———————————————————————-Page10910-1810/06/\100/頁/JCLS成した2).三歳児健診は,当初実施主体が都道府県であったが,1997年に市町村へ委譲されたため,同一都道府県内でも地域によって差が生じているのが現状である.II三歳児健診の流れ三歳児視覚健診は3ステップをとっている(図1).三歳児健診の対象児全員の家庭に問診「目に関するアンケート」(図2),ランドルト環字ひとつ視標(0.1と0.5相当)と視力検査の方法の説明書が郵送される.一次健診は,家庭で保護者が視力検査と「目に関するアンケート」の回答を行い,その結果を用紙に記入する.後日,I三歳児視覚健診の歴史三歳児健診は1961年に実施となったが,健診での眼科の項目は,「目の疾病および異常の有無」とされ,問診・視診で発見可能な異常に限られていた.湖崎らは,1970年に大阪市内保健所での三歳児健診にランドルト環字ひとつ視力検査を2.5mの距離で行い,スクリーニング基準として0.5が適当であると報告した1).1990年,三歳児健診に視力検査が導入され,その後,厚生省心身障害研究「小児の視覚発達の評価法に関する研究」の一環として,丸尾らが三歳児健康診査のガイドラインを作(9)???*YoshikoTakihata:川崎医療福祉大学感覚矯正学科〔別刷請求先〕瀧畑能子:〒701-0193倉敷市松島288川崎医療福祉大学感覚矯正学科特集●もっと知りたい,斜視・弱視あたらしい眼科23(6):707~711,2006三歳児健診の現状と問題点???????????????????????????????????????????????????????-????-????????????瀧畑能子*図1三歳児視覚健診の流れ一次健診は家庭で保護者が行い,「目に関するアンケート」で該当項目があった児,あるいは,視力検査で片眼でも視力0.5未満であった児は二次健診を受診する.精密健診は,眼科で実施する.アンケート記入・視力検査アンケート○なし家庭視力0.5以上査検次二関機療医門専力視5.0上以しな常異眼査検密精児歳三行発票診受可理処nonononono了終了終了終了終眼科保健所家庭———————————————————————-Page2???あたらしい眼科Vol.23,No.6,2006対象児は全員保健所での(歯科健診などの)三歳児健診を受診することになっているので,保護者は,アンケートと視力検査の結果を記入した用紙を保健所に持参し提出する.アンケートの回答で眼疾患が疑われるか,視力検査の結果片眼でも0.5未満かあるいは視力検査ができなかった場合は,二次健診として,保健所で視力検査と医師の眼異常チェックを受ける.二次健診においても,視力が片眼でも0.5未満か,眼異常が疑われる児は,精密健診受診票を交付され,後日,眼科で精密健診を受ける.III日本眼科医会の調査3)日本眼科医会公衆衛生部が,人口10万人未満の市町村にアンケート調査を行った結果について,その現状と問題点をあげる.①三歳児視覚健診を実施しているか?<現状>9市町村(回答があった市町村の5.3%)が三歳児視覚健診を実施していなかった(図3).<問題点>1997年に主体が都道府県から市町村に委譲された結果,健診にどのくらい費用を使うことができるのか,かかわることのできるスタッフ(職種と人数)などの差が生じている.②健診での眼異常発見の頻度は?<現状>対象児65,382名中,二次健診受診児は29,046名(44.4%),精密健診が必要な児は2,915名で,実際に精密健診を受診した児は1,797名で,眼異常が発見されたのは1,142名であった(図4).<問題点>二次健診で精密健診が必要と判断された児のうち,実(10)図2目に関するアンケート一次健診として,保護者が回答する.トーケンアるす関に目のんさ子おお子さんについて、当てはまるところを○で囲んでください。1.。かすでいしかおがきつ目。かすまりがしぶまに端極.2。かすま見てめ細を目.3。かすま見ていづ近に物.4。かすましりた見で目横、りたけ傾を頭.5。いさだくき書おばれあがとこな配心ていつに目、他のそ.6)(いはえいい:いはえいい:いはえいい:いはえいい:いはえいい:(94.7%)161市町村実施実施していない9市町村(5.3%)図3三歳児視覚健診を実施しているか?日本眼科医会公衆衛生部が人口10万人未満の市町村にアンケート調査した結果,回答があった市町村のうち,9市町村(5.3%)が実施していなかった.———————————————————————-Page3あたらしい眼科Vol.23,No.6,2006???際に眼科で精密健診を受診した児は61.6%にとどまった.精密健診を受診した児のうち63.6%に眼異常が発見されていることから,精密健診未受診児のなかにも眼異常を有する児がほぼ同率で存在すると仮定すると,健診で異常を疑われたにもかかわらず「とりこぼし」が多数発生する結果となる.③二次健診の実施方法は?<現状>眼科医が実施しているのは4.3%で,1998年4)の6.8%に比べ減少していた.眼科医以外の医師は15.5%(1998年は26.3%),保健師あるいは視能訓練士は54.7%(1998年は48.8%)で過半数を占めていた(図5).契約医療機関は,1998年は6.3%であったが,2001年は11.2%と増加していた.<問題点>眼科医の参加が少ない.保健師と視能訓練士の参加は合計で過半数であるが,日本視能訓練士協会の調査では視能訓練士の二次健診への参加は9.4%と少なく,保健師と看護師が大半を占めていた.IV一次健診(家庭)の視力検査筆者らは,2004年8月から2005年2月に10カ所の保健所で三歳児健診の受診児265名の保護者に家庭での視力検査について聞き取り調査を行った.その後,視能訓練士が,裸眼視力検査と調節非麻痺下での手持ち型オートレフラクトメーターによる屈折検査を行った.①家庭で視力検査を実施したか?<現状>249名(94%)が視力検査を実施していたが,16名(6%)は未実施であった(図6).<問題点>未実施の保護者に理由を聞くと,郵送されてきた説明書を読まなかったという理由が多かった.②家庭で視力検査は可能であったか?<現状>視力検査を実施した249名中,検査可能であったのは189名(76%)であった.家庭で保護者が視力検査できなかった児は60名(24%)であったが,視能訓練士が視力検査を行うとそのうち42名(70%)が検査可能であった(図6).<問題点>3歳児の視力検査は,成人の視力検査よりむずかしく正確に行うには技術を要する.健診はスクリーニングなので,児が慣れた場所である家庭で保護者が0.1と0.5の視標を用いて一次健診としての視力検査を行うのは意義があると考えるが,保護者の視力検査が不可であった児のうち42名(70%)は視能訓練士の視力検査は可能であったことから,やはり,3歳児の視力検査を,視力検査を初めて行う保護者が正確に実施するのはむずかし(11)図4二次健診・精密健診の受診児数と眼異常児数二次健診の受診児は44.4%であった.精密健診が必要と判断された児のうち,実際に精密健診を受診した児は61.6%であった.精密健診を受診した児のなかで眼異常が発見された児は63.6%であった.(日本眼科医会公衆衛生部の報告3)より)対象児二次健診受診児精密検査必要児精密検査受診児異常発見児80,00060,00040,00020,000065,382名29,046名1,797名1,142名2,915名図5二次健診の実施方法眼科医は4.3%,保健師または視能訓練士が過半数を占めていた.0%50%100%2001年1998年他科医師保健師or視能訓練士8.6%3.62%8.843.6%4.213.4%2.11%7.45%5.51%3.41契約医療機関眼科医その他———————————————————————-Page4???あたらしい眼科Vol.23,No.6,2006いのではないかと考えた.③保護者と視能訓練士の視力検査の結果は一致するか?<現状>保護者の視力検査で0.5が見えた(以下0.5OK)であった児134名中126名(94%)は視能訓練士の検査でも0.5OKであった.保護者の検査で0.5が見えなかった(以下0.5未満)55名中38名(69%)は視能訓練士の検査では0.5OKであった(図6).<問題点>保護者の検査で0.5未満であった児のなかには,保護者の検査技術が0.5OKとならなかった原因の一つであると考える.④家庭での視力検査時,片眼を何で遮閉したか?<現状>手のひらで遮閉したものが最も多く,被検者である3歳児自身の手で片眼遮閉させたのが63名(24%),成人の手が59名(22%)であった.ティシュ66名(25%),ガーゼ24名(9%),ハンカチ19名(7%)などであった(図7).<問題点・改善点>3歳児自身の手で遮閉を行うと,覗く可能性が高いと思われる.視力検査の説明書にイラストなどを追加して3歳児自身の手で遮閉しないよう注意するようにしたい.可能であれば,アイパッチを同封するのが良いと考える.⑤家庭での視力検査時,検査距離は測ったか?<現状>検査距離を測った(実測)のは151名(57%),おおよそで検査を行った(目測)のは114名(43%)であった.実測群では,0.5OKが保護者,視能訓練士でそれぞれ125名(83%),134名(89%)でほぼ一致した結果であったが,目測群では0.5OKは保護者60名(53%),視能訓練士105名(92%)と視力検査の結果に差が生じた(図8).手のもどこ%4236名手の人成95名%22ュシィテ66名%52ゼーガ%9ハンカチ%73紙スプーン3その他%5眼帯2%%%42名8名8名5名31名91名図7何で片眼遮閉したか?3歳児の手で遮閉した者が24%いた.(12)図6一次健診(保護者)と視能訓練士による視力検査検査可189名検査不可24%76%視力検査実施249名94%視力(0.5)OK71%0.5未満29%0.5OK69%70%検査可70%可56%134名0.5OK126名94%8名55名38名17名18名42名9名7名16名60名保護者視能訓練士未実施0.5OK100%0.5100%———————————————————————-Page5あたらしい眼科Vol.23,No.6,2006???<問題点・改善点>検査距離が違うと当然視力値も違ってくる.家庭での視力検査を正確に行うために2.5mの糸を視標とともに郵送するなどの工夫が必要である.⑥視力だけでスクリーニングしてもよいのか?<現状>調節非麻痺下で手持ち型オートレフラクトメーター(レチノマックスKプラス?)で屈折検査を行ったところ,保護者,視能訓練士ともに0.5OKであった126名中12名(15眼)に+2D以上の遠視,1.5D以上の乱視,2D以上の不同視のいずれか1つ以上が認められた.屈折異常を認めた12名15眼を,視能訓練士が測定した裸眼視力別に図9に示す.<問題点・改善策>やはり,裸眼視力だけでは屈折異常の取りこぼしの危険がつきまとう.可能であれば,オートレフラクトメーターなどで屈折検査を併用していきたいものである.しかし,健診の場で調節麻痺剤は使用しにくい.調節の介入を考慮すると調節非麻痺下での屈折検査のみでは安心できない.視力と屈折値との総合的な判定が必要である.V島々からなる眼科医不在のA町の三歳児視覚健診受診状況や一次健診としての家庭での視力検査についての聞き取り調査では,105名中38名(36.2%)が家庭での視力検査を施行していなかった.また,その38名中20名は保健センターで行う二次健診も受診していなかった.一次健診の普及と二次健診の充実が課題の一つである.文献1)湖崎克,内田晴彦,三上千鶴:3歳児健康診査における視力検査の検討.臨眼24:211-217,19702)丸尾敏夫,神田孝子,久保田伸枝ほか:三歳児健康診査の視覚検査ガイドライン.眼臨87:73-77,19933)日本眼科医会公衆衛生部:三歳児眼科健康診査調査報告(Ⅱ).日本の眼科75:169-172,20044)日本眼科医会公衆衛生部:三歳児眼科健康診査調査報告.日本の眼科71:1349-1352,2000(13)図8視力検査の距離は測ったか?実測群の視力検査の結果は視能訓練士の検査とほぼ一致していたが,目測群は差が大きかった.0.5未満17%実測151名57%目測114名43%保護者視能訓練士0.5OK83%26名125名0.5未満47%0.5OK53%54名60名0.5未満11%0.5OK89%17名134名0.5未満8%0.5OK92%9名105名3眼視乱2眼乱遠2眼視乱視遠1眼4眼視乱同不遠1眼視遠1眼視乱1眼裸眼視力0.50.60.70.80.91.0図9裸眼視力0.5以上の児で屈折異常を認めた児