監修=大橋裕一連載.MyboomMyboom第40回「許斐健二」本連載「Myboom」は,リレー形式で,全国の眼科医の臨床やプライベートにおけるこだわりを紹介するコーナーです.その先生の意外な側面を垣間見ることができるかも知れません.目標は,全都道府県の眼科医を紹介形式でつなげる!?です.●は掲載済を示す(●は複数回)連載.MyboomMyboom第40回「許斐健二」本連載「Myboom」は,リレー形式で,全国の眼科医の臨床やプライベートにおけるこだわりを紹介するコーナーです.その先生の意外な側面を垣間見ることができるかも知れません.目標は,全都道府県の眼科医を紹介形式でつなげる!?です.●は掲載済を示す(●は複数回)自己紹介許斐健二(このみ・けんじ)厚生労働省私は平成10年から東京歯科大学市川総合病院眼科および角膜センターアイバンクで,おもに角膜移植に関連する臨床や研究に携わってきました.また,平成15年9月から平成17年12月末まで,米国マサチューセッツ州ボストンにあるスケペンス眼研究所に留学し,角膜内皮細胞の研究をさせていただきました.帰国後は臨床業務を主体に行っておりましたが,平成25年3月から平成27年5月まで,厚生労働省で医系技官として行政に携わることとなり,現在に至っています.臨床のMyboom角膜移植医療に携わるようになって15年以上経ちましたが,その間に技術はどんどん進歩し,今では角膜移植術といってもさまざまな術式が選択できるようになりました.移植が必要な部分だけを移植する,いわゆるパーツ移植は正しい方向ですが,究極はできるだけ移植をせずに治すことだと考えています.角膜移植が必要となる疾患の一つである円錐角膜は比較的若年で発症し,その進行状況はさまざまで重症例では移植の適応がありますが,進行を抑制あるいは停止させることができれば,角膜移植が不要になります.この進行の抑制および停止を目的として,欧米では約10年前からリボフラビン(VitaminB2)と紫外線Aを用いた角膜クロスリンキングが行われています.角膜のコラーゲン間の架橋を増やして角膜の強度を上げるイメージで,治療効果は100(73)0910-1810/15/\100/頁/JCOPY%とはいえませんが,改良が加えられながら定着しつつある療法です.わが国でも少しずつ症例を増やし,有効性と安全性を確認しながら,新しい治療法として確立していきたいと考えています.行政のMyboomこの2年間は厚生労働省大臣官房厚生科学課と医政局研究開発振興課および経済課に勤務し,医療行政に携わってきました.とくに臨床研究関係の仕事として,「遺伝子治療臨床研究に関する指針」や「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の改定など,また,「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」の施行のための作業などをしてきたわけですが,普段の眼科臨床の業務とはまったく違う仕事内容でした.さらに,現在の日本が抱えている問題,とくに少子高齢化社会を今後どのように乗り越え,社会保障制度を保っていくのか,国や行政機関に任せるだけでなく,医師一人一人が(本当は国民全員で)もっと真剣に考えないといない時代に突入していることを肌で感じた期間でもありました.これまで角膜移植医療に携わってきましたので,「臓器の移植に関する法律」に関連する仕事をしたいと思い勤務してきましたが,結果的に配属された課は臓器移植とほとんど関係していませんでした.ですので,myboomとしてできなかったことがいくつかありますが,それらは今後もmyboomのリストに載せておきます.ちなみに日本の眼科医数は約1万4千人(医師数は約30万人)ですが,厚生労働省に勤務している眼科医はわずか2名(2015年3月末)ですので,人数だけでしたら眼科教授より希少です.プライベートのMyboom国家公務員は24時間,公務員としての自覚をもってあたらしい眼科Vol.32,No.5,2015683写真1厚生労働省で執務中の筆者医局のように間仕切りはなく,積み上がった書類が間仕切りの代わりになることも.夏場は28度以上にならないと冷房が入りません.よって半袖です.また,昼休みは省エネのために部屋の明かりが消えます….右下は義眼台.薬事承認されたものはありません….行動しなくてはなりませんので(これが以外と大変です…),プライベートでも言動などを含めて留意した2年間でした.海外旅行に行くにも事前に届出が必要で,結局私用では海外に一度も行かずに過ぎてしまいました.ちなみに公務で海外出張する際は公務用のパスポートが発給されますが,1回限りで色も違います.また,国会会期中(読者の多くは通常国会や臨時国会の期間を気にされないと思われますが)は終業時間後の夜も待機(帰れない)などがかかり,翌日に帰宅することもしばしばありました.公務員というと定時に仕事を終えて家に帰るイメージかもしれませんが,少なくとも中央省庁はそんなイメージとは大分異なっています.そんななか,プライベートでやりたいこと(myboom)がいくつかありました.今のところ思うように進んではいませんが,達成したいと思っています.1.義眼台を!角膜移植後の転倒などによって角膜創離開が生じた場合,状態によってはやむなく眼球内容除去術を行うことがあります.その際の義眼床を形成するために用いる義眼台が,実は薬事承認されていないことを厚生労働省に勤務して初めて知りました.薬事承認されていない医療機器(義眼台は医療機器扱い)を用いた医療技術は通常,保険請求ができないのですが,義眼台包埋術はすでに術式として診療報酬の点数が付いているという不思議な状況に以前からなっています.この問題を解決すべく,日684あたらしい眼科Vol.32,No.5,2015写真221年前のマサイマラ国立保護区と厚生労働省から見える日比谷公園本眼腫瘍学会などの先生方が厚生労働省の「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」に,義眼台についての要望書を提出してくださいました.結果として,ニーズの高い医療機器として一定の理解が得られましたので,義眼台の製造販売について,どこかの医療機器メーカーが手を上げてくれるとよいのですが,現状はなかなか見つからず良い方法を模索しています.いつかmyboomのリストから消したいと思っています.2.本当のプライベート医師になった頃は海外に出かけて動物写真をとったり,ダイビングをしたりと動きまわっていましたが,気がつくと動物写真は家族写真やビデオに代わり,ダイビングはたまの温泉となり,「趣味は○○で,これにハマっています!」と言えるものが,myboomのコーナーにもかかわらず今はない状況です.世の中,アンチエイジングや健康長寿といった言葉が目につくなか,40代後半に入ってきましたので,ここは再び体を動かすためにもミラーレス一眼でもぶら下げて,フラフラしようかなと思っております.次のプレゼンターは群馬大学の山田教弘先生です.山田先生は本当に多趣味で,網膜硝子体がご専門ですが,なぜか東京歯科大学市川総合病院に来てくださったことのある先生です.注)「Myboom」は和製英語であり,正しくは「Myobsession」と表現します.ただ,国内で広く使われているため,本誌ではこの言葉を採用しています.(74)