———————————————————————-Page10910-1810/07/\100/頁/JCLS膜剥離や静脈閉塞などでも陽性にでるが眼底検査で容易に発見できる.片眼性のacutezonaloccultouterretinopathy(AZOOR)でも陽性にでる.眼底所見に乏しく視神経疾患と誤診されることがある.視野や多局所ERG(網膜電図),光干渉断層計が鑑別に有用である.眼底所見のない片眼視力低下は一般的には視神経症を想定し視野や中心フリッカー値,画像解析をオーダーする.鼻性視神経症は緊急を要する疾患であり常に念頭に置く.副鼻腔真菌症は生命予後に関わる疾患であり,安易な球後視神経症の推定診断のもとに副腎皮質ステロイド薬を投薬することは厳に慎むべきである.眼底所見のない両眼視力低下では中毒性,栄養欠乏性視神経症,心因性に留意し薬物使用,栄養摂取歴,日常変化を詳細に聴取する.Paraneoplasticsyndromeもまれではあるが忘れてはならない.発病初期に視覚異常のみを訴えるHeidenhainvariantとよばれる特殊なCreutzfeld-Jacob病による皮質盲がある.感染の面から白内障手術などの適応時には留意して置く必要がある.視野による病巣診断には視路の理解が基本である.大別して弓状神経線維束障害による鼻側階段,乳頭黄斑線維束障害による中心暗点,視交叉以後の障害による垂直半盲があり,調和性や黄斑回避,分割などの属性がある.連合暗点,水平半盲,扇形眼球疾患には自信をもって診療に臨めても,眼球外の疾患になると腰の引けることが多い.視力低下,視野狭窄,複視,眼瞼下垂,眼球突出,頭痛などを訴えて眼科を受診する人のなかには,重篤な全身疾患の初発症状があることも少なくない.これら初発症状を的確に鑑別することは眼科医の責務である.神経眼科というと垣根を感じる人も多いが,実は神経眼科的診察法はわれわれが学生時代に学んだ眼科基本診察そのものである.日常からこの基本を地道に積み重ねることで異常所見に敏感になる.さまざまな異常所見を経験しそれを大切に蓄積し反芻することで診断力が身につく.診断力がつけばおもしろくなり,展望がどんどん広がる.苦手意識を克服するためにはまず基本所見の取り方を実践し,必須事項をマスターすることである.今回の特集は日常診療のなかで比較的多い神経眼科的訴えに対処する診察手順と,見逃してはならない要点について簡略にまとめていただいた.これを実践することで神経眼科を身近に感じていただけるはずである.原因不明の視力低下の原因解明には網膜,視神経,中枢,心因性などすべての眼科知識の動員が必要である.相対的入力瞳孔反射異常(relativeae-rentpupillarydefect:RAPD)は簡便,敏感なテストである.多くの場合,陽性側の視神経障害を示唆するが,視索病変では対側が陽性となる.片眼の網(1)1551*AkiraNegi:神戸大学大学院医学系研究科実践医学領域器官治療医学講座眼科学分野特集とっても身近な神経眼科:説あたらしい眼科24(12):15511552,2007見逃してはならない必須事項FundamentalMatterstobeKeptinMindinDailyPractice根木昭*———————————————————————-Page21552あたらしい眼科Vol.24,No.12,2007(2)筋,瞳孔筋,視神経などが同時に障害されているときは神経解剖を復習して病巣を同定する.虚血性動眼神経麻痺では瞳孔異常を伴うことは少ない.完全動眼神経麻痺に散瞳を伴うときは内頸動脈,後交通動脈付近の動脈瘤を疑い緊急に画像検査をオーダーする.甲状腺眼症は頻度の多い疾患で慢性期に至ると複視,視神経症,高眼圧,眼球突出など多彩な障害をきたし難治である.女性に多いため,初期から美容的にも問題になるが眼科的に積極的に介入しがたい分野でもある.活動期を見きわめ消炎治療介入時期を見定めることが大切である.加齢性眼瞼下垂は近年手術的治療による心理的付加効果も指摘され,形成外科領域でも積極的に加療されている.Horner症候群や動眼神経麻痺,進行性外眼筋麻痺,重症筋無力症などとの鑑別が必要である.頭痛,眼痛も頻度の多い訴えである.片頭痛や緊張型頭痛は,いわゆるいつもの頭痛で問診で鑑別できる.いつもと違う,経験したことのない頭痛が問題で脳血管障害,腫瘍,感染,副鼻腔疾患,外傷などが原因になる.Tolosa-Hunt症候群や肥厚性硬膜炎,側頭動脈炎,三叉神経痛,副鼻腔疾患などの特徴を理解しておく必要がある.以上のような日常よく遭遇する症状について,経験豊富な先生方に診断のポイントと治療の進め方を最新の知見をまじえてわかりやすく解説していただきます.かならずや神経眼科学が身近になることと思います.盲,四半盲などの特異な型もある.近年,静的視野測定が普及したが,元来緑内障診断を主眼に開発されたソフトであり半盲などの検討には実測データを吟味する必要がある.中心30-2閾値検査では垂直経線をはさむ2列の左右差比較で,2dB以上4点,3dB以上3点連続していれば半盲を考える.動的視野測定による周辺視野との対比が重要である.乳頭評価は隆起の有無を判定することから始まる.両眼性の隆起はうっ血乳頭の鑑別が第一となる.自覚症状は少ないが生命予後に関係する重要な所見である.ついで萎縮,陥凹の有無に注目する.視索病変では対側に水平なbandatrophyをみる.上方,下方の部分乳頭萎縮では虚血性疾患を疑う.若年の両眼耳側萎縮は常染色体優性視神経萎縮にみられる.青黄色覚異常を伴う.Leber遺伝性視神経症の初期発赤,毛細血管拡張も忘れてはならない.近年,正常眼圧緑内障の有病率の高さが指摘されているが,緑内障性陥凹の最大の特徴は辺縁部の赤色調が維持されていることである.辺縁部が蒼白なら他病因を検索する.Superiorsegmentaloptichyp-oplasia(SSOH)は比較的よく遭遇する.緑内障様視野異常を呈するのでいつも注意して置く必要がある.眼球運動障害診療は障害筋の同定から始まる.外眼筋の作用を理解し,むき運動,ひき運動,Biel-schowsky試験の評価に日頃から慣れ,Parks試験を体得しよう.Bell現象,人形の眼現象で核上性を鑑別,核,核間,核下性を鑑別していく.重症筋無力症をいつも念頭に置く.複数の外眼筋,眼瞼挙