特集●斜視診断の基本あたらしい眼科33(12):1707?1712,2016急性内斜視AcuteAcquiredComitantEsotropia荒木俊介*三木淳司*はじめに急性内斜視は年齢を問わず突然に発症する非調節性の共同性後天内斜視である.対象が年長児もしくは成人である場合,突然の複視の訴えが診断の一助となるが,複視を伴う他の後天内斜視との鑑別が必要となる(図1).急性内斜視の発症メカニズムは不詳であるが,臨床的特徴からいくつかのカテゴリーに分類される.その分類は報告者により異なるが,Burianら1)は,人工的な融像遮断に続発するもの(Swantype),原因不明のもの(Burian-Franceschettitype),近視に伴うもの(Bielschowskytype)の3タイプに分類しており,この分類は現在でも一般的に用いられている.また,比較的稀ではあるが,重篤な頭蓋内病変に関連して発症するタイプの急性内斜視が存在する2).この場合,診断および治療に緊急性を要するため,鑑別に十分な注意が必要である.本稿では,これまでの報告を参考に一般的な急性内斜視の分類と,その特徴についてまとめた.I急性内斜視の分類1.融像の遮断後に発症するタイプ(Swantype)片眼の遮閉や視力障害により,一時的に融像が遮断されることで発症するタイプである.片眼弱視の治療として健眼遮閉をした後や眼疾患や眼外傷の治療中に片眼の眼帯をした後に,発症することが知られている.1947年にSwan3)が1,000例中4例と稀ではあるが,片眼遮閉の合併症として生じたと考えられる共同性内斜視の症例(8~27歳)を報告しており,「Swantype」ともよばれている.Swanの報告によると,いずれも発症前から内斜位(1例は未確認)や2~4diopters(D)程度の遠視を有しており,片眼遮閉後に複視を伴った共同性内斜視を発症している.また,内斜視角は遠見より近見で大きく,未矯正の遠視に関連した過剰な調節性輻湊の関与も示唆されている.予後に関しては,4例中3例が手術により,1例が視能訓練により良好な両眼単一視を取り戻した.発生機序に関して,内斜位や未矯正の遠視といった要因が基盤にあり,融像を一時的に遮断したことに起因して,もともと脆弱であった融像運動が失われることで発症すると考えられている.その後,経過とともに偏位の増大と融像幅の減少が起こり,片眼の抑制が生じることから,自然回復は期待できず,迅速な治療が良好な予後につながるとされている3).一方で,治療開始までの期間と術後の両眼視機能には関連がないとする報告もある4,5).2.融像の遮断に伴わない原因不明のタイプ(Burian?Franceschettitype)(図2)遮閉などによる融像遮断の既往を有さず,明らかな原因がなく発症するタイプである.ただし,一部の症例においては,発熱などの衰弱状態もしくは精神的・身体的なストレスが発症に先行していると考えられている.このタイプの急性内斜視は,Burian(1945年)6)が最初に報告し,その後Franceschetti(1952年)7)によりさらなる検討が行われたことから「Burian-Franceschettitype」もしくは「Franceschettitype」とよばれている.Burianら1)は,その臨床的特徴として,①突然発症の複視を訴えること,②20~60°の比較的大角度の内斜視を有すること,③眼筋麻痺の徴候がないこと,④両眼視機能が良好であること,⑤初期には間欠性の要素を有する場合があること,⑥屈折異常は正視もしくはわずかな遠視であり調節要素はほとんど関与しないことをあげている.当初,急性内斜視は内斜偏位に複視を伴うことや,手術により良好な両眼視機能を取り戻せることから,元来良好な両眼視機能を有しているとされていた.しかしながら,その後の研究で,術後に必ずしも良好な両眼視機能を獲得できる症例ばかりではないことが示され,異常両眼視が発症前から存在している可能性が示唆された4,8).そして,Hoytら9)はBurian-Franceschettitypeを上述した両眼視機能の観点から2群に細分した.すなわち,①斜視の発症前から正常以下の両眼視機能を伴う内斜位もしくは微小内斜視が存在し,治療後の両眼視機能が不良な群,②発症前に確かに完全な両眼視機能を有し,治療後の両眼視機能が良好な群である.ただし,①はいわゆる単眼固視症候群(monofixationsyndrome:MFS)の代償不全10)と同義であると思われ,急性内斜視のカテゴリーに含まれるかどうかは議論がある11).発生機序に関して,vonNoorden2)は,元来脆弱な融像幅で眼位を保持していた内斜位の症例が,身体的もしくは精神的なストレスの影響により斜位を保てなくなった結果として発症すると推測している.近年では,3D映像視聴後に急性内斜視を発症した症例が報告されており,不十分な両眼視機能に対して輻湊過多やストレスが影響した可能性が推測されている12,13).また,MFSの代償不全に関しては,経時的な融像幅の減少が関与すると考えられている10).3.近視に関連するタイプ(Bielschowskytype)近視に伴って発症するタイプであり,vonGraefe(1864年)14)によってはじめて報告された.その後,Bielschowsky(1922年)15)により詳細な分析が行われたことから,「Bielschowskytype」とよばれている.その臨床的特徴として,?5D以下の近視を有すること,遠見で同側性複視を示すが近見では融像を保つこと,外直筋の麻痺がないことがあげられる.当初,Bielschowskyはこのタイプの内斜視が重篤な中枢神経疾患を伴っていなかったことから,そのカテゴリーを開散麻痺と区別した.一方で,Burian(1958年)1)は,開散麻痺が必ずしも重篤な中枢神経疾患に起因しているわけではないことから,Bielschowskytypeの急性内斜視と開散麻痺を臨床的に区別する根拠はないとした.近年では,画像診断技術の進歩により,眼窩プリーの異常に伴ったsaggingeyesyndrome16)や,中等度から強度の近視眼で眼軸長に比して眼窩容積が小さい場合に生じる眼窩窮屈病17)といった開散麻痺に似た症状を示す病態も報告されている.これらは水平方向の明らかな眼球運動制限を認めないことが特徴とされており,これまで急性内斜視として診断されていた患者の中には,このような眼窩内の器質的変化に起因した後天内斜視が潜んでいた可能性も考えられる.なお,Bielschowskytypeの急性内斜視は,より強度の近視を有すること,遠見と近見で斜視角が一定であることが再定義されており9),開散麻痺や開散不全とは異なる臨床特徴が示されている.また,このタイプの急性内斜視は小児ではみられず,若年成人以降で発症するとされている18,19).発生機序に関して,vonGraefe14)は近視を矯正していない人が,近見作業時に極端な近方視を続けるために,内直筋の過緊張が生じることで内斜視が誘発されると推測した.しかしながら,近視を矯正しているにもかかわらず,内斜視が発症したという症例が多数報告されている18,20).一方で,近視矯正している症例において,近見時の過剰な調節に伴った輻湊痙攣に起因しているという説があり,アトロピン硫酸塩点眼および二重焦点眼鏡の処方が奏効した報告もある21).また,外直筋の進行性筋障害が影響しているのではといった説20)もあるが,はっきりとした原因はわかっていない.4.中枢神経系の障害(頭蓋内疾患)に関連するタイプ中枢神経系の障害により発症するタイプ22)で,急性内斜視のカテゴリーに含むか否かは報告者により異なるが,臨床上,鑑別にもっとも注意を要するタイプの急性内斜視である.なお,本来は中枢神経系病変に伴った麻痺性斜視と区別されるが,軽度の外転神経不全麻痺を伴う麻痺性内斜視では,眼位ずれがすみやかに共同性になる場合があり,眼球運動検査から麻痺性要素を確認することはむずかしい場合もある.Hoytら9)は「一般的に,調節性内斜視や先天内斜視といった共同性内斜視は重篤な神経性疾患とは関連しないが,急性内斜視にみられる共同性は重篤な神経性疾患の可能性を否定できない」と述べており,原因不明の急性共同性内斜視をみた場合,麻痺性斜視も含めた中枢神経系病変の可能性を念頭に置く必要がある.発生頻度は急性内斜視のうち10%未満19,23)と稀であり,Arnold-Chiari奇形,水頭症,頭蓋内星状細胞腫,他の脳腫瘍などの中枢神経系病変に関連して発症することが知られている2).中枢神経系病変に関連した急性内斜視の患者において,中枢神経系病変を示唆する共通した症状・徴候は明らかとなっていない.疑われる特徴としては,頭痛や発熱,眼振やうっ血乳頭といった中枢神経症状(徴候)の存在,大型弱視鏡による運動性融像の欠如,A-Vpattern,内斜視が再発することなどがあげられる9).ただし,中枢神経系病変が存在するにもかかわらず,いずれの特徴も発見できない症例が存在する.近年,Buchら19)は小児期の頭蓋内疾患を伴う急性内斜視について,①内斜視角が近見より遠見で大きい,②再発性,③うっ血乳頭,④後期発症(6歳以上)の四つを有意な危険因子として報告した.その報告のなかで,調節性要素を有した小児の急性内斜視について,最初は眼鏡による遠視矯正が有効と思われたが,その後,内斜視の再発もしくは他の神経性徴候の発症により脳腫瘍の発見に至った症例を紹介しており,日常診療においても注意が必要だと思われる.II診断急性内斜視の診断について,まず問診では対象が年長児もしくは成人である場合,突然発症した複視の訴えが診断の一助になる.この訴えは正確な発症日時まで確認できる場合もある.一方,乳幼児の場合,発症が本当に急性であるかを確かめるために,過去の写真などを確認するとよい24).また,先述したように急性内斜視の発症機転と考えられる片眼遮閉の既往,身体的・精神的ストレスの有無,頭痛や発熱といった中枢神経症状などについて確認しておく必要がある.眼科的検査として,神経原性や筋原性の非共同性内斜視を鑑別するために,注視方向や固視眼による斜視角の変動の有無を確認すること,外直筋の遅動や制限といった眼球運動障害の有無を慎重に観察することが重要となる.また,乳幼児の場合,調節性要素や眼振の有無を確認し,屈折性調節性内斜視や非屈折性調節性内斜視,眼振阻止症候群などを除外する.また,頭蓋内病変に関連した急性内斜視ではうっ血乳頭をきたす場合があり,眼底を確認しておくことも重要である.このような問診および眼科的検査から,非共同性内斜視や中枢神経系の障害に関連した急性内斜視が疑われた場合,もしくは原因がはっきりとしない場合は,コンピュータ断層撮影(computedtomography:CT)や磁気共鳴画像法(magneticresonanceimaging:MRI)による眼窩・頭蓋内の精査が必要となる.III治療および予後1.治療方法と開始時期自然軽快した症例13,25)やプリズム眼鏡が奏効した症例26)も報告されているが,大部分は手術治療が必要となる.また,ボツリヌス療法の有用性27)も報告されている.手術時期に関して,Swan3)は迅速な治療が良好な予後につながると述べている.vonNoorden2)は5歳未満では抑制や弱視を防ぐために数カ月以内の手術が必要であり,視覚が成熟した小児もしくは成人では手術までの期間を延長しても差し支えないとしている.また,Katsumiら28)の報告では,4歳以下に発症した内斜視を2年以上放置することで感覚適応が生じ,網膜異常対応が発生する可能性を指摘している.一方で,先述したようにOhtsukiら4),高谷ら5)はSwantypeおよびBurian-Franceschettitypeに関して,治療開始までの期間と術後の両眼視機能には関連がなかったと報告した.現在,自然軽快や斜視角の変動を考慮して,発症後6~12カ月程度は屈折矯正やプリズム眼鏡で経過を観察した後,内直筋後転術を基本とした手術治療を行うのが一般的である.ただし,視覚の発達期にある幼小児ではその限りではない.なお,中枢神経系の障害に関連するタイプでは,原因疾患の治療が優先される.2.斜視角(術量)の評価Swantype,Burian-Franceschettitype,Bielschowskytypeに関して,prismadaptationtest(PAT)により斜視角が大きく増加し,その斜視角をもとに手術を行うことで術後の良好な眼位および両眼視機能が得られたとの報告があり29,30),術量の評価にはPATの重要性が指摘されている.一方で,術前に良好な両眼視機能を有していた症例では,通常の内斜視に比べて少ない術量で良好な手術効果が得られたとする報告もある31).3.手術治療の予後術後の眼位は中枢神経系の障害に関連するタイプ以外では良好であった報告が多い.両眼視機能については,SwantypeおよびBurian-Franceschettitypeに関する報告では,予後良好であった症例や不良であった症例がみられ5,8,31),一定の見解はない.Bielschowskytypeでは予後良好であった報告が多い18,30).これまでの報告から,発症タイプにかかわらず,発症前の両眼視機能の状態が治療予後に影響すると考えられる.なお,中枢神経系の障害に関連するタイプは,責任病巣が残存している場合,術後も眼位や両眼視機能が不良であることが特徴とされる9,23).おわりに急性内斜視の発症メカニズムは未知の部分が多いが,その臨床的特徴についてはこれまで多くの知見が示されている.最近では,軽度遠視から近視を有する症例において,長時間のスマートフォン使用に関連して発症したと考えられる急性内斜視32)なども報告されている.このように急性内斜視の発症契機はさまざまであり,問診や眼科的検査から患者背景をしっかりと確認したうえで適切な診断や治療をしていくことが必要である.なお,前述したように,急性内斜視の中には重篤な中枢神経系疾患を伴っている場合があることを忘れてはならない.眼科的所見のみで中枢神経系疾患の存在を見分けることは困難な場合があり,原因不明の急性内斜視に遭遇した際にはCTやMRIによる頭蓋内の精査を行い,慎重な診断を心がけるべきである.文献1)BurianHM,MillerJE:Comitantconvergentstrabismuswithacuteonset.AmJOphthalmol45:55-64,19582)vonNoordenGK,CamposEC:BinocularVisionandOcularMotility.6thed,p338-340,CVMosby,StLouis,20023)SwanKC:Esotropiafollowingocclusion.ArchOphthal37:444-451,19474)OhtsukiH,HasebeS,KobashiRetal:Criticalperiodforrestorationofnormalstereoacuityinacute-onsetcomitantesotropia.AmJOphthalmol118:502-508,19945)高谷匡雄,大庭正裕,佐々木紀子ほか:急性内斜視11例の検討.日眼紀51:85-88,20006)BurianHM:Motilityclinic:Suddenonsetofconcomitantconvergentstrabismus.AmJOphthalmol28:407-410,19457)FranceschettiA:Lestrabismeconcomitantaigu[Acuteconcomitantstrabismus].Ophthalmologica123:219-226,19528)武縄佳世子,大月洋,渡辺好政:急性内斜視の両眼視機能の検討.日本視能訓練士協会誌17:151-154,19899)HoytCS,GoodWV:Acuteonsetconcomitantesotropia:whenisitasignofseriousneurologicaldisease?BrJOphthalmol79:498-501,199510)SiatkowskiRM:Thedecompensatedmonofixationsyndrome(anAmericanOphthalmologicalSocietythesis).TransAmOphthalmolSoc109:232-250,201111)SavinoG,AbedE,RebecchiMTeta:Acuteacquiredconcomitantesotropiaanddecompensatedmonofixationsyndrome:asensory-motorstatusassessment.CanJOphthalmol51:258-264,201612)筑田昌一,村井保一:立体映画を見て顕性になった内斜視の一症例.日本視能訓練士協会誌16:69-72,198813)橋本篤文,矢野隆,藤原和子ほか:3D映画鑑賞後,内斜視を発症した1例.あたらしい眼科28:1361-1363,201114)vonGraefeA:Ueberdievonmyopieabhangigeformconvergirendenschielensundderenheilung.AlbrechtvGraefe’sArchOphthalmol10:156-175,186415)BielschowskyA:Daseinwartsschielendermyopen.BerDtschOphthalmolGes43:245-248,192216)ChaudhuriZ,DemerJL:Saggingeyesyndrome:connectivetissueinvolutionasacauseofhorizontalandverticalstrabismusinolderpatients.JAMAOphthalmol131:619-625,201317)若倉雅登:つけよう!神経眼科力軽症甲状腺眼症,眼窩窮屈病,高次脳機能障害,神経薬物副作用について.臨床眼科67:1458-1463,201318)SpiererA:Acuteconcomitantesotropiaofadulthood.Ophthalmology110:1053-1056,200319)BuchH,VindingT:Acuteacquiredcomitantesotropiaofchildhood:aclassificationbasedon48children.ActaOphthalmol93:568-574,201520)WebbH,LeeJ:Acquireddistanceesotropiaassociatedwithmyopia.Strabismus12:149-155,200421)CamposEC:Whydotheeyescross?Areviewanddiscussionofthenatureandoriginofessentialinfantileesotropia,microstrabismus,accommodativeesotropia,andacutecomitantesotropia.JAAPOS12:326-331,200822)LeeJM,KimSH,LeeJIetal:Acutecomitantesotropiainachildwithacerebellartumor.KoreanJOphthalmol23:228-231,200923)LyonsCJ,TiffinPA,OystreckD:Acuteacquiredcomitantesotropia:aprospectivestudy.Eye(Lond)13:617-620,199924)勝海修,笹井章子:急性内斜視について.日本の眼科56:1067-1073,198525)岩本英子,野上貴公美,古嶋正俊ほか:急性内斜視の1例.眼臨医報95:263-265,200126)宮部友紀,竹田千鶴子,菅野早恵子ほか:眼鏡とフレネル膜プリズム装用が有効であった近視を伴う後天性内斜視の2例.日本視能訓練士協会誌28:193-197,200027)RoweFJ,NoonanCP:Botulinumtoxinforthetreatmentofstrabismus.CochraneDatabaseSystRev15:doi:10.1002/14651858.CD006499.pub3,201228)KatsumiO,TanakaY,UemuraY:Anomalousretinalcorrespondenceinesotropia.JpnJOphthalmol26:166-174,198229)SavinoG,ColucciD,RebecchiMTetal:Acuteonsetconcomitantesotropia:sensorialevaluation,prismadaptationtest,andsurgeryplanning.JPediatrOphthalmolStrabismus42:342-348,200530)西川典子,伊藤はる奈,石子智士ほか:PATにより術量を決定した近視を伴う急性内斜視の5症例.眼臨紀8:424-427,201531)福田美子,井崎篤子,三村治ほか:急性内斜視(Franceschettitype)の手術治療効果.眼臨医報88:952-954,199432)LeeHS,ParkSW,HeoH:Acuteacquiredcomitantesotropiarelatedtoexcessivesmartphoneuse.BMCOphthalmol16:37.doi:10.1186/s12886-016-0213-5,2016*SyunsukeAraki&*AtsushiMiki:川崎医科大学眼科学1教室〔別刷請求先〕荒木俊介:〒701-0192倉敷市松島577川崎医科大学眼科学1教室0910-1810/16/\100/頁/JCOPY(29)1707図1複視を伴う後天内斜視について*本来,saggingeyesyndromeおよび眼窩窮屈病は非共同性に分類すべきであるが,非共同性内斜視の特徴である水平方向への眼球運動制限がみられないことから,本稿では「共同性」に分類した.1708あたらしい眼科Vol.33,No.12,2016(30)図2急性内斜視(Burian?Franceschettitype)の1例症例:9歳,女児.テレビゲーム中に突然の複視を伴う内斜視を発症した.初診時の視力は右眼1.5(矯正不能),左眼1.5(矯正不能)で,眼位は遠見/近見ともに50prismdiopters(Δ)程度の共同性内斜視を認めた.なお,発症以前の顔写真から顕性の斜視はみられなかった.頭部磁気共鳴画像法では異常所見を認めなかった.両内直筋後転術(各5mm)および左外直筋短縮術(6mm)を施行後,眼位はわずかな内斜位で安定し,良好な立体視を示した.a:術前眼位写真(右眼固視).b:術前眼位写真(左眼固視).c:術後眼位写真(右眼固視).d:眼位の経過.(31)あたらしい眼科Vol.33,No.12,201617091710あたらしい眼科Vol.33,No.12,2016(32)(33)あたらしい眼科Vol.33,No.12,201617111712あたらしい眼科Vol.33,No.12,2016(34)