監修=木下茂●連載243大橋裕一坪田一男243.iDesignRefractiveStudio荒井宏幸みなとみらいアイクリニック新しいwavefrontanalyzerであるiDesignRefractiveStudio(Johnson&Johnson)は,測定された収差情報をレーザー照射プログラムに変換する際に,トポグラフィーのデータを元に余弦効果を最適化することで,より理想的なwavefrontguidedLASIKを可能とした.●より精緻なWavefrontGuidedLASIKのためにかねてよりwavefrontguidedLASIKを提唱してきたJohnson&Johnson社が,新たなwavefrontanalyz-erを開発した.初代のWaveScan,2代目のiDesignに続く3世代目として登場したのがiDesignRefractiveStudioである.外観は2代目のiDesignを踏襲しているが,測定部・CPU・ソフトウェアなどの心臓部は一新されている(図1).それに伴い,測定・解析可能な項目も増加している(表1).また,データを受け取るVISXStarS4IRエキシマレーザーシステムのソフトウェアも変更され,測定精度の向上に見合った精緻なレーザー照射を行えるよう,システム全体に改良が施された.図1iDesignRefractiveStudioの外観従来のiDesignと大きな変更はない.付属のテーブルが小型になったので,設置は容易になった.LAN端子を備え,ネットワークにも対応している.●トポグラフィーを活用したWavefrontGuidedLASIKが可能に従来のiDesignは,1,257ポイントのHartman-Shack像による精緻なwavefront解析が行えるアナライザーである.同一撮影にてトポグラフィーも取得しており,角膜形状マップも表示されていたが,エキシマレーザーの照射プログラムにはトポグラフィーの結果は反映されていなかった.新たに開発されたiDesignRefractiveStudioでは,測定されたトポグラフィーの結果を照射プログラムに反映させ,余弦効果の補正を正確に行えるようになった.余弦効果とは,角膜周辺部の斜面状の部分にレーザーが当たった場合にスポット面積が広くなり,レーザーによる照射効率が変化することである.VISXStarS4IRでは従来より余弦効果に対する補正を行ってレーザー照射をしてきたのであるが,補正の基礎情報としてはK値のみを使用していた.したがって,角膜周辺部の微細なK値変化には対応することができなかった.iDesignRefractiveStudioでは,トポグラ表1新旧iDesignの性能の違いiDesigniDesignrefractiveStudioaxialpower●●irregularity○○elevation●●meancurvature○●tangentialcurvature○●cornealwavefront○●keratometry●●internalaberrations○●di.erencemaps●●WF/auto-refraction●●○計測不可●限定つき計測可能●計測可能iDesignRefractiveStudioでは形状解析および収差解析における解析可能な項目が増えている.(59)あたらしい眼科Vol.37,No.8,20209590910-1810/20/\100/頁/JCOPY表2エキシマレーザー照射プログラムの違い変換のプロセスiDesigniDesignrefractiveStudio変換の基礎情報WavefrontmapWavefrontmap1Wevefront情報の角膜上への変換角膜形状はK値より数学的に推定値が計算される角膜形状はトポグラフィーの数値より実際に算出される2レーザーと角膜の相互作用(余弦効果)余弦効果はK値より数学的に解析され,レーザーエネルギーに反映される余弦効果はレーザー照射面のすべてにおいて,トポグラフィーのデータに基づいて算出される新しいプログラムでは,トポグラフィーの結果を用いて,エキシマレーザーのプロファイルを余弦効果が最適になるように補正している.フィーを補正の基礎情報として使用するため,照射面全体で正確な余弦効果の補正が行えるようになった(表2).●Wavefront波面を角膜上に反映させる多くの波面収差計が臨床使用されており,計測の精度も向上している.観察や解析のみであれば,計測精度だけの追求で問題はないが,角膜上で収差を補正する場合には,角膜が球状の形態であることが大きな障壁となる.波面収差計で得られた収差マップをLASIK,pho-torefractivekeratectomy(PRK)の照射プログラムに反映しようとする場合には,レーザーの1ショット当たりのエネルギー効率が同一であることが望ましい.そのためには先述した余弦効果をいかに効率的に補正できるかがポイントとなる.iDesignRefractiveStudioでは,iDesignで得られたwavefront情報を正確にエキシマレーザー照射プログラムに反映させることができるようになった.●WavefrontGuidedLASIKの有意性LASIKによる感染症多発事件を発端とした消費者庁の注意喚起情報が発信されて以来,国内におけるLASIK症例数は激減している.おそらくは以前のような症例数に戻ることはないであろう.しかし,LASIKに代わる技術が未だに存在せず,白内障術後のtouchupなどのような軽微な屈折異常を治療できるのはLASIK以外にはない.1991年にPallicalisによって考案されたLASIKは,すでに30年の歴史を持つ手術となった.当初のLASIKは単純に球面度数と円柱度数を矯正するものであったが,グレア軽減のために移行帯(トランジッションゾーン)の設定,球面収差補正,topographyguidedなどへ発展し,最終的なカスタマイズとしてwavefrontguidedが登場した.Topographyguidedも個々の症例に対するカスタマイズであるが,wavefrontguidedは角膜形状による屈折変化を包含した全収差解析であるため,原理的にはtopographyguidedよりも上位に位置する.真の意味でのカスタマイズLASIKはwavefrontguidedだけであるといってもよいであろう.世界的には現在でも多くのLASIKが行われており,今回紹介したiDesignRefractiveStudioのような精度向上への進化が続いていることは,屈折矯正手術を専門とする筆者としては嬉しいかぎりである.今後もこの分野のさらなる発展を願っている.☆☆☆960あたらしい眼科Vol.37,No.8,2020(60)