———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.23,No.6,2006???0910-1810/06/\100/頁/JCLS?バックグラウンド角膜に何らかの方法で熱を与え,その形状および屈折力を変化させる手術は角膜熱形成術と総称され,100年以上前から多くの方法が提唱されてきた.しかし,いずれの方法も「創傷治癒の障害」や「効果の戻り」などの問題を解決できず普及には至らなかった1).Mendezら2)によって開発されたConductiveKerato-plasty(CK)(Refractec社)は,角膜熱形成術のうち現在最も注目される方法であり,これまでの術式よりも良好な結果が期待されている(図1).?新しい治療法角膜熱形成術に関する過去の研究から,十分な手術の効果を得るためのポイントは,コラーゲンが収縮しつつ融解しない最適な温度(50~60℃)と,十分な組織深達度を得ることとされている.CKでは,低エネルギー,高周波の電流を,角膜実質に刺入した長さ450?m,直径90?mのプローブ(Keratoplasttip)の先端から流す.するとプローブから流れる電流に対し角膜実質が抵抗として働き,角膜実質に熱作用を及ぼす.この熱作用によるスポットを角膜周辺部にリング状に作製すると,ベルトを縮めるような効果が生じ,角膜中央部をスティープ化させることが可能となる.CKは2002年4月に+0.75Dから+3.00Dの遠視矯正への適応3)が,2004年3月にはモノビジョンによる老視矯正への適応4)が,それぞれアメリカのFDA(食品医薬品局)により認可されている.?実際の手術法点眼麻酔をした角膜上にCK専用マーカーでマーキングを行う.マーキングされた位置に,それぞれ専用プローブを垂直に刺入する.ここで刺入部が深く陥凹するほどプローブの先端に力を加えないように注意する.この状態を保ちながらフットペダルを踏むと,刺入部周囲の狭い範囲に,熱作用による白いスポット(leukoma)が形成されるのが認められる(図2).現在の標準的なノモグラムによれば,光学径6,7,8mmのうち1つに8スポット,または2つの光学径に各新しい治療と検査シリーズ(71)162.ConductiveKeratoplastyプレゼンテーション:伊藤光登志南青山アイクリニックコメント:坂西良彦坂西眼科医院図1CK手術器械の写真(Refractec社)器械本体,フットスイッチ,プローブ(Keratoplasttip),開瞼器,マーカーなどからなる.図2CK術後1日の前眼部写真目標矯正量+1.00Dを得るため,光学径8mm部分に計8個のスポットを作製した.治療スポットの白斑(leukoma)は術後早期には顕著であるが,術後1カ月頃にかけて退色していく.———————————————————————-Page2???あたらしい眼科Vol.23,No.6,20068スポット(計16スポット)をリング状に配置することにより,+1.00D,+1.75D,+2.50D,+3.50Dの4種類の矯正度数が選べる.乱視矯正のノモグラムはまだ確立されていないが,角膜トポグラフィで確認されたフラットな軸上にスポットを配置する.非対称なスポットの配置により不正乱視の矯正も可能であるとされる5).?本法の利点LASIK(laser???????keratomileusis)と比較した場合,フラップをつくらず角膜中心部に侵襲を加えないため,安全性が高いうえに,視力の質的な側面が損なわれにくい.具体的には,LASIKによる遠視矯正でときどき生じる「矯正視力の低下」が起こりにくいと考えられる.今後期待されるCKの適応としては,LASIKやPRK(photorefractivekeratectomy)後に老視矯正を必要とする症例や,遠視の追加矯正を必要としながら,エキシマレーザーによる追加手術のリスクが高い症例などがあげられる.たとえば,初回手術でフラップの合併症を生じた場合や,残存角膜厚が薄い場合などである5).さらに,白内障術後の遠視,老視矯正などへの適応も広がるであろう.文献1)伊藤光登志:laserthermalkeratoplasty(LTK).眼科診療プラクティス36,屈折矯正手術の正しい進め方,p102-103,文光堂,19982)MendezA,MendezNobleA:Conductivekeratoplastyforthecorrectionofhyperopia.SurgeryforHyperopiaandPresbyopia(edbySherN),p163-171,WilliamsandWilkins,Philadelphia,19973)McDonaldMB,HershPS,MancheEEetal:ConductiveKeratoplastyUnitedStatesInvestigatorsGroup.Conduc-tivekeratoplastyforthecorrectionoflowtomoderatehyperopia:U.S.clinicaltrial1-yearresultson355eyes.?????????????109:1978-1989,20024)McDonaldMB,DurrieD,AsbellPetal:Treatmentofpresbyopiawithconductivekeratoplasty:six-monthresultsofthe1-yearUnitedStatesFDAclinicaltrial.???????23:661-668,20045)HershPS,FryKL,ChandrashekharRetal:ConductivekeratoplastytotreatcomplicationsofLASIKandphotore-fractivekeratectomy.?????????????112:1941-1947,2005(72)?本方法に対するコメント?ConductiveKeratoplasty(CK)は近年,老視の治療法の1つとして注目されているが,以下のような問題点がある.①術後早期の過矯正:術後早期に過矯正となる症例があり,患者は遠方視力低下を訴える.②術後疼痛:術当日強度の疼痛を訴える症例がある.③惹起乱視:不均一な穿刺やセンタリング不良により惹起乱視が出現することがあるが,多くは次第に軽快する.場合によってはenhancementが必要になる.④ノモグラム:Milneのノモグラムを用いて行った自験例初期連続10眼において±0.5Dに収まった症例は60%(術後3カ月)に過ぎず,多数症例による検討が必要である.⑤ラーニングカーブ:一見容易そうな手技であるが,本手術にはラーニングカーブが存在する.しかしCKの一番の利点は致命的な合併症がないことであり,遠視,老視のみならず,他の屈折矯正手術後の過矯正,円錐角膜,乱視に対する治療などへの応用の可能性がある.☆☆☆