———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.23,No.8,2006????0910-1810/06/\100/頁/JCLS日常視下における緑内障性視野異常の自覚症状は乏しく,特に単眼性の場合は両眼視によって視野異常が補完されることで早期発見が困難となることが予想される.しかしながら,視野検査測定時に,測定眼に対する非測定眼の遮閉による干渉(測定眼視野が暗くなったり,固視標が薄れたり)を知覚すると訴える患者も多々見受けられる.正確な視野検査結果を測定するためには,視野検査時の両眼視機能の影響(特に片眼遮閉時)を正確に把握する必要がある.この現象は”blankout”とよばれ,Humphrey視野計・Goldmann視野計のようなGanzfeldドームを用いた視野検査において片眼遮閉などにより左右眼の輝度に差異がでた場合に生じる知覚現象である1).この知覚現象は両眼に異質図形(直行する格子縞)を投影した場合に知覚する視野闘争と似通った現象であり,blankoutと視野闘争は共通の機構によって制御されているという報告もある2).視野闘争は眼優位性(利き眼)の定量評価が可能であり,眼優位性の強さの個人差を評価することができる3~5).視野闘争の知覚を評価することで視野検査時における遮閉眼の干渉の影響について評価できる可能性がある.そこで,緑内障性視野異常を有する患者の視野検査時における遮閉眼の干渉の影響について,視野闘争を用いて眼優位性の強さに注目して検討した.(53)●連載?緑内障セミナー監修=東郁郎岩田和雄74.視野検査における眼優位性の影響半田知也庄司信行北里大学医療衛生学部視覚機能療法学緑内障性視野異常を有する患者の視野検査結果において優位眼の中心閾値は非優位眼よりも高く,その閾値差は眼優位性が強いほど大きくなる傾向を示した.非優位眼の測定時には優位眼からの強い干渉による影響が推察された.緑内障患者の視野検査結果においては眼優位性(強さ)が強く影響している可能性が示唆された.型旧)さ強の性位優眼:点転逆)価評るよに差間時覚知位優(COW(TEB社)トーャチ量定性位優眼式里北+型新>非優位眼優位眼100%60%20%100%・・・・100%100%Balancingtechnique図1眼優位性定量法(balancingtechnique)と装置60秒間の視野闘争刺激における優位眼・非優位眼それぞれの優位時間を各コントラストで測定し,非優位眼刺激優位時間が優位眼刺激優位時間を上回った際のコントラスト(逆転点)を“眼優位性の強さ”として評価する.———————————————————————-Page2????あたらしい眼科Vol.23,No.8,2006●対象および方法対象は北里大学病院眼科に通院中で,中心10?以内に視野異常を有する緑内障患者14名,平均年齢59歳,遠見・近見視力ともに1.0以上であり,日常生活下において視野異常を自覚しない者とした.視野検査はHum-phrey自動視野計の中心10-2閾値測定プログラムにて単眼視下(優位眼・非優位眼),両眼開放下にて測定され,中心5?以内の平均閾値を用いて評価した.眼優位性は視野闘争を用いた眼優位性定量法(balancingtech-nique)を用いた.本法は左右眼に45?と135?の視角4?の直行する格子縞,サイズ:視角4?,空間周波数2c/deg優位眼刺激コントラストを100%から10%まで10%ごとに変化させ,非優位眼刺激コントラストは100%に固定した際の優位眼刺激と非優位眼刺激の知覚時間差によって評価する.図1に装置(旧型,新型)を示す.●結果と考察図2に中心5?以内の平均閾値の結果を示した.閾値は,優位眼が非優位眼より高値を示し,その閾値差は眼優位性が強いほど大きくなった.視野検査時に眼優位性の影響が示唆されるとともに,非優位眼測定時の優位眼遮閉による強い干渉が生じている可能性が推察される.図3には,優位眼と非優位眼の平均閾値差(優位眼閾値-非優位眼閾値)と両眼視下閾値を示した.両眼視下閾値は眼優位性の強さにかかわらず一定であった.これは,視野異常の進行に伴って眼優位性(強さ)に視野異常の補完を目的とした機能的適応変化,すなわち非優位眼に視野異常が生じた場合には優位眼をより優位に,優位眼に視野異常が生じた場合には優位眼の変化(非優位眼を優位眼に変化)が生じることで,両眼視下における視野異常の自覚を抑制している可能性が推察される.今後,眼優位性のさらなる研究が望まれるとともに,緑内障診断(特に視野検査)における眼優位性の影響について注目する必要性がある.文献1)BolanowskiSJJr,DotyRW:Perceptual“blankout”ofmonocularhomogeneous?elds(Ganzfelder)ispreventedwithbinocularviewing.??????????27:967-982,19872)HarradRA,WhitakerA,LaidlawDAH:Binocularrivalryinpatientswithunilateralcataract:apreviouslyunidenti-?edcaseofvisualdisability.?????????????????????????35(Suppl):1964,19943)HandaT,MukunoK,UozatoHetal:E?ectsofdominantandnondominanteyesinbinocularrivalry.?????????????81:377-382,20044)HandaT,MukunoK,UozatoHetal:Oculardominanceandpatientsatisfactionaftermonovisionbyimplantedintraocularlenses.???????????????????????30:769-774,20045)HandaT,UozatoH,HigaRetal:Quantitativemeasure-mentofoculardominanceusingbinocularrivalryinducedbyretinometers.???????????????????????32:836-841,2006(54)010203040両眼開放非優位眼優位眼平均閾値(dB)図2平均閾値単眼視下(優位眼,非優位眼)と両眼視下における中心5?以内の平均閾値の結果を示す.視野闘争によって決定された優位眼の閾値は非優位眼の閾値よりも高値を示した(Mann-WhitneyUtest,p<0.05).また両眼視下閾値は単眼視下(優位眼閾値,非優位眼閾値)よりも高値を示した(Mann-WhitneyUtest,p<0.05).100(n=0)80(n=4)60(n=4)40(n=2)20(n=1)noreversal(n=3)05101520253035平均閾値差(dB)図3平均閾値差・両眼開放閾値と眼優位性の強さ優位眼と非優位眼の平均閾値差(優位眼閾値-非優位眼閾値)と両眼視下閾値を示す.眼優位性が強い者ほど平均閾値差が大きくなる傾向が認められた(ANOVA,p<0.05).一方,両眼視下閾値と眼優位性の強さには有意差は認められなかった(ANOVA,p>0.05).:平均閾値差(優位眼平均閾値-非優位眼平均閾値).:両眼開放下平均閾値.