特集●正常眼圧緑内障の最新事情あたらしい眼科33(1):13.20,2016特集●正常眼圧緑内障の最新事情あたらしい眼科33(1):13.20,2016正常眼圧緑内障の病態PathologicalConditionofNormal-TensionGlaucoma金森章泰*はじめに原発開放隅角緑内障(primaryopen-angleglaucoma:POAG)は広義としての病名であり,いわゆる眼圧が高いタイプの開放隅角緑内障(ここではhightensionglaucoma:HTGとする)と正常眼圧緑内障(normaltensionglaucoma:NTG)の両者を含む1).疾患の定義としては眼圧が21mmHg以上か未満でNTGとHTGを分けているだけであるが,開放隅角緑内障(openangleglaucoma:OAG)であるという同一スペクトラムにありながら,NTGとHTGでは異なる視野障害や構造的障害を呈するという報告が多数ある.これは単に眼圧が及ぼす影響がHTGでは強く,逆にNTGでは弱いだけなのか,それとも他のNTGの独自の因子があるのか未だよく解明されていない.NTGの病態について,NTGを区別した研究を基にHTGと対比しながら稿を進める.INTGの構造的特徴NTGはHTGとは異なる構造的障害をきたすことが古くから報告されている.同等の視野障害をもつNTGとHTGを比べたところ,NTGはとくに耳下側の乳頭辺縁部の菲薄化や,より大きな乳頭陥凹やそれに伴うnotch形成,より限局した網膜神経線維層(retinalnervefiberlayer:RNFL)欠損などが以前から報告されている.また,25年も前に,すでに山上らはNTGには視野障害出現に先行して乳頭陥凹が拡大する何らかの病態が存在するのではという指摘をしている2).しかし,眼底写真による構造解析は,微細な変化をとらえるには限界があった.近年,網膜や視神経乳頭内構造の観察のためにさまざまな光学的機器が開発され,臨床応用されている.おもに視神経乳頭解析を行うことができる共焦点走査レーザー顕微鏡であるHeidelbergRetinaTomograph(HRT)や,光干渉断層計(opticalcoherencetomography:OCT)を用いてOAGの構造解析を行った研究により多くの知見が得られているが,NTGとHTGを分けて解析した研究はそれほど多くない.そのなかでも重要なものを紹介する.初期のHRTであるHRT-1を用いてNTGとHTGの視神経乳頭解析を行った研究は10年以上前に報告されている.NTGのほうが陥凹乳頭比(cupofdiskratio:C/Dratio)が大きく,下方に限局したrimareaの減少がみられたという報告もあれば3),両者に差はなかったという報告もある4).わが国からはNTGのほうがより大きなC/DratioがNTG群にみられたと報告されているが5),差はなかったという報告もある6).また,GDxの前機種であるNerveFiberAnalyzerを用いて上下半どちらかの視野障害をもつNTGとHTGの正常視野側の視神経乳頭周囲網膜神経線維層(circumpapillaryretinalnervefiberlayer:cpRNFL)を比べたところ,HTGでは有意に視野障害と相関していたが,NTGはそうではなかったという報告がある7).すなわち,HTGではびまん性のcpRNFL障害が視野進行とともに起き*AkiyasuKanamori:神戸大学大学院医学研究科外科学講座眼科学分野〔別刷請求先〕金森章泰:〒650-0017神戸市中央区楠町7-5-1神戸大学大学院医学研究科外科学講座眼科学分野0910-1810/16/\100/頁/JCOPY(13)1314あたらしい眼科Vol.33,No.1,2016(14)その病態にあっているのかもしれない.とくに,欧米人に比べ日本人は平均眼圧が低い.冒頭で21mmHgでNTGとHTGを分けるとしたが,わが国においてはもっと低い眼圧値,例えば15mmHg程度で両者を分けるほうが病態研究には適している可能性がある.わが国でのLowerNormalPressureGlaucomaStudyGroup(LNPGS)の今後の進展に期待したい.IINTGの眼圧依存性因子と眼圧非依存性因子現在,NTGにおけるエビデンスのある唯一の治療は眼圧下降である.眼圧下降により視野狭窄進行の抑制が証明されている一方,また同時に眼圧を下降させても視野障害が進行することも証明されている.NTGの病態には,眼圧依存性因子と非依存性因子が混在しており,両者を別々に考える必要がある.1.NTGにおける眼圧依存性因子NTGといっても眼圧依存性因子がその病態には一番大きな要素である.多くの報告でNTGにおいても手術加療により視野維持効果があったことを証明している14.17).また,緑内障点眼のみによる効果も報告されている.わが国で緑内障点眼で加療したNTG患者に関する研究では,視野進行群では非進行群に比べ有意に眼圧が高く,その他の因子(偏頭痛,糖尿病,緑内障家族歴など)は視野進行因子ではなかったとしている18).また,眼圧の質も近年では重要視される.NTGで平均15mmHg以上か,それ未満で分けた群で24時間眼圧をトノペンで測定したところ,15mmHg未満では夜間(仰臥位)で有意に眼圧が上昇した19).また,わが国からも,NTGでは眼圧の日内変動が少ないほど視野進行が少なく20),視野進行が早いNTG群では眼圧変動が大きかったと報告された21,22).さらに,仰臥位時は座位時よりも眼圧が上昇することが知られているが,仰臥位による眼圧上昇値が視野進行と関連があったとされる23).2.NTGにおける眼圧非依存性因子NTGと落屑緑内障において視野変化を比べた最近の研究によると,純粋に高眼圧による緑内障と位置づけた落屑緑内障群(平均眼圧16.5mmHg)はNTG群(平均やすく,NTGでは局所的な障害が起きやすいことを示唆している.また,スペクトラルドメインOCT(spec-traldomainOCT:SD-OCT)であるRTVueを用いて,NTGとランダムに抽出したPOAGの2群の比較を行った結果,cpRNFLの全周の平均値に両者で差はなかったが,黄斑部の網膜内層の厚みを示す網膜神経節細胞複合体(ganglioncellcomplex:GCC)に差がみられ,NTGはHTGより有意に小さかったという8).NTGとHTGの構造的障害の差異を示す結果である.NTGのなかでも眼圧が低い群と高めの群で分けた研究もある.黄斑乳頭線維束欠損のあるNTGのなかで,眼圧がより低い群(<15mmHg)では15.20mmHgの群に比べ,より限局し,中心に近い線維束が欠損していたという9).同程度の初期緑内障視野障害をもつ低眼圧群(<14mmHg)と高眼圧群の視神経乳頭をHRTにより解析したところ,低眼圧群ではC/D比が大きく,とくに鼻側のrimvolumeが小さかった10).乳頭形状解析もSD-OCTを用いることでより細かな解析が行えるようになった.Bruch膜開口部(Bruchmembraneope:BMO)が注目されつつあり,BMOを視神経乳頭縁とする報告が増えてきている.これに着目し,網膜断面図に対するBMOの傾きや,黄斑部に対する視神経乳頭長軸の回旋度をNTGとHTGで比較した研究では,上方に傾いている症例あるいは上方に回旋している症例がNTGのほうが多かったと報告されている11).OCTで測定した篩状板厚や前部篩状板厚も画像研究のトピックのひとつである.NTGとHTGで視野狭窄程度を一致させた研究では,NTGのほうが篩状板厚が薄く,支持組織が薄いためRGCの軸索がより障害されやすいのではと議論している12).逆に,前部篩状板厚は,初期の視野欠損を有する群での比較ではNTGのほうがHTGよりも厚いとの報告がある13).以上の報告を総合すると,やはりNTGはHTGと多少異なる緑内障性構造障害を有するようである.しかし,具体的にはまだ解明されておらず,年齢や視野障害程度が完全にマッチした両群での比較を行っていく必要がありそうである.さらに,NTGを研究する際は,いわゆるlowteenの緑内障患者に限定した対象を研究があたらしい眼科Vol.33,No.1,201615(15)みがリスク因子として残り,15mmHgより高い群では平均眼圧値や眼圧変動がリスク因子であったと報告されている.やはりより眼圧が低いNTGでは非眼圧因子の影響が強いと予測される39).一方,乳頭出血は非眼圧因子によるものと考えられるが,LEC後にその出現頻度が減ったことから乳頭出血への眼圧の影響も考えられることも明記したい48).海外ではNTG発症の大きな危険因子とされる緑内障家族歴は,視神経乳頭の脆弱性を示唆する眼圧非依存性因子の一つと予想しうるが,わが国では,多治見スタディによると明らかな発症因子と証明されなかった.視野障害進行因子としてCNTGSでは偏頭痛,女性,乳頭出血があげられ,緑内障家族歴はそうではなかった26).わが国の他の報告でも進行因子ではないようである36).これらの解析は,研究対象の家族歴の浸透率に大きく左右されるので結論が出ないが,現時点では家族歴があるからといって視野狭窄が早いと考える必要はなく,NTGの病態に直接かかわるような因子としてはあげるべきではなさそうである.IIINTG病態研究の限界NTGは「眼圧依存性ならびに非依存性因子により,視神経と網膜神経節細胞(retinalganglioncell:RGC)がプライマリーに障害される疾患であり,その結果として“緑内障性視野障害”と“緑内障性視神経障害”をきたす疾患」としかいいようがない.眼圧依存性因子はNTGでは眼圧は正常であるから,眼圧脆弱性というべきかもしれない.病態としては,酸化ストレスやグルタミン酸などさまざまな実験モデルや臨床的研究の積み重ねを基に,多種にわたる眼圧非依存性因子が指摘されている(図1)が,どれも決め手に欠く(だからこそ多数の因子があるともいえる).これらの眼圧非依存性因子としてあげられる因子も,実は眼圧によるダメージによってもたらされるものである可能性もある.これらの因子を負荷することで確かに実験的にはRGCのアポトーシスや視神経乳頭陥凹拡大を作り得るが,人眼のNTGを動物で模倣するのは現状の科学をもってしても困難である.だからこそ,単一のストレスモデルによる基礎的研究を積み重ねいくことで,NTGの病態解明が可能にな眼圧13.3mmHg)よりも視野進行が早い(.0.64dB/年vs.0.35dB/年)が,年齢,眼圧,角膜厚を調整すると進行率に差はなかったとしている24).さらに,固視点付近の視野進行例はNTGが多いという結果であり,多変量解析で固視点付近の中心視野狭窄進行と関連があったのはNTGという分類のみであったと述べている.すなわち,眼圧は関係なく,NTGという病態が固視点付近の暗点が進行しやすいという結果は,眼圧非依存性因子が直接視力低下をきたすような視野狭窄進行につながる可能性を示唆している.われわれ臨床医はその因子について理解しておく必要がある.現在までNTGの眼圧非依存性因子の存在の根拠として,偏頭痛や血管攣縮などの頻度が高いことや25.27),睡眠時無呼吸28),自己免疫29)などがあげられる.また,低い脳脊髄圧が関与しているという報告もある30,31).近年,韓国での18,240人を対象としたスクリーニング検診では高血圧と耐糖能異常が発症因子としてあげられた32).視野狭窄進行に関する因子として指摘されているのは無症候性脳梗塞33),夜間低血圧や全身の循環状態34,35),視神経の微小循環障害など36)があげられ,これらは循環障害と考えられる.低い眼灌流圧も進行因子の一つである37,38).高血圧は視野進行と関連していたという報告もあるが33),関連はないという報告も多い26,39,22).また,近年,視神経乳頭の血流研究の精度があがり,多くの知見が得られつつある40.43).NTGの視野進行の眼圧非依存性因子として循環障害があるのは間違いない.乳頭出血はNTGではHTGの4倍の確率でみられることが知られている.その機序は未だ不明だが,視神経乳頭から網膜表層の毛細血管網が破綻することで起こるといわれている44).以前から乳頭出血が視野進行の因子として指摘されているが45),CNTGSの報告では乳頭出血のある群では治療群と無治療群で視野障害進行に差はなく,眼圧非依存性因子による視野障害進行のリスクがあることを示唆している46).また,乳頭出血出現はNTGにおいてRNFL欠損の拡大と視野進行と明らかに関連があることがプロスペクティブスタディでも明らかになった47).また,NTGにおいて,眼圧を15mmHg以上と以下で2群に分け,視野進行に対する因子を調べた研究では,15mmHg以下の群では乳頭出血の有無の網膜神経節細胞死を起こす諸因子発症のリスクファクター高眼圧糖尿病家族歴近視軸索輸送障害循環障害神経栄養因子欠乏グルタミン酸毒性酸化ストレス遺伝的要素構造的脆弱性網膜神経節細胞死炎症免疫異常図1NTGにおける非眼圧性因子GONMOMON緑内障性視神経症近視性視神経症眼圧などの応力によって生じる篩状板の脆弱性による視神経障害近視特有の傾斜などで生じる構造的変化による視神経障害近視眼緑内障緑内障性変化が強い近視性変化が強いb-PPAg-PPA〈視神経症の進行速度〉〈乳頭出血の頻度〉速多い遅少ない図2緑内障性視神経症と近視性視神経症近視性視神経症は,構造的脆弱性に代表される近視眼における特徴により生じると考えられる.緑内障性視神経症とは多くの点でオーバーラップする.(あたらしい眼科32:1418,2015より引用)眼圧眼圧眼圧非依存性眼圧依存性依存性因子因子非依存性因子因子眼圧下降治療は効果的眼圧下降治療は限定的効果それでも手術せざる得ない症例がある図3NTGにおける眼圧依存性因子と眼圧非依存性因子現状ではNTGにおいて,両者の影響の割合が確定できない.トラベクレクトミーをもってしても眼圧依存性因子を少なくすることしかできない.2)63).また,近視眼でみかける視力低下を伴う中心視野障害先行型の緑内障は社会的にも大きな損失である.進行を単純にMDスロープでみるだけではなく,visualfieldindex(VFI)など,中心窩付近の機能もふまえた解析をする必要があると考える.近視は治療することはできない.これらの視機能損失は近視により,より頻度が高まるものだとすると,近視の進行抑制がNTGによる社会的失明を予防することになるようにも思われる.もう一つのジレンマについて述べる.NTGでも治療として最終的にはトラベクレクトミー(trabeculectomy:LEC)を行うことになるが,いうまでもなく,LECはさまざまな合併症が起こりえるうえに,永続的にその効果を期待できるものではない.メリットがデメリットを上回るからこそLECを行う決断をする.しかし,筆者が常々悩むのが,個々の症例で,眼圧依存性因子と非依存性因子の関与の割合がNTGでは予測しえないことである(図3).一般的にはより眼圧が低いNTGは眼圧非依存性因子が大きいと考えられ,たとえば眼圧が10,11mmHgの症例ではLECをためらうことになる.とくに唯一眼で,視機能が比較的良好にもかかわらず着実に進行している症例では非常に悩む.逆に眼圧がhighteenの症例はLECによる眼圧下降が視野維持に(17)あたらしい眼科Vol.33,No.1,20161718あたらしい眼科Vol.33,No.1,2016(18)withprimaryopen-angleornormal-tensionglaucoma.JGlaucoma13:291-298,20047)MatsumotoC,ShiratoS,HanedaMetal:Studyofretinalnervefiberlayerthicknesswithinnormalhemivisualfieldinprimaryopen-angleglaucomaandnormal-tensionglau-coma.JpnJOphthalmol47:22-27,20038)KimNR,HongS,KimJHetal:ComparisonofmacularganglioncellcomplexthicknessbyFourier-domainOCTinnormaltensionglaucomaandprimaryopen-angleglau-coma.JGlaucoma22:133-139,20119)KimDM,SeoJH,KimSHetal:Comparisonoflocalizedretinalnervefiberlayerdefectsbetweenalow-teenintra-ocularpressuregroupandahigh-teenintraocularpres-suregroupinnormal-tensionglaucomapatients.JGlauco-ma16:293-296,200710)白木玲子,内田英也,石田恭子ほか:正常眼圧緑内障における視神経乳頭の眼圧レベルによる形態的差異.日眼会誌109:19-25,200511)ParkHY,LeeKI,LeeKetal:Torsionoftheopticnerveheadisaprominentfeatureofnormal-tensionglaucoma.InvestOphthalmolVisSci56:156-163,201512)ParkHY,JeonSH,ParkCK:Enhanceddepthimagingdetectslaminacribrosathicknessdifferencesinnormaltensionglaucomaandprimaryopen-angleglaucoma.Oph-thalmology119:10-20,201213)JungYH,ParkHY,JungKIetal:Comparisonofprelami-narthicknessbetweenprimaryopenangleglaucomaandnormaltensionglaucomapatients.PLoSOne10:e0120634,201514)BhandariA,CrabbDP,PoinoosawmyDetal:Effectofsurgeryonvisualfieldprogressioninnormal-tensionglaucoma.Ophthalmology104:1131-1137,199715)Comparisonofglaucomatousprogressionbetweenuntreatedpatientswithnormal-tensionglaucomaandpatientswiththerapeuticallyreducedintraocularpres-sures.CollaborativeNormal-TensionGlaucomaStudyGroup.AmJOphthalmol126:487-497,199816)ShigeedaT,TomidokoroA,AraieMetal:Long-termfol-low-upofvisualfieldprogressionaftertrabeculectomyinprogressivenormal-tensionglaucoma.Ophthalmology109:766-770,200217)AoyamaA,IshidaK,SawadaAetal:Targetintraocularpressureforstabilityofvisualfieldlossprogressioninnormal-tensionglaucoma.JpnJOphthalmol54:117-123,201018)中神尚子,山崎芳夫,早水扶公子:正常眼圧緑内障の視野障害進行に対する薬物療法と臨床背景因子の検討.日眼会誌114:592-597,201019)MoonY,LeeJY,JeongDWetal:Relationshipbetweennocturnalintraocularpressureelevationanddiurnalintra-ocularpressurelevelinnormal-tensionglaucomapatients.InvestOphthalmolVisSci56:5271-5279,201520)NakagamiT,YamazakiY,HayamizuF:Prognosticfac-奏効すると思われるが,果たして全症例をおしなべてそのように考えてよいものだろうか.LECによる本当の効果は術後数年経過し,視野の進行具合をみないと実感できないうえに,患者個人にとってはLECを選択した場合としない場合は比較することができず,LECの意義を感じることはまず不可能であろう.しかし,われわれにはリスクを恐れずに最善の医療を提供する義務がある.LECを患者に勧める前に,視野進行に対する個々人での眼圧依存因子・眼圧非依存因子の割合が把握できれば非常に有益な情報となるのだが,現実はそうではない.われわれは先人が積み重ねてきた研究を基にLECの適応を決めているが,個人差が大きいことは予想され,限界がある.近年,岐阜大学からNTGの多数例の長期間の予後に関する報告がなされた64).これを読んで,しっかり治療すれば失明に至る率はそれほどでもないと感じた.しかし,現実はわが国における視覚障害の第1位は緑内障であり,NTGも相当数含まれるだろう.現状では眼圧依存性因子をできるだけ少なくすることしかできない.眼圧非依存因子は抑制することができないからこそ,将来の視機能維持のためにNTGにおいても積極的な眼圧下降がこの超高齢化社会には必要であると考える.文献1)阿部春樹,相原一,桑山泰明ほか:緑内障診療ガイドライン(第3版).日眼会誌116:3-46,20122)山上淳,白土城照,新家眞ほか:低眼圧緑内障と原発開放隅角緑内障視神経乳頭縁面積の相違について.臨眼43:1391-1394,19893)EidTE,SpaethGL,MosterMRetal:Quantitativedifferencesbetweentheopticnerveheadandperipapil-laryretinainlow-tensionandhigh-tensionprimaryopen-angleglaucoma.AmJOphthalmol124:805-813,19974)IesterM,MikelbergFS:Opticnerveheadmorphologiccharacteristicsinhigh-tensionandnormal-tensionglauco-ma.ArchOphthalmol117:1010-1013,19995)KiriyamaN,AndoA,FukuiCetal:Acomparisonofopticdisctopographicparametersinpatientswithprima-ryopenangleglaucoma,normaltensionglaucoma,andocularhypertension.GraefesArchClinExpOphthalmol241:541-545,20036)NakatsueT,ShirakashiM,YaoedaKetal:Opticdisctopographyasmeasuredbyconfocalscanninglasero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