●シリーズ後期臨床研修医日記香川大学医学部眼科学講座上乃功香川大学医学部眼科学講座では今年の後期研修医は1人でした.昨年は2人,一昨年は1人,3年前も1人と入局者は続いていますが,少数精鋭で頑張っています.人数が少ないため,手術日はずっと手術助手に入れて,わからないことについて先輩医師はもとよりスタッフの皆さんがいろいろ教えてくれるため,非常にありがたいなと思いつつ毎日を過ごしています.今回はそんな恵まれた後期研修を過ごせる香川大学眼科の1週間を少し紹介したいと思います.1週間のスケジュールは,おもに,月・火・木は外来,水・金は手術です.月曜日まずは,病棟の患者さんを診察します.7:40.8:00は食事時間,8:00.8:30は他の先生も診察していることが多く,病棟のスリット台は2台しかないため,なるべくその時間は避けて病棟の患者さんを診察します.外来は9:00からスタートします.月曜日は教授を含め網膜硝子体が2人,緑内障・一般眼科の外来が2.3人の計4.5人が診察を行っています.最初は初診の患者さん10.20人の問診をとります.問診で散瞳が必要な患者さんには前眼部をみて,散瞳指示と必要な検査指示をします.問診をとっていると,背中にドーンと掌が.「いさお,元気か」教授です.皆が知っている白神史雄教授(現・岡山大学教授)が外来診察にやってきます.教授の診察は速いので,診察前検査も速く行わなければなりません.問診をとり終わり,診察前検査をします.多い検査は光干渉断層法(OCT)です.2時間くらいひたすら視能訓練士(ORT)の先生とOCTを撮像します.間で眼底カラー写真,蛍光眼底造影(FAG),エコーの検査が入ります.カラー・FAGは50°,30°?スプリットって?フルオレセインを注入して8分以内に両眼を撮像しないといけない!?(そんなに速く撮れる?).撮像後にパノラマ画像を作る!?と,わからなくて困ることが多く,ORTから何度も教えてもらいました.FAGはまず撮像し始めるまでが大変です.患者さんに,「右腕を出してください.腕をぎゅっと縛りますよ.(血管がでない)」「看護師さーん(ルートとって下さい)」ルートはとれて顔は台に乗ったものの,眼が開▲香川大学同門会(95)あたらしい眼科Vol.30,No.6,20138170910-1810/13/\100/頁/JCOPY▲硝子体注射を行う筆者かなくて撮像すると眼瞼が映り込んでしまいます.「看護師さーん(眼を開けて下さい)」FAG後に他の検査をしていると,診察している先生がやってきて「画像見ながら撮ってる?」.どうやらピントが合ってないとのことです.四苦八苦してなんとかピントを合わせて撮っていると,また別の先生がやってきて画面をじっと見ています.「先生どうかしましたか?」「うえのくん,白いとこ入ってちゃだめ」どうやら周辺部の撮像時に眼底ではない部分が入っているのがよくないようです.検査の達人への道は遠い!火曜日・木曜日火曜日・木曜日は,准教授,講師を含め緑内障が3人,網膜硝子体・一般眼科の外来を1.2人体制で診察を行います.月曜日と違うのは,入院前の術前検査の患者さん,光凝固の患者さんが来ることです.問診と並行して術前検査の角膜内皮,IOLマスター,眼脂培養,胸部X線写真(胸写)・心電図・採血・感染症などの全身検査を行います.光凝固(PC)は汎網膜光凝固(PRP),focalPC,directPC,YAGレーザーを行います.最初は,powerがmW,mJ?spotsize?照射時間は0.02秒,0.02秒?SuperQuadRにYAGレンズ?と非常に種類が多く戸惑いました.火・木の両日は入院日のため,患者さんの要望があれば外来の合間や,主に外来が終わってから手術説明と術前診察を行います.硝子体出血の患者さんが,出血が吸収され視力も回復しているため退院になったり,慢性心不全の患者さんが入院して来てベッドに座った途端に息苦しさを訴え,38℃台の発熱があり,心エコーでは心818あたらしい眼科Vol.30,No.6,2013〈プロフィール〉上乃功(うえのいさお)宮崎大学医学部卒業,鹿児島大隅鹿屋病院にて初期臨床研修,平成24年4月より香川大学医学部眼科学講座後期研修医.筋梗塞ではなさそうだが,採血してみるとBNP(brainnatriureticpeptide)600台で慢性心不全の感染による急性増悪で,救急車でかかりつけの総合病院に転院するのに同行したりと,思わぬことが起こったりします.さらに,毎週のように入院患者が病床数をオーバーするために術後患者が突然転棟していることも多く,受け持ち患者の把握に常に注意を払っておく必要があります.また,木曜日はさらに教授回診,医局会も毎週あります.教授回診では,教授から「どっちの眼」「眼圧は」「孔はどこに開いている」「手術したのは誰」「OCTみせて」と次々に質問がくるため,主治医でない患者さんのときは少し戸惑います.医局会では抄読会での発表が当たるときがあり,英語の論文を2編読んできてそれを発表するとのこと.表がこうで,グラフがこうで,なんとか喋って,質問に答えて,最後に教授から「長い.もっとまとめて.」(すいません.僕もそう思いました.次はもっと簡潔にまとめます.)水曜日・金曜日水曜日・金曜日はおもに手術日です.外来も黄斑・斜視の先生がしていますが,研修医はおもに手術助手です.手術室は2室使用し,2台並行で行います.まずはどちらかの事前に決められた部屋に入り,主治医のときは第1助手に,教授の手伝いで入るときは第2助手に入ります.「無鈎セッシ.」(どれが無鈎ですか)「チョッパー.フックじゃないぞ」「乾いているから水かけて」「BSS(平衡食塩水)か,そうじゃないかだけは間違うな」「角膜が押しすぎて凹んでいる」「眼底が見えにくいから,見えるようにして」など,いろいろ覚えないといけないことは多かったです.特に眼内レンズ(IOL)のセッティングは最初戸惑いました.度数は,表裏は,「イエローにして」って?「先をタッキングさせてほしい」逆に「先をタッキングさせないでほしい」など.ただ,17時を過ぎると2人いた看護師が1人になってしまい,準備や片付けの人手が減り,さらに時間がかかるようになってしまうので,皆頑張って17時を過ぎないようにと必死です.(96)土曜日土曜日は手術翌日の診察をして,1.2カ月に1回程度,緑内障の患者さんの眼圧日内変動測定があります.朝の9時から3時間ごとに翌日朝6時まで眼圧を測ります.後期研修を始めて非常に困ったことの一つがこの眼圧測定です.アプラネーションを強く当てすぎても弱く当てすぎても測れず,測れるまでの数カ月間は困りました.まだできることは少ししかありませんが,徐々にできることは増えているので,早く一人前として働けるよう毎日の経験を積み重ねて頑張っていきたいと思います.指導医からのメッセージチャを入れられながらも,いじられ役に徹して前向きに元気に頑張っていること,自分でできることが増えるにつれて言動,顔つきがたくましくなってきていることを微笑ましく垣間見ています.しかし,いつまでも周りに頼って助けられているわけにはいきません.自分の実力を認識しつつ,常にレベルアップをめざして早く一人前の眼科医に育ってくれることを期待しています.(香川大学医学部眼科学講座・准教授馬場哲也)「少数精鋭を前向きに」地方大学における医師不足は深刻ですが,今年も新人を迎えることができほっとしています.研修医は,短期間で眼科医としての知識の習得や,患者との面談,診察,検査,手術などの経験を積み,技術を習得することを要求されるので,毎日やるべきことが山積みです.そのなかで,新入局員が1人であることから先輩医局員,スタッフから毎日集中的に愛の鞭,チャ☆☆☆(97)あたらしい眼科Vol.30,No.6,2013819