前房水中の生理活性物質と眼圧緑内障と眼圧緑内障は進行性の視神経症で,以前は眼圧上昇が病態の主体と考えられていましたが,現在では眼圧上昇,血管障害,細胞外マトリックス(extracellularmatrix:ECM)リモデリング・線維化,神経栄養因子の途絶など,さまざまな病態が複合した症候群としてとらえられています.眼圧上昇は開放隅角緑内障(primaryopenangleglaucoma:POAG)のもっとも重要なリスクファクターとされ,おもに房水流出抵抗の増大によるものと考えられています.房水流出路には線維柱帯(trabecularmeshwork:TM)流出路とぶどう膜強膜流出路の二つがありますが,POAGの眼圧上昇はCTM収縮やECMリモデリングによる抵抗増大によるとされています.CPOAG前房水中の生理活性物質と眼圧緑内障眼の前房水中ではさまざまな生理活性物質が発現上昇していることが報告されています.なかでも増殖・分化,ECMリモデリング,アポトーシスなど多様な生体反応を制御するCTGF-bはCPOAGの前房水中で上昇しており,Rho/ROCKやCBMPs/SMADs,PKC,MAPKなどの下流シグナルがCTM収縮,ECMリモデリング,細胞接着,透過性制御などによって房水動態を制御していると考えられています1).とくにCRho/ROCKはアクチン細胞骨格の再編成を介したTM収縮,ECMリモデリングへの関与が報告されており,緑内障病態に深くかかわっていると考えられます2).わが国では世界に先駆けてCROCK阻害薬が臨床応用されました.線維柱帯流出路の流出促進による眼圧下降という,新規作用機序による緑内障治療薬であることが大きな特徴ですが,緑内障病態に拮抗するかたちで作用しうる薬剤であること,細***本庄恵東京大学眼科胞増殖やアポトーシスの制御など,眼圧下降以外の作用も注目されています.続発緑内障前房水中の生理活性物質と眼圧TGF-bはCPOAG眼前房水中では有意に上昇していますが,より高い眼圧を示すことが多い続発緑内障(ぶどう膜炎続発緑内障,ステロイド緑内障,落屑緑内障など)では低値であることが報告されています.そこで筆者らはCRhoを活性化する情報伝達物質の一つ,生理活性脂質リゾフォスファチジン酸(lysophosphatidicacid:LPA)に注目し,前房水中のCLPA産生酵素オートタキシン(autotaxin:ATX)-LPAと眼圧の関連を検討しました.するとCATXは正常眼と比較して緑内障眼で有意な高値,またCPOAGとぶどう膜炎続発緑内障間でも有意な差を認めました.LPAは正常眼と比較してCPOAGで高く,さらにぶどう膜炎続発緑内障,落屑緑内障ではCPOAGと比較して有意な高値がみられました3).今後さらなる緑内障病態の解明が進むことで,病態に拮抗するかたちで有効な治療が可能になる日も遠くないかもしれません.文献1)FuchshoferCR,CTammER:TheCroleCofCTGF-binCtheCpathogenesisofprimaryopen-angleglaucoma.CellTissueResC347:279-290,C20122)HonjoM,TaniharaH:ImpactoftheclinicaluseofROCKinhibitorConCtheCpathogenesisCandCtreatmentCofCglaucoma.CJpnJOphthalmolC62:109-126,C20183)HonjoCM,CIgarashiCN,CKuranoCMCetal:Autotaxin-lyso-phosphatidicacidpathwayinintraocularpressureregula-tionCandCglaucomaCsubtypes.CInvestCOphthalmolCVisCSciC59:693-701,C2018*********図1緑内障眼前房水中のATX.LPA*********正常眼(control.白内障手術眼),正常C2.5**眼圧緑内障(NTG),開放隅角緑内障CNS200(POAG),ぶどう膜炎続発緑内障(SG),C2.0p=0.07Autotaxin(mg/l)落屑緑内障(XFG)前房水中のCATX-LPA濃度.ATXは正常眼と比較して緑内障眼で有意な高値,またCPOAGとCSG間でも有意な差を認めた.LPAは正常TotalLPA(nM)1501001.51.0眼と比較してCPOAGで高く,さらに50SG,XFGではPOAGと比較して有意C0.5な高値がみられた.C0(文献C3より改変引用)C0controlNTGPOAGSGXFGcontrolNTGPOAGSGXFG(115)あたらしい眼科Vol.36,No.2,2019C2450910-1810/19/\100/頁/JCOPY