●シリーズ後期臨床研修医日記広島大学医学部眼科学教室徳毛花菜広島大学医学部眼科学教室では,2013年4月から3名の後期研修医が眼科研修をスタートしました.多忙な毎日ですが,先生方の優しいご指導のもと非常に充実した研修生活を送っています.そんな私たちの研修生活,プログラムをご紹介したいと思います.朝カンファレンス,手術,外来などの前に入院患者さんの診察を済ませないといけないので,朝は早いです.術後1日目の患者さんはさまざまな所見をとらないといけないので,時間に余裕をもって診察に臨まないといけません(とくに網膜の手術や眼内レンズを挿入した手術の場合は,散瞳前と後をチェックしないといけないので時間がかかります).といってもぎりぎりになってしまうことが多く,診察が終わり次第,次の仕事に向かいます.外来曜日によって異なりますが,検査,問診係,上級医のシュライバー,診察など仕事はさまざまです.検査のときはORTさんに混ざって視力検査,眼圧検査をすることもあれば,時間があるときはその他の基本検査の方法を教えてもらったりします.ORTさんたちはとても優しく指導してくださります.診察のシュライバーについたときは診察がスムーズにいくようにするのももちろんですが,診察方法・考え方・患者さんとの接し方を見て学びます.ポイントを説明してもらったり,わからないことは質問できる環境なので,非常に勉強になります.外来は緊張しますが,同じ診察部屋に細隙鏡が数台あり,ほかの先生方も診察されているので,わからないときは質問しながら,なんとか診察を進めていきます.(95)0910-1810/14/\100/頁/JCOPY手術手術日は火(全日),木(午後),金(全日)の週3日です.研修医は手術室で顕微鏡,モニター,DVD,器械類のセッティング,全身麻酔での手術がある場合はそのオペ出しを行います.2台のベッドで並列で手術が進んでいきます.外回りは手術機器のセッティングに加えて,患者さんの点眼開始指示,呼び出し,術者の先生への連絡なども行いますが,手がまわらないので上の先生に手伝ってもらいながら手術を進行していきます.アシスタントについたときはその症例に集中できるので,術者の先生のアシストをしつつ,手術の順番などを覚えてよりよいアシストをめざしています.また,モニターと顕微鏡では,やはり見え方が全然違うのでわくわくします(とくに硝子体手術!!).症例は,全身麻酔下での小児の手術,全層角膜移植,DSAEKのような大学ならではの症例や難しい症例が多くなっています.木内教授は緑内障が専門なので小児の緑内障手術が頻繁にあり,その際は全身麻酔下で精査を写真1眼底のレーザー照射を練習する益田医師あたらしい眼科Vol.31,No.3,2014399写真2ウェットラボ(白内障手術の練習中)行い(さまざまな機械での眼圧測定など),awakeのときはできない検査を進めていくと同時に,眼圧測定(シェッツやパーキンスなど)や検査方法を学びます.また,豚眼を使ったウェットラボで白内障の手術の練習をしまずが,思ったようにうまく手を動かせないので,まだまだ練習がたりないなーと感じます.豚眼では白内障の手術のみではなく,眼底にレーザーを打つ練習もしました.白内障の手術は普段から見ることがありますが,レーザーの場合はほかの医師と一緒に見て打つことができないので,「実際はこういう感じなんだ!」と経験することができました.豚眼で練習をしても,患者さんの前に座ると緊張してしまいます….医局会医局会の目的は医局員全員に連絡事項を伝えることですが,そのあとに上中級医師が研修医向けの講義を約30分間してくださいます.最初はEKCや眼科救急など超重要基礎事項から始まり,さまざまな専門分野の講義もあります.教科書を読んでもなかなか頭に入らないこともありますが,ポイントが絞ってあるので,とても勉強になります.おなかがすくと頭に入らないので,医局でお弁当を注文して,それを食べながら講義を聴きます.当直6月から研修医も当直が始まりました.夜は病院に一人なので,どきどきしながらPHSが鳴らないことを祈ります.軽い症状の患者さんが来院されても,てんやわんやしながら診察して帰宅してもらいます.重症症例やわからないときは……寝ているオーベンの先生に電話します.手術が必要な場合は手術係の先生に連絡して来てもらいます.先生方のサポートのもと当直業務をこなしていきます.また,広島県では開業医の先生も協力してくれて,平日は夜11時まで千田町眼科救急センターが,土日・休日は当番医制度があるので,勤務医の業務が軽減するようにしてくれています.本当にありがたいです.レクリエーション広島大病院眼科は「やるときはやる!」「遊ぶときは遊ぶ!」という感じでonoffがはっきりしている雰囲気があります.毎日の業務が遅くなることが多いので,しょっちゅう遊んだり飲みに行くことはないですが,飲み会があるときはがんばって仕事を切り上げてみんな集合し,思いっきり飲みます.今年の夏レクはみんなでカープ観戦でした.今までは花火大会やBBQ大会があったそうです.夜病棟の消灯は9時なので,夕方の診察が必要な患者さんはその時間までに診察を終わらせなければなりません.お昼の業務や手術が多かった日は,迫ってくる消灯時間と戦いながら患者さんの診察,処置を行います.診察終了後は入退院の準備などの書類仕事,カンファレンスの準備,次の日の外来患者さんの検査オーダーなどをします.仕事が終わったら,医局に戻って白衣を脱いで帰宅です.おわりに私たちの生活をざっと紹介してみました.研修が始まって4カ月は非常に早かったです.わからないときや困ったときはオーベンの先生やそのほかの先生にも助けてもらい,眼科学教室全体に支えられています.また同期が3人と都会の大学病院と比較したら少なめですが,同じ目標に向かってお互いに励まし合いながらがんばれる〈プロフィール〉徳毛花菜(とくもかな)高知大学医学部卒業.広島大学病院で初期臨床研修.平成25年4月より広島大学眼科学教室後期研修医.400あたらしい眼科Vol.31,No.3,2014(96)仲間に恵まれました.3人とも違う方向にマイペースなきもありますが,早く一人前の眼科医として広島で,日ところがありますが,そこは協力し合いながらなんとか本で,世界で活躍できるように日々努力していきたいとやっています.毎日あわただしく,体力的にも厳しいと思います.指導医からのメッセージ―基本的な手技を大切に―今年はやる気ある3人の新人を迎え,広島大学眼科も活気が出ています.1年目の研修はこれからの眼科医人生を決める大切な時期です.正しく視力検査ができる,細隙灯顕微鏡で前眼部所見が正しくとれる,倒像鏡で眼底が周辺部まで見える訓練をするのは今しかありません.いずれ身につくだろうということはありません.最初の1年で身につかない人は5年たっても身についていないように思います.しかし,この手技は毎日患者さんを真面目に診察すれば,自然に身につくものでもあります.診察だけでなく,患者さんへの接し方,事務的な書類など医師を続けていくうえで大切なことも多く,そのうえ,学会発表,論文作成と毎日遅くまでやらなければいけない仕事がたくさんあります.今の頑張りが,今後の長い眼科医人生を楽しく,有意義なものにしてくれますので,体には十分気をつけてがんばってください.(広島大学眼科講師・医局長山根健)☆☆☆(97)あたらしい眼科Vol.31,No.3,2014401