監修=大橋裕一連載MyboomMyboom第31回「後藤聡」本連載「Myboom」は,リレー形式で,全国の眼科医の臨床やプライベートにおけるこだわりを紹介するコーナーです.その先生の意外な側面を垣間見ることができるかも知れません.目標は,全都道府県の眼科医を紹介形式でつなげる!?です.●は掲載済を示す(●は複数回)連載MyboomMyboom第31回「後藤聡」本連載「Myboom」は,リレー形式で,全国の眼科医の臨床やプライベートにおけるこだわりを紹介するコーナーです.その先生の意外な側面を垣間見ることができるかも知れません.目標は,全都道府県の眼科医を紹介形式でつなげる!?です.●は掲載済を示す(●は複数回)自己紹介後藤聡(ごとう・そう)大阪大学眼科学教室所属,眼科医5年目兵庫県は尼崎で生を受け,金沢大学を卒業し,東京医療センターで初期研修完了の後,平成20年に大阪大学に入局いたしました.中学高校は六甲学院という男子校であり,毎日“パンツいっちょで便所掃除”をしていました.校則で決まっていたのかわかりませんが,寒い冬でも裸足で短パンというスタイルで,亀の子タワシ1つで便器をひたすら磨くという作業を繰返すことで,頭はともかく,体は鍛えられた記憶があります.大学時代は,日本の伝統が残る金沢でバスケット部以外に茶道や空手にも時間を費やし,和道に触れる時間をもつことができました.その経験が今の手術にも生きていると感じています.眼科Myboom入局後の異動先であった和歌山県紀南病院は,今では3人で年間2,000件を超える手術を行っており,とても恵まれた環境でした.今年の春からは大学院生として研究をスタートすることとなり,今は理研でお世話になっております.実情をよく聞かれますが,建物自体は普段と変わらず静かで,各研究室が淡々とそれぞれの研究を進めています.自分は黄斑の発生と,その機能に興味があり,黄斑萎縮が原因で視力が出ない方に,将来的に少しでも視力改善が可能になればと思い,研究に携わらせて頂くことになりました.研究のため,臨床からは一旦離れ,硝子体手術をストップさせなければならない大き(99)0910-1810/14/\100/頁/JCOPYなジレンマがありましたが,今しかできない大学院での研究生活に没頭したいと考えています.決して平坦な道ではないと思いますが,基礎から応用研究に,そして臨床に活かすことのできる仕事ができればと思います.まだまだ未熟な自分ですが,眼科になって感じるのは,研究にしても手術にしても,自ら学んで行くことはもちろん大切なことです.しかし,独学だけでは成り立たないことをよく感じます.先人の築き上げた知識と技術を師匠から吸収することで,過去の偉人のレベルにいち早く近づき,その上で新たな道(技術)を展開できるものではないかと感じます.特に手術に関しては,独学で執刀するのには限界と危険があり,やはり基本的な技術をしっかりと体得してから,応用に進むべきだと思います.空手や茶道,生け花,歌舞伎の世界でも同様に,弟子が師範から教えてもらうことでその歴史と基礎的な技術を継承し,経験を積み,そして新たな師範が生まれます.眼科手術道においても,弟子と師匠という関係は不可欠であり,良き師匠に出会うことはある意味では,最大の別れ道でもあると思います.研修医の時に,「眼科医に成り立てのあなたは,未熟さゆえに罪を犯している自覚が必要です.一日でも早く一人前の眼科になってください」と師匠から言われたのを思い出します.一日でも早く一人前になって,いつの日か師範のレベルに達したいと思います.(と言いながらも,しばらく手術はお預けですが….)食べ物Myboomとてもハマっている調味料があります.軽井沢に工房を持ち,銀座に店を構える燻製調味料を販売している‘煙事’の醤油とオリーブ油なのですが(写真1),これが本当に美味しいんです.調味料自体を燻製してあるので,香りだけでも香り豊かな醤油を2,3滴加えた卵かあたらしい眼科Vol.31,No.8,20141179写真1煙事さんの燻製調味料最高級の卵かけご飯を召し上がってみてください.スコピゾルみたいで使いやすいです.けご飯は絶品です.お家で高級卵かけご飯が楽しめます.またお豆腐やアボカドなんかにも数滴足らすと風味が引き立ちます.豚汁やカレーなんかにも数滴加えるだけでコクがグッと増してお店の料理みたいになりますよ.入れ物も,“スコピゾル”みたいで可愛い?ので,眼科医には馴染みやすいかもしれませんね.是非お試しあれ!名言Myboom最近,印象に残った言葉があります.ココ・シャネルさんの言葉で“Naturegivesyouthefaceyouhaveattwenty;itisuptoyoutomeritthefaceyouhaveatfifty.”「20歳の顔は自然の贈り物.50歳の顔はあなたの功績」という言葉です.20歳ではなく30代になった自分にとって,20年後の自分が活き活きとしているか?大切な家族はHappyか?そして今は実現不可能でも20年後なら治せる方法は何か?なんてことも妄想しながら,新天地の生活をスタートさせている次第です.逆に20年先を妄想することで,日々の目標も明確になり,毎日に張り合いが出ます.短期的には2020年に東京オリンピックが開催されますが,眼科としても20/20で視力1.0!と縁起が良いので,何かできたらと妄想しています.ARVOMyboomオーランドで開催されたARVO2014に参加させて頂きました.3年ぶりに参加させて頂きましたが,よく遊びよく学ぶ学会となりました.ケネディー宇宙センターで,実際に宇宙に行ってきたスペースシャトル,アトラ写真2東京医療センターの秋山先生とアトランティスが空を飛んでいるかのように見せる展示は感動ものです.ンティスを目の当たりにできたのは本当に幸せでした(写真2).昨今ではあまりニュースになりませんが,1960年代から90年代にかけての宇宙構想は,それはそれは全世界が期待を寄せる一大イベントだったことを実感できました.またスヌーピーがNASAのマスコットに認定されていたことも驚きでした.アポロ10号計画ではロケットの名前がチャーリーブラウンと操縦士によって名付けられたのも事実で,さすがにおちゃらけ過ぎとの指摘があり,11号計画では司令船をコロンビア,着陸船をイーグル(アメリカの象徴)というように真面目な名前が付けられるようになったそうです.発表は講演だったため,予想通り本場の英語を聞き取るのが難しく,(いつも感じることですが)英語のストレスから早く解放されたいと思いました.それこそ2020年には英語のストレスから解放されていたいものです.次にバトンをお渡しするのは,僕が初期研修医の頃に指導を頂いた,東京医療センター角膜斑の福井正樹先生です.福井先生は,東京医療センターで後期研修を終えた後,慶應大学坪田教授フェローとして勤務され,昨年より東京医療センターで角膜移植を中心に,硝子体手術までも執刀する,とてもハイパーな先生です.公私ともにお世話になっている福井先生のMyboomに注目です.注)「Myboom」は和製英語であり,正しくは「Myobsession」と表現します.ただ,国内で広く使われているため,本誌ではこの言葉を採用しています.1180あたらしい眼科Vol.31,No.8,2014(100)