医科大学眼科学教室2522.52017.51512.5107.552.50黄斑部B黄斑と赤道の赤道部A,C周辺部D中間E図1サル眼網膜の各部位におけるネスチン陽性細胞ネスチン陽性細胞は黄斑部にもっとも多く,周辺にいくに従い減少し,最周辺部でまた少し増加していた.(文献25より引用)引が解除されることによるとされてきた11).しかし,IMHの病態にはこのようなメカニカルな機序のみではなく,中心窩網膜には網膜再生能力をもつ細胞が存在し,それがIMHの閉鎖機序に関与するのではないかという仮説のもとに研究を行ってきた12).その一つの根拠として,IMHに対する硝子体手術後の光干渉断層計(opticalcoherencetomography:OCT)所見を見ると,中心窩網膜の層状構造が徐々に修復し,それに平行して視力が改善してくる.近年普及しているinverted.ap法13)施行例でも,最初は蓋をした中心窩網膜にみられる空洞が時間の経過とともに徐々に埋まっていき,最終的には層状構造をもった中心窩網膜が復活する.胎児皮膚のような未分化で幼弱な組織は,傷をつけても再生して瘢痕を残さずに治癒するが,その現象をscarlesswoundhealingとよび,その修復には組織幹細胞が関与するとされている14,15).IMHの術後OCTにおける中心窩網膜の修復過程をみたときに,この現象と共通するものを感じた.2.中心窩網膜と組織幹細胞かつては脳のような中枢神経は再生しないと考えられてきたが,最近の研究で脳の海馬や脳室下帯には神経幹細胞が存在することが証明されている16,17).海馬は記憶や学習に関与する組織で,ストレスを受けやすい部位である.また,全身のほとんどの臓器に組織幹細胞が存在することが知られているが,小腸の陰窩や毛胞のバルジなどはいずれも組織が陥凹した部位に組織幹細胞が存在する18,19).また,組織幹細胞は生涯を通して未分化な状態を維持する必要があり,普段は眠っていて必要に応じて組織を構成する細胞に分化するため,骨髄造血幹細胞のendostealnicheや心臓幹細胞のnicheのように低酸素の環境が必要とされている20).脳と同じ中枢神経の一部である網膜にも毛様体との境界部(ciliarymarginalzone)に組織幹細胞が存在し,とくに魚類では一生を通じ神経細胞,グリア細胞,視細胞に分化していることが知られている21).最近,成体哺乳類でも周辺部網膜に再生能力をもつ細胞が存在することが報告されている22).ストレスを受けやすい脳の海馬と同様に,中心窩は常に光のストレスを受け続けている.また,中心窩は陥凹しており,無血管で低酸素状態にある.このような他の組織幹細胞にみられるような特徴を有していることから,中心窩網膜には組織幹細胞が存在するのではないかという仮説を立てた.Fisherらは,Muller細胞が脱分化して網膜前駆細胞になることを報告し23),Takahashiらも,傷害を受けたMuller細胞が網膜を構成する種々のニューロンに分化することを報告した24).これらの研究によりMuller細胞と神経再生の関連が注目されるようになった.筆者らは,サル眼を使用して中心窩を含む黄斑部組織切片を作製し,神経幹細胞のマーカーであるネスチンで染色してみた.その結果,ネスチン陽性細胞が黄斑部にもっとも多く,周辺に行くに従い減少し,最周辺部でまた少し増加するといった興味深い結果を得た(図1)25).遺伝子発現をrealtime-polymerasechainreaction(PCR)で分析した結果も同様に,黄斑部にもっとも高いネスチンの発現がみられた26).黄斑部にはほかの網膜部位とは異なりネスチン陽性の未分化な細胞が多く,幼若性を有する可能性が考えられる.3.DMEとヒアルロン酸ここで話をDRに戻す.DMEの発症機序を考えるう図2Muller細胞におけるヒアルロン酸結合蛋白(CD44)の発現bFGFとインスリンを培養上清中に添加することで,培養Muller細胞を脱分極させたところ,CD44の発現が増加した.(文献28より引用)えで,ヒアルロン酸という分子に着目した.一般に幼弱な組織にはヒアルロン酸が多く,組織幹細胞や癌幹細胞はヒアルロン酸を産生することが知られている27).また,ヒアルロン酸は,多数の水酸基を有し親水性で保水作用があることが知られている.そこで筆者らは,培養Muller細胞を用いてヒアルロン酸結合蛋白の発現を調べた.その結果,bFGFおよびインスリンで培養Muller細胞を脱分化させると,ヒアルロン酸結合蛋白の一つであるCD44の発現が増加した(図2)28).PDRの硝子体中にはbFGFやインスリンと受容体を共有するIGF-1などのサイトカイン濃度が上昇することが知られている29,30).これらのサイトカインが中心窩に存在する.Muller細胞を脱分化させ,CD44の発現を高めることで,中心窩にヒアルロン酸が蓄積される.その結果としてヒアルロン酸が周囲から水を引き寄せ,黄斑浮腫が生じるのではないかと考えられる(図3a,b).II硬性白斑が中心窩に徐々に集積するのはなぜかヒアルロン酸は保水作用に加えて,脂質の特徴である図3DMEと中心窩硬性白斑集積の発症機序(仮説)中心窩におけるヒアルロン酸結合蛋白の発現増加により,ヒアルロン酸が増加し,周囲から水が引き寄せられてDMEが生じる(a,b).また,ヒアルロン酸の疎水部分と脂質が複合体を形成することで中心窩に硬性白斑が集積する(c).疎水領域も有し,脂質と複合体を形成することが知られている31).硬性白斑の主成分はリポ蛋白であり,中心窩で産生が増加したヒアルロン酸が脂質と複合体を形成し,これが中心窩に蓄積するために硬性白斑の中心窩集積が生じるのではないかと考えられる(図3c).III急激な血糖コントロールでDRが悪化するのはなぜか急激な血糖コントロールでDRが悪化する原因としては,網膜血流量の増加,浸透圧の変化などが指摘されている32,33).また,治療前のHbA1cが高値あるいは長期間HbA1cが高値であった症例では,血糖コントロールaインスリン投与b相対値1.21.110.90.80.70.6controlinsulinglucose(25mM)+Insulin図4摘出網膜血管におけるインスリンのNO合成能ラットの摘出網膜血管におけるNO合成能はインスリンの投与により増加した(a).一方,高グルコース下ではインスリンによりNOの産生はむしろ減少した(b).(文献39より引用改変)後にDR増悪例が多いとされている.さらに,食事療法よりもインスリンによるHbA1cの急激な低下によってDMEが悪化しやすいとする報告があり34),インスリンが浮腫の発症に関与している可能性が示唆される.1.インスリンと一酸化窒素インスリンは血管内皮細胞から一酸化窒素(nitricmonoxide:NO)を遊離させることで血管を拡張し,血流を増加させることが知られている35).また,一酸化窒素合成酵素(nitricoxidesynthase:NOS)のうちの誘導型(inducible)NOS(iNOS)がDRにおける血液網膜関門の破綻に関与するとする報告36)や,血管内皮型(endothelial)NOS(eNOS)遺伝子が2型糖尿病の黄斑浮腫と関連するという報告がみられる37).また,脳や網膜のような中枢神経系ではニューロン,グリア細胞,血管がneurovascularunitという構造を介して,相互に干渉し合っていることが注目されているが,これにもNOSが関与している38).そこで筆者らは,tissueprint法という手法を用いてラットの摘出網膜血管におけるインスリンのNO合成能をみてみた.その結果,インスリン投与によりNOの蛍光強度が増加した(図4a).一方,高グルコース下ではインスリンによりNO産生はむしろ減少した(図4b)39).これらの病態は複雑であるが,iNOSやeNOS,および活性酸素によるNOの消去とのバランスが,インスリン治療導入直後のDRの一時的な悪化の一因となる可能性が考えられる.2.DMEとaquaporin4DMEの成因に血管透過性亢進作用を有する血管内皮増殖因子(vascularendothelialgrowthfactor:VEGF)が関与することはよく知られており,近年,DMEの治療法として抗VEGF療法が普及している.筆者らは,VEGF以外の網膜血管透過性亢進の原因として,aqua-porin4(AQP4)に着目した.AQP4は水チャンネルとして発見され,脳浮腫の発症に関与することが知られて赤:AQP4,緑:GFAPcontrolSTZratGFAPmerge20μm図5ラット網膜におけるアクアポリン4(AQP4)とGFAP免疫組織染色STZラットの網膜において,AQP4の発現は健常ラットより増強していた(a,b).また,AQP4の発現はGFAPと共染色した(c).(文献43より引用)abcount200AddTGN-020VEGF100TGN-020+VEGF001020304050celldiameter(μm)TGN-020:AQP4阻害薬図6培養Muller細胞における細胞容積変化(FACS解析)VEGFに暴露したMuller細胞の細胞容積は増大し(a,b),AQP4の阻害薬であるTGN-020によりその増大は抑制された(c).いる40)が,Muller細胞やアストロサイトなどのグリア細胞で発現がみられるとする報告がある41).また,低酸素条件下のアストロサイトでは低酸素誘導因子1(hypox-ia-induciblefactor-1:HIF-1)を介してVEGFおよびAQP4の発現が増強し,血管透過性が亢進することが知られている42).筆者らは,ラット網膜切片を用いてAQP4とglial.brillaryacidicprotein(GFAP)免疫組織染色を行ったところ,糖尿病モデルであるstreptozotocin(STZ)ラットの網膜におけるAQP4の発現は健常ラットより増強(文献43より引用)していた.また,AQP4の発現はGFAPと共染色した(図5)43).このことは,糖尿病における網膜内のMuller細胞がAQP4やVEGFをより多く発現し,浮腫の一因になっていることを示している.次に,培養Muller細胞における細胞容積の変化を.uorescenceactivatedcellsorter(FACS)解析で調べた.その結果VEGFに暴露したMuller細胞の細胞容積は増大し,AQP4の阻害薬であるTGN-020によりその増大は抑制された(図6)43).つまり,DMEはMuller細胞がVEGFやAQP4の作用により,細胞そのものが図7硬性白斑の疾患による発現パターンの違い局所性DMEでは毛細血管瘤周囲に硬性白斑が輪状に沈着(輪状網膜症)することが多い(a).一方でCoats病では血管に接して硬性白斑が漏出しリング状にならないことが多い(b).膨化することも浮腫の一因になっている可能性が考えられる.細胞容積調節の分子メカニズムには,膨化した細胞を元の大きさに戻そうとするregulatoryvolumedecreaseと,その逆のregulatoryvolumeincreaseがある.また,その調節がうまくいかなかった場合には,細胞がアポトーシスやネクローシスに陥ることが知られている44).このようなメカニズムが中心窩網膜細胞で働いているとしたら,抗VEGF療法の経過中にDMEが寛解増悪することや,遷延するDMEでは視力予後が不良となることの説明になるかもしれない.IV局所性浮腫で硬性白斑はなぜ輪状になるのかDMEの病型の一つに,毛細血管瘤周囲に硬性白斑が輪状に沈着するいわゆる輪状網膜症があり,日常臨床でしばしば遭遇する.しかし,硬性白斑はなぜ輪状になるのかについては明確な答えがない.同じ硬性白斑が網膜に漏出するCoats病では,血管に接して硬性白斑が生じてリング状にならないのとは対照的である(図7).1.DRと炎症DRの病態に炎症が関与することは,現在では広く受け入れられている.その根拠として,糖尿病患者の網脈絡膜での白血球接着分子の発現亢進45),脈絡膜毛細血管での多核白血球浸潤46),糖尿病ラットの微小循環系における白血球捕捉現象47),慢性炎症を亢進させる作用のあるレニン・アンジオテンシン系との関連48)などが報告されている.われわれが日常臨床で行っているステロイドの硝子体注射やTenon.注射は,ステロイドの抗炎症作用を利用していると考えられる.2.DRと自己免疫近年,炎症に加えて,DRと自己免疫の関連が注目されている.自己免疫疾患には組織適合抗原(humanleu-kocyteantigen:HLA)の多様性が関与しており,その発症や進展には個体差が大きい.DRもその発症や進展に大きな個体差が認められるが,HLAクラスII分子であるHLA-DRやHLA-DQの多型(polymorphism)がDRの進展に関与することが報告されている49).また,DR患者の血清中に周皮細胞に対する自己抗体がみられたとする報告50)や,シクロスポリンなどの免疫抑制薬がDMEの治療に有効であったとする報告51)が散見される.糖尿病を発症して長期間経過してもDRにならない症例は,DRを引き起こすような免疫反応が起きにくい体質であると考えられる.3.DRとII型コラーゲン炎症と自己免疫が病態に関与する代表的な疾患に関節リウマチ(rheumatoidarthritis:RA)がある.RAは関節腔に炎症をきたし新生血管を生じる疾患で,この関節腔には硝子体と同様にヒアルロン酸が,関節軟骨にはII型コラーゲンが豊富に存在する.RAの初期では,血清および関節液の抗II型コラーゲン抗体価の上昇がみられることが報告されており52),関節内でII型コラーゲンに対するIII型アレルギー反応が生じて関節軟骨の破壊が生じるとされている.この関節腔と硝子体腔の解剖学的構造および構成要素(II型コラーゲンとヒアルロン酸)が類似していることに着目した.DR患者ではすべての病期において血清および涙液中の抗II型および抗IV型コラーゲン抗体が陽性であるとする報告53)があり,筆者らもDR患者の血清中抗II型コラーゲン抗体価を測定してみたところ,同様にDR患者では,血清中の抗体価がコントロールに比較して有意に上昇しているという結果を得た54).興味深いことに,非糖尿病網膜症(nondiabeticretinopathy:NDR)群のほうが網膜症をすでに発症している群よりも高値であった(図8).DR発症以前の早期から抗II型コラーゲン抗体価が上昇しているということは,DR発症にII型コラーゲンを介した免疫反応が関与していることを示唆している.一方,内耳にもII型コラーゲンを含む軟骨が存在し,蝸牛の中央階の内リンパ液にはヒアルロン酸が豊富に含まれている.この部位が侵されるメニエール病,耳硬化症などの耳鼻科疾患でも抗II型コラーゲン抗体価が血清中で上昇していることが報告されている55).これらの関節腔,内耳,硝子体にはいずれもII型コラーゲンとヒアルロン酸が存在し,それぞれ関節液,リンパ液,硝子体液で満たされている.興味深いことにこれらの組織は,いずれもblood-joint-barrier56),blood-labyrinth-barrier57),blood-ocular-barrier58)といったバリアー機構が存在し,II型コラーゲンが血液中の免疫細胞から隔絶された状態にある.そしてこのバリアー破綻によってもともと存在していた免疫寛容が失われ,関節水腫を伴うRA,内リンパ水腫を伴うメニエール病,黄斑浮腫を伴うDRが発症するのではないかと考えられる.4.輪状網膜症の発症機序抗原と抗体の両者をほぼ等量で混合したときに抗原抗体複合体が凝集して沈降物を作ることを応用したOuchterlony法という検査法がある.ゲル内を移行中の抗体が抗原蛋白と遭遇するとそれぞれが等量濃度になった時点で免疫沈降線を形成するが,これと同様のことが輪状網膜症で生じている可能性がある.すなわち毛細血管瘤から漏出した抗II型コラーゲン抗体価の高い血漿成分が周囲に拡散するに従い希釈され,硝子体中(もしくは網膜中)のII型コラーゲンと等量になった時点で免疫複合体を形成し,フィブリンとともに沈着することにUnits/ml140120100806040200ControlDRNDR図8DR症例の血清中抗II型コラーゲン抗体価DR患者の血清中の抗II型コラーゲン抗体価はコントロールに比較して有意に上昇していた.(文献54より引用)よって輪状網膜症を形成するのではないかと推測される.RAを含む膠原病ではフィブリノイド変性を組織学的特徴とするが,フィブリノイド変性では免疫複合体がフィブリンと共に沈着しており,抗II型コラーゲン抗体が関与するDRの硬性白斑はフィブリノイドである可能性がある.VDMEに硝子体手術が奏効するはなぜかLewisら59)やTachiら60)の報告以来,硝子体手術はDME治療の一つの選択肢になった.手術無効例はあるものの,大半の症例では硝子体を切除することで血管透過性は低下する.DMEに対する硝子体手術の奏効機序としては,硝子体腔内のサイトカインの除去,網膜硝子体牽引の除去などが推測されているが,上記の仮説がもし事実なら,免疫反応の原因となっているII型コラーゲンという抗原そのものを除去することが奏効機序の一つとして考えられる.DRにしばしばみられる硬性白斑が単なるフィブリンではなく,免疫複合体を含むフィブリノイドの沈着だとすると,硝子体を除去するだけで徐々に網膜内(あるいは網膜下)の硬性白斑が減少する機序の説明になるかもしれない(図9).VIPDRでもDMEをまったく認めない症例があるのはなぜか網膜無灌流域を認めない単純糖尿病網膜症(simplediabeticretinopathy:SDR)でもDMEをきたす症例がある一方で,著明な新生血管を認めるPDRでもDME図9硝子体手術後の硬性白斑の減少(a:術前,b:術後)著明な網膜内(網膜下)の硬性白斑は硝子体を除去するのみで,術後徐々に減少していく.図10DRの重症度とDMEの乖離網膜無灌流域を認めないCSDRでもCDMEをきたす症例(Ca)がある一方で,著明な新生血管を認めるCPDRでもDMEをまったく認めない症例(Cb)もあり,DMEの程度はCDRの重症度に必ずしも比例しない.をまったく認めない症例もある(図10).この乖離はなぜ生じるのであろうか.前述したように,DRの進行にはCHLA遺伝子多型の関与が大きいことが知られており61),免疫状態の違いが血管新生を生じるか,浮腫を生じるかを分ける一因となっている可能性がある.C1.糖尿病黄斑浮腫とTh1.Th2バランスTリンパ球には,細胞性免疫に関与し自己免疫疾患や遅延型アレルギーを引き起こすCTh1細胞と,液性免疫に関与し即時型アレルギーを引き起こすCTh2細胞がある.このCTh1細胞とCTh2細胞が産生するサイトカインのバランスが,種々の疾患の病態に関与することはよく知られている62).Th2細胞から産生されるインターロイキンC4やインターロイキンC13などのサイトカインは,肥満細胞の成熟分化を促進させ,血管透過性亢進に関与する種々のケミカルメディエータの産生につながる.そこで筆者らは,DMEの重症度でCTh1/Th2バランスに差がないか調べてみた.その結果,DMEが重症なほど,Th1/Th2バランスがCTh2にシフトしていることがわかった(図11)63).このような体質の違いがCDRの重症度とCDMEの乖離に関与している可能性がある.近年,DRとCTh1/Th2バランスの関連を検討した報告も増加している64~66).C2.Th1.Th2バランスと衛生環境仮説衛生環境仮説(hygieneChypothesis)とは,非衛生的環境ではCTh1細胞が優位となり,衛生的環境ではCTh2ることが知られており,このような現象を免疫修飾(immunomodulation)とよぶ70).DMEが経過観察中に特別な治療なしで自然寛解することは日常臨床でしばしば経験する.図12は左眼のみ硝子体手術を施行し,DMEの推移をみていた症例で,9年という長い経過中に硝子体手術を施行した左眼だけでなく,無治療の右眼細胞が優位となるというものである67~68).正確な疫学的統計はないが,日本人は欧米人に比較してCDMEが多いとされている.その原因の一つに,日本ではCTh2優位の体質の人が増加している可能性が考えられる.かつC30て,ぶどう膜炎のなかで最多であったCBehcetC’s病が最近かなり減少しているのは,BehcetC’s病がCTh1優位の疾患である69)ことに起因している可能性がある.さらTh1/Th220に,即時型アレルギーの代表的疾患である花粉症の著しC10い増加も,現在の日本人がCTh2優位の状態になっている傍証となる.浮腫あり浮腫あり矯正視力0.2以上矯正視力0.1以下3.Th1.Th2バランスと免疫修飾図11DMEとTh1.Th2バランスTh1/Th2バランスは同一症例でも長い経過で変化すDMEが重症であるほど,Th1/Th2バランスがCTh2にシフトしていた.(文献C63より引用改変)2007年1月(29歳)2008年4月(30歳)2016年11月(38歳)RV=(0.08)RV=(0.15)RV=(0.5)LV=(0.06)LV=(0.1)LV=(0.5)図12DMEの自然寛解左眼のみ硝子体手術を施行しCDMEの推移をみていた症例で,9年という長い経過中に硝子体手術を施行した左眼だけでなく,無治療の右眼のCDMEも軽快した.図13透析中のDRにおける網膜動脈の白鞘化視神経乳頭周囲の網膜動脈に沿って白鞘化した部分がまだらにみられる.のCDMEも軽快している.このような症例はCDMEの自然寛解にCTh1/Th2バランスなどの免疫状態の変化が関与している可能性が考えられる.DRも糖尿病という全身疾患の一部ととらえて,免疫状態を含む全身的な因子にも目を向けるべきであろう.CVIIDRでしばしば血管の白鞘化を認めるのはなぜか図13は透析中のCDR症例であるが,視神経乳頭周囲の網膜動脈に沿って白鞘化した部分がまだらにみられる.このような所見は日常臨床でしばしば遭遇する.同じような血管の白鞘化が心臓の冠状動脈や腎臓の血管にも認められ,これらは血管の石灰化であることが報告されている71).網膜動脈のような細動脈と心臓や腎臓のような比較的太い動脈との違いはあるものの,これらの所見が非常に類似していることに着目した.C1.低酸素により誘発される網膜血管の白鞘化これが網膜血管の石灰化であることを示唆するきっかけになった症例を提示する.症例はC65歳の女性.コントロール良好の糖尿病,軽度の脂質異常症,高血圧があり,初診時には網膜血管の白鞘化は認めなかった(図14a).両眼ともに硝子体出血と牽引性網膜.離をきたしたため,硝子体手術を施行したが術後に再.離をきたした.そのときに網膜動脈の著明な白鞘化を認めた(図14b).再手術でシリコーンオイルタンポナ-デを行い,シリコーンオイル下で網膜は復位したが,血管の白鞘化は持続していた(図14c).フルオレセイン蛍光眼底検査では,網膜の血流は保持されており(図14d),OCTで白鞘化した血管部位に通常の網膜血管よりもはるかに強いCacousticshadowを認めた(図14e)72).C2.血管周囲細胞の形質転換血管周囲には,骨細胞,軟骨細胞,脂肪細胞などに分化する能力のある間葉系幹細胞が存在し,低酸素状態で骨細胞に分化しやすいことが知られている73).血管壁細胞や血管平滑筋細胞も間葉系幹細胞の性格があり,骨芽細胞に分化する能力を有する74,75)ため,図14の症例はDRというもともとの循環障害があったうえに,網膜再.離によって虚血状態がさらに増悪し,網膜動脈周囲の間葉系幹細胞などの細胞が骨細胞に分化し,石灰化が生じたのではないかと推測される.C3.DRと血管石灰化DRでは,網膜動脈の平滑筋細胞において骨化を促進する作用のあるCreceptorCforCadvancedCglycationCend-products(RAGE)の発現が増加しているとする報告76),RAGEのCligandであるAGE,highmobilitygroupbox1(HMGB1),S100蛋白質がCDRの増殖膜で認められたとする報告77),骨形成サイトカインである骨形成蛋白(boneCmorphogeneticCprotein2:BMP2)がCDR患者のd図14低酸素により誘発されると考えられる網膜動脈の白鞘化硝子体手術前には網膜動脈の色調は正常であった(Ca)が,術後の再.離時に著明な白鞘化を認めた(Cb).再手術後,シリコーンオイル下で網膜は復位したが,血管の白鞘化は持続していた(Cc).フルオレセイン蛍光眼底検査では,網膜の血流は保持されており(Cd),OCTで白鞘化した血管部位には強いCacousticshadow(赤で囲った部分)を認め,血管壁が石灰化している可能性が考えられた(Ce).眼内で増加しているとする報告78,79)などもあり,この網膜動脈の白鞘化が血管の石灰化であるという推測を裏付けている.CVIIIDRに対する新治療の可能性項目I~IIIの結果から,DMEの新治療の可能性としてヒアルロン酸合成酵素阻害薬などヒアルロン酸をターゲットとした治療法が考えられる.ヒアルロン酸合成酵素阻害薬は,すでに膵臓癌の領域では臨床応用に向HTC研究が進んでいる80).また,NOS阻害薬などのNOをターゲットとした治療法や,AQP4阻害薬などAQP4をターゲットとした治療法の可能性も考えられる.また,項目CIVとCVの結果から,DMEの治療として免疫抑制薬が一つの候補として考えられ,すでにいくつかの報告が出ている51).最近では,抗CVEGF療法がDME治療の主流となっているが,従来行われていた硝子体手術がもう一度見直されてもいいのではないかと思われる.項目CVIの結果からは,Th1/Th2バランスを整えるといった体質改善がCDME治療の候補の一つになるかもしれない.実際,Th1/Th2バランスをCTh1側にシフトさせる薬剤はいくつかあり81),今後の検討課題と考えられる.(文献C72より引用)おわりに以上,DRの日常臨床で疑問に感じる所見を出発点とした筆者らの病態解明研究について述べた.これらの内容はまだまだ発展途上であり,今後さらに検討しなければならないことが数多く残されている.これらはあくまでも問題提起ということで,今後の若い世代の先生方のDR研究の一助となれば幸いである.われわれ臨床医は,日頃何気なく通りすぎていく大切な臨床所見を見逃すことなく,そこから得られる素朴な疑問を大切にしながら,いろいろな研究のアプローチを駆使して病態解明をしていく必要がある.これは臨床医にしかできない研究手法であり,今後も日々の診察を大切にしながら,重要な所見を見逃すことなく病態解明に結びつけていきたい.謝辞:稿を終えるにあたり,昭和C59年からC9年間にわたり硝子体手術をご指導いただいた田野保雄先生(大阪大学眼科学教室前教授,故人),20年以上の長きにわたり基礎研究のご指導をいただいた中村公俊先生(長野県松本市,中村眼科院長)に心より御礼申し上げます.また,第C23回日本糖尿病眼学会における特別講演の機会をお与えいただきました今泉寛子先生(市立札幌病院眼科部長),座長の労をおとりいただきました小椋祐一郎先生(日本糖尿病眼学会理事長,名古屋市立大学医学部眼科学教室教授),日本糖尿病眼学会の理事の先生方,いつも筆者の研究に深いご理解と励ましの言葉をいただいております三宅養三先生(愛知医科大学理事長),岸章治先生(群馬大学眼科学教室前教授)にもこの場をお借りして厚く御礼申し上げます.最後に本研究に尽力してくれた教室員,とくに奥英弘准教授,喜田照代講師に深謝致します.文献1)FujiiCGY,CDeCJuanCECJr,CHumayunCMSCetal:ACnewC25-gaugeinstrumentsystemfortransconjunctivalsuture-lessvitrectomy.OphthalmologyC109:1807-1812,C20022)HirataC,NakanoK,NakamuraNetal:Advancedglyca-tionendproductsinduceexpressionofvascularendotheli-alCgrowthCfactorCbyCretinalCMullerCcells.CBiochemCBiophysCResCommunC236:712-715,C19973)HiraseCK,CIkedaCT,CSotozonoCCCetal:TransformingCgrowthfactorbeta2inthevitreousinproliferativediabet-icretinopathy.ArchOphthalmolC116:738-741,C19984)NishimuraCM,CIkedaCT,CUshiyamaCMCetal:IncreasedCvit-reousCconcentrationsCofChumanChepatocyteCgrowthCfactorCinCproliferativeCdiabeticCretinopathy.CJClinCEndocrinolCMetabC84:659-662,C19995)OkuCH,CKidaCT,CSugiyamaCTCetal:PossibleCinvolvementCofCendothelin-1CandCnitricCoxideCinCtheCpathogenesisCofCproliferativeCdiabeticCretinopathy.CRetinaC21:647-651,C20016)InokuchiN,IkedaT,ImamuraYetal:Vitreouslevelsofinsulin-likeCgrowthCfactor-ICinCpatientsCwithCproliferativeCdiabeticretinopathy.CurrEyeResC23:368-371,C20017)IkedaT,PuroDG:Nervegrowthfactor:amitogenicsigC-nalCforCretinalCMullerCglialCcells.CBrainCResC649:260-264,C19948)IkedaT,PuroDG:Regulationofretinalglialcellprolifera-tionbyantiproliferativemolecules.ExpEyeResC60:435-443,C19959)IkedaCT,CWaldbilligCRJ,CPuroDG:TruncationCofCIGF-ICyieldsCtwoCmitogensCforCretinalCMullerCglialCcells.CBrainCResC686:87-92,C199510)IkedaCT,CHommaCY,CNisi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mplicationCofCVEGFCandCaquaporin4mediatingMullercellswellingtodiabeticreti-naledema.GraefesArchClinExpCOphthalmolC255:1149-1157,C201744)OkadaY:CellCvolume-sensitiveCchloridechannels:phe-notypicpropertiesandmolecularidentity.ContribNephrolC152:9-24,C200645)McLeodDS,LeferDJ,MergesCetal:Enhancedexpres-sionofintracellularadhesionmolecule-1andP-selectininthediabetichumanretinaandchoroid.AmJPatholC147:C642-653,C199546)LuttyCGA,CCaoCJ,CMcLeodDS:RelationshipCofCpolymor-phonuclearCleukocytesCtoCcapillaryCdropoutCinCtheChumanCdiabeticchoroid.AmJPatholC151:707-714,C199747)MiyamotoCK,CHiroshibaCN,CTsujikawaCACetal:InCvivoCdemonstrationCofCincreasedCleukocyteCentrapmentCinCreti-nalmicrocirculationofdiabeticrats.InvestOphthalmolVisSciC39:2190-2194,C199848)SatofukaS,IchiharaA,NagaiNetal:(Pro)reninrecep-tor-mediatedCsignalCtransductionCandCtissueCrenin-angio-tensinCsystemCcontributeCtoCdiabetes-inducedCretinalCin.ammation.DiabetesC58:1625-1633,C200949)AwaWL,BoehmBO,RosingerSetal:HLA-typing,clini-cal,andimmunologicalcharacterizationofyouthwithtype2CdiabetesCmellitusCphenotypeCfromCtheCGerman/AustrianCDPVdatabase.PediatrDiabetesC14:562-574,C201350)NayakRC,AgardhCD,KwokMGetal:Circulatinganti-pericyteCautoantibodiesCareCpresentCinCTypeC2CdiabeticCpatientsandareassociatedwithnon-proliferativeretinop-athy.DiabetologiaC46:511-513,C200351)DugelCPU,CBlumenkranzCMS,CHallerCJACetal:ACrandom-ized,dose-escalationstudyofsubconjunctivalandintravit-realinjectionsofsirolimusinpatientswithdiabeticmacu-laredema.OphthalmologyC119:124-131,C201252)TeratoCK,CShimozuruCY,CKatayamaCKCetal:Speci.cityCofCantibodiesCtoCtypeCIICcollagenCinCrheumatoidCarthritis.CArthritisCRheumC33:1493-1500,C199053)BalashovaCLM,CZa.tsevaCNS,CTeplinskaiaCLECetal:Anti-bodiestotypesIIandIVcollagens,tumornecrosisfactor-alphaCandCcirculatingCimmuneCcomplexesCinClacrimalC.uidCandCserumCofCpatientsCwithCdiabeticCretinopathyCandCdi.erentstages.VestnOftalmolC116:31-34,C200054)NakaizumiCA,CFukumotoCM,CKidaCTCetal:MeasurementCofserumandvitreousconcentrationsofanti-typeIIcolla-genantibodyindiabeticretinopathy.ClinOphthalmolC9:C543-547,C201555)YooCTJ,CStuartCJM,CKangCAHCetal:TypeCIICcollagenCautoimmunityCinCotosclerosisCandCMeniere’sCDisease.CSci-enceC217:1153-1155,C198256)LevickJR:PermeabilityCofCrheumatoidCandCnormalChumanCsynoviumCtoCspeci.cCplasmaCproteins.CArthritisCRheumC24:1550-1560,C198157)JuhnCSK,CHunterCBA,COdlandRM:Blood-labyrinthCbarri-erand.uiddynamicsoftheinnerear.IntTinnitusJC7:C72-83,C200158)StreileinJW:ImmunologicalCnon-responsivenessCandCacquisitionoftoleranceinrelationtoimmuneprivilegeintheeye.Eye9:236-240,C199559)LewisCH,CAbramsCGW,CBlumenkranzCMSCetal:Vitrecto-myCforCdiabeticCmacularCtractionCandCedemaCassociatedCwithposteriorhyaloidaltraction.OphthalmologyC99:753-759,C199260)TachiN,OginoN:Vitrectomyfordi.usemacularedemainCcasesCofCdiabeticCretinopathy.CAmCJCOphthalmolC122:C258-260,C199661)AwaWL,BoehmBO,RosingerSetal:HLA-typing,clini-cal,andimmunologicalcharacterizationofyouthwithtype2CdiabetesCmellitusCphenotypeCfromCtheCGerman/AustrianCDPVdatabase.PediatrDiabetesC14:562-574,C201362)ZhangCY,CZhangCY,CGuCWCetal:Th1/Th2Ccell’sCfunctionCinimmunesystem.AdvExpMedBiolC841:45-65,C201463)ItoiCK,CNakamuraCK,COkuCHCetal:RelationshipCbetweenCdiabeticmacularedemaandperipheralTh1/Th2balance.OphthalmologicaC222:249-253,C200864)ChenH,WenF,ZhangXetal:ExpressionofT-helper-associatedcytokinesinpatientswithtype2diabetesmel-lituswithretinopathy.MolVisC18:219-226,C201265)KaviarasanCK,CJithuCM,CArifCMullaCMCetal:LowCbloodCandCvitrealCBDNF,CLXA4CandCalteredCTh1/Th2CcytokineCbalancearepotentialriskfactorsfordiabeticretinopathy.MetabolismC64:958-966,C201566)CaoCYL,CZhangCFQ,CHaoFQ:Th1/Th2CcytokineCexpres-sionCinCdiabeticCretinopathy.CGenetCMolCResC15:doi:C10.4238/gmr.15037311,C201667)YazdanbakhshM,KremsnerPG,vanReeR:Allergy,par-asites,andthehygienehypothesis.ScienceC296:490-494,C200268)StiemsmaCLT,CReynoldsCLA,CTurveyCSECetal:ThehygieneChypothesis:currentCperspectivesCandCfutureCtherapies.ImmunotargetsTherC4:143-157,C201569)KoaradaCS,CHarutaCY,CTadaCYCetal:IncreasedCentryCofCCD4+TcellsintotheTh1cytokinee.ectorpathwaydur-ingCT-cellCdivisionCfollowingCstimulationCinCBehcet’sCdis-ease.Rheumatology43:843-851,C200470)MartinoCM,CRocchiCG,CEscelsiorCACetal:Immunomodula-tionCmechanismCofantidepressants:InteractionsCbetweenCserotonin/norepinephrineCbalanceCandCTh1/Th2Cbalance.CCurrNeuropharmacolC10:97-123,C201271)ChenNX,MoeSM:Vascularcalci.cation:pathophysiolo-gyCandCriskCfactors.CCurrCHypertensCRepC14:228-237,C201272)NishikawaCY,CMorishitaCS,CNakamuraCKCetal:TwoCcasesCofCproliferativeCdiabeticCretinopathyCwithCmarkedCsheath-ingCofCtheCretinalCarteriesCfollowingCvitrectomy.CCaseCRepOphthalmolC8:40-48,C201773)WangCW,CLiCC,CPangCLCetal:MesenchymalCstemCcellsCrecruitedbyactiveTGFbcontributetoosteogenicvascu-larcalci.cation.StemCellsDevC23:1392-1404,C201474)SchorCAM,CAllenCTD,CCan.eldCAECetal:PericytesCderivedCfromCtheCretinalCmicrovasculatureCundergoCcalci.cationinvitro.JCellSciC97:449-461,C19907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総説:第23回 日本糖尿病眼学会総会 特別講演Ⅰ(内科) 糖尿病診療におけるチーム医療

2019年6月30日 日曜日

あたらしい眼科36(6):753.756,2019c第23回日本糖尿病眼学会総会特別講演Ⅰ(内科)糖尿病診療におけるチーム医療TeamMedicalApproachinDiabetesCare寺内康夫*はじめに糖尿病の分野では,新たな治療薬の開発や臨床応用が日々進み,同時に,透析予防に代表される合併症予防や大血管障害への対策が重要視されている.そのために,関連各科医師とメディカルスタッフ間での診療科や職種を超えた連携,地域の実情に応じた適切な医療連携など,チーム医療をオーダーメイドに作りあげていく必要がある.2000年に,日本糖尿病学会,日本糖尿病教育・看護学会,日本病態栄養学会が母体となり,「日本糖尿病療養指導士認定機構」を設立し,「日本糖尿病療養指導士(certi.eddiabeteseducatorofJapan:CDEJ)」の資格認定を開始した.この資格は,糖尿病とその療養指導全般に関する正しい知識をもち,医師の指示の下で患者に療養指導を行うことのできる熟練した経験を有し,試験に合格した看護師,管理栄養士,薬剤師,臨床検査技師,理学療法士に与えられる.本機構設立から17年が経過した2017年6月時点で,CDEJの資格保有者は19,399人になった.CDEJ以外にもさまざまな立場や職種の人々が糖尿病チーム医療に参画している.今回の特別講演では,おもに糖尿病診療におけるチーム医療の変遷と今後の展望について述べる.I糖尿病治療の目標日常診療においては,血糖,体重,血圧,血清脂質の良好なコントロール状態の維持を心がけるが,これは当面の目標に過ぎない(図1).糖尿病細小血管合併症(網血糖,体重,血圧,血清脂質の良好なコントロール状態の維持図1糖尿病治療の目標(日本糖尿病学会編・著:2016-2017糖尿病治療ガイド.p26,2017)*YasuoTerauchi:横浜市立大学大学院医学研究科分子内分泌・糖尿病内科学〔別刷請求先〕寺内康夫:〒236-0004横浜市金沢区福浦3-9横浜市立大学大学院医学研究科分子内分泌・糖尿病内科学0910-1810/19/\100/頁/JCOPY(49)753(年)■日本人の平均寿命■糖尿病患者の死亡年齢9080706050図2糖尿病患者の寿命「糖尿病死因に関する委員会」(中村二郎委員長)の報告より(文献1より引用)膜症,腎症,神経障害)および動脈硬化性疾患(虚血性心疾患,脳血管障害,閉塞性動脈硬化症)の発症,進展を阻止することがより上位の目標になる.さらに重要なことは,健康な人と変わらない生活の質(qualityoflife:QOL)の維持,健康な人と変わらない寿命の確保のために,糖尿病治療を実践するということである.II糖尿病患者の寿命糖尿病患者の死亡年齢と日本人の平均寿命との間には10.13歳の開きがあったが,最近の報告では,その差が少し縮小してきている(図2)1).今後一層縮小できるよう,糖尿病治療のあり方を検討する必要がある.III糖尿病療養指導士制度の始まり米国,カナダ,豪州などでは,1970年代の初頭より糖尿病療養指導従事者の専門性と認定について検討が行われ,1986年には資格としてcerti.eddiabeteseduca-tor(CDE)制度が発足した.日本においても2000年に日本糖尿病学会,日本糖尿病教育・看護学会,日本病態栄養学会が母体となり,「日本糖尿病療養指導士認定機構」を設立し,「日本糖尿病療養指導士(CDEJ)」の資格認定を開始した.この資格は,糖尿病とその療養指導全般に関する正しい知識をもち,医師の指示の下で患者に療養指導を行うことのできる熟練した経験を有し,試験に合格した看護師,管理栄養士,薬剤師,臨床検査技師,理学療法士(2000年度より2004年度までは准看護師,栄養士も対象)に与えられ,2001年3月に第1回認定試験が行われた.本機構設立から17年が経過し,CDEJの資格保有者は19,399人になった.一方,日本の各地でcerti.eddiabeteseducatorlocal(CDEL)の教育・資格認定も進んできた.IV糖尿病チーム医療の意義と変遷日本人糖尿病患者の90%以上を占める2型糖尿病の発症・進展予防には,1次予防(発症予防),2次予防(合併症の発症予防),3次予防(重症化予防)があるが,いずれのステップにおいても高度良質な療養指導が求められ,そこにCDELの活躍が期待される.2型糖尿病治療の3本柱は食事療法,運動療法,薬物療法である.食事療法,運動療法においては,日常生活習慣の是正が求められるが,糖尿病専門医だけでは十分な指導がむずかしい.また,薬物療法においても,内服薬の正しい知識習得と服薬実行,注射製剤の知識習得と自己注射には糖尿病療養スタッフが不可欠である.従来は患者中心の院内チームによる医療が行われてきたが,患者の高齢化や孤立を考えると患者家族,地域の行政も巻き込んだ地域連携のチーム医療を構築していく必要がある.多職種・多施設によるチーム医療では,いかにして「情報の共有」を図ったらよいか,誰がプロデュースするのか,という視点がますます大切になってくる.また,糖尿病療養指導が施設完結型から地域包括型へ移行していく際に,CDEJとともにCDELが糖尿病チーム医療に果たす役割は大きい.CDEJ発足以前から地域に根付いた地道な活動をしてきたCDELも多く存在する.両者の協力体制の強化は医療機関連携および介護連携への貢献も期待される.V糖尿病療養指導士に求められる役割糖尿病患者の良好な代謝コントロールを維持し,合併症の発症および進展を抑制することによって,健常人と変わらぬ社会活動を可能にするためには,患者と医療側の生涯にわたる密接な連携による療養指導が必要である.糖尿病診療の基本となる食事・運動療法,および薬物療法は,患者の日常生活そのものである.個々の患者の生活を理解し評価したうえで,医師が指示する治療方針を正しく適切に患者に伝え,患者が自己管理できるように支援することがCDEJの大きな使命である2).患者の日常生活が治療行為でもある糖尿病診療では,治療や療養指導の場は医療施設内のみにとどまることなく,患者の自宅や職場にも及ぶ.また,超高齢社会となった現在の日本において,フレイル・要介護状態・認知754あたらしい眼科Vol.36,No.6,2019(50)GOAL(目的変数)図3糖尿病治療継続には治療モチベーションの維持・向上が重要治療継続には,治療モチベーションの維持・向上が鍵モチベーションを高める8つの因子が存在する.(文献3より引用)症を伴った高齢糖尿病患者は増加しつつあり,治療や介護の場は地域全体へと広がっている.CDEJには,地域それぞれの特性に応じて,医療資源・人的資源を有効に活用して活動することも求められている.糖尿病療養指導は一人のCDEJで完結できるものではなく,多職種の協働や後進の育成を通して多角的で継続的な療養指導を可能とする必要がある.そのためにCDEJには,協働や育成が良好に行われる療養指導環境を作ることが求められる.VICDEJの未来CDEJの認定は5年ごとの更新制となっているが,その更新率は発足以来60%台に低迷している.それに加え新規受験者数が減少している.糖尿病学会の認定教育施設の中には,数十名のCDEJが在籍しているところもある一方,糖尿病患者が大勢いるにもかかわらず,CDEJが不在な施設が多く存在する.今のCDEJ認定制度では,常勤医師の基準をクリアできずに受験申請を断念している者が地方には多いとの声を聞く.厳しい環境下で患者に寄り添って「チーム医療」をしてきた者が,希望し努力すればCDEJになれる道筋を検討する時期に来ている.高齢社会への対応も含み,多様化する糖尿病診療体制やさまざまな患者に対応できる「チーム医療」の担い手としてのCDEJの今後は,誰が責任をもつべきであろうか.本機構と設立母体である学会3団体,CDELのネットワーク構築に取り組んでいる関係団体と,よりよいCDEの育成のあり方と資格取得後の生涯教育,日本の糖尿病診療体制を見直す時期が到来している.VII糖尿病患者が前向きに治療に取り組む因子糖尿病治療の現場では患者の治療意欲の低さがたびたび問題になる.本講演では,筆者が関与したT-CARESurvey3)について紹介した.“糖尿病治療における重要な患者の態度”を“患者自身が治療に向き合うこと”であると仮定し,それらを表す項目として「治療に必要なことはきっちりやっている」「前向きに治療に取り組んでいる」の2項目を設定し,これら2項目に影響を与える項目として,「治療・病気に関する知識の認識」「糖尿病治療の評価」「糖尿病の心配事」「医師との関係」「家族との関係」を仮定した.これらの5項目について,因子分析によって治療モチベーションに関与する因子を抽出した.抽出された因子の中で,どのような要因が「治療に必要なことはきっちりやっている」「前向きに治療に取り組んでいる」の2項目に表現される治療に取り組む態度につながるかを明らかにするため,抽出された因子を説明変数「きっちり・前向きに取り組む」(「治療に必要なことはきっちりやっている」と「前向きに治療に取り組んでいる」の2項目の平均値)を目的変数とする重回帰(51)あたらしい眼科Vol.36,No.6,2019755表1「きっちり・前向きに取り組む」指標を目的変数とした重回帰分析結果(文献3より引用)分析を行った.「きっちり・前向きに取り組む」を目的変数として有意に説明力があった項目は「糖尿病治療の評価/治療効果の認識・理解」「治療・病気に関する知識の認識/自分の病状の理解」「家族との関係/精神的つながり」「糖尿病治療の評価/治療の精神的負担」「医師との関係/理解・支え」「治療・病気に関する知識の認識/糖尿病の薬や治療方法の知識」「医師との関係/うるさい」「家族との関係/行動的サポート」の8因子であった(図3).とくに説明力の高い上位2項目は「糖尿病治療の評価/治療効果の認識・理解」と「治療・病気に関する知識の認識/自分の病状の理解」であった(図3,表1).VIII糖尿病患者を前向きにするためにセルフケアが求められる糖尿病においては,患者自身が自らの疾患とその現在の状態を十分に理解することがなによりも重要である.自らを知ることで,その先どうすべきかを考えることができるようになる患者は多い.そこで,われわれ医療者は,患者自身が納得して自らの行動を選択できるように,治療方法や薬に対して十分な説明や教育といったサポートを継続的に行う.患者自らが意思決定することによって行動に責任感も生まれ,治療の効果へとつながることを実感することにより,治療に対してさらに前向きに向き合えるようになると考えられる.T-CARESurvey3)では,家族や医師との関係性や精神的ストレスが治療モチベーションへの阻害因子として抽出された.患者に一番身近な家族との関係性を良好に構築し,家族の精神的・行動的サポートを得ることは,日々の生活の改善を実践することに不可欠である.患者の精神的不安を解消し,治療モチベーション向上の大きな支えとなれるよう,精神的ケアを担うことがチーム医療スタッフにも期待されている.一方,医師との関係性が良好でない場合も,療養指導が患者にとって口うるさいものとしか感じられず,治療へのモチベーションを下げる結果につながることも肝に銘じるべきであろう.おわりに高齢社会への対応も含め,多様化する糖尿病診療体制やさまざまな患者に対応できる「チーム医療」の構築とその人材育成が急務である.設立母体である学会3団体,CDEL育成とCDEのネットワーク構築に取り組んでいる日本糖尿病協会などの関係団体と協議を重ね,よりよい療養指導士の育成のあり方と資格取得後の生涯教育,日本の糖尿病チーム医療を見直す必要がある.その際,患者の治療意欲を高めるために,患者自身が自らの疾患とその現在の状態,治療効果を十分に理解できるよう,糖尿病チーム医療にかかわるすべてのスタッフが意識することが重要である.文献1)中村二郎,神谷英紀,羽田勝計ほか:糖尿病の死因に関する委員会報告─アンケート調査による日本人糖尿病の死因─2001.2010年の10年間,45,708名での検討.糖尿病59:667-684,20162)日本糖尿病療養指導士認定機構編著:糖尿病療養指導ガイドブック2018.─糖尿病療養指導士の学習目標と課題─(寺内康夫編),メディカルレビュー社,20183)寺内康夫,久保理佳子,栗原崇泰:糖尿病患者の意識・実態に関するweb調査「T-CARESurvey」から分析した糖尿病患者のタイプ別治療モチベーションアップの方策.医学と薬学71:2075-2089,2014☆☆☆756あたらしい眼科Vol.36,No.6,2019(52)