連載Myboom監修=大橋裕一第54回「須藤史子」本連載「Myboom」は,リレー形式で,全国の眼科医の臨床やプライベートにおけるこだわりを紹介するコーナーです.その先生の意外な側面を垣間見ることができるかも知れません.目標は,全都道府県の眼科医を紹介形式でつなげる!?です.自己紹介須藤史子(すとう・ちかこ)埼玉県済生会栗橋病院眼科・東京女子医科大学眼科私は1988年に東京女子医科大学を卒業し,眼球が醸しだす小宇宙感と,新生血管と無血管野が織りなす蛍光眼底造影検査の美しさに魅了され,東京女子医科大学糖尿病センター眼科に入局しました.堀貞夫教授のご指導のもと,糖尿病眼合併症診療を学びながら基礎実験にも励み,大学院を修了しました.2001年に東京女子医科大学の眼科から埼玉県済生会栗橋病院に派遣講師として派遣され,米国クリーブランドクリニックのコール眼研究所へ留学した1年間の不在期間をはさみ,通算14年間埼玉県で診療をしています.学会発表を重ねているうちに,日本白内障屈折矯正手術学会(JSCRS)と日本糖尿病眼学会の理事を務めさせていただき,学会運営にも携わることができて忙しくも楽しい毎日です.2016年には東京女子医科大学眼科の准教授を拝命し,ますます次世代育成に力が入っています.Myboom①眼科診療の知的好奇心埼玉県は人口10万対常勤換算医師数が全国ワースト1の医療過疎県であり,地域医療支援病院である埼玉県済生会栗橋病院にはさまざまな症例をご紹介いただいております.やはり私の専門である白内障手術と糖尿病眼合併症治療が多いのですが,目の前の患者さんから勉強させていただくことはとても多く,日々勉強です.自院でやれることとやれないことを明確にしつつも,大きな金額の投資を病院側からはしてもらえないけど,ちょっと私が頑張ればできるかなと思うことには,つい知的好奇心が芽生えてしまいます.何か新しい手技の導入を検討していると,いつも良き師匠に出逢え,ご自分のコツを惜しみなくご指導してくださいます.そうしてライセンス認定の必要な低侵襲緑内障手術(トラベクトーム)や同じくライセンス認定かつ自費手術の有水晶体眼内レンズ(ICL)挿入が当院でも可能になり,患者さんにもご満足いただけております.これも多焦点眼内レンズの先進医療の導入が順調にいったのをきっかけに,事務方が協力的になってくれたおかげだと思っています.自分の診療スタイルが確立してしまうと,新しいことを学ぶことは時に億劫にもなりがちですが,それは心の老化だと戒めて,知的好奇心を燃やし続けることが私のアンチエイジングにもなっていると感じています.そして新しいことの導入に関し,視能訓練士の協力とレベルアップは必須であり,看護部も巻き込んでのセットアップ作業は大変でもありますが,患者さんから感謝の言葉をいただいた時の達成感を,チームみんなで分かち合うことがやりがいにもなっています.Myboom②なぜか医療安全と医療経営(写真1)病院勤務医を長く続けていると病院の組織管理にも関与する機会が増え,とうとう医療安全対策の委員長をすることになってしまいました.そういうお役目は副院長とかメジャー科の先生の方がいいのではとやんわり辞退を申し出ましたが,多職種をまとめあげるにはコミュニケーションに優れた人のほうが適任なんだよと丸め込まれ,看護師・薬剤師・臨床工学士とともに診療部代表で「医療安全管理者」の資格を取得し,5年間も委員長を務めました.医療者であればミスをしたくてする人はいないですから,個人のミスを責めるのではなく,ミスを起こすようなシステムを改善しようと考えて活動しました.ヒヤリハット事例から再発防止対策を検討していくなかで,薬剤師・臨床検査技師・管理栄養士などに学会発表や原著執筆の機会も与えることで,現場に対策を周知徹底させることができ,医療安全風土の醸成に少しは貢献できたと思っています.また,DPC(包括払い)対象病院の宿命で,治療に注力した結果,患者さんには感謝されても,病院経営的には好ましくないという状況も出てきます.病院長から経営の視点も持つようにとのご指示があり,自科のみならず病院全体の最適化が見渡せるように「医療経営士」の資格も取得しました.事務部との面談では経営用語が理解できるようになったため,少しは意見を言えるようになり,眼科の特性をより理解してもらえるようになったと思っています.病院全体の安全と利益を考えることは,医療の質管理につながると信じています.Myboom③ネコ!癒しのとき(写真2)大学の中堅医局員のあいつぐ退職のあおりを受けて,2年前から当院も1人減員となり2人体制となってしまい,後期研修医2年目の先生と必死に働いています.派遣される医員は専門医受験前の若い学年が多いですが,私は毎年確実に年をとっていきます.20歳以上離れたピチピチの先生と共に過ごすことは若さを保つ秘訣かもしれませんが,業務量に押しつぶされて疲れが取れないときもあります.しかし,自宅に「ただいま~」と帰れば,愛猫2匹が「おかえり~待っていたよ~」とシッポをピーンと立てて可愛くお出迎えしてくれます.癒しの瞬間です.締め切りに追われ私がパソコンにかじりついていると,お膝にぴょーんと乗ってきたり,わざと視界に入るところに陣取ってちょっかいを出したりしてきて,かまってほしいとアピールします.お風呂に入り姿が見えなくなった私を懸命に探し,バスマットのところで出待ちをしてくれています.2匹の性格やゴロゴロ音が異なるためその違いを楽しむこともでき,飽きることがありません.自宅のリビングがネコカフェ状態であり,いつでもネコラブパワーを注入できるため,幸せな気持ちになれます.次回のプレゼンターは,香川県高松市でご開業されながらMBA(経営学修士)を取得した眞鍋洋一先生です.クリニックの建築にもこだわりとセンスの良さが感じられ,ご自分の美学をお持ちの先生です.どうぞよろしくお願い申しあげます.注)「Myboom」は和製英語であり,正しくは「Myobsession」と表現します.ただ,国内で広く使われているため,本誌ではこの言葉を採用しています.写真1医療安全管理者と医療経営士の認定証(93)0910-1810/16/¥100/頁/JCOPYあたらしい眼科Vol.33,No.7,201610191020あたらしい眼科Vol.33,No.7,2016(94)