眼内レンズセミナー監修/大鹿哲郎・佐々木洋371.眼内レンズインジェクターを用いた山川百李子秋元正行大阪赤十字病院眼科水晶体残留物除去水晶体.破.時の残留核片,眼内レンズ摘出時のSoemmering’sringなどを除去する際,従来の方法では切開創の拡大や,多量の粘弾性物質(OVD)を必要とする.眼内レンズインジェクターで自己閉鎖創の開口を確保することで,OVDの使用総量を減らし,切開創を大きく広げず,残留物の接触による侵襲から創部や角膜内皮を保護しつつ容易に取り出すことができた.●はじめに手術手技の発展により,白内障手術は小切開・極小切開などの小さな自己閉鎖切開創から行われるようになった.しかし,破.時の残留核片や眼内レンズ交換時のSoemmering’sringなどの前房内残留物の除去については,鑷子での除去が困難であるため,切開創を拡大し,粘弾性物質(ophthalmicviscosurgicaldevice:OVD)を多量に注入することで眼内圧を上昇させ娩出する方法が主流である.輪匙を使用する場合も,切開創付近で硝子体腔に落ちかけている核の処理は困難であり,切開創を拡大しなければ娩出時に自己閉鎖切開創に摘出物が接触し,創部や角膜内皮への侵襲がある.筆者らは,前房内異物を除去に際して,眼内レンズインジェクターを用いた方法を考案した.眼内レンズインジェクターで切開創の開口を確保することで,前房内異物を容易に眼外へ除去することができた.この方法は,残留核やSoemmering’sringなどの前房内残留物の除去においても応用可能と考えて実施した.●症例1:21歳,男性先天白内障にて経毛様体扁平部水晶体切除術が施行された無水晶体眼.虹彩炎と高眼圧発作を繰り返すようになり,虹彩裏面に残存した水晶体に起因するぶどう膜炎が疑われ手術した.残留水晶体は石灰化が非常に強く,毛様体に癒着しており,硝子体カッターでの切除は困難であった(図1a).眼内レンズインジェクターを3mm強角膜輪部一面切開創部より挿入し,ヘラのように使用して残留片の一部を内腔に収め除去した(図1b).落下した石灰化小片は,硝子体カッターで吸引捕獲して前房まで挙上し,改めて挿入したインジェクターを介して除去した(図1c).●症例2:74歳,女性落屑を有する核硬化III度の白内障.術中,超音波乳化吸引中に後.破損し3/4以上の核片が前房内に残った.角膜ポートより粘弾性物質を充.し,残留核片を中央部にできるだけ移動させた.2.4mm切開創からアルコン図1症例1石灰化したSoemmering.sring除去a:過去の経毛様体扁平部水晶体切除術の手術創近くに膨化・石灰化した残留水晶体を認めた.b:灌流下でインジェクターをヘラのように利用して内腔に収めた.c:硝子体カッターで吸引した核片を前房まで挙上し,インジェクターを介して除去した.(77)あたらしい眼科Vol.34,No.10,201714150910-1810/17/\100/頁/JCOPY図2症例2破.時の残存核処理a:AlconのDカートリッジを挿入,スパーテルで核を破砕しながら粘弾性物質を利用して核を除去した.b:興和のメドショットで核片をすくうように内腔に収めた.のDカートリッジを挿入.スパーテルと双手で核を破砕し,内腔に収めていった(図2a).次に切開創を3.0mmに拡大.開口部が大きい興和のメドショットを使用し,OVDとともに除去した(図2b).●症例3:43歳,男性2回の網膜.離術後の眼内レンズ脱臼症例.眼内レンズを.ごと半切し,3mm切開創から眼内レンズを摘出した.Soemmering’sringは眼内に残った.灌流下にインジェクターを挿入し(図3a),スパーテルで誘引,除去した(図3b).●おわりに眼内レンズインジェクターを挿入して自己閉鎖創の開口を確保することで,灌流下で,あるいはOVDを注入図3症例3Soemmering.sring除去a:眼内レンズ摘出後,灌流下にSoemmering’sringをインジェクター内に収めた.b:摘出したSoemmering’sring.しながら,大きな核片やSoemmering’sringを除去することができた.眼内レンズインジェクターは,多くの施設で比較的容易に手に入る器具であり,その使用方法も簡便である.筆者らは本法をremnantextractionbylensinjectorwithessential.ow(RELIEF)法と名付けた.RELIEF法は,自己閉鎖創を温存したまま,眼内残留物を静的に除去できる有用な手技であると考える.文献1)IshiK,NakanishiM,AkimotoM:Removalofintracamer.almetallicforeignbodybyencapsulationwithanintraocu.larlensinjector.JCataractRefractSurg41:2605-2608,20152)YamakawaM,KusakaM,AkimotoM:Remnantextrac.tionbyusinganintraocularlensinjectorwithessential.ow.EurJOphthalmol27:509-511,2017