連載⑥現場発,病院と患者のためのシステム連載⑥現場発,病院と患者のためのシステム病院システムを構成する技術,製品につき,病病院システムを構成する技術,いため,また付和雷同にブームに迎合しないための基礎知識です.製品に関わる雑学的知識院経営者,医師,看護師,検査員,医事会計課員など,医療従事者が知っておいて損はないものを雑学的に紹介します.ベンダの甘言に乗せられな*杉浦和史“生兵法はケガの元”と感じるシーンに出会うことがあります.Oracle(オラクル)と呼ばれるデータベース(DB)がありますが,因果関係が複雑に入り組み,ベテランSEでも最適な設定にすることが難しく,チューニえたものでなければなりません.気がついたところ,必ングを専門とする技術者がいるくらいのこのDBを,解要になったところから,五月雨的に導入していったので説本で勉強し,実務に適用しようとする医療関係者がいは,システムが提供する機能と情報を有効に活かすことます.これは,教科書,マニュアルの知識で手術に臨むはできません.ようなもので,とても危険です.いくつものコマンドや設定を諳んじ,軽やかにキーボードを打つことができる前置きが長くなってしまいましたが,病院システムをという方もいますが,その延長線上でシステムもできる支える技術,製品にはどのようなものがあるのでしょう.かも知れないと考えチャレンジすると,火傷をするで要素に分けると,ハードウェア,ソフトウェア,アプしょう.リケーションの3つに分類されます.前者2つは,文字一方,既成概念で凝り固まった玄人よりも,しがらみ通り日進月歩で,先月できなかったことが今月にはできやこだわりがなく,発想が自由な素人のほうが,「そんなる技術,製品が出てくることも珍しくありません.一考え方があったのか」と目から鱗のアイデアを出す場合方,現場の作業を反映する後者は,BPRをしなければもあります.ここは,玄人はおごらず,また既成概念に旧態依然としたままの業務を反映するだけで進歩はありとらわれず,素人は“生兵法はケガの元”という言葉がません.実現手段は革命的なスピードで進歩しますが,あることを知って臨むことが必要ではないかと思います.それを使って業務のIT化を図るアプリケーションは,意識して変革しないと旧弊を引き継いだままで変わるこExcelやAccessでちょっとしたIT化を図り,作業とがないということです.アプリケーションはBPRをの効率化を図った経験をもつ方が,その延長線上で部門したうえで作ることを前提とし,それを実現するための間をまたがる複数の業務や,組織全体に関わる業務を処手段につき検討しましょう.理するシステムもできると思いこんでしまうことがあります.限られた範囲の限られた作業のIT化と,複数あサーバー,パソコン,タブレット,Pad(スレート型るいは院内すべての業務を対象とするそれとでは,考慮パソコン),自動受付機,自動精算機,RFID(無線を利すべき要素の数と深さが大きく違うという点が理解され用する自動認識技術)などのハードウェア,および,ていないのかもしれません.意識,無意識を問わず,こOS,DB,ネットワーク,音声合成・認識,手書き認識れを無視して作って(導入して)しまうと,システムとなどのソフトウェアがあります.最近ではスマートフォは呼べないブツブツに切れた機能の集合ができてしまいンなども出て来ました.このような製品,技術が出てくます.目の前の面倒くささを解決することと,全体の効ると,「さて,何に使えるか」と考えます.iPadが出て率向上を図ることの違いは,実際に経験しないとなかな来た時は,訪問介護やインフォームド・コンセントなどかわからないでしょう.に使うアプリケーションが出て来ましたが,これはシステムとは,個別の業務対応に作られた機能の寄せiPadを使い勝手のよい表示装置としての使い方です.集めではなく,病院全体の業務を洗い出し,それに必要な機能と情報が相互に連携しあうことを計画当初より考*KazushiSugiura:宮田眼科病院CIO/技術士(情報工学部門)(85)あたらしい眼科Vol.29,No.7,20129610910-1810/12/\100/頁/JCOPY図1宮田式自動精算機プロトタイプ図1宮田式自動精算機プロトタイプ図2Pad(スレート型パソコン)表示する情報が必要になりますが,それが蓄えられていなければ画期的な表示装置といえども意味がありません.これに限らず,新しい技術,製品が出て,ベンダ(システム開発,提供会社)が売り込みにきても,それを活かす環境が自院にあるかを見極めなければなりません.自動精算機という名前もそのまま信じると間違ってしまいます.決して自動ではなく,医事会計課が面倒な算定ルールを反映する諸作業を裏で行い,その結果を自動精算機で支払ってもらうというだけです.自動なのは支払いだけです.その支払い操作も,説明員がいないとスムーズにいかない場面を見受けます.どこまでが自動なのかの範囲を正しく理解しないと期待はずれに終わります.便利さを感じるために必要な操作能力をどこまで求めるのか,来院する患者の年齢層を考え,費用対効果を勘案して導入可否を決めるべきでしょう.当院で開発中の院内業務総合電子化システム(Hayabusa)では,既存の自動精算機ではなく,精算に必要な情報と機能を分析したうえで,会計スタッフが操作する自前の精算システムを開発中(図1)です.汎用品を組み合わせたハードウェアの費用は1/12程度で済み,現場の実態を反映した機能と操作性という点では,既存製品とは一線を画します.iPadのようなスレート型パソコンも,表示だけではなく,入力も容易にできなければ用途が限られてしまいます.製品動向を見極め,使える新技術,新製品がいつ頃出てくるかを想定しながらハードウェアを選びますが,Hayabusaでは,昨年末に発表された表示面積がA4サイズと広く,電磁ペンでの入力もできるPadを選択しました(図2).ブームのAndroidではなく,使い慣れたWindowsで動くもので962あたらしい眼科Vol.29,No.7,2012すが,これにより訪室など病棟業務は元より,手術,外来処置など応用分野も広がり,作業効率向上の一翼を担う予定です.詳しくはマイクロソフトの事例紹介(http://www.microsoft.com/ja-jp/casestudies/miyatamed.aspx)をご覧ください.マスコミが煽るブームに乗らず,ベンダの甘言に乗せられず,やりたいことを実現できる製品,技術を見つけ出すためには,病院スタッフ自ら情報を捜し,知識を得ることと,実戦(実践)経験豊富な先達のアドバイスを受けることを勧めます.特に,前者はインターネット全盛の今,容易にできる環境にあります.ハードウェアは,同じ価格帯ならどれを選んでも大差ない時代です.OSは選択の余地は少なく,そもそも病院スタッフが選べるものではありません.DBはOracle,SQLseverなどが一般的ですが,使っているうちにレスポンスが悪くなるという現象はDBが大きく影響しています.当院のHayabusaでは,東証など,性能で問題があったところでその解決策として採用された実績をもつ超高速DB,4DDAMを使います.捜せば,優れた製品はあります.アンテナを高くして情報収集することを勧めます.残るはアプリケーションを構築するSIerです.一流会社にも二流社員がいます.どの会社ではなく,誰が担当するかを見極める必要があります.ただし,注文を取る時は弁舌さわやかな優秀な人物をあてがい,受注すると平凡なSEを割り当てるという,羊頭狗肉なSIerもあることを頭に入れておいて損はありません.大手SIer→そのディーラ→その協力会社ということも珍しくありません.要注意です.(86)