提供コンタクトレンズセミナーコンタクトレンズ処方.はじめの一歩監修/下村嘉一18.カラーコンタクトレンズ●はじめに本来のカラーコンタクトレンズ(以下カラーCL)は,角膜白斑や無虹彩症などに対し,整容目的・羞明防止などの医療目的に使用されていた.1990年頃から非視力補正用(以下度なし)のおしゃれを目的とするカラーCLを使用する若者が増えるようになったが,度なしカラーCLは生活雑貨店などで雑品として販売され,規制されていない粗悪な製品による深刻な眼障害が問題とされるようになった.そのため,2009年に薬事法が改正され,度なしカラーCLも高度管理医療機器に指定されるようになり,厚生労働省の承認を得たレンズのみが流通するようになった.薬事法改正前に承認されたカラーCLは10種類程度であったが,現在は350種類以上存在するため,すべてのレンズを把握することは困難な状況である.また,眼科医による目の状態やフィッティングのチェックを受けずにインターネットなどで購入し,眼障害を生じるケースも多くみられる.眼科医がカラーCLの特徴を知り,適切なレンズを処方し,ユーザーへの指導を行っていくことが必要である.●特徴カラーCLの最大の特徴は,着色部分が存在することである.着色パターンにより虹彩色を変えるopaqueタイプと,黒目を大きく見せるenhanceタイプ(サークルタイプともいう)がある.多くのカラーCLは,色素がレンズ内に封入されたサンドイッチ構造をうたっているが,色素がレンズ表面に露出しているレンズも存在する.色素がレンズ表面に露出していると,角膜上皮障害や角膜への色素沈着を生じることがある.また,色素がレンズ表面に近い部分に存在すると,レンズ表面に凹凸が生じ,角膜上皮障害の発生やレンズへの細菌付着を助長させる可能性があり1),注意が必要である.●処方カラーCL処方では,通常の透明なSCL同様に問診(55)0910-1810/15/\100/頁/JCOPY松澤亜紀子聖マリアンナ医科大学眼科学ののち他覚的・自覚的屈折検査,角膜曲率半径,角膜形状,角膜内皮細胞,細隙灯顕微鏡,眼圧,眼底,涙液検査などのスクリーニング検査を行い,CL装用が可能かどうかについて検討する必要がある.次にトライアルレンズの選択を行うが,カラーCLにおいてはファッション性を重視しレンズを選択することが多いので,実際に装用し患者の満足いく色やデザインを選択してもらった後にフィティングを確認したほうがよい.フィッティングでは,まずセンタリングの確認を行う.カラーCLの着色部分に瞳孔領にかかってしまうと視機能へ影響を及ぼすため,着色中心と瞳孔中心が近い部分にあるか,照度を落としても瞳孔領が着色部分にかからないかを確認する.次にレンズの動きを確認する.Pushuptestや瞬目,眼球運動によるレンズの動きを確認するが,カラーCLでは着色部分があることで動きが大きく見えてしまうので,レンズエッジをみて動きを確認する必要がある(図1).レンズの動きが大きいからといってタイトなレンズを選択すると角結膜障害を引き起こす危険があるため,レンズの種類を変更することも考慮したほうがよい.最後に追加矯正による度数の決定を行う.透明なレンズを装用している場合と比べて,カラーCL装用時はコントラスト感度が低下し2),自覚的な見え方が悪くなることがあるため,過矯正にならないようにする追加矯正を行う.●指導2012年に日本コンタクトレンズ学会が行ったカラーCLに関連した眼障害調査において,眼障害を生じたカラーCL装用者のうち,レンズケアが正しく行われていたのは33.4%,定期検査をまったく受けない人は79.8%であり3),カラーCL装用者のコンプライアンス不良が眼障害の一因となっている.カラーCL装用者の眼障害を減少させるには,目の状態やケア方法をチェックするための定期検査の必要性を説明し,ケア方法を含めたレンズの取扱いについて繰り返し確認していくことが大あたらしい眼科Vol.32,No.11,20151567