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序説:視機能発達と小児眼科

2006年1月31日 火曜日

———————————————————————-Page10910-1810/06/\100/頁/JCLS最近,“小児医療が危うい”といった新聞記事やテレビ番組を目にする機会が多いと思われるが,眼科でも“小児眼科が危うい”と思っておられる方が多いのではないであろうか.小児科と同様に,眼科でも小児眼科を志す若手医師が決して多くないということは大きな問題である.伝え聞くところによると都内の大学では小児眼科を担当する医師がおらず,斜視手術をほとんど行っていないところもあるそうである.原因はどこにあるのだろうか.少子化が最大の要因であることは間違いないであろう.対象患者数が減少すれば,それに対するサービス提供者である医療側もスリム化が要求されるのは当然である.しかし,それ以外での最大の要因は診療報酬の問題ではないであろうか.小児患者の診察には時間と人手が成人患者よりはるかに多くかかるのに診療報酬は成人例とほぼ同じ設定になっているため,眼科内での不採算分野になってしまっていることである.しかし,光明は射しつつある.政府も遅きに失した感は否めないが,最近になってやっと少子化問題や小児医療に関して真剣に取り組む姿勢がみえてきた.2003年9月22日に発足した第二次小泉内閣で初めて青少年育成及び少子化対策担当の内閣府特命担当大臣というポストが新設されたし,2005年10月31日の内閣改造でも少子化・男女共同参画担当と名は変わったが特命担当大臣というポストがあ(1)?り,少子化問題は政府の重要な政策課題として認識されている.医療分野での具体的な話では平成18年の診療報酬改訂において,昨今,医療費抑制の圧力が強いなか,6歳未満の小児に対する診療報酬は従来に比し,やや手厚い内容になることが予想されている.これからは小児眼科が決して“不採算”部門ではなく,収益的にみて有利な部門となる時代がやってくると期待している.今回の特集では「小児眼科の新しい考え方」をテーマとした.小児眼科は眼科の他の領域に比して進歩が遅い,新しいことがないといった誤った印象をもっておられる方が多いのではないかと思われる.本特集では各分野で活躍されている先生方に新しい話題を中心にして執筆をお願いした.まず,弱視治療と3歳児検診に関しての現況と問題点について瀧畑能子先生に解説をお願いした.斜視の分野では早期手術,あるいは生後6カ月以内に行われる超早期手術の評価が話題になっているが,これについて多数の治療経験をお持ちの矢ヶ?悌司先生に執筆をお願いした.小児白内障に関しては眼内レンズの適応年齢,狙い度数,術式をどうするか,術後経過,特に視機能の発達はどうなのかなどわれわれの知識はまだまだ不十分で,解決できていない問題は山積している.この領域については仁科幸子先生にご執筆をお願いした.未熟児網膜症の分野では周産期医療レベルの向上により,従来では生存が*ShunjiKusaka&TakashiFujikado:大阪大学大学院医学系研究科感覚機能形態学●序説あたらしい眼科23(1):1~2,2006視機能発達と小児眼科???????????????????????????????????????????????????????日下俊次*不二門尚*———————————————————————-Page2?あたらしい眼科Vol.23,No.1,2006困難であった在胎週数が22,23週で出生時体重が600gにも満たない低出生体重児が増加しており,これにつれて重症型(厚生省分類でⅡ型あるいはaggressiveposteriorretinopathyofprematurity)が増加している.以前にはまれであったこのような重症型に対する対応も迫られているが,この分野で活躍されている平岡美依奈先生にこのように変遷をとげる未熟児網膜症とそれに対する光凝固治療の最近の動向を解説していただいた.網膜?離をきたした未熟児網膜症に対する硝子体手術に関しても最近はより良い術後視力の獲得を目指して,水晶体を温存しての早期手術が試みられているが,これに関して小生らが解説させていただいた.また,初川嘉一先生には網膜芽細胞腫に対する治療法について最新の化学療法を含めて解説をお願いした.最後に,ときどき遭遇するがその対処に苦慮することが多い小児のデルモイドについて最新の知見を治療経験が豊富な古城美奈先生らにわかりやすく解説していただいた.いずれも力作揃いで,この特集を読めば小児眼科のトレンドの概略が理解できるのではないかと自負している.この特集を読んでいただいておわかりのように,小児眼科分野はまだまだ未解決の問題が多く残されているし,未来ある小児の診療に携わるのは非常にやりがいのあることである.今後,さらに採算性も改善されれば言うことはない.一人でも多くの若手眼科医が小児眼科を目指していただけることを期待している.(2)下記の要項にて,平成17年度須田記念緑内障治療研究奨励基金助成対象者の募集を行います.当基金の趣旨をご理解頂き,優れた助成対象論文のご応募を御願い致します.1.助成対象緑内障に関する研究全般を対象とし,申請者の申請した研究課題に助成する.2件(各100万円)予定2.応募資格①緑内障臨床と研究を継続する意志がある②年齢45歳以下③緑内障治療研究に実績がある④日本国籍を有する⑤自薦・他薦は問わない3.審査方法2005年1月1日から2005年12月31日までの1年間に発表された論文を同基金運営委員会選定委員において審査し決定する.4.応募方法及び応募締切助成金交付申請書に必要事項を記入し,主な業績一覧(1部),論文別刷(17部)を添付の上,下記宛に2006年2月13日までに提出する.尚交付申請書は,各大学教授及び緑内障学会評議員へ,事務局より送付する.〔提出及び問い合わせ先〕〒150-0041東京都渋谷区神南1丁目22番3号住友信託銀行渋谷支店内公益信託須田記念緑内障治療研究奨励基金事務局担当:佐々木TEL:03-3463-7121《公益信託須田記念緑内障治療研究奨励基金助成対象者募集》のご案内