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二次元から三次元を作り出す脳と眼 1.Titmus Stereo Testと60秒

2016年6月30日 木曜日

連載①二次元から三次元を作り出す脳と眼雲井弥生淀川キリスト教病院眼科1.TitmusStereoTestと60秒はじめに私たちは情報の8割を視覚から得ている.自分の身体を原点に広がるX・Y・Z軸三次元の空間,それを認識するための情報は,両眼の網膜に映る二次元の像だけである.二次元から三次元を作り出す眼と脳のしくみについて考えていきたい.左右眼が別々に得た外界の情報を脳で統合し,単一の視的感覚としてとらえる働きのことを両眼視機能とよぶ.初回はそのもっとも高度な力である立体視について説明する.TitmusStereoTestTitmusStereoTest(TST)1)は右側に大きなハエ(以下fly)の絵,左側に二重円(以下circle)4つからなる9組の表と,5匹の動物(以下animal)からなる3組の表で構成される立体視検査である(図1).絵の一部に水平方向のずれを作ることで,偏光眼鏡下にその部分が浮き上がって見えるしくみである.そのずれが視差(後述)となるが,大きいほど浮き上がりも大きく,小さいほど浮き上がりも小さく検出がむずかしい.検出できる最小の視差を調べて立体視力(stereoacuity)とする.視差は角度を用いて表す.角度は時計と同じ60進法である.1度=60分(arcminutes)=3,600秒(arcseconds).もっとも大きな視差はflyの羽先端部に認められ,3,552秒である.circle表では4つのcircleの1つに視差がつけてあり,表の左上から右下に進むほど800・400・200・140・100・80・60・50・40秒と小さくなる.animal表では5匹のうち1匹に視差がつけてあり,A・B・Cそれぞれ400・200・100秒である.検査はfly→animal→circleの順に浮き上がりを検出できるかを調べる.fly,A・B・C,9表すべて正答できればfly(+)3/39/9と表す.立体視検査の機序左右眼の網膜に別々の像を映すために,特殊なレンズや鏡筒などを使って入力を分けることを両眼分離とよぶ.TSTでは偏光板を用いて視覚入力を分離する.偏光板は結晶構造が同一方向に並ぶため,それと同じ方向に振動する光の波だけを通す性質をもつ(図2).偏光板の向きが垂直のものは垂直方向に振動する光を通すが,水平方向に振動する光は通さない.たとえば偏光板の向きを,右眼鏡と右眼に映したい絵では垂直に,左眼鏡と左眼に映したい絵では水平にそろえることで両眼分離が可能となる(図3).右眼で見える羽と左眼で見える羽を異なる点線で表す.羽の中央を点Ar,点Alとする.右眼でArを固視するとき,眼位が正位であれば,両眼の中心窩はArを向く.右眼中心窩FrにはArが映るが(Ar’),左眼中心窩FlにはArが映らず,AlがFlよりわずかに耳側に映る(Al’).Ar’とAl’は羽という同質図形の像の一部であるため,脳では2つの像を融合させようとする力(融像力)が働き,このときプレート面から羽が浮き上がって見える.被検者に横から羽をつかむよう指示し,プレート面から3cm以上離れてつかもうとする場合には立体視ありとし,fly(+)と表す.プレートを直接触る場合には立体視なしとし,fly(?)と表す.このとき右下のR,左下のLの文字が同時に見えるかどうかを問う.同時に見えれば両眼視しているが,R・Lどちらか一方しか見えなければ単眼視あるいは交代視していると考える.固視点より手前で右眼と左眼の視線(固視点と中心窩を結ぶ線)が交わるようなずれを交差性の視差とよぶ.交差性視差をもつ同質の像を融像させると凸の感覚を生じる.*交差性視差→凸の感覚検査表を上下反転させると今度は絵が引っ込んで見える.右眼で見る絵が右側に,左眼で見る絵が左側にずれ,ずれの方向が逆になったためである.固視点より遠方で左右眼の視線が交わるようなずれを同側性視差とよび,融像させると凹の感覚を生じる.*同側性視差→凹の感覚視差(binoculardisparity)視差(binoculardisparity)2)の本質は図3の網膜上の距離Fl-Al’である.この距離で視差を表すと正確だが,実際には測定困難のため,便宜上角度∠FlOAl’で代用する.点Oは結点とよばれる光学上の点で水晶体の後極にほぼ一致する.この点を通る光は屈折せずに進む.しかし角度∠FlOAl’を用いると,瞳孔間距離や検査距離によって距離Fl-Al’が変動し,一定でないという問題がおきる.検査距離を40cmと一定に保つこと,瞳孔間距離の狭い小児ほど距離Fl-Al’が短くなり,視差の検出がむずかしいことに注意が必要である.正常両眼視機能をもつ人は40~60秒というわずかな視差を検出できる.60秒はcircle表では7番目,40秒は9番目である.逆に7/9以上正答できれば,正常両眼視をもつと考えてよい.TSTは両眼視機能のスクリーニングとして有用である.まれに両眼視不良でも素早い交代視で7/9以上正答できる例もあり,検査中の眼位の観察が大切である.小児では3~4歳で検査可能となり,5/9以上を正常とする.両眼分離の方法として,赤緑眼鏡と赤・緑の絵を使うものもある.TNOStereoTestやNewStereoTestなどである.TNOStereoTestにおいて,赤レンズ下では緑レンズ下よりコントラスト低下が大きく,左右眼のコントラスト差を生じるという報告がある3).もともと左右差のある片眼弱視では影響を受けやすく,注意が必要である.文献1)勝海修:立体視の検査.弱視・斜視のスタンダード(不二門尚編),専門医のための眼科診療クオリファイ22,p109-121,中山書店,20142)TychsenL:Binocularvision.InAdler’sphysiologyoftheeye(edbyHartWM),p779-786,Mosby,StLouis,19923)矢ヶ崎悌二:立体視検査法の問題点.神眼23:416-427,2006図1TitmusStereoTest偏光板を用いて両眼分離する定量的立体視検査.両眼視機能のスクリーニングとして有用である.図2偏光板偏光板の向きと同じ方向に振動する光のみを通過させる.図3TSTの機序交差性視差を持つ同質図形(羽)を融像させると凸の感覚を生じる.Fr:右眼中心窩Fl:左眼中心窩.(75)あたらしい眼科Vol.33,No.6,2016835836あたらしい眼科Vol.33,No.6,2016(76)0910-1810/16/\100/頁/JCOPY

硝子体手術のワンポイントアドバイス 157.硝子体手術直後の中心暗点(初級編)

2016年6月30日 木曜日

硝子体手術のワンポイントアドバイス●連載157157硝子体手術直後の中心暗点(初級編)池田恒彦大阪医科大学眼科●はじめに硝子体手術後に発症する視野障害には,空気灌流による耳側視野欠損,緑内障素因を有する眼の傍中心暗点などがあるが,中心暗点のみをきたす症例はまれである.筆者は以前に硝子体手術直後に中心暗点のみをきたした2眼を経験し,報告したことがある1).●症例提示症例1:65歳,女性.他院で右眼の裂孔原性網膜.離に対して硝子体切除,眼内光凝固,ガスタンポナーデを施行された.術前,黄斑部には.離は進行しておらず,矯正視力は1.0であった.術直後からガスを通して中心暗点を自覚していたが,ガス消失後も暗点は残存し,矯正視力は(0.07)に低下した.術後,網膜は完全に復位し(図1a),OCT,蛍光眼底検査(FA)でも明らかな異常を認めなかったが,Goldmann動的視野検査(GP)で中心5°の範囲のみ楕円形の暗点を示していた(図1b).循環改善薬の内服で経過をみたが,視機能は改善しなかった.症例2:45歳,男性.左眼の裂孔原性網膜.離に対して他院で硝子体手術を施行され,初回手術時にシリコーンオイルタンポナ.デを施行された.その後,シリコ.ンオイル抜去術を受けたが,その直後より中心暗点を自覚した.右眼矯正視力は術前1.0あったが,術直後から(0.07)に低下した.右網膜は完全に復位しており,視神経および黄斑部に異常は認めなかった(図2a).GPでは中心5°の範囲のみ暗点を示しており,周辺部イソプターの欠損は術後の瘢痕部位と一致していた(図2b).循環改善薬の内服で経過をみたが,視機能は改善しなかった.●硝子体手術直後に生じる中心暗点その後も同様の症例を2例紹介されたことがある.いずれも他院での手術例のため詳細は不明だが,4例の共通点として以下のような点があげられる.①裂孔原性網膜.離眼で,術前は黄斑部に.離は進行しab図1症例1の術後眼底写真(a)とGoldmann動的視野検査所見(b)眼底には目立った異常を認めないが,検査で中心5°の暗点を認める.矯正視力は0.07.ab図2症例2の術後眼底写真(a)とGoldmann動的視野検査所見(b)豹紋状眼底を呈しているが目立った異常を認めない.視野検査で中心5°の暗点を認める.矯正視力は0.07.ておらず視力は良好であった.②術直後から中心暗点を自覚し,その後も暗点の状態は不変で視力は改善しなかった.③暗点は中心5°程度と狭いが,著明な視力低下をきたし,いずれも0.1以下となった.このような硝子体手術直後に生じる中心暗点の報告は,過去に散見される.とくにシリコーンオイル注入眼で抜去後に突然中心暗点を呈したとする報告が多い2,3).中心暗点の発生機序として,後部硝子体.離作製時の視神経乳頭への侵襲,ガスによる視神経乳頭や網膜の循環障害,球後麻酔による視神経への侵襲などが考えられる.しかし,術後の眼底所見,OCT,FAなどでは目立った異常はなく,解釈がむずかしい.現時点では,術中に何らかの原因で一時的に黄斑部に限局した網脈絡膜循環障害が起こったと考えるのが妥当と思われる.予防策については残念ながら現時点ではわからない.文献1)北垣尚邦,佐藤孝樹,福本雅格ほか:硝子体手術直後に中心暗点をきたした2例.眼臨紀1:982-986,20082)NewsomRS,JohnstonR,SullivanPMetal:Suddenvisuallossafterremovalofsiliconeoil.Retina24:871-877,20043)CazabonS,GroenewaldC,PearceIAetal:Visuallossfollowingremovalofintraocularsiliconeoil.BrJOphthalmol89:799-802,2005(73)あたらしい眼科Vol.33,No.6,20168330910-1810/16/\100/頁/JCOPY

眼瞼・結膜:マイボーム腺とリオラン筋,瞼板の構造

2016年6月30日 木曜日

眼瞼・結膜セミナー監修/稲富勉・小幡博人15.マイボーム腺とリオラン筋,瞼板の構造柿﨑裕彦愛知医科大学病院眼形成・眼窩・涙道外科瞼板は厚さ1~1.5mmの線維組織で,内部にマイボーム腺とその導管(上眼瞼:約25本,下眼瞼:約20本)を含む.マイボーム腺は多房性の脂腺で,「ホロクリン分泌」の形態をとる.リオラン筋は,瞼縁睫毛部の睫毛直下,瞼板内の硬い線維組織内にある横紋筋線維の総称で,睫毛部,瞼板下部,線維部の各部からなる.●はじめにマイボーム腺(Meibomiangland)とリオラン筋(muscleofRiolan)は瞼板に関連した構造であり,「瞼板」という骨格の中で機能している.これら三位一体の構造を総合的にとらえる場合,「瞬目に関連したマイボーム腺からの脂質の分泌」という点がカギになる.●瞼板の構造瞼板は厚さ約1~1.5mmの線維組織であり1),上眼瞼では耳側がやや膨らみ(図1a),下眼瞼では底が平たい船型の構造をとっている.日本人での眼瞼中央付近の瞼板の高さは,上眼瞼で9mm2),下眼瞼で5mm程度である3).欧米人の上瞼板は,日本人に比べやや高くなっている(約11mm)2).瞼板はその内部にマイボーム腺とその導管を含み(図1b),導管の数は上眼瞼で25本,下眼瞼で20本程度とされている.それらの周囲には,弾性線維が密に分布しており(図1c)4),脂質の分泌・輸送に一役買っている.acMDRCbMDRCd図1瞼板とマイボーム腺a:右上眼瞼・瞼板の外観.耳側がやや高くなっており,鼻側が狭くなっている.b:上眼瞼瞼縁の組織(マッソン・トリクローム染色).c:上眼瞼瞼縁の組織(エラスティカ・ファンギソン染色).弾性線維が黒く染まっている.d:マイボグラフィーでみた上眼瞼のマイボーム腺導管.縦方向に走行している.C:cilia(睫毛),R:muscleofRiolan(リオラン筋),M:Meibomiangland(マイボーム腺),D:ductfromMeibomiangland(マイボーム腺導管).(71)あたらしい眼科Vol.33,No.6,20168310910-1810/16/\100/頁/JCOPY ParsSubtarsalisParsFascicularisParsCiliarisParsSubtarsalisParsFascicularisParsCiliaris図2リオラン筋の組織解剖(マッソン・トリクローム染色)瞼板前面にparsciliaris(睫毛部),瞼板内の下方にparssubtarsalis(瞼板下部),これら両部に連続し,マイボーム腺導管周囲に分布するparsfascicularis(線維部)がみられる.マイボーム腺導管の縦方向の配列のため,瞼板は水平方向に屈曲が可能であり(図1d),眼球のカーブにフィットするようにできている.●マイボーム腺の構造マイボーム腺は多房性の脂腺であり(図1c),各細胞内に脂質をためて,その細胞ごと脱落する「ホロクリン分泌」の形態をとる1).瞼板は人体中でもっとも脂腺が密集している部位であるため,脂腺癌の分類において,眼瞼とその他,というような区分となっている.●リオラン筋の構造リオラン筋は,瞼縁睫毛部の睫毛直下,瞼板内の硬い線維組織内にある横紋筋線維の総称で(図2),鼻側では眼輪筋涙部といわれるホルネル(Horner)筋5),耳側ではlateralcanthalbandとよばれる靱帯・腱複合組織に連続している6).リオラン筋は位置によって3つの部分に区分されており,睫毛直下の部位はparsciliaris(睫毛部),瞼板内の下方にある線維はparssubtarsalis(瞼板下部),また,これら両部に連続し,マイボーム腺導管周囲に分布する線維をparsfascicularis(線維部)という7).リオラン筋は眼輪筋の一部であるため,顔面神経支配であり,閉瞼時に収縮し,開瞼時に弛緩する.したがって,parsfascicularisに囲まれたマイボーム腺導管は,閉瞼時に閉じ,開瞼時に開き,脂質の分泌に一役買っている7).文献1)DuttonJJ:Atlasofclinicalandsurgicalorbitalanatomy.p140,Elsevier,20112)GooldLA,CassonRJ,SelvaDetal:Tarsalheight.Ophthalmology116:1831,20093)LimWK,RajendranK,ChooCT:Microscopicanatomyofthelowereyelidinasians.OphthalPlastReconstrSurg20:207-211,20044)KakizakiH,NakanoT,IkedaHetal:Tarsalelasticfiberdistribution:ananatomicstudy.OphthalPlastReconstrSurg27:128-129,20115)KakizakiH,ZakoM,NakanoTetal:Directinsertionofthemedialrectuscapsulopalpebralfasciatothetarsus.OphthalPlastReconstrSurg24:126-130,20086)KakizakiH,ZakoM,NakanoTetal:MicroscopicfindingsoflateraltarsalfixationinAsians.OphthalPlastReconstrSurg24:131-135,20087)LiphamWJ,TawfikHA,DuttonJJ:Ahistologicanalysisandthree-dimensionalreconstructionofthemuscleofRiolan.OphthalPlastReconstrSurg18:93-98,2002832あたらしい眼科Vol.33,No.6,2016(72)

抗VEGF治療:滲出型加齢黄斑変性に対する抗VEGF薬スイッチのポイント

2016年6月30日 木曜日

●連載抗VEGF治療セミナー監修=安川力髙橋寛二29.滲出型加齢黄斑変性に対する尾辻剛関西医科大学総合医療センター眼科抗VEGF薬スイッチのポイント滲出型加齢黄斑変性の治療は抗血管内皮増殖因子薬(抗VEGF薬)が第一選択であるが,無効例や反応不良例においては他の抗VEGF薬に切り替える(スイッチする)ことがある.本稿ではスイッチのタイミングやスイッチ後の投与法について解説する.スイッチする症例滲出型加齢黄斑変性(wetage-relatedmaculardegeneration:wetAMD)の治療の第一選択は現在のところ抗血管内皮増殖因子薬(抗VEGF薬)であるが,最初から抗VEGF薬の効果がみられない症例や,繰り返し投与をしていると徐々に効果がみられなくなってくる症例がある.一般に導入期から無反応の症例をノンレスポンダー(non-responder)とよび,導入期には一定の効果があるが維持期の比較的早期に効果が減弱する症例をタキフィラキシー症例(tachyphylaxis),さらに治療効果がゆっくり減弱していく耐性(tolerance)とよばれる症例もある.初回治療としてラニビズマブを選択した症例のうちノンレスポンダーは約10%で1),約2%の症例にタキフィラキシーを認める2)とされている.最近は,維持期に滲出の出現間隔に合わせて個別に投与間隔を変えていくtreatandextendとよばれる方法があるが,1カ月まで短縮しても滲出が続く症例がある.これらの症例では他の抗VEGF薬へのスイッチを検討することになる.スイッチのタイミング他剤への切り替えは,より効果が強い可能性があるとされている薬剤へスイッチし有効であったとの報告が多い3,4).また,ベバシズマブ(眼科未承認薬)からラニビズマブにスイッチした場合と,ラニビズマブからベバシズマブにスイッチした場合の効果に差はなかったとする報告がある5).これには薬剤耐性を獲得した可能性を考え,薬剤の強弱に関係なく他剤へスイッチすることに意味があるとの考察をされている.スイッチのタイミングについては,経過が長くなると病変の萎縮瘢痕や線維化がみられ,切り替えても視力改善は望めないので,早めのスイッチがよいという意見3)と,スイッチする前の薬剤の投与回数と予後は関係なかったとする報告4)があるが,筆者らは数回の投与で効果がない,または不十分と判断したら,早めにスイッチするようにしている.(69)また,スイッチ後にしばらく他剤を投与していると,スイッチした薬剤に対しても効果が減弱してくる場合がある.このときに元の薬剤に戻すことをスイッチバックというが,スイッチバックすることによって,いったん効果が減弱した元の薬剤が再び効果を示すことがある.ラニビズマブ→アフリベルセプト→ラニビズマブのスイッチバックで27%の患者がETDRS視力表で5文字以上の視力改善を示したとの報告がある6).また,いったん,より効果の弱い薬剤にスイッチした後に元の薬剤にスイッチバックした場合に再び効果を示すことがあるが,これは休薬し再開すること(いわゆるdrugholiday)と同じなのかもしれない.スイッチ後の投与法以下に症例を示す.図1の症例は72歳男性.矯正視力は0.9.1型の脈絡膜新生血管(choroidalneovascularization:CNV)を認め,ラニビズマブの硝子体内投与(intravitrealranibizumab:IVR)を4回施行後にいったん滲出は停止した.その後,大きな色素上皮.離(pigmentepithelialdetachment:PED)が出現し,IVRを3回追加したが効果はまったくみられなかった.そこでアフリベルセプトの硝子体内投与(intravitrealaflibercept:IVA)にスイッチしたところ,3回の毎月投与でPEDは平坦化した.図2の症例は73歳男性.矯正視力は0.09.1型のCNVを認め,IVAを毎月3回施行し,視力は0.4まで回復したものの,網膜下液が残存するため2回追加投与(計5回)したが,2回とも反応がみられなかった.そこでIVRにスイッチしたところ,徐々に網膜下液は減少し,効果をみながら3回投与した時点で滲出は停止した.その後IVRの必要時投与(prorenata:PRN)で維持している.実際にスイッチした場合の投与法には明確なエビデンスはない.筆者らの施設ではノンレスポンダーや図1に示した症例のような再発後に効果がまったくみられなくあたらしい眼科Vol.33,No.6,20168290910-1810/16/\100/頁/JCOPY 図1再発後IVRに無反応となったためIVAにスイッチした症例IVRを3回施行後,いったん滲出は停止しPRNで維持していたが,PEDが出現した.再発後はIVRに無反応となったためIVAにスイッチしたところ,3回でPEDは平坦化した.なった場合には,初回治療と同様の導入期治療(3回連続毎月投与)の後,維持期についてはPRNもしくはtreatandextendを臨機応変に行っている.また,タキフィラキシーやスイッチバックでは導入期を設けずに,スイッチ直後からPRNやtreatandextendで行うことが多い.文献1)OtsujiT,NagaiY,ShoKetal:Initialnon-respondersto830あたらしい眼科Vol.33,No.6,2016図2IVAの効果が減弱しIVRにスイッチした症例IVAを3回施行し,いったん滲出が停止し,維持期はPRNで施行していたが,網膜下液が減らなくなってきたためIVRにスイッチしたところ,3回で徐々に網膜下液は消失した.ranibizumabinthetreatmentofage-relatedmaculardegeneration(AMD).ClinOphthalmol7:1487-1490,20132)EghojMS,SorensenTL:Tachyphylaxisduringtreatmentofexudativeage-relatedmaculardegenerationwithranibizumab.BrJOphthalmol96:21-23,20123)BatiogluF,DemirelS,OzmertEetal:Short-termoutcomesofswitchinganti-VEGFagentsineyeswithtreatment-resistantwetAMD.BMCOphthalmol15:40,20154)Fassnacht-RiederleH,BeckerM,GrafNetal:Effectofafliberceptininsufficientresponderstoprioranti-VEGFtherapyinneovascularAMD.GraefesArchClinExpOphthalmol252:1705-1709,20145)EhlkenC,JungmannS,BohringerDetal:Switchofanti-VEGFagentsisanoptionfornonrespondersinthetreatmentofAMD.Eye(Lond)28:538-545,20146)DespreauxR,CohenSY,SemounOetal:Short-termresultsofswitchbackfromaflibercepttoranibizumabinneovascularage-relatedmaculardegenerationinclinicalpractice.GraefesArchClinExpOphthalmol254:639644,2016(70)

緑内障:濾過胞漏出に対する再建術

2016年6月30日 木曜日

baba●連載192緑内障セミナー監修=岩田和雄山本哲也192.濾過胞漏出に対する再建術臼井審一大阪大学大学院医学系研究科眼科学教室濾過手術に伴う合併症の一つである濾過胞漏出は,濾過胞炎発症の危険性が高く,早急な治療が必要となる.しかし一方で,長期経過中に漏出が出現した症例の濾過胞は血管に乏しく,菲薄化した脆弱結膜であることが多く,しばしば治療に難渋する.そこで,比較的簡便に再建できる治療法を紹介する.●濾過胞漏出と濾過胞炎術後早期の縫合不全を除き,濾過胞漏出の多くは,長期に経過した脆弱な結膜が濾過胞の内圧に耐え切れず破綻し漏出したものである.すなわち,周辺組織の癒着により濾過胞の範囲が限局すると,濾過胞内圧が上昇し濾過胞壁は菲薄化する.内圧に耐えうる濾過胞壁の強度が限界に達すると,結膜は穿孔し房水は漏出する.濾過胞漏出は濾過胞炎の危険因子として報告されており,わが国における調査結果によれば,マイトマイシンCを併用した線維柱帯切除術後に濾過胞炎を発症する割合は5年間で約2.2%であり,濾過胞漏出の既往眼ではオッズ比が4.1と著しく高いことから,速やかな治療が求められる1).●濾過胞漏出の治療法脆弱な結膜が濾過胞内圧に耐え切れず破綻することが原因であるため,治療の原則は,濾過胞内圧を下げ,内圧に耐えうる結膜に戻すことである.軽症例には,自己血清点眼,薬剤による房水産生抑制,コンタクトレンズ装用など非観血的な治療が試みられるが,これらの治療で改善の見込みがない症例に対しては観血的治療が必要となる.観血的治療には,自己血や粘弾性物質の濾過胞内注入のほか,経結膜的に強膜弁を縫合し濾過量を減少させる方法,Tenon.組織で裏打ちする再建法,遊離自己結表1濾過胞漏出の有無と濾過胞感染の発症危険度濾過胞漏出オッズ比95%信頼区間p値あり4.711.827~12.1420.001なし10.536~0.9650.024Cox比例ハザード回帰分析(文献1より改変)膜弁移植,結膜前転移動,さらには羊膜を用いた再建法などがある2~7).しかし,自己血や粘弾性物質の濾過胞内注入は漏出量の多い症例には不向きであること,脆弱な結膜上から低眼圧下で強膜弁縫合を行うのはしばしば熟練を要すること,Tenon.組織や結膜を用いた再建も,加齢や手術による影響で十分に組織を確保しにくい症例に対しては困難であること,羊膜に至っては,施設によっては容易に用いることができないなど,実際にはさまざまな問題に直面する.そこで,比較的簡便で有効な外科的治療法として,三浦らが報告した濾過胞拡大を主体とした再建術について述べる8).●濾過胞拡大による再建術濾過胞の範囲を広げることで,菲薄化し脆弱な結膜にc図1限局性濾過胞からの房水漏出と前眼部光干渉断層計による観察a:周囲結膜は癒着し,限局した虚血性の濾過胞(矢印)が観察される.b:フルオレセイン蛍光色素で染色すると,濾過胞からの房水漏出点が確認できる.c:前眼部光干渉断層計(SS1000CASIA,トーメーコーポレーション)により,菲薄化した濾過胞壁が観察できる(aの矢印の断層画像).(67)あたらしい眼科Vol.33,No.6,20168270910-1810/16/\100/頁/JCOPY abab☆☆☆図2濾過胞拡大とcompressionsutureによる濾過胞再建術後a:濾過胞は後方に拡大し(矢印),限局していた濾過胞の丈は低くなっている.b:フルオレセイン蛍光色素による染色で,濾過胞漏出が止まっていることが確認できる.c:前眼部光干渉断層計により,術前より濾過胞の丈は低くびまん性に広がり,濾過胞壁も肥厚していることが確認できる(aの矢印の断層画像).かかる圧負荷を減少させることを目的とする.多くの症例は周辺結膜が癒着していることから,まず,ブレブナイフII(カイインダストリーズ)などを用いて濾過胞から少し離れた後方の周囲結膜組織を.離し,新たな濾過胞スペースを確保する.次に,.離した後方スペースに房水が流れていないことを確認した後,マイトマイシンCを3~5分間塗布し,150mlの生理食塩水で洗浄した後,既存の濾過胞と後方スペースをブレブナイフなどで交通させる.最後に,既存の濾過胞上の丈を低くし,漏出点への内圧を減少させる目的で,漏出点を囲むようにcompressionsutureを行う.漏出点を囲むことがむずかしい症例もあるが,漏出点を囲めなくても,全体に丈が抑えられることで漏出は止まることが多い.最後に術野をフルオレセインで染色し,漏出がないことを確認して手術を終了する.本法が有効な症例は,濾過胞壁も厚くなり長期的に漏出なく経過することが多いが,経過中に濾過胞の範囲が縮小して再び結膜の菲薄化が部分的に生じることもある.濾過胞壁を含めた内部構造の観察には前眼部光干渉断層計が有効で,継時的変化を行いながら抜糸のタイミングを計ったり,濾過胞拡大の追加治療を行う目安にもなる.なお,結膜内に埋没した糸については感染の危険が低いため,無理に除去しなくてもよい.このように,本法は治療が急がれるなか,比較的簡便で有効な治療法であるが,もちろんすべての症例に万全な方法というわけではなく,濾過胞の範囲を十分に拡大できない症例や結膜が大きく離開しているような症例では,他の観血的治療,もしくは本法の併用が必要である.文献1)YamamotoT,SawadaA,MayamaCetal:The5-yearincidenceofbleb-relatedinfectionanditsriskfactorsafterfilteringsurgerieswithadjunctivemitomycinC:collaborativebleb-relatedinfectionincidenceandtreatmentstudy2.Ophthalmology121:1001-1006,20142)LeenMM,MosterMR,KatzLJetal:Managementofoverfilteringandleakingblebswithautologousbloodinjection.ArchOphthalmol113:1050-1055,19953)出口香穂里,中内知子,木内良明:線維柱帯切除術後早期の濾過胞からの房水漏出に対し高分子量ヒアルロン酸ナトリウムの高濃度製剤の濾過胞内注入を行った2例.あたらしい眼科26:969-972,20094)MorganJE,DiamondJP,CookSD:Remodelingthefiltrationbleb.BrJOphthalmol86:872-875,20025)WadhwaniRA,BellowsAR,HutchinsonBT:Surgicalrepairofleakingfilteringblebs.Ophthalmology107:1681-1687,20006)PandayM,ShanthaB,GeorgeRetal:Outcomesofblebexcisionwithfreeautologousconjunctivalpatchgraftingforblebleakandhypotonyafterglaucomafilteringsurgery.JGlaucoma20:392-397,20117)MeloAB,RazeghinejadMR,PalejwalaNetal:Surgicalrepairofleakingfilteringblebsusingtwodifferenttechniques.JOphthalmicVisRes7:281-288,20128)三浦聡子,臼井審一,大鳥安正ほか:強膜弁上に漏出点がある場合の新しい濾過胞再建術を施行した2症例.眼臨紀7:174-178,2014828あたらしい眼科Vol.33,No.6,2016(68)

屈折矯正手術:LASIKとオプティカルゾーン

2016年6月30日 木曜日

屈折矯正手術セミナー─スキルアップ講座─屈折矯正手術セミナー─スキルアップ講座─監修=木下茂●連載193大橋裕一坪田一男193.LASIKとオプティカルゾーン米川達也井上眼科病院LASIKでは,エキシマレーザー照射におけるオプティカルゾーンの設定が,術後のハロー・グレアなどの不快な合併症の原因となり,術後視機能に影響を与えるとされている.そのため,オプティカルゾーンをどのように設定するかが重要となってくる.●はじめにLaserinsitukeratomileusis(LASIK)は,角膜実質層にエキシマレーザーを照射して角膜前面曲率を変更することにより屈折矯正を行う.レーザーの照射範囲は一般に,レンズで屈折度数変化部分に相当する有効光学領域(opticalzone:OZ)と,移行域(transitionzone:TZ)の2領域をもって総照射領域(ablationzone:AZ)となる(図1).元来,正常角膜はいわゆる中央部がスティープ,周辺部がフラットなprolate形状をしているが,レーザー照射後の角膜は照射により中心部がフラットのoblate形状となるため1),OZの曲率のまま元来の角膜形状に接続すると,接続部分の角膜曲面における不連続性により屈折力の差が大きくなり,光学的に好ましくないため,OZだけではなく,緩やかに連結する部分(=TZ)を設定する必要がある.●OZの影響LASIK術後の不快な合併症のおもなものにハロー・グレアがあり,その発生の一因としてOZの設定が関与している可能性が指摘されている.健常成人の瞳孔径は1.5~8.0mmであり,明所ではOZが影響することはほぼないと思われる.しかし,暗所下などで散瞳している場合,OZが瞳孔径よりも小さく設定されていると,OZ周辺域およびTZ域で異常屈折や散乱などが発生し,屈折力の差や収差(とくに球面収差)などによりハロー・グレアの発生が考えられる.そのため,OZは患者の暗所瞳孔径を精査し設定する必要がある.現在,国内・海外ともに一般的にはOZは6.0~7.0mmである.OZの設定と矯正度数から,エキシマレーザー装置の種類にもよるが,コンピュータ・アルゴリズムによって計算され,TZ,AZおよび照射深度が決定される(図1).OZを大きく設定するとハロー・グレアの低減,収差(65)0910-1810/16/\100/頁/JCOPYOZAZTZAZ(乱視なし)AZ(乱視あり)照射深度S:.1.00DOZ6.50mm7.10mm9.00mm15.53μm6.00mm6.50mm8.50mm13.23μm図1OZ,TZ,AZのイメージとEX500におけるOZとAZ,照射深度の関係(EX500マニュアルより)OZ:有効光学領域,TZ:移行域,AZ:総照射領域.の減少が見込まれ,良好な視機能(とくに夜間)を保持できる可能性が大きい.だが一方では,大径OZでは前述のようにAZも拡大されるため,フラップ直径を大きく設定する必要があり,また照射深度も増大するため,hazeの発生リスク2)や医原性角膜展張症のリスク,さらにtissuesavingの面を考慮する必要がある.そのために小径フラップと小径OZの組み合わせを選択したほうがよいという説も散見され,今後も検討が必要である.また,前述のようにOZは角膜径・角膜厚・矯正度数による制約を受けるため,角膜径が小さい,角膜厚が薄い,矯正度数が大きいなど,患者によっては小径OZを選択せざるを得ない場合も存在するため,注意を要する.●臨床成績筆者らは,OZの大小による術後視機能を調査するため,強度近視患者のコントラスト感度に注目して比較を実施した.対象は2013年4月~2014年3月に当院にて完全矯正目標でLASIKを施行(エキシマレーザー:Alcon社EX500)し,術後3カ月まで経過観察可能でああたらしい眼科Vol.33,No.6,2016825 表1術後結果対象平均裸眼視力(logMAR値)AULCSFグレアOFF(5cd/m2)AULCSFグレアON(4,000cd/m2)平均瞳孔径(mm)6.5群(n=33).0.11±0.121.571.566.416.0群(n=33).0.08±0.141.581.476.10**significantdifference(p=0.016)spatialfreq図2AULCSFと術後コントラスト感度結果AULCSFは,それぞれの周波数におけるコントラスト感度からmodulationtransferfunction(MTF)を3次関数で近似して,その関数を積分することで得られるエリアの面積としてコントラスト感度を定量する方法である3).*significantdifference(p=0.0327)**significantdifference(p=0.0061)った強度近視性乱視(球面度数.6.00~.8.00D)の患者46名66眼で,後ろ向き研究を実施した.LASIK施行にあたり,OZを6.5mmに設定したもの(以下6.5群:33眼,平均等価球面度数.6.69±0.44D)と6.0mmに設定したもの(以下6.0群:33眼,平均等価球面度数.6.91±0.57D)の2群に分け,術前と術後3カ月でのコントラスト感度をコントラストグレアテスターCGT-1000(タカギセイコー)にて測定し,areaunderthelogcontrastsensitivityfunction(AULCSF)を利用して比較を行った.なお有意差検定にはMann-WhitneyU検定を使用した.術前屈折値のデータに両群間で有意差はなかった(p=0.1220).術後のAULCSFはグレアOFFでは,6.5群1.57,6.0群1.58で有意差なし(p=0.7000)であったが,グレアONでは,6.5群1.56,6.0群1.47で,6.0群が有意に(p=0.0160)低下していた(表1).術後平均裸眼視力(logMAR値)は6.5群.0.11±0.12,6.0群.0.08±0.14で有意差はなかった(p=0.2600).6.0mm群と6.5mm群では,術後視力とグレアOFFのAULCSFに有意差を認めなかった.しかし,グレアONにおいては6.0mm826あたらしい眼科Vol.33,No.6,2016群のAULCSFが有意に低下していた(p=0.0061).同様に,術前後AULCSFの比較では,6.0mm群ONのみが有意に低下していた(p=0.0327)(図2).●おわりに術後コントラスト感度においては,OZはグレア下で6.5mm設定のほうが6.0mmより良好な視機能が得られることが示唆された.だが,前述のような諸問題のため,OZの設定は患者個々のデータに基づいた慎重な検討が必要である.文献1)大鹿哲郎:LASIKにおける眼光学.あたらしい眼科17:1507-1513,20002)AnthonyC,FederRS,LawrenceGetal:Chapter7Casesection.In:TheLASIKhandbook:acasebasedapproach(edbyFederRS,RapuanoCJ),p211-212,LippincottWilliams&Wilkins,Philadelphia,20073)後藤浩也:IV視機能の評価コントラスト感度.角膜トポグラファーと波面センサー(前田直之,大鹿哲郎,不二門尚編),p220-223,メジカルビュー社,2002(66)

眼内レンズ:ハイドロダイセクションを必要としないsemi-crater sculpting and split technique(S&S法)

2016年6月30日 木曜日

眼内レンズセミナー監修/大鹿哲郎・佐々木洋355.ハイドロダイセクションを必要としないsemi-cratersculptingandsplittechnique(S&S法)谷口重雄小沢眼科内科病院水晶体乳化吸引術における乳化方法として,ハイドロダイセクションを必要としないsemi-cratersculptingandsplittechnique(S&S法)を考案した.本法はハイドロダイセクションに伴う合併症を回避でき,また型通りの手順で手術が可能なため有用である.●スカルプト法とS&S法水晶体乳化吸引術(phacoemulsificationandaspiration:PEA)における乳化方法として現在広く用いられているdivideandconquer(D&C)法では,.内で核を回す必要があり,核をスムースに回すためにはハイドロダイセクションが必須の操作になるが,必ずしも全例で完全に行えるものではない.そこで,核処理の前半で核を回す必要のないスカルプト法1,2)を1995年に考案し,現在までに2万件以上を行ってきた.当初はハイドロダイセクションを併用していたが,併用しない場合でも手術効率や術中合併症に差がないことがわかり,これをS&S法(semi-cratersculptingandsplittechnique)3)と改称して2015年に報告した.●手術方法①Semi.cratersculptingと核分割まず核の中央前面にUSチップ径1個分の深さに閉塞吸引で溝を作製する(図1A).溝を左右に広げて扇状(semi-crater)にチップ径2個分の深さを目安に削る.垂直の壁を作り,先端部のみ後.近くまで削る(図1B).このステップでは溝掘りモードの低い吸引圧(90mmHg)を用いることで後.の誤吸引を予防する.次に,核を左右に2分割する.壁の底で,チップで核を押さえ,フック(KuglenHook,Katena社)で払うようにして分割する(図1C).1/2核の真ん中に細い溝を作製した後,1/4の大きさに核を割る(図1D).②核乳化と残り1.2核の脱臼・回転チップの先にある2つの1/4核を瞳孔領で乳化する.核片除去モードの高い吸引圧(200~350mmHg)で,核片をチップで保持して.から引き離す(図2A).このとき,チップの下にある反対側の核片はsemi-crater状に(63)0910-1810/16/\100/頁/JCOPY削られていてスペースができているため,ハイドロダイセクションを行わなくとも,吸引による保持のみで核片を.から容易に離すことができる.核片を瞳孔領で乳化する(図2B).このステップでは核を回転させることなく半分の核を除去できる.チップの真下にある残り半分の核は,フックで.から引き離す(図2C).核片の脱臼は,ハイドロダイセクションが行われていなくても,すでに半分の核が除去されているため容易に行える..赤道部から離れた核片断面の端にフックを当て,連続円形切.(continuouscurvilinearcapsulorrhexis:CCC)の形状に沿って核を180°回して反対側に移動する(図2D).③phacochop法による核乳化チップの対側に移動させた残り半分の核は,phacochop法に準じて1/4に分割しこれを除去する.核の断面中央をチップで保持して瞳孔領に移動した後(図図1Semi.cratersculptingと核分割A:チップ径1個分の溝を作る.B:扇状(semi-crater)に削る.C:チップとフックで核を半分に割る.D:さらに割って1/4片にする.あたらしい眼科Vol.33,No.6,2016823 図2核乳化と残り1.2核の脱臼・回転A:核片を瞳孔領まで引き寄せる.B:核片を乳化する.C:核を.から離す.D:核を180°回して反対側に移動する.3A),赤道部に当てたフックで挟むようにして核を分割する(図3B).1/4核片を瞳孔中央に移動して後.破.に注意して乳化する(図3C).●適応S&S法は,D&C法と同様にEmery分類のgrade2~3がよい適応となる.瞳孔領で核片を処理できるため小瞳孔例にも適している.最初の1/2核を処理する段階で,.内で核を回す操作がないため,Zinn小帯へのストレスが少ない.そのため,Zinn小帯の脆弱例や断裂例にT字型.フック(capsuleexpander,はんだや)を用いたPEAの際の核乳化法としてとくに有用である.●おわりにS&S法は,ハイドロダイセクションの出来,不出来図3phacochop法による核乳化A:核をチップで保持して瞳孔領に移動する.B:核をチップとフックで挟んで分割する.C:核片を乳化する.に左右されずに型通りの手順で手術ができるため,当院における基本術式として採用している.後.破.や前部硝子体膜バリアの破壊など,ハイドロダイセクションの合併症を回避でき,D&C法に代わる標準術式になり得ると考えている.文献1)谷口重雄,朴智華:PEAの習得法①.超音波白内障手術の修得(大鹿哲郎編),ESNOWIllustratedNo.4,p102111,メジカルビュー社,19972)谷口重雄:7スカルプト法.白内障手術パーフェクトマスター,p53-58,中山書店,20133)SodaM,YaguchiS:Phacoemulsificationwithouthydrodissection:Semi-craterandsplittechnique.CataractRefractSurg41:1132-1136,2015

コンタクトレンズ:患者とのコミュニケーション

2016年6月30日 木曜日

提供コンタクトレンズセミナーコンタクトレンズ処方つぎの一歩~症例からみるCL処方~監修/下村嘉一20.患者とのコミュニケーション濱野孝ハマノ眼科●はじめにコンタクトレンズ(CL)装用者の老視処方には,少なからぬ煩わしさを伴うものである.なぜならそこには,老視用CL自体の問題と,患者とのコミュニケーションの問題が存在するからである.前者については,いずれの老視用CLであっても,患者の調節力を回復させるような光学系をもっているわけではない.そして,処方の方法は単焦点CLとは異なる.一方,患者とのコミュニケーションの問題にはどのようなものがあるだろうか.患者が老視についての知識を十分もっていないこと,老視矯正方法の知識不足から矯正に抵抗感をもっていること,老視矯正による遠近の見え方が理解しにくいことなどが考えられる.本稿では,患者とのコミュニケーションが円滑に運ぶ方法を提示する.●老視への気づき日常診療において,患者から発せられる「近くが見づらい」「ピントが合うまでの時間がかかる」といった日常生活における近方の見え方への不便さや不安を察知した場合に,医師は質問を通して丁寧な説明をして信頼関係を構築していくことが,その後の老視矯正を円滑に進めるうえで重要である.患者が老視を自覚していない,もしくはそれを認めたくないとする反応を示すことも多くあるが,そのような場合においては,たとえばスマートフォン使用時の見え方や肩こりの有無,眼の疲れ1)などの日常生活における状況や症状を確認し,患者自身にも老視症状を認識してもらうことが必要になる.ただし,あらかじめ種々の検査により,その症状が老視によるものかどうかを判定しておく必要がある.近視過矯正,遠視低矯正,斜位あるいはドライアイなどが原因で,老視に似た症状が現れている場合もある.●老視症状の説明老視については,表1に示すように,「誰にでも起きる症状」「近くを見るときは目の中の筋肉が緊張して働(61)表1患者へ老視症状を説明するときの表現例・誰にでも起きる症状である・近くを見るときは目の中の筋肉が緊張して働き続けている・近くを見るときはピントを合わせようと負担がかかっている・1日中ピントを合わせようと目が疲れてしまっている・ピント合わせ,見える範囲,調節力,など表2コンタクトレンズでの老視の対応策1.コンタクトレンズと眼鏡(近用または遠用)の併用2.コンタクトレンズの球面度数を中間距離に設定3.コンタクトレンズによるモノビジョン法(優位眼を遠用,非優位眼を近用に設定)4.遠近両用コンタクトレンズの使用(文献2より引用)き続けている」などの言葉を組み合わせたり,眼球模型を使ったりして,わかりやすく説明することが大切である.なお,老視を認めたくない患者に対しては,その心理に配慮し,寄り添う姿勢で,「老視」や「老眼」という言葉を持ち出さないことが良好なコミュニケーション構築につながる.●老視の矯正方法の紹介老視症状や年齢,CL,眼鏡使用歴などをもとにして,患者にとって最適な矯正方法を選択する必要がある.CLでの老視への対応方法2)は,CLと眼鏡を併用する方法,CLの球面度数を中間距離に設定する方法,CLによるモノビジョン法3),そして遠近両用CLを使用する方法の4つが考えられる(表2).CLと眼鏡を併用する方法には,遠方視用に球面度数を設定したCL装用上に近用眼鏡を処方する方法と,近方視用に球面度数を設定したCL装用上に遠用眼鏡を処方する方法がある.CLの球面度数を中間距離に設定する方法は,調節力の不足分を補うために球面度数を遠方度数よりもプラス側に設定し,遠方の見え方がやや不良となることと引き換えに,日常生活にあまり不便のない近方の見え方が得あたらしい眼科Vol.33,No.6,20168210910-1810/16/\100/頁/JCOPY 822あたらしい眼科Vol.33,No.6,2016(00)られるようにする方法である.モノビジョン法とは,眼の調節力が減衰したときに,片眼は遠方が,他眼は近方が見やすくなるように左右それぞれの明視域をずらして,両眼解放時の明視域を広げる方法である.通常は優位眼を遠方,非優位眼を近方用として矯正する.両眼に単焦点CLを使用する方法だけでなく,単焦点CLと遠近両用CL,あるいは両眼に遠近両用CLを使用する方法もある.遠近両用CLの使用は,調節力の不足分を補うために,近方視用に加入度数を設定した遠近両用CLを両眼に処方する方法である.屈折状態により満足度は異なる4)が,近年,利用できるCLの適応範囲が広がっている.遠近両用CLはその光学特性から,単焦点CLや眼鏡とは見え方の質が異なる.このような遠近両用CLの特性を理解して処方することが,患者満足度を高めるために必要である.●おわりに老視患者が見たい対象が何であるか,距離はどれくらいか,頻度や時間はどれくらいかなどを患者から具体的に聞き取ることは,それに続く視力矯正を円滑に進め,良好なコミュニケーションを構築するうえで大切である.文献1)井手武:老視と眼の疲れ.あたらしい眼科27:309-315,20102)塩谷浩:老視.あたらしい眼科32:1427-1428,20153)濱野孝,濱野保,濱野啓子ほか:モノビジョン法による老視対策─毎日使い捨てソフトコンタクトレンズを用いて─.日コレ誌57:24-28,20154)渡邉潔:遠近両用ソフトコンタクトレンズの処方方法(2).あたらしい眼科7:971-972,2008☆☆☆ZS970あたらしい眼科Vol.33,No.6,2016(00)られるようにする方法である.モノビジョン法とは,眼の調節力が減衰したときに,片眼は遠方が,他眼は近方が見やすくなるように左右それぞれの明視域をずらして,両眼解放時の明視域を広げる方法である.通常は優位眼を遠方,非優位眼を近方用として矯正する.両眼に単焦点CLを使用する方法だけでなく,単焦点CLと遠近両用CL,あるいは両眼に遠近両用CLを使用する方法もある.遠近両用CLの使用は,調節力の不足分を補うために,近方視用に加入度数を設定した遠近両用CLを両眼に処方する方法である.屈折状態により満足度は異なる4)が,近年,利用できるCLの適応範囲が広がっている.遠近両用CLはその光学特性から,単焦点CLや眼鏡とは見え方の質が異なる.このような遠近両用CLの特性を理解して処方することが,患者満足度を高めるために必要である.●おわりに老視患者が見たい対象が何であるか,距離はどれくらいか,頻度や時間はどれくらいかなどを患者から具体的に聞き取ることは,それに続く視力矯正を円滑に進め,良好なコミュニケーションを構築するうえで大切である.文献1)井手武:老視と眼の疲れ.あたらしい眼科27:309-315,20102)塩谷浩:老視.あたらしい眼科32:1427-1428,20153)濱野孝,濱野保,濱野啓子ほか:モノビジョン法による老視対策─毎日使い捨てソフトコンタクトレンズを用いて─.日コレ誌57:24-28,20154)渡邉潔:遠近両用ソフトコンタクトレンズの処方方法(2).あたらしい眼科7:971-972,2008☆☆☆ZS970

写真:進行したMooren潰瘍に対する角膜上皮形成術

2016年6月30日 木曜日

写真セミナー監修/島﨑潤横井則彦385.進行したMooren潰瘍に対する米田亜規子外園千恵京都府立医科大学眼科学教室角膜上皮形成術図2図1のシェーマ①輪部結膜充血および毛様充血②急峻に掘れ込む潰瘍③細胞浸潤図1術前の所見(83歳,女性,左眼)鼻側角膜周辺部に急峻に掘れ込む潰瘍を認め,輪部結膜充血と毛様充血を伴う.潰瘍底に細胞浸潤がみられる.図3術前の所見潰瘍部に一致して上皮欠損を認める.図4角膜上皮形成術施行後2週間潰瘍底を掻爬した後,7-12時方向輪部に2片のlenticuleを縫着した.鼻側の毛様充血,潰瘍部への細胞浸潤は消失した.(59)あたらしい眼科Vol.33,No.6,20168190910-1810/16/\100/頁/JCOPY 図5他のMooren潰瘍の症例で施行した前眼部光干渉断層計の所見(62歳,男性,左眼)潰瘍部に強い菲薄化を認める.潰瘍の深さや進行度合の評価には前眼部光干渉断層計が有用である.症例は83歳女性で,1カ月前からの右眼視力低下を主訴に当科を受診した.左眼には自覚症状を認めなかったものの,両眼の毛様充血および両鼻側角膜の周辺部潰瘍を認め,両Mooren潰瘍と診断された(図1,2).初診時よりベタメタゾンの内服および点眼,およびシクロスポリンの内服治療が開始されたが,所見の改善は得られなかった.内科的治療のみでは治療困難と判断して,初診から3週間後に角膜上皮形成術を施行した.Mooren潰瘍は,角膜周辺部に難治性潰瘍を生じる疾患であり,リウマチ性角膜潰瘍やカタル性角膜潰瘍といった他の周辺部角膜病変を呈する疾患との鑑別が必要となる.本疾患は眼科手術や化学外傷などが誘因となって生じることが多く,外的要因を契機に放出された角膜組織抗原に対し,自己抗体が産生されて生じると考えられている.初期は比較的浅い周辺部潰瘍を呈するためカタル性角膜潰瘍と類似するが,次第にundermining(角膜実質が表面よりもやや下で深く掘れ込んだような所見)やoverhangingedge(潰瘍縁が周辺部へ鋭角に突出する所見)といった特徴的な潰瘍像を呈するようになる.一方,リウマチ性角膜潰瘍とも潰瘍所見が類似しているが,リウマチ性ではしばしば強膜炎や強膜融解を伴うのに対して,Mooren潰瘍は強膜に病変を伴わず,毛様充血が主体となる.周辺部角膜潰瘍を認めても毛様充血が主体で結膜充血が軽微な症例では,低濃度ステロイドによる治療が漫然と行われるうちに角膜穿孔に至る場合がある.Mooren潰瘍は耳側,鼻側の順に発症頻度が高く,上方は少ないとされており,全周性に発展する例は全体の6%と少ないことが報告されている1).Mooren潰瘍の治療では,ステロイド薬や免疫抑制薬の局所および全身投与を行うが,内科的治療で十分な効果が得られない場合は外科的治療の適応となり,潰瘍底の掻爬と角膜上皮形成術(keratoepithelioplasty:KEP)が有効である2).健常な角膜実質とBowman膜を移植することで,炎症細胞の浸潤および結膜組織の強膜側からの侵入を防ぐ生物学的ブロック効果があると考えられている3).また,治療用ソフトコンタクトレンズの連続装用も潰瘍の進行予防ならびに再発予防に効果的であり,涙液中の免疫担当細胞と角膜組織の接触を減らすことがその奏効機序として考えられている.文献1)SrinivasanM,ZegansME,ZelefskyJRetal:ClinicalcharasteristicsofMooren’sulcerinSouthIndia.BrJOphthalmol91:570-575,20072)木下茂,大橋裕一:Mooren潰瘍の病態と治療.眼紀41:2055-2061,19903)KinoshitaS,OhashiY,OhjiMetal:Long-termresultsofkeratoepithelioplastyinMooren’sulcer.Ophthalmology98:438-445,1991820

屈折矯正における涙液層の重要性

2016年6月30日 木曜日

特集●屈折矯正を見直す!あたらしい眼科33(6):813.818,2016特集●屈折矯正を見直す!あたらしい眼科33(6):813.818,2016屈折矯正における涙液層の重要性ImportanceofTearFilminRefractiveCorrection高静花*はじめにまばたきを我慢したまま眼を開けているとだんだんと見づらくなってくるが,まばたきをするときれいに見えるようになった……あるいは,まばたきした直後からはっきりと見づらく,そのまま見ていても見えづらく,再度まばたきをする……といったような経験はないだろうか.眼球の最表層に位置する涙液層は,角結膜の湿潤性の維持,眼表面の感染防御,角結膜への物質の供給といった生理学的な働きに加えて,瞬目による光学面の形成といった光学的に重要な役割を果たす.しかも,常に外部環境(空気)にさらされ,風,湿度などの外部環境の変化,瞬目によってその量や質が変化し得るという特徴をもつ.近年,眼科臨床においては,視覚の質の評価の重要性が広く認識され,各種疾患および手術アウトカムの評価として,従来の視力検査だけでなく,より正確に総合的な視覚の質を評価することが求められている.また,罹患患者数が増加しつつあるドライアイにおいて,視機能異常を伴うことがドライアイの定義1)に含まれるようになり,屈折矯正における涙液層の重要性がより強く認識されるようになってきている.本稿においては,筆者らの施設がこれまでに行ってきたさまざまな涙液動態と視機能に関する研究を基に,屈折矯正における涙液層の重要性について述べる.I涙液と眼の光学的特性に影響を及ぼすものこれまで,涙液が眼の光学的特性に及ぼす影響については,コントラスト感度,角膜形状解析装置,高次収差測定,散乱測定などを用いた研究がなされてきた.今回の「屈折矯正」というテーマにおいては,眼球全体の光学的特性に影響を与えうる主たるものと考えられる収差と散乱に焦点を置く.また,涙液の影響を考える場合,涙液に接する角膜前面(おもに角膜上皮あるいは角膜表層)も考慮する必要がある.II収差1.高次収差とは収差は低次収差と高次収差に分けられる.低次収差とは従来の視力検査で検出でき,また眼鏡で矯正が可能である近視,遠視,乱視などに該当し,高次収差は従来の視力検査では検出できず,眼鏡で矯正することができない不正乱視に該当する(図1).収差の定量評価は波面センサーを用いて行うことができる.高次収差を定量的に成分解析して定性的に収差マップで表現できるため,眼科のさまざまな疾患において見え方を客観的に評価することが可能である.角膜形状解析を備えたものや,収差の連続測定機能を搭載したものなど,さまざまな種類がある.なお,高次収差はその由来により3つに分けられ,目的に応じて定量測定評価される.*ShizukaKoh:大阪大学大学院医学系研究科眼科学教室〔別刷請求先〕高静花:565-0871大阪府吹田市山田丘2-2大阪大学大学院医学系研究科眼科学教室0910-1810/16/\100/頁/JCOPY(53)813 低次収差(球面,乱視)高次収差-6-5-4-3-2-10123456mnZnm0123456コマ様収差:S3+S5球面様収差:S4+S6全高次収差:S3+S4+S5+S62次収差(低次収差)3次収差(S3)4次収差(S4)5次収差(S5)高次収差6次収差(S6)低次収差(球面,乱視)高次収差-6-5-4-3-2-10123456mnZnm0123456コマ様収差:S3+S5球面様収差:S4+S6全高次収差:S3+S4+S5+S62次収差(低次収差)3次収差(S3)4次収差(S4)5次収差(S5)高次収差6次収差(S6)図1波面収差の定量解析波面収差の定量解析ではZernike多項式が用いられる.Zernike係数の値は収差の大きさを示す.右上のシェーマで,高次収差と低次収差のざっくりとした概念を示す. あたらしい眼科Vol.33,No.6,2016815(55)図2涙液層破綻が高次収差に与える影響涙液層破綻後には,スポットパターンに乱れがみられ,また高次収差マップにも変化が生じている.涙液層破綻後には,高次収差が有意に増加している.(文献2より改変引用)0.6RMS(μm)高次収差*:p<0.01,pairedt-test**:p<0.05,pairedt-test■BeforeBreak-up■AfterBreak-up0.50.40.30.20.10.0********Coma-likeSpherical-likeTotalComa-likeSpherical-likeTotal(Central4mm)(Central6mm)スポットパターン高次収差マップ瞬目直後涙液層破綻後瞬目瞬目132456789瞬目後(秒)高次収差マップ132456789瞬目瞬目瞬目後(秒)高次収差マップのこぎり型安定型図3正常眼における見え方の変化:安定型とのこぎり型(文献3より引用)図2涙液層破綻が高次収差に与える影響涙液層破綻後には,スポットパターンに乱れがみられ,また高次収差マップにも変化が生じている.涙液層破綻後には,高次収差が有意に増加している.(文献2より改変引用)0.6RMS(μm)高次収差*:p<0.01,pairedt-test**:p<0.05,pairedt-test■BeforeBreak-up■AfterBreak-up0.50.40.30.20.10.0********Coma-likeSpherical-likeTotalComa-likeSpherical-likeTotal(Central4mm)(Central6mm)スポットパターン高次収差マップ瞬目直後涙液層破綻後瞬目瞬目132456789瞬目後(秒)高次収差マップ132456789瞬目瞬目瞬目後(秒)高次収差マップのこぎり型安定型図3正常眼における見え方の変化:安定型とのこぎり型(文献3より引用) 瞬目直後瞬目4秒後瞬目8秒後瞬目8秒後瞬目瞬目瞬目後123456789(秒)高次収差マップ図4BUT短縮型ドライアイにおける見え方(文献4より改変引用)瞬目瞬目123456789(秒)高次収差マップ図5角膜中央部に上皮障害がある涙液減少型ドライアイにおける見え方(文献5より改変引用) 後方散乱前方散乱入射光と反対方向に入射光の方向に散乱する光散乱する光入射光図6前方散乱と後方散乱 -