監修=大橋裕一連載.MyboomMyboom第44回「子島良平」本連載「Myboom」は,リレー形式で,全国の眼科医の臨床やプライベートにおけるこだわりを紹介するコーナーです.その先生の意外な側面を垣間見ることができるかも知れません.目標は,全都道府県の眼科医を紹介形式でつなげる!?です.●は掲載済を示す(●は複数回)連載.MyboomMyboom第44回「子島良平」本連載「Myboom」は,リレー形式で,全国の眼科医の臨床やプライベートにおけるこだわりを紹介するコーナーです.その先生の意外な側面を垣間見ることができるかも知れません.目標は,全都道府県の眼科医を紹介形式でつなげる!?です.●は掲載済を示す(●は複数回)自己紹介子島良平(ねじま・りょうへい)宮田眼科病院所属,眼科14年目私は2001年に宮崎医科大学(現宮崎大学医学部)を卒業し,そのまま現在の勤務先である宮田眼科病院に入局しました.宮崎医科大学に入学する前に,学習院大学の文学部史学科を卒業しています.文系だった私が医師を志した契機は,宮田眼科病院の前理事長である宮田典男先生とのご縁でした.私の両親と親交のあった典男先生ご夫妻が東京にいらっしゃったときに,「良平君,医師をめざしてごらんよ.大変だけどやりがいのある仕事だよ」と誘っていただいたことを,今でも昨日のことのように思い出します.入局してからは宮田和典院長に指導を受けた影響もあり,自然と角膜疾患を専門とするようになりました.その後,感染症にも興味をもち,現在はおもに角膜,感染症を専門に診察を行っています.臨床・研究のMyboom臨床でのMyboomは感染症です.宮田眼科病院は野戦病院のようなところで,来院される方は,軽症から重症の患者さんまでさまざまです.なかでも感染性角膜炎の症例は年間およそ100~150例程にもなります(もちろん軽症の方を含めてですが).感染性角膜炎の症例では,的確な診断と治療が重要です.問診と臨床所見から起因菌を類推し,検鏡で確認する,そして薬剤を選択し治癒までたどりつく.このプロセスは,推理本にあるような名探偵や刑事が事件を解決する手法に似ているので(89)0910-1810/15/\100/頁/JCOPYは,と感じています.治療が奏効して,患者さんが安心した表情になることが,私にとってのMyboomです.研究でのMyboomは,コリネバクテリウムについてです.当院ではさまざまな臨床研究を行っていますが,そのデータのなかで,小児と成人とではコリネバクテリウムのキノロン製剤に対する薬剤感受性が大きく違うことが気になりました.これまでに周術期の抗菌薬の使用が,表皮ブドウ球菌の薬剤感受性および遺伝子変異に影響を与えるという研究を行ってきたのですが,これと似たようなことがコリネバクテリウムでも起こっているのではないかと想像しています.今後,コリネバクテリウムの年齢層別の耐性化の研究を通して,薬剤感受性のメカニズムについてなんらかの新しい発見ができるのではないかと期待しています.手術のMyboom手術でのMyboomは,「開眼」です.開眼の意味を辞書で引くと「物事の道理や真理がはっきり判るようになること,また物事のこつを掴むこと」とあります.もちろん開眼とはそういう意味です.しかし私が一番しっくりくる意味は,以前読んだ本に書かれていた「開眼とは感覚の発見である」との言葉です.どのような手術においてもある一定のlearningcurveが存在しますが,あるとき突然,手術技術が上達する時期があります.その瞬間が「感覚を発見した=開眼」したときではないかと考えています.現在,後輩の先生たちに白内障手術を指導しています.そのなかの一人の先生が,核の2分割がなかなかうまくできず苦労していました.手の位置や核を掘る深さ,分割の際の手の動きなど細かく指導しても改善しない日が続きます.ところがある日,これは本当に突然でしたが,その先生がすんなりと核の2分割ができるようあたらしい眼科Vol.32,No.9,20151317写真1手術室で,筑波大学から派遣で来ている林寺先生と「開眼」後の上達ぶりは,正直いって目を見張るものがあります.になりました.そして次の症例でも,その次の症例でも同様にスムーズに行えていました.手術が終わってから「ビデオを観て研究したの?」とその先生に尋ねたところ,「ビデオは毎日観ています.ただ今日は今までわからなかった感覚を掴めた気がしました」と嬉しそうに答えました.私自身,まだまだ「開眼」しなければならないのですが,後輩の「開眼」する瞬間に立ち会えることは,本当に嬉しいものでしたし,これは指導する側にとって励みになります.プライベートのMyboomプライベートでのMyboomは,旅行と食べ歩きです.長時間の飛行機が嫌いなため,行く先は国内やアジアを専らとしています.食べ歩きはフレンチやイタリアンといった高級店ではなく,お好み焼きやラーメン,カレーなどのいわゆるB級グルメが好みです.最近の大当たりは,北陸旅行で食べたカレーでした.2015年の春に(話題の北陸新幹線が開通する直前でした)富山市と金沢市を訪れました.そこで,食べログランキング上位の鮨屋を何軒か訪れましたが,もっともおいしいと感じたのは金沢市の「ターバンカレー」でした.あのルーの濃厚さ,からっと揚げたカツの歯ごたえ1318あたらしい眼科Vol.32,No.9,2015写真2タイ,アユタヤでの屋台街で少し派手目の上着は宮田典男先生のお古をいただいたものです.川から吹く涼しい風に誘われ,かなり飲み過ぎたのもいい思い出です.は初体験であり,それ以降の食事をすべてカレーでもいいと感じたほどでした(もちろん妻に却下されましたが).また,忘れられないのが,2014年夏に訪れたタイのアユタヤでの食事です.チャオプラヤー川の側にある屋台街を,タイ在住の友人家族と訪れました.屋台街とあって,料金はすこぶる安いのですが,食事はおいしく,とても満足しました.川沿いに吹く涼しい風のせいか,ビールを飲み過ぎ,へべれけになった思い出があります.まだまだ行きたい地域や国はたくさんあるのですが,なかなか時間がとれないのが目下の悩みです.次のプレゼンターは近畿大学医学部堺病院の江口洋先生です.江口先生とのご縁は,愛媛大学の鈴木先生が立ち上げた眼感染症の若手(?)の会であるOMICという会合でお会いしたのがきっかけでした.江口先生は,真菌性角膜炎に対する抗真菌薬の角膜実質内注射を国内で初めて発表されています.また,私の研究のMyboomであるコリネバクテリウムのキノロン耐性についても優れた論文を記されています(私のコリネバクテリウムに対する興味は,実は江口先生の論文が契機となっています).見た目はワイルド,中身はgentlemanの江口先生,よろしくお願いします.注)「Myboom」は和製英語であり,正しくは「Myobsession」と表現します.ただ,国内で広く使われているため,本誌ではこの言葉を採用しています.(90)