———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.24,No.12,20071643私が思うこと●シリーズ⑧(93)普段の仕事帰りの飲み会や,地方学会の医局の飲み会などに若い医者を誘うと,是非にと付いてくるのですが,他の大学の先生たちと飲みに行こうかと誘っても,最近の若い先生たちは,「いいですよ,面倒くさいから.」といつも断られてしまいます.確かに,いつものメンバーで飲んだり騒いだりするのは楽しく,知らない人と飲んだり話したりはいやかもしれません.しかし,そういうお付き合いをしていくことで,いろいろな人たちと交流ができます.私の若いころはどうであったかというと,上の先生や教授からお誘いがあれば,小さな飲み会から海外の学会まですべてお断りをせず参加させていただいていました.3年医の秋にAAO(アメリカ眼科アカデミー)を中心にエモリー大学でのadvancedvitreoussurgerycourse,デューク大学アイセンター,マサチューセッツ眼科耳鼻科病院での手術見学を企画したツアーに樋田哲夫教授よりお誘いを受け参加しました.このツアーを企画されたのは大阪大学の田野保雄教授,東邦大学の竹内忍教授,杏林大学の樋田教授で,田野教授や竹内教授とは初対面でした.そのほか,浜松の海谷忠良先生や新潟の安藤伸朗先生たちもいらっしゃいました.昼は学会に参加し,夜はホテルの一室で飲みながら勉強のことだけでなくいろいろと語り明かしたのを思い出します.「いつもは怖そうな顔で演者に質問を浴びせていた先生がこんな気さくな先生だったなんて!」だとか,「え,この先生がこんな飲んだくれだったの?」とか目からうろこのことばかりでした.このツアーから帰ってきてはじめての学会で,ご一緒した先生や教授方からお声をかけられたときは,とてもうれしく思いました.今でも親しくお付き合いさせていただいている先生方もいらっしゃいます.また,私の留学のきっかけをつくったのも,デューク大学の見学でした.当時,ちょうど日本大学の佐藤幸裕先生(現東邦大学佐倉病院教授)と慶應義塾大学の平形明人先生(現杏林大学教授)が留学中で,いつかは自分も留学したいなと考えるようになったのが実現したものです.国内の学会でも先輩の先生方に金魚の糞のようにくっついて飲みに連れていってもらいました.福岡の網膜硝子体学会では,関西の某大学の網膜硝子体を専門にしていた先生たちと中洲を何軒もはしごしました.私がデューク大学に留学する1年前にこの時一緒に飲んでいた先生が留学されており,なんと奇遇なことかと思われます.2004年の日本眼科手術学会で現在亀田総合病院の堀田一樹先生が中心となり,全国の私と同世代の網膜硝子体術者と飲み会を開くことになりました.当時40歳前後の網膜硝子体術者が20名近く集まりました.この会0910-1810/07/\100/頁/JCLS三木大二郎(DaijirouMiki)杏林大学医学部眼科学教室1960年東京生まれ.公立阿伎留病院に1年出張,デューク大学に1年留学した以外,18年間杏林大学に居続けている珍しい医者である.専門は網膜硝子体手術.最近ようやく緊急手術を若い先生たちに振り分けることができるようになった.こよなく酒を愛し,最近では泡盛に夢中.太ってはいるが,スポーツは水泳以外は何でもこなす万能スポーツマンであると自負している.(三木)おつきあい▲第四世代?網膜硝子体術者の会———————————————————————-Page21644あたらしい眼科Vol.24,No.12,2007の参加者は日本の網膜硝子体術者の第四世代であるし,このなかから将来何人の教授が誕生するだろうと思いを馳せながら語らいました.酔った勢いというのは恐ろしいもので,「○○があんなこと言うからみんな真似してしまいミスリードになるんだよ.」とか,「おまえそんなことしたら駄目だろう.」とかふだんではできないようなしかし非常に内容の濃い討論ができるものです.今まで金魚の糞だった私もそろそろ金魚として若い先生たちをこのような会に誘ってあげようと,杏林大学の若手の術者に声をかけるのですが,誰一人手を上げず,面倒くさいからいいよ,知らない人と飲むのは気を使うから僕らは僕らで行きますとむげに断られます.すでに私を含め何人もの方々が准教授,講師になられており,なかには教授になられた先生もいらっしゃいます.若手のバリバリの硝子体術者のコメントなんてなかなか機会がなければ聞くことはできませんよ.このように出会った方々とは,学会でお会いするたびに,一言お声をかけていただいたり,飲みに連れて行っていただいたり,わからない症例やあんなことこんなことをしてしまった症例などの相談にも乗ってもらい,私の人脈は形成されています.若い先生たちも,勉強も大事ですが,人と人のつながりもとても重要であることをもう一度考えてみてはいかがでしょうか.学会で大勢の前で質問はしにくいでしょうが,酔った席でさっきの発表のことですけどなんて質問するのは比較的やりやすいですよ.また,学会場で質問されるよりそういう席で質問されるほうがあなたのことを覚えてくれていますよ.次の学会で会ったとき,「ああ,あのときの○○先生だね.元気ですか.」なんて声をかけられたらとってもうれしいと思うのですが,こんなことを考えているのは私だけでしょうか.ご賛同いただける先生方がいらっしゃいましたら,今度飲みに行きませんか.三木大(みき・だいじろう)昭和63年5月杏林大学医学部眼科入局平成9年10月米国デューク大学アイセンター留学平成16年4月杏林大学医学部眼科学内講師平成17年4月杏林大学医学部眼科講師平成19年4月杏林大学医学部眼科准教授現在に至る(94)☆☆☆