●連載◯142監修=安川力五味文122抗VEGF治療のためのOCTA活用法片岡恵子杏林大学医学部眼科学教室光干渉断層血管撮影(OCTA)は,非侵襲的に血流の画像を取得できるだけでなく,従来の検査では描出が困難であった異常な血流をより詳細に描出することで診断精度を向上させることも可能な画像検査機器である.今後急速に臨床現場で普及することが予想される.本稿では,黄斑疾患の診断に迷う場面でのCOCTAの活用法を中心に紹介する.はじめに光干渉断層血管撮影(opticalCcoherenceCtomographyangiography:OCTA)は,光干渉断層計(opticalCcoher-encetomography:OCT)の技術をもとに,造影剤を使用することなく網膜および一部の脈絡膜の血流を描出することができる画像検査である.非侵襲的かつ短時間で画像を取得できる検査であることから臨床現場で急速に普及しつつあり,また診断精度の向上にも必要不可欠な検査となっている.新生血管型加齢黄斑変性と慢性中心性漿液性脈絡網膜症の鑑別黄斑の眼底所見やCOCTから黄斑新生血管(macularneovascularization:MNV)の存在が明らかな進行した新生血管型加齢黄斑変性(neovascularCage-relatedCmaculardegeneration:nAMD)の診断は比較的容易であるが,眼底所見では色素上皮の異常だけであったり,OCTの所見も小さな網膜色素上皮.離離(retinalCpig-mentCepithelialdetachment:PED)だけであった場合は,診断に迷うことがある.さらに,日本人のCnAMDにはドルーゼンだけでなくパキコロイドとよばれる病態を背景に生じるものが含まれていることが,診断をより複雑にしている1).パキコロイド疾患には中心性漿液性脈絡網膜症(centralCserouschorioretinopathy:CSC)も含まれ,慢性化したCCSCからCMNVが生じるとパキコロイド新生血管症とよばれる.パキコロイド新生血管症はCnAMDに該当する.パキコロイド新生血管症は初期段階ではCOCTで丈の低いCPEDとして観察される.インドシアニングリーン蛍光造影(indocyanineCgreenangiography:IA)よりもCOCTAのほうがパキコロイ図1パキコロイド新生血管症a:カラー眼底写真ではわずかな色素異常がみられる.b:OCTで網膜下液とCPEDがみられる.c:IAで脈絡膜血管透過性亢進がみられるがCMNVははっきりしない.d:cで囲われた部位のCOCTA(網膜外層~Bruch膜のCenface画像)でCMNVが描出される.ド新生血管症のCMNVの検出が高いとも報告されており2),IAを施行しても診断に苦慮する場合がある.パキコロイド新生血管症を疑う丈の低いCPEDがみられたら,その部位の網膜外層〔網膜色素上皮(retinalCpig-mentepithelium:RPE)からCBruch膜もしくは脈絡毛細血管板まで〕のCslabで構築されたCenface画像にてMNVの有無を確認すると診断精度が向上する(図1).パキコロイド新生血管症のCMNVは非常に小さく細い血管であることも多いため,OCTAのもっとも高解像度が得られる撮影方法を選択する必要がある.(57)あたらしい眼科Vol.41,No.4,20244230910-1810/24/\100/頁/JCOPYac図23型黄斑新生血管a:カラー眼底写真でわずかな出血が見られる().b:OCTでCMNVを示唆する構造物がみられる().c:連続するCBスキャン画像で網膜の中層からCRPEを貫通する血流シグナルがみられる().3型黄斑新生血管以前は網膜血管腫状増殖(retinalCangiomatousCprolif-eration:RAP)とよばれていたC3型CMNVは,網膜出血や黄斑浮腫を伴うことが多いが,病変の小さい初期の段階でCMNVの存在を確認するためにはCOCTAのCBスキャン画像が非常に有用である.OCTでわずかな黄斑浮腫と,網膜内層付近からCRPEへ向かう中等度の輝度の構造物がみられた場合は,3型CMNVを疑いその部位のCOCTAのCBスキャンで異常な血流を探索する.網膜内層付近から網膜下やCRPEを貫通する血流がみられれば,3型CMNVと診断することができる(図2)3).強度近視眼における単純出血と近視性脈絡膜新生血管の鑑別病的近視における単純出血と,2型CMNVとして観察されることが多い近視性脈絡膜新生血管の鑑別にフルオレセイン蛍光造影(.uoresceinangiography:FA)は非常に有用である.近視性脈絡膜新生血管はCFAで旺盛なC424あたらしい眼科Vol.41,No.4,2024ab図3近視性脈絡膜新生血管a:OCTで網膜下高輝度滲出物質がみられる().b:網膜外層からCBruch膜までのCenCfaceOCTA画像で近視性脈絡膜新生血管が描出される().c:OCTAのCBスキャン画像でもわずかに網膜下高輝度滲出物質の内部に血流シグナルがみられる().蛍光漏出を示すのに対し,単純出血では脈絡膜新生血管が存在しないため蛍光漏出はみられない.OCTAでは網膜下高輝度滲出物質内に血流シグナルがみられると近視性脈絡膜新生血管,血流シグナルがみられない場合は単純出血であると鑑別できる4).病的近視眼のCOCTAのCenface画像では容易にセグメンテーションエラーや脈絡膜の血流によるアーチファクトが生じるため,セグメンテーションのラインの位置を手動で修正したり,Bスキャンで血流シグナルを探索することで診断精度は向上する(図3).文献1)CheungCCMG,CLeeCWK,CKoizumiCHCetal:Pachychoroiddisease.Eye(Lond)C33:14-33,C20192)Quaranta-ElCMaftouhiCM,CElCMaftouhiCA,CEandiCM:CChronicCcentralCserousCchorioretinopathyCimagedCbyCopti-calcoherencetomographicangiography.AmJOphthalmolC160:581-587,C20153)KataokaCK,CTakeuchiCJ,CNakanoCYCetal:CharacteristicsCandclassi.cationoftype3neovascularizationwithb-scan.owoverlayandenface.owimagesofopticalcoherencetomographyangiography.RetinaC40:109-120,C20204)Ohno-MatsuiCK,CIkunoCY,CLaiCTYYCetal:DiagnosisCandCtreatmentCguidelineCforCmyopicCchoroidalCneovasculariza-tionCdueCtoCpathologicCmyopia.CProgCRetinCEyeCResC63:C92-106,C2018C(58)