監修=大橋裕一連載⑤MyboomMyboom第5回「植木麻理」本連載「Myboom」は,リレー形式で,全国の眼科医の臨床やプライベートにおけるこだわりを紹介するコーナーです.その先生の意外な側面を垣間見ることができるかも知れません.目標は,全都道府県の眼科医を紹介形式でつなげる!?です.●は掲載済を示す連載⑤MyboomMyboom第5回「植木麻理」本連載「Myboom」は,リレー形式で,全国の眼科医の臨床やプライベートにおけるこだわりを紹介するコーナーです.その先生の意外な側面を垣間見ることができるかも知れません.目標は,全都道府県の眼科医を紹介形式でつなげる!?です.●は掲載済を示す自己紹介植木麻理(うえき・まり)大阪医科大学眼科私は平成3年(年がバレます)に大阪医科大学を卒業後,当時,東郁郎教授が主宰されていた眼科学教室に入局しました.研修医のころから手術が大好きで時間があれば手術室で上の先生の手術を見ていました.平成11年に池田恒彦教授が就任され,翌年から池田網膜硝子体学校の1期生となり,網膜硝子体手術に朝から夜までどっぷりと浸かり,その中で血管新生緑内障を担当するようになりました.現在は続発緑内障を中心に緑内障手術にいそしむ日々を送っています.前回の加瀬諭先生から引き継いだものの,仕事,子育て,ちょっとだけ嫁仕事と毎日,走りまわっていてmyboomなんて考えたこともなかったため,「はて?私のmyboomって??」と考え込んでしまいました.そこでmyboomとは日々,大切に思いこだわっていることと勝手に解釈し,書かせていただくことにします.臨床でのmyboom最も興味をもっているのが血管新生緑内障の手術治療です.難治といわれる血管新生緑内障にあの手この手で立ち向かいます.以前は「打倒!!血管新生緑内障」と思っていましたが,ここ数年で考えが少し変わりました.以前は敵を倒そうとやっきになり,とにかく眼を助けるために徹底的に網膜光凝固,硝子体手術をして鋸状縁まで焼き尽くし,ときには毛様体扁平部も焼いて,それでもだめなら緑内障手術としていました.しかし,眼(93)0910-1810/12/\100/頁/JCOPYを助けるために行ったはずなのに結果は落ち着いても著しい視野狭窄となってしまうことも多く,患者さんに「やっぱり見えへんなあ」と言われてしまうこともしばしばでした.そこで最近では打倒するのではなく,手なずけるようにすると方向転換しました.もちろん,まずは可能なかぎりの光凝固ですが,同時に抗VEGF(血管内皮増殖因子)抗体やトリアムシノロンというアメを与えて網膜症の状態を手なずけ,おとなしくさせます.そして点眼で眼圧がコントロールできない場合には濾過手術をします.3年前からチューブ手術をはじめ,現在までに17例18眼にチューブ手術を行いました(うち15例15眼が経毛様体扁平部挿入型)が15例15眼は点眼治療なしに21mmHg以下にコントロールされ,点眼治療を追加すれば現在,全例が21mmHg以下となっています.何度,濾過手術を行っても眼圧コントロールがつかなかった患者さんでもコントロール可能となり,もう少し早く始めていればあの人も助けられたかもしれないと何人かの患者さんの顔が目に浮かびます.緑内障手術の適応も早まり,結果としてよりよい視力,視野が残せるようになってきました.より良い視機能が残せるように日々精進したいと思っています.研究でのmyboom研究はおもに臨床研究を行っています.Myboomというより趣味に近いのですが過去のカルテを見ながら長期のデータを集めるのが大好きです.仕事が終わってから医局で独り言をいいながらバックグラウンド,視力,眼圧,視野,イベントなどをexcelに打ち込んでいきます.こだわりは時間がかかりますが一人で黙々とすること.一人ですべてのデータをとっていると何人目かである特徴に気が付きます.次にそこに着目してデータを取り直してみるということを繰り返します.そうすると見あたらしい眼科Vol.29,No.6,2012815えなかった何かが見えてくることがあり,ワクワクします.データを取っているうちに違うデータがあればもっと面白い結果が出そうだと思いつき,次の研究のアイデアになることもあります.また,自分が手術をした症例については経過記録を残すようにしています.良かった症例,悪かった症例のインパクトが強く,記憶しているだけでは自分の治療を正しい評価ができないため,3年ごとにすべての症例の成績を出して治療の正当性を評価し,次の治療にフィードバックします.最近は四十の手習いで眼病理を勉強し始めました.週に1度,病理学教室に伺い,眼科の過去に診断された組織を診て自分の知識をつけているだけですが,将来的に臨床につながる検討ができるようになれればいいなと思っています.プライベートのmyboom私を知っておられる先生からは「ほんまか!」と聞こえてきそうですが,趣味は自己流の料理と編み物です.料理はストレスの解消法です.忙しければ忙しいほど現実から逃避するためか,凝ったものを作りたくなります.中華料理なら「チャラララ,ランランランラ.ン.」,イタリア料理なら「オソ.レミ.オ..」と歌い,昔あったテレビ番組「料理の鉄人」の真似をして「今,鉄人がエビを投入しました!」と一人実況しながら作ります.子供と2人で食べるだけなのにキャンドルを灯し,テーブルセッティングにもこだわります.また,平日は子供とゆっくり時間を過ごすことができないため,日曜日は朝から何か一緒に作る日としており,先週はうどん,今週はパンでした.来週はケーキにでもしましょうか!編み物は大きなものは時間もかかり,あまり作りませんが冬には帽子やマフラー,夏にはベストなど小物は毎年作っています.子供が幼稚園のころは毎年のバザーに必ずお母さんの手作り作品を出さなければならず,「縫いぐるみ」ならぬ編みぐるみやガマグチ財布を編んで,何とか乗り切っていました.編み物はいいかげんな性格の私にぴったり!編んでいって小さければ編み足して大きくすることもできます〔写真1〕今まで一番のヒット作.子供の帽子を編んでみましたが試しにかぶらせたところ,アフロヘアーのカツラのようでした.でも大丈夫.耳をつければクマさん帽子に早変わりしました.し,出来上がりが気に入らなければちょっとした工夫でイメージを変えることができます.写真1は今まで一番のヒット作で,子供も気に入り1歳から3歳まで毎冬,かぶってくれました.周りにも大評判でお友達から注文がきたほどです.街中で見知らぬ人に「かわいい!」と頭を撫でられることもしばしばありました.でも調子に乗って次の年につくったアンパンマン帽子やドラえもんマフラーは「いやっ」と1回で却下されお蔵入りになりました.小学生になるとなかなか注文がうるさくなってきており,今年はワンピース,ポケモンキャラのベストもしくは帽子にチャレンジしたいと思っています.次回のプレゼンターは名古屋市立大学の安川力先生です.安川先生は精力的な仕事ぶりとギャップのある天然ほんわかキャラで一緒にいる周りの人を癒してくれます.私も会うたびにいつも元気をもらっています.注)「Myboom」は和製英語であり,正しくは「Myobsession」と表現します.ただ,国内で広く使われているため,本誌ではこの言葉を採用しています.☆☆☆816あたらしい眼科Vol.29,No.6,2012(94)