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わたしの工夫とテクニック 初級者向けの白内障手術練習用の豚眼による角膜混濁モデルの試作

2010年12月31日 金曜日

0910-1810/10/\100/頁/JCOPY(75)1707はじめに以前,筆者は眼科用のジアテルミーを用いて,白内障手術練習用の豚眼による角膜混濁モデルを試作した1).そして,その有用性についても言及した2).しかし,角膜上皮にジアテルミー電極の先端を直接当て凝固斑を作るために,強い凸凹やときに皺が角膜に生じて,前房内の視認性は非常に悪くなる.したがって,初級者が白内障手術の練習をするには,難易度が高い模擬眼になる.実際の臨床で角膜混濁のある白内障を手術する場合,前房内の視認性は多少悪くても通常の顕微鏡照明下で十分対応できる症例も多数存在する.したがって,角膜混濁が軽度の模擬眼を多数経験することは,実践に即していると考える.今回,硝子体手術時に観察用レンズを固定するHHVシリコーンホルダー(HOYA株式会社,日本)を利用して,角膜上皮に凸凹や皺の少ない混濁をウエットラボ用の豚眼で作製したので,その方法について解説する.角膜混濁の作製方法ウエットラボ用の豚眼を用意し,前報同様にジアテルミーも利用した.1.ジアテルミー装置前報と同じジアテルミーを使用した1,2).超音波白内障手術器械の一つであるCataRhexRswisstech(エルトリー社,スイス)に標準装備されている装置である.ジアテルミーの電極は結膜止血用のバイポーラ鑷子を用いた.2.豚眼角膜の混濁作製最初に角膜上にHHVシリコーンホルダーを置き,ホルダー中央部の空間に灌流液などの水溶液を満たす.つぎに,ジアテルミー電極の先端を角膜上皮に触れないよう灌流液が満たされた中に挿入し,フットスイッチを押し凝固斑を作製した(図1).凝固斑の大きさをコントロールするのはむずかしいが,凸*SatoruJoko:武蔵野赤十字病院眼科〔別刷請求先〕上甲覚:〒180-8610武蔵野市境南町1-26-1武蔵野赤十字病院眼科わたしの工夫とテクニックあたらしい眼科27(12):1707.1708,2010MyDesignandTechnique初級者向けの白内障手術練習用の豚眼による角膜混濁モデルの試作TrialManufactureofCornealOpacityModelinPigEyesforUseinCataractOperationPracticeforBeginners上甲覚*ジアテルミーと硝子体手術用コンタクトレンズホルダーを用いて,白内障手術練習用の豚眼による角膜混濁モデルを試作した.シリコーンゴム性のホルダーを角膜にのせ,ホルダー内を灌流液で満たし,水中でジアテルミー凝固を行った.電極の先端が直接角膜上皮に触れないので,凸凹のない角膜混濁を作製することができた.視認性は多少悪いが,通常の照明下にて前房中の操作を行うことが可能であり,初級者が練習するのに有用な模擬眼の一つになると考えた.要約図1豚眼角膜の混濁作製HHVシリコーンホルダーを角膜上にのせて,中空を灌流液(水)で満たし,水中でジアテルミー凝固を施行.ジアテルミー電極の先端を角膜に触れないように混濁を作製(結膜止血用の電極を使用).1708あたらしい眼科Vol.27,No.12,2010(76)凹や皺のない混濁を作ることができた.凝固時間の長短で,混濁の強さはある程度調整可能である.図1で作製した角膜混濁モデル眼で,前房中の視認性を確かめてみた(図2).通常の照明下において,混濁部位での視認性は多少悪いが,細いヒーロン針の先端でも確認することができた.おわりに前報では,角膜混濁が強いので混濁範囲が広いと,通常の照明下では手術を行うのは困難であった.今回作製した角膜混濁モデルでは,前房中の視認性は比較的良好なので,初級者が練習するのに有用な模擬眼の一つになると考えた.HHVシリコーンホルダーを利用した本法では,混濁の大きさを調整するのはむずかしい.仮に直径の異なる筒状の道具が利用できれば,ある程度意図した大きさの混濁も作製可能である.その結果,より実践的なウエットラボを行うことができると考える.文献1)上甲覚:白内障手術練習用の豚眼による角膜混濁モデルの試作.あたらしい眼科27:83-84,20102)上甲覚:白内障手術練習用の豚眼による角膜混濁モデルの作製と使用経験.臨眼64:465-469,2010☆☆☆図2図1のモデル眼で,前房中の視認性を確認前房中にヒーロンを注入.細いヒーロン針の先端でも確認することができる.

眼研究こぼれ話 12. 角膜表面の構造 ウジムシが住める水膜

2010年12月31日 金曜日

(69)あたらしい眼科Vol.27,No.12,20101701角膜表面の構造ウジムシが住める水膜クリニックのいすに疲れた顔をして座っているのは,美しく日焼けしたお嬢さん.国際空路を飛んでいるスチュワーデスで,アフリカの飛行勤務を終えてボストンに帰って来たところだという.眼の前を何かが動いているという訴えでやって来た.なるほど,小さい,白い物体が,ちょうど湖面のミズスマシのように角膜(眼の前面の透明な部分)の表面を泳いでいる.それも2,3個.そっと捕まえて顕微鏡の下にもってくると,恐ろしいとげ,かぎ,それにはさみのような口,6本の足を持った小動物である.大きさと形から考えると,コン虫類の幼虫に属する.ハーバード大学の医学部と並ぶ公衆衛生学部の専門家に聞くと,早速に実体を教えてくれた.それはアフリカに広く住む洋蠅(─はえ)の幼虫だと言う.洋蠅は卵を動物の角膜の表面に産み落とす.孵(ふ)化した幼虫は角膜の表面で1週間ばかり,くるくる泳ぎ回り,大きくなると眼からこぼれ落ちて草のなかで成虫になって飛び立つという.アフリカ空路のお嬢さんは,この幼虫と一緒に帰って来たわけである.角膜の表面にそんな水があるだろうかという疑問が出てくる.私の畏(い)敬する東京大学の三島教授は角膜表面に存在する涙の層について研究し,この水層が常に0.007ミリの深さのあることを発見した.また,この涙の層の表面は,瞼(まぶた)のふちから出て来る脂肪質の薄い層に覆われていて蒸発を防いでいることもわかってきた.私たちは角膜細胞に特異な表面構造のあることを電子顕微鏡で突き止め,この構造が,角膜表面の水を流さないように,しっかりと付着させている機構をはっきりさせた.この水は瞼のまばたき運動によって時々更新され,いつも角膜の表面は潤った輝きを保っているのである.また,まばたきをしないウサギの眼も同様にいつも濡(ぬ)れているのである.角膜の表面が薄い水膜で覆われて,滑らかであることは,角膜が光学的なレンズの作用をしていることを考えると,たいへんに重要である.眼に入って来る光の屈折効果の60%を角膜が分担しているのであるから.角膜表面が乾燥すると,この滑らかさが無くなり,いろいろとやっかいなことが起こってくる.乾燥した角膜は光の乱反射のためひどい乱視を起こすばかりでなく,段々と皮膚のようになって,失明してしまうことがある.原因としては,ビタミンA欠乏症とか,涙を出す涙腺(セン)の病気などもあるが,全く理由を見つけ出すことのできない場合もある.原因がわからないと同様,治療方法もない.眼鏡に取り付けた小さいポンプから,眼の表面に人工涙の雫(しずく)を落とす装置も考えられているが,最終的な解決ではない.この病気は患0910-1810/10/\100/頁/JCOPY眼研究こぼれ話桑原登一郎元米国立眼研究所実験病理部長●連載⑫▲250倍に拡大された羊の蠅の幼虫.涙の中の栄養分で大きくなり,角膜の表面の涙の中で泳ぎ回っている.時には頭のかぎをどこかに引っ掛けて休息でもするのであろう.1702あたらしい眼科Vol.27,No.12,2010眼研究こぼれ話(70)者を目の前にした眼科医を不甲斐(─がい)なく感じさせる最たるものである.羊の蠅は羊の角膜表面に格好なプールのあることを,我々が研究するよりもっと以前から知っていて,ここに卵を産み付けるのである.孵化された幼虫は体がこのプールの深さより大きくなるまで居て,やがて草のなかへ飛び込むのである.瞼の裏までよく洗ってもらったお嬢さんは,またまたアフリカへ飛び立って行った.(原文のまま.「日刊新愛媛」より転載)☆☆☆

インターネットの眼科応用 23.インターネットで時間の共有2

2010年12月31日 金曜日

あたらしい眼科Vol.27,No.12,201016990910-1810/10/\100/頁/JCOPY時間の共有インターネットがもたらす情報革命のなかで,情報発信源が企業から個人に移行した大きなパラダイムシフトをWeb2.0と表現します.インターネットは繋ぐ達人です.地域を越えて,個人と個人を無限の組み合わせで双方向性に繋ぎます.パソコンや携帯端末からブログや動画,写真などをインターネット上で共有し,コミュニケーションすることが可能になりました.インターネット上で情報が共有され,経験が共有され,時間が共有されます.前章までに,医療知識・医療情報がインターネット上で共有される事例を数多く紹介してきました.「時間の共有」は,インターネットの最も今日的な利用方法です.その,「時間の共有」というインターネットの進化と,医療がどのように関係するのか,実例を交えながら紹介したいと思います.インターネットは人と人を繋ぐツールです.どんな方法で,「時間を共有」して繋がるのでしょうか.インターネットのツールとして,チャット,スカイプ,テレビ会議,ツイッター,Ustreamなどがあげられます.ツイッターとUstreamは,対象が不特定になる点で,他のツールとは大きく異なります.ツイッターというツールの特徴と,医療応用の可能性については,前章で紹介しました.本章は,Ustreamというツールについて紹介したいと思います.Ustream(ユーストリーム)とは2006年に設立され,2007年3月に開始された動画共有サービスです.初期のUstream.tvは,3人のアメリカ軍人によって創られました.イラクに派兵された彼らの友人たちのコミュニケーションツールとして開発されました.Ustream.tvの試作品により,彼らは遠く離れた親族と会話をすることが可能になりました.サービスが開始されてから数年で,ライブビデオサービスの先駆けとなり,政界やエンターテイメント業界を中心に普及しました.2010年1月には,ソフトバンクから約2,000万ドル(約18億円,出資比率13.7%)の出資を受け入れ,日本・中国を中心としたアジア事業を本格化しました.4月には,日本語版サービスが提供されるようになりました1).Ustreamが「共有」するものは動画情報だけではありません.視聴者同士で時間と経験を共有します.たとえば,動画の視聴者同士のチャット機能や,視聴者からの投票機能などが可能です.Ustreamは,リアルタイムの情報を集約するプラットフォームといえます.距離を隔てた人に講義内容を伝える手段は過去にもありました.衛星放送を使って,大学の講義をリアルタイムで発信した事例も多く存在します.ですが,この形式の講義は普及しませんでした.設備投資がかさむこと,大学や企業が魅力あるコンテンツを作り続けることに限界があるのでしょう.テレビ電話はどうでしょう.低価格の機材で,距離を隔てた人に動画情報を伝えますが,「OnetoOne」のコミュニケーションしかとれません.「OnetoMass」や「MasstoMass」のコミュニケーションツールとしては不向きです.ひとつ,面白い考察があります.イギリス科学協会所属の委員会が選んだ,「最もエキサイティングでありながら期待に応えられなかった10大発明」というものがあります.その第7位として,テレビ電話が紹介されています2).テレビ電話は,残念ながら人々の行動様式を変えるまでには至りませんでした.テレビ電話や衛星放送と違い,Ustreamが脚光を浴びる理由は何でしょう.理由が二つあります.一つは,運営にかかる費用です.非常に低価格で実現できるようになりました.講義を衛星放送するためにはアンテナが必要でした.今の時代は,ウェブカメラさえあれば,誰でも放送局を持つことができる,驚くべき時代です.ウェブカメラでなくても,パソコンに内蔵されたカメラ(67)インターネットの眼科応用第23章インターネットで時間の共有②武蔵国弘(KunihiroMusashi)むさしドリーム眼科シリーズ1700あたらしい眼科Vol.27,No.12,2010でもほとんどの場合,対応可能です.もう一つの理由は,「知性の差」です.知性の差が,情報の発信源と受診側で大きすぎると,講演は,完全に一方向性となり,テレビと同じメディアになります.インターネットの偉大性は,繋ぐ力です.講師と聴衆を一方向性に繋ぐだけでなく,聴衆が短いコメントを残すことで,講演に参加することができます.聴衆同士が,バーチャルな空間で,「私はこんな感想をもっている」「この人の意見は参考にならないな」など,リアルの講演で体感できない一体感を感じることができます.Ustreamは,情報と経験を同時に共有できるコミュニケーションツールです.講演会場では,時間と空間を共有できても,経験と感想を共有することはできません.Ustreamという技術を用いると,空間は共有できませんが,時間と経験と感想を共有することができます.それぞれに長所と短所がありますが,効率性を考えると,Ustreamを併用した講演・学会・研究会が増えてくるでしょう.優れた新しい技術が普及するには,必ず意識の変容が伴います.われわれの意識が変わる瞬間に,新しい慣習が一気に普及し,古い慣習は過去に追いやられます.インターネット上での学会が開催される日は遠くありません.インターネットでできないことは,飲食をともにしながら得られる温度感です.皆さんが,学会期間中に開催する食事会は,インターネット上で決して代替できません.しかし,食事会以外はインターネット上で完結できます.Ustreamの問題点Ustreamの問題点は,著作権です.これは,インターネット上の動画に共通することですが,一朝一夕には解決できない大きな問題です.インターネット上の著作物の著作権は,完全には保護できません.それは,周知の通りと思います.コピーができないようにいくら技術的な制限をかけても,パソコン上で放送する画面を撮影すれば,簡単にコピーが作成できます.医療を扱う動画の場合,演者の著作権だけでなく患者の個人情報が絡む点で,他の動画よりも問題点は深刻です.動画の著作権やプライバシーを保護するために,で(68)きるだけリスクを下げる方法が,二つあります.医師限定の会員制のサイト内で放送することで,空間的な広がりを制限します.また,放送された講演データをサーバー上に残さないことで時間的に制限します.われわれが扱う医療情報は慎重な対応が求められます.私が有志と共に運営しています,医師・歯科医師限定のインターネット会議室「MVC-online」では,10月30日に鹿児島で行われた鹿児島集中治療研究会をUstreamで放送しました(図1).地方で開催された研究会が,世界的な広がりで放送されます.離れた地域にいる人も,新しい知識を獲得することが可能です.今後,このような形態の研究会が普及するでしょう.【追記】NPO法人MVC(http://mvc-japan.org)では,医療というアナログな行為と眼科という職人的な業を,インターネットでどう補完するか,さまざまな試みを実践中です.MVCの活動に興味をもっていただきましたら,k.musashi@mvcjapan.orgまでご連絡ください.MVC-onlineからの招待メールを送らせていただきます.先生方とシェアされた情報が日本の医療水準の向上に寄与する,と信じています.文献1)http://ja.wikipedia.org/wiki/Ustream2)http://www.telegraph.co.uk/technology/4985234/Top-10-innovations-that-should-have-changed-the-world-butdidnt-manage-it.html図1Ustreamで開催されるインターネット上の学会・研究会☆☆☆

硝子体手術のワンポイントアドバイス 91.糖尿病硝子体手術後の再出血例に対する液-空気置換(初級編)

2010年12月31日 金曜日

あたらしい眼科Vol.27,No.12,201016970910-1810/10/\100/頁/JCOPYはじめに増殖糖尿病網膜症に対する硝子体手術後に生じる再出血には,術直後にみられる早期出血と数週間を経過してから生じる晩期出血がある.このうち,早期出血は,術中の不完全な止血操作や手術終了後の低眼圧,不十分な増殖膜処理などに起因することが多い.一方,晩期出血は,強膜創血管新生などの眼内再増殖が関与することが多い.このうち早期再出血例に対しては,自然消退を期待してしばらく経過観察する場合も多いが,筆者は,症例を選んでポンピングによる液-空気置換を積極的に行っている.●液.空気置換の方法有水晶体眼および眼内レンズ挿入眼では球後麻酔施行後に,側臥位で経毛様体扁平部から26.27ゲージ針を硝子体腔内に刺入し,ポンピングで100%空気と硝子体腔内の混濁した眼内液を可能な限り置換している.この方法では,多少硝子体腔に混濁した眼内液が残存するが,ほぼ80.90%の置換が可能である.水晶体.が切除してある無水晶体眼では点眼麻酔後に伏臥位で,角膜輪部から26.27ゲージ針を硝子体腔内に刺入し同様にポンピングで液-空気置換を行う.この方法は,ほぼ100%眼内液と空気の置換が可能である.●液.空気置換の適応術中に増殖膜や硝子体の処理が十分に施行でき,かつ術後に視神経乳頭がぼんやり透見できる軽度の出血であれば,多くの場合で自然吸収が期待できる.しかし,新生血管の活動性の高い症例では,十分な眼内操作を行っても術後に多量の出血をきたすことがある.このような例では術前に牽引性網膜.離があり,初回硝子体手術時にガスタンポナーデを施行していることも多い.術翌日の所見としては,下方の眼内液中に血性の混濁を認める(65)とともに,しばしば上方のガスを通して,増殖膜処理部に凝血塊の付着を認める(図1).このような症例では眼内のガスがある程度減少して凝血塊が眼内液に溶解するのを待ってから液-空気置換を行うほうがよい(図2a,b).凝血塊が眼内液に溶解するまでの期間は症例によって差があるが,通常ガスが硝子体腔の1/2か1/3程度に減少した時点で,凝血塊の大半が眼内液中に溶解することが多い.本法はあくまでも初回手術で増殖膜および硝子体が確実に処理できていることが必要条件であり,これらが明らかに不完全な場合には再手術に踏み切ったほうが無難である.文献1)小泉閑,澤浩,安原徹ほか:増殖糖尿病硝子体手術後の早期再出血に対する液ガス置換の有用性.眼臨92:1321-1323,1998硝子体手術のワンポイントアドバイス●連載91糖尿病硝子体手術後の再出血例に対する液-空気置換(初級編)池田恒彦大阪医科大学眼科凝血塊図1術後早期の状態下方の眼内液中に血性の混濁を認めるとともに,上方のガスを通して凝血塊を認める.図2液.空気置換を施行するタイミング眼内のガスがある程度減少して凝血塊が眼内液に溶解する(a)のを待ってから液-空気置換を行う(b).ab

眼科医のための先端医療 120.硝子体は何故透明か?-硝子体中ヘパラン硫酸の抗血管新生作用からの視点-

2010年12月31日 金曜日

あたらしい眼科Vol.27,No.12,201016930910-1810/10/\100/頁/JCOPYはじめに健常者の硝子体には,非常に細胞成分が少ないという特徴があります.血管組織も炎症細胞もあまりありません.そのことは,硝子体の透明性の維持には非常に有利に働くと考えられます.では,なぜ細胞成分が少ないのでしょうか?多くは,いまだ謎につつまれたままですが,その糸口となる最近の研究をここに紹介します.硝子体血管とマクロファージ非常に興味深いのは,正常硝子体には血管がないことです.正確には,眼の発生の段階では,硝子体中に血管はありますが,網膜血管の発達に伴って退縮してしまうのです.硝子体血管の退縮に硝子体中のマクロファージが非常に重要な役割を担っていると考えられています1).しかし,はたして透明な硝子体中に血管組織がないのは,マクロファージの存在だけのせいなのでしょうか?一般的には,マクロファージという細胞の役割は,他の要因でアポトーシスを起こした細胞を除去することであり,細胞死の原因は他にあると理解されています.では,どうして生後硝子体血管はなくなってしまうのでしょうか?一つの有力な考え方として,虚血網膜から産生される血管内皮増殖因子(VEGF)が硝子体血管の存在に大切である可能性があります.硝子体血管の退縮は,網膜血管の発達(つまり,虚血網膜の減少)と並行して起こるという現象とよく合致します.一方で,網膜血管の発達が不十分な未熟児網膜症や遺伝性の血管発達障害でも,あまり硝子体血管が残っていないことがあります.このことは,虚血網膜からのVEGF産生低下以外にも重要な要素があることを示唆しています.へパラン硫酸と硝子体血管へパラン硫酸は,すべての細胞表面に発現している糖鎖で,同じく糖鎖であるへパリンと非常に似た化学的性質をもっています.これらの分子は,さまざまなへパリン結合蛋白と結合することにより,その下流シグナルを制御することが知られています.近年,前房水中のへパラン硫酸が,へパリン結合蛋白であるVEGFと血管内皮細胞の接着を阻害することが,培養実験で報告されました2).しかし,その生理的意義はしばらく不明でした.マウスの眼では,生後に網膜血管が発達し,硝子体血管が退縮します.その硝子体血管が退縮する期間を含めた生後1.2カ月に限って,硝子体中のへパラン硫酸濃度が,同じマウスの血液や尿の数百倍と,きわめて高いことが最近報告されました3).しかも,網膜虚血に伴って網膜血管の硝子体内迷入(網膜血管新生)が起こる,マウス未熟児網膜症モデルに,へパラン硫酸分解酵素を投与すると,網膜新生血管が約3倍に増えることがわかりました.さらに,分解酵素に加えて,酵素によって分解されないへパリンを同時に投与すると,酵素の作用は中和されました.へパラン硫酸やへパリンを単独投与すると,逆に網膜血管新生は強力に抑制されました.一方,いずれの薬物やその組み合わせを投与しても,網膜内の血管網には影響を与えませんでした.以上より,高濃度の硝子体へパラン硫酸が,内因性かつ特異的に,硝子体腔での血管新生を阻害していることが判明しました3).(61)◆シリーズ第120回◆眼科医のための先端医療監修=坂本泰二山下英俊西口康二(名古屋大学大学院医学系研究科頭頸部・感覚器外科学講座)硝子体は何故透明か?―硝子体中ヘパラン硫酸の抗血管新生作用からの視点―図1虚血網膜によるVEGFの産生と網膜血管の硝子体内迷入硝子体中のへパラン硫酸はVEGFと結合し,その生理活性を阻害する.しかし,虚血網膜などで,へパラン硫酸に対して過剰のVEGFが産生されると,VEGFが硝子体側に濃度勾配を形成し,網膜血管の硝子体内迷入(矢印)につながると予測される.VEGF濃度勾配VEGF虚血ヘパラン硫酸網膜硝子体1694あたらしい眼科Vol.27,No.12,2010硝子体へパラン硫酸とVEGF上述のマウスの実験では,さらに,硝子体中のへパラン硫酸と結合したVEGFは,その生理活性が著しく低下することが示唆されました3).VEGFにはへパリン結合ドメインがあり,へパリン・へパラン硫酸は,この部位を介して作用することが知られています.また,VEGFには,VEGFR-1とVEGFR-2という2つのレセプターがあり,おもにVEGFR-2がVEGFの血管新生作用を媒介します.この報告では,さらに硝子体,へパリン,へパラン硫酸は,可溶性VEGFと表面にコートしたへパリンあるいはVEGFR-2との結合を阻害することをinvitroの実験結果で示しています.さらに興味深いことに,虚血網膜から硝子体中に遊出したVEGFは,へパラン硫酸と結合し,プラスミンなどの内在性のプロテアーゼによる分解から逃れる可能性があることも明らかになりました3).このように,硝子体中のへパラン硫酸は,虚血網膜から放出されたVEGFのへパリン結合ドメインと結合し,VEGFの生理活性やその硝子体中の濃度を制御することがわかりました.へパラン硫酸と眼の病気の関わりについて網膜血管新生を引き金に,視力が低下していく代表的な虚血性網膜疾患に糖尿病網膜症があります.糖尿病腎症の糸球体基底膜では,へパラン硫酸の発現が低下していて,糸球体でのイオン交換の低下に寄与しているとされています.同様に,糖尿病網膜症においても,硝子体中のへパラン硫酸が低下していると,VEGFの生理活性が強くなると予測されます.また,へパリン結合蛋白はVEGFなどの血管新生因子だけではありません.CCL2〔chemokine(C-Cmotif)1igand-2〕,RANTES(regulatedonactivation,normalTcellexpressed,andsecreted),GM-CSF(granulocytemacrophagecolony-stimulatingfactor),interferon-gなどの重要な炎症性分子もへパリン結合蛋白です.したがって,VEGF同様に,硝子体中の可溶性へパラン硫酸が,それらのサイトカインのシグナリングを抑制し,炎症性眼疾患の病態を修飾することも考えられます.おわりに仮説ではありますが,硝子体中のへパラン硫酸が,VEGF以外にも,へパリン結合ドメインを有する,細胞の遊走や増殖に必要なさまざまな因子の働きをブロックすることにより,細胞自体が存在しにくい硝子体環境を形成している可能性があります.今後,この分野の研究の発展が期待されます.文献1)LangRA,BishopJM:Macrophagesarerequiredforcelldeathandtissueremodelinginthedevelopingmouseeye.Cell74:453-462,19932)FannonM,Forsten-WilliamsK,DowdCJetal:Bindinginhibitionofangiogenicfactorsbyheparansulfateproteoglycansinaqueoushumor:potentialmechanismformaintenanceofanavascularenvironment.FASEBJ17:902-904,20033)NishiguchiKM,KataokaK,KachiSetal:RegulationofpathologicretinalangiogenesisandinhibitionofVEGFVEGFR2bindingbysolubleheparansulfate.PLoSONE5:e13493,2010(62)■「硝子体は何故透明か?─硝子体中ヘパラン硫酸の抗血管新生作用からの視点─」を読んで■今回は名古屋大学医学部眼科の西口康二先生の硝子体の生命科学の総説を読ませていただきました.眼などの器官が進化のうえで登場したのは約5億4千万年前のカンブリア紀であったと考えられているようですが,光という電磁波を受容しその情報を生命維持のために使うとなると生体に透明な組織を構築する必要がでてきます.角膜と硝子体などの眼にとってきわめて大切な組織がなぜ透明性を保っているのか,眼科医療をめざすわれわれのみでなく,生命科学としてもとても魅力的なテーマです.硝子体の透明であることの意味,生化学的な意義を西口先生は硝子体中のへパラン硫酸に注目してストーリーを展開し,実験で得られたエビデンスを駆使してわかりやすく説明しておられます.われわれのもっている生化学はある大きな範囲(細胞や分子の面からみてという意味ですが)の平衡状態を想定して構築されているように考えます.ですから細胞表面の微細な環境の変化による分子の作用の制御といった,本来はとても大切な情報を得るのが想像以上に困難です.困難であるからといって避けて通れな(63)あたらしい眼科Vol.27,No.12,20101695いということが西口先生の総説からよくわかります.これらの研究は現代の生命科学の非常に大きな進歩があって初めて可能になったことだと考えますが,もう一つ重要なことは,このようなことが大切でありきちんと解決していかなければならないこと,それによりとても重要な情報が得られて臨床的にも重要であるということが実例で示せることです.以前より細胞表面分子の状態をきちんと把握することは角膜表面の涙液の安定という面から考えられてきましたが,網膜-硝子体疾患に関連した実験が困難なことから,なかなか進展がなかったという感があります.しかし,西口先生の提示された魅力的なストーリーで網膜硝子体疾患の病態解明につながり,有効な治療薬開発に将来つながることを祈念しております.山形大学医学部眼科山下英俊☆☆☆

緑内障:夜間眼圧上昇眼に対する緑内障点眼薬の効果

2010年12月31日 金曜日

あたらしい眼科Vol.27,No.12,201016910910-1810/10/\100/頁/JCOPY●眼圧変動と緑内障進行眼圧下降が緑内障進行を抑制することは広く知られているが,眼圧変動と緑内障進行の関係については明らかになっていない.theAdvancedGlaucomaInterventionStudyでは,眼圧が高い群と低い群に分けた場合,前者では経過中の平均眼圧と,後者では長期眼圧変動と緑内障進行との間に関連を認めている1)が,theEarlyManifestGlaucomaTrialでは,長期眼圧変動と緑内障進行との関連はなかったと報告されている2).また,眼圧日内変動に関しては,日内変動幅が大きい群で有意に視野が進行しやすいとの報告がある3).●緑内障点眼薬の眼圧日内変動に対する効果の一般認識プロスタグランジン製剤(PG)および炭酸脱水酵素阻害薬(CAI)では日中,夜間を通じて眼圧下降を認め,b遮断薬(b)では日中に比較して夜間眼圧下降効果が小さいことが報告されている4,5).さらに,眼圧下降率の詳細からPGでは夜間に比較して日中で眼圧下降率が大きく,日内変動幅も小さくなるが,CAIでは24時間を通じて下降率がほぼ一定と,両者の違いも指摘されている5).しかし,これらの結果は対象の過半数を占める日中眼圧が高い症例に対する効果を反映していることが推察される.(59)●連載126緑内障セミナー監修=東郁郎岩田和雄山本哲也126.夜間眼圧上昇眼に対する緑内障点眼薬の効果馬場哲也香川大学医学部眼科緑内障点眼薬の眼圧日内変動への効果は薬剤により異なるが,眼圧変動パターンによる違いは明らかになっていない.夜間眼圧上昇眼における緑内障点眼薬の眼圧日内変動への効果は,日中に眼圧上昇する症例とは異なる可能性があり,眼圧変動を考慮した薬剤を選択することでより精度の高い眼圧下降治療が期待される.101214161820229:0012:0015:0018:0021:000:003:006:009:00時間*******眼圧(mmHg):変更前:変更後図1PG追加群における眼圧日内変動への効果24時間を通じて眼圧下降を認めるが,夜間眼圧上昇は残存している.(*:p<0.05,pairedt-test)101214161820229:0012:0015:0018:0021:000:003:006:009:00時間眼圧(mmHg)***:変更前:変更後図2CAI追加群における眼圧日内変動への効果夜間に有意な眼圧下降を認め,夜間眼圧上昇が緩和されている.*:p<0.05,pairedt-test.101214161820229:0012:0015:0018:0021:000:003:006:009:00時間眼圧(mmHg)**:変更前:変更後図3b遮断薬→CAI変更群における眼圧日内変動への効果日中眼圧は変化せず夜間に有意な眼圧下降を認め,夜間眼圧上昇が緩和されている.*:p<0.05,pairedt-test.1692あたらしい眼科Vol.27,No.12,2010●夜間眼圧上昇眼に対する緑内障点眼薬の効果無治療時正常眼圧緑内障に対する眼圧日内変動において約30%で夜間眼圧上昇することが報告され6,7),筆者の施設で日中眼圧が低くても視野進行する症例の約70%で夜間眼圧上昇することが判明したことから,夜間眼圧上昇眼に対する緑内障点眼薬の効果について紹介する.対象は原発開放隅角緑内障,外来受診時眼圧16mmHg以下,眼圧日内変動にて夜間眼圧上昇を認めた27例27眼に対する投薬変更前後における眼圧日内変動の変化を検討した.PG追加群(11眼)では,24時間を通じて眼圧下降し,平均眼圧,ピーク眼圧も有意に下降した.しかし,投薬追加による日内変動幅の減少は認なかった(図1).CAI追加群(10眼)では,全時間帯で眼圧下降を認めたが,特に夜間で有意な眼圧下降を認め,日内変動幅も有意に減少した(図2).b→CAI変更群(7眼)では,日中眼圧は変化しなかったが,夜間眼圧は有意に下降し,日内変動幅も減少傾向を認めた(図3).また,それぞれの群における併用薬を表1に示すが,PG追加群では併用薬の有無,CAI追加群ではb併用の有無による日内変動は,両群とも併用薬剤にかかわらず同様の効果を示した.b→CAI変更群では全例でPGとbが併用されていた.(60)●今後の展望と課題夜間眼圧上昇眼に対する緑内障点眼薬の眼圧日内変動への効果は,日中に眼圧上昇する症例とは異なる可能性があり,眼圧変動を考慮した薬剤を選択することで,より精度の高い緑内障治療が可能となることが期待される.しかし,眼圧日内変動パターンは常に同一とは限らないことから,より多数例での検討が必要であること,夜間眼圧下降によって視野進行を抑制できるかどうかを明らかにしてゆくことが今後の課題と考える.文献1)CaprioliJ,ColemanAN:Intraocularpressurefluctuation.Ariskfactorforvisualfieldprogressionatlowintraocularpressuresintheadvancedglaucomainterventionstudy.Ophthalmology115:1123-1129,20082)BengtssonB,LeskeC,HymanLetal:Fluctuationofintraocularpressureandglaucomaprogressionintheearlymanifestglaucomatrial.Ophthalmology114:205-209,20073)AsraniS,ZeimerR,WilenskyJetal:Largediurnalfluctuationsinintraocularpressureareanindependentriskfactorinpatientswithglaucoma.JGlaucoma9:134-142,20004)StewartWC,KonstasAGP,NelsonLAetal:Meta-analysisof24-hourintraocularpressurestudiesevaluatingtheefficacyofglaucomamedicines.Ophthalmology115:1117-1122,20085)OrzalesiN,RossettiL,InvernizziTetal:Effectoftimolol,latanoprost,anddorzolamideoncircadianIOPinglaucomaorocularhypertension.InvestOphthalmolVisSci41:2566-2573,20006)狩野廉,桒山泰明:正常眼圧緑内障の日内変動.日眼会誌107:375-379,20037)RenardE,PalombiK,GronfierCetal:Twenty-fourhour(nyctohemeral)rhythmofintraocularpressureandocularperfusionpressureinnormal-tensionglaucoma.InvestOphthalmolVisSci51:882-889,2010☆☆☆表1各群における併用薬剤併用薬剤PG追加群なし:6,b:3,b+CAI:1,CAI:1CAI追加群PG:6,PG+b:3,b:1b→CAI変更群PG+b:7PG:プロスタグランジン製剤,b:b遮断薬,CAI:炭酸脱水酵素阻害薬.数字は眼数.

屈折矯正手術:近視LASIK後の白内障手術における眼内レンズ度数計算精度

2010年12月31日 金曜日

あたらしい眼科Vol.27,No.12,201016890910-1810/10/\100/頁/JCOPY日本国内においても,近年laserinsitukeratomileusis(LASIK)をはじめとする角膜屈折矯正手術は増加し,年間数十万件を数えるに至った.これに伴い,過去にその屈折矯正手術を受けた患者が白内障を罹患する年齢に至り,手術を施行した施設とは異なる施設で白内障の手術を受けるケースも増えてきている.今回,南青山アイクリニック(以下,当院)における近視LASIK後の白内障手術眼内レンズ度数計算精度について報告する.●対象および方法当院において2008年7月から2010年5月の白内障手術155症例255眼のうち,44眼(28.4%)が角膜手術後症例(LASIK,photorefractivekeratectomy:PRK,phototherapeutickeratectomy:PTK,radialkeratotomy:RK,角膜移植など:図1)であった.そのうち近視LASIK後症例に限っても22眼(14.2%)であった.この22眼のうち11眼(LASIK症例の50%)は他院手術後症例であった.今回,上記近視LASIK後22眼のうち単焦点眼内レンズを挿入した11症例19眼を対象として眼内レンズ度数計算精度について検討した.眼内レンズ度数計算精度については,ターゲットと術後3カ月目の自覚等価球面値との差をズレと定義した.LASIK後の眼内レンズ度数計算で重要なポイントとなるのが,1.使用する計算式,2.角膜K値,3.LASIKによる矯正量である.1.使用する計算式当院のLASIK後眼内レンズ度数計算は,他の計算式の結果も参考にしながらCamellin-Calossi式1)を中心に行っている.Camellin-Calossi式は術前の前房深度・水晶体の厚さ・眼軸長から術後の前房深度を計算する.一方SRK/T式ではこれらの値を用いずに角膜K値を基に術後の前房深度を予測しているため,LASIKなどの角膜手術後症例では角膜がフラット化していることにより予測性が低下する.眼軸長はAモードとIOLマスターの再現性を確認し,Aモード値を使用している.前房深度はAモード,IOLマスター,オーブスキャン,ペンタカムの値を比較して再現性を確認する.水晶体厚はAモードの測定値の再現性を確認して使用している.2.角膜K値角膜K値は角膜形状解析機OPD-Scan(NIDEK)のAPP(averagepupilpower)3mmを使用している.APPは角膜中心から3mm以内の平均角膜屈折値を計測しており,一般的なケラトメータの測定ポイントが4ポイントであるのに対し,1,000ポイント以上での測定が可能である.また,通常眼においてはケラトメータの値とAPPのケラト値には差がないが,近視LASIK後の眼においてはケラトメータの測定値のほうが実際よりスティープに測定されてしまうため,選択すべき眼内レンズの度数が過小評価になることにより術後の結果が遠(57)屈折矯正手術セミナー─スキルアップ講座─●連載127監修=木下茂大橋裕一坪田一男127.近視LASIK後の白内障手術における眼内レンズ度数計算精度渡辺純一福本光樹井手武南青山アイクリニック角膜手術後眼における眼内レンズ度数計算精度について非角膜手術後眼と比較検討した.Camellin-Calossi式を中心に行った計算では両群間で有意差が認められず,角膜手術後眼であっても南青山アイクリニックにおける現行の計算方法は良好な精度であった.近視LASIK22遠視LASIK10PTK10CK(conductivekeratoplasty)1角膜移植1(単位:眼)図1角膜手術の種類1690あたらしい眼科Vol.27,No.12,2010視になりやすい.これらを考慮し,角膜K値はAPP3mmを使用している.3.LASIKによる矯正量LASIKの矯正量は当院LASIK後については術前と術後のAPP3mmから角膜面での矯正量を算出し,眼鏡面に換算して矯正量とする.他院LASIK後については,術前のデータがある場合には術前のK値と術後のAPP3mmにて矯正量を算出し,眼鏡面に換算する.術前のデータがない場合にはオーブスキャンなどで角膜厚の分布を測定し,そのデータを使用しておおよその矯正量を予測する2).●結果ターゲットとのズレの単純平均は0.14±0.68D,絶対値平均は0.53±0.42Dであった.また,±0.5D以内の率は57.9%,±1.0の率は89.5%であった(図2,3).まとめ今回の角膜手術後眼の眼内レンズ度数計算精度は,同時期に行った角膜手術歴がない単焦点眼内レンズ挿入眼の精度(絶対値平均が0.45±0.42Dで±0.5D以内の率は73.9%,±1.0D以内の率は90.3%)と統計学的有意差がなく,精度が高いものと考えられた.今後確実に増えるであろう近視LASIK後の白内障手術は,すべての白内障手術施設において避けることができないものである.そのためにも早い段階から通常の白内障手術と同様に眼内レンズの度数計算に慣れておく必要があると考える.文献1)CamellinM,CalossiA:Anewformulaforintraocularlenspowercalculationafterrefractivecornealsurgery.JRefractSurg22:187-199,20062)CamellinM:Proposedformulaforthedioptricpowerevaluationoftheposteriorcornealsurface.RefractCornealSurg6:261-264,1990(58)☆☆☆210-1-2屈折誤差(D)LASIKの矯正量(D)0-5-5図2LASIKの矯正量ごとの屈折誤差210-1-2屈折誤差(D)Aモードでの眼軸長(mm)20253035図3眼軸長ごとの屈折誤差

多焦点眼内レンズ:多焦点眼内レンズ挿入眼の網膜硝子体検査

2010年12月31日 金曜日

あたらしい眼科Vol.27,No.12,201016870910-1810/10/\100/頁/JCOPY多焦点眼内レンズ(IOL)はその優れた遠見・近見での臨床成績から近年注目されている付加価値IOLである.夜間時のハローやコントラストの低下などがみられることから,多焦点IOL挿入眼で網膜硝子体疾患を伴った場合に通常の単焦点IOL挿入眼と同様に治療可能かどうかが危惧されていた.本稿では,多焦点IOL挿入眼における網膜硝子体検査について言及する.多焦点IOLには屈折型多焦点IOLと回折型多焦点IOLがある.屈折型はその光学部に近見視用の光学部が存在する.現在わが国で認可されている屈折型多焦点IOLはAbbott社のアクリル製ReZoomRのみで,中心から遠近遠近遠の5ゾーンの光学部である.回折型はAMO社製テクニスマルチフォーカルやAlcon社製ReSTORRが発売されている.テクニスマルチフォーカルは光学部全面に回折溝があるが,ReSTORRは光学部の中心3.6mm径のみに回折溝がある.しかもその回折領域はアポダイズ回折構造をもち,回折ゾーンの周辺部にいくほど回折溝(回折ピッチ)が浅くなる構造をとっている.この遠方重視の構造は,夜間に運転する場合,ハローなどを少なくできるが,近見はテクニスマルチフォーカルと比べて劣ることになる.屈折型多焦点IOLと回折型多焦点IOLでは眼底写真や眼底検査で単焦点IOLと差があることは報告されていない(図1).筆者らは回折型多焦点IOLであるテクニスマルチフォーカル挿入眼で硝子体手術時に硝子体を可視化するために注入したトリアムシノロン粒子が何重かにみえることを報告した1).眼内で対流している粒子は眼内でみえたり消えたりして,それは眼内の粒子の位置によって変化し,回折型多焦点IOLの光学的特性を表しているように観察された.また,網膜上に沈殿したトリアムシノロン粒子は遠心方向に延長して観察された.これらは硝子体手術用コンタクトレンズでの観察であった.テクニスマルチフォーカル挿入眼で黄斑前膜による手術を行った場合でも同様の所見が観察された.眼内に挿入された鉗子がその位置によって眼内照明による反射が弧状に何重にもみえる場合と通常の器具の反射として観察される場合があった2).摘出豚眼にテクニスマルチフォーカルを挿入した実験では,コンタクトレンズを通して眼底を観察すると遠心方向にゴースト像がみられ,硝子体手術時にみられたトリアムシノロン粒子の見え方と一致した.一方,広角観察レンズで観察するとゴースト像はみられなかった.これは硝子体手術コンタクトレンズだと瞳孔領内すべても光路を用いているのに対し,広角観察レンズだと中心約3mmだけを通して倒像を観察しているため,多焦点IOLの影響を受けにくかったと考えられる.屈折型多焦点IOLでは近見ゾーンを通してみると像の歪みがみられたが,単焦点IOLとあまり差はなかった.同様の理由で,回折型多焦点(55)●連載⑫多焦点眼内レンズセミナー監修=ビッセン宮島弘子12.多焦点眼内レンズ挿入眼の網膜硝子体検査井上真杏林アイセンター網膜硝子体検査における多焦点眼内レンズ(IOL)の影響を検討する.倒像鏡,広角観察レンズ,光干渉断層計での眼底検査では単焦点IOLと差がないが,回折型多焦点IOLではGoldmann三面鏡による眼底検査ではゴースト像,linescanningophthalmoscopeで水平ノイズがみられる.図1回折型多焦点眼内IOL(ReSTORR)挿入眼の眼底写真単焦点IOL挿入眼と差がなく,像は鮮明で黄斑前膜がみられる.1688あたらしい眼科Vol.27,No.12,2010IOL挿入眼で細隙灯顕微鏡と前置レンズを使用して眼底検査を行う際に,広角観察レンズでは多焦点IOLの影響は受けにくいもののGoldmann三面鏡では回折型多焦点IOLではゴースト像が観察されると考えられる(図2).網膜硝子体疾患において光干渉断層計(opticalcoherencetomography:OCT)による網膜の形態評価は黄斑部疾患ではまず必須となっていると考えられる.筆者らは回折型多焦点IOL挿入眼でCirrusHD-OCT(CarlZeissMeditec社製)を用いて検査を行った場合にOCT画像ではなく,眼底のモニター画面であるlinescanningophthalmoscope(LSO)で横方向のノイズがみられることを報告した3)(図3).屈折型多焦点IOL挿入眼や単焦点IOLでは観察されず,横方向のノイズはこの回折溝に相当するように中心で間隔が広く,周辺に移行するに従って間隔が狭くなった.Scanninglaserophthalmoscope(SLO)で多焦点IOL挿入眼の眼底を観察したが単焦点IOLとの差がみられなかった.SLOは共焦点方式を用いて光源もピンポイント,検出側もピンポイントとなっている.一方,LSOは検出側が細いスリット状の形状となっており,回折溝の形状を検出した可能性がある.(56)文献1)KawamuraR,InoueM,ShinodaKetal:Intraoperativefindingsduringvitreoussurgeryafterimplantationofdiffractivemultifocalintraocularlens.JCataractRefractSurg34:1048-1049,20082)YoshinoM,InoueM,KitamuraNetal:Diffractivemultifocalintraocularlensinterfereswithintraoperativeview.ClinOphthalmol4:467-469,20103)InoueM,Bissen-MiyajimaH,YoshinoMetal:Wavyhorizontalartifactscausedbymultifocaldiffractiveintraocularlensesinopticalcoherencetomographylinescanningimages.JCataractRefSurg35:1239-1243,2009☆☆☆光学部の広い範囲を通るGoldomannスリーミラー光学部の中心しか通らない広角観察レンズ図2前置レンズでの眼底観察Goldmann三面鏡ではIOLの広い領域で光路がある.広角観察レンズではIOLの中心しか光路がなく,Goldmann三面鏡と異なりIOLの影響を受けにくい.図3図1と同一症例のlinescanningophthalmoscope(LSO)写真と光干渉断層計(OCT)画像A:LSOでは横方向に水平ノイズ(矢印)がみられる.B:OCT画像にはノイズはなく,黄斑前膜がみられる.AB

眼内レンズ:シングルピース眼内レンズによる虹彩前および後癒着 (眼内レンズ支持部による虹彩捕獲)

2010年12月31日 金曜日

あたらしい眼科Vol.27,No.12,201016850910-1810/10/\100/頁/JCOPY現在の日本での白内障手術のgoldstandardは,フェイコとアクリル製フォルダブル眼内レンズ(IOL)であり,そのなかでもアクリル製シングルピースIOLの組み合わせである.今回,不連続な前.切開の症例にアクリル製シングルピースIOLを.内固定したところ,術後約9カ月目にIOL支持部の圧迫による虹彩前癒着および,支持部と虹彩裏面との虹彩後癒着を生じた症例を経験した.アクリル製シングルピースIOLは前.切開が環状に連続した状態での.内固定が推奨されており,そうでない場合は原則.内に挿入すべきでない.本症例は前.切開が環状でなかったにもかかわらずアクリル製シングルピースIOLを.内に挿入し,術後後期に合併症を生じた報告である.●症例および経過症例:46歳,男性.平成19年12月左眼白内障に対し,水晶体摘出術およびIOL挿入術を施行した.既往(53)歴,全身合併症に特記すべきことなし.IOLはアクリソフ(SA60AT,アルコン社)を使用した.術中,前.下線維組織による混濁が強く,前.切開時に4時方向への丸山貴大小早川信一郎東邦大学医療センター大森病院眼科眼内レンズセミナー監修/大鹿哲郎292.シングルピース眼内レンズによる虹彩前および後癒着(眼内レンズ支持部による虹彩捕獲)不連続な前.切開の症例にアクリル製シングルピース眼内レンズ(IOL)を.内固定したところ,術後約9カ月目にIOL支持部の圧迫による虹彩前癒着および,支持部と虹彩裏面との虹彩後癒着を生じた症例を経験した.前.切開が環状でない場合や硝子体圧が高い症例などでは,シングルピースIOLを選択する際に注意が必要である.図1術前前眼部4時から7時方向に角膜内皮と虹彩前癒着を認める.図2術中写真4時から8時方向にかけIOL光学部が前.切開線より前方脱出し,IOLの支持部が虹彩を裏面から圧迫している.図3図2のシェーマ点線のラインが前.切開線.亀裂が生じたが,IOLは.内に固定した.術翌日より24.39mmHgの高眼圧を認めた.術後2週間で.1Dの近視化が認められた.眼圧は術後約2カ月で正常となったが,.1Dの近視化は改善しなかった.平成20年9月,視力低下および角膜内皮と虹彩の癒着(虹彩前癒着)が認められ(図1),散瞳下でIOL支持部の4時から8時部の周辺虹彩裏面の捕獲(虹彩後癒着)が観察されたため(図2,3),同年10月IOLの摘出および再挿入術(テクニス,ZA9003,AMO社)を施行した.手術は,4時から8時部周辺虹彩と支持部の後癒着を解除し,新しいIOLを光学部,支持部とも.内に固定した(図4).角膜内皮との癒着は隅角癒着解離術により解除した.術後,眼圧上昇はなく,瞳孔は正円で,IOL再挿入後に他覚的屈折値の変動もみられなかった.●考察前.切開に亀裂が生じ環状に連続していなかったことと,術後高眼圧により,IOL支持部の.外脱出が生じた.その後支持部の虹彩裏面からの刺激により,角膜内皮と虹彩前癒着が生じたと考えられた.本症例に関しては術後後期であるため保存的治療は困難であり,術中所見から支持部と虹彩裏面の癒着が強く疑われ,このまま放置すれば慢性炎症により,慢性虹彩炎や色素性緑内障,さらには.胞様黄斑浮腫や水疱性角膜症になる可能性が高いと判断し,積極的に観血的整復を試みた.一般的にシングルピースIOLは,スリーピースIOLと比較すると1),術後早期に屈折値が安定すること,極小切開に対応しやすいこと,挿入が比較的容易なこと,インジェクターやカートリッジの構造が単純なこと,などから選択しやすいIOLであることは間違いないが,挿入時の飛び出しや挿入直後の支持部の接着などのトラブル,原則.内固定という制限もある.今回のような前.切開が環状でない症例,硝子体圧が高い症例,Zinn小帯脆弱例などではシングルピースIOLを選択する際に再検討の必要があると考えられる.なお,虹彩捕獲とは,原則IOLの一部が虹彩の上方に移動した状態をいい2),現在では,硝子体手術3.5)後のガスタンポナーデによる後方からの圧迫,虹彩と後.の癒着から.の収縮により虹彩がIOLの下に引っ張られて生じる場合が主で,白内障手術単独ではIOLが.内に固定される限り,比較的まれな合併症である.文献1)平野佳男,小椋祐一郎,服部知明:アクリソフシングルピースとスリーピースの術後安定性の比較.眼科手術19:415-417,20062)堀口正之:虹彩捕獲.眼科プラクティス18,前眼部アトラス,p442,文光堂,20073)西口文,南政宏,植木麻里ほか:白内障と硝子体同時手術の虹彩捕獲.IOL&RS18:299-303,20044)池田恒彦:硝子体手術のワンポイントアドバイス硝子体手術後の虹彩捕獲(初級編).あたらしい眼科22:1655,20055)蔭山光代,野本浩之,山内一司:白内障併用硝子体手術におけるシングルピースアクリル眼内レンズの使用経験.眼科手術18:211-215,2005図4術後1カ月の前眼部瞳孔の不整は改善され,角膜と虹彩の癒着も解除された.

コンタクトレンズ:私のコンタクトレンズ選択法 円錐角膜に対するベベルトーリックハードコンタクトレンズ

2010年12月31日 金曜日

あたらしい眼科Vol.27,No.12,201016830910-1810/10/\100/頁/JCOPY●ベベルトーリックハードコンタクトレンズ(HCL)の特徴ツインベルベベルトーリックタイプR(サンコンタクトレンズ)は,マイルドIIツインベルタイプR(サンコンタクトレンズ)のダブルベベル部位をトーリック状にデザインしたベベルトーリックレンズである(図1).ベベル部位をトーリックにすることで,強主経線と弱主経線の差が大きな乱視眼の角膜形状に対応するようにレンズ全周に均一なベベル幅を保持できることが大きな特徴である.●ベベルトーリックHCLとツインベルIIRベベルトーリックの元になっているマイルドIIツインベルタイプRは,円錐角膜の3点接触法を模倣して開発された多段階カーブレンズで,正常角膜においても3点接触法によるフィッティングとなるようにデザインされたコンタクトレンズ(CL)である.マイルドIIツインベルタイプRのレンズデザインは,角膜中央に広くフィットさせるための比較的フラットなベースカーブ(BC)と,その周辺にBCよりもスティープな第1中間カーブ,さらにその外側にフラットな第2,第3中間カーブが設計されているダブルベベル構造である.フラットなBCと第2,第3中間カーブ(角膜接触ゾーン,(51)図1)がフィッティングおよび視力補正に関与しており,正常角膜における装用感が高い.さらに,直径を大きくすることにより,角膜移植後の乱視眼に対するフィッティングも良く,安定したセンタリングにより装用感や視力矯正効果も良好である.●円錐角膜に対するツインベルベベルトーリックタイプRの有用性ツインベルベベルトーリックタイプRは健常眼や乱視眼の装用感を改善するマイルドIIツインベルタイプRの特徴を生かしつつ,ダブルベベル部位をトーリックデザインにすることでさらなる機能を得たレンズである.乱視眼の弱主経線方向のベベル幅を拡大して装用感を改善するとともに,強主経線のエッジの浮き上がりを抑制しレンズの動きを安定させる効果を有している.したがって,CLフィッティングのむずかしい進行した円錐角膜やペルーシド角膜変性などの拡張性角膜疾患による乱視眼に対しても良好な装用感の得られることが期待される(表1).●症例患者:45歳,男性.主訴:CLの定期検診時に装用感の良いレンズを希望.眼科既往歴:両眼の円錐角膜,左眼は角膜移植後眼.柳井亮二山口大学大学院医学系研究科情報解析医学系学域眼科学分野コンタクトレンズセミナー監修/小玉裕司渡邉潔糸井素純私のコンタクトレンズ選択法318.円錐角膜に対するベベルトーリックハードコンタクトレンズ表1ベベルトーリックHCLの適応疾患円錐角膜ペルーシド角膜変性球状角膜角膜外傷後PC高度の乱視眼(特に倒乱視)BCIC1IC3IC2フロントベベルベベル図1ツインベルベベルトーリックタイプRのデザイン光学部は球面形状でベベル部分のみがトーリック形状となっている.強主経線方向,弱主経線方向のベベル部の曲率半径を変えることで,乱視眼に対するフィッティングを改善することを目的として開発された.BC:ベースカーブ,IC:中間カーブ,PC:周辺カーブ.1684あたらしい眼科Vol.27,No.12,2010(00)右眼の円錐角膜の程度は中等度のニップルタイプ(図2)で,円錐角膜用の非球面型HCLを装用していた.角膜曲率半径:7.41mm(45.50D)89°6.07mm(55.5D)179°視力:0.04(0.1×sph.6.00D)(0.9×HCL)従来のHCL:AphexKCR(エイコー),規格5.60/7.50/.20.5/8.8非球面型円錐角膜用レンズを装用することで,角膜中央部の上皮障害を予防し,良好なセンタリングが得られていた.左眼最終処方レンズ:ツインベルベベルトーリックタイプR7.70/.4.00/9.3/トーリック差0.3ツインベルベベルトーリックタイプRを装用すると見え方や装用感が非球面型円錐角膜用レンズよりも良好であった.非球面型円錐角膜用レンズでは,3時-9時方向のベベル幅が細くなっていた(図3)が,ツインベルベベルトーリックタイプRではレンズの全周でベベル幅が確保された(図4).ベベル部位の涙液の保持も改善され,装用感の改善につながったものと考えられた.図2症例のカラーマップとMeyer像角膜前面のMeyerリングは角膜が突出する中央部から下方のリング間が狭くなり,カラーマップでは同部位に暖色系の角膜屈折力が表示される.これらは,角膜突出部が周辺部角膜より急峻な形状であることを示している.形状解析ソフトによる円錐角膜指数が表示されており,本症例では100%と算出された.図3非球面型円錐角膜用レンズのフィッティングレンズのセンタリングは良好で,レンズの過剰な接触による角膜中央部の上皮障害はみられない.水平方向,垂直方向のベベル幅は狭いため(矢印),涙液交換の効率が低下し,装用感も悪化しやすくなる.図4ツインベルベベルトーリックタイプRのフィッティングフィッティングは3点接触でレンズのセンタリングは良好.ベベル幅はレンズ全周で保たれており(矢印),装用感も改善した.